鮑照詩文用韻考
著者
向嶋 成美
雑誌名
中国文化 : 研究と教育
巻
60
ページ
( 60) - ( 79)
発行年
2002- 06- 29
組 照 詩 文 用 韻 考
向
嶋
成
美
I
序j莫貌菅南北朝期の詩人の
m
韻については、中国音韻学の学者たちによってこれまでいくつもの研究が積み重ねられてきた。この時期の詩人の用韻が音韻研
究の学者たちに注目されるのは、先秦期の上古苦から精j者期のi中古者への音韻
の推移を究明するのにそれが貴重な資料となるからに他ならない。実際、詩人
の用韻の検討を通して得られているこれまでの研究の成果は、! こ│コ
i
謡音韻史土の 価値ある事実を多く提供してきたと言える。そこで、漢貌菅南北朝期の詩人の
m
韻を対象とするこれまでの研究のi中、主ものをいくつか挙げるならば、やや古いところでは子海嬰( 字は安淵) 氏
の
n
莫貌六朝韻譜J
がある則。この警は、r
t
J
J
韻J
( r J 五銭D
の韻音s
I
に準拠しつ つ、この時期の韻部の変濯を (1) 漢、 (2) 説晋宋、 (3) 斉梁│ 凍の3 期に大別ししたものであるが、当時の
:
1
l j3額資料をほぼ漏れなく収録しているところが貴重
である。
次 い で 注 自 す べ き は 、 玉 カ 氏 の 「 南 北 朝 詩 人 間 競 考
J
であるfi,
2。 こ の 論 文は 、 題 名 が 示 す ご と く に 対 象 と す る と こ ろ は 南 北 朝 期 の 詩 人 に 限 ら れ て い る
が、この時期の詩人の用韻の変遷をほぼ(1)宋、 (2)斉梁、 (3)1凍ならびに北朝の3
期に分かち、詩人情人を単位とした記述がなされており、また各詩人の籍覧を
も考慮に入れて検討を行うという周到さを持っていて、教示を受けるところが
多い。
さらに羅常培、毘祖誤両氏による
f
漢貌晋南北朝韻音15演変研究j 第 一 部 が あり、またこれを継承する周祖誤氏の
f
説晋南北朝韻部之演変j という大著も近頃出版された渋3 0 こ れ ら こ 冊 を 通 じ て 検 討 さ れ て い る 韻 部 変 遷 の 大 き な 枠 組
としては、うニ海曇氏の分期がそのまま踏襲されているが、各時代ごとの韻部の
分合状況の沿革については、詳細をきわめた追求がなされている。 j司氏の研究
もこの時期の詩人の用韻を対象とする研究の中できわめて重要な位援を占める
ことに間違いはない。
お て 本 稿 は 、 如 上 の 研 究 成 果 を 踏 ま え つ つ 、
i
者 朝 宋 の 詩 人 、 給付16---/4( 6) の用i嶺 に つ い て さ ら な る 検 討 奇 加 え よ う と す る も の で あ る 。
J;
Xl
ど の 研 究 に は 、 % 然 の こ と な が ら 飽 の 府 綴 も ト 分 に 視 野 に4
文められており 、 さ ほ ど 大 き な 変 更 を 迫 る よ う な 余 地 が 残 さ れ て い る わ け で は な い 。 し か
し、鮒! 被はこの時代の詩人の中にあっては珍らしく大抵の詩文が今日に伝えら
れ て い る 作 家 で あ る か ら 、 単 独 の 作 家 のj程鎮の状況をある ユて る の は 一 定 の 意 味 あ る こ と と 怒 わ れ る9 またそのこと
状 況 の 微 妙 な 点 に お い て 、 こ れ ま で の 研 究 に 付 け 加 え る こ と の で き る と こ ろ も
い く つ か は あ る 。 さ ら に 子 氏 以 下 の こ れ ま で の 研 究 は 、 詩 作 品 の テ キ ス ト と し
ての坊の張祷の
f
漢 税 六 朝 古 三 名 家 集j や 民 寺 代 の 了 福 保 のれ ら の テ キ ス ト の 持 つ 不 備 を そ の ま ま 受 け 入 れ て
いる
そこで本名高は、総照の集の中では比較が] 省い? 診を伝えている、
ユて、 いま
して取り扱い、
ることにする。
1I 線 照 詩 文 の 用 韻
において、
と し て 指 摘 す る と こ ろ で あ る が 、 飽 熊 詩 文 の す べ て の 使 用 例 も こ れ に
外れることはない。
(1) 東 独 用 (
4
1JIJ)山く松柏篇〉
(2) 東 鍾 同 府 ( 3例)
•
セゥ@ ・@
(3) 東幻:1 可用 ( 1例)
中風く翫月域間門燐中詩〉
(4
)
東 冬 鍾 向 用 (1
例)-風 中 冬 縫 封 松i諸戎功鑓雄く代陳j忍王
lIT . . . .
(5) 東 鍾 江 間 用 ( 7 例)
@ ど九
A ェ ャ ゥA スZQS ヲN Iュセ
@
ぷ
. .
.
.
.
^
11 11 •く数詩' > 、終松重通峯容窮l
:
j
ヰ
:1)空く従; 手段登京l焼詩〉• • • • o
(6) 東 冬 鍾 江 間 用 ( 1例)
0
八
・
宮通風冬空容江邦逢功く選都口抗詩〉
. D. L' ; .
ま た 東 鐙 韻 と 相 配 の 関 係 に あ る よ 声 輩j箆韻の用例もある。
(7
)
輩 鹿 間 用 (1
例)•
動
i
瀧く慰葵j拭〉•
こ れ ら を 総 合 的 に 見 る と 、 東 韻 の 独 用 併 は4例 あ る も の の 、 前 掲 の 例 以 外 で
は、
f
風 終J
く幽蘭詩其五〉入、 「中}風訊J
く付司中ヨ興歌其i
問冴〉入、 -1セ ゥ ェ く擬行路難其寸十《五〉 の ご と く に わ ず鎮の独用例、また冬錘江韻のみの! 司用例も全くない。東韻と他の冬鍾江韻との
分 離 は 、 王 、 周 両 氏 の 指 摘 す る 通 り 斉 梁 期 以 降 に 現 わ れ る も の で あ っ て 、
i
抱! 摂の用韻においてはまだ見受けられない。
2
支 佳支 韻 の 使 用 例 は
11
例 が 見 ら れ る が 、 微 韻 の 字 と 混 用 さ れ る 特 殊 な2
併 を し ばら く 措 く な ら ば 、 他 の9例はすべて独用である。
(1) 支 独 用 ( 9 例)
馳( 義離校知く代別鶴操〉、規垂池移く磐劉公幹鵠詩其四〉、崖池霊窺移矢! ]
く詠双駕詩英一〉、校 j室離
w
r
移 く JI援故人j嘉子喬詩其三〉、! 拙校涯疲吹く稜畏松遇雪詩〉
こ の う ち 後 の3例 に 見 え る 「 展 、 涯 」 は 、 韻j で は 支 韻 に 収 め ら れ る と
同時に{ 圭韻にも収められる。このことは両韻の韻債の近
i
訟 を 窺 わ せ る も の で ある の だ が 、 こ の 平 声 の 支 佳 韻 と 相 配 の 関 係 に あ る 上 声 の 紙 蟹 韻 に は 確 か に 間 期
の例がある。
(2) 紙 蟹 開 用 ( 1例)
委泊。牒解く閤葵賦〉
このうち
f
酒j もまたf
広 韻J
では紙韻と│ 司時に蟹韻にも収められる字であっ て 、 平 芦 の 「 崖 、 涯 」 の 場 合 と 事JI育は同様である。南朝宋代の) 羽韻において
支 伎 の 両 韻 を 一 類 と す る の は 、 や は り 玉 、 間 両 氏 の す で に 認 め る と こ ろ で あ る
が 、 飽 黙 の 用 韻 に つ い て も 原 則 と し て 支 佳 問 用 と 見 て 差 し 支 え な い 。
た だ 飽 照 の 用 韻 に は 、 例 外 と す べ き も の が い く つ か 散 見 す る 。 そ の 一 つ は 支
微向用の例である。
、
,
s
f
〆
円
/
J
d
p
h
u
f
i
(3) 文 微
i
百JH
3
( 2ザ11)@
飛締違徽祈紡く代郊街行〉、奇庇卑ず1::: くj
五
歩
i川島文〉•
•
• • •
•
またもう一つは、
J
ニ声紙韻の使用例に克える、エ12: 芦之韻に相配するよ声J
J
こ韻 との通t
l1
1の例である。
(4) 紙 止 ( 志 ) 同 舟 ( 1
W
IJ)
( ¥八
A ! i ) 程侍迩口思紙子く春嬬詩〉
ハ A
特に
J
r
認J
の字については、f
広 韻j では平声之韻と精密己の去戸支志韻にj寓するものであって、
J
二戸ぎには収められない。く春報誌〉は欠字を含む不完全な作品 で あ っ て 、 あ る い は 誤 字 の 可 能 性 も な く は な い 。 こ こ で は 平 声 支 微 向 用 の 例
も含め、特殊例として挙げるにとどめたい。
3 脂 微
純j鳴の) f J 韻におけるj)旨微調韻の使用例は、同期を涼員りとしながらも、それぞ
れの分化の傾向も見えていて、事情はやや複雑である。
(1
)
路 独m
( 3
例)私i推葵遺く皐劉公幹髄詩其ー〉、! 推選悲く擬行路難其十二〉
(2) 微 独 用 ( 3例)
ゥ ゥ IセiZ
(3
)
指名致問用 ( 10例)j道表威飛依く蕪域賦〉、野飛i翠微衰違く観漏賦〉、衰違日開ド蹄く傷逝獄〉、
締悲衰追く代北風涼行〉、帰飛衣衰威機く詠双鷲詩英二〉、輝依錦違揮衣追
飛 主 主 く 呉 興 黄 浦 亭 演 中 部 別 詩 〉 、 遠 畿 蹄 機 関 輝 義 徽 違 飛 説 衰 誰 く 夢 野 郷
詩〉、表悲i嘩続く松柏篇〉、機略稀罪微違i能く秋タ詩〉、徽微帰推輝機衣く河
清頒〉
脂 微
i
可用の10例 に つ い て 見 る と 、 微 韻 の 字 を 主 と し な が ら 、 若 干 の 結 額 の 字が 混 在 す る 形 を 採 る の で あ る が 、 そ の 路 韻 の 字 を 取 り 出 す と 、
r
J
道、表、悲、追、
i
妻、義、設、 i雄、推J
の 諸 字 で あ り 、 そ れ ら は い ず れ も 脂 韻 の 中 で も 合a
I
I乎 で あ る と い ラ 共 通 性 を 持 つ 。 そ し て 王 力 氏 の 「 南 北 朝 詩 人 用 韻 考
J
によれば、脂競合iコ呼の中でも舌歯音にj嘉する「衰¥推、追、誰j などは、南北朝期
に あ っ て は 微 濃 の 一 部 に 位 誼 づ け ら れ て い た と さ れ る 例 。 こ れ ら の 諸 字 を 微
綴に属させることになると、飽照の) f J 韻では脂微室長: それぞれの独立性がかなり
i
寓くなってくる。また飽照のj宥韻では脂韻独用の例は必ずしも多くはなかったが、棺配のよ声
旨韻、去戸主主様にもそれぞれ独
A
の例を見ることができる。(4) 旨 独 用 ( 1例)
挟軌く贈顧墨響詩: 殺i )
(5) 至 独 用 ( 3
s
iU
)
利棄く代准南王其二〉、和j 位次轡草地娼棄く詠史詩〉、驚利備観轡器く河清
煩〉
脂 微
i
可 韻 の 字 に つ い て は 、 普 代 以 前 に あ っ て は 通 押 さ れ て い て 、 や が て 斉 梁期 以 降 に 明 瞭 に 分 化 し て 行 く こ と が す で に 知 ら れ て い る 。 そ う し た 中 に あ っ
て、飽照の用韻の状況を見ると、用組諜氏の『説営南北朝韻苦13之 演 変j にすで
に 指 摘 さ れ る と こ ろ で は あ る が 州 、 同 韻 分 化 の 傾 向 が 窺 わ れ 、 斉 梁
W
3
の 用 韻に 接 近 し て い る と 言 っ て よ い 。 な お 、 微 績 が 脂 韻 以 外 の 地 の 韻 と 混 用 さ れ る も
の、さらには去声歪韻が平芦之韻とキ13配 の 去 声 志 韻 と 混 用 さ れ る も の を 特 殊 な
例として次に掲げておく。
(6) 微 灰 問 照 ( 2 例)
o
f
限捜飛依蹄く舞鶴斌〉、禅衣! 帰飛i
盟
関
l揮く代自絹Z舞歌認其: ー〉. A
, ^ 小ノコ二 の ぐ ( ) ち 色 、1 フ
(7) 微 皆 灰 治
i
可用( 1例)♂ . ./!' A
排徐9懐関来挨蹄才猪莱翠退く代放歌行〉
•
.A
...
4.. 4. ..β(8) 歪 志 向 用 ( 1例)
次 地 異 棄 利 掘 稚 歪 く 冬
i
ヨ詩〉4 之
飽 照 の 用 韻 で は 、 之 韻 は ご く 特 殊 な 場 合 を 除 く と 、 す べ て 独 用 で あ る 。 こ の
ことは相配の関係にあるよ声止韻、去声志韻の場合でも変りはない。
(1) 之独用 ( 12例)
時蕊疑基総齢期く傷逝賦〉、総治治旗欺く紹古辞詩其二〉、諮! 翠疑之墓持期
詩 滋 統 時i韓く答客詩〉、疑投10枠
l
合 旗 思 滋 僻 持 期 く 送 従 弟 道 秀 知 詩 〉 、 時 期く松柏篇〉
(2) 止 独 用 ( 4例)
士A . 理喜巴止始起耳李く代門有車馬客行〉、土民: 里
1
8
耳配裏起似子市く登j麗山詩其二〉
(3) 忘 独 用 ( 1例)
治{ 直意置異忠〈擬行路難其九〉
特殊な例は、次の場合である。
(4) 之灰11台 間 用 ( 1例)
•
旗挨推基く蕪城賦〉
二・ 3
之
f
棋の字は、う苛梁期以降からは脂韻の字との通: j :f
P
が 目 立 っ て く る の で あ るが 、 他 j照の
m
韻にあってはまだその傾向は廷をえない。5 魚、
i
頃; 模魚 十 支 の
3i
損は、{ 抱! 1M
のm
韻 で はi
玄耳目なく: i ll i 押されている。(J) 虞 独
m
(]例)ェ セ[ャセャ
(2) 魚、虞
i
可m
( 1 ザ11)j舌疏渠告予竿! 徐須く代iき桁舞歌詞其二〉
(3) 虞 模
i
可 用 ( 3例)ぺ@
途挺狐] 趨く主主城賦〉、: 塗虞珠く河清頒〉
c>> . . ⑫/ ノ/ ノ
(4
)
f1J、虞模i
司 用 ( 5例)•
者
)
1
儒 審 査i
科嵐初疎く' 擬古詩其五〉、塗総留141J 初 衛 漁 茶j決 居 敷 論 徒 努 く 従 過. . ( , & ' ノ . . ,う@‘ " シ. 'ノ
ゥ QセQ
.
.
.
こ の こ と は 平 戸 の
fo
虞 模 韻 に 相 配 の 上 声 の 語 饗 姥 韻 、 去 声 の 御 遇 暮 韻 の 場 合も同様である。
( 5) 諾独
m
( 1例)j選旅く滅後詩〉
(6) 詰 援 問 用 (1ダイ1])
jセ j[1J 其一〉
(7) 語 姥j可 用 ( ] 例)
@
所濡: 楚渚翠立すく代樫歌行〉 @
(8
)
御独月J
( 1例)筋慮く! 詔葵j拭〉
(9) 遇組問
J
( Hi
5
U)く代別鶴操〉
(
1 0) 暮 独 用 ( 3 例)
@
セ
•
•
•
•
•
•
•
(
ll) 遇 幕 開 用 ( 3 例)
@
懐 路 霧 趣 顧 素 樹 過 く 還 者1)道中詩契; 三〉、素顔路慕懐誤菟く擬古詩其一〉
¥9 HセN ,"" (,
・
.
・
.
0・
・
この魚、虞模の3韻 に つ い て も 、 王 力 、 周 祖 諜 の 両 氏 に よ れ ば 、 斉 梁 期 以 降 、
魚、韻と虞模韻との分化が進むとされる。 fs自照の
m
韻 の 場 合 に は 、 全 体 と し て まだ そ の 分 化 は な い と 見 る の が 妥 当 で あ る が 、 去 声 の 韻 に 関 し て だ り は や や そ の
傾 向 が
J
J
' 1 われ始めていると言えそうである。6
斉皆灰I l台この斉皆灰日台の4韻 に つ い て は 、 王 カ 氏 の 「 南 北 朝 詩 人 用 韻 考j では、{ 抱照
が ! 司 用 し て い る と す る 制 。 と こ ろ が 飽 照 の 用 韻 の 具 体 例 を 仔 細 に 検 討 し て み
ると、必ずしもそうは言えないところがある。
(1) 斉 独 用 ( 1 例)
堤野く採菱歌其六〉
(2)
n
台 独 用 ( 1W
U
)
く擬行路難其十五〉
(3
)
斉 皆 同 席 ( 1例)。
i
謂懐く代准南王其二〉
(4) 皆11台 間 用 ( 1例)
境懐! 謁哀牽く松柏篇〉
ご d
^
(5
)
灰11合 同 舟 (1
例)• d
基 栽 来 災 苔 梅 灰 哉 く 代 挽 歌 〉
d [), d o
b
.・
.
^(6
)
皆 灰11台 同 用 ( 2例)三一 . t¥
排 衷 豪 擢 限 設 懐 く 野 鶏 斌 〉 、 懐 蜜 関 苔 栽 梅 盃 措 く 三iヨ詩〉
O
,
/
.
.
, " ケ( ' L¥/'; ! ¥^
• • •
SMHVI HWI TセHTI
がすべてである。また相配の韻についても、灰韻に相配の去声隊韻、I l 台識に相
配 の 去 声 代 韻 に 次 の 例 が 見 え る の み で あ る 。
(7) 代 独 用 ( 1例)
込
代載く蕪城斌〉
れ色
(8) 隊 代 間 用 ( 1例)
• ^
侃愛く代港南王其二〉
• u
こ れ ら を 見 る と 、 背 韻 が 他 の3 韻と混用されるのは、 (3) の 「 閥 、 懐
J
の ] 例の み で あ る 。 し か も こ の
f
関 」 に つ い て は 、 こ の 詩 を 採 録 す るf
五 台 新 詠J
では
f
関 」 に 作 っ て お り 、 も し 「 開J
で あ れ ば 、 こ れ は 始 韻 に 属 す る こ と に なる 。 し て み る と 、 飽 照 の 用 韻 に あ っ て は 、 斉 皆 灰 治 韻i可 用 の 根 拠 は か な り 不 確
か と い う べ き で あ り 、 こ れ ら の 韻 の 使 用 例 が 少 な い 中 で の 判 断 は 棺 当 に 困 難 で
は あ る け れ ど も 、 斉 韻 と 他 の
3
韻 と の 間 に は 区 別 が あ っ た と 見 る の も 不 可 能 では な い 。 そ し て 斉 梁 期 以 降 に は 実 際 に 斉 韻 が 他 の
3
韻 か ら 分 化 し て 行 く の で あって、用祖諜氏は前掲醤: において、
f
抱照のj有 韻 が 斉 梁 期 以 後 の 形 を 導 く 先 声 とQRP セ
7 真 露
ョ ヲAセ ゥ 飽! 照の j苦 韻 で 、 こ の 雨 韻 は 一 類 を な
し、 1=11で は 通 押 さ れ る が 、 同 じ
n
韻 尾 を 持 つ 文 欣 韻 と は ご く 稀 な 例 を 除 い て 混用されることはない。
(J) 真 独 用 (
4
W
U
)
神珍仁半身く野鶏賦〉、! 君子11J }.頁鹿仲ぐ際遠人詩〉
(2) 真諒同月j (1 0例)
! 事長親
r
lJI
凍治人態く代首里行〉、農業)
l
塵 人 新 因 春 く 代 少 年 時 至 衰 老 行 〉 、 巾。
親人身卒中i害珍躍! 宇i農! 凍春く翠古詩〉、長関津塵人親身春治辛く行楽歪城東
fノ
o
橋詩〉
真 誇 韻 と 文 欣 韻 と の 混 用 は 、 次 の 1例のみである。
(3
)
誇文欣! 印有( 1例)f
ュ
・
八
般鶏文雲牽く野鵠賦〉
1¥() • • . .
また一般には真誇韻と! 司
F
f : l とされる諜韻については、飽照の用韻では真言李韻と の 向 用 の 例 は な く 、 か え っ て 山 先 仙 韻 と 混 用 さ れ る も の が あ る 。
(4
)
漆 山 先1
lD
向 用 (1
例)... セ@ セ@ 11
漆JII年山浩淵鮮く河清頒〉
. . 置:
1
.
箇こ れ は 他 に 殆 ん ど 例 を 見 な い も の で あ る こ と か ら 、 偶 然 の 通 搾 と 考 え る ほ か
ない。
8
文 欣飽Hi '
d
のj有韻で、文j汝 韻 は 上 述 の ご と く に 真 喜 韻 と の 向 用 例 は7 - ( 3)
の ] 例 のみ で あ り 、 他 に も 元 魂 韻 と の 同 用 例 が
2
例見られるものの、原則としては雨量員間のみの通押と見て差し支えない。
(1) 文 独 用 ( 4例)
雲 分 間 華 文 く 白 藤U-J東望震津詩〉、 く紹古語字詩箕五〉
(2) 文 政 向 用 ( 2{3iiJ)
殿 勤 墳 雲 文 君 分 く 蕪 城 斌 〉 、 動 分 漬 葦 綜 開 く 還 都 道 中 詩 其 ー 〉
。
元魂韻との! 司用例は、次のごとくである。
(3
)
文 元 同 用 ( 1例)•
間軒く河、清頒〉
•
( 4) 文 元 魂 同 用 ( 1例)
.
.
.
分 間 混i接門村論く見費玉器者詩〉
A. . . . ... . .
9
元 魂 痕i場声韻のうち、 n韻 尾 で は 元 魂 痕 寒 桓il 出山先仙の9 韻 が 大 き な1 群をなす。
魚
包j穏 の 用 韻 で は 、 そ の う ち 冗 魂 痕 の
3
績 が ま と ま っ て1
韻 を な す の を 原 郎 と しな が ら も 、 寒 菰 側 鎖 と の 肉 用 、 ま た 山 先 制i韻 と の 悶
H
J
例 も 見 ら れ 、 さ ら に は よ述 の 文 欣 韻 と のj湾問例もあったO
(1) 冗独j羽 ( QQ SゥセI@
繁淀川富re く夜聴整詩〉
(2) 元魂! 司用( 1例)
) 京門く蕪城賦〉
(3) 元 魂 痕
i
司 用 ( 1例)・
誼 言 恩 源 塩 奔 温 存 論 門 豚 猿 怨
m
干魂〈代東武If今〉@ご( , () C;
寒 桓
l
f
出韻、またはi先仙韻との肉用例は、次のごとくである。(4) 元寒樫! 需用( 2例)
'
"
....iセ ゥ
(5
)
元 魂 痕 山 先1
1
1
1
1
司 用 ( 2 例)• i 信 心
ャZェZ ャセセ^ ゥ j Z
111 ・ 濁 り劃れど1()
次 に 掲 げ る の は 、 元 魂 痕 、 寒1琵
illm
、1
1
1
先 仙 の3
類 に わ た っ て 広 く 通 押 さ れ る例である。
(6) 元 寒11出先肉用( 1例)
h, x 11
難安言還; 思〈石
I
l
v
i
銘〉L
',
^
" 薗また元韻棺配の上声│況額、去声
J
顕韻にも、次の使用例がある。(7
)
院独用( 1
例) 遠挽く代東同行〉(8
)
願 換 問 用 ( 1例)飯断く代東門行〉
(8)の 換 韻 は 、 平 声 桓 韻 相 配 の 去 声 韻 で あ っ て 、 平 声 の 場 合 で い う な ら ば 先 の
(5)に栂当するものである。ちなみに、 (7)と(8)は
f
代 東 門 行J
に連続して見えるも の で 、 相 配 の 上 去 声 が 並 ぶ 形 を と る 。 こ れ と 同 様 の も の は 、 上 述 の
6
r
斉 皆灰11台 」 の 項 に も 見 え て お り 、 「 代 港 南 王 其 ニ
J
の「閤( 開) 懐J
と「侃愛J
がそ れ で あ る 。 相 配 の 韻 が 連 続 し て 並 ぶ の は 、 偶 然 の 可 能 性 も な く は な い が 、 あ
るいは飽照が意識して行った工夫であったかも知れない。
1
0
寒 桓 制寒 桓1H自の3韻 は 、 飽 照 の 用 韻 で は 、 広 く は 元 魂 痕 韻 ま た 山 先{Ill穣と結び、つき
ながらも、やはり 3韻内部でのまとまりが強い。
(1) 寒 独 用 ( 1 例)
鞍 竿 く 在 沖j州、! 輿張史君李居士連句〉
( 2) 13
独月3
( 1 例)撃をく幽蘭詩英一〉
(3)
寒
害
i
司 用 ( 4 例)難
存
η
干
?
γ
ザ
泳lo哨
2(
は
ω引4) 寒1制11制問iH
胴
問
月
泊
3
(ω2例) 0 心•
丹難安芸関く
n
菌故人馬子喬詩其五〉、還開寒顔難歎く擬行路難其十四〉(5)
寒
警
1
3
i
可 用 ( 2 例) . . .ャセ
寒担制3韻を越える肉用の例は、先に挙げた元韻との! 司用例9の(4)" また元
先韻との
i
司用例9の(6)の他、! ! 1m
韻と先韻との次のような向用例もある。(6
)
1
1
出 先 韻 ( 1例)•
^
守安す習志く詠粛史詩〉
また相配の上声韻には用例がなく、相配の去声韻には寒韻相配の翰韻、穏韻
相配の換韻、 11出韻相配の諌韻にまたいくつかの用例がある。
(7) 換 独 用 ( 1例)
館玩く蕪域賦〉
(8) 翰 換 問 用 ( 2 例)
皇漢詩
L
散く代[¥急騰行〉(9) 翰 換 諜 間 関 ( 2 例)
パ
.
難換腐岸嬰散弾く冬至詩〉、藤紘豆長岸館漫弾く苦雨詩〉
}
.
・ .
、
以上をまとめるならば、純照用韻における寒桓
1
1
出韻は、他の韻との肉用の例を若干含みながらも、 3 韻のまとまりがかなり強く、 1 類をなすと見て差し支
えない。
1
1
UJ 先1
1
1
1
山先仙の3 韻は、飽照の用韻ではまとまって1 類をなすものであるが、先の
元 魂 痕 韻 や 寒 相R日韻に比べると、はるかに使用例が多く、かつ他の韻と混用さ
れることの少ない類である。
(1) 山 独 用 ( 1例)
関山く採菱歌其四〉
(2) 山先
i
司 用 ( 3 例) 正づ肩天山折く蕪城賦〉、間懸山J腐く代別鶴操〉
(¥() 0
"
、
(3
)
先仙間用( 10例)0
・
、}
ノ
Q
d
n
h
u
r
l
; 樫絃天泉旋年く傷逝 j斌〉、{ 専前腕備然選投1;; く紹古僻詩其一一〉、如; 騒鮮年堅
.・
.
.
)
(
...
)
.
.
0 むらく詠白雪詩〉、然泉年銭天く擬行路難其五〉
・
・
っ
.
( !(4) uセ サ ェ (7例)
ん
-は
i前 折 絃 先 篇 玄 関 く 代 朗F H
ラ〉、泉j堅年山川i
煙J
真緊く擬古詰: 其I[g
)
、 泉 煙 年.
・ .
.
)
(
(
)
・
oc; . () (;絃 J11L i J 蓮前賢く擬青青! 凌上桔詩〉、天
1
1IJ淵 山 煙 泉i
習絃侍旋く白雲詩〉、年綿ん
.
-
(
n円
.
0 0・
・
(
)
.
賢111;邸主主{専問く和五丞詩〉
'
.
uセ Qid S W HTI Y - - ( 5)、10
- ( 6)
の わ ず か4
例 に し か 過 ぎ ず 、 そ れ ら は 偶 然 と 言 っ て よ い ほ ど の 特 殊 な 例 である。
また先韻相配の去声援韻、イ
I
D
韻 棺 配 の 去 声 線 棋 に も 、 次 の よ う な 用 例 が ある。
(5) 議独用( l 例)
ィセ
( 6) 線 独 用 ( 1例)
-E
話傍嬰1
'
蕗く河湾頒〉.
・
.
・
(7) 議 線 開 用 ( 3例)
に@
響亭撃墜管く尺獲賦〉、! 綜殿宴幾何遍く侍宴覆舟山詩其: ー〉
.
.
...
. ・
・
.
.
相留己の去声器、をも含めて、山先
1
!D
の3
韻 は き わ め て ま と ま り の 強 いl 類 と 言えるD
1
2
薪 宵 肴 豪陰 声 韻 の 粛 宵 肴 豪 の4韻 が1類 を な す こ と は 、 子 氏 の
f
謀 説 六 朝 韻 譜j 以来、一般に認識されているところである口一方、 j苛祖諜氏は前掲書において、
斉 梁 期 以 後 、 粛 宵 韻 が 肴 豪 韻 と 分 か れ て 、 独 立 し た 1部 を な す よ う に な る 先 駆
ザ が 晋 宋 期 の 詩 人 に 克 ら れ る と し 、 純 照 を そ の 中 の 一 人 に 挙 げ て い る 作160 と
こ ろ が 飽 照 詩 文 の 用 韻 に は こ の
4
韻 の 使 用 例 が き わ め て 少 な く 、 わ ず か 次 の2
伊j しかない。
(1) 宵 独 用 ( 1例)
僑審く擬行路難其十三〉
(2) 宵 侯 問 用 ( 1例)
iコ
朝鈴蓉く擬行路難其十〉
この中、 (2)の 侯 韻 と の 同 用 例 に つ い て は 、 王 カ 氏 の 「 南 北 朝 詩 人 用 韻 考
J
においてl持に例外の扱いがなされるものである討170
そして棺配の韻については、
7
蓄積相配の上声小韻、豪韻栂配の上声i時韻に次のような例カまある。
(3) 11告独 j有 (4例)
@
QQ \jQ スjゥセ■
.
,
( 1,
.
電器 . ( 1,
.
,
.
.
( 1 .(4) 小
ll#
il
l:iJ m
( 1 例)•
夫少抱保革藻老討道く傷逝l ! 武〉
唱
骨
・
,
.
( 1 ( 1,
.
( 1J:.
述 の ご と く に j奇 氏 が 判 断 さ れ た に つ い て は 、 恐 ら く は 平 声 宵 韻 の 独 用 例 、あ る い は 上 声11告韻の独
m
例 が 根 拠 に な っ て い る の で あ ろ う が 、 い か ん せ ん こ れら の わ ず 、 か な 例 か ら そ の こ と を 導 き 出 す の は 困 難 で あ っ て 、 こ こ は 粛 宵 肴 豪 の
4 を ] 類 と す る の が よ り 妥 当 な 見 方 で あ る と 忠 わ れ る 。
13
歌 文 麻l
塗 声 韻 の 歌 j と麻3
韻 に つ い て は 、 こ の3
韻 の み がl
類 を な し て い て 、 他 の 韻QQセ
(1) 歌 独 用 (
4
例)何 多 歌 く 蕪 城j拭〉、何多羅: く擬古詩其七〉
(2) 麻 独 用 ( 3 例)
@
輩麻く採菱歌; 呉三〉、斜華花霞く薬室銘〉
・
・
・
・
.
( 1(3) 歌 文 j可 用 ( 5
1
:9
']
)
波長
m
荷波過歌{ 可く芙蓉賦〉、! 可河m
多 禾 案 伺 く 代 空 域 雀 〉 、 多 過 羅 河 波 く 準i
均彰沢稽詩〉(4) 歌 麻 向 用 ( 5OU)
•
多 輩 袴
i
護く舞鶴斌〉、多歌華く夜器、妓詩其二〉、多嵯花く梅花落〉( 1
,
.
,
.
,
.
・
・
(5) 歌 文 麻
i
可j寄 付 例 )•
歌河イ
p
J
輩霞砲稜1 m ユ緩和多過く代堂上歌行〉、波阿羅河華芽霞家歌多何く還.
,
,
.
,
.
.
品
.
, .
,
( 1,
.
者)1至 三 山 望 石 頭 城 詩 〉 、 和 波 利 羅 還 牙 家 く 河 清 頒 〉
Hセ@ r_;
・
・
・
飽! 照の用韻で¥歌文麻の3韻が! 司用であることに全く問題はない。
1
4
楊 法! 揚戸韻 n g韻 尾 の
i
湯 麿 韻 は 、 飽 照 の 用 韻 で は き わ め て 使 用 例 の 多 い も の で ある が 、 こ れ も
2
韻 で1
類 を な し て 、 他 の 韻 と 混 用 さ れ る こ と は な い 。(1) 1場独j有 (4例)
! 場プゴ強望梁霜揚張良蕩く代出目前北門行〉、揚た18床嘗良く薬輩銘〉
(2)
I
場j者向用( l71YiJ)梁 傷 昌 亡 光 方 芳 く
1
視 漏 賦 〉 、 陽 方 縄 場 行 楊 長 忙 忘 傷 按 光 く 代 建 居 行 〉 、 央装 堂 梁 行 涼 張 袋 光 鱗 く 秋 夜 詩 英 一 〉 、 埠 先 箱 塘 望 装 張 王 梁 紫 光 章 狂 く 建 除
詩〉、光霜j場箱梁獄11傷く登翻車! 腕詩〉、陽光郷演
J
日?堂芳箱撃: く喜雨詩〉り のり
また
i
場韻相自己の上声養様、} 膏韻キEHMBのJ
ニ声蕩i
績 に つ い て も 、 次 のi
可m
例 が ある。
(3) 養 蕩 肉 用 ( 2例)
杖 壌 倣 掌 南 映 放N: 19 く! 顎葵J t 武〉、
l
場唐の両韻も{ 抱照の j脊韻では確実に1
5
庚 耕 清 青く望水詩〉
! 場唐韻と向じ
i
湯 声 韻 ngt 讃 尾 を 持 つj東 耕 清 背 の4査員については、これも純n
告の 用 韻 に あ っ て は 陽 暦 韻 と 並 ん で 使 用 例 の 多 い も の で あ る が 、 そ の 押 韻 状 況 は
次の通りである。
(1) 庚 独 用 ( 2例)
jセ jA
(2) 庚 清i可 用 ( 6 例)
唱 島
明城傾紫溝〈芙蓉! 拭〉、平柴11高情生誠く擬古詩其八〉、生成嬰情く松柏篇〉
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
(3) 庚 青i司 用 ( 1例)
生経く代准荷主其ー〉
r
、
(4) 耕青│司用( 1 例)
庭護嬰守<擬行路難其ートー〉
(5) 庚 清 青 湾 問 ( 12例)
. .e!.
紫 行 城 庭 馬 驚 寧 〈 野 鵠
l
拭〉、域情平楽生霊緩行庭齢馨腿く代昇天行〉、行冥. NセNB@ . . [¥.6
^
6
.
C-. ハ弗j旋¥f鳥京情零盈く従! 臨海王
J
二 剤 初 新 諸 詩 〉 、 齢 生 設 精 磐 城 域 征 名 く 擬 行i
賂. . L¥
,
.
1¥・
・
・
・
.・
・
Q| Q jセ
. . . t ¥ . ぁ . .
^
• •
唱静く秋日示休上人詩〉
相 配 の 去 声 韻 に つ い て も 、 庚 韻 相 配 の 映 韻 、 耕 韻 棺 舵 の 諦 韻 、 清 韻 相 配 の 勤
韻 、 青 韻 相 配 の 径 韻 に 次 の よ う な 用 伊j がある。
(6) 1決 動 向 用 ( 2例)
•
盛 詠j変性咲く河清頒〉
・@
(7) 映 勤 径 開 用 ( 1 例)
. L¥
裂定芸評性盛命! 決聴詠正く園葵賦〉
• ^ • • • ^ .
(8
)
映 誇 勤 径 同 舟 ( 1例)c
・
a命 遊 性 運 病 定 盛 敬 く 輿 伍 侍 郎
lJU
詩〉っ
・
6 L¥ .こ れ ら を 総 合 的 に 見 る と 、 庚 耕 清 青 の4 韻 は 、 相 配 の 去 声 韻 を も 含 め て 、 た
が い に 通 押 し て お り 、 他 の 韻 と 混 用 さ れ る こ と は な い か ら 、 原 則 と し て ー ま と
まりの類と見て悲し支えない。王力、 j習祖諜の両氏がすて、に指摘するように、
斉梁期には背践を他の3 韻から独立させる詩人が現われている。しかし飽照の
場合には、まだその傾向は窺えない。
1
6
蒸 登n g・韻尾の! 場声韻である蒸援の雨績については、子氏の
n
菓貌六朝韻譜j 以 来、それぞれが独用とされるものである。そして飽照の用韻では、蒸韻の開例が
2
例見られるだけで、登織の用例はない。(1
)
蒸 独 用 (2
例)織
p
J< 伯興j勝!ll1i
l
l
l
凌 界 栴 議x
普く代i当頭l吟〉、澄j勝凝興《輿謝尚書荘三連句〉ヲNセ A P
1
7
尤侯胸! 塗声織の尤侯翻の3 韻は、{ 抱照のj羽i讃において{ 訟の韻の字との混用はなく、
まとまりを持った] 類と見なされる。
(1
)
尤独用 ( 5 例)く擬
i
玩公夜中不能採詩〉、兵不自抽く松柏篇〉(2) 侯 独 用 ( 1例)
楼鈎く観月城西門! 醇中詩〉
(3) 尤 侯
i
可
用
( 10例)頭鈎雛遊丘丹、
I
t
手侯流求憂く代結客少年場行〉、頭遊留ナトi
楼: 流収鶴柔憂丘く代陽春登剤LU行〉、掛
i
留 儒 逸 騎 流 浮 秋 遊 憂 く 海 楊 選 者31道 中 詩 〉 、 流 瑳 休 遊留制
i
廠浮州柔号事球猷く蒜山被始興王命作詩〉また尤韻棺配の上声有韻、侯韻相配のよ声j享韻にも次のような用例がある。
(4} 有 独 用 ( 1例)
手酒有〈代雑朝飛〉
(5) 有 j手 間 用 ( 1例) 九偶く字謎其三〉
これちを見ると、相配の上声韻も含めて、尤韻の諸字の中に若干の侯韻の字
が混在するだけで、幽韻の字は見当らない。このことはもともと侯韻、とりわ
け酪韻には所属の字が少ないことに因るのであって、尤侯幽の3 韻が貌晋南北
朝を通じて 1 類をなしていることは、やはり子氏の
f
漢委主六朝韻譜j 以来、一般に認識されるところであり、飽摘の場合も向様であると考えられる。
1
8
侵m韻尾の
l
場声韻、侵韻は、 くの独用であって、例外はない。( 1) QZ ェ HQ PセI
深
i
塗 林 尋 音 心 金 沈 く 日 落 望f
工婚葡丞詩〉、音心林i
徐深禽沈ヰ尋く和{ 専大農輿僚故別詩〉、
i
桧深海i吟禽心任琴くi J4行見狐桐詩〉相配の上声寝韻にも、次の用例がある。
( ω
幻
)
2 寝独用く春詠詩討削Mヴ羽訓( )
f
侵受韻が他の韻と決して
i
通道押することのない独月用3
であることに、全く問題はなしJo
19 車
侵韻と同じ111韻毘を持つ軍談盤添成街! 厳凡の諸韻は、もともと所
d
高の字が少ないこともあり、{ 抱! 慣の照韻で、はわずか車独用の次の1例のみである。
(1
)
車 独j有? 輩南く採菱歌其ー〉
ここではこの慨を挙げるだけにとどめる0
20 犀沃燭覚
ォゥ [ T ヲNセ j] i ]j
通押の1類をなす。
(1) 屋 独 用 (
4
例)ャャセ _ ェ
服肉睦築熟宿覆く観! 軍人繋植詩〉、六宿く字謎詩其三〉
(2) 屋 党 間 用 ( 2例)
白 へ
竹逝く河清頒〉、! 箆股木断谷く石l汎銘〉
;:" 6
(3
)
屋 沃 燭 間 用 ( 1例)ご@
木促鵠制1録玉曲く紹古辞詩其三〉
・
つ
・
・
・
(4) 屋燭質問用 ( 2例)
• ^
警官官す守木く芙蓉j試〉、件費促玉廓木突撰く観漏賦〉
1:> . . . .
(2)、(3)、(4)の諸
o
u
を見ると、{ 抱績の j有韻にあっては屋沃燭覚の4韻 が 通 押 であったと判断できる。ただ、斉梁期以降には麗韻を独帰する詩人が現れるので
あるが、飽照にも犀韻の独用例が 4 例 見 ら れ 、 し か も そ れ ら が す べ て 詩 の 用 韻
であることが注告される。このことは、詩の場合は屋韻のみの厳密な形で、そ
して斌と文の場合は他の韻をも含めたやや緩やかな形でという、用韻上の区別
のあったことを想像させる。
2
1
薬 鐸やはりk韻 尾 の 入 声 韻 で あ る 薬 鐸 の 同 韻 は 、 j抱照のj有 韻 で は 通 抑 制 司j有であ る。
(1
)
鐸 独 朋 (2
例)作事く尺蜂賦〉、築関く中興歌其二〉
c ; t) 0; )
(2) 薬 問 問 ( l 1WU)
! 持
容
灼
i
努耀く舞鶴賦〉、専雀努警静客導要約繰く秋夜詩其二〉、事作! 概エセャセケ
jil
Zセ
ゥ
j
J薬鐸悶韻の! 可用は、全く問題がない。
22 階 麦 昔 錫
k
韻 尾 入 声i
鎮のlis
麦 昔 錫 の4
韻 は 、 次 の よ う な 通 押 の 状 況 で あ る 。(1) 悶 苦 肉 用 (
2
1
Y
U
)
-i
域苦役劇く松柏篇〉•
•
(2) 昔 錫 悶 用 ( 1 例)
•
協錦盛! 笠く石IPJt 銘〉
^
^
•
^
(3) [ 思麦昔問問( 2 例)
パ
.
獲役立2迫議宅│塙く松柏篇〉
・
つ
(4) 1百[ 昔錫! 司 j有 ( 1例)
.
[ ¥寂
辺
j劇溺石戴逆く仏影煩〉^
・
・
ハ
A(5) I 百麦苦錫!1 可用( 3 例)
二
、
.
役 客 白 石 タ 悶 翻 戚 く 遊 忠 賦 〉 、 策 歴 漣 石 滴 壁 積 白 客 惜 く 過 銅 山 掘 黄 精 詩 〉 、
.
.
.
(
¥ ・ ・
Aゐ
.
.
縛 宅 策 法 控 石 脈 碧 客 籍 境 観 吊 〈 従 登 香 櫨 峯 詩 〉
.
. 八
. ム
・
ハ
これらを見ると、 I 自愛昔錫の 4 韻 は 、 全 く 区 別 な く 通 押 さ れ て お り 、 同 用 と1
判断できる。なお職鎖、との混用の例があるので、次に掲げておく。
(6) 間 変 昔 職 問 用 ( 1例)
ご' ) . ....
劇 タ 白 益 客 精 赤 隙 獲 泊l 歩く代貧賎愁苦行〉
.
.
.
.
.....
23 職 徳
k韻 毘 入 声 韻 のJ{i哉 韻 と 徳 韻 と は 、 前 掲
2
2
ー(6
)
の 昭 麦 昔 韻 と 職 韻 と の 混 用 の 例を
i
捻 く と 、 そ れ ぞ れ が 独 用 で あ っ て 、 通 押 さ れ る こ と は な い 。(1) 1践 独 用 ( 7 例)
i
L1J蝕 逼 患 織 力 糠 く 遊 思 賦 〉 、 翼 力 逼 直 臆 色 く 代 維 朝 飛 〉 、 灰 色 翼 運 食 カ 患く
i
=r 京口玉三竹毘詩〉、食恵、翼息側織葺く擬行路難其六〉(2) 徳j虫用 (1 例)
鹿北黒挟徳、く河清螺〉
セ[QS ゥ
用 で あ る こ と か ら し で も 、 蒸 登 韻 そ れ ぞ れ の 独 用 が 判 断 で き ょ う 。
24
質術相it
韻 尾 を 持 つ 入 声 韻 のiや で も 、 飽l
l
,活の j有韻では質術相nの3
韻 がl つ の ま と まりを持つ。
(1) 質
5
虫剤 (5O
i
IJ)密質悉く舞鶴賦〉、 く松柏篇〉、逸密溢隻討;2:lP-
1
筆く飛白書: 勢銘〉(2) 質 術 開 用 ( 4例)
1 : l fi l ー秩疾失逸く観漏賦〉、室密疾iヨ質溢傑述暴く従j束中虫)1遊j翠山石室詩〉
。
(3) 質 櫛i司用( 1例)
•
疾ー悲日く登雲l湯九里j家詩〉
@
この3韻は飽照の用例は少ないけれども、 (2)、(3)からしてまとまりを持った
l 類と克てよい。
25
丹波この
t
韻尾の入声韻は、純照の用韻では次のような使用例を持つ。(1
)
丹波向用 ( 3例)護越月髪詩歌く芙蓉賦〉、容丹愛敬越髪く! 駒場守 j武詩〉
ただしこの丹波の荷韻は、同じ
t
韻尾を持つ物韻や j誇醇韻とも広く逓押する。(2
)
月 波 物 同 用 (1
例): 一@
月越髭歓関浅く観漏賦〉
•
(3) 月波屑辞! 弓用( 2例)
!:o, ...
閥髪月場越禁歌骨浪噺詩2,) く代陸平原君子有所思行〉、雪別護槌滅結節絶
そこ勺 h ι ι A
^
¥
/
晶く表後渚詩〉
入声月設韻は、原員l J として
2
韻でまとまった1
類、をなしながらも、また他の韻との広い通押例も見られるものである。
26
馬 辞t
韻尾の入声韻の中でも、暦辞の両韻はまたーまとまりをなす類である。(1
)
辞独用( 1
例) 絶滅く蕪城賦〉(2) 屑 醇
i
司 用 ( 5例)務潔悦替、〈芙蓉賦〉、轍結悦別列絶く代悲哉行〉、滅訣節説く松柏篇〉
。
0 0 0 つ 〉27
易 末やはり
t
韻 尾 の 入 声 韻 で あ る 喝 未 韻 に は 、 次 の よ う なi
可用例がある。(1) 場 末 向 舟 ( 2例)
関連く呉歌其二〉、違龍村関
i
詩葛く紹古僻詩其七〉なお
t
韻 憶 の 入 声 織 に は 、 他 に 迄 、 勲 、 錨 の 諸 韻 が あ る が 、 そ れ ら の 績 に 飽Aセ
2
8
セp韻! 宅の入声韻縮織は、平声侵韻 tこ
1
;1
3
配の韻であるが、{ 受韻がそうであったように、絹韻もまた独J i 3 である。
(1
)
絹 独 用 ( 3例)濃入急泣取立集〈代自桁よ舞歌詞其三〉、集急立泊: く摂劉公幹鶴詩英二〉
p韻 尾 の 入 声 韻 に も 、 他 に 合 、 議 、 葉 、 1'皆 、 治 、 押 、 業 、 乏 の 諸 韻 が あ る
が、それらいずれにも飽照の用例はない。
I
I
I
結 語子海長氏の{ 漢数; 六朝韻譜
J
を初めとしてヨミカ氏の[ 南北朝詩人用韻考」、用 組 諜 氏 の [ 貌 晋 南 北 朝 韻 舞 之 演 変j も み な 、 南 朝 宋 と 斉 と の 問 に 韻 部 の 変 遷
のよで大きな変化があったとすることで意見が一致している。{ 砲! 璃は宋代に生
き た 詩 人 で あ る の だ が 、 そ の 用 韻 の 状 況 を 見 る と 、 あ る も の は 貌 晋 期 の 形 を そ
の ま ま 継 承 し て い た り 、 ま た あ る も の は 斉 以 降 の 変 化 を 先 取 り し た り し て い
て 、 な か な か に 複 雑 で あ る 。 た と え ば 、 路 之 の 両 韻 が そ れ ぞ れ 独 立 し て 用 い ら
れ る の は 前 者 の 例 で あ り 、 斉 韻 が 皆 灰
u
台 韻 か ら の 分 離 の 兆 し を 見 せ て い る の は後 者 の 1jfjである。
そこで飽! 開閉鎖の韻部の枠組みを
f
広 韻j の 韻 部 に よ っ て 示 す な ら ば 、 ほ ぽ次のごとくにまとめることができる。
(1) 蔚冬鍾江、 (2) 支使、 (3) 脂徴、 (4) 之、 (5) 魚、虞模、 (6) 斉、 (7) 皆灰始、 (8) 真語、
(9)文j改、 (10)元魂痕、 (11) 寒桓illW,. 12()山先仙、 (13)粛宵肴豪、 (14)歌文麻、 (15)陽唐、
( 助成耕清育、 (17) 蒸、 (18) 尤侯幽、( 1
9
)1:受、 (20) 車、 (21 )屋沃燭覚、 (22) 薬鍔、む3)陥 麦 昔錫、制)職、 (25)徳、 (26)質術櫛、( 扮月浪、 (28)魔静、伽) 易末、 (3功績
な お こ こ に 示 し た の は 、 飽 く ま で も 飽 照 用 韻 の 例 が あ る も の に 限 つ て の こ と
で あ っ て 、 当 然 な が ら w広 韻j の 韻 部 を 網 羅 し て い な い 。 た と え ば 登 韻 な ど
は、相配の入声韻徳韻が] 蹴韻と分かれていることからすると、 1つの独立した
韻と考えられるが、 j苦 例 が な い た め 省 略 し て い る こ と を 断 っ て お か ね ば な ら な
し
'0
そ し て 飽 照 の 用 韻 で こ こ に 示 し た 枠 組 み を 越 え た 広 い 範 樹 で の 通 押 の 例 を 見
る と 、 詩 以 外 の 斌 や 文 の 用 韻 例 が 多 い こ と に 気 付 か さ れ る 。 た と え ば4 - ( 4)の
之 灰 治 問 用 例 の 「 蕪 城 賦
J
、7 - - ( 3)の 諺 文 欣 向 用 の 「 野 鵡 賦J
、7- ( 4)擦IJJ 先仙肉 用 の 「 河 清 煩
J
、9 - ( 6)の 元 寒1勝1 目司j羽の「石llvi銘 j 、2
5
ー(2
)
の 丹 波 物 問mの,-観漏賦j と い っ た 具 合 で あ る 。 ま た
2
0
屋 沃 燭 覚 の 項 に 示 し た よ う に 、 犀 韻 の独 用 例 は す べ て 詩 の 用 韻 で あ り 、 麗 沃 燭 党 の
4
韻 の 通 押 例 は ほ と ん ど が 賦 や 文で あ る こ と も 同 様 の こ と を 窺 わ せ る も の と 言 っ て よ い 。 詩 の 場 合 は 厳 密 に 、 そ
れ 以 外 の 賦 や 文 の 場 合 は や や 緩 や か に と い う 用 韻 上 の ア 解 の あ っ た こ と が 想 像
できるのである。
以 上 は 、 飽 照 詩 文 の 用 韻 を 調 査 し て 得 ら れ た こ と の 基 礎 的 な 報 告 で あ る 。
個 々 の 事 象 に 関 わ る 音 韻 史 上 の 諸 問 題 、 さ ら に は 最 後 に 付 言 し た 詩 と 賦 、 文 と
の 用 韻 の 若 に つ い て も 、 他 の 詩 人 の 場 合 は ど う で あ る か な ど 〈 な お 検 討 を 加 え
る べ き こ と が 残 っ て い る 。 そ れ ら に つ い て は ま た あ ら た め て 考 察 し た い と 思
フ。
j主
注
1
中華r : p書局、1936
年。汲古書院影1:1万板、1970
年、また暴怒{
1
苧校改、1
im
奇人民出版社、
1989
年がある。j主
2
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清華学報J
1
1
-
3
、1
9
3
6
年or
龍品並離斎文集j 第一冊、中華護局、1
9
8
0
年、また
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主力文集j 第十八巻、w
東教育出版社、1
9
9
1
年にも収められる。注
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漢委主晋r-m北朝韻部演変研究j 第一l
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号、科学出版社、1958
年。f
説雷雨北朝韻部之演変j 、東大密書公司、
1996
年。注4 広韻j 韻部の枠組に準拠して、独用また肉用のすべての形を掲げる。異体的な
用例については、紙i憶の都合上、省略したものがあるO
注 5 _セ
注6 王 力 文 集
1
23頁。注7 この詩は毛校宋本にはないが、通行本によって補う。
注8 注3前掲書
1
0
頁。注9
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文選j 李醤注本、{ 抱照集通行本は、非に{ ノ1::る。ただし、毛校宋本の他、{ 文選j五回注本も排に作り、
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楽府詩集j のi
主にも「ーに封I= V こ作る」とある。注目通行本は悲に作るが、悲は脂韻に属し、胞照の用韻にはJJ旨之! 司用の例は他にな
しユ。
注 目 前 掲 書25頁。
注12 前掲書12頁。
注目通行本は畿に作る。紫は清韻に属し、翻! との通押は考えにくい。
注
1
4
毛校宋本は九に作るが、通行本に従う。QU ャ ャQ w A ゥ QQQセj iu
は、 10- ( 6)以外例はない。 注16 前 掲 醤20頁。
a 17
前 掲 醤2
8
頁。注 目 毛 校 宋 本 は 楊 に
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るが、通行本に従う。 注1
9
毛校宋本は散に作るが、通行本に従う。注20 この詩は毛校宋本にないが、通行本によって補う。 注21 毛校宋本は鶴に作るが、通行本に従う。
注22 毛校宋本は穫に作るが、通行本に従う。
注23 毛校宋本のみならず、諸本みな繁に作るが、繁は平声江韻に属する字であって疑
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注24 毛校宋本、さらにはこの詩を収める
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文選j も妹に作る。そして子氏f
漢 貌 六 朝 韻 譜j は、これを来韻とするQ しかしここではf
楽府詩集j が噺に作るのに従った。( 筑波大学〕