別紙 1: 東北大学宛て告発に関する「調査報告書」の事実誤認
東北大学宛て 2013 年 1 ~ 3 月期告発を報じた河北新報記事
(2013年3月22日付け)東北大学は 2016 年 12 月 16 日付けでこの告発
案件に関する調査委員会報告を公表し、3論
文の写真の類似被写体(製作試料)は全て同
一であり、記事の指摘が正しかったことを認
めた。これは井上氏らも認めたという。
しかし井上氏らは、「似た形状の試料であるため, JIM97 論文作
成時に写真を取り違えて使った」と弁明し、調査委員会はこの弁
明を鵜呑み(「錯誤による取り違え」、東北大 2013 ガイドライン、
除外事項 ( ⑦ ) )にし、「不正は無かった」と結論した。この3つの
写真を見る限り、製作試料は「似た形状」である。しかしそれは、
写真の被写体が同一だからであって、 97 年論文で井上氏らが
実際に作製したという試料が、本当に 96 年論文の製作試料と似
ていたかは別問題である。実は全く似ていない(次ページ)!
調査委員会は、長さ100mmの試料外観写真と、長さが半分の50mmしかない試 料外観写真を、「形状が似ていたから間違って使ってしまった」という説明について、 誰もが理解できる科学的合理性を明示すべきである。
図1 JIM97論文のII 実験方法に記載 された試料作製に関する部分
ここでは、「円柱状合金試料は、直径5mm、長 さ100mmのキャビティ(空洞部分)をもつ銅鋳 型に鋳造して作製した」 と記載されているにす ぎない。
JIM96年論文の実験方法欄を見ると、鋳型の太
さは多様(1-10mm)だが、長さは50mmなので、 この場合、最長50mmのものしかできない。
直 径 5mm 長 さ50mm 直 径 5mm
長 さ 100mm
形状が似ている? とても信じがたい
直径5mm 、長さ 100mmのキャビ
テ ィ に 長 さ 50mm 相 当 分の 溶融 合金 を 鋳 造 した 場合 、頭 の バ リ 部分 は生 じな い は ずである
JIM97論文では最長100mmである。長さが2倍も違えば、両者の違いは一目瞭然で
ある。写真を取り違えることは考え難い(図2,参照)。 JIM97論文の銅製鋳型に鋳込 み穴の長さ(100㎜)の半分だけ溶融合金を鋳込めば、直径5㎜、長さ約50mmの試 料が得られる。しかし、この場合、図3に示す通り、頭部の膨らみ部がない、つまり釘 状試料ではなく、単純な円柱状試料が得られる。したがって、頭部の形状が異なるの で、やはり写真を取り違えることは考え難い。