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環境計測・分析技術

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Academic year: 2018

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(1)

環 境 計 測 ・ 分 析 技 術 に 関 す る技 術 動 向 調 査

平成13928

技 術 調 査 課

1 . 背 景

1 - 1   地 球 環 境 問 題

人間の生産活動の飛躍的な増大により地球環境の変化が顕在化した結果、地球環境容 量や自浄能力は有限であるという事実がようやく理解されはじめてきた。現在、①地球 温暖化 ②オゾン層の破壊 ③酸性雨 ④熱帯林の減少 ⑤砂漠化 ⑥開発途上国の公 害問題 ⑦野生生物種の減少 ⑧海洋汚染 ⑨有害廃棄物の越境移動が主たる地球環境 問題として取り上げられている。これらの問題に適切に対応するためには環境保全の観 点からモニタリング、測定を正確に行う環境計測 ・分析技術が重要となっている。

第1図は種々の汚染物質が周囲環境に排出され、その結果地球環境問題が引き起こさ れる因果関係を模式的に示したものである。

土 壌 汚 染 ダイオキシン

重金属

水 質 汚 染 水 質 汚 濁

窒 素

リ ン

富 栄 養 化 温暖化

森 林 枯 死 SO

光合成 酸性雨

ハ ゙ テ ゙キュレート アルデヒド

発 ガ ン 物 質 大 気 汚 染

SO NO 硫 黄

硫 酸

オキシダント 光化学スモッグ

VOC

出 典:( 社 ) 日 本 分 析 機 器 工 業 会 第 1 図   汚 染 物 質 の 排 出 と 地 球 環 境 問 題

(2)

1 - 2   環 境 問 題 の 変 遷

1970年代初頭は公害問題、1970 年 代 の 後 半 か ら80 年代初めにかけては非常に微量な

有害物質に長期間晒されることによる影響も問題となった。1990年代に入って行政的な 措置が採られ、1993年には水質汚濁防止法の改正、1996 年には大気汚染防止法の大幅 な改正が行われた。環境問題の変遷と主要環境計測・分析法の最初に報告された年を第 2表に示す。

第 2 表   環 境 問 題 の 変 遷 と 主 要 県 境 計 測 ・ 分 析 法 の 開 発 史

1990 年代までに起こっていたことがガン等の個体レベルでの影響であったのに対し、

現在問題となっているダイオキシン、環境ホルモンは種の生存に関する影響という非常 に長期的な問題となってきている。過去20年余りの間に有害化学物質対策にはあまり手 が打たれなかったため、ずっと蓄積されてきたものが今後少しずつ現れてくることも考 えられる。 これから実態を含めた調査と測定を使ったモニタリングの技法等の整備が必 要であり、新化学物質への対応も含め分析技術の一層の進展と展開が期待される。

ガスクロマトグラフィー                     

原 子 吸 光 法

ガスクロマトグラフー質 量 分 析 法

G C - M S

誘 導 結 合 プラズマ(I C P)発 光 分 析 法

I C P - A E S

I C P -質 量 分 析 法 (I C P - M S) 環 境 問 題

     

                          

     

沈黙の春(R.カーソン):農薬問題 公害問題

発癌性物質 に長期間晒される ことによる問題

ダ イ オ キ シ ン 類 、 環 境 ホ ル モ ン

水 質 汚 濁 防 止 法 の 改 正 大 気 汚 染 防 止 法 の 改 正

固体レベルでの影響

種の保存への影響

主 要 環 境 計 測・ 分 析 法

1 9 4 0

1 9 5 0

1 9 6 0

1 9 7 0

1 9 8 0

1 9 9 0

2 0 0 0

(3)

2 . 現 状 分 析

2 - 1   環 境 規 制 動 向

下 表 に 示 し た よ う に 、 日 米 欧 と も 技 術 が 規 制 を リ ー ド す る 、 す な わ ち 現 時 点 で の 技 術 で 達 成 可 能 な 範 囲 の 基 準 と す る 形 に な っ て い る 。 こ れ は 、 現 時 点 で の 技 術 で は 達 成 で き な い よ う な 厳 し い 規 制 と な ら な い よ う 、 自 国 の 産 業 の 発 展 と の バ ラ ン ス を と っ た ものである。第3表に日米欧の環境基準設定に対する考え方を示す。

第 3 表   日 米 欧 の 環 境 基 準 の 考 え 方

環 境 基 準 の 考 え 方

米国 大気清浄化改正法 (The 1990 Clean Air Act Amendments)に記述されている 最 大 限 達 成 可 能 な 制 御 技 術 (Maximum Achievable Control Technology MACT

これは、現時点で技術的に達成可能な範囲の基準とすることである。1963 年 の大気清浄化法(The Clean Air Act)の規制が余りに厳しく、技術的に対応の で き な い 生 産 設 備 の 操 業 停 止 に よ り 部 分 的 に 米 国 産 業 が 衰 退 し た こ と を 考 慮 している。

欧州 原 則 と し て 既 存 技 術 に 関 わ り 無 く 科 学 的 に 証 明 さ れ た 人 体 あ る い は 環 境 へ の 影響

ただしECが定める環境基準は各国の規制より優先されるため、厳しい基準 を詳細に定めることはしない。実質的にはECは枠組みのみを定め、加盟各国 は 各 国 の 方 針 す な わ ち 各 国 の 産 業 を 衰 退 さ せ な い 範 囲 で の 基 準 が 定 め ら れ る 。 ECが定める環境基準は意図的に不十分なものとなっている。

日本 技 術 的 に 達 成 可 能 な 範 囲

以下に日本の主な環境関係法令を示す。

土 壌 汚 染 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 大 気 の 汚 染 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 改 正 指 定 物 質 抑 制 基 準

有 害 大 気 汚 染 物 質 モ ニ タ リ ン グ 指 針 に つ い て 地 下 水 の 水 質 汚 濁 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 土 壌 汚 染 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 改 正

地 下 水 の 水 質 汚 濁 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 改 正 有 害 大 気 汚 染 物 質 モ ニ タ リ ン グ 指 針 に つ い て 改 正 環 境 基 本 法 改 正

大 気 汚 染 防 止 法 改 正 水 質 汚 濁 防 止 法 改 正

ダ イ オ キ シ ン 類 対 策 特 別 措 置 法 水 質 汚 濁 に 係 る 環 境 基 準 に つ い て 1991.8.23

1996.10.25 1997.2.6 1997.2.12 1997.3.13 1998.4.24 1999.2.22 1999.3.31 1999.7.16 1999.7.16 1999.7.16 1999.7.16 2000.3.29

年 月 日 関     係     法     令

(4)

2 - 2   日 米 欧 市 場 動 向

日米欧ラボ用分析機器 ( 現 場 か ら サ ン プ リ ン グ し た 汚 染 物 質 を 輸 送 し て 分 析 室 で 分 析するための機器)と環境 ( 公 害 ) 用 分 析 機 器( 汚 染 現 場 に 備 え ら れ た 機 器 ) の 市 場 規模は、米国約3300億円、欧州約 3200億円、日本約1800億円で、米国と欧州はほ ぼ同じ市場規模、日本はその約半分である。第4 表 に 日 米 欧 市 場 規 模 と 貿 易 収 支 の ま とめを示す。

第 4 表   日 米 欧 市 場 規 模

第5図に示したように欧州ではドイツがその市場の約2/3を占める。国民総生産あ る い は 人 口 当 た り の 市 場 規 模 で は ド イ ツ が 世 界 一 で あ る 。 ド イ ツ 市 場 の 大 き い 理 由 は 2 つあり、1つは、東西ドイツの統一(199010 月)後、西側の厳しい環境基準が東側 に 適 用 さ れ 、 多 く の 地 区 の 汚 染 が 指 摘 さ れ た こ と 、 も う 1 つ は 、 罰 則 規 定 付 き の 自 主 的 な協定を結んだことである。これらの結果、基準 ・ 自 主 協 定 を 守 り つ つ 産 業 を 維 持 す る ために測定が必須となり、大きな市場となっている。

 英国とイタリアがEU 市場の約 20%と8%で、残りの国 (オランダ、フランス、フ ィンランド、スペイン等)のシェアはほんのわずかである。

国 内 市 場 国 内 生 産 高 輸 入 高 輸 出 高

米 国    (US$ 1000s)       (   億 円   )

2,732,720 3,334

3,091,297 3771

317,069 387

675,646 824 欧 州    (US$ 1000s)

      (   億 円   )

2,587,235 3,156

3,318,968 4,049

2,058,257 2,511

2,789,990 3,404

日 本   (   億 円   ) 1,829 1,836 519 526

第 5 図   欧 州 各 国 の 市 場 規 模  (US$1000s

Germany United Italy Netherlands France Finland Spain Belgium Ireland Greece Portugal Kingdom

ユ ー ロ ス タ ッ ト (European Statistical OfficeEurostat

(5)

2 - 3   技 術 俯 瞰 図

①   主 な 有 害 汚 染 物 質 と そ の 測 定 法

主な有害汚染物質とその測定法を第6表に示す。ICP 発光分析法、ICP 質 量 分 析 法 、 GC-MS法、原子吸光法が大部分の有害汚染物質の分析に使われる現在主流の分析法であ ることが分かる。

第 6 表   主 な 有 害 汚 染 物 質 と そ の 測 定 法

対 象 物 質 名 測 定 分 析 法

浮 遊 粒 子 状 物 質 二 酸 化 窒 素 ベ ン ゼ ン

ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン

ダ イ オ キ シ ン 類 ア ク リ ロ ニ ト リ ル ク ロ ロ ホ ル ム ジ ク ロ ロ エ タ ン ホ ル ム ア ル デ ヒ ド ア セ ト ア ル デ ヒ ド 砒 素

ろ 過 捕 集 に よ る 重 量 濃 度 測 定 法

ベ ー タ 線 吸 収 法 、 光 散 乱 法 、 圧 電 天 秤 法 ザ ル ツ マ ン 試 薬 を 用 い る 吸 光 光 度 法 オ ゾ ン を 用 い る 化 学 発 光 法

キ ャ ニ ス タ ー 採 取G C - M S 捕 集 管 採 取 ― 溶 中 抽 出G C - M S 捕 集 管 採 取 ― 加 熱 脱 着G C - M S 捕 集 管 採 取 ― 溶 媒 抽 出 GC-ECD キ ャ ニ ス タ ー 採 取 GC-FID G C - M S

容 器 採 取G C - M S

固 体 吸 着 ― 溶 媒 抽 出G C - M S 固 体 吸 着 ― 加 熱 脱 着G C - M S

固 相 捕 集 ―HPLC法 、 固 相 捕 集 ―GC 固 相 捕 集 ―G C - M S 法、 溶 液 吸 着 ―HPLC 水 素 化 物 発 生原 子 吸 光 法

水 素 化 物 発 生I C P 発 光 分 析 法 I C P 質 量 分 析 法

カ ド ミ ウ ム 、 鉛 全 シ ア ン

六 価 ク ロ ム

砒 素

ア ル キ ル 水 銀 シ マ ジ ン ダ イ オ キ シ ン 類

フ レ ー ム原 子 吸 光 法、 電 気 加 熱原 子 吸 光 法 I C P 発 光 分 析 法、I C P 質 量 分 析 法

ピ リ ジ ン ー ピ ラ ゾ ロ ン 吸 光 光 度 法 ピ リ ジ ン カ ル ボ ン 酸 ピ ラ ゾ ロ ン 吸 光 法 イ オ ン 電 極 法

ジ フ ェ ニ ル カ ル バ ジ ド 吸 光 光 度 法

フ レ ー ム原 子 吸 光 法、電 気 加 熱原 子 吸 光 法 I C P 発 光 分 析 法、ICP質 量 分 析 法

吸 光 光 度 法 、 水 素 化 物 発 生原 子 吸 光 法 水 素 化 物 発 生 ICP発 光 分 析 法 、原 子 吸 光 法 GC法 及 び 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー原 子 吸 光 法 GC法 及 び 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー原 子 吸 光 法 溶 媒 又 は 固 層 抽 出 GC-MS

溶 媒 又 は 固 層 抽 出 GC GC-MS

ポ リ 塩 化 ビ フ ェ ニ ー ル ビ ス フ ェ ノ ー ル A 2,4-ジクロロフェノール ペンタクロロフェノール トリブチルスズ化 合 物 トリフェニールスズ化 合 物

GC-MS

ト リ メ チ ル シ リ ル 誘 導 体 化G C - M S ト リ メ チ ル シ リ ル 誘 導 体 化G C - M S o-フ タ ル ア ル デ ヒ ド 誘 導 体 化HPLC プ ロ ピ ル 誘 導 体 化 GC

プ ロ ピ ル 誘 導 体 化G C - M S

(6)

②   主 要 測 定・ 分 析 法

原 子 吸 光 法 :炎(フレーム)や 黒 鉛 炉 に 高 電 流 を 流 す こ と で 生 じ る 高 温 下 で 、 試 料 中 の 目的元素を 原子化 し、その原子中で元素固有の共鳴線が吸収される現象を利用して 目的元素の濃度を測定 する方法である。

I C P( 結 合 誘 導 型 プ ラ ズ マ ) 発 光 分 析:プ ラ ズ マ 光 源 で 試 料 原 子 を 発 光 さ せ 、 こ の 発

光を分光して得られる原子スペクトルの波長 ・強度から元素の種類・ 量 を 分 析 す る ものである。

I C P 質 量 分 析 法(I C P - M Sイオン源にICP発光分析法と同じ原理のプラズマ発生機

構を用いて、プラズマ中に生成したイオンを質量分析計で検出する方法である。感 度 は 非 常 に 高 く 、 原 子 吸 光 法 や プ ラ ズ マ 発 光 分 光 法 と 比 べ て 検 出 下 限 を 2 ∼ 3 桁 低 くできる。多元素迅速分析が可能であり、定性分析が容易でまた同位体分析ができ るなど優れた特徴を持っているので、超微量分析の分野で威力を発揮する。

ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 質 量 分 析(G C - M S 法 ):有機化合物 (特に低分子量成分)の

定性・定量を目的とした分析で、ガスクロマトグラフィー(GC)と質量分析(MS)を 結 合した複合分析法である。GC で分離した単一成分についてMS スペクトルを測定 することにより成分の定性を行い、 MSにより検出されたイオンの強度により定量 を行う。ダイオキシンの分析にはこのガスクロマトグラフィー質量分析計が用いら れる。

主要測定・分析法の濃度測定範囲は第7図の通りで、微量成分の分析にはICP-MSと GC-MSが使われる。

  第 7 図   主 要 測 定 ・ 分 析 法 の 濃 度 測 定 範 囲

容 積 法 ・ 重 量 法

フ レ ー ム 原 子 吸 光 法 ICP発 光 分 析 法

フレームレス 原 子 吸 光 法 ICP-MS

100% 1000ppm 1ppm 1ppb 1ppt 濃       度

GC-MS

(7)

③   環 境 計 測・ 分 析 技 術 俯 瞰 図

測 定 精 度 の 向 上

( 前 処 理 ) 作 業 能 率 の 向 上

(自動化、迅速化)

有 機 系

GC LC   GC- MS   LC-

MS

無 機 系

吸 光 光 度 法 原 子 吸 光 法 ICP発 光 法 化 学 発 光 法 イオン電 極 法

G C - M S LC-MS

リモートセンシング

検 出 下 限 の 向 上 (超微量成分検出) 新化学物質の同定

(新測定法の開発)

生 態 系 へ の 影 響 大 気 汚 染

水 質 汚 濁

土 壌 汚 染

BHCDDT PCP、 砒 酸 塩 、 ベ ン ゾ エ ピ ン 、 な ど

有 機 り ん 化 合 物 、 ハ ロ ゲ ン 及 び ハ ロ ゲ ン 化 合 物など

硫 化 水 素 、 硫 黄 酸 化 物 、 二 硫 化 炭 素、アンモニア、 窒 素 ・ 臭 素 ・ 弗 素 化 合 物 、ホスゲ ン、塩 素 化 合 物 な

金 属

金 属 化 合 物 、 非 金 属 化 合 物、 ミスト

PH、 浮 遊 物 質 、 溶 存 酸 素 、 燐

金 属 、 シ ア ン 化 物 、 塩 化 物 、 燐 酸 、弗 素 化 合 物 、 硫化物、亜硫酸、 硫 酸 、 沃 化 物 、 臭化物、総水銀、 燐など

鉛 及 び 化 合 物 、 銅 及 び 化 合 物 、 カドミウム及 び 化 合 物 、 六 価 ク ロ ム 化 合 物 、 総 水 銀など

環 境 ホ ル モ ン ダイオキシン類 の生態系への影響

酸 性 雨 オ ゾ ン 層 破 壊

地 球 温 暖 化

バイオセンサー 原 子 吸 光 法

I C P - M S 吸 光 光 度 法

炭 化 水 素 、 ア ル コ ー ル 類 、 ア ル デ ヒ ド 類 、 ケ ト ン 類 、 硫 黄 化 合 物 、 窒 素 化 合 物 、 ハ ロ ゲ ン 及 び ハ ロ ゲ ン 化 合 物 な

ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 、フ ェ ノ ー ル 、 ク レ ゾ ー ル 類 、 芳 香 族 ニ ト ロ 化 合物、アミン類、 ア ル キ ル 水 銀 化 合 物 、 有 機 燐 化 合 物

第 8 図   環 境 計 測 ・ 分 析 技 術 俯 瞰 図

(8)

2 - 4   技 術 競 争 力 比 較

ダイオキシン類の分析に代表されるような超微量成分濃度の分析や環境計測 ・ 分 析 機器に対する産業界の期待を踏まえ、調査した論文の情報を基に 分析限界、分析精度、 分析対象範囲、迅速化、小型化の観点から日 米 欧 の 競 争 力 を 比 較 し た 。

全 般 的 に は 、 日 本 は 分 析 精 度 向 上 に 関 す る 研 究 が 注 目 さ れ 、 米 欧 は 複 数 の 分 析 法 の 結 合 に よ る 分 析 限 界・ 分 析 対 象 の 拡 大 に 関 す る 研 究 が 注 目 さ れ る が 、 第 9 表 に 示 し た 各 対 象 技 術 の 競 争 軸 ご と の 優 位 国 を 見 る と 米 国 5 、 日 本 3 、 欧 州 2 と な り 、 総 合 的 に は米国がやや優位と判断される。

なお調査期間は1980年以降、論文調査範囲は以下の通りである。

国内: 環 境 化 学 、 資 源 と 環 境 、 人 間 と 環 境 、 分 析 化 学 、 環 境 と 測 定 技 術 、 水 環 境 学 会誌

海 外 :International Union of Pure and Applied ChemistryThe Pittsburgh ConferenceThe Science of Total EnvironmentJournal of Analytical Atomic SpectrometryAtomic SpectroscopyApplied Spectroscopy

第 9 表   各 競 争 軸 の 技 術 優 位 国 と 優 位 点

対 象 技 術 競 争 軸 優 位 国 優 位 点

分 析 限 界 米 国 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ / マ イ ク ロ 波 誘 導 プ ラ ズ マ 二 重 励 起 源 に よ り 濃 度 0.53 ppb40 ppbの 検 出 限 界 を 達 成

I C P

分 析 対 象 範 囲

欧 州 分 析 波 長 の 拡 大 に よ り こ れ ま で ICP発 光 分 析 で 測 定 が で き な か っ た 塩 素 、 臭 素 等 の 分 析 技 術 を 確 立

分 析 精 度 日 本 新 ス プ レ ー チ ャ ン バ ー に よ る 干 渉 除 去 や レ ー ザ ー 照 射 エ ネ ル ギ ー パ タ ー ン の 変 更 に よ る 信 号 安 定 化 等 に よ る 分 析 精 度 向 上

I C P - M S

分 析 対 象 範 囲

米 国 キ ャ ピ ラ リ ー 電 気 泳 動 と ダ ブ ル フ ォ ー カ シ ン グ セ ク タ ー フ ィ ー ル ド ICP-MSあ る い は ICP-飛 行 時 間 型 質 量 分 析 と の 結 合 、 粒 度 分 布 解 析 ICP-MSと の 結 合 等 に よ る 測 定 対 象 範 囲 の 拡 大

分 析 精 度 日 本 長 期 モ ニ タ リ ン グ で 検 出 限 界 と し て 0.01-0.05 ppb

小 型 化 米 国 可 搬 型 野 外 用 GC/MS( 重 さ 約25 Kg、 大 き さ は 約 0.23 m2) を 開 発 G C - M S

迅 速 化 米 国 極 性 の あ る 化 学 物 質 を 安 定 な 誘 導 体 に し て 標 準 試 料 を 用 い ず に 分 析 分 析 精 度 日 本 マ グ ネ シ ウ ム/タ ン グ ス テ ン (Mg/W) の 試 料 セ ル を 溶 液 試 料 中 の 電

解 濃 縮 に 応 用 し ビ ス マ ス (Bi) を 濃 縮 す る と と も に マ ト リ ッ ク ス を 除 去 し 分 析 精 度 を 向 上

米 国 エ シ ェ ル 分 光 器 と セ グ メ ン テ ッ ド ア レ イ CCD( 電 荷 結 合 素 子 : ChargeCoupledDevice) 検 出 器 を 用 い る こ と に よ り 黒 鉛 炉 原 子 吸 光 法 の 検 出 限 界 を 大 幅 に 改 善

原 子 吸 光

分 析 限 界

欧 州 原 子 化 と 気 化 の 過 程 を 別 々 に す る こ と に よ り 、 検 量 線 範 囲 を 3 か ら 6 倍 に 拡 大

(9)

2 - 5   特 許 競 争 力

①   構 成 技 術 別 特 許 出 願 件 数 比 較

下図に代表的な 4 分析法の構成技術別に日米欧出願人による全世界における 1989

1998年の10年間の特許出願件数をまとめて示す。

4 分 析 法 と も に 日 本 出 願 人 の 出 願 件 数 が 米 欧 出 願 人 の そ れ を 凌 駕 し て お り 、 件 数 だ け で は 圧 倒 的 に 日 本 が 優 位 に あ る と い え る 。 日 本 と 欧 米 で は 出 願 傾 向 か ら 見 る と 注 力 分 野 に 差 が あ る 。 す な わ ち 、 日 本 で は 試 料 導 入 や プ ラ ズ マ ト ー チ に 関 す る 出 願 が か な り の 比 率 を 占 め て い る の に 対 し 、 欧 米 で は 装 置 全 般 に 関 す る 出 願 比 率 が 高 い 傾 向 が 見 て 取 れ る。

第 1 0 図   主 要 分 析 法 の 構 成 技 術 別 日 米 欧 出 願 件 数 比 較

1 3

34 7 34 96

21

3 6 4 9 10

9 3

3 1 2

3 3 5

7 14 8 48 31 35 52

2 3 3

3 2 30 15 7 11

4 1 4 1 1

2 2 2

4 4 13

12 78 4 5

2 3 3

2

3 2

17 4

8 3

I C P

/ M S G C

/ M S

I C P 発 光 原 子 吸 光 法

欧 州 米 国 日 本

脚 注:       部 は 日 米 欧 競 争 力 評 価 の 主 要 構 成 分 野 を 示 す 。DIALOG/WPI使 用 光・ 御・

欧 州 米 国 日 本

欧 州 米 国 日 本

欧 州 米 国 日 本

(10)

②   特 許 競 争 力 比 較

全般的に、日本は分析精度や迅速化に力点をおいた特許が注目されている一方で、米欧 は、分解能 ( 分 析 限 界 ) や 分 析 対 象 範 囲 さ ら に は 小 型 化 を 目 指 し た 特 許 が 注 目 さ れ て い る。特許技術内容からは、ICP 発光では日欧が米国より優位に立っている一方で、ICP- MSGC-MSでは米国の先進性が目立っている。

第 1 1 表   特 許 内 容 分 析 か ら 見 た 主 要 分 析 技 術 ご と の 日 米 欧 技 術 力 比 較

対 象 技 術 競 争 軸 優 位 国 技 術 優 位 性 評 価 内 容 出 願 人

日 本 水 素 化 物 発 生 装 置 セ イ コ ー 電 子 工 業 分 析 対 象

範 囲 欧 州 分 析 用 気 体 を 直 接 フ ゚ ラ ス ゙ マ 内 に 導 入 AIR LIQUIDE 日 本 超 音 波 ネ フ ラ イ サ ゙ に よ る 導 入 制 御 島 津 製 作 所 分 析 精 度

米 国 垂 直 回 転 式 ス フ ゚ レ ー チ ャ ン ハ ゙ ー INDIANA UNIV. 欧 州 液 体 ・ 固 体 試 料 の 加 熱 気 化 導 入 装 置 ARL APPLIED RE..

LAB2 ICP

迅 速 化

米 国 固 体 試 料 の 直 接 分 析 USA

迅 速 化 米 国 加 熱 溶 液 試 料 中 に キ ャ リ ア カ ゙ ス を 吹 き 込 み ICPに 導 入 し 残 分 は 吸 収 液 に 吸 収 除 去

BANDCAP TECH. CORP

欧 州 フ ゚ ラ ス ゙ マ カ ゙ ス に メ ー キ ャ ッ フ ゚ カ ゙ ス を 混 合 さ せ た り ス キ マ ー コ ー ン 部 構 造 を 最 適 化 す る こ と に よ り 高 温 化 の 際 の コ ー ン 汚 れ 防 止

AIR LIQUIDE お よ び FISONS3

欧 州 イ オ ン レ ン ス ゙ や イ オ ン ヒ ゙ ー ム カ ゙ イ ト ゙ 構 造 カ ゙ ス 導 入 方 式 を 最 適 化

MICROMASS LTD ICP-MS

分 析 精 度

日 本 4 重 極 型 MS 横 河 電 機 ク ゙ ル ー フ ゚2

日 本 ノ イ ス ゙ ヒ ゚ ー ク 検 出 感 度 を 予 め 測 定 し て 対 象 成 分 の 最 適 ヒ ゚ ー ク 検 出 感 度 を 短 時 間 に 設 定 お よ び 高 温 環 境 下 で 安 定 使 用 可 能 な 試 料 容 器 導 入 回 収 具

島 津 製 作 所 お よ び フ ロ ン テ イ ア ・ ラ ホ ゙

欧 州 GC で の 分 離 燃 焼 チ ャ ン ハ ゙ ー で の 酸 化 後 に 希 釈 手 段 設 置 、 ス ヘ ゚ ク ト ル ハ ゚ タ ー ン 認 識

FINNEGAN MAT GmbH 2

迅 速 化

米 国 時 間 圧 縮 型 GC、 同 位 体 存 在 比 監 視 LECO CORP2 米 国 イ オ ン ト ラ ッ フ ゚ 型 GC 用 カ ゙ ス 流 量 制 御 シ ス テ ム 、 極

微 量 気 体 検 出 用GC-MS装 置

VARIAN ASSO2 分 析 限 界

日 本 赤 外 線 ・ 低 エ ネ ル キ ゙ ー 電 子 線 併 用 島 津 製 作 所 GC-MS

小 型 化 米 国 物 質 感 知 分 析 を オ ン サ イ ト で 可 能 と す る 可 搬 GC-MS分 析 装 置

VIKING INST.

分 析 対 象 範 囲

欧 州 還 元 気 化 時 に 分 光 吸 収 補 正 方 法 お よ び 半 導 体 を 利 用 し た 光 学 検 出 シ ス テ ム 等

BODENWERK

PERKIN-ELMER 3

原子吸光

分 析 精 度 日 本 黒 鉛 炉 発 光 制 御 法 日 立 製 作 所

(11)

③   特 許 か ら 見 た 技 術 発 展 状 況

一例としてICP-MS法の特許から見た技術発展状況を第12図に示す。

I CP- MS 法の特許は、基本的に I CP と MS の結合方法・多段真空系の円錐オリフィスの 改良・光量の自動制御 ・プラズマトーチ部の改良 ・MS 部の四重極誘導体に分類される。 I CP と MSの結合に関する特許は、古くは 1975 年 3 月出願の US4023398 に遡る。本特 許は、I CP と MS を結合するインターフェイス部の多段真空排気方法および装置に関す るものであり、カナダ ・ ト ロ ン ト 大 学 の 分 析 研 究 の 成 果 が 長 文 で 詳 細 に 説 明 さ れ て い る。真空排気用プローブ円錐オリフィスに関する特許は、1983 年 1 月出願の EP- 112004、 マススペクトル光量の自動制御に関する特許は、1985 年 7 月出願の特開昭 62- 64043 に遡る。結合方法と円錐オリフィスは I CP- MS のポイントであるが、この両者では欧米 の特許が先行しその後日本が改良特許を出願する構図となっている。

第 1 2 図   特 許 か ら 見 たICP-MSの 技 術 発 展 状 況

結 合 方 法 US4023398 US4328420 特表平11-500568

超音波スキーマコーン

US4121099 US4746794

1975-3    1977-4    1980-6       1986-10     1994-11

US4963736 特開平10-188879 イオン収 束レンズ 1989-11     1999-6

円 錐 オリフィス EP-112004 US4760253 特開平 11-183388

有 害 ガ ス 拡 散 防 止

特 許2724416 磁 気セクター方式 1983-1     1987-11     1988-9

1988-6

自 動 制 御

特開昭62-64043 制 御

特開平10-97838 マルチポールガイド 1985-7       1996-10

プラズマトーチ

特 許3040495 ガ ス の 高 温 化 1990-1

四 重 極 誘 導 体 特開平08-193978

イ オ ン 導 入 の 最 適 化 1994-9

特開平10-223174 四 重 極 誘 導 体 1997-2

Toronto Univ. Group MDS

MDS VG Inst.Group

Vandgap Tech.Corp Micromass LTD

Fisons PLC

横河グループ

Air Liquide SA

Fisons PLC

横 河 電 機

(12)

④   特 許 競 争 力 比 較

- 1  件 数 補 正 に よ る 出 願 件 数 比 較

2000 年 版 特 許 庁 年 次 報 告 書 に よ れ ば 1997 年 実 績 で 日 米 欧 出 願 件 数 比 は ほ ぼ 3.8:1.0:1.6 である。この比率が産業全分野の競争力均等レベルを表わす平均的出願件数 比であると仮定して環境計測・分析関連特許出願件数を補正すると第13図が得られる。

- 2  注 目 特 許 出 願 件 数 比 較

特 許 内 容 分 析 に よ り 抽 出 さ れ た 注 目 特 許 の 件 数 比 較 を す る と 第 1 4 図 が 得 ら れ る 。 原 子 吸 光 で は 米 国 、GC-MSで は 欧 州 、ICP-MSで は 米 国 か ら の 注 目 特 許 が ほ と ん ど 見 ら れ な い 。

0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 100%

分 析 対 象 範 囲 ( 84/ 23) 分 析 精 度 ( 78/ 31) 迅 速 化 ( 90/ 40) 分 析 限 界 ( 7/ 4) 分 析 精 度 ( 78/ 31) 分 析 限 界 ( 39/ 11) 分 析 対 象 範 囲 ( 15/ 5) 迅 速 化 ( 56/ 16) 分 析 限 界 ( 31/ 14) 迅 速 化 ( 59/ 19) 小 型 化 ( 1/ 1) 分 析 精 度 ( 62/ 22) 分 析 対 象 範 囲 ( 30/ 13) 分 析 限 界 ( 52/ 19)

ICP発光ICP-MSGC-MS原子吸光

出 願 件 数 構 成 比

日 本 米 国 欧 州

第 1 3 図   代 表 的4 分 析 法 の 競 争 軸 別 の 日 米 欧 出 願 人 に よ る 特 許 出 願 件 数 の 比 較

0% 20% 40% 60% 80% 100%

分 析 対 象 範 囲 (2 ) 分 析 精 度 (2 ) 迅 速 化 (3 ) 分 析 限 界 (0 ) 分 析 精 度 (5 ) 分 析 限 界 (1 ) 分 析 対 象 範 囲 (0 ) 迅 速 化 (1 ) 分 析 限 界 (3 ) 迅 速 化 (6 ) 小 型 化 (1 ) 分 析 精 度 (1 ) 分 析 対 象 範 囲 (3 ) 分 析 限 界 (0 )

ICP発光ICP-MSGC-MS原子吸光

注 目 特 許 件 数 の 構 成 比 率

日 本 米 国 欧 州

第 1 4 図   代 表 的4 分 析 法 の 競 争 軸 別 の 日 米 欧 出 願 人 に よ る 注 目 特 許 件 数 の 比 較 図 中 括 弧 内 数 値 :( 延 出 願 実 件 数 / 補 正 後 件 数 )

図 中 括 弧 内 数 値 : 注 目 特 許 件 数

(13)

- 3  特 許 競 争 力 比 較

件 数 補 正 に よ る 出 願 件 数 比 較 と 注 目 特 許 出 願 件 数 比 較 そ れ ぞ れ で 得 ら れ た 日 米 欧 比 率 を掛 け 合 わ せ 、 日 米 欧 特 許 競 争 力 比 較 を 行 っ た 。 こ の 方 式 に よ り 、 特 許 件 数 と 特 許 の 技 術 的 特 長 を 総 合 的 に 評 価 す る こ と が で き る 。

特 許 出 願 か ら 見 た 値 米 欧 競 争 力 を 纏 め る と 以 下 の よ う に な る 。

(1) ICP発 光 法 :

① 分 析 精 度 、 分 析 対 象 範 囲 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 日 本 が 優 位 で あ り 、

② 迅 速 化 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 米 国 、 欧 州 が 優 位 で あ る 。

(2)ICP-MS 法 :

① 分 析 精 度 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 日 本 が 優 位 で あ り 、

② 分 析 限 界 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 欧 州 が 優 位 で あ り 、

③ 迅 速 化 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 米 国 が 優 位 で あ る 。

( 3 ) 原 子 吸 光 法 :

①分析精度を競争軸として評価すると、日本が優位であり、   ② 分 析 対 象 範 囲 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 欧 州 が 優 位 で あ る 。

(4)GC-MS法 :

① 迅 速 化 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 日 本 が 優 位 で あ り 、         ② 分 析 限 界 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 米 国 が 優 位 で あ り 、

③ 小 型 化 を 競 争 軸 と し て 評 価 す る と 、 米 国 が 優 位 で あ る 。 第 1 5 図   特 許 か ら 見 た 日 米 欧 競 争 力 比 較

0% 20% 40% 60% 80% 100%

分析対象範囲 分析精度 迅速化 分析限界 分析精度 分析限界 分析対象範囲 迅速化 分析限界 迅速化 小型化 分析精度 分析対象範囲 分析限界

ICP発光ICP-MSGC-MS原子吸光

特許競争力

日本 米国 欧州

(14)

3 . 日 本 が 取 り 組 む べ き 課 題

3 - 1   産 業 競 争 力

  技 術 競 争 力 、 特 許 競 争 力 と こ れ ら を 取 り 巻 く 市 場 等 情 勢 が 総 合 的 に 産 業 競 争 力 を 支 配 す る 。 技 術 競 争 力 で は 、 日 本 は 分 析 精 度 向 上 に 関 す る 研 究 が 注 目 さ れ 米 欧 は 複 数 の 分 析 法の結合による分析限界・ 分 析 対 象 の 拡 大 に 関 す る 研 究 が 注 目 さ れ る が 、 総 合 的 に は 米 国がやや優位と判断される。一方特許競争力では 、 日 本 は 分 析 精 度 向 上 に 関 し て 強 み が あり、米欧は分析対象範囲の拡大 ・迅速化・ 小 型 化 に 関 し て 日 本 と 同 等 か や や 優 位 に あ るが、 総合的には日本は米欧に対しやや優位にあると判断される。

  こ れ ら 技 術 競 争 力 と 特 許 競 争 力 を 纏 め る と 第 1 6 表 が 得 ら れ る 。 優 位 と な っ て い る 競 争 軸 は 米 国 9 、 日 本 7 、 欧 州 5 で 、 総 合 的 に は 米 国 が 優 位 に あ り 、 次 い で 日 本 、 欧 州 の 順となっていることが分かる。

第 1 6 表   各 競 争 軸 と 技 術 競 争 力 ・ 特 許 競 争 力 に お け る 優 位 国 優 位 国

対 象 技 術 競 争 軸

技 術 競 争 力 特 許 競 争 力

分 析 対 象 範 囲 欧 州

分 析 精 度 日 本

分 析 限 界 米 国

ICP

迅 速 化 米 国、 欧 州

分 析 精 度 日 本 日 本

分 析 対 象 範 囲 米 国

分 析 限 界 欧 州

ICP-MS

迅 速 化 米 国

分 析 精 度 日 本

迅 速 化 米 国 日 本

小 型 化 米 国 米 国

GC-MS

分 析 限 界 米 国

分 析 精 度 日 本 日 本

分 析 対 象 範 囲 欧 州

原 子 吸 光

分 析 限 界 米 国、 欧 州

(15)

3 - 2   日 本 が 取 り 組 む べ き 課 題

①   今 後 日 本 が 検 討 す べ き 研 究 テ ー マ

環 境 計 測 ・ 分 析 技 術 は 現 時 点 で は 米 国 が や や 優 位 と 考 え ら れ る も の の 、 こ の 技 術 は 1960年代以前に基礎技術が報告されている、すなわち成熟した技術であり、日米欧の技

術 力 に 本 質 的 な 差 は な い と 考 え ら れ る 。 今 後 日 本 は 日 本 の 得 意 と す る 分 野 、 例 え ば 基 本 技術の展開 ・ 用 途 に 合 わ せ た 機 器 の 改 良・ シ ス テ ム の 総 合 化 等 に 注 力 し 、 欧 米 に 対 す る 優位性を確立すべきである。

こ の 観 点 か ら 第 1 6 表 に 示 し た 主 要 分 析 技 術 の 競 争 軸 ご と の 優 位 国 を 基 に 、 第 1 7 表 に今後日本が検討すべき研究テーマを 整理した。

第 1 7 表   今 後 日 本 が 検 討 す べ き 研 究 テ ー マ

対 象 技 術 競 争 軸 優 位 国 日 本 が 検 討 す べ き テ ー マ

分 析 対 象 範 囲 欧 州

分 析 精 度 日 本

分 析 限 界 米 国

ICP

迅 速 化 米 国 、 欧 州

分 析 波 長 範 囲 の 拡 大 に よ る 測 定 範 囲 の 拡 大

分 析 精 度 日 本

分 析 対 象 範 囲 米 国

分 析 限 界 欧 州

ICP-MS

迅 速 化 米 国

他 の 測 定 法 と の 結 合 に よ る 測 定 対 象 範 囲 の 拡 大

分 析 精 度 日 本

迅 速 化 日 本 、 米 国

小 型 化 米 国

GC-MS

分 析 限 界 米 国

小 型 ・ 可 搬 型 GC-MS 超 微 量 成 分 の 迅 速 分 析

分 析 精 度 日 本

分 析 対 象 範 囲 欧 州 原 子 吸 光

分 析 限 界 米 国 、 欧 州

シ ス テ ム 構 成 の 最 適 化 に よ る 分 析 限 界 の 拡 大

(16)

②   日 本 が 注 力 す べ き 技 術 開 発 の 方 向

産業界の環境計測 ・ 分 析 機 器 へ の 期 待 は 、 基 本 的 に 計 測・分析機器の精度・ 分 析 限 界 の向上と言う分析技術本来の目的の他に、多成分同時測定 ・ 連 続 化・自動化 ・ 一 つ の 分 析系での分析対象範囲の拡大・ 簡 易 測 定 と い っ た 現 実 面 で の 課 題 も 大 き い 。 日 本 で は こ れ ら 現 実 面 で の 検 討 が 遅 れ て お り 、 今 後 こ の 方 向 で の 技 術 開 発 が 望 ま れ る 。 具 体 的 な 取 り組むべき課題を第18表に示す。

第 1 8 表   今 後 日 本 が 取 り 組 む べ き 課 題

- 1  小 型 分 析 装 置

近 年 来 小 型 分 析 装 置 が 話 題 と な っ て き て い る が 、 こ れ が 実 現 で き れ ば 社 会 に 非 常 に 大 きなインパクトを与える。分析装置が小型ないしは超小型になればイ ン ラ イ ン 分 析 や オ ンサイト分析に用いられ、 時間的 ・ 空 間 的 濃 度 変 化 の 多 く の 情 報 を 入 手 す る こ と が 可 能 となる。利 用 分 野 が 飛 躍 的 に 広 が り 、 コ ス ト が 下 が り 、 産 業 ・ 社 会・ 市 民 生 活 に 大 き な 波 及 効 果 が 期 待 で き る で あ ろ う 。 し か し 、 第 1 9 図 に 示 し た 小 型 分 析 装 置 に 関 す る 日 米 欧 の 出 願 動 向 に 明 ら か な よ う に 、 出 願 し て い る の は 米 欧 で 日 本 か ら の 出 願 は な く 、 本 来 強 み の あ る 分 野 へ の 積 極 的 な 検 討 が 行 わ れ て い な い こ と が 分 か る 。 こ の 点 は 日 本 と し て 重大な課題と言えよう。

第 1 9 図   小 型 分 析 装 置 の 日 米 欧 の 出 願 動 向

0 1 2 3 4 5 6

出願件数

日 本 欧 州 米 国

1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999

技 術 分 野 取 り 組 む べ き 課 題

イ ン ラ イ ン 分 析 、 オ ン サ イ ト 分 析 小 型 分 析 装 置 の 開 発

パ ー ソ ナ ル 分 析 作 業 現 場 で の 利 用 促 進 環 境 計 測 の 普 及 簡 易 分 析 法 の 開 発

バ イ オ セ ン サ ー

分 析 技 術 の プ ロ セ ス 技 術 化 フ ロ ー イ ン ジ ェ ク シ ョ ン

(17)

- 2  簡 易 分 析 法

例 え ば 、 近 年 話 題 と な っ て い る ダ イ オ キ シ ン の 分 析 に は 、 1 検 体 に つ き20~30万 円 程 度 の 費 用 と 3 週 間 程 度 の 期 間 が 必 要 で あ り 、 簡 易 分 析 法 の 開 発 に 対 す る 期 待 が 大 き い 。 ま た 途 上 国 の 環 境 分 析 の よ う に 、 精 度 向 上 よ り は 迅 速 、 安 価 で 操 作 の 容 易 な 分 析 法 が 要 求 さ れ る こ と も あ り 、 新 し い 簡 易 な 分 析 法 の 開 発 は 今 後 さ ら に 必 要 性 を 増 す で あ ろ う 。 し か し 、 こ の 問 題 に 関 し て も 第 2 0 図 に 示 し た 簡 易 分 析 装 置 の 日 米 欧 出 願 動 向 に 明 ら か な よ う に 、 米 欧 の 出 願 が 圧 倒 的 に 多 く 日 本 で の 簡 易 分 析 に 関 す る 検 討 が 遅 れ て い る こ と が 分 か る 。 日 本 の 今 後 の 課 題 と し て 真 剣 な 検 討 が 必 要 で あ ろ う 。

第 2 0 図   簡 易 分 析 装 置 の 日 米 欧 出 願 動 向

②- 3   分 析 技 術 の プ ロ セ ス 技 術 化

分 析 技 術 の プ ロ セ ス 技 術 化 は 、 人 件 費 の 高 い 日 本 と し て は 分 析 の 自 動 化・ 迅 速 化 の 観 点で重要である。第21図に示した分析技術のプロセス技術化出願動向を見ると、1990 年 前 後 に 出 願 の ピ ー ク が あ り こ の 時 点 で は 日 本 の 出 願 は 多 い が 、 そ の 後 は ほ と ん ど 米 国 の出願である。分析技術のプロセス技術化に関する日本での検討は 1990 年代前半で終わ ったかのように見える。しかし、分析技術の化学プロセスへの転用(分離・濃縮 ・精製) や 化 学 プ ロ セ ス で 用 い ら れ て い る 技 術 の 分 析 技 術 へ の 適 用 に 関 し て は 、 化 学 プ ロ セ ス が 非 常 に 広 範 囲 に 渡 っ て い る こ と を 考 え る と ま だ ま だ 検 討 さ れ る べ き 内 容 が 豊 富 に あ る と 考えられる。この観点からの検討も重要である。

第 2 1 図   分 析 技 術 の プ ロ セ ス 技 術 化 の 日 米 欧 出 願 動 向 0

5 10 15 20 25

1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999

米 国 欧 州 日 本

0 2 4 6 8 10 12 出 願 件 数

1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 出   願   年

米 国 欧 州 日 本

(18)

③   環 境 政 策

国 の 環 境 レ ベ ル と 産 業 政 策 が そ の 国 の 市 場 を 支 配 し て い る こ と 、 ま た 技 術 面・ 特 許 面 で の 日 米 欧 競 争 力 差 が 極 め て 小 さ い も の で あ る こ と を 考 え る と 、 前 述 の よ う に 環 境 計 測 ・ 分 析 機 器 の産 業 競 争 力 は そ の 国 の 環 境 レ ベ ル と 環 境 政 策 に 大 き く 影 響 さ れ る 。 ド イ ツ を 例 外 と す る と( 統 一 後 の 旧 東 ド イ ツ : 西 ド イ ツ の 規 制 が 環 境 レ ベ ル の 低 い 旧 東 ド イ ツ に も 適 用 さ れ た )、 環 境 レ ベ ル が 低 く て 厳 し い 環 境 政 策 を 掲 げ て い る 国 は な い 。 こ れ は 自 国 の 産 業 を 環 境 規 制 に よ っ て 衰 退 さ せ な い た め で あ る が 、 日 本 の 場 合 は 新 汚 染 物 質 に 対 す る 規 制 が 欧 米 に 比 べ て 遅 れ て い る 。 環 境 計 測 ・ 分 析 機 器 性 能 が 向 上 す れ ば 、 新 汚 染 物 質 に 関 す る 多 く の 情 報 を 得 る こ と が 可 能 と な り 、 早 期 に 新 汚 染 物 質 に 対 す る 対 策 を 検 討 す る こ と が で き る 。 結 果 と し て 日 本 は 、 産 業 成 長 と 人 間 の 健 康 保 全 の た め の 規 制 を 両 立 さ せ る 政 策 を 、 世 界 に 先 駆 け て 推 進 す る 国 と な る こ と が で き る で あ ろ う 。 今 後 、 環 境 計 測・ 分 析 機 器 の 技 術 開 発 は 非 常 に 重 要 と な る 。

④   分 析 技 術 の 品 質 保 証

ダイオキシン分析の際、妥当性を評価するために添加される標準物質や試料の前処理 時において抽出効率(回収率)などを把握するために添加されるクリーンアップスパイ クについて、米国は添加することを義務付けているが、日本は行っていない。また米国 の測定分析機関では内部標準回収率表が分析結果の一部として必ず報告書に添付される。 残念ながら日本の報告書には見られない。

ダイオキシン分析の例に見られる通り、分析技術が高度化し分析受託料が高額化する と、報告された分析値の信頼性が重視されるのは当然である。高価な経費を要求する分 析値は従来以上に十分な品質保証が要求されることになる。そのためには、十分に経験 を積み技量を磨いた分析技術者が必要なことは言うまでも無いことであるが、分析試験 所としてもシステムとして十分な品質保証体制は整っていなくてはならない。特に、海 外との取引に関する場合は、分析値の信頼性が国際的に認められたシステムに裏付けら れていなければ無意味である。

⑤   民 生 用 分 析 機 器 の 開 発 促 進 施 策

分析技術を産業・ 経 済 社 会 に 直 結 さ せ る 意 味 で 民 生 ニ ー ズ に 直 結 し た 分 析 技 術 も 課 題 の 一 つ と 考 え ら れ る 。 所 沢 市 や 野 瀬 町 等 の ダ イ オ キ シ ン 問 題 で は 、 測 定 者 に よ り ダ イ オ キシン濃度が大きく異なること(大学の測定値が常に市や県の測定値より2∼6倍も 大 き い ) が 問 題 と な っ た 。 ど の 値 が 真 値 で あ る か の 判 断 は 難 し く 、 し か も 実 質 的 に は 定 期 的 に 情 報 を 入 手 で き る 可 能 性 の あ る の は 市 や 県 か ら の 低 濃 度 の 情 報 だ け と い う 状 況 の 中 で、住民はどのようにして安全であるという確認をするのだろうか。

自分で ( あ る い は グ ル ー プ で ) 自 分 た ち の た め の 測 定 を す る と 言 う 動 き が 生 ま れ て く る かも知れない。家電製品並の全自動・ 安 価 な 分 析 装 置 が 開 発 さ れ れ ば 、 大 き な 市 場 に 結 び 付 く 可 能 性 が あ る 。 た だ 現 時 点 で は こ の 分 野 の 市 場 が 無 く メ ー カ ー が 参 入 す る に は リ スクが大き過ぎるので、国の施策として開発を促進すべきである。

(19)

ト ピ ッ ク ス

: ダ イ オ キ シ ン 類 の 排 出 規 制 と そ の 分 析 技 術 に 関 す る 特 許 出 願

ダ イ オ キ シ ン と そ の 許 容 量

ダ イ オ キ シ ン は 、 有 機 物 と 塩 素 化 合 物 が 燃 焼 な ど の 化 学 反 応 や 農 薬 製 造 で の 副 生 成 物 と し て 発 生 す る 。 毒 性 が 非 常 に 強 く 、 分 解 さ れ に く い 性 質 を 持 っ て お り 、 人 類 が 作 っ た 最悪の毒物といわれている。ダイオキシンの正式名称は「 ポ リ 塩 化 ダ イ ベ ン ゾ ダ イ オ キ シン(PCDD)」で、地下水汚染で問題となっているトリクロロエチレンなどと同様の 有機塩素系化合物の一種である。

ダ イ オ キ シ ン の 分 析

ダイオキシン類の同定と定量は、 「 キ ャ ピ ラ リー カ ラ ム を 用 い る 高 分 離 能 ガ ス ク ロ マ トグラフ(HRGC) と 二 重 収 束 型 の 高 分 解 能 質 量 分 析 計(HRMS) を 用 い る 高 分 解 能 ガ スクロマトグラフィー質量分析法 (HRGC-HRMS)」によって行う。ここで問題なのは、 ダイオキシンの分析には費用として1検体につき 20~30万円程度、期間として3週間程 度 の 大 変 な 労 力 、 時 間 そ し て 費 用 が か か る こ と で あ る 。 ダ イ オ キ シ ン の 簡 易 分 析 法 が 検 討されているが、まだ決め手には至っていない。

日 米 欧 特 許 状 況

日 米 欧 の ダ イ オ キ シ ン 分 析 に 関 す る 特 許 出 願 状 況 を 第 2 2 図 に 示 す 。 こ の 図 で 極 め て 顕著なことは、日本の特許出願がそのほとんどが1997年以降であるのに対して、米欧の 場合は 19951996 以前に出願のピークがあることである。ダイオキシンに関する規制 は米国1990年 、 欧 州19911992年であるのに対し、日本が1997年で数年遅れている こ と と こ の 特 許 出 願 の 推 移 と が 対 応 し て い る よ う に 思 わ れ る 。 環 境 規 制 に よ り 技 術 開 発 が活性化し、特許出願の増加につながっている様子がうかがえる。

第 2 2 図   ダ イ オ キ シ ン 分 析 の 日 米 欧 出 願 件 数 推 移

0 2 4 6 8 10 12 14

1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999

米 国 欧 州 日 本

(20)

【 お 問 い 合 わ せ 先 】

特 許 庁 技 術 調 査 課 技 術 動 向 班

100-8915

東 京 都 千 代 田 区 霞 が 関 3 − 4 − 3 Tel03-3581-1101  内 線2155 Fax03-3580-5741

E-mail[email protected]

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