平成25年度 ミクロ計量経済学 講義ノート4: BLP
このノートでは、離散型需要の財のマーケットシェアのモデルとして、広く使用されてい るBLP法(Berry, Levinshon and Pakes, 1995)を紹介する。この方法には、以下のような 利点があり、経済学の実証研究で頻繁に使用されている。
• マーケットシェアのデータを使用して推定できる。
• 価格の内生性を取り扱うことができる。
• 多くの財の需要構造をモデル化できる。
• 消費者の異質性(heterogeneity)をモデルに組み込める。
• 消費の弾力性、特に交叉弾力性を、現実的にモデル化できる。
このノートでは、まずは、BLPの設定とモデルを紹介し、標準的な推定法を紹介する。次
に、Nevo (2000)に従い、モデルの仮定が実証研究上でどのような意味を持つかを解説する。
続いて、BLPの標準的な推定法の問題点を解説する。
4.1 設定
BLP法が分析の対象としているデータは、離散的に需要される財のマーケットシェアに 関するデータである。例えば、自動車の地域ごとのマーケットシェアのデータが多くの地域 で入手できる場合などを考えるとよい。
• t: マーケット。マーケット(地域や、人口学的属性によってマーケットが分かれてい るとする)をt = 1, . . . , Tとする。マーケットの例としては、年(BLP)、都市(Nevo (2000))、所得水準別などがある。
• j: 財。財をj= 1, . . . , Jとする。財は、購入する場合は一種類しか購入しないものと する。どの財も購入しない場合は、j= 0という財を購入したものとする。j= 0であ る財はoutside goodと呼ばれる。
データとして観測可能なものは、各財の特性、価格そしてマーケットシェアである。そ れぞれ、xj,t, pj,t, Sj,tと表記する。またこれらを各マーケットごとにまとめたベクトルを xt= (x1,t, . . . , xJ,t), pt= (p1,t, . . . , pJ,t), St= (S1,t, . . . , SJ,t)とする。各財の特性とは、自 動車の例をあげると排気量や車の大きさなどである。
各個人の効用は、確率的効用モデルによって表現されるとする。個人の指標はiとする。 ui,j,t= βi0+ x′j,tβix− βippj,t+ ξj,t+ ϵi,j,t (1) 係数(β)は、個人ごとに異なるとしている。ξj,tとϵi,j,tは観測できない部分である。このモ デルでは、財を消費するというよりは財の属性を消費していると考えた方がよいかもしれ ない。
効用をもたらす観測できない属性のうち、個人間では共通なξj,tと、個人間で異なるϵi,j,t に分けている。この観測できない効用の分解は重要である。特にξj,tをどのように取り扱う かが、BLP法の焦点となる。
βi= (βi0, βxi, βip)の分布をFβ(β; θ)とし、ϵの分布をFϵ(ϵ)とする。ϵはすべての他の変数 と独立とする。θはβの分布を決めるパラメーターである。BLPモデルの推定とはθの推 定に当たり、推定は次の節で議論する。この節では、ひとまずパラメーターを所与として考 える。
効用最大化を仮定すると、マーケットシェアは、
sj(xt, pt, ξt; θ) =
∫
{βi,ϵi,t|ui,j,t≥ui,j′,t,∀j′̸=j}
dFβ(β; θ)dFϵ(ϵ) (2) とかける。ϵの分布として、Type I extereme distributionを仮定すると、
sj(xt, pt, ξt; θ) =
∫
β
exp(β0+ x′j,tβx− βppj,t+ ξj,t)
1 +∑Jk=1exp(β0+ x′k,tβx− βppk,t+ ξk,t)dFβ(β; θ) (3) となる。これは、random coefficient logitモデルと同形である。Type I extereme distribution の仮定は、便利であるため、非常に良く使用される。
このままでは、βに関する積分を解く必要があるが、これはMonte Carlo積分によって求 められる。つまり、βrをFβ,θから生成した乱数として、このような乱数をR回発生させる とすると、
˜
sj(xt, pt, ξt; θ) = 1 R
R
∑
r=1
exp(βr0+ x′j,tβrx− βprpj,t+ ξj,t)
1 +∑Jk=1exp(βr0+ x′k,tβrx− βrppk,t+ ξk,t) (4) として、積分の近似を行うのである。もちろん、他の数値積分の方法を使用してもよい。
4.2 推定法
この節では、θの推定を考察する。推定において注意すべき点は、ptは価格であるため、 内生性があり、特にξtと相関があることである。そのため、単にマーケットシェアのデー タと、上記のモデルから得られるマーケットシェアをマッチさせることでは、一致性のある 推定量を得ることはできない。そこで、操作変数法を使用する。
なお、ptは内生であるが、ϵとは相関がないとしている。ptの内生性を生むものは、ξj,t というマーケットにいるすべての人に共通の影響を与える観測できないものである。
推定は、次のモーメント条件をもとに行う。
E(ξj,th(zj,t, xj,t)) = 0. (5) zj,tは需要関数には入ってこない操作変数である。h(·)はzとxの関数であり、これは研究 者が決める。
• 操作変数の選び方としては、以下のようなものが提唱されている。まず、これは需要 関数の推定であるので、需要に影響を与えず供給曲線に影響を与えるような変数があ ると操作変数として使用できる。例えば、生産要素の費用にのみ影響を与える変数が 操作変数として使用できる。しかし、財ごとに異なる影響を与える変数を見つけるの は難しい。利用しやすいものとして、同じ企業から提供されてる他の財の属性の和を 使用することや、他の企業から提供されている財の属性の和を使用することなどがで きる。あるいは、他のマーケットでのその財の価格を利用することもある。
しかし、ξj,tは観測できず、明示的に書くこともできないため、数値計算の方法によって 値を求める必要がある。このξj,tを導出する仕方がBLP法の最も重要で、革新的であり、そ して多くの問題点をはらんでいる部分である。
ξの計算には、マーケットシェアの関数の逆を取ることで行う。つまり、St= s(xt, pt, ξt; θ) と書くと、このマーケットシェアの関数のs()は逆関数が存在することがBerry (1994)に よって証明されている。その逆関数をs−1(St; θ)とすると、GMMのモーメント条件の標本 版は
g(ξ(θ)) = 1 T
T
∑
t=1 J
∑
j=1
ξj,t(θ)h(zj,txj,t) = 1 T
T
∑
t=1 J
∑
j=1
s−1j (St; θ)h(zj,txj,t) (6) となる。なお、文献にしたがってjについて和を取っているが、jごとに別のモーメント条 件としてもよい。
θは次のGMMの目的関数を解くことで推定できる。W はGMMの重み付け行列である。 θˆ= arg min Q(ξ(θ)) = arg min(g(ξ(θ)))′W g(ξ(θ))) (7) 実際の推定では、s−1の明示的な式を得ることができないため、次のようなアルゴリズムを 用いて計算することになる。θに対応するξの値を求める。ここでは、contraction mapping による計算を行う。つまり、適当な初期値から始めて、
ξth+1= ξth+ log St− log s(xt, pt, ξth; θk) (8) として、繰り返し、収束すれば、それをξt(θ)とする。
4.3 マーケットシェアの逆関数について
マーケットシェアの逆関数が存在し、ξについて解くことができるという点が、BLP法の 重要な点であるので、この点をもう少し詳しく解説する。
まず、個人間の異質性がない場合を考える。この場合、マーケットシェアは、logitモデル の選択確率として与えられる。つまり、
sj(ξt) = exp(β
0+ x′
j,tβx− βppj,t+ ξj,t)
1 +∑Jk=1exp(β0+ x′k,tβx− βppk,t+ ξk,t) (9) である。従って、
δj,t= β0+ x′j,tβx− βppj,t+ ξj,t (10) とおくと、
sj(ξt) = s0(ξt) exp(δj,t) (11) となるため、
δj,t= log sj(ξt) − log s0(ξt) (12) となる。したがって、
δj,t= log Sj,t− log S0,t (13)
が成り立つ。そのため、
ξj,t = log Sj,t− log S0,t− (β0+ x′j,tβx− βppj,t) (14) として、ξj,tを求めることができる。なお、この場合は、log Sj,t− log S0,tを被説明変数と し、xj,tとpj,tを説明変数とした回帰モデルをpj,tに操作変数を当てる2SLSで推定できる。
個人の異質性がある場合の繰り返しの式は、上でみた異質性のない場合の式を援用したも のであるが、この繰り返しの式はそれほど理論的にできている訳ではない。もう一度繰り返 しの式を記載すると、
ξth+1= ξth+ log St− log s(xt, pt, ξth; θk) (15) である。この式は、マーケットシェアの式を変形しても出てこない。単に異質性がない場合 の式から、想像できる式であるだけである。
繰り返しの式の正当性を示すためには、従って、別途その収束を示す必要がある。まず、式 をみればすぐにわかる通り、繰り返しが収束するならば、St= s(ξt; θk)が成り立つので、収 束先は、ξt= s−1(St; θk)を満たすことはすぐにわかる。一方で、この繰り返しが収束するた めにはcontraction mapping theoremを使う。BLPにこの繰り返しが、contraction mapping になっていることが証明されている。
また、BLPでは、ξに関する繰り返しでなく、βの期待値をβ¯として、δj,t= ¯β0+ x′j,tβ¯x− β¯ppj,t+ ξj,t の繰り返しを使用している。δj,tの繰り返しとした方が、異質性のないlogitモ デルとの関係は明確であるが、そもそも繰り返しの式はBLPモデルから出てくるものでは なく、contraction mappingになっていることのみが重要であるので、ξに関する繰り返し を考えることで十分である。
4.4 モデルの意味
4.4.1 消費者の異質性
BLP法は、消費者の属性に関する情報は、βiという係数にまとめられており、消費者属 性の情報が利用可能な場合は、F(β, θ)への追加的な情報として利用する。なお、BLP法は、 消費者属性のデータはなくとも推定はできる。しかし、消費者属性のデータが利用可能であ れば使用した方が、よい精度の高い推定が可能である。また消費者属性のデータとして利用 するものは、各マーケットにおける消費者属性の分布であることに注意すること。
消費者属性を組み入れたモデルでは、βiを次のようにモデル化する。
βi= β0+ ΠDi+ vi (16)
ここで、β0は係数β0の期待値であり、Diが消費者属性としてデータがとれるもの、Πは推 定すべきパラメーターになり、そしてviは観測できない項であり、確率変数として取り扱 う。viの分布を決める母数をΣとする。このモデル化では、θは(β0,Π, Σ)となる。F(β, θ) はDiの分布(観測できる)とviの分布(モデル化する)から決まる。
例として、Diとviの分布が独立であり、Diの分布をP(D), vˆ iの分布をN(0, Σ)とする。 このとき、
βi|Di ∼ N (β0+ ΠDi,Σ) (17)
であり、この分布をP(β|D)とすると、F(β, θ)は、 F(β, θ) =
∫
D
P(β|D)d ˆP(D) (18)
となる。
注意するべき点は、データとして必要なのは、各マーケットごとのDの分布であり、ま たDの同時分布が必要になることである。すべてのマーケットでのDの分布しかわからな い場合は、Dの分布がマーケットごとに異ならないという仮定が必要になる。またDの周 辺分布しかわからない場合は、Dの要素が独立であるという仮定が必要だが、この仮定は現 実的ではない。
また、BLP法によって推定する母数は、効用の係数の分布を決める母数である。したがっ て、BLP法で推定する母数の値の解釈は、意外と難しい。
4.4.2 所得と価格
BLPのモデルでは、所得は明示的にモデルに入ってこない場合が多く、また価格は効用 に線形に入っているモデルがよく使われる。なぜ、このようなモデル化がなされているかを ここでは考察する。
BLPで効用と呼ばれているものは、厳密な意味での効用関数ではない。なお、効用関数 は、財の消費量によってのみ決まるものであり、価格とは関係がない。BLPの効用関数は、 outside goodsの消費量を予算制約式をもちいて財の価格と所得で置き換え、さらにoutside
goodsのみを消費する場合の効用を0と標準化したものである。
まずは、所得がモデルに入ってこない場合を考える。効用関数がquasilinearである場合 には、yiを所得として、間接効用関数は、
uijt= αi(yi− pjt) + その他の項 (19) とかける。なお、αiは係数である。すべての財について、上記のような関係が成り立り、ま た離散選択では、効用の差のみが結果を決めるため、すべての財に対しての効用に入ってく るαiyiはモデルから抜いたとしても問題は生じない。そのため、最初から、所得をモデル に含めないことが正当化されるのである。
一方で、所得をモデルに含めないということは、所得効果がないと仮定しており、考えて いる財によっては、現実的とはいえない。例えば自動車の需要を考える際には所得の変化に よって購入する自動車が変化するであろうとする方が自然である。所得効果を考慮したい場 合には、例えば、
uijt= αilog(yi− pjt) +その他の項 (20) として、モデル化する。なお推定の際には、αiもyiも積分を取って消えるので、マーケッ トシェアの式には、所得は明示的には入ってこない。
4.4.3 Outside good
BLPが考えている需要構造では、どの財も購入しないことが考えられるので、モデルに はoutside goodsを含めることが重要になる。一方で、outside goodsの意味やモデル化には 注意が必要である。
まず、outside goodsの効用はui0t = 0と標準化することが通常である。この標準化は、効 用がquasilinearであれば、特に問題はなく、ただの標準化である。しかし、効用がquasilinear でない場合には、outside goodsからの効用もモデル化する必要がある。
つぎに、outside goodsのマーケットシェアのデータが必要であるが、そのためにはマー
ケットのサイズを決める必要がある。BLPでは自動車の需要を調べているが、マーケット サイズとしては自動車の売れた総数を使用している。これは、アメリカのような自動車に乗 る人は全て自動車を保有しているような状況では適切であるが、日本の都市部のように自動 車の購入意欲があっても自動車を保有しない選択肢がありえる場合では適切ではないであろ う。このように、マーケットのサイズをどのように決めるかにも注意が必要である。
4.4.4 財の数の豊富さ
BLPモデルでは、多くの種類の財を考慮することができる。この理由は、財をその属性 で記述し、各属性への効用をモデル化しているからである。そして、属性への効用に還元で きない部分は、ξj,tという誤差項として記述している。
財ごとの2項変数を使用して、財効果を推定することもできる。これは、ξj,tを分解し、 ξj,t= ξj+ ˜ξj,tのようにかき、そしてξjを母数として推定する。しかし、そうすると、推定 すべき母数の数が多くなる。少ない母数で多くの種類の財を扱うことのできるBLPの利点 に反するので、注意が必要である。なお、想像できるようにξjという財効果を入れた方が、 モデルの当てはまりはよくなる。
4.4.5 交叉弾力性
BLPのモデルでは、現実的な交叉弾力性の値を出すことができ、この利点はBLP法が広 く使われる一因になっている。これまで使われてきた他のモデルでは、交叉弾力性の値とし て、限られた、非現実的なものしか出せなかったり、あるいは、現実的な交叉弾力性の値を 出すのに多くの母数を含んだモデルを推定する必要があった。この利点を作り出しているの は、係数βに個人ごとの異質性を許していることがポイントである。
仮に個人間に係数の異質性がない場合を考える。この場合は、通常のlogitモデルになり、 マーケットシェアは
sjt = exp(β
0+ x′j,tβx− βppj,t+ ξj,t)
1 +∑Jk=1exp(β0+ x′k,tβx− βppk,t+ ξk,t) (21) とかける。この場合、交叉弾力性は、
∂sjtpkt
∂pktsjt =
−βppjt(1 − sjt) if j = k,
βppktskt それ以外 (22)
となる。したがって、交叉弾力性は、k財へのマーケットでの支出額のみによって決まる。 しかし、この結果は代替効果などを考慮しておらず非現実的である。
こうした非現実的な交叉弾力性が、異質性を考慮しないモデルからでる理由は、離散選択モ デルにおける、IIAの問題と関連している。従って、nested logitモデルの使用やmultinomial
probitモデルの使用により部分的に解決することができる。しかし、これらのモデルを財の
数が非常に多い状況で使うのには難点がある。
BLPモデルは、確率的係数を加えたlogitモデルを使用することにより、現実的な交叉弾 力性を出すことに成功している。確率的係数を加える目的は、個人間の異質性を考慮するこ ともあるが、少ない母数で現実的な交叉弾力性の値を出すことも重要な目的と考えられて いる。
BLPモデルの交叉弾力性は、
∂sjtpkt
∂pktsjt =
−psjt
jt ∫ β
ps
ijt(1 − sijt)dF (β, θ) if j = k,
pkt sjt ∫ β
ps
ijtsiktdF(β, θ) それ以外 (23)
である。従って、交叉弾力性は、sjtにも依存し、財の代替関係も捉えることが可能になる。
4.5 BLP推定量の問題点
BLPの推定は難しい。これは、単にコードを作るのが難しいといった問題や、計算に時 間がかかるという難しさもあるが、もっと本質的に推定量の計算をする際に、GMMの目的 関数の真の最小値を得ることが非常に難しく、本当の推定量とは違った値を得てしまうこと があるということである。
このBLP推定量の不安定性は近年になってようやく認識された問題である。この問題を 扱った論文としては、Knittel and Metaxoglou (2011, 2012)がある。これらの論文では、 BLP推定量の値が使用する最適化ルーチンによって大きく変わり、信頼できるBLP推定量 を得ることが非常に難しいことが鮮やかに示されている。
Dub´e, Fox nad Su (2012)は、この問題の原点が、ξを計算する繰り返しの部分の誤差が、 推定量に影響を与えることであると、理論的に示した。したがって、BLP推定量の問題点 は、モデルというよりも、その計算においてξの計算をするために、inner loopをまわす必 要があることである。
Dub´e, Fox and Su (2012)による、BLP推定の問題の解決策は、このinner loopを行わ ず、GMMの最適化問題の制約式においてしまうことである。つまり、BLP推定として、
min Q(ξ) s.t. s(ξt, θ) = St,∀t (24) という問題を解く、というものである。しかし、この最適化問題は、多くのパラメーター を含むものであるため、通常利用可能なプログラム言語に最初から入っている最適化ルー チンで解くのは無理がある。Dub´e, Fox and Su (2012)は、MATLABなどで利用可能な、
KNITROというパッケージを勧めているが非常に高価である。なお、こうしたinner loop
を使用しない推定法は、Su and Judd (2012)によって提唱された。
参考文献
[1] S. Berry, J. Levinsohn, and A. Pakes. Automobile prices in market equilibrium. Econometrica, 63(4):841–890, 1995.
[2] S. T. Berry. Estimating discrete-choice models of product differentiation. Rand Journal of Economics, 25(2):242–262, 1994.
[3] J.-P. Dub´e, J. T. Fox, and C.-L. Su. Improving the numerical performance of static and dynamic aggregate discrete choice random coefficients demand estimation. Econometrica, 80(5):2231– 2267, 2012.
[4] C. R. Knittel and K. Metaxoglou. Challenges in merger simulation analysis. American Eco- nomic Review: Papers & Proceedings, 101(3):56–59, 2011.
[5] C. R. Knittel and K. Metaxoglou. Estimation of random coefficient demand models: Two empiricists’ perspective. Review of Economics and Statistics, forthcoming.
[6] A. Nevo. A practitioner’s guide to estimation of random-coefficients logit models of demand. Journal of Economics & Management Strategy, 9(4):513–548, 2000.
[7] A. Nevo. Measuring market power in the ready-to-eat cereal industry. Econometrica, 69(2):307– 342, 2001.
[8] C.-L. Su and K. L. Judd. Constrained optimization approaches to estimation of structural models. Econometrica, 80(5):2213–2230, 2012.