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(1)

The 28th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2014

- 1 -

医療情報システム上での主観データとその意図の表出支援

プロブレムオントロジーを基礎にした看護記録を例として

An Approach to Externalize Interpretation of Subjective-Data Based on Problem Ontology

小川

泰右

*1

沼田

達浩

*1

池田

*1

鈴木

斎王

*2

荒木

賢二

*2

Taisuke OGAWA Tatsuhiro NUMADA Mitsuru IKEDA Muneou SUZUKI Kenji ARAKI

*1

北陸先端科学技術大学院大学

*2

宮崎大学附属病院

Japan Advanced Institute of Science and Technology Miyazaki University Hospital

In medical services, broad problems, such as psychological status of patients and difficulty on their lives, are taken into consideration. Problems are identified by interpreting subjective-data told by patients, and nurses are playing the central role in the interpretation. However, subjective-data and its interpretation are not necessarily explicit in nurse's record. This announcement describes the nurse's record medium to which narration of subjectivity data and its intention is urged on the basis of the modeling of a problem and medical practice. This paper shows how to constitute the function to support description of subjectivity data and its intention.

1.

はじめに

医 療 サ ー ビ ス の 質 を 高 め る た め に , 医 療 者 は 患 者 の 立 場 に たって解決されるべき問題(プロブレム)を検討することが求めら

れる.ここでいうプロブレム[日野原 73]とは疾病や障害といった

医学的な問題(病態としての問題)だけでなく,患者の生活や心 理面でかかえる問題(生活体としての問題)を包括した概念であ る.

医療者は患者の生活体としての問題を想定するさいに,まず 患 者 が 語 る こ と ( 主 観 デ ー タ ) に 注 目 す る . こ れ は 生 活 体 と し て の 患 者 が 抱 え る 問 題 は 医 療 者 以 上 に 患 者 自 身 が 理 解 し て い る と考えられるからである[松繁10].

こ の 主 観 デ ー タ の 獲 得 に お い て 看 護 師 は 重 要 な 役 割 を 果 た す .患 者 に 寄 り添 い ケアをす るとい う立 場 から,主 観 デ ー タを鋭 敏 に と ら え , そ れ を 医 師 や 他 職 種 に 伝 え る こ と が 看 護 師 に 期 待 されている.看護記録には主観データがその意図を含めて明確 に 書 か れ る こ と が 理 想 と さ れ て い る が , 実 際 に は 時 系 列 に 列 挙 さ れ た 状 態 に 留 ま っ て い る な ど の 課 題 を 抱 え て い る . 本 研 究 の 目標は,医療サービスの計画・実施をタスクとしてとらえたときに, その中で主観データが果たす役割についての知識をオントロジ ー と し て 明 確 に す る こ と が , チ ー ム 医 療 な ど 職 種 横 断 的 に 利 用 す ることを支 える看 護 記 録 メデ ィアを実 現 す ることへ の効 用 を明 ら か に す る こ と に あ る . そ の た め に 現 在 , 宮 崎 大 学 附 属 病 院 の 医療情報システムに搭載する看護記録を対象として,主観デー タ の 表 出 支 援 機 能 と そ れ を 支 え る オ ン ト ロ ジ ー の 構 築 を 進 め て いる.

本稿では,2節で主観データを表現することの難しさを,医療

サービスをタスクとして捉え,それを看護記録がいかに記述する

のかを検討することから考察する. 3節では,主観データとその

意図をモデリングする手法を説明する.4 節では,主観データと

そ の 意 図 の 記 述 支 援 を 実 装 す る に あ た り , モ デ リ ン グ 手 法 が 果 たす役割について概観する.

2.

看護記録の構成要素

2.1 SOAP書式に基づく看護記録

看 護 記 録 の 書 式 は い く つ か 存 在 す る が , 本 研 究 で は SOAP と呼 ば れ る 書 式 に 着 目 す る .SOAP とは ,あ る 時 点 の 患 者 状 態

を,患者から語られる S(主観データ)と身体診察・検査に基づく

O(客観データ)を総合し A(アセスメント)する.その結果を踏ま

え て , 必 要 な 医 療 行 為 が P( 計 画 ) さ れ る . こ の 書 式 は POMR (Problem Oriented Medical Record:問題指向型診療録)の一種 であり,アセスメントの結果はプロブレムのリストとして表現される と と も に , そ れ を 解 消 す る こ と を 目 的 と し て 医 療 行 為 が 計 画 さ れ る.

看 護 記 録 の 役 割 は 患 者 状 態 と そ れ を 踏 ま え て の 医 療 行 為 を 通 時 的 に 記 録 す る こ と に あ る が . 実 際 の 記 録 は , 時 点 ご と の ス ナ ッ プ シ ョ ッ ト 的 な 記 述 を 積 み 上 げ た も の と な っ て お り , 記 述 が 通 時 的 で あ る か は 記 述 者 の 能 力 に 追 う と こ ろ が 大 き い .SOAP 書 式 は 時 点 ご と で 記 述 す べ き も の の 大 ま か な カ テ ゴ リ ー を 区 分 することで,記録の基本的な論理構造を定めている.しかしこの ような論理構造にそった記述を行うとして,記述内容が十分であ るかの判断や,記述の明瞭性も記述者の能力に依存している. これは紙という媒体の制約からくるものである.

2.2 看護記録に主観データを記載するさいの難しさ

看護記録が電子化されることで,その内容を計算機が医療サ ー ビ ス の タ ス ク 知 識 を ふ ま え て 処 理 す る こ と が 可 能 と な る . 例 え ば , 記 述 物 の 内 容 と 表 現 の 不 備 を 指 摘 し , 適 切 な 記 述 を ガ イ ド するなどが考えられる.ここでは,医療サービスというタスクと,そ れ を SOAP 書 式 で 看 護 記 録 と し て 記 述 す る こ と の 対 応 関 係 に つ いて検 討 す る.患 者 を観 察 しプ ロブレムを同 定 (アセスメント) し 医 療 行 為 を 計 画 ・ 実 行 す る こ と が 繰 り 返 さ れ る と い う 基 本 的 な タ ス ク 構 造 と SOAP 書 式 と の 対 応 関 係 を 整 理 す る こ と か ら ,

SOAPで医療サービスを記述することの困難性について検討す

る . そ の た め 観 察 ・ ア セ ス メ ン ト ・ 計 画 と い っ た タ ス ク の 詳 細 に は 立ち入らない.

連絡先:小川泰右,北陸先端科学技術大学院大学 知識科学

研究科,石川県能美市旭台1−1,[email protected]

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The 28th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2014

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図1:医療サービスの基本的なタスク構造

図1に医療サービスの基本的なタスクと看護記録の記述内容 の 対 応 関 係 を 示 し て い る . こ の 対 応 関 係 か ら , 主 観 的 デ ー タ を 意 図 と ま で 含 め て 看 護 記 録 に 書 く こ と に は 以 下 の 難 し さ が 示 唆 される.

・ 主観データをその意図を含めてS欄に記述するさいには,

それが計画的観察からもたらされたのか,偶発的観察で も た ら され た の か が 分 か る ように 記 載 す る ことが 求 め ら れ る . こ れ は , 意 図 と し て 既 に 把 握 さ れ て い る プ ロ ブ レ ム に

ついて言うべきこと(悪化した,回復したなど)があるのか,

そ れ とも新 た に プ ロブ レムを 同 定 した ことを 主 張 す るもの で あ る か を 区 別 す る こ と が , 主 観 デ ー タ を ふ ま え て の ア セ ス メ ン ト と 計 画 に 影 響 す る か ら で あ る . 特 に , 意 図 の う ち 後 者 は ,看 護 記 録 上 で は S 欄 とA 欄 お よ び P欄 に 分 割されての表現となるため,記述者はそれぞれの欄の記

述を整合させることが求められる.

・ 主 観 的 デ ー タ は , 適 応 的 介 入 ( 医 療 行 為 ) が な ぜ 必 要 で あったのかという根拠を説明するために書かれることがあ る .この よ うな 根 拠 説 明 は 時 間 を 遡 及 す るもの で あ り ,説 明 の 論 理 構 造 が 相 対 的 に 複 雑 な も の に な る . 適 応 的 介 入の理由を説明するには,その対象となるプロブレム,さ ら に そ の プ ロ ブ レ ム が 存 在 す る 根 拠 と し て の デ ー タ が 必 要となる.これを主観的データが担う.さらにどのようにそ のデータが得られたかは偶発的観察に遡り説明すること が求められる.

3.

看護記録を支えるプロブレムモデリング

医 療 サ ー ビ ス の タ ス ク が サ イ ク ル と し て 進 展 す る の に 対 し て , 看 護 記 録 は そ れ を あ る 時 点 の ス ナ ッ プ シ ョ ッ ト と し て 記 述 す る . そ の た め 主 観 デ ー タ の 意 図 を 記 述 す る さ い に は タ ス ク の サ イ ク

ルを遡及して説明することや, それを記述するさいには SOAP

の 欄 を 横 断 し て 整 合 さ せ な け れ ば な ら な い と い う 難 し さ が あ る こ とを 前 節 で 述 べ た .ここで は ,難 しさを低 減 す る ような メデ ィア 機

能を構成するにあたり,基礎となるモデリング手法を紹介する.

3.1 プロブレムモデリング

医療サービスを計画するさいに,医療行為の意図はそれによ り解消される,または副作用としての生じると予想されるプロブレ ム と し て 語 ら れ る . プ ロ ブ レ ム モ デ リ ン グ[小 川 12]と は , 医 療 行 為 と プ ロ ブ レ ム の 関 係 を 明 示 す る こ と で 医 療 サ ー ビ ス に つ い て の 議 論 を 円 滑 化 す る た め の 手 法 で あ る . 医 療 行 為 の 意 図 を 表 現するさいにプロブレムは大きく2つのロール「医療行為の目的 を示 す :目 的 ロー ル 」と「代 替 案 との優 劣 を考 えるうえでの基 準 : 選択基準ロール」を担う.あるプロブレムがこれら2つのロールう

図2:プロブレムモデリングの表記法

図3:プロブレムモデラー

ち ど ち ら を 担 う か は , ど の よ う な 観 点 ( ど の 医 療 行 為 に 注 目 す る か ,計 画 上 の ど の 時 点 に 立 つ か )に た っ て 計 画 を 議 論 す るか で 相 対 的 に 決 ま る . し か し , 議 論 に お い て ロ ー ル は 明 確 に 語 ら れ ず , 文 脈 か ら ロ ー ル は 推 察 さ れ る た め , ロ ー ル 理 解 が 議 論 者 の 間 で 共 有 さ れ ず 混 乱 が 生 じ る . 特 に 専 門 性 の 異 な る 者 が 議 論 に関わると推察が失敗する可能性が高まる.プロブレムモデリン グ で は こ の よ う な 混 乱 を 低 減 す る た め に , ま ず 医 療 行 為 が プ ロ ブレムに与える影響を通時的にモデリングする.その上で着目 するプロブレムを選択すること(議論の観点を設定すること)でロ ールを確定させるという支援を行っている.

プ ロ ブ レ ム モ デ リ ン グ の 表 記 法 の 概 要 は 以 下 で あ る . 詳 細 に

ついては前述の文献[小川12]を参照されたい.

・ 上部に医療行為を,左から右に時系列に並べて記述する.

・ 左部にプロブレムを記述する.

・ プロブレムは実在・リスクのいずれかの属性をとる.

・ 医療行為とプロブレムの関係を交点で表現する.交点は,

発生,悪化,生滅,良化,観察の5種類である.

表記法を図2の例で説明する.

入 院 前 か ら の 胃 が ん ( 実 在 ) に 対 し , 切 除 術 を す る こ と で ,胃 が ん が 消 失 した .しか し,手 術 の 副 作 用 として 感 染 症 ( リ ス ク ) を 抱 え る . そ し て , そ の リ ス ク が 現 実 の も の と な ら な い よ う に 抗 生 剤 を 予 防 的 に 投 与 し て い る こ と と , 検 温 (発熱していないか確認)することでリスクが現実化してい ないかを観察していることを表現している.

ここで,発熱をプロブレムとしないのは,それが感染症と い う プ ロ ブ レ ム を 把 握 す る た め の 手 段 ( 兆 候 ) だ か ら で あ る . も し も 苦 し み の 原 因 と し て 発 熱 を 捉 え , 解 熱 剤 な ど を 投 与 す る と い う 場 合 に は , 発 熱 が プ ロ ブ レ ム と し て 記 述 さ れる.

この ような モ デ リング を支 え るた め に ,プ ロブ レムモ デ ラー (図

3)と呼ぶアプリケーションを開発した.実装には Mac OS 上に

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で あ る . こ の モ デ ラ ー は 現 在 , 当 該 病 院 の 電 子 カ ル テ シ ス テ ム か ら 医 療 行 為 の デ ー タ を 取 り 込 み , そ の 意 図 を 表 現 す る こ と に 用いている.特に,クリニカルパス(典型的な症例についての治 療行為)の意図を表現することの,新人教育や職種横断でのパ ス改良への利用を試みている.

本研究においては,医療行為とプロブレムの通時的な関係を 表現したうえで,主観データを観察的医療行為にそのアウトプッ トとして関 連 づ ける.これ に より,主 観 デ ー タ,医 療 行 為,プ ロブ レ ム の 関 係 を モ デ ル とし て 明 示 す る . こ れ に よ り あ る 主 観 デ ー タ の記述から,それがどのようにして得られたか(観察的医療行為 へ の 遡 及 ),ま た そ れ が ど の よ うな 意 味 を 持 つ の か (ア セ ス メ ン ト の根拠,すなわちプロブレムの根拠として位置づける)などの記 述 支 援 が 可 能 に な る . 具 体 的 に は , 上 述 の モ デ ラ ー に 主 観 デ ータを格納する機能を設け看護記録と連動させる.

3.2 主観データの意図のプロブレムモデルに基づく表現

主 観 デ ー タを 記 述 す る意 図 とは ,第 一 義 的 に は プ ロブ レ ム を 説 明 す る こ と に あ る . つ ま り , プ ロ ブ レ ム が 存 在 す る 根 拠 の 提 示 や ,プ ロブ レムの 重 篤 度 の 程 度 ,重 篤 度 が 良 化 ・悪 化 い ず れ か に変化したという根拠を示すことにある.そこから派生して,プロ ブレムを介してある医療行為の必要性について根拠と提供する. 医 療 サ ー ビ ス を 主 観 デ ー タ , 医 療 行 為 , プ ロ ブ レ ム が 絡 み あ っ た ネ ッ ト ワ ー ク を 構 成 し て い る . 主 観 デ ー タ の 意 図 を 表 現 す る と は , こ の よ う な ネ ッ ト ワ ー ク を 主 観 デ ー タ を 中 心 に 分 節 化 し て 表

現することであると考える.

4.

主観データの獲得と解釈を促すメディア機能

主 観 デ ー タ ・ 医 療 行 為 ・ プ ロ ブ レ ム の 関 係 を モ デ リ ン グ す る こ とで以下の支援機能を構成できると考えている.

4.1 主観データの獲得を促す機能

あ る 患 者 へ の 医 療 サ ー ビ ス に お い て , プ ロ ブ レ ム が 想 定 さ れ ているとき,それを継続的にアセスメントするためにどのような主 観データを獲得すればよいか,そのための手段としての医療行 為 に つ い て の 知 識 を 看 護 記 録 メ デ ィア に 搭 載 し て お き ,ユ ー ザ に提案するという支援がありえる.

まず,モデリングで用いる語彙をいかに準備するかという点に つ い て は , 看 護 と い う 専 門 性 に お い て プ ロ ブ レ ム は NANDA-I[ハ ー ド マ ン 12]な ど の 看 護 診 断 に お け る 診 断 名 を 援 用 す る .

一方で医療行為に該当するものは,そもそも主観データは極め て 多 様 で あ る た め , そ れ ら に 一 対 一 対 応 す る 医 療 行 為 を 定 義 す る こ と は 現 実 的 で な い .そ こ で 診 断 指 標 を 医 療 行 為 と読 み 替 え る と い う ア プ ロ ー チ を と る . 例 え ば , 手 術 に よ り 身 体 部 位 や 機 能 が 喪 失 した 後 ,患 者 が そ れ に 適 応 で きて い な い とい う,「ボ デ ィ イ メ ー ジ 混 乱 」と い う 診 断 名 が あ る . ボ デ ィ イ メ ー ジ 混 乱 が 生 じ て い る か を 診 断 す る た め の 診 断 指 標 と し て 「 身 体 の 一 部 を 意 識 的 に 隠 す 」や 「他 者 に よ る 拒 絶 に 恐 怖 を 抱 く 」な ど が 定 義 さ れ て いる.このような診断指標を,それをえるための手段の詳細に立 ち入るのではなく,診断指標をアウトプットとした医療行為と読み 替えて辞書化しておく.これにより以下を実現さえる.

・ 治 療 ガ イ ド ラ イ ン や ク リ ニ カ ル パ ス[福 島 04]な ど 典 型 性 の 高 い 症 例 に つ い て の 標 準 的 な 治 療 方 法 を モ デ ル リ ン グ したうえで,そこに主観データの獲得が必要となるプロブ レム(看護診断名)を追加しておく.ガイドラインを看護記 録 に 展 開 す る こ と で , 看 護 記 録 メ デ ィ ア の 利 用 者 は , 主 観データの獲得が必要であることをメディアから促される. ・ 看 護 記 録 メ デ ィ ア の 促 し に よ り , ユ ー ザ が 患 者 と の コ ミ ュ ニ

ケ ー シ ョン や 観 察 で 得 た 主 観 デ ー タは ,医 療 行 為 とプ ロ

ブレムと関連づけてメディアに格納されことで,その意図 が明確となる.

4.2 主観データの意図を明示することを促す機能

患 者 か ら 得 ら れ た 直 後 の 主 観 デ ー タ の 意 図 は 定 ま っ て お ら ず,それはアセスメントをへて決まる.はじめに述べたような主観

データが S 欄に列挙された状態というのは、獲得された直後に

は 自 然 な 事 態 で あ る と い え る . 主 観 デ ー タ の 意 図 が 説 明 さ れ な い ままに 放 置 され てい ることに 問 題 が ある.そこで看 護 記 録 メデ ィアには,意図の定まったものとそうでないものを峻別することが 求められる.メディアはこの峻別をふまえてユーザに主観データ の 意 図 を 明 示 す る こ と 促 す . 具 体 的 に は 主 観 デ ー タ を プ ロ ブ レ ムと関連づけること(アセスメントに相当する)をユーザに促す.

ユーザが主観データとプロブレムを関連づけるさいには,2つ の 医 療 行 為 が 関 わ る.1つ は ア セ スメン トそ の もの を表 現 す る医 療 行 為 で あ り , も う 1 つ は 主 観 デ ー タ を 得 る き っ か け と な っ た 観 察 ( 医 療 行 為 ) で あ る . 後 者 を 設 定 す る さ い に 診 断 指 標 か ら 作 成 され た医 療 行 為 の 辞 書 をもちい ることで 主 観 デ ー タの意 味 が 明確化される.蓄積された主観データは,診断指標の獲得につ いての具体的な事例として,他の患者の治療にける事例ベース や , 主 観 デ ー タ を 獲 得 す る 方 法 を 新 人 看 護 師 に 教 育 す る さ い のコンテンツデータとして用いる.

5.

まとめ

本稿では,主観データとその意図の表出をうながす看護記録 メディアの実現に向けて,メディアの機能をささえるモデリング手 法 を 紹 介 し た . 手 法 で は , あ る 医 療 行 為 が そ れ に よ り 解 消 し た い プ ロ ブ レ ム ( 医 療 行 為 の 目 的 ) に ど の よ う な 影 響 を 与 え る の か を モ デ リン グ し ,そ の 中 に 主 観 デ ー タ を 位 置 づ け る こ と で ,主 観

データ,医療行為,プロブレムの3者が関連づけられる.これに

より主 観 デ ー タがどのような医 療 行 為 で得 られ たのか,またどの よ う な プ ロ ブ レ ム の 根 拠 で あ り , プ ロ ブ レ ム へ の 対 策 と し て の 医 療行為の必要性を示すものなのかを明示するものである.

現 在 , モ デ リ ン グ 手 法 の 表 現 力 を 宮 崎 大 学 医 学 部 附 属 病 院 の看護記録を対象に検証を進めている.

今 後 , 看 護 記 録 メ デ ィ ア の プ ロ ト タ イ プ の 実 装 と 試 用 を 行 う . まず宮崎大学附属病院の診療情報システムのサブシステムとし て 稼 働 さ せ , 最 終 的 に は 統 合 す る こ と を 目 指 し て い る . ま た , メ デ ィア の 運 用 か ら得 られ た モ デ ル リン グ 結 果 の 応 用 に つ い て 検 討 を 進 め て い る . 具 体 的 に は , メ デ ィ ア の 利 用 で 蓄 積 さ れ た 主 観 デ ー タ とそ れ を 得 る た め の 医 療 行 為 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョン ス キ ル体系をアノテーションし,主観データの獲得方法をより実践に 近 い 形 で 教 育 す る た め の コ ン テ ン ツ 作 成 手 法 の 検 討 を 進 め て いる.

参考文献

[福島 04] 福島秀久(監修):診療記録が変わる!決定版クリニ

カルパス,医学書院,2004.

[日野原 73] 日野原重明: POS 医療と医学教育の革新のため

の新しいシステム, 医学書院, 1973.

[ハードマン12] ヘザー・ハードマン(監修), 日本看護診断学会

(監訳): NANDA-I 看護診断, 医学書院, 2012.

[松 繁 10] 松 繁 卓 哉: 「 患 者 中 心 の 医 療 」 と い う 言 説 -患 者 の

「知」の社会学-, 立教大学出版会, 2010.

[小川 12] 小川泰右,池田満,鈴木斎王,荒木賢二: 医療サ

参照

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