乾漆彫刻技法の研究 : 乾漆彫刻製作工程概要
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(2) . 第 21 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 漆. 乾. 彫. 刻. 法. 技. の. 昭和46年ご 2月. 研. 究. 一乾漆彫刻製作工程概要一 秋. 進. 山. 北海道教育大学函館分校美術教室. Susumu AK工YAMA ;. A Study 。n the Technique. of the Lacquered Sculptures. l ine ofthe vv。rking Process- - - --out. 目. 次. 序. I V) 製作工程概要 1) 石膏型による脱乾漆法 2) 石膏芯による乾漆法 V) 実作についての説明 1) 石膏型によるもの 2) 石膏芯によるもの 結 び. 1) 乾漆彫刻について 1) 製作法上の考察 1. ) 脱乾漆法 仰 1 ) 脱乾漆法 ( B ) 2 ) 木芯乾漆法 3. ) 材料と用具 D I. 序 私の彫刻は, ときおり試みるテラコッタの像をのぞけば, 殆んどが奈良時代の仏像にその発祥 をもつ乾漆の裸婦像である. 乾漆像のもつ特質は, 金属と木材との間に介在するデリケー トな感 触にある. そこには金属の様に光をはねかえす様な硬さはなく, しかも木材より繊密で表面張力. にとみ, その中和な光沢と, なめらかな手触りが肉付のもつ弾力や程よい柔軟性を作調にあたえ てく れる, この乾漆にひかれて師山本豊市先生の門をたたき日も浅く 乾漆彫刻について記述する ほどのこも出来ないが, つねにこの特異な材質にマッチした幻想をそこからひき出そうと努力し. て来た, ここに未熟な作品数点によっ て日頃試みて来た工法をのべてみた, 1) 乾漆彫刻 について. 乾漆は奈良時代から平安初期まで行なわれた技法で, 乾漆は奈良時代の彫刻の中でも特に注目 すべき作品 をたくさんぅんでいる主要な材質のひとつである. その技法は勿論中国から渡来した ものであるが, 現在そのもとになったはずの中国に作品の残っているものはすくなく大作は見当 ぎりこ ち )砥の粉を 1 2 )を混入 した地 (切粉) らない, 生漆を主要な材料として, これに瓦の粉末 (地の粉) こくそ. ちよ. ふ. 4 ) ) 混入した錆3 , 麦漆 に抹香を混入した木尿漆, 及び貯布 を使用 して実質を強靭にする造形技術で あり, 奈良時代には専ら仏像及び伎楽面の製作 に応用された, 乾漆とは主として (麻布) を漆で -18 1「.
(3) . ion (sec i i l d ido Uni 1 ば Ho t t on 工 C) めurna {a ver s y of Educat. vo l .21 No .2. Feb . ,1971. 張り合わせることにより形をつくることから来ている. この様 に優勢をきわめたこの製作は奈良. 時代を頂点として, 次の平安時代には乾漆像と塑像の製作は次第にすたれ, 専 ら木像となった. おそらく工程の複雑さ, 技法上の困難さ (◎製作後のやせをふせぐこと. ◎衝撃にあっ た場合も ろく像に穴があくことがある. ◎立像の場合おそらく土を抜く為に切ったであろう部分に弱味が. ある. ◎構造上よわい性格のものでとかく事故がさけられない等.) , 乾きの遅いしかも扱いにく い漆を大量に用いるためと, それに費やされる時間的な賛沢さや経 済的な高価さ, 叉保存の取扱 5 )によっ て乾漆 いの困難さ等様々の事情によると云われている. 沢口悟一氏著 『日本漆工の研究』 像の製作法を述べてみよう.. 1 1) 製 作 法 の 考 察 1) 脱 乾 漆 法 (A) 先ず粘土で原型をつくり, これより更に雌型原型を作製し, その表面に剥離剤 (雲母粉) をま き, 最初は細かな漆下地即錆を, その上には粗らい漆下地 を数回塗布して予定の厚さに達したと き, 狩布を麦漆で貼着して乾かし雌型より離脱する. 細部の肉合は錆で補修整 形し着彩し叉は漆. を塗っ て金箔を施して完成する,. 2) 脱 乾 漆 法 (B). 最初に塑造または適宜の方法で所要の像の大体の原型を造る. その上へ麻布を麦漆で数枚乃至 10数枚貼り重ね十分に乾かしたのち, 要部から切断し更にたてに切開して中にある原型の土を抜. きとる. 立像では無論だが坐像の様な 底面の広いものでも土の出にくい処がある, そこで表面の 麻布を切開して出すことになる. 細かいところは土のことであるから水を入れてとかして流し出 す. すっ かり出してしまえば, 切開した個所はもとの如く合わせて麻布で縫い, なおあわせ目に ) は改めて布を貼っ て堅固にする6 . 更に細部は前項 (A) の様な工程で完成する.. 3) 木芯乾漆法. 木材を荒彫りしてブ 体の形をつくり木芯として, 手, 指, 天衣の様な細部には銅線を用 い, そ の上に貯布を麦漆で貼着し, 木尿で細部の肉合を塑造し, 乾燥した後彫刻を加えて, 肉合を修整. する. その他の加節は脱乾漆と同様である. 以上乾漆像の製作法をあげてみたが, これまで主として研究製作 して来たものは, 使用材料を. か え て, 1) と 3) の 製 作 法 であ る. こ の こ と に つ い て は IV) の 製 作 工 程 概 要 で の べ る こ と に する, l n) 材 ◎材. 料. ◎用. 用. 具. 料. 漆 1) 生 lk 日 本 産 gあたり ¥ 8.000~¥ 15 ,000 ● lkgあたり ¥ 2 中 国 産 ,000~¥ 4,000 2) 砥 の 粉 3) 地 の 粉 粉 (木屑, 抹香) 4) 木 1) 2) 3) 4). と. 膏 (成型用, 錆付用) 5) 石 剥離剤 6) アルギン酸ソーダ-, CMC 採用, 漆の洗剤) 7) 揮 発 油 (用具洗キ ー 8) 接 着 剤 (エポキシ系樹脂等) 9) 下地用乾燥剤 石膏, 炭酸石灰, 炭酸マグネシュウム等. 具. 定 盤 ヘ ラ 特殊金ベラ 特殊金ヤスリ. (写真 1) ) (写真 2. 5) 刷毛, 筆 (豚毛) 6) 特殊小刀, 彫刻刀, ノミ 7) サンドペーパー 拝180~#200 著180~#400 耐水ペーパー -18 2一.
(4) . 第 21 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和46年2月. V) 製 作 工 程 概 要 I. 1) 石膏型による脱乾漆法 乾漆の技 法は塑像の構造, 技法からおそらく発達したものと考えられる。 それは塑造の表面に 麻布を漆でかためてかたちを造り, その細部を乾漆で塑形し, なかの塑像の土をぬいたものが脱. 乾漆の像であることからも容易に想像出来る.. 粘土で7分通 り原型をつくり, 石膏で雌型をとる, 錆付や布着せを行なうのであるから, そう した工程を考慮して綿密な計算のもとに雌型を作らなければならない. 雌型は常温で1週間ほど. 乾燥させた後 (あまり乾燥しす ぎると次の剥離剤を塗る工程で失敗することがある) ほ ぼ E型内部に 剥離剤として, アルギン酸ソー ダ‐500倍液を2回塗布し, 膜の落着き状態をみて下地面を繊密. にするため, 錆付を3~4回豚毛 筆で塗る. 乾燥には1日を要するし, 錆付の際の乾燥には, あ る程度の風通しのよ いことが必要である。 更に切粉を数回塗布=塘目の発生を防ぐ効果がある=. 予定の厚さ=等身の像で錆及び切粉で3m m程度コになったとき布着せする. 布着せには麻布コ古 蚊帳をほぼ1oc m角位に切っ ておき, 錆で着せる. こ の場合切粉を使用することもある, 等身像で約布着7~8工程で, 実質の厚さほぼ7~8皿. 位になる. 錆付や布着の工程では石膏型の緑にはみ出したりする様なことのない様にし, 縁の部 分を充分補強することもあり別項実作についての工程で示す様な布着が大切である, 乾燥 した後. ナイフで縁を調整し各部分の縁 (あわせる両面) に接着剤コエポキシ系樹脂 《ア ラ ル ダイ ト》 = を ヘ ラ 付 け し貼 り あ わ せ る,. 同量の錆の粉末を混入すると乾燥も早く, 常温で1 0時 間も要する時間は5時間程度 に短縮され, 強度も充分である, コこれまでは麦漆を使用 し, 貼着 して乾燥まで約1週間を要した=;, 接着剤の乾きをみて離型させる。 このとき石膏型の外部か このとき や. ら水を充分含ませて割出すと, 像をいためず叉アルギン酸の膜もとれやすくなる, 膜は温湯で丁 寧に洗いおとす. 実質の厚さは像の大小によっ ても異なるが, それは下地付及び麻布の張込みの )を使用する, 回数によっ て調節す る, 急速に厚層を得ようとするためには石膏錆7. 原型の制作を7分通りでやめた意味はこのあとにフぐ切な最後の乾漆の仕事があるからで, つぎ. 目には麻布を錆ではり, 錆をヘラや特殊ヘラで肉付けしていく。 現在まで等身大立像製作の場合は特に足首など折れやすい箇所には, 木の芯棒を用いず銅の金. 網を一たん焼きなま し中約 1oc m c m に切り2~3層に麦漆や接着斉せでつけ, 更に銅線 , 長さ約 20. 10線位) を入れて補強し, 仕上げは三者三様で各々独自の方法で処理している, (# 乾漆の制作に長時間を要するのは漆の特質であっ て, 木や石の様に一度に大きく刻むことは出 来ず, 叉粘土や石膏の様に一度に厚層の肉付も出来ない, 乾漆の肉付は特殊ヘラで薄く幾度も重 ねて肉付を続けるのである. 荒どりする時には数種の木ヤスリやその他特殊なヤスリを用 いる, 次 に 耐 水 ペ ー パ ー 粗80~#400 位 の も の で 水 研 ぎ し た あ と, 度 に 使 い ふ る した #240 程 度 の ぺ してく る。. サ ン ドペ. パ ー の あと の つ か な い 程. パーで空研 ぎすると錆中にふくまれていた漆が独得な光沢を出. 更 に 豚 毛 ブ ラ シ でこ す り, 生 漆 を 揮 発 油 (例 え ば 片 悩 油, テ レ ピ ン油, ア ル コ ー ル な. ど) で溶いた液で拭漆2~3回ほど行ない生乾きのうちにやわらかい布で空拭きして仕上 げ る.. このときの拭漆は生漆1に対して溶剤3の割合で薄目のものを2~3回塗る。 凹部に塗 っ た溶漆 がたま らない様に特に注意しなければならない.. ) 石膏芯乾漆法 2. 粘土の原型から石膏像をとり出す過程は一般に行なわれている方法と同様. 前にも記した様に -183-.
(5) . ion 工C) ido Uni l of Hokka i i t journa ver on (Sect s y of Bducat. VO I .21 No .2. Feb . , 1971. 粘土による仕事はあくま で7分通りで終り, そのあとを乾漆によっ て肉付する方法である。 この とき吸水性の強い石膏に錆や切粉 を肉付してゆくのであるから, 貼着をよくするため乾いた石膏. 像 に生漆を揮発性の油類 (片脳油, テ レピ ン油, メ チールアルコール等) で溶き, その溶液 (生 漆 働こ溶剤2) を2~3回刷毛塗りして麻布を錆や切粉で貼着する, 錆付の回数, 布の枚数も像 の大小により異 なるが, 最後の仕上に近 づくにつれて肌を級密にするために絹 漉砥の粉を用いて 肉付する. 以下の工法は1)石膏型による脱乾漆法の項と同様である. V) 実作についての説明 ここに数点の作品をとりあげ, 各々試みた技法, 材料等を中心に しての べることにする。 1) 石膏型脱 乾漆法によるもの (作例 1-作例 7). ⑲技法及び材料 0伽) 窯 糠 鯛 雛 1) 女の首(等身高さ4 作例 (. 第19回新 総 出品. ◎使用した漆--日本産生漆 2 .5鯖 )で初めて制作 したもので, “ 儀型は前後に 二つ割に して剥離剤にはアルギン この作品は技法書9 酸 ソー ダ- (歯科用) を用 いてみたが, すこぶる良好であっ た, 問題は濃度と回数によっ て多少. 異った結果が出た, 注意する点では, 塗布するとき刷毛はそのつど水洗をして使用す べきである, この制作では剥離剤の濃度が濃かっ た関係上, 制作途上ですでに収縮をはじめた乾漆の層は石膏 型から離れて変 形しはじめた. 技法書では姫糊と紅柄を便している. まず表面に出る部分即ち一. 回塗り二回塗りの工程 では比較的粒子の細かい 砥の粉 (黄口) を水で練りクリーム状にし, それ / の1 3程度の生漆を加えて練って出来た錆を豚毛の平筆で3回 塗りし, (各回ともよく乾いて爪をた. o )をつめ, 錆と交互に4枚の麻布を張った. て て も 傷がつかない位) 細部 (耳, 鼻等) には木尿漆l 現在の仕事からみれば生漆の量も少. 図 1 水平面よりやや下げる. なく, 麻布の張込みもかなり適当に 処理したところもあった, 特に“ 堆型. 同志の接合部分の緑は左図の様に接 麻布を折りかえして更に 錆でおさえる 麻布 * 錆(3回塗). 石膏型. 合しやすくするために加工し, 接着 には麦漆を使用 したが, 乾燥がおそ く1週間近くも費やし閉口 した. 仕. 上には使いふるした #240 の サ ン ド ペ ー パーだけを使用し拭漆は行なわ なかった, 現在作品の色は幾分白っ ぽく 色槌せた感じになっているが,. o最後に点線部分までナイフで錆をつ ける. これは拭漆を行なわなかったことの. 作品としては量感にあふれ誠実で落 原因もあろうが, コiなものは生漆の調合によるものと思う. 『. 着きもあり, 現在でも作者としてよい作品であると思っている。 (脱乾漆の処女作) 作例 (2). 女 (高 高さl 1 6 g 立女( さ・n m 0回新樹会出品 6回 冒繁雄g 鷹袋 第2. ◎使用 した漆--‐日本産生漆. 8鯉. 山本先生のもとに通い はじめて最初の作品. 粘土原型 の作製に約3 ヶ月 を 要 し た, そ の こ と が -184-.
(6) . 第 21 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和46年2月. 原型を作りす ぎたと云うか表面的な仕事になり, 最後までフォルムの緊張感がうすれて乾漆の仕. 事に マイナスになった, 製作にあたっ ては種々の試みを行なった。 第1に麻布貼着3工程目 (麻 1 )を 1層 使用 し た 布 貼 着 は 7 層) に, グ ラ ス フ ァイ バ ー ・ ク ロ ース1 ,. そ の結 果 は 昭 和43年 5月 の. 十勝沖地震で衝撃に対して意 外に弱いことが証明された。 それは震動で前に倒れ, 上にあげた左 腕が床面に強く たたきつけられ, 接合部で制れたがその主な理由は, その接合部に上から麻布を 貼 布 し な か っ た こ と と,. グラ ス フ ァ イ バ ー ・ク ロ ー ス を使用 して 一 時 に 厚 層 を 得 よ う と し た こ と. が結果的には不良であり, グラスファイ バ ー・クロースの部分で完全に分離して二つの層に分れ て し ま っ た こ と で あ る。 他 に は 被 害 は な か っ た,. 錆 で 貼着 し た グ ラ ス フ ァ イ バ ー ・ ク ロ ー ス は 合. 成樹脂加工のときの様に密着せず, 錆は表面に付く だけで浸透していないことにあると思われる, 第2に足首部分には銅線 縦0と銅金網2層を錆付しその上を麻布で貼着した. 歪の点では早く も 1乾漆部分 2銅 金 網 (ゴースワイヤ) 3銅線#10 4麻 布. 地山裏補強部分. 1乾漆部分 活着) 2杉材3c m角(麻布でi ;同志接合しないこと 3木選 歪を考慮にいれて). 製作途上で地山部分にあらわれ, 型か ら剥離して来たので左図の通り地山の. c m角の杉材を入れて木芯とし 裏から3 麻布で貼着した. 木芯同志を直接接合 し な か っ た の は, 歪 に よ っ て 起 る 亀 裂. を考耐したからである. 全体を日本産 生漆で製作してみたが, 堅牢さの点, 乾燥状の堅さの点では申分なかった。. た だ し1鯉 あ た り ¥8 ,000 ,000~ ¥15. では高価 すぎておいそれと大作に使用. することは出来ないので, 今後日本産 生漆の試作実験は小品によっ て行なっ て み た い と 思 う,. 3 ) 作例 (. 座 女 (高さ60加). 4 1回国展出品 躍繁雑鐙長舞嚢 第 ◎使用 した漆. 中国産生漆 3 .5耀. これまでの作品では水練りした砥の粉に1 / 3程度の生漆を混入していたのであるが, 文献等によ っ て練りあわせる生漆の量が少ないことに気づき, やや同量の生漆を混入して錆を作る様にした, その割合を計量した結果砥の粉 loog, 水 50cc, 生 漆 50g で あ っ た,. 石膏型から割出すとき, 型を水に浸すことを試みた。 これはポリエステル樹脂の型割出のとき よく用いることで, 雌型内部の剥離剤に水気をあたえて像の細部を損傷することなく取出すため で, 乾漆の場合には水が直接内部に入らない様に特に注意しなけれを ならない。 この試みは一応 成功した, 温湯で更に細部の剥離剤を洗いおと し最後の仕上をした。 耐水ペー パー o サ ン ドペ ー. パー等の工程は 前と同様, 光沢の出て来た 頃少量の生漆を漆刷毛でひきのばす様に塗り, すぐ乾. いた布で拭きとっ た, 小品のときなど充分な拭きとりが出来ない箇所が多くその箇所には錆の粉 末をふりかけ て布で空拭きしたら, ぎらぎらする光沢を一応おさえることが出来た.. ) 腰かけた女(高さlm 0伽) 瞬養護;畳雛 館4 1回国展出品 4 2 作例( -185-.
(7) . vo l ,2 ,21 No. Febリ ー971. i i i f Hokka ido Uni l。 t on (Sect on I C) Journa s ver y of Bducat. 2 .5窮 0 最後の仕上部分中国産生漆 .5厄 日水産生漆 で石膏型の中の工程を終り, 型から割出した後中国 生漆を使用して肉付した. 芯に ◎使用 した漆. 芯になる部分日本産生漆. なる部分に日本産と使用することは材質が堅牢な点から云えば最良の方法であると思う,. ) 5 作例 ( ◎使用した漆. ホ 囲 ル の た め の レリ 回 フ (踊). 中国産生漆. 3鯖 作例(2)のとき地山部 分に生じた歪のことが あるの. 図 3 ー 、. 2回新樹会展 0皿堰 驚き葦 鵠 雛 第2 (高さ・m2. 麻布貼布する工程 で歪を生じて型か ら分離したので外 型から針金で締め 矢印の方向に引付 けた. で, 特に レリ【フの場合は布張の厚さを均一にする様 につとめたし, 緑には錆をつけた麻布を銅線#10に巻 き更に麻布で貼着させた, 縁の工法では 左図の様にし た,. 乾漆と云う材質はやせを生じやすいので乾漆の乾く. 過程で平滑な面には干 割れが生じる, レリーフの場合. ややつよめに漆を混入した関係もあっ て脚部のつけね は両方から乾漆のやせによっ て引きと思われる亀裂が. 生じた. 乾漆は木彫の様に伸縮がないのでその 割目は 目立つ, そこでその箇 所を彫刻刀で彫り麦漆をつめ乾. 石膏型. 3c m位上に出す ‐錆を厚目につける. \ず, ( ) 同線#.. いてから錆と麻布で補修した。 補修時日本産生漆 で拭. 漆2回行なっ た, 作 例 (6). 腰 か け た 女 (高さ1・ c m) ・30 ・. 2回新樹会展 霧繋駕年 年鍋 雛 第2 ◎使用した漆. 2鯉. 中国産生漆. この作品 では3回麻布張込みのあと. ポリ エス テル. 樹 脂 (エ ス タ ー R21) を 刷 毛 塗 し グラ ス フ ァ イ バ ー ・. クロースを2回張込んでみた. 表面処理は前述の工程. と同様, これでは合成樹脂と錆のなじみが悪く収縮の 割合も異なり, 平たい部分(例えば胸部, 背中部分等) 麻布を折りまげて き 橡と水平になるホ き 主 y にナイフで錆をつ. \ ける. #10 乾湧 き部分. では完全に失敗に終ったが, 曲面や球体に近い部分で. 今後どの様に変化してくるか興味ある試みであったと 思う. 1) (等身) 作例 (7) ポーズする女 (1. 3回国展 雛 鮭孝勝袋第4 第2回北海道秀作美術展に選 抜出陳 ⑩使用した漆. 中国産出漆. 6鯉. 技術的に は上達して来たが, かえっ てそうしたことが制作の面で マンネ リズムに陥り作品に悪 影響を及 ますのではないか恐ろしかった。 そのためもあっ てこの制作では特に構成的な面に重点. をおいてみた, 麻布の張込みは5枚, 錆のやせを防止することを考慮してほとんど石膏錆を用い -18 6-.
(8) . 第 21 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和46年2月. た, 叉作品の部分的な肉付 (黒い部分) には炭酸 マ グネ シウムを用いた。 2) 石膏芯乾漆法によるもの (作例8一作例12). 8 作例( ) ポーズする女(等身)題繋ぎ謹呈畳 雛 第3 9回園展会友賞受賞 ◎使用した漆. 日本産生漆. 3庭. 木芯乾漆法の場合は, 内部の芯になる木彫部分は少なくとも面相や, 大目の衣の髪などは大体 見られる程度に木彫で仕上げられている。 それは唐招提寺の仏頭にみ られる様に, 今日残っ てい. る乾漆の厚みは少なくとも 5mm~7mm で そ の も と に な る も の は 木 芯乾 漆 で あ っ た こ と は 明 らか で. ある。 現存している仏頭では乾漆は剥落してしまっ ているが, その目, 鼻等の細部をみれば, 木 芯部はかなりこまかい部分ま で仕事がすすめられていた, この一つから木芯乾漆像全般について. 語ることは出来ないが, この木芯になっ ている部分を石膏で成型してその後を乾漆の仕事にすれ ばよいわけである。 もし木芯で不完全な乾燥のものを使用したとなれば, それが木のやせによっ て乾漆部分と分離することも考えられるから石膏の方がその点を補うことが出来よう.. まず粘土の制作は7~8分程度で終り, 石膏取りしてこれを芯とした, 小品での実験で直接 錆 付したものは日数がたつにつれて色が廻せて来るし, 石膏と錆との接着が充分でないのか錆が弱. くなる, これは錆中の水分が良く乾燥した像に吸収されて十分硬化が出来なかっ たことと思う。 そ こ で 直 接 こ の 乾 い た 像 に 生漆 と メ チ ー ル ア ル コ ー ル99% を1:1 の 比 で 溶 き 手 早 く 2 回塗 り し,. 翌日から錆付を行なった, 石膏に直接ふれる部分にはかなり生漆の量を多くし石膏芯となる部分 をかためた. その上に麻布を全面に張り, 場所によっ ては2枚乃至3枚の麻布を張ったところも ある, (足首等) その上に錆で塑形し乾燥後特殊ヤスリで荒取りし, 更にサンドペ ー パー 艇80程 度のもので研磨した, そうした工程を重ねながら, 最後に拭漆 (生漆 1:メチールアルコール3) を 3 回 塗 り し てい る。. 9) 裸婦立像(lm6 5伽) 雛 鱒 量昌 雛 作例 (. 第4 0回国展<新会員推挙>. ◎使用した漆 日本産生漆 2 .5庭 これまでの像は座像や腰かけた像であり, 立像と本格的に取組んだのは初めてのものだけに粘. 土の制作に日 数をかけた. そうしたこともあり原型を作りす ぎた様に思う。 最初脱乾漆にするつ もりでいたがこれに更にモ デリングをすることになれば予期した効果は半減すると思い石膏 芯 に することにし, 部分的に麻布を 張る程 度で仕上げた, そうしたこともあっ て, 石膏像には思い切. っ て 生 漆 を そ のま ま 塗 り そ の 上 に 錆 付 け した。 厚 い と こ ろ で 4mm, 薄 い と こ ろ で1 .5皿 位 で ある.. 仕上はヤスリ等 は使用せず耐水ペーパ ーで水研ぎしそのあとを使いふるしたサンドペーパ ー で 空 研 ぎ, 拭 漆 (生 漆 1:メ チ ー ル ア ル コ ー ル 3) を 3 回 塗 し, そ の あ と や わ らか い 布 で ふ い て 終 了。. 立像では佳作 であると思う。. ) 瞬i 霊翼 雛 第4 0回国展 l o ) 塵女( 等身 全 作例( ◎使用した漆. 中国産生漆. 4窮. こ の制 作 では 思 い 切 っ て 構 成 上 の 点 に ポイ ン トを お き,. あ と の 制 作 は デ ッ サ ンを も と に モ デ ル. から離れて制作した, 乾漆の点では木尿漆の代りに石膏錆を用い, 叉同時に乾燥を早めることも 2 )を少量添加することを試みた. 石膏を混入しても乾燥は早まるが, 考慮して炭酸マ グネシウム1. 炭酸 マ グネシウムを添加すると乾燥後少々緑味を帯び, 錆が若干 弱くなる様に思われた, この作 品ではこれまでの表面処理はやめてヘラ付のままで制作を終った。 -187一.
(9) . i ion (Sec iol ーof王 一 ・ol d id。 Uni ヱ。urna t s t . I C) く a ver y of Educat. vo l .2 ,21 No. 作例(”) ◎使用した漆. 軸 ソ(高さlm7仰) 窯 鮭 調 雛 中国産生漆. Feb . ,1971. 1回新樹会展 第2. 5鯖. 従来通り8分通りで石膏雌型を作り, 充分乾燥させて剥離剤を2回塗布し錆を2回刷毛で塗り, 乾燥後麻布を2回重ねて更に‐ その上にスタッ フを石膏で張込んで芯とした, 型を割出しその表面. に付着している剥離剤を温湯で洗いおとしその上に錆付をしたのであるが, 石膏と錆がよくなじ まない点, そのため各所に錆と石膏と剥離した部分が認められた. 表面をヘラでなでると剥離し ている部分は音が変るのでよく察知出来た. そうしたところの石膏の硬化は不充分なものでボソ. ボソしていた, おそ らく雌型の石膏を充分乾燥させたので, その上につけた錆の層と雌型の石膏 に水分を吸収された為と思う。 そうした不良箇所は切開して石膏で芯を補修して錆付けをした. 拭漆は行なわなかっ たが, 地山から脚部へ更に胴の内部に 3c m角の松材を入れて石膏芯を補強し て い る.. 2闘悪童裏 美 ) 鰍養 2 ) 座女( 等身 作例( 1 護頭髪袋 麗1 作 術展選抜出陳. ◎使用した漆. 中国産生漆. 3超. 作例 (11) で見事失敗しているので次の試みを行なっ た, 粘土原型は8分通りで終り石膏型を. 取り, まだ充分乾燥しきらないものに剥離剤を2回塗布すぐ切粉2回麻布2回重ね, 石膏を流し こみ, スタ ッ フを張込んだ。 まだ多少の剥離した部分が認められたが前回のものと比し幾分よい 様に思うがあまり良策ではない. 表面には絹漉しの黄口砥の粉を用 いて生漆の量をこれまでよ り 濃くして肉付を行ない, サンドペー パーで研磨し日本産生漆で2回拭漆を行なっ た. 拭漆には日 本産を用いるべきだと思う,. 結. び. 以上自作を通して試作, 材料の選択, 検討を加えながら行なっ たもので乾漆彫刻技法の概要を 記したが, これら乾漆像は何しろ麻布の張子の像であるから漆が乾 いて仕上げるあいだに, また 出来上ったのちにも張布のちぢみからくるやせと, 狂いが避けがたいと云う欠点が あり, これが. この技法に特有のひとつの魅力をつくることにもなる. 例えば興福寺の有名な釈迦十大弟子 (富 桜郡像) 八部衆 (阿衆羅像) などはそうした一種のやせと歪からくる像の可憐な表情・異様なフ ォ ル ム が み られ る 作 品 の 例 で あ ろ う。. ここにあげた12点の作例については, 制作後まだ数年しか経ていないし今後どの様に研究試作. の結果が見られるか全くはかり知ることは出来ないので, 工法の良否の結論は出しにくいが, 今 後機会ある ごとに発表してゆきたい. 本稿にはつねに指導助言いただいた山本豊市先生に紙上を. かりて感謝の意を表わします.. 参 沢 口 悟 一 美 術 出 版 社. (山本豊市外). 金 子 良 〃. 運. 憲 器 護 憲 小. 学. 館. 考 文 献. 日本漆工の研究 彫刻の技法 「乾漆の技法」 7年6月号 (東京国立博物館美術誌) 美術用語, 乾漆像 MUSBUM 昭和2 MUSBUM 昭和30年1月号 (東京国立博物館美術誌) 乾漆像・日光菩薩像 ) 正倉院御物, 乾漆伎楽画 〃 MUS日UM 昭和3 5年1月号 ( ) 〃 MUsBUM 昭和43年5月号 ( 法隆寺, 献綱宝物, 乾漆伎楽面の製作技法についての試考, X線透視によ 翻案芸品の研究 原色日本の美術 (奈良の寺院と天平彫刻) -1 88-.
(10) . 写. 写. 寓. 1. 特殊. 木, 金. ベ ラ. 1 木製練ベラ <錆用>. 2 鋼鉄製練ベラ<麦漆用>. 真. 特殊 金. 2. ヤ ス リ. 3~9 肉付用ヘラ.
(11) . 作例, l. ー. ー ー. i. 膿鞭臓 嘉藤 . . r. 、 .. 第19回新樹会展. 女 の 首 (乾漆). 作例, 2. 第即回新樹会展. 立. 女. ー?.
(12) 作例. 3. .. ‘ ◆ ′. 女. 第4 1回国展. 作 . 議. . 弛 も. - -. 第4 1回国展. 腰かけた女.
(13) . . 作例, 5. 、i 潔癖; w ; メ も ′ た. 第22回新樹会展. 作例. 6. ホールのためのレリープ習作 (踊). . r き書 き. 第2 2回新樹金展. 腰かけた女.
(14) . 作例. 7. 滋 欄. .. ・ ‘ . i』’. .. 1) ポーズする女 (1. 第43回国展. . 作例, 8. . 第3 8回国展. . ,. . .. . . 鰍. { . . . ・.. . ポー ズする女 会友優作賞. ′.
(15) . 作例. 9. 第4 0回国展. 裸婦立女. 新会員. 第40回国展. 座. 新会員. 作例. 10. 女.
(16) . 作例. 11. 第2 1回新樹会展. ト ル. ソ . 作例, 1 2. { - さす 三 メーメ戦勝 { {~ な、 Y:′ 一 華 竪琴キー できもぎ . h ・. . . 戸. 第4 2回国展 第1回北海道秀作美術展. .. 座. 女.
(17) . 第 21 巻 第 2 号 明 珍 恒 男 倉 田 文 作. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和46年2月. 東洋美術1 1 日本美術史4 唐招提寺を中心とした天平彫刻の構造. 仏像のみかた<技法と表現>. 註 1) 地の粉 屋根瓦の破片を鳩砕して節い別けたもの。 東京都で産出し一般下地用の地の粉として市販されて いる, このほか京都産, 輪島産のものがある. 2) 地 (り ]粉) 椿目の発生を防 ぐ効果があるので厚層を必要とする場合に用いる, 調合は・地の粉50g~55g ・砥の粉 50g~55g・7k 45cc~50cc を練りあわせてクリーム状のかたさにし, 生漆 50g を混入して練り あわせる. (両方の量はほぼ同量である) . 3) 錆 下地面を級密にするために用いる. この段階及び石型割出し後の肉付には良質の日本産生漆を使用す るとよい. 調合は砥の粉1 00g・水4 5c c~50を切粉と同様に練っておき・生漆50gを混入して更によく練りあ わせる, 本体の乾燥状態によって生漆や水の増減を調節する必要がある. 4 ) 麦漆 生漆に麦粉を少量ずつ加えて練りあわせて作る, 充分練りあわせると糸をひく様になる. 済布, 割 型の接着に用いる. 5) 沢ロ悟ー著 『日本漆工の研究』p 5~p 7 乾漆像と塑像 ,1 ,1 , 6) 明珍恒男著 『東洋美術(1 1) 』 日本美術史4 『唐招提等を主とした天平彫刻の構造』 7) 下地錆として単独に使用することは殆んどなく 専ら厚い塗膜を容易にするためと, 乾燥を早めるために使 用する. 薄いi 腸液 (酷酸ビニールを水でうずめたものでも可) と石膏少量を練りあわせて, 錆に混入して作 る.. 8) ゴースワイ ヤ (防虫網程度のもの) . 9 ) 山本豊市他著 「彫刻の技法」 のうち 『乾漆の技法』 美術出版社. I D) 生漆を多少多く入れた錆に抹香を入れて練りあげたもの, 正しくは麦嫌に槍材を鋸でひいて できる引粉を すこし火であぶり, 乾燥させたものをまぜて作る, i i 1 on ECL-13250 UX. 1) 日東紡績株式会社製 WOVBN CLOTH for LA gnat rMINATION ProducヒDes 12) 沢ロ倍ー著 「日本漆工の研究」p 59下地用乾燥剤の種類 (二酸化マンガン粉末, 鉛丹, 密防僧 (一酸化 ,1 鉛) , 酷酸鉛, 硫酸石灰 (石膏, 炭酸マグネシウム, 炭酸石灰) , 鉛白.. -1 89-.
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