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乳幼児健康診査における保健師のストレスと臨床心理士の役割

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Academic year: 2021

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(1)乳幼児健康診査における保健師のストレスと臨床心理士の役割                 学校教育学専攻                臨床心理学コース.                   M09085A                  二重佐知子         【問題と目的】. 法や対処をしているか、臨床心理士に期待することで.  近年、育児不安を抱える母親の増加児童虐待が社. ある。面接時はインワォームコンセントに基づき、対. 会的な問題となっている(松風2010。このような問. 象者に了解を得て録音し逐語録を作成した。. 題がある中、乳幼児健康診査には育児支援や育児不安. 結果. の軽減、虐待の早期発見にむけた機能の強化が求めら.  面接内容と先行研究から得られた内容をカテゴリ分. れている(厚生労働合2000)。. 類し、乳幼児健康診査におけるストレッサーについて.  乳幼児健康診査の従事者は保健師が多く、問診によ. 36項目抽出し、臨床心理士の役割については10項目. る疾病・障害の早期発見のスクリーニングや個別相談、. が抽出された。カテゴリ分類においては臨床心理学を. 乳幼児健康診査後の支援の調整役など重要な役割を担. 専攻する大学院生4名で確認していった。またストレ. っており、乳幼児健療診査への従事力沁理的負担とな. ッサー項目の表現については現職の保健師2名に確認. っていることが考えられる。. を依頼した。.  また乳幼児健康診査では子どものこころの問題や発.         【研究I】. 達の問題に対応していく必要があるが、乳幼児の心理. 日的. 専門家の数は少ないため確保カ灘しく、臨床心理士に.  乳幼児健診における保健師のストレッサー尺度を作. 熱い期待が向けられている中村(2008)。瀬々倉(2010). 成する。. は乳幼児健康診査などの母子保健事業に心理職が関わ. 方法. ることで保健師が困難と感じていることが解消される. 調査対象A府及びB県の自治体で働く保健師. と報告している。. 調査方法郵送にて予備研究で作成した質問紙450.  そこで本研究では乳幼児健康診査における保健師の. 部を配布した。回答数は100部であった。(回収率:. ストレッサーを明らかにし、ストレッサーに関する要. 22%、有効回答率:100%). 因と乳幼児健康診査における臨床心理士の役割につい. 質問紙は予備調査で得た36項目について、そのよう. て検討する。.. な状況があった人については、そのことでどの程度ス.        【予備研究】. トレスを感じたかを4段階(ほとんどストレスを感じ. 目的. ない∼非常に強くストレスを感じる)で評価してもら.  乳幼児健康診査における保健師のストレッサー尺度. い、それをその項目の得点(1∼4点)とした。そのよ. の項目と臨床心理士の役割を検討する。. うな状況はなかった人についてはその項目の評定を求. 方法. めず、項目得点はO点とした。.  調査対象 5年以上乳幼児健診に従事した経験があ. 結果 「そのような状況はない」に30%以上が回答した!項. る保健師11名であった。  調査方法 調査対象者に半構造的面接を行った。. 目を削除し、主因子法プロマックス回転による因子分. 質間内容. 析を行った結果、4因子が抽出された。第1因子は「保. 乳幼児健診においてのどのようなストレスを感じる. 護者の対応」、第2因子はr対人関係」、第3因子は職. か。支援を拒否する保護者へどのようなアプローチ方. 務内容」、第4因子は「能力」と命名し、18項目が抽. 一90一.

(2) 出された。Cronbackのα係数は全因子において十分. に関する検討については乳幼児健診ストレッサー尺. な値(α=.74∼.86)であり、内的整合性は確認できた。. 度と期待度とは弱い正の有意な相関があった(r=、24,.          【研究1I】. ρく.O01)。「保護者の対応」(r:.26,ρく.O01)と「能. 目的. 力」(γ=23,ヵく.001)とは弱い正の有意な相関があ.  乳幼児健療診査における保健師のストレスに与える. った。r対人関係」とr職務内容」とは相関がなかった。. 影響を明らかにするとともに、乳幼児健康診査におい. 満足度においていずれも相関が認められなかった。乳. て、臨床心理士が関わることによる保健師のストレス. 幼児健診のストレッサー尺度合計点において平均点以. ヘの影響と臨床心理士の役割について検討する。. 上を島群、平均点未満を低群に分け、臨床心理士の役. 方法. 割期待度の項目ごとにC検定を行った結果、「3.子ども.  調査対象 C県の自治体で働く保健師. のこころの問題に対応する」(C(235)=2.68,ρく.01)とは.  調査方法C県の自治体に研究協力依頼の電話をし. 保護者のこころの問題に対応する」(左(235)=2.02,ρ. た後に調査表の郵送を行った。郵送数は489部で、回. く.05)において有意な差がみられた。. 収数は254部(52%)であった。そのうち欠損値を除い.         【考察】. たものを有効回答とした結果、237部(93%)を分析の.  乳幼児健診ストレッサー尺度とMBI日本版の下位. 対象とした。. 尺度である「情緒的消耗感」及び「脱人格化」とは相. (調査内容)①基本的属性:年齢、就業年数、子育て. 関が認められ、またストレッサーの頻度合計点とも相. の有無②乳幼児健康診査における保健師のストレッサ. 関が認められたことにより、乳幼児健診ストレッサー. ー尺度:研究1で作成したものである。各項目の頻度. 尺度の妥当性は確認できたといえる。. とストレス度を調査した。③乳幼児健康診査における.  基本的属性が乳幼児健診のストレスにどのような影. 臨床心理士の役割についての質問紙:予備研究で作成. 響を与えたかついては、子育ての経験と就業年数が保. したものである。各項目の期待度と満足度を調査した。. 健師の能力に影響を及ぼしたことが明らかになった。. ④MBI日本版.  乳幼児健診ストレッサー尺度と臨床心理士の役割に. 結果. 関する検討については、臨床心理士への期待度が高ま. (1)乳幼児健診ストレッサー尺度合計点とMBI日本. るほど、保健師のストレスが高まりやすいということ. 版の下位尺度の得点及びストレッサー頻度の合計点と. が示唆され、子どもの発達の検査結果から具体的な関. の相関係数を算出した結果、MBI日本版の下位尺度の. わりを指導できる臨床心理士に高い期待を寄せている. 「情緒的消耗感」(r:.43,ρく.001)と「脱人格化」. ことが明らかになった。また、子どもと保護者のここ. (j仁.35,ρく、001)とは正の有意な中程度の相関があっ. ろの問題への対応において、ストレスが高いほうが期. た。「個人的達成感」とは相関はなかった。乳幼児健診. 待度も高いということが明らかになり、臨床心理士が. ストレッサーの頻度合計点とは正の有意な中程度の相. 積極的に関与していく必要性が示された。臨床心理士. 関があった(r=.55,ρく.O01)。. の役割における保健師の満足度と乳幼児健診ストレッ. (2)乳幼児健診ストレッサー尺度と属性との平均値の. サー尺度との関係において相関がなかったという結果. 差についての検討においては、どの年齢層にも有意差. から、ストレスに影響しないほど満足度が低いという. はみられなかった。また、子育て経験の有無において. ことが考えられ、保健師が期待しているほど臨床心理. は、乳幼児健診ストレッサー尺度の下位尺度である「能. 士は期待に応えられていないという現状があるのでは. 力」において子育てをしていないほうが有意に高かっ. ないかと考える。. た(C(235):2,09,ρく.05)。そして就業年数でもr能力」.            主任指導教員 大野裕史. において有意差がみられ(F(3,233)=3.13,ρく.05)、5年.            指導教員   大野裕史. 未満のほうが10年未満より有意に高かった。 (3)乳幼児健診ストレッサー尺度と臨床心理士の役割. 一91.

(3)

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