• 検索結果がありません。

母親の養育態度と子どもの社会化

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "母親の養育態度と子どもの社会化"

Copied!
30
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)母親の養育態度と子どもの社会化 滝. Maternal. 沢. Child-Rearing. Practices. Socialization. and. Prescboolers*. among Kaoru. 明. 田. かおる・依. TAETZAWA**. and. Akir・a. YoDA***. S tJ AI池ARY It is. important. an. development The. purpose. occupation. or. contribtlte. tO. the. relationship. aim. internal. of. this. of. on. not. of. study. factors. what. fathers. mothers,. the SOCiali2;ation, between maternal. prescboolers・ The. (1). were. occupation, development of child-rearing. (age,. sex,. family. size,. ego-control,. birth. and. to. the. having. order,. kindergarten). and. (2). and. practices. facilitate. to. parental socialintion practices of behavior, ego・cDntrOl.. r・egulation. to. investigate among. socialization. The degree 84 preschoolers, 4-6 years, their and mothers. of by 5 experimental was determined measures ego・ preschoolers of socialization'among delay ike resistance io temptation They included situation, combeti71g control. of gratifl'cation, block box, box. Mothers barrier were curiosity set, asked their socialization practices and were. slユbjects. by. Q-sort. CRPR, The. main ( 1 ) Sex. the. and. (2). second Girls. ego-control. ( 3) they. items were. results the. was one were. reflecting child-rearing follows; as. infhlenti且1 factor. most. was. Others. age.. highly. correlate. the. practices. preschoolers. Ⅰ 「社会化+. didn't. to. and. were. は. (Socialization)という用語は,. to. of. じ. of sociali2Eation,. muchL had. preschoolers. ego・control. め. the degree. tO so. uniformly. ability. orientation・. contz・ibtlte. contribute boys・ 6-year. than socialized 4-year oneS・. comparedwith Maternal child・rearing. didn't. values. textho.ok. the. tellinglike. ability ones. significantly・. に. 1920年噴から社会学,文化人類学,精神分. 柄,心理学等の諸学で使われはじめた。この用語は前期の諸学で重要な概念として使われ ているにも拘わらず,その概念規定は一定していなく多義的である(1). これまで使われてきた社会化の概念ほ3つに大別できる。 第1ほ,. 「集団あるいは社会の社会化+. *. 本研究ほ(財)桜楓会奨学金の交付を受けた (Yokohama 横浜市養護教育組合センタof Psychology) ***心理学教室(Dept. ・**. General. Center. of. Special. Education). of and.

(2) 32. 滝沢かおる・依田. 第2は,. 「文化の社会化+. 第3は,. 「個人の社会化+である(2)0. 明. 本研究のテーマは「個人の社会化+に属するものであるが,ここで敢えて社会化という 用語を使わなければ説明できない概念ほ何かということになる。心理学においても,諸学 と同様,社会化について明確な規定がなされていない。また,発達や成長との関係も未整 理である。そうした中で,社会化とほパーソナリティ形成過程であるという見方ほ心理学 の領域における唯一の社会化に関する共通理解であろう. 「アヴュロンの野生児+や「狼に育てられた子ども+の例ほ,人間が人間社会に生活す ることによって文化情報を得,はじめて人間としての行動様式を身につけていくことを示 AIPortmanほ人間の乳児ほ生理的早産であり,生後-歳になって,寡. している.また,. の晴乳類が生まれた時に実現している発育状態にやっとたどりつくといっていa(3)。これ らのことは,パーソナリティ形成が社会と個人の調和過程であり,その調和のために社会 化のエイジエソトが必要であることを示しているo パーソナリティ形成に関与するエイジェ A.文化的背景. レベルI. 文化粥. a.tI習・しさたり b.伝統的価値. c.政治・軽誘境枕. ソトとして,図1に示すようなつのレベル. 〈壬==コ歴史 缶=コ自然環珠. をあげたことがある。囲1から明らかなよ. なと. うに,多くの要因がパーソナリティ発達に 関与しており,その発達ほ個人と社会の調. 社会におけも位正 d.性別・年J!. 和-社会化に他ならない。. 8.吸集・琴丘 I.社会鞍点 g.居住地域. こうした文脈において,常に,人間ほ社 会化されなけれはならない存在であるが,. [11ど. レベル2. ま. 族. B.父親 h.性格 i.価徳政. i.悪食. 8'.母艶 h'.性格 i'.価儲較 i'.恵虎 なと. なと. B'.さようだい 布ど h'.性格 i:価伍枚 i'.愚反 など. 辛 I. ′‡. I. ソ. &#* 凍倣苧. 泰盛生活 k.豪産の雫田気 I.薮良問俵. チ IJ チ. 弊. イ. 個 人. いなめかoその具体性が問われる時,ファ イナル・ゴールが掲げられる。 社会化のファイナル・ゴールは外的な圧 力や社会的な監視がなくても,社会観範に. 同一視 レベル3. 人間ほどのように社会化されなければなら. ダ 〟. C.子ども n.人格の発達. く≒::コ遺伝・案文 ¢=コ身体的発達. 従うことができ,なおかつ自分らしさを失 わないでいることである。そこで,社会化. 図1人格形成の要因(依田1974). がうまく達成されているかどうかを判断す. るのに,遠藤(4)ほ,外的な制裁(罰)の代わりにどの程度内的な統制ができ上がっている かを一つの目安にしている。このような自己規制ほ,一度でき上がると,自己の行動の案 内役,あるいほ引き止め役として機能するものである。 筆者らの社会化達成の目安も遠藤のそれと内容をほぼ同じく Block. &. J. H.. Block. し,理論的背景注1)はJ.. (1971(5),1980(6J)に拠っているo. 最近の知見は,乳幼児が常に学習する存在で,有能であることを明らかにしている。彼. らは,親の期待を認知し,モデルとな卑親を模倣し,あるいほ,来に同一視することで, 自己に与えられた役割期待を学び,実践していこうとするoそり過程で乳幼児ほ社会観範,.

(3) 母親の葦育態度と子どもの社会化. 両親の価値体系を自分のものにしていくのである。そうした時,属する社会,文化の影響 を無視して考えることほできない。 文化の影響についてほ,別の橡会に報告の場を求めることにし,本研究でほ,日本の社 会の変化が子どもの社会化に及ぼす影響を考えることにする。 日本家族は歴史的,質的変化をとげ,その変化が子どもの社会化を阻害する要因になっ ているといわれている。以下,いくつかの問題点をあげ,変化の現状を把える。. 第1に,伝統的価値ないしは規範が変容してきたことがあげられる。 第2次世界大戦の敗戦により,これまでの「家+制度ほ解体された。法律上でほ直系家 族湖が解体し,核家族を基本とする夫婦家族制度がとられるようになったわけである。 「家+制度の解体は,. 「孝行+ 「忠節+というこれまでの家族倫理の喪失を意味する。つ. まり,戦前のしつけ観の根本思想を取り除くものであったoそれに伴い,親ほしつ叶の拠 り所を失うことになり,マス・コミがつくる情報に左右され,いかなる社会規範を伝えて よいかわからない状態が呈されるようになった. ●. ●. 第2ほ,産業化,都市化の発展とともに,家庭が生産の場から消費の場へ移行した(7)こ とに間庵が求められるo. (傍点筆者). 父親ほ家庭において,労働する姿を子どもにみせることができなくなった。それだけで なく, A・. Mitcberichが「父親なき家族+といっているように,その存在すらも家庭に. ほない現状である。 母親の家事労働も最近ほ軽減され,母親ほ子どもの世話に専念するようになったo地域 連帯感が希薄化した核家族で,母親の生活ほ,狭い住宅とその周辺に限定され,子どもへ の関心ほつのる一方であるo先に述べた「父親なき家族+と母の子への強い関心が結びつ 普,母子一体性はさらに強固なもの軒こなってきている.この母子一体性により,子どもは. いわゆる「甘え人FFlq(8)+になり,社会規範を獲得しないまま成長し,精神的に自立しない 大人になってしまう。. 第3ほ,少産少死の時代を迎え,出生率が低下したことにある。このことほ,きょうだ 「ななめの人間関係g)+であり,そこにほ,年 い数の減少を意味する。きょうだい関係は, 齢差を媒介とした綻の人間関係と,友だち関係のような横の人間関係があるoきょうだい 数の減少ほ,ななめの人間関係を家族内で経験できないことを意味し,そのことで,子ど もほ自己の意志や感情の表出と統制のし方を学ぶ機会が乏しくなっている。 子どもの社会化を阻害するいくつかの問題点を考えてきた。それらの問題ほ子どもの社 会化の実際にいかに表われているのであろうかoその他,いかなる要因が社会化の度合を 規定しているのかをも明らかにする必要があろう.また,社会化の度合は,母親のしつけ 観とどう係わって発達していくのであろうか。 Ⅱ. 目. 的,. 筆者らほ,現代日本社会には子どもの社会化を阻害するいくつかの問題があることを指. 33.

(4) 34. 滝沢かおる・依田. 明. 摘した。 ここでほ,それらの問題を子どもの社会化を規定する要因の一つとして捉えることにす る.つまり,年齢,性別ほ子どもの属性として,そして,幼稚園は社会化のエイジェソト の1つとして扱うが,出生順位,母親の職業有無,父親と子どもの接触時間の多少,家族 構成のあり方を社会化を阻害する条件として扱うわけである。そうした時に以下の坂説が 成り立つ。. 出生順位についてほ,一人っ子よりもきょうだいがある者の方が,ななめの人間関係を 経験できるので社会化の度合が高い。 母親の職業有無別でほ,職業有群児の方が,物理的に母親と一緒にいる時間が少ない. 子どもにばかり手をかけられないので,母親ほ子どもの独立を奨励することが予想される。 以上のことから,職業有群児の方が無群児よりも社会化の度合が高い。 父親の子どもとの接触時間多少別でほ,父親が母親には比較的少ない直接命令や統制型 しつけをしているという理由により,接触多群の方が少群よりも社会化の度合が高い。 ・家族構成のあり方については,拡大家族児は,祖父母と親との関係を通して,自己コン トロールを学ぶことが予想される。よって,拡大家族児の方が核家族児よりも社会化の度 合が高い。 本研究の目的ほ, 第1に,社会化の度合が以上に述べた要因にいかに規定されるかを検討することにある。 (俊説の検証も含む) そして,. 第2に,それが母親のしつけ観とどう係わって発達しいくのかを明らかにすることにある.. 方. Ⅲ. 査. 1.調. 対. 法. 象. 東京都,神奈川,千葉県下,. 7つの公私立幼稚園児男女84名とその母親。その内訳は表. 1に示す通りである。ご協力いただいた母親は,いわゆる教育熱心な方が多かった。 表1. %. ] B. %. 性. 被. 験. 者. 数. 内. 父親の職業. 桓親の職業i 注2). 生順位. 別l出. 訳. 家族構成. 罪 無 l平均(SD) 女l三舎 竺+昌呈止 桓触多桓触少t核E拡大. 4#(N-29)I. 55. (3.2)ll. 14. 51. 5歳(N-29). I. 65. (12.8). 14. 6歳(N-26). I. 74. (1.9). 10Z16. 計(N==84). 1 15. 391451. 1. 5. ll. I. 13. 1. 3. 26. 8. 21. [ 27. 27. 1. 28. [ 28. 3. 】 23. 1. 17. 1. I. 72. 3. Z. 12. J. 14. 1. 2. 2. i. 10. I. 14. I. 1. I. 25. 1 41. I. 6. I. 781. 10. I 33. 12. 72. I. 2. 1. 12.

(5) 母親の養育態度と子どもの社会化 2.調. 査. 内. 35. 容. 以下に述べる調査内容は,いずれもBlockプロジェクト注3)が児童のエゴ・コントロ ール測定のために開発,利用している課題注4) ,および親用の分類法に拠るものである。 Gjerde氏 日本で調査を実施するにあたり, 1983年4月にBlockプロジェクトのPer が来日し,課題に関して,その選択,実施上の留意点を話し合った。親用の分類法につい ては,日本語訳した時,文化差の違いから誤訳することのないよう,把握困難な項目の確 認を行っておいた。. 調査内容は, (1)児童を対象とした実験 (2)親を対象とした調査 に分けられ,それぞれについて,次のような実験,調査が行われた.. (1)児童を対象とした実験 Blockプロジェクトが児童のエゴ・コントロール測定のために開発,利用している課 題から報酬遅滞課題(Delay みる場面テスト(The. of. Resistance. Gratification-Gift to. Delivery),誘惑的場面への抵抗力を. Temptation. Situation),くり返し場面(Competing Block. Set),バリヤ・ブロック・ボックス課題(Barrier. Box),好奇心箱(Curiosity. Box)を提示して子どもの行動を観察する課題の5種額注5)を選択した。 これらの課題ほ,日本側の測定手段上の不備から日米間にくい違いが生じないよう,守 備実験注6)にて児童の反応をみた後に実施された。 〔実験時期〕 1983年6月下旬から9月下旬 〔実験場所および状況〕 児童の通園している幼稚園の一室にて保育中(2園)および,保育終了後,来園を求め て実施された。 〔課題提示順序〕 課題捷示は,報酬遅滞課題,誘惑的場面への抵抗力をみる場面テストは1週間の間隔を おいたが,その他の課題については特別な配慮ほなされていない。しかし,割合として, くり返し場面-バ1)ヤ・ブロック・ボックス課題一好奇心箱一報酬遅滞課題の塀で行われ たケースが多かった。. 4課題の延時間ほおよそ30分であった。. 〔実験者〕 筆者らおよび心理学専攻の学部,大学院生注7). 0. 次に,それぞれの実験手続き,用具,採点法について概説する。なお,個々の実験手続 きの詳細,アンサー・シート等については,筆者らをこ問い合わせられたいo <報酬遅滞課題>. 報酬遅滞に耐えうるかどうかの能力はエゴ・コントロールの構造を考えるにあたり,重.

(6) 滝沢かおる・依田. 36. 明. 要な一側面である.提示課題を終える間,きれいに包装されたプレゼソトを前に子どもは いかにその場の緊張に耐えうるか,報酬遅滞を我慢できるかをみるのが本課題である。 この課題ほ, Blockプロジェクトにおいて特別に開発されたものであり,アソダ-・コ ソトロール児(社会化の度合が低い児童)ほ,プレゼソトについて実験者に尋ねたり,プ レゼソトに触れたり,完成していない課題をそのままにしてプレゼソトを持っていこうと するという報告が米国の結果からなされている。 評価時間:. 5分. 運具・・ ・ギフトとしての包装されたお菓子注8) ・パズル(完成までに少なくとも4分かかるもの) ・ストップ・ウォッチ. 採点法注9). ◆逆点項目注10)一以下共通. :. ◆プレゼソトに対する言語的,身体的行動量の合計得点の算出 言語反応-1. (反応なし). 身体的反応-1. -4. (大変多くの反応)で場面ごと. (プレゼソトに視線). -4. (自然にプt/ゼソトに手がの. び,とる)で場面ごと ◇報酬遅滞時間の測定. 90秒-0秒 ◇プレゼソトを開ける早さの評定 <誘惑的場面への抵抗力をみる場面テスト> 1入部慶に残され,. -机には壊れたおもちゃ,床には魅力的なおもちゃがころがってい る部屋一葉験老机の上のおもちゃで遊んでいるようにとのいいつけが守れるかどうかに よって,エゴ・コントT2-ルの度合をみるのが本課題である. 評価時間: 6分. 旦具: ・児童にとって魅力的なおもちゃと魅力的でないおもちゃ注11) ・ストップ・ウォッチ. 採点法注12). :. ◇禁じられたおもちゃ(魅力的なおもちゃ)に対する子どもの行動評価削2) <くり返し場面>. 答えを要求する刺激文を与えられ,教示通り,問いを反復することができるかどうかを 査定するのが本課題である。. この場面において,問いを完全に反復できる児童は極度にオーバー・コントロールされ た児童といえる。. 麹具:表2に示す刺激文.

(7) 母親の養育態度と子どもの社会化 表2 練. 習:. いってくださいね. くり返し場面刺激支 わたしは(ぼくは)ここにいます. 〝. ここは小さな(お)部星です. 〝. テレビをみたいですか. 1. いってくださいね. 2. 〝. 3. 〝. 元気ですか. 4. 〝. 今,何時だと思いますか. 5. 〝. 00ちやんがほいているくつをみせてください. 6. 〝. 男の子ほ,スカートをほいています. 7. 〝. 00ちやんのおかあさんの名前をいって下さい. 8. 〝. 冬は寒いです. 9. 〝. わたし(ぼく)の名前は花子(太郎)ですか. 10. 〝. 00ちやんの手を頭の上にのせてごらんなさい. ll. 〝. 00ちやんの足をバンとならして下さい. 12. 〝. 00ちゃんはねこをかっていますか. 13. 〝. 14. 〝. 夏には雪が降ります. 15. 〝. 名前をいって下さい. 16. 〝. おねえさんにおもちゃをみせてといって下さい. 17. 〝. おねえさんほ大きいですか,小さいですか. 18. 〝. 00ちゃんは大人です. 19.. 〝. 今日ほ,どこかに行きますか. 20.. 〝. 犬ほ売るのが好きです. 21.. 〝. 机の上にある積木をおねえさんにください. 22.. 〃. おひるor. 今いくつですか ここに線色の大きな本があります. 3まで数えて下さい. よる何を食べたいですか. 採点法:. ◇正答回答の算出(完全正答-22) <パリヤ・ブロック・ボックス課蔑>. ゴールへの進行が妨げられる場面一棟習場面でほ箱の上の穴から横木が全て入る。し かし,その後,少し大きめの積木が加えられ,いらく努力しても積木が穴から入らないと いう場面がある-で,フラストレーションに対する反応を観察するのが本課題である。 バリヤを乗り越えようとする努力は,エゴ・コントロールと関係があることが米国の結果 から報告されている注13) 許価時間: 5分注14). 0. 旦基: ・上に5つの型の穴(正方形,円,長四角形,三角型,多角型)のある木の箱 ・それぞれの塾について2つのブロックー1つほもとのブロックよりわずかに. 37.

(8) 滝沢かおる・依田. 38. 明. 大きいブロックである-. 採点法:由5) ◇最初に課題を投呼出す時間の測定 ◇バリヤ・ブロックを子どもが実際に手にしていた時間の測定 ◇ブロックを穴に入れようとする子どもの努力度の評定. 図2. バリヤ・ブロック・ボックス課題場面. <好奇心箱を提示して子どもの行動を観察する課題> 子どもが新奇性にとみ,興味ある刺激一好奇心箱-に対していかなる反応を示すか を&rJ定するのが本課題であるo探索量とェゴ・コントロールの度合にほ関係があることが 釆国の結果から報告されている注16) 評価時間: 5分. 担具:. ・T・. 0. J・ Benta注17)の開発した好奇心箱(囲3)にBlockが新たにいくつかの刺. 激注18)を加えたもの ・ストップ・ウォッチ. 犀星塗: ◇好奇心箱を提示されてから遊び始めるまで の時間の測定. ク. ◆好奇心箱で遊んだ時間の測定 ◆質問数の算出 ◆行動量の算出. し. ◆見る回数と接触回数の算出. 也. オレンジ. 団3. 以上,. a. 5つの課題について概説したが,各課題の. 採点要領ほ蓑3に示す通りである。 グl)-ン. 好奇心箱(38×23×29cm).

(9) 母親の養育態度と子どもの社会化 表3 課. 題. 報酬遅滞課題. 39. ェゴ・コントロール測定課題採点要領 l. 採. 点. ボ. イ. ン. *プレゼントに対する言語的・身体的行動量 (4場面) 遅滞時間 *プレゼソトを開ける早さ 1. 誘惑的場面への抵抗. (後で). -3. *子どもの行動評定 1 (全く無視). (その場で). (おもちゃに近付き. -6. おもちゃを取り上げる) くり返し場面. バリヤ・ブロック・ボックス. 正答数 完全正答. 22. 最初に課題を投げ出す時間 バリヤ・ブロックを子どもが実際に手にしていた時間. 子どもの努力度 1 (努力なし) 好奇心箱. -5. (多大の努力). 開始時間 *プレイ・タイム. *質問数(-できる,これは何,どのように) *行動量(操作回数,立ち上がったか,歩いたか) *見る回数+接触回数 *逆転課題 ・得点が高いとオ-メ-・コントローラー,低いとア'/ダー・コントローラーをしめす。 ・各課題ごとに得点を算出一課題数で割る。. (2)親を対象とした調査 J・ H・. BliOCk(1965)が開発し,その信頼性,妥当性注19)が検証され,米国の他,英国,北. 欧諸国においても親の養育態度査定のために利用されているCRPR Practice. (The Child-rearing Report)をメジャーとした。欧米でほ利用されているCRPRであるが,日本. で実施するのは今回が初めてである。 CRPRほ親のしつけ観と,その養育態度を尋ねる91の質問項目からできている。 〔調査時期〕 1983年7月中旬から10月初旬 〔調査場所および状況〕 児童の通園してる幼稚園の一室にて,保育終了後,. 5-10名ずつ来園を求め,一斉に行. うグループと,児童の実験中,別室をこて行うグループとがあった. 〔調査者〕 すべてのケースについて,筆者らが教示を行った。.

(10) 滝沢かおる・依田. 40. 次に,. 明. CRPR実施手続き,用具,採点法等について概説する。. 評定時間:. 30分-1時間. 運旦:CRPR91項目,それぞれの項目を記入した名刺版カードと7組の封筒, 筒の表には,. 7. (もっともよくあてはまる). -1. 7鼠の封 (全くあてほまらない)の文字. が記されている。. 墾壷: 「子どもに対する時,何に重きをおいているか,子どものしつけ方はどうである かの実際をお聞きすることが,子どもを理解するために必要であると私たちは考 えています。今日は,子どもの育て方が書いてあるカードを分類する方法で,お かあ様の育児観,育児方法をお聞きしたく思います+と述べる。続いて,. 91枚の. カードを各封筒13枚ずつ7-1の段階に分けてもらうのだが,最初に「あてはま る+,. 「あてほまらない+,. 「どちらでもない+の3つの山に分けてもらう.次に,. さらに細かく,. 「あてはまる+のカードの山を7-5の封筒にそれぞれ13枚ずつ. 分けてもらい,. 「あてはまらない+カードの山も同じように分類し,最後,. 4の. 封筒には13枚のカードが残ることを伝える。 カードの項目の意味の他,何でも母親の疑問に応ずることを告坑分類を開始するo なお,教示の詳細については,筆者らに問い合わせられたい. 採点法:. 今回は91項目を付表に示すような21カテゴリー注20)に分け,. No7在中項目には No・1在中項目には1点というように得点化し,カテゴリーごとの合計得 点を算出する。 7点,. Ⅳ. 調査結果および考察. 本研究の調査は,子ども,母親を調査対象としている。結果および考察を述べるにあた り,まず,子どもを対象とした実験結果を報告する。次に,実験により得られた基準変数 である子どものエゴ・コントロール度と母親のしつけ観(CRPR)間の関係の検討を行う。 1.社会化に影響を及ぼす要因について ①分析方法 5課題について,課題内の項目ごとにZ得点を算出し,その得点を合成し,項目数で割 5課題のZ得点を課題数(ここでは5)で割った ったものを課題別得点とした。さらに, ものを被験児のエゴ・コソトロール得点としたo (得点が低いほどアソダー・コントロー ラーを,高いほどオーバー・コントローラーを示す) いかなる要因が社会化の度合(エゴ・コントロール度)に影響するかを検討するのが本 項の目的であり,そのために林の数量化理論Ⅰ (1975)を分析法として用いた。ここでは, 子どもの年齢,性別,出生順位,母の職業,父の職業,家族構成,所属幼稚園をその要因 の1つと考え,分析を行った。.

(11) 母親の養育態度と子どもの社会化. (塾結果 ③-1. 41. 測度問の相関. 本実験で用いられた5測度ほ,いずれもその信頼性,妥当性が米国の調査報告から検 証されているものである。 表4. 測. 度. 問. 相. の. 関. 1.誘惑的場面-の抵抗力 2.報酬遅滞課題. 】. 3.. くり返し場面. l. 4.パリヤ・ブロック・ボックス. l. 5.好奇心箱. l *. .45*** .47***. **. .37*** ・38***. **. P<.50. 50***. .. 32. .37 45***. .. .22 ***. p<.01. *. l. .59***. p<.001. 日本の幼稚園児男女84名を被験者として行った実験における5測度問の相関は,表4 くり返し場面課題と好奇心箱を提示して子どもの行動を観察する課. に示す通りであるo. 題には有意な相関が認められなかったが,以下では,. 5脚度間の平均得点を子どものエ. ゴ・コントロール得点として扱うことにする。 ②-2 社会化の度合に影響を及ぼす要因について 表5. エゴ・コントロール測定課題. 平均得点に関する数量化Ⅰ 課. 題. エゴ・コントロール. 測定課題. tー. 変. 数. \. 齢. A.午. 別. B.性 C.出. 0. 270. 生. 慣. 1. 位. 0.335 0. 241. 職. 業. 0. 047. の. 職. 業. 0. 090. 族. 構. 成. 0. 098. D・母. の. E.父 F.家. 椎. G.幼 R2. 園. 1. 0. 265. 1. 0. 294. A-4歳,. 5歳,. 6歳. B. =男女. C. =一人っ子,長子,次子以下. D. =有無. E. -接触多,接触少. ど. -核家族,核大家族. G. -幼稚園(7園) R2=重相関係数自乗. 社会化の度合注21)紘,表5にみられるように今回,その要田としてあげた変数から僅 か29%が説明されたにすぎないo 各変数ごとに,偏相関係数の値をみると,性別が社会化の度合に最も強く影響してい.

(12) 滝沢かおる・依田. 42. 明. ることがわかるoその他の変数に関しては, r-0・3以下でその寄与度が低いが,年齢, 所属幼椎園が性別に続く変数である。サンプリングの偏りの影響もあろうが,本実験で ほ,母の職業,父の職業,家族構成は社会化の度合にはとんど影響を与えないという結 果になった。 次に,各変数ごと,下位分類の比較を行うことで,社会化の度合に影響を及ばす要因の 性質について明らかにする. ②-3. 要因の性質について. ②-3-a. 年齢別の比較. 表6. 結果は表6に示す通りである。. エゴ・コントロール測定課題. 年齢別平均Z得点 課. 年. 題. 下位分類について一元配置の分散 ロ. エゴ・コント. 齢. 測定課題平均Z (SD). 4歳(N:=29). 48.8. (3.86). 5歳(N-29). 50.1. (5.01). 6歳(N-26). 52.1. (3.06). F. I. 傾向検定n・. n.. s・. n.. また,年齢が増すことによって,社 会化の度合が高くなるという債向は. ーf *. t`■l ̄■■. 認められなかった。しかし, *. 1. 4歳児 と6歳児間には1%水準で有意差が. 託められ,. 4歳児よりも6歳児の方 が社会化の度合が高いことがわかっ. s.有意差なし. た。. P<.01. 墜宣担塵墜. 表7. 課 性. 多重比較. s.. **. ②-3-b. 分析をしたところ,有意差はなく,. ール. 別. エゴ・コントロール測定課題 性別平均Z得点 題. p. エゴ・コント. -ル. 測定課題平均Z (S D). 男児(N-39). 48.9. (4.16). 女児(N-45). 51.5. (4.01). 性別は,・林の数量化Ⅰにより,社 会化の度合に最も影響することが明 らかになっていた変数である。男女. 別平均Z得点の差についても検定を 行ったところ,表7のように5%水 準で有意差が認められ,幼稚園児に 関していえば,男児よりも女児の方. *. P<.05. が社会化の度合が高いことがわかっ_ た。.

(13) 43. 母凝の養育態度と子どもの社会化 表8. エゴ・コントp-ル測定課題. ②≒,3-c. 出生順位別平均Z得点. 結果ほ表8に示す通りである。. 課. 主音iコン. 題. 分析をしたところ,有意差ほ認めら. 測定課題平均Z(SD). 出生順位. 48・6. 子(N-33). l. 49・5(4・45). 次子以下(N-41). i. 51・4. ど. れず,本実験からほ社会化の度合が. (4・32). l. 一人っ子(N-10) 長. IT位分額についセエ元配置の分散. 声+ル. F. 坦生墜匡製旦蛙壁. 出生順位によって左右されるとはい. I. いきれない。. (3・91). n・S・. n.ら.有意差なし. ②-3-d. 母親の職業有無別の比較. _L-・-▲・・・・-▼・--・◆------一-. サンプリソグに偏りがあるが,. I-.-・.▼・・--・l・・■・・・・・..I -・ ̄■. 表9 エゴ・コントロール測定課題. 母の職業有無別平均Z得点. 表9に示すように職業有無別平均 課. 得点の差についても検定を行った ところ,有意差ほ認められなかっ. 題. 測定課題平均Z. 母の職業. た。. ロ. ェゴ・コン′ト. ノレ. -. (SD). 有(N-6). 49.7. (4,47). 顔(N-78). 50.3. (4.27). n.S.. n.ら.有意差なし. @-3-e. 父の職業(手土塊塵 表10. 課. エゴ・コ'ソトp-ル測定課題. 結果ほ表10に示す通りである。. 父の職業接触多少別平均Z得点. 本比較㌢こおいても,サンプリング. 題. ロ. ユニゴ・コ:/ト. の偏りが問題となるところだが,千 どもとの接触の多い父と少ない父別. ー/レ. 脚定課題平均Z (SD). 父の職業. 接触多(N-12). 49.9. (4.10). 鞍触少(N;=72). 50.4. (4.31). 平均得点の差についてt検定を行っ たところ,有意差は認められなかっ n.ら.. た。. n.s.有意差なし. ②-3-f. 丞墜運塵旦担塵壁 結果は表11に示す通りである。. 表11エゴ・コントロール測定課題 家族構成別平均Z得点 課. 家族構成. 題. 母の職業,父の職業同様,本妻因 p. ヱ.ゴ・コント. 測定課題平均Z. も林の数量化によってその寄与度の. I-ル. 低さが明らかになっている。核家族,. (SD). 核家族(N-72). 50.1. (4.45). 核大家族(N=12). 51.3. (2.80). a.ら.有意差なし. 拡大家族別の平均Z得点の差につい a.S.. てt検定を行ったところ,有意差は 認められなかった。.

(14) 滝沢かおる・依田. 44. ②-3-g. 明. 幼稚園別の比較. 林の数量化によると,所属幼稚園は,性別,年齢につぎ,社会化の度合を説明する要 因である.本研究は,個人,幼稚園単位でデータを分析することを目的としていないo よって,以下,助推園別のデータ結果の詳細を記載することほしない。 ③考察-社会化の度合に影響を及ばす要因について一 社会化の度合が何によって規定されるかについて,今回その要因とした7変数から僅かが 説明されたにすぎず,社会化過程のダイナミズムがもつ複雑性を再認識することになった。 社会化とは,社会的要求,様々な役割期待を認知し,それを学習,実現していく過程で ある。そうした観点にたつ時,社会化の度合についで陸別の寄与度の高さほ何を意味する のであろうか。. 性別は出生と同時に運命的に割り合てられる生得的地位(ascribed. status)である。 加えて,一生変わることのない安定した地位であり,また,服装や外見などの手掛りから, 子ども側でも早期にその存在を理解できるものであがQ).今,述べたような理由から,千 どもの性役割学習は早くからなされる。小橋川は,彼の調査から4歳児になると,子ども は自分の性,他人の性をはっきり区別できるようになるといっているul)0. R.E.Horwitz. も彼の調査から幼児にとって,性別が最も早く自分と他を区別する手がかりになると報告 していが21.社会化の度合について,性別の寄与度が高いことも,同じように,早期から 性役割学習がなされているとして把えられよう。. 本実験から,男児よりも女児が社会化の度合が高いことがわかった。このことほ,社会 が女性という役割に社会化の度合の高さを期待している結果と推測できる。 性別に続く変数ほ年齢である。年齢も性別同様生得的な地位ではあるが,性別がもつ安 定性を欠く.いいかえれば,発達段階のちがいによって,その年齢にふさわしい行動が期 待されているのである。. 4歳児よりも6歳児の得点が高かったのは,社会化の度合という 発達課題が6歳児により多く期待されるためと予想される。 性別,年齢が社会化される側の属性であるのに対し,第3の変数である幼稚園は,社会 化のエイジェソトの1つとして位置づけられる。いうなれば,社会的要求を子どもに伝え. る検閲である。 4-6歳児にとって,幼稚園が出生順位,家庭環境変数よりも寄与度が高 いことをいかに解釈すればよいのだろうか.. 1つには,助推園が,社会化の度合を促進さ. せるような教育を行っていると考えられよう.それ以上に,幼稚園という集団で,子ども は性別,年齢に対する役割期待を認知しやすくなると解釈した方がよいのではないか。女 児は男児がいることで,. 6歳児は4歳児がいることでそれぞれ性別,年齢にふさわしい行. 動をとりやすくなるのであろう。 以上述べたことは,社会化の度合について,社会が性別,年齢別にどのような期待をも っているかを把えなければ断定的なことほいえない。また,幼堆園が社会化の度合を促進 させるような教育を実際行っているのかどうかも調査する必要があろう。 その他の要因ほ寄与度が低く,下位分類間紅ついても有意差が認められず,俊説を検証 することはできなかった.これほサンプ1)ソグの偏りに拠るところが大きい.佼説の検証.

(15) 45. 母親の養育態度と子どもの社会化. は次の機会の課題とすることにする。 1人っ ここでは,出生順位別についてのみ若干の考察を加えておく.出生順位別でほ, 子が下位分類中,社会化の度合が最も低いとされた.このことは家族内に自分の性別,午. 齢を意識させてくれるきょうだいが存在しないことに起因するのではないかo 社会的要求を伝える機関としての幼稚園の投書Ijbミ予想されたが,入園以前までに,子ど もは母親からしつけという型で社会的要免役割期待を伝達されているoそこで,次項で ほ母親のしつけ,社会化観を分析し,子どもの社会化の実際と母親のしつけ観との関係を 検討する。本項で得られた結果ほ母親の性別,年齢を意識したしつけによるものなのであ ろうか。. 2.母親のしつけ観について. ①分析方法 いかなる要田が母親のしつけ観に影響しているのか.そして,しつけ観ほ子どもの社会 CRPR 21項 化の実際といかに関係してるのかを検討するのが本項の目的である。まず, 目別の平均得点を被験者のそれぞれについて求め,次に,項目別の平均得点を林の数量化 理論Ⅰにより分析し,各変数の寄与度をみる。ここでの変数は(1)に同じであるo第2に, (1)で得られた得点(社会化の度 1変数をとり出し,下位分塀ごとの分析を行う。第3に, 合得点)とCRPR項目別平均得点の相関を求め,母親のしつけ観がいかに子どもの社会 (1)で社会化の度合が高いとされた児 度合化のに関与するかをみてみるoそして,最後に, 童と低いとされた児童別に母親のしつけ観を比較する. ②結果 ②-1母親のしつけ観に影響を及ぼす要因について 表12 CRPR項目別得点に関する数量化Ⅰ (影響度の高い上位2要因記載一項目4は全項目について影響度が低いため1要因のみ記載) 項. 目 1. 2. 4. 6. 5. 7. 9. 8. 10. ll. 壁_塵 A.午. o・276! 齢Io・253i 別. B.性 C.出. 生. 贋. 位. D.母. の. 職. 業. E.父. の. 職. 業. F.家. 族. 構. 成. G.助. 椎. 園I. o・. 0. 194. o・342! o・221l o・. 2391. 2711 10812701 1701 o・. o・. 0.289t 0.298L 0.3851 0.1671 0.35 o. 383! 0.395l o.471l o. 203l o.. o・. o.. 1801 o.3061 o.3751 0. 163I 0. 357. 0. 431. 0.408. 0. 461. 1631 0.166. 0. 212. 401t 0. 417l 0. 341l 0. 430f 0.404l. o.146! 0. 1561 o.2211 o.o411 o.160L 0. 173i 0.116E 0.1841. 0..

(16) 12. 変. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 齢. B.性. 別. C.出. 生. 噸. 位. D.母. の. 職. 業. E.父. の. 職. 業. F.家. 族. 構. 成. 椎. G.幼. o・. 0. 238 0. 1891 0. 260 0 219 0. 348】 0. 321. 0. 206 0. 223. 園】 o.3821. R2. o.494. o・. o・. o・. 行動,思考表出奨助項目. 2. 性的事項抑圧項目.. 3. アチーブメント強調項目 心配度項目. 0. 5351 0. 3931 0.377. o・. o・. o・. 0. 175[ 0.3321. 0. 142. A.. 5歳,. 4歳,. 0.2511. B.男,女. 7 8. 親子関係不良項目. C.一人i?千,長子,次子以下. 9. 肯定的感情表出項目 独立性,自主性奨鹿賀日. D.職業有・無. 12. 親であること-の満足度項目 理性的しつけ項目. E.接触多少. 13. 脅し塑しつけ項目. 14.. 16. 罰ほのめかし型しつけ項目 健康重視項日 早期しつけ強調項目. 17.. 子どもへの関与過度項目. 18.. 子どもより配偶者,自分を大切にする項目 保護項目 体罰拒否型しつけ項目 攻撃性抑圧項目. ll. 15. 19. 20. 21. 0. 448. o・. 0. 463. 0. 0. 214. 6歳,. 親の矛盾行動項目 親の権威行使型しつけ項目 子どもの行動監視項目. 10. o・ 386. o・. 369! 0・2711 268t O・307l 424l435l. 436! 419L577l o・501l lo・1681o・384lo・286 ・90! 154I. 1. 6. 21. 253I. 暮0.110. 0. 4111 0.620. 5. 20. 数. A.年. 4. 明. 滝沢かおる・依田. 46. F.核,拡大 R.墓相関係数. R2.重相関係数自乗. 表12において,項目ごとに7変数の説明率をみてみると,最も高い項目18. 「配偶者,. 自分を大切にする+についても33%を示すだけで,その他についてはさらに低い説明率 である。. 項目別の偏相関係数の値をみると,項目6. 「親の権威行使塾しつけ+が年齢の,. 「肯定的感情表出+が性別の影響を最もうけている以外は,所属幼稚園の寄与度が高い。 ②-2. 要田の性質について. ここでは,変数の下位分類別に,各項目の合計得点の平均とSDを求め,一元配置の. 9.

(17) 47. 母凝の養育態度と子どもの社会化. 分散分折およびt検定を行うことで,下位分類の性質を明らかにする。なお,数値は, (もっともよくあてはまる). 7. ②-2-a. (全くあてはまらない)として得点化してある。. -1. 各項目ごとの平均得点. 結果は図4に示す通りである。 C' R6 PJ5 旦 4. 乎3. 署… 項目 全体のM. (N-94). 2. 1. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 4.14 3.16 3.63 3.99 3.27 5.29 5.12 4.23. 5.02 3.20 4.35. 12. 13. 14. 15. 5.59 3.30 3.88 5.79. 16 17 19 20 21 .18 2.85 3.ll 4.05 2.66 2.90 3.63. 電 拒. 撃 性. 型 し. 庄. .7(もっともよくあてはまる) 1(全くあてはまらない). 葦薫享壷墓脚重要吾 表 出. 庄. ン. ト. 芸. 農. け. 度. 図4. 型. つ. 吉. け. 豊富. CRPR項目別平均得点. 幼稚園児をもつ母親ほ,子どもの健康に注意を払い,子どもとの暖かな心理的関係づ くりを大切にしつつ,子どもの独立性,自主性を育てるよう理性的しつけを行っている ことがわかる。. ②-2-b. 下笹分類別比較. 下位分類別に,各項目の合計得点の平均とSDを求め,一元配置の分散分折および検 定を行ったところ,性別比較で,項目9. 「肯定的感情表出+について5%水準で有意差. が認められた。結東は,女児の母親の方が,子どものことについてのんびり構え,また 暖かな心理関係をつくり,子どもの心を理解しようという姿勢をもっていることを示す ものであった。. その他の下位分類別比較(所属幼稚園別を除l()では有意差が認められた項目ほなか ったo. よって,個々の分析結果の記載を控えるo. 一律化されたしつけが子どもの社会化の度合にいかに関与しているかについては,次項 にて検討してみる。. ②-3. 母親のしつけ観と子どもの社会化との関係について. ここでは,全体の結果および(1)で社会化の度合に影響を及ぼす要因として明らかにな った性別,年齢別の結果をみることにするo 表13にみられるように,社会化の度合に関係があると認められたしつけ項目は経とん どなかった。. 全体的にみると,項目19. 「保護+と社会化の度合にやや負相関の債向がみられた..

(18) 48. 明. 滝沢かおる・依田 表13. CRPRとェゴ・コントロール測定課題平均Z得点との相関 課題平均Z得点. CRPR項目名. 全. 体. 年. l. 2.性的事項抑圧項目. -.o6. -.o9l -.051. l. 4.心配鹿賀目. 1. 5.親の矛盾行動項目. l. 6.親の権威行使型しつけ項目. l. 7.子どもの行動監視項目. l. 8.親子関係不良項目. l. 9.背走的感情表出項目. l -.17】. 10.独立性,自主性奨励項目. -.231. -.17l. -.00‡. .14E. -.21l. -.031. I.18. 16. 33. -.. 3.アチーブメント強調項目. .15. .o4 .10. I. .o2. I. I.18l l. .29 .16. .08l. .02l. I -.01l. -.01T. l. 17. .07. .011 .15. I l. 12.理性的しつけ項目. -.07. .17l. -.lot. .001. .12. i. -.23l .15l. I. .26. I. .08. 09. -0.5. -.27. -.22l. .16. 20. -.38. .151. -.24. .53'l_.34I. .32. -.15l. -.09r. -.18l. -.14l. -.ll. -.23I. -.03l. 16.早期しつけ強調項目. 17.子どもへの関与過度項目. l -.o3l. .05. l. -.03. 16 l. -.32. 02J. .07l. -.34l 05l -.47l. -.211 .08J .07l. 10.8l .42[. .32l -.lll. 01】. .12. -.14Z. -.22. 02. .ll. -.05. .17 -.17. .36l. -.24l. .12. .01t. -0.1l. .o7. -.17I. -.27. -.14l. .o9. -.05I. -.06I. +. 年齢別でほ,. 1.10. .2=. -.17. 1 -.lot. l. .10. -.07. l. 21.攻撃性抑圧項目. .14l. -.SOL. 15.健康重視項目. l. .14. -.20I. l -.12l. 20.体罰拒否型しつけ項目. -.02I. -.33l. 14.罰ほのめかし塑しつけ項目. 19.保護項目. .05. -.02l. I. I. .13. .29. l. .25. .06. 】. -.17. -.19. 13.脅し塑しつけ項目. 慧. .26 I.14l. o3l -.13f -.201. ll.親であることへの満足度賓日. 別. 性. 4 5 歳 6 歳 歳 男 児 女 児 (N=29) (N-29) (N -26) (N -39) (N ;講45). (N-84). 1.行動,思考表出奨励項目. 別. 齢. -.08 -0.4. p<.10. 6歳児の項目11に有意相関が認められ,親であること旺満足しているこ. とは,子どもの社会化の度合の高さと関係があることが示唆されたoその他については 有意相関が認められず,また,年齢的に一様な傍向をみることもできなかったo 性別についても有意相関が認められた項目はなかった。相関僚向があり,男女逆相関 している項目は9と11で,親の肯定的権威表出ほ男児には正に,女児にほ負に相関して. .20.

(19) 母親の養育態度と子どもの社会化. 49. いる傑向があったoまた,親であること-の満足度は男児にほ負に・女児には正に相関 している傾向がみられた。 以上述べたように,母親のしつ桝i,子どもの属性を強く意識してなされるものでほな いことが示唆された。 (1)の社会化の度合を測定する実験でほ,その度合の高い児童と低い児童がいたoそこで, 次項では,子どもの属性でほなく社会化の度合が低い児童(アソダー・コントローラー) と高い児童(オーバー・コソトローラー)別に母親のしつけ観を比較検討してみるoアソ ダー児,オーバー児ともに全体から25名を選び出した.その規準ほ以下の通りであるo アンダー児-潮定課題平均が,. 37.6-48・7点. オーバー児一測定課題平均が,. 53.0-58.3点. ②-4. アソダー児,i-パー児別比較. 各項目ごとにアンダー児,オーバー児の母親平均得点の差についてt検定を行ったと ころ,有意塞が認められた項目はなかった。よって,ここでほ数値を省略するo 子どもの社会化の度合は,母親のしつけ観によって直接的に規定されるものでほないと いう結果がこれまでに得られた.この結果は,東他の子どもの知的発達における個人差の 半分ほ母親の態度,行動の観察データから予測できるという報部笥を含め,母親のしつけ のあり方が子どもも発達に影響するという説とは異なるものである。 今回,両者間に関係が見出せなかったのは,社会化の度合そのものが,他の発達課題と 内容を異にしいるためとも予想できるo ③考察 ③-1. 母親のしつけ観について. 母親のしつけ観は,子どもの属性紅よって,大きく方略を変えるものでほないことが わかった。結果から浮びあがったしつけ観は理想的なものであり,子どもに振りまわさ れる教育ママ像とほほど遠いものである。しかし,ここで得られたしつけ観がはたして 母親の本音を反映しているかとなると疑問が残るoそれほ,しつけ観に最も影響を与え ている変数が幼椎園であるという理由による。 家庭が子どもにとって全面的な人間形成の場であった時代と違って,今日ほ,従来,蘇 庭がもっていた壊能を全うすることが難しくなってきている。この棟能低下をおぎなう という意図をもってスタートしたのが幼稚園である.しかし,今日の幼稚園は,情報過多 で,子どもをどう教育してよいかわからない母親に,ある種の安心感と育児から解放さ れた時間を捷供する機関としての位置づけが薮い。 1979年に総理府青少年対策本部が幼 稚園,小学生児をもつ1,230名を対象に行った調査によれば,子どものしつけ紅自信を もっている親は全体の40%に満たないという結果であったu勾.そのような親がいかに日.

(20) 滝沢かおる・依田. 50. 明. 常生活のなかで得られる情報に左右されやすいかについては,筆者他の調査が語ってい る。筆者らほ,奄美と横浜間で母親の幼児教育観に違いがあることを指摘し,それを属 する地域から得る情報量の差であると説明していがM6J.わが国における育児観の変遷 についてほ,詫摩らの調査が以下の報告をしている。現代の母親の育児に対する評価は 前世代の母親よりも否定的であり,自分の生きがいほ育児とほ別であると答えたものが. 全体の60%を占めていた。今,述べた調査結果を踏まえ,今回の結果を考察すると,理 想的しつけ像は幼稚園a刊からの情報の受け売り的要素が強いと推測できようo. 一律化されたしつけ観ではあるが,子どもの属性を意識した項目もみられた。そこで, 次に,その項目について若干の考察を加えることにする。 ③-2. 子どもの属性に影響される額目について. 男女別に有意差が認められた項目9. 「肯定的感情表出+ほ,女児に支持率が高い。女. 性に温和で,従順,こまやかであることを性役割として望むことほ,日本で定説となっ. ている。そのような特性を育てるために,女児にとって,. 9型しつ桝ま有効であるので. ほないか。このことは,幼椎園の情報によるものではなく,母親自身が望まれた社会的 要求を娘に望み,それがしつけ観として表われていると考えられる。 (3)-3. 母親のしつけ観と子どもの社会化との関係について. (1)で,社会化の度合は男児よりも女児に,. 4歳児よりも6歳児に要求されるものであ. ろうと推測した。そして,その要求を伝えるエイジェソトとして幼稚園と母親を考え, 母親のしつけ観と子どもの社会化の度合との関係について分析を行った。結果は両者間 には一様な懐向がみられないというものであった.そこで,ここでは,子どもの社会化の 度合が,何故母親のしつけ観によって説明できなかったかという点から結果を考察する。 一つは,一律化された母親のしつけ観にその理由が求められるo浮かびあがったしつ け観ほ幼稚園情報のうけ売り的要素が強く,本音のしつけ観を反映していなかったよう であるo. これほ,被調査者が幼稚園によく足を運ぷ教育熱心な母親であったこ七と, 分類法の手続き上の問題に起因しよう。前者についてほ,教育熱心な母親であるため助 堆園情報を自分の中に,取り入れる度合が高いことが予想できる。後者についてほ,母 親が今回用いたQ分類法に馴染んでいなく,自分のしつけ観とカードの内容を照らしあ わせるよりも,カード枚数を調整することに気をとられてしまい,そうした時に助椎園 情報が調整の規準になったのでほないかと思われれるo ●. ●. ●. もう1つほ,社会化の度合を現時点の母親のしつけ観によって説明しようとしたこと 自体に無理があった。. 新生児にとって,母親は,自分の手足,自分の延長である。しかし,成長に伴って, この自他未分化の状態が分化されていく。その第1の気付きを乳児ほ授乳場面で学習す るo生後1カ月以内位までほ,乳児は欲しい時に欲しい分量だけ授乳される。しかし次. Q.

(21) 母親の養育態度と子どもの社会化. 第に,泣いても授乳されなく我慢しなければならない場面に遭遇する。こういう場面の積 み重ねにより,乳児は母親が自分の思い通りにならない存在,他者であることを知る。さ らに,乳児ほ母親に代表される他者との関係の中で,相手の期待を能動的に学習する力を も養ってゆくのである.こうした個人のヒストリーをもって幼児は幼稚園に入園してくる. 6歳児において,親であることに満足していることは,子どもの社会化の高度と関係が あるという結果が得られた。これは子どもの社会化の度合が高くなったので,親であこと. に満足できるようになったとも解釈できる。この様に,子どもの発達ほ常にヒスト1)-杏 もった幼児と発達を促す担い手との関係の中で把えられるべきものである。今回のしつけ 項目は,そうした母子関係のヒストリ、-を反映できなかったと想像される。 加えて,社会化の度合の発達が他の行動パーソナリティ特性のそれと幾分内容を異にし ているためとも考えられる.先に述べたように,最初に,子どもが自分の思い通りになら ない他者を前に我慢を学ぶのは授乳場面である。これは,子どもの社会化の第1歩といえ る。このように,社会化の度合は,新生児期から人間の本能的行動をコントロールする基 本的習慣獲得場面において,自分の内におこる衝動性と他者の期待との調整を行うことで 発達していく。空腹のたびに,乳児ほ自己の衝動性と母親の意図との調整を行うわけであ る。本能的な部分に関わっているだけに,その衝動性の出現率は高い(1日のうち,空腹 になることが何度かある)。また,その衝動を何とか乗り越えようということで,子どもの 場面-の能動性が喚起されやすくなる。 これまで述べたように,社会化の度合は,子どもの出生時からの自己,他者との関わり 方の全ヒスト1)-を反映している.そのことが,他の行動,パーソナ1)ティ特性の発達の 様相と大きく区別される所以であろう。そして,そうした違いを認識しないで,他の行動, パーソナリティ特性を把える様に現時点の母親側に認知可能なしつ拝観軒こよって,社会化 の度合を説明しようとしたことに無理があった。 Ⅴ. お. わ. り. に. 1.調査から明らかになったこと 社会化の度合が何によって規定されるかについては,今回その要因としたり変数から僅 かが説明されたにすぎない。しかし,その中でも性別に最も影響をうけ,年齢がそれに続 く。. 性別,年齢の寄与度の高さが何を意味するかについて,筆者らは以下の解釈をした。 性別も年齢もともに生得的地位であるため,子どもほそれらがもつ役割期待を早くから 学習しやすいo一日本でほ,男児よりも女児に,. 4歳児よりも6歳児に高い社会化の度. 合を望むことが予想された(検証にほ調査が必要である).母親は,子どもの出生時から,そうした子どもの性別,年齢を意識したしつけを行って いるものと思われたo. しかし,母親のしつけ観を調査したところ,子どもの属性を意識し. たしつ桝ま行っておらず,むしろ,幼稚園の影響を多分にうけ,理想的しつけをしている. 51.

(22) 滝沢かおる・依田. 52. 明. という結果であった。 何故,子どもの社会化の度合を母親のしつけ観によって説明できなかったかについては, 2つの理由が考えられた。. 1つほ,しつけの拠り所をもたない母親が,幼稚園からの受け売り情報を反映させやす い調査法であったことに原因が求められた。. そして,もう1つほ,社会化の度合を現時点のしつけ観と関係づけて考えようとしたこ とに無理があった。. 社会化ほ,授乳時の母親との関わり方を第1歩に,その後も,乳児が基本的欲求の表出 を社会が望む方向に近づけることにおいてなされていく。つまり,乳児は,本能的習慣獲 得場面において,自分の内におこる衝動性と他者の期待との調整を行うわけである。そラ した意味において,社会化の度合は,子どもの出生時からの自己,他者との関わり方の全 ヒストリーを反映しているといえる。また,基本的欲求と結びついたところで獲得されて いく社会化の度合ほ,他の行動,パーソナ1)ティ発達とその様相を異にすることが推測さ れた。. 社会化を阻害する条件を含んだ出生順位等の要因は,サンプリングの偏りもあったため, 社会化の度合に影響する要因ではないという結果であり,佼説ほ検証されなかった。この 結果に関しては,模会を改め,調査する必要があろう。 2.今後の課題. 社会化の度合が何によって規定されるかについて,. 7変数を用いて,その説明を試みた. が,充分説明できなかった。これは,社会化過程の複雑さにも起因するが,それ以上に, D. C. Jones他は子どもが報酬遅滞場 筆者らの変数選択に欠陥があったためと思われる。 面にある時,母親がその場面で子どもにどう行動するようにすすめるかを調査し,結果の 違いを母親の学歴に起因するとしていが砂o. Jones他の報告の例のように,母親の学歴は. 子どものしつけ観を何らかの形で左右するものであらるしい。母親の学歴についてだけで なく,階層差,その他についても細かな配慮が必要であった. また,社会化を阻害する条件についても,きょうだい数が多い,少ない,あるいは,核 家族か拡大家族かという表面に表われた違いを拠り所軒こ比較するだけでよいのかという問 題がある。早川他ほふたりきょうだいにおけるきょうだい関係について,. 1965年と1981年. に調査を行い,その変化を指摘している。その報告によると,きょうだい関係は前回調査 時よりも希薄なものになっているというu功o 早川他の報告は,きょうだい関係がななめの 人間関係を学習できる場としての役割を果たさなくなってきていることを示唆している。 このようなことを考慮すると,家庭内の関係を反映する変数を選択しなけれぱならないこ とに気付く。 ●. ●. この関係ということに着目すると,母親のしつけ観も子どもとの関係を把える調査でな ければならないことがわかる.特に,社会化の度合が子どもの出生時からの自己,他者と ●. ●. の関わり方の全ヒスト1) -を反映していることを考えると,母子関係の中でしつけを把握.

(23) 母親の養育態度と子どもの社会化. 53. する必要を感ずる。 5つの課題を用いて子どもの社会化の度合を測定したわけだが,はたして,そこで得ら れた数値が筆者らの定義する社会化の度合をどれ程反映しているかについても疑問が残る ところであるo実験場面は,実験者(幼児にとっては教諭と同じ存在)と幼児の2人で構 成されている.先生がいったことをきちんと守るように教えられている幼児は,発生と同 存在である実験者の教示を素直に受けとりやすい。幼稚園児をもつ親の言葉によると,幼 じ椎園児にして,既に,外の顔と内の顔をもつという。子どもの日常性を生態学的レベル からも把える必要があった.三宅注22)が第24回教育心理学会(1982,筑波大)での発達関 係のシンポジウムで,児童理解に,実験室場面からのアプローチと生態学的アプローチが 必要であることを述べていた。今後,そうした方向が必らずやとられなければ,ナマの子 どもを把えることはできないであろう。. 今回,幼稚園が母親および子どもにとって多大な影響を与える存在であることがわかっ た。家庭でほなく,幼稚園という枠組の中で,教諭を仲介に母子関係が展開されている観 があるo幼稚園の教育方針がいかに子どもに影響を及ぼしているかを今後,調査する必要 がある。. それまでは手のかからない「よい子+であったのに,家庭内暴力,登校拒否児として周 囲を困らせるようになる児童が多いという(一番苦しいのは自分自身であろうが)o 彼らの幼稚園時代に本実験を課したら,全課題とも社会化の度合が高く得点されるよう な気もする.本給黒から浮かびあがった家庭教育不在,幼稚園という枠組で教諭を仲介に 母子が向き合っていることは,いわゆるよい子を増加させる原因になりそうである。親は 親として,確固たる精神的拠り所をもち,子どもを教育する立場であってほしい。教育を 学校だけに任せきるのでほなく,コミュニュティ・ケア,社会教育の方向が見直されるべ き時であろう。. 〔付記〕 本研究の実施にあたっては,. California大Berkeley校Blockプロジェクトから多く. BlockプpジュクトのPer G3erde の資料提供をうけました.東京女子大学相木恵子先生, 氏にほ多大なご協力を,また,本学大学院生の坂東清美さん,筆者らのゼミ生にもお手伝. いいただきました。. CRPRの日本語訳は途中まで都立大大学院生の佐山,塩崎両氏と協. 同作業にて行いました。この場にて,皆様に厚く御礼を申し上げますo なお,本調査協力幼稚園は以下の通りです。記して謝意を表します。 東京 どんちゃか村幼推園目黒教室 大田区立兼粍谷幼稚園 横浜. どんちゃか村幼推園横浜教室 桜ケ丘幼稚園本園,分園 天王院幼稚園.

(24) 滝沢かおる・依田. 54. 明. 君菓幼稚園 横浜市立竹山南幼椎園 麗沢幼稚園. 柏. 参考文献 相木恵子,円テストによる子どもの自己統制-その測定法と心理学的意味-,母窺および父親. の態度,行動と児童の心理学的発達に関する研究,社会福祉法人責生会社会福祉研究所, 1983 柏木恵子,子どもの「自己+の発達,東京大学出版会, 1976, 106-127 菊池章夫,社会化,児童心理学の進歩, 1976年版,金子書房, 65, 1974 教育と医学の会,現代における社会化,教育と医学, 1974 斉藤耕二他編,ハンドブック社会化の心理学,川島書店, 佐藤カツコ,親子関係と子どもの社会化,教育社会学研究, 31,東洋館出版社, 1976, 1970, 168-207 高橋均,社会化,児童心理学の進歩, 1970年版,金子書房,. 1979, 13-22. 17-28. 注. 1). Block E・Lewin. &. Blockほ,. S.. Freud. (1920)の精神分析理論(Psychoanalytic. theory)と, theory)を統合し,エゴ・コントロール(ego・. (1935)の力学説(dynamic. control)という概念を提唱した。 良 Blockほ,エゴがいかに行動を調整するかは,個人のパーソナ.)ティの分化度,額 Block 城間の境界壁の厚さによって決まるとしている.その分化度,境界壁の厚さは,社会規範,両 親の価値体系を反映するものであると述べている。この意味において,分化度,境界壁の厚さ 紘, Freudのいうスーパー・エゴ(super-ego)に通ずるものがある。 ●. ●. Block. Freudのスーパー・エゴほそれがもつ機能を説明している.一万, ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. &. Block. のいう. ●. 2). 分化度,境界壁の厚さは行動する主体の行動様式一天際にどう動くか一に焦点があてられ & Block理論の実際はエゴ・コントロール Block ている。その点において両者ほ区別され, 皮,エゴ・リジ1)エンシイ(ego・resiliency)度として人間の行動表出から査定可能なもの である。それらの度合ほ,社会化の度合と内容を同じくする。 父の職業は日頃,子どもとの接触の多い群と少ない群軒こ分けた-その判定は担当教諭によ. 3) 3). California大Berkeley校:. 4) 5). 引用文献(6)参照 児童のエゴ・コントロール度を正しく把えるためには少なくとも, 4課題を実施することが必 要であると栄国の結果から報告されている。 ここでの予備実験は,実験をEf本譜版にし,児童の反応をみることで,適当なワーディング, 用具を選択するためのものである.なお,この期に,幼稚園教諭の考えも参考にしたo 実験者の接し方が実験に大きく影響を与えると思われるバ1)ヤ・プロt,ク・ボックス課題,好 奇心箱はすべて筆者らが実験者になった。 栄国の実験では,おもちゃを包装,米国側から了解を得て,日本ではお菓子を包装した。. る-. 6) 7) 8) 9). 以下,全課題に対して,. America. Z得点を課題円の項目ごとに算出した後,その得点を合成したものを. 課題数で割り,被験児のエゴ・コントロール得点とした。得点が高いはど,オ-バー・コント ローラ(社会化の度合の高い人)を意味し,低いはどアンダー・コントローラーを意味す る。. 10). 得点が低いほどオ-バー・コントローラー,高いほどアンダー・コントローラーを意味する項. ll. 目のため, Z得点変換時に配慮を必要とする項目。 予備実験にて,児童の反応をみて決めたもの.. 12. 表3参照. 13. 引用文献(6)参照.

(25) 55. 母親の養育態度と子どもの社会化 5分経過後,ブロックが穴に入らない理由を説明し,子ども. 14)評価時間内に諦めなかった時は, の頑張りをはめ,実験を終了する。. 表3参照 引用文献(6)参照. 15) 16) 17). Benta,. T.. J. Test. Autonomy. Test. for. the. evaluation In Cognitive. Battery・. of. early childhood Studies, Ⅰ. 1968.. ド3に洗濯機のスウィッチをとりつけ. 何もないサイドにブザー,箱の申にドライバー,サイ. 18). California. : The. edtlCation. る。 Block,. 19). J. H. The. description. of. parental University. Development,. Practice. Child-rearing. socialization of California. Report. (CRPR). attitude 1965・. and. :A. items. SetofQ Institute. values.. for. the. Human. of. Blockの分類による 以下,特別に言い換えない限り,エゴ・コントロー)I,度と同義に使用するo 北海道大学. 20 21 22. 引. 用. 文. 献. 1. 細川幹夫,社会化・(Socialization)の諸概念,麗沢大学紀要,. 2. 細川幹夫,前掲書. 3. portman,. ll,. 72-88. 1971,. A.高木正孝訳,人間はどこまで動物か一新しい人間像のために-,岩波書店. 1961 4. 遠藤辰雄,社会化の病理,教育と医学,. 5. Block,. ∫.Lives. Block,. J. H.. 6. 2:ation of Social and. &. through. time.. Block,. behavior.. J., The In. Relations. W. : The. A.. 65,. Bancroft role of Collins. Minnesota. 1974,. 60-66. Books,. 1971. ego-control and (Ed.), Development Symposia. on. in ego-resiliency of Cognition,. Child. the. organiAffection,. Psychology,. 13, 1980,. 39. ・-101. 1 (現代のエスプリ別冊 ①家 (7)高橋勇悦,家族は不滅か,松原治郎編,家族とほ,家庭とは, 族の社会学)至文堂, 1982 8) 山村賢明,現代の親子関鼠松原治郎偏 しつけ(現代のエスプリ, 113)至文堂, 1976 1978 9) 依田明,家族関係の心理,有斐閣新書, 川島書店, 1974, 1Q) 深谷和子,性役割の学習,斎藤新二他編著,ハンドブック社会化の心理学 175-191 1969,. 8,金子書房,. ul)小橋川蕎,性差と性役割の獲得,桂広介他監,児童心理学講座,. 139-. 184. n2) Horowitz,. R. E., A. Journal. children.. Pictorical of. Genetic. for method Psychology,. study 62,. of 1943,. in. self-identification. pre-School. 135-148. 19配 (13) 東洋飽,母栽の態度,行動と子どもの知的発達,東京大学出版会, 1979 u4) 線理府青少年対策本部,家庭のしつ桝こ関する調査, 7, u5) 依田明飽,横浜市軒こおける幼児教育の実態,横浜国立大学教育紀要,. 1979,. 39-55. 任6) 依田明飽,奄美大島,名瀬市における幼児教育の実態,横浜国立大学教育紀要,. 18,. 1978,. 12,. 1976,. 193-207. q7) 詫摩武俊飽,わが割こおける母性意識の変遷について,安田生命社会事業団年報, 108-123. (18) Jones,. D.. strategies. C.. et. Among. Child-Rearing Practices al. Maternal and Preschoolers・ Developrrlental Psychology・. Social 16-3. 89)早川孝子他ふたりきょうだいにおけるきょうだい関係,横浜国立大学教育紀要, 81-・91. Problem・Solving I. 1980,. 241-242. 23,. 1983,.

(26) 滝沢かおる・依田. 56. 付. 表. CRPR. 明. 項目分類別. (*逆転項目). 1.行動・思考表出奨励項目(4) 21.わたしほ,子どもが自分で人生とほ何かと疑ったり考えたりすることを子ども紅 奨励しています。 24.子どもほ,じっと考えたり,空想にふけったり,時にはごろごろしたりすること. が必要であり,大事だと思います。 45.子どもが何事にも好奇心をもち,探索し,疑問をもつことはいいことだと子ども にすすめています。. 53.困ったことは,何でも話すように子どもにいっていますo 2.性的事項抑圧項目(4) 9.男の子と女の子ほ幼くても,お互いの裸をみてはいけないと思いますo 57.わたしほ,子どもが性について尋ねた時,それに答えるのは嫌いですo 63.親の愛情ややさしさも皮を越すとむしろ有害で・子どもを弱くしてしまうことが あると思います。. 86.子どもが充分理解できるようになるまでほ,性についての知識を教えるべきでは ないと患います。. 3.アチーブメント強調項目(6) 2.わたしほ,子どもにいつもペストを尽くすようにといっていますo. 17.子どもが他の人の前で行動するのは,良い訓練だと思います。 33.わたしほ子どもに大いに期待をかけています。 59.他の子よりも上手に出来るようにと,子どもを励ましてやるペきだと思いますo 71.わたしほ,競争的なゲームをするのは子どもにいいと思いますo 74⊥わたしほ,自分の子が他人にいい印象を与える子であってほしいと思いますo 4.心配度項目(2) 28.わたしは,子どもが将来出会うかもしれない悪い事や悲しいことを心配していま す。. 68.わたしほ,子どもの健康が気がかりです。 5.一貫性項目(2) 16.わたしほ,子どもとした約束を忘れてしまうことがありますo 50.わたしは,子どもを実際に罰することほあまりしないで「そんなことをしている と,おかあさんほ怒りますよ+と脅すことの方が多いのですo.

(27) 母親の養育態度と子どもの社会化. 6.親の権威行使型しつけ項目(9) 14.わたしは,体罰はしつけの最良の手段だと思います。 15.わたしは,子どもといえども公の場所では,きちんと静かにしているベきだと患 います。. .27.わたしは,子どもに先生の悪口をいうようなことはし許しません. 31.わたしほ,子どもが親に向かって怒ることは許しません。. 43.子ども用に厳しいほっきりした規則をもっています。 54.わたしは,子どもは親に秘密をもつベきではないと思いますo 55.わたしは,いつでも自分の感情をコントロールすることが大事だと子どもに教え ています。. 64.しかったり,批判することが子どもに有益だと思います. 70.わたしは,親がきめたことに子どもが口をほさむことを許しません。 7.子どもの行動監視項目(2) 76.わたしほ,子どもがどこで何をしているかをいつも知っているようにしています。 91.わたしは,大人の目の届かないところで,子どもたちだけで長時間遊ばせるのは よくないことだと思います。. 8.親子関係不良項目(3) 5.わたしほ,子どもに腹をたててしまうことが時々あります. 32.わたしほ,子どもには少し失望しています. 69.子どもとわたしとの間にほ衝突することが多いです。 9.感情表出項目(6) 11・子どもが怖がったり/,どうしていいかわからなくなっている時にほ,慰めてやっ たり,子どもの心を理解してやるべきだと思います。 18.わたしは,抱きしめたり,キスしたり,抱っこしたりして子どもにわたしの愛情 を示します。 34.わたしは,子どものことに関してはあまりくよくよせず,のんびり構えていますo 40.わたしほ,子どもとふぎけたり,遊んだりします。 42.子どもとわたしとは,暖かく親密な時をもつことがあります。. 58.わたしは,自分の子どもに腹をたてている時,それを子ども紅わからせます. 10.独立性・自立性奨励項目(7) 1.わたしほ,子どもの考えを大切にし,子どもが自分の考えを表現するように励ま します。. 6.子どもが困っている時,わたしは,す(tl手を出さずできるだけ自分で解決させる. 57.

(28) 58. 滝沢かおる・依田. 明. ようにしています。. 22.わたしほ,家族全体の計画をたてる時,いつでも子どもの希望を考慮することに しています。. 26・わたしほ,子どもにいろいろなことを自分自身で決めるようにさせていますo 41・わたしは,子どもに家族の一員として責任と義務をかなり課しています. 67.わたしは,自分のしたこと中こほ,自分で責任とるようにと教えています. 75・親であるわたしから,子どもが独立していってくれるようにとJbがけています.. ll.親であること-の満足度項目(3) 19.子どもはわたしの大きな生きがいの1つです。. 62.わたしは,家中子どもでいっぱいという様な雰囲気が好きです。 77.わたしは,子どもと長い期間一緒にいることは,おもしろいし,教育的だと思い ます。 12.理性的しつけ項目(3). 38・わたしは,子どもが悪いことをした時,くり返しわけをいいきかせてやります。 51・子どもが悪いことをしたときに叱るよりも,よいこと紅対してほめる方が,より 効果があると思います。. 52.子どもが何かに取り組んだり,それを達成することを,わたしが喜ぶことを子ど もはよく知っています。. 13.脅し塾しつけ項目(2) 29・わたしは,子どもに悪いことをしたら必ずばちがあたると教えています. 83・わたしほ,子どもに起こりそうな悪いことや良くないこと,大変なことを話して やって,子どもにいうことをきかせます。. 14.罰ほのめかし塾しつけ項目(3). 47・わたしは,子どもに自分の恵まれていることに対して感謝の念をもつようにとい つも話しています。 65・わたしが,子どものために大変な犠牲を払っていることを子どもは知っていてい いと思います。. 73・子どもが悪いことをした時,わたしがどんなに恥ずかしく,がっかりするかを, わたしは子どもに教えます。. 15.健康重視項目(3) 8・わたしは,子どもの食べる物や食べる時刻を気にしています。 87・わたしは,子どもが外で遊んで,新鮮な空気をたっぷりすうことは,とても大切.

(29) 母親の養育態度と子どもの社会化 なことだと思います。. 88.わたしは,子どもがよく食べ,喜んで食べているのをみるとうれしくなります。 16.早期しつけ強調項目(3) 49.排便のしつ桝まできるだけ早い方がいいと思います。 78.わたしは,母乳にしろ,人工栄養にしろ,ぎきるだけ早く離乳すべきだと思いま す。. 82.泣かないように小さい時からしつけるべきだと思います。 17.子ども-の関与過度項目(4) 23.わたしほ,子どもがあまりにも早く成長するのは残念だと思います。 25.子どもをしかるのは苦手です。 36.わたしは,子どもを甘やかしがちです。. 48.わたしほ,子どもにかまけすぎていると時々思います。 18.子どもより配偶者,自分を大切にする項目(3) 3.わたしほ,子どものいうことよりも夫(秦)のことを優先します。 72.わたしは,子どもと離れた自分だけの時間が少し托しいと思います。 *80.わたしほ,子どもを日頃親しんでいない人にあずけてまで,一日家をあけること はありません。. 19.保護項目(4) 12.自分の考えとは意見や価値観が違う人たちと,自分の子ほ付き合わせないように しています。. 13.乱暴な遊びをしたり,危ないところで遊んだりしないように子どもに注意してい ます。. 20.失敗するかもしれないようなことは,子どもにさせない方がいいと思っています。 *44.子どもが大きくなって新しいことを試したい時にほ,できるだけそういう横会を つくってやるべきだと思います。. 21.体罰拒否型しつけ項目(2) 7.悪いことをした時,子どもを1人にしてしばらく放っておきます。 60.わたしほ,もらえるはずのごぼうびをやらないという罰しかたをします。 22.攻撃性抑圧項目(3) 4.わたしは,自分の子が友だちにいじめられているのをみると,子どもをかばいま す。. 59.

参照

関連したドキュメント

教育・保育における合理的配慮

【通常のぞうきんの様子】

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

どんな分野の学習もつまずく時期がある。うちの

ユース :児童養護施設や里親家庭 で育った若者たちの国を超えた交 流と協働のためのプログラム ケアギバー: 里親や施設スタッフ

 親権者等の同意に関して COPPA 及び COPPA 規 則が定めるこうした仕組みに対しては、現実的に機

口文字」は患者さんと介護者以外に道具など不要。家で も外 出先でもどんなときでも会話をするようにコミュニケー ションを

 ファミリーホームとは家庭に問題がある子ど