低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究
著者
徳広 育夫, 片野 博
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
21
ページ
87-113
別言語のタイトル
A STUDY ON CONSTRUCTION AND STRUCTURAL DESIGN
FOR LOW STORIED MULTIPLE DWELLING HOUSES
低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究
著者
徳広 育夫, 片野 博
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
21
ページ
87-113
別言語のタイトル
A STUDY ON CONSTRUCTION AND STRUCTURAL DESIGN
FOR LOW STORIED MULTIPLE DWELLING HOUSES
低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究
徳 広 育 夫 ・ 片 野 博
(受理昭和54年5月31日) ASTUDYONCONSTRUCTIONANDSTRUCTURALDESIGNFOR LOWSTORIEDMULTIPIEDWm』ⅢNGHOUSES IkuoToKuHIRoandHiroshiKATANo Theauthorsstudiedtheconstructionsystemandstructuralcharactersforlowstoried multipledwellinghouses,andanewprefabricationforthem・ Ourproposedsystemhasthefeaturesasfollowing; 1)Astherearenotsomanystructuralelementsinahouse,thespacesofitaredivided bylightpartitions,accordingwithneeds、 2)TheboxedConcretethatareopentwo-sidesandsetincontrolledareaofahouse,are stockedascheckerboadtostories,andcanbeprefabricatedeasily、 3)Itispossibletogetahighqualityofoutdoorspacesbyarrangingblocks・ While,theresultsofaexperimentalandtheoreticalinvestigationregardingthestaticand dynamiccharacteristicsofthepanel-wallsaredescribedherein. 1 . 緒 言 近年,建築の工業化が進められ,鉄骨・木質・コン クリート系等のプレハブ住宅が多く建てられている. しかし,_生産性の向上,高度の技術,コストの安定, 精度の向上などを目標にした建築の工業化の確立には 多くの課題が残されており,住要求の多様化を考え合 せると,今後の研究.開発も多難な途をあゆむ.1964 年のアラスカ地震ではプレキャスト製の柱,梁および スラブによって構成された建物が部材相互をつなぐ現 場溶接部の破断によってばらばらになってしまった. 地震国である日本ではこうした耐震性が無視できず, 在来工法によって現場施工された鉄筋コンクリート造, 鉄骨造と同等以上の耐力をもつように研究されている. 本研究は昭和51年度,財団法人「住宅部品開発セン ター」主催による「躯体建設システム開発における試 作企業募集」に応募・試作した’作品の建築計画・構 法・力学的特性を明らかにし,今後のプレキャストコ ンクリート集合住宅改良への指針とするものである. 2 . 設 計 条 件 この設計競技は①住宅生産の工業化,合理化に伴う 躯体と内装の分離を行い,合理的な躯体建設方法を開 発し,②住要求の多様化に対応できる規模・住戸形式 の確立を図り,③新しい公営住宅建設システム(低層) を提案することにある.従来公営住宅の量産方式であ ったリブ付パネル組立の簡平・簡二住宅が住要求の多 様化,規模の不足,設備の不満などから対応できず陳 腐化してきている.また低層集合住宅といっても住居 専用地区内の高度制限10mを積極的に活用し,敷地内 に有効なオープンスペースを設けるためには3階建の 新しいシステムの開発が不可欠である. 設計条件は遵守すべき「基本条件」と主催者側から の要望事項である「要望条件」の2つに大きく分けら れていた.基本条件は次の通りである. (1)容積率は50∼60%が可能なこと. (2)2∼3階程度とし,高さ10m以下とする. (3)異なる住戸規模,平面型の複合が可能である こと. (4)色々な規模の住宅を実現することが可能で, かつ公営住宅として使える規模を含むこと. −50,60,70,85,100,2型 (5)躯体システムの提案であり,内装・設備・シ ェルター等のディテールは含まないが,これ らとの関連を明らかにしておくこと.面I主屋
鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) 和 ロ1 (6)生産方式の合理化によって品質/コストの向 P朕 上が図られるようなシステム提案であること. 従って,プレハブ方式を含むが,プレハブに は拘泥しない. (7)工業化部品導入する場合は,必要な基準線. 基準面寸法調整の指定を明確にしておくこと. (8)商さ方向に関しては,主たる基準線,基準面, 寸法調盤範囲の指定を明確にしておくこと. (9)その他建設コストに関して 以上の条件は今迄のように全国一率に規模,間取, ロ1 ⑨山守雨cc函[ロ甲西、 。つい﹄ 子 供 部 頓一・円 図 1 団 地 構 成 例 2850 誉斎度
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88 図 2 試 作 住 宅 の 平 面 図 1階平面図(65.7,2):3K 2階平面図(58.4,2) 2.3階はメソネット形式:4LDK(101.2,2) 3階平面図(42.8㎡) 今回内装工事は実施していない。誰
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L−−L 子 供 部 「ー−1 つ唖[ lll Ll ご唖②品 和室間に変化を与えることが可能である. また,昭和52年9月20日発刊された「公共住宅.標 準設計新系列(N・P.S低層)解説書」(発行:住宅 部品開発センター)は新しい低刷集合住宅のあり方と, 技術上の解決方法について扱っているが,その中で低 屈集合住宅が兄直された理由として, (1)地域特性に合った住宅形式の1部として低i1 住宅が迅的に見直されている. (2)公営住宅の建設方式が地域社会の形成過程の 一部を担う事業に変質している. 小鋭模分散配置型=計画的ミニ開発 (3)低咽住宅のもつ生活の質が評価されている. →独立住宅の魅力=土地,土に対する愛着 (4)家族描成の変化と,住宅の可変i性の問題が物 理的にも容易・である. (5)「景観づくり」ができる.(街並づくり)→居住 者による庭づくりが都市づくりを可能とする. 低層集合住宅のメリットとしては, (i)接地性=住戸内の生活空間が中高層に比べ雌 かで・魅力的である.→Ⅱ常生活の領域が豊か になる. (ii)住棟椛成がヒューマンスケール=既存市地と のlil化が容易 (iii)住戸平面計画の制約が少ない.→配置計画が 容易,ミニ開発が可能となる. (iv)増築の可能性が大きい.→長期的な視点に立 った供給計画ができる. と述べている. 今回提案したシステムが低届集合住宅の特質を|111拠 まで満足させていたか,開発の主たる着眼点の置かれ 方は次の〔システム概要〕に示す内容となった.ミニ 開発や敷地の条件に対応するためには部品の単位を 1.90m前後にとり調整機能を商めている(B).小規 模開発に伴う前面・輸送道路の狭小化に対しては部1W, の大きさを4トントラックに納まる単位に設定したが, 揚重機器の大型化を生じさせ今後の改良の余地を残し て い る ( A ) . 低 咽 集 合 住 宅 の 持 つ 土 地 へ の 愛 着 は 接 地型住戸,メゾネット型式の採川によるテラス(屋上) 利用の積極化により目的を達したと考えられる. 〔システム概要〕 (A)コンクリートボックス,耐力壁,床版により 躯休を構成する.(全ての部品は4トントラ ックに積載可能) (B)住戸の奥行は1.90mが単位のため奥行の調整 89 図 3 完 成 し た 試 作 住 宅 ( 筑 波 学 園 都 市 ) 3 . 住 戸 計 画 3.1.低層集合住宅の特性 低層集合住宅の特性として,型別供給の推進化,住 戸の位置の特性(eg接地階,最上階,妻側)を十分 に活かし,画一的な表情を避け,豊かな外部空間をつ くり出し,異なる住戸の複合形態,屋根の形が外部空 デザインが決められ,豊かな住空間の構成を阻害して きたことへの反省から,地域の環境,生活習慣,生産 条件の特異性を前提とし,それを満足させる新しい住 宅建設システムの提案に大きなウエイトが占められて いる.そのためには全てを部品化し,工場生産する高 度なプレハブ化だけでなく,何らかの点で地域の実情 に応じた生産の合理化が図られていれば良いとも説U] されている. これらの点をふまえた今回の一連の開発は出発時点 で建築・構法,設州・構造計画等広範囲な分野を対象 とした完全なシステムを求めることでなく,試作段階 までは主に構造上の可能性を検証しつつ,部品製作, 施工技術,誤差等,問題点の所在を探ることにあった. 図2は本システムを筑波学園部Iljにて試作建設した ものの平面図である.1階から3K,2,3階がメゾ ネット形式の4LDKタイプである.低層集合住宅の 躯体建設システムが主眼であるが,1階のみ内・外装 工 覗 が 施 さ れ て い る . 図 3 参 照 巷 癖鋳 徳広・片野軒低層集合住宅の構法と構造計面に関する研究
…
1)フロンテージ側に2居§ 路または収納スペースを; 2)通路または収納スペー‘ 居室の間に置く 3)構造を考え通路,収納ノ スの部分に戸坑壁間の中1 体を設ける 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) J〃 901
今フ により住戸規模の異なるタイプが構成できる. また,住戸のフロンテージは6.3m型と7.2m 型の2種類できる. →(i)住戸の形は矩形,雁行形の2種類が可能 (1.90m単位の凹凸ができる。) →(ii)住戸の積重ねが1.90単位でセットバック可 能(異る住戸規模タイプが積重ねできる。) →(1)住棟の形が多種多様に構成(設計)できる. →(2)外部空間に変化が生まれる. →(3)敷地(大きさ,形が異る)への住戸(棟) 配置が容易にできる. 3.2.プラン及びバリエーション 前述のシステムは次のような考え方から生まれた. 居室の大きさを4.5,6.0,8.0畳に仮定すると開口部 方向の最大寸法は3.6mとなる.次にフロンテージ方 向に2居室配置すると3.6m×2=7.2mになる.各居 室には収納スペースが必要であり,各居室の連絡機能 を持つ通路が必要になるので,フロンテージ(開口部) 方向には2居室十収納(または通路スペース)を配置 する.構造的に考えると住戸の両端を支持体(柱また Iま壁)とするよりも中間部*に支持体を設置した方が 良いので収納,通路スペースをこれに充てる.戸境壁 にリブを付ける方法もあるが,リブが大きいと居室内 に障害物が出ることとなり,小さな場合には棚用のス ペースとして扱えるが中途半端になることが多い. 住戸の奥行方向は各居室への直接採光を前提とする と,フロンテージ側にて居室配置し,外気に面する側 が2つあることから2×2=4居室を1住戸に設ける ことができる.住棟端部では3面に窓をつくることも できるが,住棟の一般解として扱うのは不適当であり, 特殊解として考えた.1住戸=4居室で,居室で,居 室の大きさを6.0∼8.0畳に設定すると70,2タイプが フラット型式を採用した場合の最大規模になってしま い,85,100,2タイプについては別の解決策が必要と なる.また,4居室直接採光をとると浴室,便所など の水廻り部分が住戸の内側に位置することによって換 気に関する工夫が必要になった. 異る住戸規模への対応はフロンテージ方向について 居室の大きさを変化(2.7m型,3.6m型)させること によって3種類可能である.中央の構造上の支持体の 幅を1.0mとすると 構造体となるもの=戸境壁J〔
L *ボックス積重ねを構法として採用したので,「ボックス帯」ともよべる。…
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J冒歴 図 4 本 シ ス テ ム の 決 定 プ ロ セ ス ※4.5,6,8畳が考えられる8畳を超える大きな部屋はユニッ トとしては別扱いにする フロンテージ方向では最大3.6mと考えてよい J'蕪
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[冥言荏芦瀬天示而l (1)フロンテージの変化 2.7m+2.7m、型 2.7m+3.6m型 3.6m+3.6m型 (2)奥行方向の変化 1.9mの倍数にて堀加 (3)フロンテージ,奥行方向 の変化か50∼70,2 タイプの住戸を構成する。 Y方向の戸境壁とX方向の 中間支持体以外は全てう。 リースペースとなる。「
今 通 路 又 は 収 納 ス ペ ー ス l 」 一ジ側に2居室十通 納スペースを設る は収納スペースを2 置く え通路,収納スペー 戸坑壁間の中間支持 フ ロ ン テ ー ジ 「−−ー一ー−一一−− ﹁IIlllIIlllIlJ 戸境壁にリブを設けた場合 一 一 _ ◎使用しにくい部分ができる ◎構造上のスパンは長い │●’ 1 1 居室 居室 居室 、 〆 WS 一 、 居室徳広・片野:低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究
部開能 端、可 該の住戸が端部にあれば3面開口がとれる. (3)メゾネットにする いずれの場合にも基本ユニットが70,2タイプを最 (1)6.4m型(2.7+1.0+2.7m) (2)7.3m型(2.7+1.0+3.6m) (3)8.2m型(3.6+1.0+3.6m) の3種類に適応できる.奥行方向の変化は構造体の単 位を1.90mに決め,1.90×〃にて増加してゆく.1.90 mの数値は構造体の大きさが特殊な輸送手段によらず に運搬できること,生活系の単位90cm=90×2=180 cmを内包していることで決定されている. 以上の方法を使用すれば住戸のフロンテージ方向が 90cm,奥行方向が190cmの細かな単位で増減可能 となり,特別な構造的手法を用いなくともプランバリ エーション,生活への対応が遂行できる.奥行方向の 戸境壁,フロンテージ方向の中央の構造帯以外は全て フリースペースに充てることができる.図4参照 85∼100,2タイプを構成する場合には3つの方法が 考えられる. (1)2住戸をつなげて使う−2戸住戸を1つの 住戸に充て,戸境壁である構造用壁の一部に 通路を設ける. ( 2 ) 1 住 戸 に ハ ー フ ユ ニ ッ ト を 加 え る − 2 戸 分 の面積を必要としない場合には半分の住戸を 付加させることが可能である.この場合,当 大にしているため,大規模住宅に必要とされる12畳∼ ( / ) 皇 住 戸 を つ な げ て 使 うⅡ 皿
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一竺一/一 一 一 一 一 Ⅱ|IⅡ一Ⅱ 一 ー 一 一 享亘夢 ※2.7−1.0−2.7M ※2.7−10−3.6M 階段型 分 離 型 外 階 段 型 分 離 型 外 階 段 型 70M
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胃 ロAI K4 . 住 棟 計 画 住戸の形は凹凸のない矩形タイプ,1.90mの間隔を 利用した雁行タイプの2種類ができる.これらは住棟 の形に変化を与え,外部空間の構成を行う道具となる. ハーフユニットを加えれば住棟の形に様々なバリエー ションが可能となる. 住戸への入口もプランバリエーションに影響を与え るが,今回は2つの方式を提案した. (1)外階段型一住戸のフロンテージ方向からア プローチする.住戸が幾つにも連続可能であ る.奥行が深くなると玄関から各部屋へのア プローチが困難(通路スペースが徒らに増え る)となり,外面壁に居室を設ける精神からは 具合が悪い.階段の代りに片廊下式も使える. (2)分離型一住戸の側面からアプローチする. 住戸の連続は限定される.奥行が深くなって も各居室へのアプローチはとりやすい. これらを組合せた住棟バリエーションを図7に示す. 92 図 7 住 戸 バ リ エ ー シ ョ ン の 例 20畳位の大部屋がとりにくくなってしまった.面積が 大きくとも奥行が深くてよい洋間の場合には対処でき るが,和室の大部屋は構造上からの制限を受けやすい. また,メゾネットに関しては奥行方向に1.90mの間隔 で構造体(中間支持体)が入っているので階段の取り 付けられる位置,方向に制限がある.図5参照 住戸規模(50,60,70,2),フロンテージ,住戸へア プローチ方式によってできるプランバリエーションの 一部を図6に示す. 次に,敷地の中に住棟を配置するに際して2つのこ とを考えねばならない. (1)住棟をどのように能率よく敷地におさめるか. (2)住棟によってつくり出されたネガスペース (屋外空間)をどのようにして魅力あるものにするか. 前者に関するものは容積率,日照条件,対面する住 戸間のプライバシー(主に視線)等である.低層集合 住宅という仮定に立つとその中で容積率とプライバシ ーの間係が重要になる.日照条件は3階建であるため プライバシーが確保されれば住戸に関しては殆んど問 題がなくなる. 後者の問題点は豊かな外部空間をどのようにしてつ くり出すかにある.団地生活には戸外スペースが果す 役割も多く,子供の遊び場,公園,駐車場,遊歩道, 植樹帯などがそれに含まれる.これら諸施設の配置は 住棟の並べ方で決められる要素が多い.外部空間の変 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 )
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図 8 住 棟 配 置 例 − 1 ( 隣 棟 間 隔 ) 分 離 型 外 階 段 型刺と汁
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徳広・片野:低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究 93 化=住棟形態のバリエーションの等式は住棟の形のみ の複雑性を追求するのでなく,変化ある外部空間の構 成が問題となる.そのためには平行配置であった住棟 をジグザグに配置するだけでなく,建物以外の要素, 植栽,子供の遊び場等の屋外生活関連施設を含め,全 体として扱う必要がある.今回提案したシステムによ れば住戸を雁行される方法,平行配置される方法,垂 直方向にセットバックを行いテラスをつくる方法があ り,これらを組合せることにより,2つの住棟に囲ま れた戸外空間を構成することもできる.その結果は平 行配置では並木型の植栽しかできなかったものが林型 に変化させることができる.図9参照
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図 9 住 棟 配 置 例 一 Ⅱ ( 外 部 空 間 の 変 化 ) 5 . モ ジ ュ ラ ー コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン 設計条件の中でモジュラーコーディネーションは次 のように説明されている. ( 1 ) 水 平 方 向 の 寸 法 一 工 業 化 部 品 を 導 入 す る 場 合は必要な基準線,基準面寸法調整範囲の指定を明確 にしておくこと.内装システム等のグリットと躯体と の関係が基準面押えになっていることが必要.内装シ ステム等のためのグリットは300m/mを基本とする. 900,150,450m/mという数値を用いてもよい. (2)高さ方向の寸法一主たる基準線,基準面, 寸法調整範囲の指定を明確にしておくこと.主たる居 室の天井高は2,400m/mを標準とする. 寸法が最初から決められ同一規格の製品を大量に供 給することを目的としたオープン部品を使用するため には今までの壁心にて押えられていた寸法体系を基準 面間の方法に置きかえることを指摘している.芯々寸 法は物の実体に即した表示方法でなく,建物の寸法関 係を単純に表示できるメリットを持つが,既成部品 (オープン部品)を組み込むシステムには非常に不便 である.規格部品を積極的に取り入れてゆく場合基準 面押えは非常に便利であり,合理的であるが寸法表示 の方法は複雑にならざるを得ない.部品の製作誤差, 取付け誤差,族め込み,建て込み等の取付け寸法(余 裕)等の基準面寸法調整範囲を明確にする必要もある. 内装システムのためのグリットは300m/mを基本に するよう扱われているが,これがそのまま躯体部品の 寸法にあてはまるわけではない.すなわち今回の躯体 建設システム提案の主旨の際には,組立て上った骨組 以外の内部スペースが,言い換えれば完成した躯体の 残りが300m/mの基本グリットに対応できれば良い. 躯体構造部品が300m/m単位で構成されたとして も完成後内部にこのモジュールが確保されているとは 限らない. 5.1.今回のシステムに使われたM、C*’ 設計初期の段階と最終案ではM、C・に対する考え 方が若干異っていた.主な要因は構造上の問題から, ボックス(中央の支持体)の壁厚が増えたことと,面 積増加をおさえたことによる. 初期の案はN・P.S・*2低層と同じダブル・グリット の採用であり,構面上にあたるものが中央帯に位置す るボックスの壁厚で,内装グリット1,800m/m毎に 120m/m幅の構造上のグリットが位置していた.N・ P.S・低層と異なるのはボックス以外の部分において は構造体が存在せず居室の大きさに含まれてしまうこ とである.すなわち8畳の規模を考えると住戸の奥行 方向は3,600m/m+120m/m=3,720m/mが部屋の内 法寸法になり,120m/mは構造上の束縛から解放され た余裕(又は余剰)部分となる.中央部に位置するボ ックスの内法(市松模様に上方に積んでゆくので全て がボックスの内法とはならず,内法,外法が交互に連 っているが)に300m/mの倍数である1,800m/mが 確保されているので台所のキッチンセット,既成品の 建具に骸め込むのに都合よかった. *1M.C・=モジュラーコーディネーション(以下 の文章ではM、C・と記す) *2N・P.S・NewPlanSeriesの略;
工学部研究報告第21号(1979) 94理
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悪 雨i易F『 芯々寸法を1,800m/mにしてみると,各居室は基準 面押えでなく,壁心押えとなり内装システムが300m /m×〃のグリットにのらずオープン部品の使用が困 難になる. 実施計画の際にはボックス芯々=1,900m/m,ボッ クス内法=1,700m/mとし両者の中間を採用した.こ の方法によると奥行=3,600m/m場合ボックス2スパ ンの内法がモジュールにのる.本質的には躯体用,内 装用の2つのダブルグリッドを使用するが,居室の内 法は1スパン以上になるため300m/mの倍数が確保で きる巧妙な手法となり,懸念された面積増加も僅かで あった.キッチンセットだけは既成品(300m/mの倍 数)が使えなくなった.’
凶︸曙願〆﹄︼詞.U一国日cc麺 厨 司 1 u− / 、 (ノ)各居室は内法寸法で900 mmの倍数を満足する。−X 方向について問題は少ない が Y 方 向 は ボ ッ ク ス の 厚 さ だけ調節が必要。 (、2)『畳の場合にはボックス.2 ス パ ン の 内 法 が 部 屋 内 法 と な な り 、 ボ ッ ク ス 寸 法 に よ り 値 が 変 る 。 ( 横 長 6 畳 も 同 標)学・』畳ではbになる。 b ≠ c (3)ボックス厚Tと外壁厚が等 しくない場合にはaのスペ ー ス が 生 ず る 。 一 部 屋 の 余 裕として扱う。 (学)問仕切壁はX方向が多く、 この場合部材の長さは900 mmの倍数になる。 − = ヨ ー コ1
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6 . 構 法 計 画 本来構法計画は住要求を物理的な建物にまとめあげ ることが中心の課題であり,工業化構法は合理的な生 産をめざす一手法にしかすぎない.プレハブ化即性能 の優れた住宅とはなり得ない.従ってプレハブ化を考 えるにあたって生産の能率を求めつつ,様々な住要求 に対しどのように応えてゆくかが中心問題となる.住 宅が規模,間取,内外装まで全て同一仕様であるなら 同一部品の大量生産と結び付きスケールメリットによ る高品質,低価格な製品が可能となる.あるいは一住 戸の外壁のみが範囲(床,屋根も含むが)となる架構 方法が実用化され,間仕切設備については居住者サイ ドで扱えると仮定した場合には躯体として用意する範 囲が僅かで済み,種類も少ないので生産の合理化を図 りっっ様々な住要求に対応できる.ただ,人間生活の 図 1 O M C の 原 則 構造上の検討を加えてゆくとボックス壁厚は200m /m程度確保される必要があり,M、C・の考え方を変 えねばならなかった.200-120=80m/mで際立った 変化が生じていないように考えられるが,1住戸を対 象とすると80m/mの増加がいたずらに面積増加をま ねていてしまう.各部屋に余裕を与えると解釈するこ ともできるが,120m/m厚の場合と比べ50,60,70,2 型に示される関係の中で上位グループへ面積的に含ま れる可能性が高くなってしまった.そこでボックスの 試 作 住 宅 に 使 用 し た M CF
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2 階 図11−
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鹿 児 島 大 学 3 階 ※ ボ ッ ク ス 芯 々 = / 9 m 内 法 = / 、 7 m コ ワ ら ・ − $ ← ヨ/
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〃 、CCR 、ここ恩 × 1 、〈 、 。。 I こい戸 Ⅱ 一戸 ロ -弓一徳広・片野:低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究 95 複雑な活動と関連することで問題を回避してしまう姿 勢は改めるべきで,居住者のニーズを範囲,強さにつ いて整理し,標準化・規格化可能な部分を探し出し建 築生産の合理化に結び付けるべきである. 従来のプレハブ住宅(独立.集合住宅を問わず)は 各システムとも躯体から内外装まで全てを含んだクロ ーズドなシステムとして発展して来た.そのためプレ ハブ住宅の開発は大企業によるものが殆んどで,地方 小都市からの提案はされていない.住宅需要は大都市 及び周辺が群をぬいているとしても,住宅の物理的水 準(性能)を全国的に高揚させるためには大都市圏以 外の地域に目を向ける必要がある.地方を対象とした 場合,建築技術は未熟な面も多く,新しいシステムを 開発しようとする企業も小規模なため開発費が尼大に かかる大規模プロジェクトは行なえず製品の供給先も 限定されてしまう. 別の途として躯体,内・外装を別のカテゴリーに分 け,大規模工場により生産可能となる性能の高い躯体 のみを購入し,内・外装については地域の実,借に適し た施工方法をとることが考えられる.品質の高い躯体 が提供され,構造体に対する信頼性が生まれるととも にオープンな部材として躯体を供給するので部品のロ ット類も多くなり,価格の点でも一般的になる.所謂’ 現場労働の低減,生産の合理化に資することができ, 自由な間取りを可能とする「新しいレンガ」の開発で ある.但し大きさは中型パネル程度を確保する必要が ある. 日本における工業住宅の発展は昭和30年に日本住宅 公団が設立されると,工業化の先駆となるテイルトァ ップエ法の研究・試作が開始され,昭和34年の大型パ ネル式によるテイルトアップエ法で2階建テラスハウ スが多摩平団地に建設(186戸)され,集合住宅のコ ンクリートプレハブシステムの発展へとつながって行 く.一方簡便なプレハブ・コンクリートシステムを採 用し低層(2階テラスハウスまで)集合住宅の用に供 した量産公営住宅システムは昭和30年代前半に研究. 試作され,30年代後半に実用化されて来たが,現在住 要求の多様化,居住水準の高度化にともない,もはや 機能できなくなっている.今回の躯体建設システム (低層)の開発主旨はこのギャップを埋める目的を持 っている. 6.1.架構方式の提案 平面・断面計画より決められた空間を物理的に保持 する機能を持つのが架構方式,構造体である.一般的 には次の方法がある. (1)柱・梁によって構成するタイプ ( 2 ) 壁 パ ネ ル に よ っ て 構 成 す る タ イ プ (3)ボックスを積み重ねるタイプ (4)上記のタイプが複合されたもの さらに工場で部品を製作することを考えると大きさか ら分類できる. (a)レンガ,ブロッロ程度の大きさ(パーツ) (b)いくつかの集合してルームサイズになるもの (コンポーネント) (c)ルームサイズの大きさ(エレメント) (d)住戸の大きさに対応するもの 架構方式と部品の大きさは組合わされ,更に複雑な形 態を生む.一度構造システムが固定されると対応でき る住戸バリエーションにも限界が生じ,この傾向は部 品が大きくなる程顕著になる.部品の大きさと設計の 自由性は裏返しの関係にあり,現場作業の効率化を図 ればバリエーションの多様性は困難になる.あるいは 様々な住戸タイプの生産を可能にし,かつ現場作業の 減少と関係する,部品の大型化が実行できる躯体シス テムのデザインに努力が注がれる場合にはこの二律背 反関係が打破され,理想に一足近づくことができる. 提案した躯体建設システムは架構方式がボックスと パネル式の複合したタイプであり,大きさはフロンテ ージ方向に位置する床版がルームサイズ,奥行方向の 壁 が 「 コ ン ポ ー ネ ン ト 」 サ イ ズ に な っ て い る . そ し て 構造体ができるだけ間仕切の機能を持たないよう,住 戸内部に構造体が入り込まぬよう配慮した.架構方式 の主な特徴は住戸の中央部にフロンテージ方向に平行 な幅1.0m,厚さ20.0cmの壁が1.9m間隔に奥行方向 に配置されていることである.これは住戸の幅一杯に 架構するよりも途中に支持体を設けた方が1つ1つの 部品が小型化できるとの考えによる.次に組立の手間, サポート作業を減少させるためには中央帯の壁が自立 できる方がよい.幅も狭く,直交しておかれる部品も なく,作業過程では非常に不安定な壁が数多い場合に は組立精度・手間の面で都合が悪い.そこで2枚の壁 に床を上下に付属させ,土木工事に使用されるカルバ ートボックスのような形にすれば組立の苦労も減少す る.2階の場合,1階のボックスの上に置くと床版が ダブルになり階高の上昇を伴うばかりでなく無駄な部 品を用意することになってしまうので下階にボックス が置かれていない場合に上階のボックスを配置するこ
鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) 非耐力壁/
雌
リブ付床版 屋根 スラブ立ち上がり 耐力壁頭つなぎ DSシャフト立ち上り 、屋根版、,4
コ ン ク リ ー ト ボ ッ ク ス 頭 つ な ぎ又は叩WS)=o,」苧I雲=K
と表現でき,(+)は目的をかなえる方向,(-)は疎外す る傾向を表わしている.部品の種類を少なくさせ,大i
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テラス床版 く 芦 テラス床版 (A)(B)(C)I輔…
96 注)NumberofPrefabricatedelementtypes, theiraveragedimensionandflexibilityin building. 図12 ととした.所謂市松状,チェッカーボード状に積み上 げる方式である.単にボックスを重ねると(ボックス の壁の部分に重ねること)2段になり,階高が高くな るだけでなく床版の懸け方に段がついてしまう.解決 策は上下方向のボックスを半分ずつ欠き込むことで, 下層のボックスの上端と,上層のボックスの床版の内 側(内法側)の高さを揃えた.3層まで建ち上がった ボックス体を構造的に一体化させる必要上壁の部分に シースを設け3眉まとめてPC鋼棒で緊結するか,カ プラーを使い一段毎にジョイントしてゆく方法が該当 し,今回の試作では後者のタイプを採用しスリーブジ ョイントを使用した.図12参照 フロンテージ方向は特殊なシステムでなく量産公営 リブ付住宅の部品を大型化させた.床版に先行する壁 版はフロンテージ方向に配置された壁がないため,床 版が上に載せられるまでサポートが必要である.住戸 の開口部が構造体に邪魔されず,採光やデザインにつ いては都合良いが工程計画上はサポートシステムの確 立か,構造壁の配置の検討が必要となる.図13,図14 参照. 架構方式 6.2.部品の種類・数.組合せ 新しい工業化住宅のシステムを考えるにあたり問題 となるのはできるだけ大型化された部品を使用し,部 品の種類は可能な限り少くしかつ,組合せ(バリエー ション)が最大になるよう図ることである.ポーラン ドのZ・Kleyffによる注)とそれらは相互独立してお らず従属関係にある.すなわち |++ +|+ ++’ 穂類の減少(T) 大きさの増加(W) 組合せ(プレキシビリィティ)(S) 傾 向冒-N’1 徳広・片野:低屑集合住宅の構法と構造計而に関する研究 淵。Ⅱ ( 2 ) 床 版 一 今 回 の 試 作 住 宅 で は 左 右 の ス パ ン が 異なるため種類が多くなっている.またテラス部(庇 付)に使川される場合,住戸内に位置する場合がある. 後者はさらに階段を取付けるために一部がボイドにな っているもの’右.左勝手があり,合計8種類となっ てしまった.しかし床版の長さを除いては微小な変更 であり’型枠の仕切板を移動して処理できる.生産ラ インにのせた場合,どの位型枠が必要になるかは今後 の研究課題である. (3)壁版一試作住宅は換気計画においてダクト を必要としないプランニングであったので壁パネルの 諏撤は非幣に少なく,戸塊.外壁となるメクラ版,玄 関川の開II部を構成する「L」型の2種類で済んでし まった.ジョイント,壁版の形を簡便にしたので非耐 力の外壁設計に残りの処理が含まれ,眉間変霞位に対す る追従性も加わりⅢ題が山積した鍍域となってしまっ た. (4)その他一ボックス,床版,壁版は様々な住 戸タイプが構成可能な割りにはあまり種類が多くない. しかしボックスの形状を型枠からの脱型上単純にした ため細かな役物が数多く必要になってしまった.すな わち「庇つなぎ」「パラペット」川の小型部砧である. 躯体用部111111のジョイントを単純化したため庇つなぎ, パラペットの取付けも意外に困難になってしまった. 躯体建設システムについて部品化を考える場合2つ の方法がある. (A)椛造体の純化を図りできるだけ余分な機能を は ぶ く 方 法 (B)柵造体が空間構成材となるよう機能を複合化 させる方法 前者は椛造体としての禰類も単純であり,柔軟性に も嵩んでいる.ただ躯休が完成されても各部屋が区切 られることはなく,内・外装を完成させるためにも躯
今
図 1 3 中 央 ボ ッ ク ス 帯 の 据 え 付 け 作 業 水 平 力 図 1 4 完 成 し た 射 体 , 試 作 住 宅 の 2 階 部 分 型化しようとすると必然的に組合せ,フレキシビリテ ィーの減少が生じてしまう.部侃,を大型化しフレキシ ビリティーを珊加させると極狐が増えてしまう.すな わち種類,大きさ,組合わせのいずれか一つをIil1定し て 扱 わ ね ば な ら な い . オ ー プ ン シ ス テ ム と し て 使 用 さ れるとフレキシビリティーを商<する傾向になり,そ の程度が明確にされない限りいたずらに種類が多くな り,小型化してしまう.今回の募集主旨にあった地力 を対象にし,大規模な輸送手段を使用しない方針を前 提とすれば部,「1111の大きさから条件が設定される. 提案したシステムにおいて部品の種弧と数について 述 べ る と ( 1 ) ボ ッ ク ス ー 市 松 模 様 に 積 み 亜 ね る と 住 戸 規 模によって壁1枚分残るところが出来る.これに対す る役物は「L」「I」型て.ある.また奥行の深い住戸 では3階のボックスが2つ以上になり頭つなぎとなる 「一」型が必要となる.あらゆる条件を満足させるた めには役物まで含めて5種類必要となる.次に外壁が 付けられる場合,住戸内に納まる場合,ディテールの 扱いを変えると5×2=10種類となる.筑波の試作住 宅では外壁取付け用のボックスは製作せず全てlil-タ イプを用いた. ス リ ー ブ ジ ョ イ ン ト コ ン ク リ ー ト ボ ッ ク ニ 、 ス リ ー プ ジ 召 イ ン ト 熊 l 府 V 97 。、 熊 R 行 図 1 5 フ ロ ン テ ー ジ 方 向 の 構 造 モ デ ル 、 Y チ レ バ ー で 受 ける。 、 , 戸 塊 鮭 地 中 バ リ 茨水平力はカンGL− . . . − 寺 ▽ i I : 198 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) 体 以 外 の 工 事 が 多 く 残 っ て い る . 理 想 的 な 形 態 は L e Corbusierが1915年に提案した「ドミノハウス」にみ られる.石・レンガ造では構造上の制約から間取,建 物のデザインにも限界があったが,新しい架構式=鉄 筋コンクリートの実用化は旧来の束縛から脱出し,自 由な平面計画,デザインに結び付き近代建築のスタイ ルへと発展した.「ドミノハウス」は最小限の理想化 された躯体システムであった. (B)の方法は躯体完成時に室空間も完成している 場合が多く,工場にて内・外装が完了していれば構造 体組立完成=建物完成も不可能でない.プレハブ部品 の種類の多様化は避けられないが,限られた住戸タイ プを大量に生産するクローズドシステムでは都合が良 い.様々な住戸タイプの供給,増改築に対しては,シ ステムのポテンシャルが高くない限り不向きである. 架構形態は壁式,ボックス式等が該当する.壁式の場 合には躯体=室構成を目的としているのでルームサイ ズパネルの採用が多い.ボックスの使用では,できる だけ部品数を減少させようと市松状に積重ね,ボイド な部分にも居住空間を確保しようとしたシェリーシス テム(米国)もある.またソヴィエトのように1つ1 つ重ねる方式もみられる.提案システムはフロンテー ジ方向に(A),奥行方向に(B)の考え方を取り入れ た折衷案と言えよう.フロンテージ方向の構造モデル を図15に示す. 6.3.地域との連携 高性能,高い技術水準を必要とするシステムでは生 産・施工業者が限定され地域の特性を活かしきれない. 戸建住宅の約70%近くが零細な工務店により建設され ている実態を考えると末端機構の組織化,非熟練労働 力の活用システムに目を向けるべきである.設計条件 の中で「地方における小規模の分散的な発注にも対応 できることが望ましい。」と説明されており,中小工 務店との連携の中で工業化住宅が生産されることが地 域特性を加味したシステム開発と言える.低廉な労働 力が使用でき,特殊機器の使用が適さぬことを地方の 特徴とすると部品の大きさはどんどん小さくなり,ブ ロックやレンガ造が最適のシステムとなろうが広義の 意見で品質管理・性能を満足させにくい.量産公営リ ブ付工法が一応これらの条件を満足していたが,工業 化のあり方からは生産性の高いより大きな部品を用意 する必要があり,平面計画上も地方の実情に合致でき る躯体建設システムの誕生が待たれる. 今回の提案では躯体だけは信頼のおけるシステムを 使用し,残りの部分は全て地場の業者に任せてしまう 方法を目的としていた.平面計画・外部デザインに対 する地方性・自由性を確保するためにはできるだけ躯 体が独立していて,内・外部構成の邪魔とならぬシス テムがよい.ただ4方向とも自由では,デザイン上の 決め手もなく残りの工事が多くなりすぎること,集合 住宅で重要な役割を果す戸境壁があることから,2方 向(フロンテージ方向)に自由性があれば目的が達成 されると判断した. 本システムは以上の点を考慮しながら地方性に対応 してきたがまだ改良すべき点,再考を要する部分が残 っている. (1)外壁(フロンテージ側)の眉間変位を考慮せ ねばならぬためそれを達成させる構法,技術 が限定される.地方において自由にファサー ドを構成する意味からは制限が加えられてし まった. (2)間仕切壁取付けのためのヂィテールが未消化 で問題が残ってしまった. (3)デザイン,材料の使用,供給形態,技術の使用 範囲の面で,躯体と内・外装を分けたことが 地方性の問題解決になっていたのであろうか. 7 . 壁 式 プ レ キ ャ ス ト 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 一層実大壁柱の水平加力実験 7.1.序 図3に示すような壁式プレキャスト鉄筋コンクリー ト造の3階建の試作住宅の建設を行なった(筑波学園 都市).試験体はこの試作住宅の一構面で基礎伏図(図 16)の斜線部分で最大応力の生じる一階壁柱をスケー ル効果の影響で耐力が支配されることがないよう実大 の試験体である.試験体の形状寸法および配筋を図17 に使用材料の力学的性能を表1に示す. 試験体製作は,基礎部分と壁柱を別々に製作し,蒸 気養生(70℃)を行ない,実験場所でスリーブにより 接合を行なったものである.製作時の寸法誤差により, 建込み時に水平目地接合部に5mm位のすき間が生じ たのでコンプレッサーにより無収縮モルタルをそのす き間に注入した. 7.2.加力装置および加力方法 加力装置の概要を図19に示す.鉛直荷重は壁柱脚部
徳広・片野:低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究 She6rcotter 99 LLij」 、4−,22
−ー一−ー一重守蒜示斎ゴ
〃4−022少2−,22−一室宅 の圧縮応力度が設計時鉛直圧縮応力度(ぴc=5.5kg/ cm2)と等しくなるように油圧ジャッキで加力した. 加力順序は,先ず所定の鉛直荷重(11.0ton)を加力 し,その鉛直荷重を保持しながら水平加力を行なった. 水平加力は終局耐力28ton(規準16)の付20.43式によ 。◎﹄ 偵画硬宇0⑯4 表 1 使 用 材 料 の 性 質 -,35 9国I㈲〃 宍Z=nコの ︼︻︼隅融 。 ー 310 無 収 縮 モ ノ レ タ ノ レ 50 Fc=580kg/cm2 図 1 6 基 礎 伏 図 一 一 計 3ゅ ‐〆4−−,22夕2−,22§
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3ゆ “ 些 一 哩 哩 処 図 1 7 試 験 体 寸 法 お よ び 配 筋 図 一団FF0⑯0 1−,35 巳弓寓国軍mpm籍⋮墓⋮
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ト 100 図18スリーブによる接合図1
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図20水平加力履歴 図19加力装置および変形測定図って計算した)を目安にして図20のような正負交番く6s1ipおよび水平目地の回転による鉛直変位を1/100
り 返 し 加 力 を 行 な っ た . ダ イ ァ ル ケ ー ジ と パ イ 型 変 位 計 で 測 定 し , さ ら に 基 礎
7.3.変位およびひずみ度の測定ばりの回転角の測定をl/1000ダイァルケージで測定
変位およびひずみ度の測定点を図19に示す.変位測した.また壁柱主筋とコンクリート表面のひずみ度を
定は,基礎ばりを基準とした時の壁柱頂部と中間の水W、S、G・で測定した. 平変位6”を壁柱両面設置の変位計で,壁柱のせ変形 7.4.ひび割れ状況 (対角線方向測定)6sを両面設置の1/1000ダイァルケージで,水平目地接合部の上下の相対水平移動変位最終ひび割れと破壊状況を図21に示し,ひび割れの
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21 24 喝 B i ‐ _ ‐ I 図21最終荷重時のひじ割れ図 進展状況を表2に示す. 7.5.各部の変位 壁柱頂部の変位量6および部材角Rは,次式で示 すことができる. 6=6”+肋 ……(1-a) R=6"/〃+6 ・・…・(1-b) ここで, 6:基礎の回転をも含めた壁頂部の総変位量 β:基礎ばりの両端を結ぶ線(基礎ばりの軸線) を基準にした中央部の回転角 〃:基礎ばり上端から壁柱頂部までの高さ 6”:基礎を固定としたときの壁柱頂部の変位 6”=6slip+6況十6B+6s 。…・・(2-a)Rご戦鱒‘肋}……例
6Slip:水平目地接合部の相対水平移動変位 6足:水平目地接合部の回転による壁柱頂部の変位 6B:壁柱の曲げ変形による頂部の変位 6s:壁柱のせん断変形による頂部の変位 図22∼図26に上記の荷重変形(β,JR妃,Rs,RB,6,A,) を示す.なおRBは壁柱自体の変形(部材角=Rs+ RB)からRBを差引いたものである. 表3に各荷重サイクル毎の履歴曲線の型を示す.本実験におけるくり返し加力は,荷重制御によるも
のであるから,変形制御による加力方法と比較して,くり返し加力による剛性低下の影響をはっきりと見定
めることが出来ないが,基礎ばりの回転はP=±12ton(jWMb‘=0.42)まで,水平目地接合部両端の伸縮
による回転はP=士10ton(jWM血=0.35),せん断変
形はP=±18ton(P/P、‘=0.63,平均せん断応力度ぞ
=9kg/cm2÷Fc/40),曲げによる変形はP=士12ton (jWM血=0.42)までくり返しによる剛性低下はない ものと判断される. またせん断ひび割れ(壁柱中央部付近の斜めひび割 れ)がP=士12tonで生じ始めていることから,せん 断ひび割れが生じるまでは,くり返し加力による剛性低下がないものと考えられる.表3に示してあるよう
にせん断変形は,始めから逆S字型の履歴を示してい るが,履歴曲線内部の面積は僅かで,しかも直線に近鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第21号(1979) 表 2 ひ じ 割 れ の 進 展 状 況 サ イ ク ル 1 ひ じ 割 れ 状 況 水 平 目 地 接 合 部 に ひ じ 割 れ を 確 認 壁柱脚部に曲げひじ割 れを確認、コッター部 に水平せん断ひじ割れ を確認 壁柱と基礎ばり接合部 に ひ じ 割 れ を 確 認 壁柱脚部の曲げひじ割 れ 伸 展 基礎ばりの曲げひじ割 れが壁柱まで伸びる 壁柱の曲げひじ割れが 伸展し中央付近ではせ ん断ひじ割れの様相を 示す斜めひじ割れに移 行 し た コッター部分の水平せ ん断ひじ割れは、この 時点で著じるし〈なる。 負加力最大荷重時 正加力最大荷重時壁柱 主筋が降状に至り、水 平面地加力側が図−13 に示すように大きく開 き始め、図-14に示す ように圧縮側のコンク リートが付着破壊およ び圧縮破壊を起し終局 に至った。 4 4’5 5 8 2.52 13 9.26 13 図22基礎ばりの回転角 い、全体として,低荷重時(P<±15ton,jWMb‘< 0.5)では紡錘型であるが荷重の増加にともなってス リップのある逆S字型に移行している.基礎ばりの回 転や水平目地接合部両端の伸縮による回転,水平目地
接合部の水平移動,曲げ,せん断などによる壁柱頂部
281約10.50 15 102唇
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図23水平接合目地部分の回転F
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103 徳広・片野:低層集合住宅の構法と構造計画に関する研究 P=士21∼24tonCWMb‘=0.74∼0.85)において主 筋が降伏している. 壁柱脚部(水平目地から約15cm上)と中央部(水 平目地から約130cm上)のせん断ひずみ度分布を図 28に示す.中央部のせん断ひずみ度分布は長方形断面 のひずみ度分布のように中央が大きくなり,最大せん 断ひずみ度は平均せん断ひずみ度の約1.4倍である. のそれぞれの変位を比較してみると(低荷重時にはく り返し加力による残留変形の大きさによって異なるた め明瞭でないが),比較的大きな荷重では(P/P、‘>0.5) 水平目地接合部の両端の鉛直方向伸縮による壁柱頂部 の回転変位が一番大きく全変位の約60%になっている. 図27に壁柱脚部(スリーブの下側)の主筋のひずみ度 を示す. 図 2 4 壁
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一1lb 図 2 5 壁 板 の 曲 げ 変 形1
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104 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) 表 3 各 荷 重 サ イ ク ル 毎 の 履 歴 曲 線 の 型 CycIeS Lodd Rw JRR e Rs (『on) I 10 B B B iS 2 10 B B B iS 3 1012 B 8 B ;S 4 1215 B B B iS 5 15 B B B iS 6 15 B is B +iS−H ア 1518 B iS + S − B iS 8 18 B iS + H − B iS 9 1821 B is 十 H − B iS 10 21 B iS 十 H − B 十H−iS 11 21 is iS 十H−iS +H−iS 12 2 1 2 4 iS iS +H−6S +H−iS 13 24 is iS 十H−iS H 14 27 H H H H 15 H H H H
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Type−BType−iS Type−H TyPesofHys↑erisisLoop 水平目地付近では中央部が小さくコツター端部の近く で大きなせん断ひずみ度が生じている. 主ひずみについてはせん断ひずみ度分布とほぼ同形 であり,主ひずみの角度は水平軸に対して約29。(P= 2∼10tonの平均)で壁柱のせん断ひび割れの角度と ほぼ一致している.このコツター部でのひび割れの状 況は,純せん断に近い加力方法で行なった河村'5)の実 験から予測できるものである. 7.6.終局耐力 鉄筋コンクリート部材のせん断破壊は,粘りのない ぜい性的な破壊をひき起すことから,構造物の決定的 な崩壊をもたらす危険性を持っているため,せん断破 壊が先行しないように,壁厚を大きく,せん断補強筋 を0.5%と多くとって設計した.最終的には引張主筋 が降伏し,引張側水平目地が大きく開き(図29)変形 が進行するにともない,圧縮側コンクリートが圧潰を 始め,また主筋に沿って付着破壊を起し(図30a,b) 終局に至った.曲げによって終局破壊が支配されると したRC規準'6》の付20.43式にあって計算すると28.4 tonで実験による耐力は28.0tonである.これはひ び割れ図にかなりのせん断ひび割れが見られるが,曲 げ先行破壊型で,充分ねばりを期待できるものである. 8.地震応答計算 実験より得られた壁柱脚部の水平目地接合部の回転 および壁柱自体の荷重一変形曲線をともに応答計算を 行なった.図31に示すような3層のプレキャスト板に 対して,3質点系の振動モデルを仮定し,各層の水平 目地部分に節点回転バネを有する系を考える. X = X 瓦 十 X E + X , … … ( 8 . 1 ) xE:基礎ばりの回転による変位 xE:片時ばりの弾性曲げ変形による変位 xβ:節点の回転〃による変位 8.1.X瓦十Xbに対する外力と変位の関係 図31の幾何学的条件より次式が得られる馴
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上式をまとめて,〃=H2,、P……(8.3) 一方節点モーメントと回転角の関係は 節点1(Base)R+461=(1/K妃十1/Ki)Mi−Mb/K’ 節 点 2 4 6 2 = M 2 / K 2 , 節 点 3 4 6 3 = M 3 / K 3 であるから,まとめて次式のように表現する.図 2 7 雌 柱 主 筋 ( 脚 部 ) の ひ ず み 度 徳広・片野:低屑集合住宅の構法と構造計画に関する研:究
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(注) No.1∼No.4 は壁杵中 筋の歪測 定 位 澄!
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8〆 - 、 NN 無 /クノ R、4/ リイ ,W厚サ0.2 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 1 号 ( 1 9 7 9 ) ト。N 2十e3 △ △ △ Ⅵ忍