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振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測定

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(1)

振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測

著者

渡辺 琢美, 大串 哲彌, 沼田 正, 穴山 武

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

24

ページ

167-174

別言語のタイトル

THE EFFECT OF SMALL MECHANICAL SHOCK ON THE

SUPERCONDUCTING TRANSITION TEMPERATURE

(2)

振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測

著者

渡辺 琢美, 大串 哲彌, 沼田 正, 穴山 武

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

24

ページ

167-174

別言語のタイトル

THE EFFECT OF SMALL MECHANICAL SHOCK ON THE

SUPERCONDUCTING TRANSITION TEMPERATURE

(3)

振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測定

渡 辺 琢 美 ・ 大 串 哲 禰 ・ 沼 田 正 ・ 穴 山 武

(受理昭和57年5月31日) THEEFFECTOFSMALLMECHANICALSHOCKONTHE SUPERCONDUCTINGTRANSITIONTEMPERATURE

TakumiWATANABE,TetsuyaOcusHI,TadashiNuMATAandTakeshiANAYAMA

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AresultedTcwascomparedwiththatobtainedbyusingliquidHewithoutvibration・Nb3Ge

andNbNwithhighTcwasusedasasampleandthesewerepreparedbygettersputtering,C、V、,.,

andamagnetronsputteringmethod・ ResultsconfirmthatthemechanicalvibrationfromtherefifigeratorlowerTcby∼2K.

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smallreftigerator・ Thedatahasbeendiscussedinconnectionwiththephasetransitioninducedbyhydrostaticpresure. 1 . ま え が き 超伝導現象の工学的利用が広まるにつれて,高い臨 界温度を有する超伝導デバイスの開発に伴い,その冷 却方法として,いろいろな観点から小型冷凍機を用い る事が必要となってくる. 我々は,将来その様な要求に答えうる一つの手段と して,ヘリウム循環式ギフォードーマクマホンサイク ルによる小型冷凍機(CRYOMECHGB-02)を用い, 超伝導臨界温度の測定を行った. また,超伝導材料としては,ゲッタースパツタ法, CVD法,マグネットロンスパッタ法によって作成 された高臨界温度を有するNb3GE,NbN膜を用い, 液体ヘリウムで測定した場合と,冷凍機を用いた場合 の臨界温度の差異を比較した. この場合,特に問題となるのは,小型冷凍機を用い る場合に,これから発せられる振動の問題である.即 ち,この振動が,超伝導体の臨界温度にどう影響を及 ぼすかという事であるが,本実験において,冷凍機の 発するパルス的微小振動が,超伝導遷移開始温度, TCCを0∼2k低下させる事が明らかになった.振動 の程度は,装置の性質上,変化させる事が出来なかつ たが,Tcoの低下は,試料によって,また試料の製法 によっても異なる.(一般に,ゲッタースパツタ法, 非対称交流スパッタ法によって成膜された試料は, Tcoの低下は少ない.)そして,振動系から取りはず され,充分な時間の経過の後,室温に戻した試料を’ 振動を有しない液体ヘリウム冷却によりTcoを測定 すると,Tcoは,完全に元の状態に回復する. この現象は,強結合超伝導体特有の構造相転移及び 圧力によって誘起される転移点の変化等との関連にお いて興味ある問題の様に思われるし,又小型冷凍機一 高臨界温度超伝導体の組合せから成る測定装置,ある いは応用装置においては,解決されねばならない問題 の様に思われる. 今後,原因の解明と,超伝導体の最適製造法の確立 が重要な問題となるであろう. 2.実験装置及び試料作成 2 . 1 冷 凍 機 超伝導臨界温度の測定は,ヘリウム循環式ギフォー ドーマクマホンサイクル')を用いた冷凍機(CRYら OMECHGB-02)を使用した.第1図に,ギフォー

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■ | ー 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第24.妙(1982) TIME(s) 節2lxI冷凍機冷却部における振動波形 Fig.2Wavcshapesofvibrationatcoldhead ofarefTigerator. . (1)iii結IYINbN膜*MgO韮板に,CV.D 法によって作成されたものを使用した.膜の結I│ルk, 及び椎造等については,他誌に発表されている2). (2)NbNスパッタ膜我々は,先にゲッター スパツタ装枇非対称交流スパッタ装祇3)を製作した A

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︵之一く圧﹂の○一×︶ のI

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(Ⅱ) 0 2 168 2.2NbN膜 第1図ギフォードーマクマホンサイクル説│リj図 A:圧縮器,B:ロータリーバルブ C:搭熱器,D:ディスプレーサ Fig.1SchematicdiagramofGifrord-McMahon cycle; A:compressor,B:rotaryvalve, C:condellser,D:displacer. 図 C (川) よ っ て 生 じ る 振 動 を 問 題 と し て , 臨 界 温 度 の 測 定 を 行った.第2図に,冷凍機の冷却部において,ストレ ンケージによって測定された振動波形を示す.又第3 図に,測定に使用した冷凍機の写真を示す. 鰯 3 図 冷 凍 機 ( ク ラ イ オ メ ッ ク ) Fig.3Photogl・aphofarefrigerator (CRYOMECH). Jアダ ドーマクマホンーリーイクルの説明図を示す.例から分か る様に,このサイクルは,「圧縮器」,r帯冷器_,及び ガスを移動させるための「ディスプレーサー(ピスト ン)」から成る.そして,ロータリーバルブがIul1l展す ることにより,尚圧ガスは,空間Iより,ディスプ レーサーを下げる.そして,空間IIには,尚Ⅱ具ガス が入り,ツピ間Iが低圧となると,ディスプレーサーは 上に移動し,空間IIの高圧ガスは,帯冷器を辿って, 空間IIIに移動する.そして,空間IIIの尚圧ガスは, 断熱膨張により温度が下がる.次に,空間IIIの冷え たガスを押し出す様にディスプレーサーが下がること により,ツ隠間IIIのガスは,菩冷器を冷却してツ剛1111 に戻る.この動作を繰り返し,又ディスプレーサーを 2段にすることにより,我々の装横で約10Kまで冷 却することが出来る、 本 研 究 で は , こ の デ ィ ス プ レ ー サ ー の 上 下 巡 動 に ,_斑擢踊 “︾H凶﹄ 一一︾一︾”一︾

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3.TCC測定 冷凍機による測定は,第5図にある様に’試料を冷 凍機の銅製の冷却部に,機械的に密着させ,サーマル グリース(,fIく兇える部分)で絶縁と熱伝導を保った. 渡辺・大串・沼田:振動をイrする小型冷凍機による超伝導臨界温度の測定 第4図液体崇素冷却マグネトロンスパッタ装催 Fig.4PhotographofaligN2cooledmagnetron sputteringapparatus, スパッタ10分間,スパッタ時間20分で,上記の雅板 温度,アルゴン圧で作成された試料を用いた.尚,推 板には,研磨されたサファイアを用いた.スパッタ速

度は,∼200A/min、でターゲットには,Nb板(100ウ,

99.99%)上にGe片を積いた2成分形を用いた. 第4図に,この装髄のスパッタ梢の部分の写真を示 す. が,NbN膜は,これを用いて,ゲッタースパッ夕法’ リアクティブ法↓)により作成された.スパッタは’ま ず油拡散ポンプで,∼2×10-6Torr.まで排気した後, スパッタ圧0.,Torr.,スパッタ電圧・電流を粁々500 V、15mA,逆地流2.1mA,N2圧力2×'0 4∼5×'0 3 TOrr.、蛙板温度500.C,スパッタ時間40分で行われ た.尚,韮板には,コルツ及び硬質ガラスを用いた. 2.3Nb3Geスパツタ膜 現在妓高の臨界Ⅲ1度(Tc∼23K)を持つNb3Geが 膜を作成するために,我々は,新しく,特別に,液体 窒素冷却高速度(マグネトロン)スパッタ装世を製作 した.詳細は,別に述べるが5),この装置の特徴的な 点は,スパッタ時の券lIl1気を良くするために,外儲 16cm,円篠10.6cm,高さ4.5cmのスパッタ柳'1に, 液体窄素を充満させて,スパッタを行う‘jFである.又 このために,スパッタ終了と同時に,スパッタ州と熱 的に接統されている試料が,約1100.C/min・の速度 で,急速冷却される様になっている. これは,Nb−Ge化合物では,準安定イ;Ⅱが商い超伝 導臨界温度,T(!(∼23K)を持つため,スパッタ後の Nb3Ge肱に,他の安定机が成長するのを防ぐのに役 立 っ て い る . 我々は,この装祇を用いて,現在定常的に,T(、o∼ 22kのNb3Ge膜を作成している. 又,T(!()が21∼22kを超える試料を作成するため の基板温度,アルゴンガス圧の範川は非常に広く,粁 々615∼750.C,0.1∼0.5Torr.にまで及ぶ. 本研究に用いたNb3Geスパツタ膜は,この装侭を 用いて油拡散ポンプで,∼2×10-7Torr・まで排気後, スパッタ瓶流500mA,スパッタ電圧∼220V,プレ 第 5 図 冷 凍 機 の 冷 却 部 と 試 料 の 取 り つ け Fig.5Photographofcoldheadandsetof samples. 又,液体ヘリウムによる測定は,試料を伽ブロック に熱伝導よく接蒲し,徐々に温度を下げて行った. いずれの場合も,測定には,GaAs低温度計によっ て較正された0.07%鉄,金一クロメル熱地対を用い て,四端子法によって測定され,熱電体は,試料基板 上に,イソジウムで接若した. この実験により,冷凍機から発生する様な,微弱な 振動によって,商臨界温度超伝導体の遷移開始温度 Tc()(111じく臨界洲度Tc)が,減少する鞭がIリ]らかに なった. (1)NbN 第6図に,単結IWINbN膜を液体ヘリウムを用いて 169 蒔 麟 臓 脳 罷 師 断 り

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鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 4 号 ( 1 9 8 2 )

測定した場合と,冷凍機を用いた場合の抵抗一温度特 性を示す. これから分る様に,液体ヘリウムによって測定され た場合は,非常にシャープな遷移を示して’TCC=15.5 (Tc。=,5.0K)を示すが,冷凍機での測定では’∼'2K になって初めて,超伝導遷移を起こしている.両者の 測定方法の違いは,前者が静的に冷却されるのに対し, 正='0.6(K) 後者は,試料に振動が加わりながら冷却されるという 違いだけである. 他方,第7図に示される様に,非対称交流スパッタ 法によって作成されたNbN膜も同じく,液体ヘリウ ムでの測定では,TCC=15.1Kと前の単結晶NbN膜 (TCC=15.5K)よりも低いにも拘わらず,冷凍機によ る測定では,TCC=14.0Kと逆に,高い遷移開始温度 を得ている. 次に第8図に,各NbN膜の抵抗の温度依存性を示 す.これは,冷凍機を用いて測定されたものであって, 図中,抵抗比β(=R3oo/R77)の増加と共に,Tcは増加 しているが,単結晶NbNの試料のみが,βが大であ るにも拘わらず,超伝導臨界温度は,12.4Kと逆に低 くなっている. ︵〆匡く正﹂面匡く︶ a=lZ、色 匡 1 0 2 0 T(K) 第6図単結晶NbN膜の抵抗一温度特性 A:液体ヘリウム,B:冷凍機による測定 Fig.6Resistancevs・temperatureplotsfOra singlecrystalNbNfilm;CurveAis thatmeasuredbyusingliq・He,B: measuredbyrefifigerator. =11.2(K) A =0.52 O l O O 2 0 0 3 0 0

T(K)

第8図NbN膜の抵抗比β-Tc特性 A,B,Cは,リァクティブ法によって作 成されたもの.Dは単結晶 Fig.8Resistanceratioβvs・Tc;CurvesA,B andCarethoseofNbNfilmsprepared byreactivemethod,D:singlecrystal one. 170 C ◎・…花o=15.2(K) 。 B

− B = 0 . 6 5

T1c=13.4(K) ︵矛αく止悼一国圧く︶ 5 10 泥(K) B=o、71 D

−B=0.89

OK『5,o4,ぴs

PN2(TOrIe) 第7図NbN膜のTc-N2分圧特性 Fig7Tcvs・partialpressureofNzplotsfbrNbN filmspreparedbyreactivemethod. 0ご Tb=12.0(K)

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液 体 ヘ リ ウ ム 冷 却 TCC(K) 171 試 料 番 号 No. (Nb3Ge) llO1 1165 1173 1174 1193 X−06−B X−O9−B X−lO−B X−ll−B X−l3−B X−l8−B X−20−B (NbN) N−01(Single) N−02 即ち,振動の効果が,大きく超伝導臨界温度に影響を 及ぼす事がわかる. (2)Nb3Ge 液体窒素槽内での高速度マグネトロンスパッタ法に よって作成されたNb3Ge膜は,高いTCC(∼22.3K) を有し,遷移も非常に急俊なものが得られている6). 第9図に,この方法で作成されたNb3Ge膜のTCC 4 . 議 論 及 び ま と め 高臨男温度超伝導体の超伝導遷移開始温度’TCCを 試料に振動が加わらない液体ヘリウム冷却による方法 と,室温から低温まで連続的に振動が加え続けられる 冷凍機冷却による方法で,Tcoの測定が行われた. 結果は第1表にまとめてある. . I C △ ’ F R R O H 2

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第1表TCC測定結果 Table1.ResultsofTcomeasurements● 2 冷 凍 機 冷 却 TCC(K) 渡辺・大串・沼出:振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測定

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︵x︶・岸

20.0 20.5 17.0 22.0 21.5 18.8 15.6 20.5 19.2 19.4 18.5 18.5 20.1 22.3 19.5 22.0 21.1 20.9 18.4 21.1 21.9 21.3 21.0 20.4 第9図代表的なNb3Ge膜のTc‘, A:液体ヘリウムによる測定 B:冷凍機によって,室温から冷却されたもの C:冷凍機によって,T・以下(∼12K)で1時間 保 持 し た 後 の 測 定 Fig.9TypicalTcomeasurementsofNb3Gefilms. A:resultsinliq・He,B:resultscooleddown fromroomtemperaturebyrefrigerator,C:that afterkeepingthetemperatureconstant(∼12K) fbronehourbyrefrigerator. 両 方 法 に よ っ て 測 定 さ れ た T c o は , 振 動 を 与 え な がら冷却した場合,即ち冷凍機を用いて測定した場合 の方が,∼2K低い値を示す.この差は,試料の作成 条件等によっても異なる. 又,Nb3Ge膜において,室温から冷凍機によって 振 動 を 加 え な が ら 冷 却 し て も , 液 体 ヘ リ ウ ム で 測 定 し た T c o と 変 ら な い 試 料 も あ り , そ の 中 に は , T c を 超 え て 更 に ∼ 1 2 K ま で 冷 却 し , そ の 状 態 を 約 1 時 間 保持した後,冷凍機を停止し,徐々に温度を上昇させ て(∼25Kまで)再び,TCCを測定すると今度は,液 体ヘリウムによって測定されたTCCより∼1K低く なる試料がある.(第9図(c)) こ れ は , 後 に 述 べ る 臨 界 温 度 T c と , 構 造 相 転 移 温 12.4 14.0

A B C

15.5 15.1 の 測 定 を 振 動 の 加 わ ら な い 液 体 ヘ リ ウ ム を 用 い て 行 っ た場合と,振動の加わる冷凍機を用いて行った場合, 更に室温から冷凍機によって冷却され,TCCを測定し た後,それより低い温度(∼12K)まで冷却し’更に その状態を約1時間保持した後,再びTc○を測定し た場合の代表的な結果が比較してある. これからも,冷凍機で振動を与えられながら冷却さ れたNb3Ge膜は,一般にTCCが減少する事が分る.

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172 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 4 号 ( 1 9 8 2 ) 度Tmとの関係において重要である様に思われる. 以上の様に,これら二種類の測定方法の明確な相異 点は,冷却中試料に機械的振動が与えられたか否かと いう事だけである. この臨界温度の振動による変化は,高臨界温度超伝 導体では,例えば液体水素中で,これらの材料が使用 できるか等,重要な問題である. こ の 現 象 に 関 連 し う る 問 題 と し て , 強 結 合 超 伝 導体特有の低温での構造相転移がある.V3Si7) '1), Nb3Sn'2),'3),Nb3Alその他,非常に多くのA 15型超 催導体や,NaCl構造,BCC構造超伝導体での構造 相転移や,それに伴うフォノンソフトニングが議論さ れている'4)''5) 又静圧力によって誘起されたBatterman-Barrett 構造相転移,6),17)に伴うTcの変化は,(c/a-1)2 (tetragonal歪みの平方)に比例する事が,V3Siに対 して見い出されている'8). 又Chu等は,単結iVlV3Si9)や,単結I鼎INb3Si12) において,静水圧によるTcとTmとの変化を報告し ている. この様な静圧力による構造相転移は,多く報告され て い る が , こ れ 等 の 静 圧 力 は , 一 般 に 室 温 に お い て セットされており7),本実験の様に冷却途中にパルス 的振動が連続的に加えられた報告を筆者等は知らない. 本論文に報告されている現象を議論するにあたって 重要な点は,この現象が可逆的だという事である.即 ち冷凍機の振動によってTroが減少した試料を充分 な 時 間 を 経 て 室 温 に 戻 し , 液 体 ヘ リ ウ ム を 用 い て 振 動 を加えずにTCCを測定すると,完全に振動を与える 前の臨界温度を回復するという事である.今の場合, NbN膜は∼15K,Nb3Ge膜は∼22Kの臨界温度を 回復する. この事は,何度繰り返されても結果は同じであって, この様な点を考えると,Tcの変化は,試料内の原子 の拡散を伴う様な相転移とは考えにくい. そこで我々は,次の様な推論を行う時,この現象が’ Batterman-Barrett構造相転移が冷却中のパルス的振 動によって誘起されたものではないかという結論が妥 当な考え方であると思う. 即ち,強結合超伝導体において,試料の温度を下げ れ ば , フ ォ ノ ン ソ フ ト ニ ン グ が 起 る 銅 は , よ く 知 ら れ ている'4),'5).この事は,弾'性定数の変化と密接に結 びついており,shearmodulus(せん断定数)は,構 造相転移温度Tmに近づくに従って,次第に零に近づ いてくる. この様な状態に,外部から機械的振動が連続的に加 えられているのが,本実験の場合に相当する. 現在までの研究では,立方晶形から正方晶形に相転 移した場合のTCの減少は,単結晶V3Siにおいて, 約0.4K7),Nb3Snでは1K程度'3)であって,我々 の得たデータに比べると小さい.しかしMatthiasは, V3Siパウダーの正方晶形のTCは10Kである事を硬 かめている.又Viswanathan等は,同じV3Siの単 結晶を粉砕し,プレスしたパウダーで,8Kで遷移す る超伝導相を見い出している20),21).McCarthyも同 様な報告を行っており22),特に,Testardiは,偶発的 歪みは影響が大きく,VS3iでは,そのTcを大きく 引き下げ,薄膜での効果を強調している7). 又TaubとWilliamsonは,単結晶V3Siで,構造 相転移の起こりやすいものは,残留抵抗比R,R、Rの 大きいもの(∼40)で,起こらないものは,RR:R∼ 5であるとしており23),Vie1andとWicklundは, Nb3SnのSnの代わりに,Al,Ga,I、を置き換える 事を報告している24).それは,格子変態が,置換され た 元 素 に よ っ て 押 え ら れ る か ら で あ っ て , こ の 様 に 格 子変態は,合金の状態に非常に敏感である. 一般的に言えば,構造相転移を起こす前の結晶格子 のT(,と起こした後の格子のTcは,格子の状態,例 えば単結晶とか,多結晶,更には結晶粒の大きさに依 存する.又構造相転移点も結晶のオーダリングの程度 等に敏感である様に思われる. 本研究に用いられているNb3Ge膜は,多結晶であ り,Tcの減少した試料は,構造相転移がパルス的機 械振動によって,比較的高い温度で誘起され,Tcの低 い相に移ったとしても,その遷移温度の変化が∼2K 程度であり得る事は,上記の実験報告を合わせ考える と充分あり得る値である. 又,第9図(c)に示される様な,始め室温から冷凍 機によって冷却されて測定されたTCCは,液体ヘリ ウ ム に よ っ て 測 定 さ れ た そ れ と 変 ら な い が , そ れ を 一 旦Tcより低い温度(∼12K)まで振動を加え続けな がら冷却し,その状態を約1時間保持した後,再び同 じ様にTCCを測定すると,今度は,液体ヘリウム冷 却によるT1,.より∼1K低い値を示す試料があるが, こ れ に お い て は , T m が 振 動 に よ り 始 め の T c よ り 0∼1K低い温度に誘起されたと考える事が出来る様 に思われる.又,上記の様にしても,両測定方法にお いて,Tc⑪の変化のなかった試料(第9図(b))は,

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渡辺・大串・沼田:振動を有する小型冷凍機による超伝導臨界温度の測定 173 振動によって転移が誘起されなかったと考える事が, 出来るであろう. NbN膜についても,振動のない液体ヘリウムによ る測定では,ゲッタースパツタ法によって作成された NbN膜(TCC=15.1K)よりも高いTCCを示したNbN 単結晶膜(Tc6=15.5K)が,振動の加わる冷凍機によ る測定では,逆に低くなる事からも,この考えを適用 する事は,さして問題はない様に思われる. これまでのところ,振動によるTcの減少の理由に ついては,推論の域を出ていないが,工学的にも重要 な問題となるので,この現象が何に起因しているかと いう事の解明(例えば,比熱の測定等による構造相転 移の研究や,低温でのX線による研究等)は,今後 の問題として残されている. 最後に,本研究に用いられた単結晶NbN膜*は, 束比大学故小野寺大教授の御好意によって提供された ものである.ここに,謝辞と共に深い哀悼の意を表し ます. 文 献 1)電気学会クライオエレクトロニクス常置専問委 員会編,ジョゼフソン効果,334(1978-6-20) 2)G,OyaandY、Onodera:‘‘Phasetransfbrma‐ tioninnearlystoichometricNbNx,,,J、AppL Phys、47,7,2833(1976-7) 3)TAkune,W,Sakamoto,T、OgushiandT、 Numata:‘‘MeasurmentofSuperconducting TransitionTemperatureofNbNThinFilms Using‘‘CRYOMECH,,Refrigerator”鹿児島大 学工学部研究報告,19,99(1977-11-1) 4)T・Mitsuoka,T,Yamashita,T、Nakazama,Y、 Onodera,Y・Saito,T・Anayama:‘‘Supercon‐ ductiveTransitionTemperaturesofReactive− lySputteredNiobiumFilms,',J、Appl、Phys、 39,10,4788(1968-9) 5)YKaneko,T・Watanabe,T、OgushiandT、 Numata:‘‘NbFilmProducedbyMagnetron SputteringinLiqidN、Vessel,,submittedto Jpn.J・Appl・Phys、 6)T,Ogushi,T、Watanabe,Y、Hayata,M,Yuda, T・Numata,Y・KanekoandY・Hakuraku: ‘‘Nb3GePreparedbyHighRateSputteringin aContainerCooledbyLiquidN2,,submitted toJpn.J・Appl・Phys、 7)L,RTestardi:“UnusualStrainDependence ofTcandRelatedEfrectsfbrHigh-Tempera‐ ture(A-15-Structure)Superconductors:Sound VelocityattheSuperconductingPhaseTran-sition,,,Phys・Rev.,3,1,95,1971−1 8)R,E、LarsenandA,LRuofY,:‘‘Pressure-in‐ ducedElasticityChangesinV3Si,,,J、AppL Phys、44,3,1021(1973-3) 9)CW,ChuandLR,Testardi:“DirectOb‐ servationofEnhancedLatticeStabilityin V3SiunderHydrostaticPressure,,,Phys、 Rev、Lett.,32,14,766(1974-4) 10)R、D,Blaugher,A,Taylor,andMAshkin: 、‘PossibilityofaPressure-InducedTransfbr‐ mationinCubic(A-15)V3Si",PhysRev、 Lett.,33,5,292(1974-7) 11)L、R、Testardi:‘‘Structurallnstabilityand SuperconductivityinA-15Compounds,,,Rev、 ModPhys、47,3,637(1975-7) 12)CW,Chu:“Pressure-EnhancedLattice TransfbrmationinNb3SnSingleCrystal,,, Phys、Rev・Lett.,33,21,1283(1974-11) 13)C,WChuandL.J・Vieland:‘‘TheSuper‐ conductingTransitionTemperatureandlts High−PressureBehaviorofTtragonalNb3Sn,,, J、LowTempPhys.,17,1/2,25(1974) 14)L,RTestardi,T.B.Bateman,W,R,Reed,and V・GChirba:Phys,Rev・Lett.,15,250(1965) 15)L、R・TestradiandT.B.Bateman:PhysRev, 154,402(1967) 16)B、W、BattermanandCSoBarrett:“Crystal StructureofsuperconductingV3Si,,,Phys・ RevLett.,13,13,390(1964-9) 17)B,WBattermanandCS、Barrett:Phys, Rev、145,296(1966) 18)LR、Testardi:“StructuralInstability,A、‐ harmonicity,andHigh-TemperatureSuper-conductivityinA-15-StructureCompounds',, PhysRevB,5,11,4342(1972-6) 19)B,T、Matthias,ECorenzwit,A、S・Cooper, andL.D、Longinotti:‘‘InstabilitiesofHigh TemperatureSuperconductors,,,Proc・NatL AcadSci・USA,68,1,56(1971-1) 20)RViswanathanandHLuo:“HeatCapaci‐ tyMeasurementsandPhaseTransitionin V3Si,,,SolidStateCommun.,2,1733(1971) 21)RViswanathanandD,CJohnston:“Ther‐ modynamicStudyofStructuralandSuper-conductingTransitionsinaV3SiSingleCrys− tal,,,PhysRev.B,13,7,2877(1976-4) 22)S、L,McCarthyandRViswanathan:‘‘Heat CapacityandA.C・SusceptibilityMeasure-mentsonPressed-PowderCompactsV3Si,,, SolidStateCommun.,9,569(1971) 23)H、TaubandS.』・Williamson:“Electrical

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参照

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