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東日本大震災 危機発生時の対応について考える:4.震災復興インターネット

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Academic year: 2021

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(1)3.11 大震災. 東日本大震災 危機発生時の対応について考える. 特別企画. 4. 震災復興インターネット 植原啓介 慶應義塾大学,大江将史 国立天文台天文データセンター. 発災から活動開始まで. ーネットへの接続を行った.これらのサービスでは,.  2008 年の岩手・宮城内陸地震において甚大な被. 74cm ∼ 1.2m 程度のパラボラアンテナにより,日. 害を受けた宮城県栗原市は,その復旧活動の中で情. 本国内の設置場所を選ばず,おおよそ下り 8Mbps,. 報通信システムの重要性を認識した.その後,この. 上り 2Mbps 程度の通信速度が利用できる.衛星通. 経験を全国で活かしてほしいと,災害時の情報通信. 信は,他の方式に比べて価格は高いが,地上の通. 早期復旧システムを慶應義塾大学とともに開発し,. 信インフラの状況や,地域性に影響されずに利用. 市内へ配備することを決めた.. できる..  今回の震災では,発災直後から Twitter や SNS な.  今回の活動では,規模が大きい避難所(数百人規. どで情報が交換され,インターネットの有用性が認. 模)や多数に情報機器が接続された施設等,大きな. 識されていた.そこで,栗原市とのプロジェクトを. トラフィックが想定される場所で利用した.. 進めていた慶應義塾大学の村井純教授が呼びかけ人 となり,情報通信分野の企業,研究所,大学等が集. 3G 通信. まり,インターネットを被災地へ届けるプロジェク.  意外と活躍したのが第三世代携帯電話(3G)の回. トが立ち上がった.これが震災復興インターネット. 線を用いたインターネット接続である.震災後,通. である.. 信会社の努力によって携帯電話の接続性は急速に回.  震災復興インターネットでは,以下に述べる技術. 復した.そのような場所では,3G 回線によりイン. を使って被災地をインターネットに接続することに. ターネットへ接続した.. より,その復興活動を支援することを活動内容とし.  被災地における 3G 回線の設置は,難しさを伴っ. ている.3 月 25 日から今日に至るまで継続的に活. た.たとえば,基地局の損壊により,基地局あたり. 動を続けており,すでに 40 カ所以上をインターネ. カバレッジ拡大と利用端末の高密度化,地上通信網. ットに接続している.. の損壊に伴う基地局とバックボーン間の帯域制限等, 利用可能な帯域が制限される場所や,利用可能な周. インターネット接続技術. 波数帯の不安定性が散見された..  被災地では,主に表 -1 に示す 3 つの技術を用い.  よって,3G 回線の実効速度調査を行い,利用. てインターネット接続性を提供している.. 周波 数 や ア ン テ ナ の 設置 位 置 の 調整 等を 行った (図 -1).. 衛星通信  衛星通信として,スカパー JSAT 社や,IPStar 社が. 長距離無線 LAN. 提供する VSAT(Very Small Aperture Terminal)方式.  すでにインターネット環境が整えられた場所と,. の商用衛星インターネットサービスを用いてインタ. 近隣の避難所等を接続するために,最大 10km 程度 の見通し内を IEEE802.11g 規格で接続する長距離無 線 LAN 方式を導入した.広範囲でのインターネッ. 速度. 価格. 設置条件. 衛星通信. ○. ×. 国内. 3G 通信. △. ○. 3G のエリア内. や山間部等津波による被災を逃れた場所が多く,ま. 長距離無線 LAN. ○. ◎. 地形に依存. た,被災範囲が広いため,その場所も分散している. 表 -1 インターネット接続技術の特徴. 1068 情報処理 Vol.52 No.9 Sep. 2011. ト環境を低コストで構築できることを想定した.  しかしながら,接続が必要とされる場所は,高台. 場合が多かった.そのため,机上設計では,その有.

(2) 図 - 1  衛星通信(左)と 3G 回線用機器(右). 効性が検討できても,実際に適用した事例は,予想 に反して,2 カ所のみとなっている.  このため,本方式の有効性を示すには至らなかっ たといえる.. 皆のためのインターネット  インターネットは,行政や医療,ボランティアに とっては,情報を迅速に正確に本部に伝えるために 不可欠なシステムである.また,避難されている 方々にとっても,住宅情報や就職情報などの情報収. 図 - 2 気仙沼総合体育館公共端末を使う人々. 集や復興に向けての情報発信等,誰もがいつでもど こでも使える有用なツールである.  本活動では,公共性や共用性を重視した活動を行. 簿の共有,避難されている方々にとっては,住宅情. うように努めた.避難所の方々とイン ターネット. 報や就職情報等の検索などである.一方で,災害へ. の使い方について相談し,被災した方々 により良. の備えという面では不十分さを見せた.. いインターネットの使い方をしてもらえる よう努.  今後,インターネットの強みを強化するためのア. 力をした.インターネットは社会インフラとしては. プリケーションの開発とともに,電気における自家. 比較的新しく,災害時の活用方法等については検討. 発電機,水道における給水車のような災害への備え. が不十分であった.今回の被災者の方々は,災害時. となれる技術の開発が望まれる.また,いち早く情. のインターネット活用について数少ない知見を有す. 報通信網を正常化することによって災害復興がより. る人々となった.今後,被災地の復興にあたって,. 効率的に進むことを,一般に広く認識してもらうた. 避難所でインターネットを使った経験が,避難所で. めの啓蒙活動も重要である.. 得た知見とともに役に立てば幸いである (図 -2).. (2011 年 6 月 2 日受付). 社会インフラとして  今回の震災においては社会インフラとしてのイン ターネットの強さと弱さの両方が露になった.イン ターネットは情報を正確に即時に大量に必要なとこ ろに届けるという面では強力なツールとなった.病 院においては薬の発注,避難所においては避難者名. 植原啓介(正会員)■ [email protected]. 慶應義塾大学環境情報学部准教授.博士(政策・メディア).インタ ーネット移動体通信や ITS,地理位置情報等の研究に従事.. 大江将史(正会員)■ [email protected]. 国立天文台天文データセンター助教.博士(工学) .ネットワークセ キュリティ,次世代シグナリング,衛星通信に関する研究・運用に従事.. 情報処理 Vol.52 No.9 Sep. 2011. 1069.

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参照

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