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不登校児童生徒への支援に関する教師の意識調査

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Academic year: 2021

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I 問題と目的 不登校児童生徒の増加に対応するため,文部省 (当時)は学校不適応対策調査研究協力者会議を設 置し,その報告(1992)で「不登校はだれにでも起 こりうる。登校を促すことはよくない場合もある」 という指針を出した。しかし不登校児童生徒はさら に増加し,2003年には不登校問題に関する調査研 究協力者会議が新たに設置され,「不登校は心の問 題のみならず,進路の問題でもある」と不登校のと らえ方を変更した。この間,不登校児童生徒数は倍 増したが,1998年をピークにそれ以降は年間約 12 万人程度を推移し,その数は過去 10年間ほとんど 変わっていない。 不登校のとらえ方が変化する中で,学校環境にも 変化が見られる。特殊教育から特別支援教育への移 行に伴って,特別支援教育コーディネーターが配置 され,学校内で校内委員会が定期的に行われるなど, アセスメントやチーム支援の考え方が浸透してきた。 これは特別支援教育に止まらず,不登校等の生徒指 導全般に言えることである。また,それに先立って 1995年からスクールカウンセラーが,2008年から はスクールソーシャルワーカーが配置されるなど, 学校内の援助資源が多様化し,外部の専門機関との 連携も行われるようになってきた。 一方,構成的グループエンカウンター(國分, 1992)や対人関係ゲーム(田上,2003)等の学級集団 づくりを意図した集団適応の支援方法が,急速に学 校現場に導入されてきた時期でもある。不登校にな ってしまってから支援に乗り出すよりも,予防的に 対応しようとする意識が教師の中に浸透してきたも のと思われる。さらに学級集団づくりやよりよい生 学苑人間社会学部紀要 No.856 28~36(20122)

Thepurposeofthisstudy istounderstand thereality ofhow teacherssupporttruant studentsand how effectivethey believethemeasuresthey taketo be.In a questionnaire survey of227teachers,weaskedthem torecollecttheirsuccessfulandunsuccessfulsupport casesandassesseachinterventionbyansweringmultiple-choicequestionsdesignedtofindout whichof32supportmethodstheyhadused,andhow effectivetheythoughtthemethodsthey usedwere.

Asa result,itwasfound thattherewasno correlation between theratesatwhich a methodwaschosenanditssuccessorfailure.Allthemethodsusedinsuccessfulcasesrated higherandinsomecasesthedifferenceswerestatisticallysignificant.Also,methodsusedin unsuccessfulcaseswereratedlowerinjuniorhighschoolcaseassessmentscomparedtothat ofelementaryschools,suggestingthatjuniorhighschoolteachersarehavingatoughertime insupportingtruantjuniorhighschoolstudents.

Keywords:truancysupportbyteachers(教師の不登校支援),execution rateofsupport(支援 の実施率),effectivenessofsupport(支援の効果)

不登校児童生徒への支援に関する教師の意識調査

岸 田 幸 弘

AnAttitudeSurveyonTeachers・SupportforTruantStudentsandPupils YukihiroKISHIDA 〔論 文〕

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き方の支援を目指したキャリア教育,あるいは授業 づくりそのものが集団不適応を生まない支援である と考えられるようにもなり,成長促進的あるいは開 発的生徒指導などとも言われるようになってきた。 このように不登校のとらえ方や学校環境,システ ムなどが変化してきた状況の中では,教師による不 登校支援の方法も変化してきているのではないだろ うか。筆者は長年教師として不登校支援に取り組み, その時々で支援の方法を工夫してきた。その中には 学校を挙げて支援体制を整えて不登校児童生徒を支 援した事例(20022008)もあったが,関わった不 登校支援すべてが成果を上げたわけではない。中に は中学一年生で不登校になり,様々な支援を試みた にもかかわらず,登校できないまま卒業して行った 生徒もいた。同じ学校環境で同じ教師が支援をして も,その成果は事例によって異なっている。したが って現在でも多くの教師は,不登校児童生徒への支 援に苦戦していることに変わりはない。 そこで本研究では,教師への質問紙調査によって, どのような不登校支援が成果を上げたのかを明らか にするとともに,成果が上がらなかった事例の不登 校支援も具体的に調査し,教師が行っている不登校 支援の効果について検討することを目的とする。併 せて学校環境や教育システムの異なる小学校と中学 校での不登校支援のあり方を比較し,その効果の違 いを検討する。 II 方 法 1.調査対象および手続き 複数の小学校,中学校,高等学校,および特別支 援学校の教師 227名からの回答のうち,小学校と中 学校での不登校支援の事例を分析の対象とした。そ の内訳を Table1に示す。2009年 8月に教員免許 状認定講習会および教員免許状更新講習会に参加し た教師に対して休憩時間に調査を依頼し,了解が得 られた教師に講習会終了後その場で回答してもらっ た。また,筆者や筆者の知人から校長を通して依頼 し,後日回収した調査も含まれる。 2.調査時期 2009年 8月 3.調査内容 ( 1) 教示 「これまでに経験した不登校児童生徒への支援で, よく支援できたと思う事例(以下,成功事例)と,う まく支援できなかったと思う事例(以下,失敗事例) を,一つずつ思い起こして下さい」という教示によ って,2つの不登校事例を想起してもらい,それぞ れについて対象児童生徒の校種,学年,性別と支援 した時の回答者の立場(子どもとの関係)や不登校の 原因,きっかけ,支援後の様子について自由記述を 求めた。なお,文部科学省の不登校の定義(年間 30 日以上の欠席を不登校とする)に該当するかどうかは 問わなかった。 ( 2) 質問項目 成功事例と失敗事例において,Table2に示す 32の具体的支援方法を質問項目とした。そしてそ れぞれの項目について「効果があった」から「効果 がなかった」までの 4件法で回答を求め,その評定 を 4点から 1点まで点数化して集計した。 この 32の具体的支援は,山本(2007)の不登校児 童生徒に対する 11の支援項目(関係維持家族支持 校内援助源別室登校意欲喚起児童生徒支持人間 Table1 調査対象者の構成 小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 男 女 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 合 計 A県 B県 C県 D県 E県 82 34 8 6 4 9 20 0 4 0 0 21 0 3 0 29 7 0 0 0 32 30 2 3 2 88 52 6 10 2 21 0 2 1 0 52 9 1 2 1 42 31 3 7 3 5 42 2 3 0 120 82 8 13 4 134 33 24 36 69 158 24 65 86 52 227

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関係調整登校援助学習指導生活指導専門機関連 携)の効果測定の際に提示された 28の具体的支援 (「電話連絡や家庭訪問などを行った」,「保健室などで過 ごせるようにした」,「学習の遅れを取り戻すための指導 を行った」等)を問題対処的支援とし,そこに予防 的支援の 2項目(「普段から児童生徒の不安や心配事の 話を聞いたり,相談にのったりしていた」,「欠席の回数 やその休み方などに注意を払っていた」)と成長促進的 支援の 2項目(「クラス集団のルールや役割を徹底した り,関係づくりや感情の交流を促進したりしていた」, 「授業の中でのグループづくり,認められる場面づくり, 発言のしやすさなどの工夫を行っていた」)を加えて, 全体として 8つのカテゴリーの下位に 15の支援項 目を設け,それぞれに該当する 32の具体的支援項 目を作成した。 なお,予防的支援の 2項目は教師が日常の教育活 動の中で生徒指導や教育相談を意識して,欠席しが ちな子どもや集団不適応になりがちな子どもの支援 Table2 不登校支援の分類 カテゴリー 支援項目 No.具体的支援[1~28については,山本(2007)から筆者が適宜要約,改変した箇所がある] 家庭連携 関係維持 1 電話連絡や家庭訪問などを行った。 2 交換日記や連絡帳などをとおして連絡を密にした。 3 友人をとおしてプリントを渡すなどした。 家族支持 4 話し合いをしたり傾聴したりすることで,不安や焦りを抱える父母や家族を支えた。 組織的支援 校内援助源 5 相談担当や生徒指導担当の教師に援助を求めた。6 養護教諭に援助を求めた。 7 スクールカウンセラーや相談員に援助を求めた。 別室登校 8 相談室などで過ごせるようにした。9 保健室などで過ごせるようにした。 10 居場所を確保するために個別の学習室を設けた。 心的支援 意欲喚起 11 行事や係活動などを生かして活躍の場を作った。12 家での趣味や運動を勧めた。 13 将来の夢や進路について助言した。 児童生徒支持 14 傾聴することで,児童生徒を支えた。15 不安や焦りを聞くことで,児童生徒を支えた。 登校支援 人間関係調整 16 児童生徒と友人との関係(学級内環境)を調整した。17 児童生徒と教師との関係を調整した。 18 児童生徒と家族との関係を調整した。 登校援助 19 児童生徒の送り迎えを行った。20 他の児童生徒がいない時間の登校を勧めた。 21 目標を細分化し段階的に学校に慣らすようにした。 指導的支援 学習指導 22 学習について個別の指導を行った。23 学習の遅れを取り戻すための指導を行った。 生活指導 24 社会のルールや規則などについて指導した。25 規則正しい生活をするように指導した。 専門機関 連携 専門機関連携 26 教育センターや適応指導教室と連携を図った。 27 児童相談所と連携を図った。 28 病院や診療所と連携を図った。 予防的支援 教育相談 29 普段から児童生徒の不安や心配事の話を聞いたり,相談にのったりしていた。 欠席への配慮 30 欠席の回数やその休み方などに注意を払っていた。 成長促進的 支援 集団づくり 31 クラス集団のルールや役割を徹底したり,関係づくりや感情の交流を促進したりしていた。 授業改善 32 授業の中でのグループづくり,認められる場面づくり,発言のしやすさなどの工夫を行っていた。

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を行うことが多いという判断から,また成長促進的 支援は学級集団づくりや授業づくりの工夫などが不 登校児童生徒を出さないことに通じるであろうとい う判断のもとで,学校教育の 2領域である生徒指導 (教育相談)面と学習指導面からそれぞれ設定された。 また,その支援を行わなかった場合は評定せずに, 所定の欄にチェックを入れるよう求めた。 III 結果と考察 1.不登校支援の実施率について ( 1) 全体と学校段階別 小中学校において行われている各不登校支援の実 施状況の概略を知るために,すべての事例を合計し た不登校支援の全体実施率と学校段階別の実施率を カテゴリーごとに求めた(Table3および Fig.1)。全 体実施率では「家庭連携」(79.0%)と「予防的支援」 (78.9%)が同程度に高い割合で実施されており,次 いで 「心的支援」(71.0%)と 「成長促進的支援」 (71.7%)が同程度の実施率であった。「専門機関連 携」(25.6%)だけが極端に実施率が低かった。 実施率の高い「家庭連携」は家庭訪問や交換日記, プリントを渡す,保護者の話に耳を傾け家族を支え るなどの関係維持と家族支援の内容が含まれる。ま た,「予防的支援」は普段から児童生徒の不安や心 配事の話を聞いたり,欠席の回数や休み方などに注 意を払ったりするなどの,教育相談と欠席への配慮 の内容が含まれている。 実施率を小学校事例と中学校事例で比較すると, 8つのカテゴリーのうち,次の 5項目で実施率に差 が認められた。「組織的支援」(小<中),「心的支援」 (小<中),「登校支援」(小<中),「予防的支援」(小 <中)の 4項目では小学校よりも中学校で実施率が 高く,「成長促進的支援」(小>中)は中学校よりも 小学校で実施率が高かった。「家庭連携」「指導的支 Table3 不登校支援(カテゴリー別)の全体および学校段階別の実施率 不登校支援 (全体合計)実施率% N=283 小学校実施率% (成功失敗合計) N=185 中学校実施率% (成功失敗合計) N=98 小中の実施率 (成功失敗合計)の差 ・2 家庭連携 79.0 80.4 76.4 2.43 n.s. 組織的支援 49.4 44.6 58.8 30.20 *** 心的支援 71.0 68.6 79.5 9.32 ** 登校支援 65.0 57.2 64.8 17.43 ** 指導的支援 59.5 58.6 61.4 0.79 n.s. 専門機関連携 25.6 24.6 26.3 0.40 n.s. 予防的支援 78.9 75.5 85.3 7.11 ** 成長促進的支援 71.7 75.3 64.5 7.03 ** ***:p<.001 **:p<.01 Fig.1 不登校支援実施率(小中学校別)

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援」「専門機関連携」の 3項目は実施率に差はなか った。 中学校で実施率が高かった項目を見ると,「組織 的支援」では相談担当や生徒指導担当,スクールカ ウンセラーなどに援助を求めたり,保健室などの別 の居場所づくりを進めたりするなど,教科担任制や 部活動などで学級担任以外の教師等が生徒と関わる ことが多い中学校の実情をよく反映していると思わ れる。中学校の実施率が高い他の 3項目は具体的な 支援内容を詳しく検討する必要がある。また,小学 校の実施率が高い「成長促進的支援」の内容は,学 級集団づくりや授業の中でのグループづくり,認め られる場面づくりなどであり,学級担任制の小学校 において重視される内容であると思われる。 ( 2) 成功事例と失敗事例 成功事例と失敗事例の実施率を比較したのが Table4である。小中学校のすべての事例を,教師 がよく支援できたと思う「成功事例」と,うまく支 援できなかったと思う「失敗事例」に分けてその実 施率を比較すると,すべてのカテゴリーで差はなか った。支援がうまくいった場合もうまくいかなかっ た場合も,8つのカテゴリーの支援を行う割合は差 がないということは,どれか重点的に支援を行うと よい結果が得られるというわけではないことを示し ている。つまり,教師はどのような不登校支援にも, 概して同じような内容の支援を行っているにもかか わらず,結果的にうまくいく場合とうまくいかない 場合があるということが示唆される。 成功事例と失敗事例で実施率に差がないのは,小 中学校別の成功事例失敗事例の比較でも同様の結 果であった。しかし小学校事例の中で「指導的支援」 だけは成功事例よりも失敗事例の方が実施率は高か った。小学校における指導的支援の成功事例と失敗 事例を, 具体的な支援内容ごとに比較したのが Table5である。学習面での個別指導(No.2223) や社会のルールや規則についての指導(No.24)で は実施率に差はないが,規則正しい生活をするよう に指導する(No.25)では,失敗事例の方が実施率 が高い。 2.不登校支援の効果について ( 1) 成功事例と失敗事例の効果評定について 具体的支援の一つひとつについて「効果があった」 (4点)から「効果がなかった」(1点)まで 4件法で 回答を求めた。小学校と中学校の全体を成功事例と 失敗事例で,カテゴリー別に効果評定を比較したの が Table6である。すべてのカテゴリーで成功事 例の方が評定得点は高く,教師がうまく支援できた, あるいはできなかったと認知した場合は,支援が効 果的であった,あるいは効果的でなかったと評定す るのは当然の結果とも思われる。しかしその中でも 「家庭連携」「心的支援」「予防的支援」「成長促進的 支援」では有意な差が認められ,不登校支援がうま くできたと思われる時には,これら 4つの支援は効 Table4 不登校支援(カテゴリー別)の成功事例失敗事例別の実施率 不登校支援 小中合計の実施率% 小学校実施率% 中学校実施率% 成功事例 失敗事例 実施率の差 成功事例 失敗事例 実施率の差 成功事例 失敗事例 実施率の差 家庭連携 78.0 80.4 78.3 83.2 77.5 75.0 組織的支援 49.6 49.2 43.8 45.6 61.4 55.7 心的支援 72.2 69.3 69.1 67.8 78.6 80.5 登校支援 64.6 65.4 64.1 66.3 65.6 63.7 指導的支援 56.6 63.5 54.0 64.9 * 61.8 60.9 専門機関連携 22.9 27.7 23.0 26.8 23.7 29.5 予防的支援 78.1 79.8 75.4 75.8 83.7 87.2 成長促進的支援 70.6 73.1 73.8 77.2 62.5 65.5 *:p<.05

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果があると考えられているようである。 カテゴリー間の評定値を比べると,成功事例では 指導的支援がかなり低い値を示し,失敗事例の値と 同程度であることが分かる。支援の結果がどうであ れ,指導的支援は他の支援に比べるとその効果はあ まり感じられないようである。 具体的支援ごとの評定値(Table7)では多くの項 目で成功事例の方がその効果が認められているが, 「スクールカウンセラーや相談員」(No.7),「個別の 学習室」(No.10),「送り迎え」(No.19),「遅れを取 り戻すための学習指導」(No.23),「ルールや規則の 指導」(No.24),「教育センターや適応指導教室と連 携」(No.26)では差がなかった。本調査では事例の 具体的な内容までは精査できないので,成功事例で も効果がないのか,失敗事例でも効果は認められる のかは判断できない。 さらに,小学校中学校ごとに効果評定では,全 体に失敗事例の方がすべての項目で効果評定が低い のは全体と同様の傾向であるが,中学校の失敗事例 は 2点以下の項目が多く,小学校に比べてかなり効 果評定得点が低いようである。その傾向は家庭連携 や組織的支援の「別室登校」で顕著である。しかし, これらの特に高い効果評定を示す具体的支援でも, 失敗事例では他の具体的支援と同様に低い値である。 失敗事例全体としてもすべての具体的支援で成功事 例よりも効果評定得点が低く,うまく支援できなか ったという思いから,たとえ部分的には有効な支援 があったとしても,事例を振り返った時点ですべて の支援の評定が低くなってしまうのではないかと思 われる。 ( 2) 成功事例における効果評定 成功事例において小中学校間の効果評定に差のあ った具体的支援は次の 2項目である(Table8)。「将 来の夢や進路について助言した」(No.13)は,中学 校で有意に高く,実施率も小学校の約 2倍である。 中学校では高校進学とその先の進路や生き方などに ついて助言するような不登校支援が効果があるよう である。それに対して「授業中のグループづくり, Table5 小学校における指導的支援の成功失敗別実施率 不登校支援の分類 No. 具体的支援 成功事例実施率% 失敗事例実施率% 実施率の差 指導的支援 学習指導 22 学習について個別の指導を行った。23 学習の遅れを取り戻すための指導を行った。 61.55.03 68.65.58 生活指導 24 社会のルールや規則などについて指導した。25 規則正しい生活をするように指導した。 36.62.95 48.76.79 指導的支援合計の実施率 54.0 64.9 * *:p<.05 Table6 成功事例と失敗事例の効果評定(カテゴリー別小中合計) カテゴリー 効果評定(SD) 効果評定の差 成功事例 N=160 失敗事例N=123 家庭連携 3.20( .64) 2.41( .77) *** 組織的支援 3.10( .46) 2.29( .89) 心的支援 2.89( .53) 2.31( .87) * 登校支援 3.15( .63) 2.67( .50) 指導的支援 2.65( .75) 2.50( .91) 専門機関連携 3.67( .00) 2.78(1.07) 予防的支援 2.87( .75) 2.41( .82) * 成長促進的支援 2.85( .76) 2.02( .96) ** ***:p<.001 **:p<.01 *:p<.05

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Ta bl e7 成功事例と失敗事例の効果評定 (小中合計および小中学校別) カテゴリー 支援項目 No . 具体的支援 効果評定平均( SD ) 効果評 定の差 小学校 中学校 成功事例 失敗事例 成功事例 失敗事例 成功事例 失敗事例 家庭連携 関係維持 1 2 3 電話連絡や家庭訪問などを行った。 交換日記や連絡帳などをとおして連絡を密にした。 友人をとおしてプリントを渡すなどした。 3. 32( .9 3) 3. 07( .8 1) 2. 91( .8 8) 2. 22( 1. 09 ) 2. 38( .9 0) 2. 10( .9 2) ** ** ** 3. 36( .7 9) 3. 31( .6 8) 3. 07( .8 2) 2. 48( .9 3) 2. 30( .8 1) 2. 22( .8 3) 3. 44( .8 3) 3. 00( .7 8) 2. 81( .8 5) 2. 15( 1. 00 ) 2. 16( 1. 01 ) 2. 14( .9 9) 家族支援 4 話し合いをしたり傾聴したりすることで,不安や焦りを 抱える父母や家族を支えた。 3. 38( .7 2) 2. 48( .9 1)* * 3. 32( .7 8) 2. 48( .8 2) 3. 32( .7 9) 2. 39( 1. 00 ) 組織的支援 校内援助源 5 6 7 相談担当や生徒指導担当の教師に援助を求めた。 養護教諭に援助を求めた。 スクールカウンセラーや相談員に援助を求めた。 3. 06( .8 0) 3. 19( .8 2) 2. 65( 1. 06 ) 2. 42( .9 0) 2. 48( .8 9) 2. 58( 1. 02 ) ** ** 3. 12( .7 8) 3. 22( .7 9) 3. 11( .8 8) 2. 59( .8 3) 2. 56( .8 2) 2. 47( .9 7) 3. 41( .7 8) 3. 29( .7 9) 3. 16( .9 2) 2. 44( .9 9) 2. 36( 1. 03 ) 2. 42( .9 8) 別室登校 8 9 10 相談室などで過ごせるようにした。 保健室などで過ごせるようにした。 居場所を確保するために個別の学習室を設けた。 3. 48( .6 8) 3. 40( .8 8) 3. 06( .9 3) 2. 31( 1. 08 ) 2. 26( 1. 24 ) 2. 50( 1. 09 ) ** ** 3. 27( .8 2) 3. 41( .8 5) 3. 20( 1. 00 ) 2. 65( 1. 15 ) 2. 58( 1. 07 ) 2. 60( 1. 08 ) 3. 42( .7 6) 3. 41( .7 8) 3. 44( .8 5) 1. 90( .7 8) 2. 09( 1. 06 ) 1. 86( .8 3) 心的支援 意欲喚起 11 12 13 行事や係活動などを生かして活躍の場を作った。 家での趣味や運動を勧めた。 将来の夢や進路について助言した。 3. 24( .7 2) 2. 79( .9 0) 3. 04( .7 9) 2. 23( 1. 02 ) 2. 15( .9 1) 2. 15( .8 2) ** * * *** 3. 24( .7 5) 2. 98( .8 8) 2. 82( .9 0) 2. 27( .8 7) 2. 06( .9 2) 2. 02( .8 8) 3. 00( 1. 01 ) 3. 00( .7 3) 3. 25( .7 1) 2. 03( 1. 08 ) 2. 19( .8 7) 2. 21( .8 5) 児童生徒支持 14 15 傾聴することで,児童生徒を支えた。 不安や焦りを聞くことで,児童生徒を支えた。 3. 17( .8 8) 3. 11( .8 3) 2. 26( .9 3) 2. 52( .8 5) ** * ** 3. 28( .7 4) 3. 17( .7 5) 2. 42( .8 6) 2. 48( .8 3) 3. 06( .8 3) 3. 02( .7 7) 2. 18( .8 0) 2. 18( .7 2) 登校支援 人間関係調整 16 17 18 児童生徒と友人との関係(学級内環境)を調整した。 児童生徒と教師との関係を調整した。 児童生徒と家族との関係を調整した。 3. 31( .8 2) 3. 20( .6 8) 3. 18( .7 3) 2. 59( .9 1) 2. 37( 1. 01 ) 2. 39( .9 2) ** ** *** 3. 34( .7 5) 3. 31( .6 5) 3. 23( .7 1) 2. 68( .8 8) 2. 53( .8 8) 2. 32( .9 4) 3. 16( .8 6) 3. 26( .7 1) 3. 08( .7 9) 2. 24( .9 0) 1. 96( .7 6) 2. 09( .6 7) 登校援助 19 20 21 児童生徒の送り迎えを行った。 他の児童生徒がいない時間の登校を勧めた。 目標を細分化し段階的に学校に慣らすようにした。 2. 95( 1. 19 ) 3. 00( 1. 10 ) 2. 97( .7 2) 2. 20( 1. 08 ) 2. 00( .6 7) 2. 17( .8 2) ** * ** * 3. 10( 1. 00 ) 2. 98( .9 6) 3. 24( .7 3) 2. 35( .9 4) 2. 36( .9 1) 2. 25( .9 3) 3. 00( 1. 02 ) 3. 22( .9 7) 3. 26( .8 5) 2. 06( .9 6) 1. 96( .9 2) 1. 82( .7 1) 指導的支援 学習指導 22 23 学習について個別の指導を行った。 学習の遅れを取り戻すための指導を行った。 3. 00( .8 0) 2. 93( .7 7) 2. 43( 1. 03 ) 2. 42( 1. 07 ) * 3. 27( .6 9) 3. 23( .7 0) 2. 59( .8 6) 2. 56( .8 3) 3. 27( .7 1) 3. 06( .7 7) 2. 04( .8 0) 2. 04( .8 7) 生活指導 24 25 社会のルールや規則などについて指導した。 規則正しい生活をするように指導した。 2. 47( .9 2) 2. 67( .8 8) 2. 06( .9 7) 2. 14( .8 9)* 2. 82( .8 0) 2. 89( .8 8) 2. 15( .7 5) 2. 11( .8 0) 2. 68( .8 3) 2. 90( .8 2) 1. 76( .6 6) 1. 90( .7 0) 専門機関連携 専門機関連携 26 27 28 教育センターや適応指導教室と連携を図った。 児童相談所と連携を図った。 病院や診療所と連携を図った。 3. 20( .6 8) 3. 67( .5 8) 3. 27( .9 1) 2. 75( 1. 14 ) 2. 00( 1. 10 ) 2. 13( .7 4) * ** 3. 26( .8 1) 3. 14( 1. 02 ) 2. 96( .9 2) 2. 50( .9 6) 2. 56( .9 6) 2. 35( .7 8) 3. 16( .9 5) 2. 71( 1. 38 ) 3. 45( .6 8) 2. 40( 1. 05 ) 2. 00( 1. 06 ) 1. 86( .5 1) 予防的支援 教育相談 29 普段から児童生徒の不安や心配事の話を聞いたり,相談 にのったりしていた。 3. 03( .8 2) 2. 46( 1. 04 )* 3. 17( .8 1) 2. 40( .9 4) 3. 00( .7 9) 2. 08( .7 1) 欠席への配慮 30 欠席の回数やその休み方などに注意を払っていた。 2. 83( .9 2) 2. 17( .8 2)* * 3. 19( .8 2) 2. 44( .8 3) 3. 05( .8 2) 2. 14( .8 2) 成長促進 的支援 集団づくり 31 クラス集団のルールや役割を徹底したり,関係づくりや 感情の交流を促進したりしていた。 2. 71( .8 6) 2. 04( 1. 00 )* * 3. 09( .8 0) 2. 32( .8 6) 2. 85( .7 9) 2. 03( .7 9) 授業改善 32 授業の中でのグルーづくり,認められる場面づくり,発 言のしやすさなどの工夫を行っていた。 2. 93( .7 7) 2. 04( .9 8)* * 3. 21( .7 4) 2. 35( .8 7) 2. 81( .7 3) 1. 81( .6 8) ** * : p < .0 01 ** : p < .0 1 * : p < .0 5

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認められる場面づくり,発言のしやすさなどの工夫」 (No.32)では,中学校よりも小学校の効果評定得点 が高い。これは学級担任制の小学校では,担任は一 日の多くの時間を自分のクラスの授業に費やしてい るため,いわゆる学級経営に影響を及ぼす人間関係 づくりなどを授業の中でも行っており,そのため中 学校よりも授業改善による不登校支援が効果的と判 断されたのではないかと思われる。 ( 3) 失敗事例における効果評定 小中学校間で差が認められた具体的支援の 9項目 (Table9)では,すべて小学校よりも中学校の効果 評定が低く,評定の平均値も 2点未満の項目が 6項 目を占めている。中学校においてはうまく支援でき なかった事例において,小学校よりも教師は苦戦し ているようである。 IV 全体考察 成功事例でも失敗事例でも,家庭との連絡を密に して電話をしたり家庭訪問をしたり,あるいは保護 者の声に耳を傾け,その上で不登校児童生徒自身の Table8 成功事例において小中学校間の効果評定に差のあった具体的な不登校支援 不登校支援の分類 No. 具体的支援 小学校 中学校 評定平均の差 実施率 % 効果評定(SD) 実施率% 効果評定(SD) t 値 心的支援 意欲喚起 13 将来の夢や進路について助言した。 45.8 2.82( .90) 83.0 3.25( .70) 2.53 * 成長促進的 支援 授業改善 32 授業の中でのグループづく り,認められる場面づくり, 発言のしやすさなどの工夫 を行っていた。 74.8 3.21( .74) 62.7 2.81( .70) 2.58 * *:p<.05 Table9 失敗事例において小中学校間の効果評定に差のあった具体的な不登校支援 不登校支援の分類 No. 具体的支援 小学校 中学校 評定平均の差 実施率 % 効果評定(SD) 実施率% 効果評定(SD) t 値 組織的支援 別室登校 8 相談室などで過ごせるようにした。 29.5 2.65(1.15) 46.5 1.90( .78) 2.52 * 10 居場所を確保するために個別の学習室を設けた。 32.1 2.60(1.08) 34.9 1.86( .83) 2.25 * 登校支援 人間関係 調整 16 児童生徒と友人との関係(学級内環境)を調整した。 81.0 2.68( .88) 78.6 2.24( .90) 2.32 * 17 児童生徒と教師との関係を調整した。 73.4 2.53( .88) 73.2 1.96( .76) 2.98 ** 指導的支援 学習 指導 22 学習について個別の指導を行った。 68.5 2.59( .86) 57.1 2.04( .80) 2.64 * 23 学習の遅れを取り戻すための指導を行った。 65.8 2.56( .83) 54.8 2.04( .87) 2.41 * 生活 指導 24 社会のルールや規則などについて指導した。 48.7 2.15( .75) 59.5 1.76( .66) 2.14 * 専門機関 連携 専門 機関 連携 28 病院や診療所と連携を図った。 22.4 2.35( .78) 34.9 1.86( .51) 2.09 * 成長促進的 支援 授業改善 32 授業の中でのグループづく り,認められる場面づくり, 発言のしやすさなどの工夫 を行っていた。 75.9 2.35( .87) 64.3 1.81( .68) 2.80 ** **:p<.01 *:p<.05

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話をよく聞こうとしている様子がうかがえる。不登 校問題を解決しようとする時の基本的な支援と言え よう。また,友人との関係の調整や学級内の環境改 善(人間関係調整)を支援する割合も高い。「児童生 徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」 (文部科学省,2011)によれば,不登校になったきっ かけと考えられる状況には,いじめや人間関係をめ ぐる問題,転校時の不適応や不安などの情緒的混乱 などが約半数(45.8%)を占めている。このような 状況から人間関係調整の支援の実施率が高くなるも のと思われる。一方,教育センターや適応指導教室, 児童相談所,病院などとの連携支援は,10% 台か ら 30% 台と実施率はかなり低い。しかし成功事例 でも失敗事例でもその効果の評定は他の支援項目に 比べて低くはなく,実施した場合にはそれなりの効 果が認められていることから,専門機関に依頼しな ければならない不登校事例は少ないが,連携支援で きた場合は効果が認められるようである。 不登校支援の実施率で最も特徴的なことは,教師 がうまく支援できたと思っている事例も,うまく支 援できなかったと思っている事例も,各カテゴリー や支援項目の実施率に差がなかったことである。小 中学校間では多少の差は認められたものの,同じよ うな内容の支援をする傾向が認められた。不登校状 態は事例によって様々で,個に応じた支援を行って いるにもかかわらず,結果としてうまく支援できる 場合とうまく支援できない場合がある。うまく支援 できなかった場合は,一つひとつの具体的支援内容 の効果はあまり感じられていないが,それでも一定 の実施率を維持しているということからは,効果の 見通しが持てないにもかかわらず,同じような不登 校支援が行われている可能性があると思われる。 V 今後の課題 今回の調査では教師が行う不登校支援の実施率を 成功事例と失敗事例から検討し,両者の支援内容に 大きな差は認められなかった。しかし,一つひとつ の事例の内容までにはふれておらず,なぜその支援 を行ったのか,あるいは行わなかったのかという検 討はされていない。また,不登校事例の深刻さや支 援の困難度なども考慮していないため,効果の評価 ではあくまで教師個人内の効果評定となっている。 教師がうまく支援できたと思っていても,子どもや 保護者にとっては不満足だったかもしれない。また, 逆の場合もあり得るだろう。失敗したと認識してい るがために,失敗事例ではすべてのカテゴリーで効 果評定得点が低くなっている。 今後は,教師による不登校支援をより具体的に検 討するために,事例の内容や支援の具体的なあり方, 支援の選択とその理由などについても検討していく ことが必要である。 引用参考文献 学校不適応対策調査研究協力者会議報告(文部省) 1992 登校拒否 (不登校) 問題について 児童生徒の 「心の居場所」づくりを目指して 岸田幸弘 2002 学校内チーム支援の体制づくり 日本 カウンセリング学会第 35回大会発表論文集,150. 岸田幸弘 2008 中 1ギャップの解消を目指した小学校 での登校支援 日本カウンセリング学会第 41回大会 発表論文集,220. 貴戸理恵 2004 不登校は終わらない 新曜社 國分康孝 1992 構成的グループエンカウンター 誠 信書房 小林正幸小野昌彦 2005 教師のための不登校サポー トマニュアル 不登校ゼロへの挑戦 明治図書 田上不二夫 2003 対人関係ゲームによる仲間づくり 金子書房 田上不二夫 1999 実践スクールカウンセリング  学級担任ができる不登校児童生徒への援助 金 子書房 不登校問題に関する調査研究協力者会議報告(文部科学 省) 2003 今後の不登校への対応の在り方につい て 藤岡孝志 2005 不登校臨床の心理学 誠信書房 平成 22年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に 関する調査(文部科学省) 2011 山本 奬 2007 不登校状態に有効な教師による支援方 法 教育心理学研究,55,6071. (きしだ ゆきひろ 初等教育学科)

参照

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