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Title
バイオベンチャーの研究開発マネジメント : ステージ
ゲートモデルを用いて(新技術の動向)
Author(s)
新藤, 和政
Citation
年次学術大会講演要旨集, 19: 738-741
Issue Date
2004-10-15
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/7160
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
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0 新藤和 政 ( 多摩大経営情報学 ) 1 バイオベンチャ 一の研究開発 バイオベンチャーが 行 う 研究開発は 5 年、 10 年を必要とし、 製品が市場に 出てくるまで 15 年から 20 年に 亘 ることも多い。 また、 その間必要とする 経営資源も異なっており、 各研究のステージ 応じた必要資源の 設定、 達成項目等を 設定し、 最小限 の経営資源と 時間で、 次の研究・開発ステージに 進むというステージゲートモデルを 用いることにより 適切な研究開発マネ、 ジメントが期待でき、 バイオベンチャ 一の成功確率を 上げることができる。 2 ステージゲートモデル 2. 1 スデージゲートモデルとは ステージゲートモデルとはプロジェクトの Key エレメントを 抽出し設定したステージと 次のステップに 行くかどうか 臼Ⅵ
Sbo 廿ぬで k)) を決めるゲートに 分ける。 フ ケ ・ - ステーン ス下 - シ " ケ " 一図工.ステージゲートモデル
①
血
duct ね aders ㎡ LpDFig4.2 を元に作成 )3 遺伝子解析ベンチヤ 一 な ステージゲートモデルにて 検証 3.1 遺伝子解析ベンチャ・ 一 シンガポール 国立ガンセンターと 三井物産株式会社の 折半出資で 2 ㎝ 1 年に設立されたアジェニカ・リサーチ 社をステージ ゲートモデルにて 検証する。 三井物産の出資金額は
約
2 億 6 千万円。 翌年の 2002 年に島津製作所が 参画し、 約 2 億円を出 資した, , 。 癌 疾患関連遺伝子・タンパク 質情報データベースの 構築、 販売、 並びに 癌 発症メカニズムの 月の月を行う 事を目 的としている。 図 2 にあ るように事業コンセプトからキャッシュ 化までを 3 つのステージとゲートに 区分けした。 3.2 事業コンセプト バイオベンチャー 設立に当たり、 次の点を検討。 ①Ⅵ , № n ⑤役員の経営能力。 ②基本となる 技術確立の有無 ⑥資本と経営が 分離 ③知財削
策定 60 有無 " 05 年間の事業計画 ④マーケットプラン 確立の有無 " ⑧パイプライン (10 年後新妓詣
Ⅱ 出 1㏄
0 億円市場の 1 割が目安 )⑨,
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図 2. 遺伝子解析ベンチャ 一のステージゲートモデル3.3 ゲート 1 : 事業化の決定・ 検討継続・中止 - ゲート 1 で挙げた検討ポイントに 付き、 下記の通り評価した。 ① WS ぬ n: アジア人に特化したがん 患者の遺伝子解析やデータベース 構築を手掛ける " 。 ②事業を進めるためのコア 技術 : 最新の DNA チップを用いる㏄ 午後、 ノーベル賞受賞者の 田中耕 - 氏が開発したたんぱ く質 分析技術も活用 ) 。 ③知財戦略 : 研究成果を適宜待膏阿比する。 ( 国立がんセンターが 持っⅡ刀を有効活用する。 ) ④マーケットプラン : 新しい遺伝子の 発見、 遺伝子と抗がん 剤の相関関係などのデータも 蓄積し製薬会社などに 売り込む。 ⑤役員の能力 : 三井物産から 社長を派
毘
⑥資本と経営が 分離 : 株主間協定書、 定款、 権 限規定等により、 権 限を明確に区分。 ⑦ 5 年間の事業計画 :5 年後印億円の 売上計画 ⑧バイプライン : 乳がねから始め、 他のがんへも 研究領域を拡大可能 これらを加味し 2001 年春事業化を 決定し プし 3.4 ステージ 1 : 会社立ち上げ 株主間協定書締結、 会社名決定、 取締役・社長決定、 事務所決定、 会社・取締役登記、 銀行口座開設、 定款決定、権
限規定 設定、 従業員採用等の 作業項目があ る 4) 。 シンガポールで は 、 バイオベンチャーが 起業する際の 企業運営サービス ( 司法書 士 業務、 経理業務、 監査業務が充実している " 。 ゲ一 ト 2 としては、 Chec ㎏ o ㎞ tMetho㎏
n を用いこれら 項目を達成し た 段階で会社立ち 上げ終了とした。 3.5 ステージ 2 : 第一次研究 - ア ジェニ カ の第一次研究は 乳がん患者の 遺伝子解析。 数多くの患者のがん 細胞と正常細胞を 調べ、 遺伝子 甘 吉報の違いでがん の発現リスクがいかに 変化するかなどを 検証する。 乳 ,がんの発現に 影響 叶る 新規遺伝子の 発見、 遺伝子情報と 抗がん剤の効 果の相関関係などのう 一タも 蓄積する。 ステージ 2 の内容は 、 ① SOP(S ぬ mld 打 d ㎡五
0 ぬ刀 り 設定Ⅰ ②再現性あ る結果がでる We も実験環境設定 ③データ蓄積の 為のⅡ MS(L 方ぬ ra ぬ Ⅳ 1 ㎡ orma 血 nM 打迫穿 mentSys ね m) 椿象 ④研究所内倫理委員会の 許可取得、 患者サンプルを 扱うに当たっての IC (I ㎡ on典
edCm ㎝㏄ nt) 取得等倫理的手続き。 ③適切な研究員、 設備、 試薬を用意。 ⑥定期的な研究会議による 進捗状況抱接 3.6 ゲート 3 : 第一次研究終了・ 継続・中止 アジェニカ社は 2004 年 9 月現在このゲート 3 に位置する,特許申請、 論文投稿・受理、 学会発表の 3 点からゲート 3 に て 『 GO 』 ど 判断したと考えられる。 ①特許申請 : がんを判別する 遺伝子の組み 合わせ特許を 二件申請中。 ②論文投稿受理 : 英国の学術雑誌にて 論文発表。 """"" :20㏄年
5 月東京ビックサイトで 開催された国際バイオ EXPO にて 几 シンガポールと 日本における 癌 ゲノム 臨床研究市場 コと 題し発表。 この後、 アジェニカ社は : 二つの方向を 取り ぅる 。 一 つは 図 2 に示した研究成果の 事業化であ る。 も う ひとっは研究領域を 拡 大 する方向であ る。 少なくとも、 後者の方向は 目指す事になった。 国立ガンセンタ 一の患者サンプルを 基に遺伝子解析デー タを蓄えてきたのに 加え、 シンガポールの KK 婦人小児病院とも 協力して卵巣がんの 遺伝子解析データ 蓄積を始めた 6) 。 ここからはアジェニカ 社が乳がんの 研究成果を用いて 事業化を進めていくという 前提の下、 著者が想定する 事象を描く。3.7 ステージ 3 : 事業化検討 このステージ 3 では次のことを 行 う 。 ①研究成果を 用いて製造される 商品カテゴリーを 定める : 本研究成果により、 特定疾病遺伝子、 創薬用 ヂ一 タベース、 診断 薬用データベース、 研究用データベースの 各商品カテゴリーが 設定できる。 特定疾病遺伝子 : 乳がんの原因を 突き止める遺伝子を 決定する。 これ @ こょ り、 新規のがん治療の 方法や 、 他のがん研究 を 加速することにより、 より多くの乳がん 患者の早興治療により、 死亡者の減少、 患者の
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fe 浦上を 図る。 ・創薬用 ヂ一 タベース : 新規抗がん剤の 開発を促す情報を 提供する。 実験室での試験管による 研究や、 実験動物では 知り えなかった情報を 、 ぎ しがん患者自らのサンプルから 情報を得ることにより 創薬研究を加速する。 、 診断薬用データベース : がん確定診断や、 転移の可能性を 診断する臨床検査薬開発を 促す " ・研究用データベース : 研究機関の他の 研究に活用できる ヂ一 タベースを提供する。 ②定めた製品のスペックを 定める : 各商品カテゴリ 一により求めるスペックが 異なる。 特定疾病遺伝子 : 一 つ 、 または少なくとも 数個の遺伝子。 これを決定するサンプル 量は多くなくても 良いが、 実証 ヂ一 タ 、 明確なロジック ノ 、 要 。 創薬用 DB: 遺伝子解析データのみならず、 患者の臨床データ 等、 創薬の創造を 弓 l き 出す、 付随情報が重要となる。 診断薬用 DB: 数十の遺伝子のセットにより、 パターンとして 診断をするデータベース 必要り。 ・研究用 DB: 同様の研究を 行っている他機関がメタアナリシス 用に、 また他の研究の 裏 づけ情報として 活用される。 ③対象顧客、 事業価値、 発生確率を予測する : 特定疾病遺伝子 : がんに関わる 研究者ならびに 医療関係者が 対象であ り、 より多くの患者が ,翻意に預かることが 可能と なる。 事業価値も高いが、 見つけうる確率は 数 % にも、 満たないであ ろう。 創薬用 DB: 対象は製薬 会ネ七 現在研究の主流となるゲノム 創薬のスタートを 決めるデータベースとなる。 競合は米国 セ レーラ社があ り、 日本の製薬会社数社に 年数億円等で 販売している。 事業価値も高いが、 成功確率は低い。 診断薬用 DB: 対象は臨床検査薬企業並びに 臨床検査センター。 今後アジェニカ 社が研究の先頭を 進むパターン 認識型 の 診断は増えていくと 考えられ、 成功確率も期待が 持てるが、 市場が小さく、 事業価値は低く 見積もられる。 ・研究用 DB: 対象は研究者。 研究用データベースの 事業価値は低い。 販売成功確率は 高い。 3.8 ゲート 4 : 事業化決定・ 中止 ゲート 4 ば S㏄
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gMdelS,) を 活用、 ステージ 3 で得られた数値を 元にリアルオプション 法 等にて事業価値を 予測し、 ㎝, Not- め・ Go を決定する " 3.9 ステージ 4 : 開発 創薬用データベースを 開発することになったと 仮定する。 この開発に必要な 項目は ①遺伝子解析データ : 後に研究の幅を 広げられる よう 、 加工データのみならず、 元データも用意。 ②愚暗臨床 ヂ一タ : 鱒 昔からの 1 ㎡㏄血
edCo Ⅱ㏄血を取り 付けた 患ピ 昔の乳がんに 関わる臨床データ。 ㏄ no Ⅱ ち甲 e 0 遺伝 形 ) のみならず、 P ㎏ no.Type 俵 現形 ) との連携を図る。 ③薬理動態のロジックと 簡単な実証例 : 公的情報も含め 最新の科学情報を 踏まえ、 乳がんに関する 薬理動態のロジックを 組 み 立てる。 併せて、 そのロジックの 簡単な実証 例 必要。 3.10 ステージ 5 : ライセンス導出 製薬会社等にライセンス 導出できて始めて、 キャシュライズ 可能となる。 製薬会社への 紹介、 交渉、 ライセンス契約項目合 煮 、 契約書締結、 契約実行のための ヂ 一タ整理等の 作業項目があ る。。 結論
4.1 バイオベンチャ 一の研究開発マネ 、 ジメント @ こ ステージゲート 法は有益であ る
今回、 遺伝子解析,ベンチャーをステージゲートモデルを 用いながら、 研究開発マネジメントを 検討した。
研究に必要となる 期間が 5 年以上に渡り、 資金・人的資源等の 経営資源が研究・ 開発・事業化のステップの 中でそれぞれ 必 要 となる中、 それぞれの重要項目をリスト 化し、 Che
曲
po 血 tMe 伍 。 お 、 S ㏄血
lgModelS 。 を活用しながら、 漏れなく、 窓意性をぢヒ 除しながら、 合理的に研究開発を 管理可能であ , ることが示唆された。 これは図 3 に有るよ う に事業コン - ヒブト からキャッシュ 化されるまでの 間にあ る不確実性は 変わらないものの、 ステージ ゲ 一ト モデルを活用することにより、 必要な経営資源を 最小化することにより、 事業リターシを 最大化することを 意味する。 不確実性 不確実性 ( 不変 ) ゲ - ト法 事 穿きリター - ン
事業コン キヤ、 ソ 事業コン キヤ、 ソ セプト シュ 化 セプト 、 ンュ化 図 3. ステージゲート 法による事業価値向上 (WiinninlgatNewProduCtSs8,Fig5.2 を元に作成 ) 4. 2 DiSCUSSion ・ステー - ジ ゲ - トモデルを運用する 者が恐竜性を 排除せず、 研究に対する 思い人れや、 研究者の熱意、 その他合理性を 欠く 判断をすれば、 同法の有効性は 失われる。 ステージが進むほど、 必要な経営資源が 増え、 その経営資源確保のため、 より多くの、 またはより大規模な 企業・研究機 関 との連携が必、 要となる。 高い立場から 状況を適切に 把握し事業パートナーとの 適切な事業提携が 重要となる。 初期に導入 L, た 知見・技術が OuttDa ぬ する等、 科学の進歩、 研究のトレンドを っ かみながら、 適宜、 研究開発の方向 内容が修正之、 要 。 注 )
l. Roberl G, Cooper, " Ⅳ oduct Leadership" , P 。 rseu 、 s 肪 oks GrouU, 1998
2. 「島津、 バイオ事業拡大、 シンガポール 社 ! こ 出資」、 『日本経済新聞』 20 ㏄年 6 月肌目, n3 頁
緩 「アジアの波頭 (2)56 民族の遺伝子に 迫る一 R&D で 拷 曲目性」丁日本経済新聞』 2001 年 5 月用 日 , 24 頁
4, アーンスト & ヤング会計事務所『シンガポール 会計・税制・ 投資ハンドブック』
5. 会社設立・登記等の 業務を行う ( 万 npact A ㎞ inistrative Services Pte Ltd( 在 シンガボール ) より聴叫
鬼
6. 「シンガポールのアジェニカ、 婦人科系がんデータ 蓄 ㌃姉井物産・ 島津と連携」,
『日本経済新聞』 2004 年 6 月 11 日 , 9 頁
現在の臨床検査薬は、 特定の蛋白や 糖の血液中の 数値等を見ることにより、 病気の状態を 診断している。 将来の G 床検
査 薬として、 生体内での論理的理由無くと t) 、 統計上で把握された ( 特定アルゴリズムによって 確定された ) 遺伝子や蛋
白のバターンで 診断されるようになると 考えられ、 数多くの研究が 日米欧で行われている。