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妊娠維持・継続における補体系の関与の解明

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Academic year: 2021

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神戸常盤大学紀要  第2号 2010 44 −  − −  −45  補体系は、血清中および細胞膜上のタンパク質(30種以上)からなり、感染防御や免疫複合体の処理など生 体防御に重要な役割を担っている。補体系は各種疾患においてその病因・病態に関与することから、血清中の 補体の濃度・活性値は診断や予後判定に利用されている。妊娠では、胎児は母体にとっては異物であるにも関 わらず免疫系によって排除されず、免疫寛容が成立し妊娠が継続する。一方で、妊娠の継続には免疫応答の活 性化も必要とされるといわれている。妊娠における補体の関与については、妊婦で血清補体価が上昇すること が報告されているのみで、ほとんど明らかにされていない。われわれは今回、妊娠初期(胚の着床時から妊娠 判定まで)に照準をあて、この時期における補体の関与を明らかにすることを目的とし、不妊治療を受けてい る母体(71名)の血清補体活性を、治療経過を追い測定・解析した。  被検母体血清は、体外受精治療のための検査で使用した残余を、インフォームドコンセントを得た上で供与 を受けた。血清採取の時期はY:胚移植前(月経周期15日目)、T:移植胚着床期(月経周期23日目)、H:妊 娠判定期(月経周期 30日目)の3ポイントである。正常対照血清(NHS)は、30人の健常人ボランティアよ り得たプール血清を用いた。古典経路を介した補体価(CH50値)、副経路を介した補体価(ACH50値)、およ び C3 活性をマイクロタイター溶血活性法で測定した。  測定の結果、CH50値は、NHS:93.94 ± 4.05U/ml、Y:98.33±20.73U/ml、T:113.73±29.44U/ml、H: 115.07±32.91U/ml となった。ACH50 値は、NHS:19.85±5.05U/ml、Y:20.66±6.08U/ml、T:26.33± 6.87U/ml、H:19.93±5.28U/ml となった。C3 活性値は、NHS:2330±260U/ml、Y:2483±627U/ml、T: 2884±820U/ml、H:2666±566U/mlとなった。  以上より、①T(移植胚着床期)で CH50値、ACH50値、C3 活性値が共に有意に高くなる、②補体価 CH50値はT(移植胚着床期)、H(妊娠判定期)で上昇し続ける、③ACH50値はT(受精着床期)で高値に なるが、妊娠が確定すると低下し元に戻ることが明らかとなった。これらの結果は、妊娠における免疫系の変 化の一端が、補体活性についても妊娠の初期から認められることを示している。今後今回の結果を基に、この 補体活性の動きがその後の妊娠の継続あるいは病態(流産・不育)に関わっているかを解明し報告したい。

妊娠維持・継続における補体系の関与の解明

北野 悦子 

畑中 道代 

塩谷 雅英 

足髙 善彦 

参照

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