運賃・料金をめぐる再考察--昼間時都市交通トリップの運賃設定
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(2) 第57巻. 1節. 1-1都. 第3号. 都市 圏通勤 ・通 学流動 の変化 と鉄道整備. 市 圏発 展 と居 住 ・従 業 の空 間 的配 置. わ が 国 の 経 済 の 高 度 成 長 期 に は,大 都 市 内道 路 に はバ ス ・路 面 電 車 を は じめ とす る様 々 な 車 が 氾 濫 し交 通 は混 乱 を きわ め た。1955年 か ら1970年 の 僅 か15年 間 で,首 都 圏,京 阪 神 圏,中. 京 圏 の 人 口 は,そ. (30%)も. れ ぞ れ 約900万 人(増. 加 率:50%),450万. 人(40%),200万. 人. 増 加 した。. これ らの 大 都 市 圏 の 成 長 ・発 展 過 程 は,中 心 都 市 と郊 外 の 間 にお け る人 口 ・経 済 活 動 の 再 配 置 過 程 で も あ っ た。 居 住 人 口で は 中心 区 の 減 少,中 心 都 市 の 停 滞(初 期 の 増 加 は あ る もの の)郊 外 地 域 で の 増 加 が 共 通 に見 られ る と と も に,従 業 ・通 学 人 口 は3つ の 地 域 区 分 の 何 れ で も増 加 し,か つ て 中心 都 市 に集 中 して い た経 済 活 動 が 全 域 的 に分 散 して い った 。 図 表1-1・. 図表1-2は. 通 勤 ・通 学 流 動 を 方 向 別 に分 類 して,大 阪 府 を 単 位 に して み た も. の だが,ま ず,流 動 量 全 体(① ∼ ⑧)で. は1960年 の353万 人 か ら2000年 の566万 人 へ と60%. の 増 加 が み られ る。 中心 都 市 大 阪 市 内 々の 流 動(①)は. 初 期 に増 加 の 後 減 少 す るが,他. は. す べ て 増 加 して い る。 しか し,時 期 的 にみ る と高 度 経 済 成 長 の 初 期 で あ る1960年 に は大 阪 市 へ は59万 人 が流 入 し,僅 か10年 後 の70年 に は倍 近 い107万 人 に達 す る。 そ の た め,主 通 勤 ・通 学 手 段 と して の 郊 外 鉄 道 に は その 輸 送 力 に比 べ 多 大 な 乗 客 が 殺 到 して,激. な. しい混. 雑 ・混 乱 にみ まわ れ る こ と にな る。 ま た郊 外 か ら市 内 に入 っ た通 勤 ・通 学 者 は,市 内区 間 相 互 の 移 動 者(自 区 外 通 勤 者)の 増 加 と相 ま って,中 心 都 市 内 々の 通 勤 ・通 学 交 通 も膨 張 す る。通 勤 ・通 学 の トリ ップエ ン ドで み る と,大 阪 市(① ② ③ ⑥ ⑦)と 府 下(② ④ ⑤ ⑥ ⑧). 図 表1-1通. 勤 ・通 学 流 動 図. (内:中 心 都 市 界,外 周:都 府 県 界) -144(634)一.
(3) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) 図 表1-2都. 市 圏 にお ける 人 口 ・従 業 者 の 空 間 的 配 置. 大 阪(指 数70年. 二100). 60年70年80年90年00年 注)居. 住 人 口 は 交 通 権(大. 阪 駅 か ら半 径50kmの. 市 町 村). 中 心 区 は 北 ・中 央 ・浪 速 ・天 王 寺 ・福 島 ・西. 図 表1-3方. 60年. は60年 の 約6. 4か. 面 別 通 勤. ・通 学 流 動 量. 一 一← 一 ①. 一 一■一 一②. 一 噛一一 ③. ・・…. ・・報・・ ⑤. 一 一●一一 ⑥. 一 一ト ー ⑦. ・・つ・・ ⑧. 70年. ら2000年 の46へ. 大 阪 府(指. 80年. と 逆 転 し,都. 数:70年. 90年. 二100) ④. 00年. 市 圏 の 外 延 化 と トリ ップの 多 様 化 傾. 向 も み られ る 。. 1-2都. 市 圏交 通 の整 備. これ ら都 市 圏 で は短 期 間 で の 大 量 の 輸 送 力 増 強 を 必 要 と した。 そ れ は一 方 で は通 勤 輸 送 に的 を合 わ せ た都 市 内大 量 高 速 輸 送 機 関(地 下 鉄)整 備 へ の,そ. して 他 方 で は経 済 活 動 に. お け る モ ビ リテ ィを 確 保 す べ く都 市 内幹 線 道 路 整 備 へ の 要 請 で あ った 。 また 集 中 した 人 ロ ー145(635)一.
(4) 第57巻. 第3号. の 多 くは,大 都 市 周 辺 に居 住 を 展 開 して い っ たの で,郊 外 か ら中心 へ の 鉄 道 輸 送 力 増 強 も ま た急 務 の 課 題 とな る。 ま た周 辺 地 域 内外 で の,道 路 な ど交 通 施 設 容 量 は全 体 的 に拡 大 す る需 要 に追 いつ か ず,早 急 な 整 備 が 強 く要 請 され た(図 表1-2,1-3)。 か く して 高 度 成 長 時 代 は,大 都 市 圏 へ の 人 口 ・経 済 活 動 の 集 中 に と もな う輸 送 力 増 強 を 目的 と した施 設 の 整 備 こ そが 大 都 市 交 通 政 策 に お け る最 優 先 課 題 とな り,通 勤 時 の ピー ク 需 要 に対 応 して新 線 建 設 や既 存 施 設 改良 が 急 ピ ッチ で行 わ れ た。今 日の3大 都 市 圏鉄 道 網 ・ 鉄 道 シス テ ム は,こ う した輸 送 力 増 強 に駆 られ た 高 度 成長 期 時代 の計 画 に大 き く依 存 す る。 特 に地 下 鉄 に は それ が 色 濃 く反 映 され て い る。 京 阪 神 都 市 圏 につ いて 言 え ば,70年 代 以 降 は通 勤 ・通 学 交 通 需 要 だ けで な く,公 共 交 通 需 要 全 体 が 停 滞 的 にな った 反 面 輸 送 力 増 強 が 行 わ れ た た め,鉄 道 の 混 雑 状 況 は結 果 的 に大 幅 に改 善 す る。. 図 表1-4京. 図 表1-5首. 1-3通 図 表1-6と. 阪 神 交 通 圏 機 関 別 輸 送 人 員(指 数:70年. 都 交 通 圏 機 関 別 輸 送 人 員(指 数70年. 二100). 二100). 勤 交 通 と乗 用 車 利 用 の限 界 図 表1-7は. 造(Thomson[1978])を. 都 心 部 に 大 き な 雇 用 を も ち,高 も つ わ が 国 の3大. 時 系 列 的 変 化 を 示 し た も の で あ る(ロ. 速鉄道網が利用可能な強都心構. 都 市 な らび に その 中心 部 へ の 通 勤 交 通 手 段 の. ン ドン ・ニ ュ ー ヨ ー ク は 中 心 部 へ の 流 入 の み で 参 考 一146(636)一.
(5) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) 図 表1-6通. 勤 ・通 学 の 交 通 手段 の変 化(70年. →80年). 図 表1-7通. 勤 ・通 学 の 交 通 手段 の変 化(80年. →90年). 「国勢 調 査 報 告 書 」 よ り算 出. 図 表1-8定. 期 ・定 期 外 利 用 者 数 の 推 移. 10,000 9ρ00. 6,000. R5ρ00 阻4. r. /. ,■ 一● ,巳 ・.一. ,000 一'▲. 一. 2,000. ▲. ■,-1' ▲. ×. ,)く. 0. 「"'. ,'■ ノ. 3,000. 1,000. 一. /一. 7,000 く. ▲. 盈. 8,000. →〈. ▼. →く一 →く. ▲. ▼∼. ←. 一一→. →←)くx. 寒' 1. III. III. II. 196519701975198019851990199520002005 一→一一京阪神交通圏 定期. 一 鰻 一京阪神交通圏 定期外. _噛 一一首都交通圏定期. 一 ■ 一首都交通圏定期外. 「都 市 交 通 年 報 」 よ り作 成 一147(637)一.
(6) 第57巻 値)。3大. 第3号. 都 市 お よ び 中心 部 で の雇 用 は70,80,90年. と増 加,2000年. で 減 少 す る。 さて こ. れ ら大 都 市 中心 部 へ の 通 勤 流 動 につ いて いえ る こ と は,鉄 道 へ の 依 存 度 が 高 い反 面,乗 用 車 の 利 用 率 は極 めて 低 い こ とで あ る(2000年. で 東 京2.7%,大. 阪5.6%,名. 古 屋16.1%)。. た モ ー タ リゼ ー シ ョンが 進 行 した1970-80を 含 む2000年 ま で の30年 間 で,中. ま. 心部 への乗用. 車 利 用 数 自体 に も殆 ど変 化 が 無 い こ と もわ か り,混 雑 水 準 は高 ま った もの の 歯 止 めな き 自 動 車 利 用 拡 大 と い う懸 念 は生 じて いな い こ とが わ か る。 つ ま り道 路 容 量 が 拡 張 しに くい大 都 市 中心 部 へ の 通 勤 で は,大 量 輸 送 機 関 で あ る鉄 道 の 存 在 が あれ ば,両 機 関 の 利 用 者 費 用 で の 均 衡 か ら自動 車 利 用 は 自ず と一 定 量 に制 限 され, 条 件 に変 化 が 生 じな い限 り状 況 はか わ らな い と考 え られ る。 それ は各 々の 通 勤 者 自 らが, 鉄 道 ・自動 車 と い う代 替 的 な 交 通 機 関 利 用 上 の 優 劣 を 判 断 し選 択 した 結 果 で あ る。 一 方 周 辺 部 で は道 路 ネ ッ トワ ー ク整 備 が か な りの ペ ー スで お こな わ れ た大 都 市 域 全 体 で み る と, や は り鉄 道 の 比率 は 高 い もの の,鉄 道 と乗用 車 の双 方 で の利 用 者 の増 加 が み られ る。ま た, 中心 部 で の 通 勤 ・通 学 者 数 の 増 加 は殆 ど全 て が 鉄 道 利 用 者 とな って お り,乗 用 車 利 用 に は 画 然 た る限 界 が み られ る。. 1-4都 1-3で. 市 鉄 道 輸 送 の2面 性 み た よ うに,大 都 市 鉄 道 は朝 の ピー ク 時,中 心 都 市(都 心)に 向 けて の 大 量 ・定. 型 の 通 勤 ・通 学 交 通 手 段 と して は独 占的 地 位 を 占 めて お り,通 勤 ・通 学 交 通 需 要 の 増 加 に 伴 い多 大 な 輸 送 力 投 資 が 行 わ れ る と と も に,運 行 面 で も多 くの 資 源 が 投 入 され て きた 。 反 面 オ フ ピー ク時 間 帯 で も あ る昼 間 時 の 業 務 ・私 的 トリ ップ に お いて は,他 の 交 通 手 段(と りわ け個 別 交 通 手 段 と して の 乗 用 車)と 競 合 的 な 関 係 に あ る。 この よ う に都 市 鉄 道 は異 な る性 質 の 輸 送 需 要 を 通 勤 ・通 学 交 通 に合 わ せ た 同一 の 鉄 道 施 設 ・鉄 道 シ ス テ ム にお いて 対 処 して き た(い る)の で,「 輸 送 力 」 か らみ れ ば 問 題 はな い が,昼 間 時 の ト リップ 需 要 に は必 ず し も適 合 して い な い側 面 を も って い る(松 澤[2005]参 して,様. 照)。 また 一 つ の経 営 体 と. 々な 条 件 を と もな う公 的 規 制 の も とで 運 営 が な され て も きた の で,そ れ ぞ れ の ト. リ ップ需 要 に適 した運 賃 設 定 等 も お こな い に くい側 面 を も って いた と いえ る。 都 市 圏 別 にみ る と京 阪 神 交 通 圏 で の 都 市 鉄 道 の 利 用 は長 期 的 に停 滞 で あ り,近 年 で はか な りの減 少 が み られ る(乗 用 車 利 用 は長 期 的 に増 加 傾 向)。 ま た,朝. の ピー ク時 に 対 して. 昼 間 時 の 利 用 者 の 比 率 が 「相 対 的 に」 増 加 して い る こ と も観 察 され る。 これ らを 考 慮 す る と,都 市 鉄 道 に お け るサ ー ビスや 運 賃 水 準 ・運 賃 制 度 の あ り方 につ いて は昼 間 時 トリ ップ に も照 準 を合 わせ て再 検討 す る必 要 が あ る(「あ る」だ けで な く,は るか以前 か ら 「あ った」)。 -148(638)一.
(7) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤). 2節. 2-1運. 運賃設定 と企業経営. 賃 設 定 の総 括. 運 賃 は運 輸 事 業 者 の 収 入 確 保 と い う観 点 か ら,民 間 で あれ ば原 則 利 潤 が 最 大 にな る よ う に設 定 され る。 事 業 者 が 独 占(地 域 独 占)企 業 で あ る場 合 に は,独 占価 格 設 定 に よ る社 会 的 資 源 効 率 の 喪 失 を 回 避 す るべ く,何 らか の 公 的 介 入 が あ る こ と は承 知 の 事 柄 で あ る。 ま た公 営 運 輸 主 体 の場 合 は,社 会 的 厚 生 最 大 が 目指 さ れ て い る。(1)事業 者 に よ る収 入 確 保 [利益 最 大 化]に お いて は独 占利 潤 獲 得 を 目指 して の,市 場 分 割 と差 別 価 格 の 設 定,ピ. ー. ク料 金 の 設 定 等 が 行 わ れ る可 能 性 が あ り,現 行 な され て い る総 括 原 価 方 式 に基 づ く運 賃 形 成 は,独 占利 潤 獲 得 的 な その よ うな 運 賃 設 定 を 規 制 す る もの と いえ る。 また(2)後者 の(効 率 的)資 源 配 分 達 成 を 目的 とす る 「公 」 の 主 体 に よ る価 格 設 定 は限 界 費 用 価 格 形 成 原 理 や Ramsey価. 格 形 成 な ど,規 範 的[あ. るべ き:Should]運. 賃 設 定 で あ る。 後 者 の 規 範 的 運. 賃 設 定 は前 述 の よ う に社 会 的 に は資 源 配 分 上 望 ま しい運 賃 で は あ るが,単 一 の サ ー ビ ス ・ 単 一 の 市 場 構 造 を 前 提 と した 議 論 が基 本 で あ る。 しか し,今 日通 勤 ・通 学 需 要 と 日常 的 (昼 間 時)需 要 の 相 違 を考 慮 し,さ. ら に は人 々の モ ビ リテ ィや都 市 圏 中心 都 市 の活 性 化 な. ど,鉄 道 運 賃 設 定 の 社 会 的 側 面 の 重 要 性 を 鑑 み る と,単 にサ ー ビスの 単 純 な 価 格 と して の 運 賃 につ いて の 議 論 だ けで はな く,都 市 交 通 論 の 観 点 か らも地 理 的 空 間 ・時 空 間 の な か で の 人 々の モ ビ リテ ィ と企 業 運 営 の 両 者 を 重 視 した運 賃 設 定 が 重 要 とな って くる。 本 論 文 で は,実. 際採 用 され て い る総 括 原 価 主 義 に基 づ く運 賃 設 定[2-2]や. 賃 設 定 論[2-4]を. 簡 潔 に整 理 した 後,都. 規 範的運. 市 に お け る人 々 の モ ビ リテ ィや 都 市 の 活 性 化. に焦 点 を 当て て,都 市 鉄 道 に お け る,(1)複 数 の サ ー ビ スの 価 格 設 定 とモ ビ リテ ィ,(2)企 業 目標 と運 賃 水 準 ・サ ー ビスの 質 ・利 用 者 の 厚 生,な. らび に(3)運賃 制 度 とモ ビ リテ ィ につ い. て 考 え て ゆ き た い。. 2-2総 2-2-1総. 括 原 価 主 義 と運 賃 形 成 括 原 価 主 義 と合 理 性. 1節 で 見 た経 済 の 高 度 成 長 期 ・大 都 市 へ の 人 口集 中期 と鉄 道 需 要 の 拡 張 期 に は,地 域 独 占 と規 模 の 経 済 性 の 存 在 を 認 めつ つ も,独 占価 格 設 定 の 弊 害 を 緩 和 して 資 源 配 分 の 社 会 的 効 率 性 を高 め る た めの 手 段 と して,基 本 的 に公 正 報 酬 しか 認 めな い総 括 原 価 主 義 運 賃 設 定 が な され て き た。1980年 代 半 ば頃 まで の 右 肩 上 が りの 需 要 成 長 期 は,大 都 市 鉄 道 事 業 全 体 一149(639)一.
(8) 第57巻. 第3号. の 需 要 増 に対 す る輸 送 力 増 強 投 資 → 資 本 費 用 の 増 加 → 利 用 者 負 担 増 と い うバ タ ンが 繰 り返 され て き た し,ま た,物 価 上 昇 と それ に伴 う営 業 費 用 の 増 加 な ど事 業 者 にお け る費 用 の 増 加 は,需 要 者 一利 用 者 の 運 賃(価 格)引. き上 げ に よ って 賄 うの が 経 済 原 則 で あ るの で,こ. れ らの 時 代 運 賃 引 き上 げ は社 会 的 に は是 認 され た。 ただ,重 要 な 点 は ど こ まで 運 賃 引 き上 げが 是 認 され るか と言 う こ とで あ る。 わ が 国 大 都 市 鉄 道 に対 す る(通 勤)需 要 の 運 賃 弾 力 性 は経 験 的 に明 らか に1を 大 き く下 回 る値 で あ るの で,運 賃 引 き上 げ は理 論 的 に必 ず 収 入 増 加 を伴 う。 鉄 道 会 社 と して は,費 用 の 増 加 を 遙 か 上 回 る運 賃 引 き上 げ さえ も可 能 で あ っ た。 そ こで,運. 輸 事 業 者 に一 定 の利 益 を確 保 しつ つ(公 的 財 政 の 負 担 無 く),利 用 者 の 利. 益 を最 大 限 図 る よ う に,諸 々の 営 業 ・営 業 外 費 用+公 正 報 酬[資 本 価 値 ×公 正 報 酬 率]= 総 括 原 価=運 賃 収 入 とな る よ うな 運 賃 設 定(規 制)が な され た。 この よ うな 公 に よ る運 賃 設 定 へ の 規 制 は規 模 の 経 済 性 に関 して あ り得 べ き市 場 の 失 敗 を 是 正 す る と と も に,公 的 財 政 負 担 無 く(事 業 者 自 らの 手 で)輸 送 力 増 強 が な され,更. に は,利 用 者 水 準 も可 能 な 程 度. に維 持 で き る と い う意 味 で,こ の 時 代 は高 い合 理 性 を も って い た と考 え られ る。. 2-2-2総. 括原価主義運賃設定の問題点. 反 面,費 用 は運 賃 設 定 に於 いて は その ま まの 額 が 反 映 され る た め,(1)費 用 を 抑 制 す る イ ンセ ンテ ィ ブが よ く働 か な い こ と,言 い換 え れ ば効 率 性 の 欠 如 が 存 在 す る こ と。 また,(2) 利 益 に通 じる輸 送 力 増 強 関 係 の 投 資 はな され や す いが,そ. うで な いサ ー ビ ス改 善 投 資 に は. 足 が 向 き に く く,ま た,投 資 を 伴 わ な ず 利 益 に も結 びつ き に くい と`思 わ れ る'利 用 者 向 けの サ ー ビス改 善 はな され に くい側 面 を もつ 。 ま た運 賃 の 面 か ら積 極 的 に顧 客 を 獲 得 しよ う とす る イ ンセ ン テ ィ ブ も余 り起 こ らな い。 学 界 側 か らは効 率 性 志 向 の 欠 如 と い う批 判 が あ るが,通 勤 ・通 学 交 通 で の 鉄 道 の 独 占性(公 共 政 策 と して 規 制 を 要 す る)と 総 括 原 価 方 式 の 運 賃 制 度 が あ る た め,モ ー タ リゼ ー シ ョンの 渦 の 中で も大 都 市 の 鉄 道 の 経 営 は比 較 的 安 定 性 を保 って き た(今 日で は効 率 性 を 発 揮 す る た め,他 社 の 生 産 性 比 較 の も と運 賃 に反 映 され る ヤ ー ドス テ ィ ック制 度 の 導 入)。 しか しわ が 国 の 大 都 市 圏 で は,統 一 的 運 営 組 織 が な い た め,数 多 くあ る公 共 交 通 関 係 事 業 者 の 間 で の運 賃 は そ れ ぞ れ に 利 用 の 際 支 払 う シ ス テ ム(併 算 性)と ハ ー ド面 で の 乗 換 の 労 苦 と並 び,併 算 に よ る割 高 運 賃 が,と. な っ て お り,今 日. りわ け運 賃 弾 力 性 の 高 い昼 間. 時 の 業 務 ・自 由 トリ ップで の 公 共 交 通 の 利 用 を 阻 ん で い る こ とが,無 視 で きな くな って い る[公 共 交 通 以 外 の選 択 肢 と して は,徒 歩 ・二 輪,乗. 用 車,ト. リ ップ を しな い こ と]。 大. 都 市 圏 の 郊 外 や 周 辺 部 か ら人 々が 公 共 交 通 機 関 で 中心 部 に来 て,中 心 部 で 周 遊(回 遊)す 一150(640)一.
(9) 運賃 ・料金をあ ぐる再考察(松 澤) る. そ して それ が 都 市 の 活 性 化 に通 じる. と い うの が,行 政 当局 者 の 願 いで あ るが,現 行. の 運 賃 制 度 の も とで は(家 族 で も いれ ば)そ れ は禁 止 的 に高 い もの にな って しま うケ ー ス が 多 くみ られ る。 今 日 と くに関 西 地 域 の よ う に大 幅 な 利 用 者 減 が 続 いて い る場 合,こ れ ら 昼 間 時 ト リ ップ の公 共 交 通 利 用 に 向 け て は,全. 般 的 サ ー ビス 改 善 だ け で な く,こ れ ら ト. リ ップ需 要 に適 合 した運 賃 制 度 ・水 準 にむ けて の 公 的 誘 導 が 必 要 で あ る。. 2-2-3費. 用 依 拠 の 運 賃 設 定 か ら需 要 促 進 の 運 賃 設 定 へ. 以 上 で み た トリップ需 要 に対応 す る には,都 市交 通 は需 要 の運 賃 弾 力性 が低 い朝 の通 勤 ・ 通 学 需 要 と需 要 の 運 賃 弾 力 性 が 高 い昼 間 時 の 自 由 ・業 務 トリ ップ需 要 に分 けて 考 え,全 体 で 求 め た標 準 原 価 で はな く,資 本 費 の 分 担 を も考 慮 した,両 者 の 間 で の 需 要 拡 大 を め ざ し た差 別 価 格 を考 え る必 要 が あ る。 運 賃 設 定 を全 日的 に 一 括 りで 考 え ず に,(ト. リッ プの 二. 分 性 を 考 慮 して)そ れ ぞ れ に プ ラ イ シ ン グを 行 え る方 向 で の 施 策 を要 す る。 昼 間 時 の ト リ ップ需 要 は,需 要 の 運 賃 弾 力 性 が 大 き く,割 引 の 効 果 や 多 回 時 利 用 可 能(1日 ど)乗 車 券 の導 入 効 果 は大 き い。独 占差 別 価 格. 乗車券な. ラ ム ゼ イ ・プ ラ イ シ ング の何 れ に して も,. 需 要 の 運 賃 弾 力 性 が 低 い(負 担 力 が 強 い)通 勤 ・通 学 交 通 の 運 賃 を 相 対 的 に高 く(一 人 当 た り資 本 費 を よ り多 く負 担)す べ き と い う こ と にな る。 基 本 的 に は3節 で 見 る よ う に,需 要 の 運 賃 弾 力 性 が 低 い通 勤 ・通 学 で は,運 賃 は高 めで あ るべ き(現 行 は 昼 間 よ り低 く設 定)。 通 勤 ・通 学 は資 本 費 が 何 れ に して も事 実 大 き いわ けで,そ の コ ス トは運 賃 に も反 映 され るべ きで あ る[通 勤 ・通 学 需 要 は短 期 的 に は1日1 トリ ップで,運 賃 を 下 げて も逆 に効 果 は薄 い]。. 2-3独 2-3-1運. 占 的公 益 事 業 経 営 と需 要 の運 賃 弾 力 性 賃 収 入 と需 要 の 運 賃 弾 力 性. さ て わ れ わ れ は 公 共 交 通 サ ー ビ ス の供 給 に 関 して,サ. ー ビ ス供 給 者 で あ る運 輸 事 業 者. (公共 輸 送 人)の 行 動 に つ い て 考 え て 行 き た い。 独 占 的 企 業 は価 格 支 配 力 を持 って お り, それ が 直 面 す る需 要 曲 線P(κ)は,生 産 量 κ に対 し1γ(κ)<0の 状 を仮 定 す る(図 表2-4)。(地. よ う に通 常 の 右 下 が りの 形. 域 独 占で)価 格 支 配 力 を一 定 程 度 持 って い る鉄 道 で の 運. 賃値 上 げは,ど の よ うな条 件 下 で収 入 増 に な るか を まず考 え る。独 占企 業 の収 入 はR=P(κ)・κ とな り,需 要 の 運 賃 弾 力 性 を,6=い. κ/κ)/いP/P)あ. るい は 連 続 形 で(P(κ)/κ)(ぬ/4ρ)と. 定 義 す る と,運 賃 の 変 化 に と もな う収 入 の 変 化(運 賃 に関 す る限 界 収 入)は,収 ⇒ 』R=P」. κ+泌Pに. 対 して 一151(641)一. 入の変化.
(10) 第57巻. 」R/』P=(P/」P)』. κ 十 κ=κ{1十(」. 第3号. κ/κ)・(P旭P)}=κ{1十(』. κ/κ)/(」P/P)}. =κ(1+6)(1-1). と表 す こ とが で き る。 次 に(ii)収入 の 運 賃 弾 力 性(運 と,収. 賃 が1%変. 化 し た ら,収. 入 の 運 賃 弾 力 性(』R/R)/(』P/P)は,(1-1)とR=P・. な る の で,運. お い て,181〈1(通. 賑. 賃 弾 力 性=1一 ト6=0.65で,運. 頃 に 掛 け て,大 要(定. 期 利 用)の. は,1980年. 入の運賃. 入の運賃弾力性. 加:こ. 賃 を1%引. α2で. あ る と す れ ば,収. き 上 げ る と収 入 は0.8%増. 加 す る(運. あ り(Dargay&Hanley[2002]),収. 賃 を1%引. き 上 げ る と収 入 は0.65%増. 毎 に10%程. 比 率 が 高 い こ と も あ り,事. 代8=-0.02∼0.1(高. な ら,理 論 的 に は 運 賃 を10%上. 賃を. く と も)で. 入の運. 加 す る 。8=-1.0の. 賃 値 上 げ は 収 入 増 加 に 通 じな い 。 わ が 国 で は1970年. 手 民 鉄 の 運 賃 は2・3年. 入の. の 場 合 敷 術 的 ・近 似 的 に 言 え る)。. 英 国 バ ス の 場 合 平 均 的 に は6-0.35で. な り,運. ら,収. 要曲師). な わ ち,運. き 上 げ る と 収 入 は8%増. き は 」R-0と. 常e〈0)な. 道 に お け る 通 勤 ト リ ッ プ 需 要 の 弾 力 性 が,8=一. 運 賃 弾 力 性 一1+6-0.8.す. (1-2). 賃 値 上 げ は収 入 増 加 に通 じる。. 図 表2-1収. 例 え ば,鉄. 定義す る. κ)=1十8. と な る 。 した が っ て(1-1)(1-2)に 弾 力 性>0と. 化 す る か)を. κ用 い る と. (△R/』P)・(P/.R)=κ(1十8)・(、P/R)=κ(1十6)・(P/、P・. 10%引. 入 が 何%変. と. 代 か ら90年 中. 度 値 上 げ を 繰 り返 して き た が,通. 勤需. 業 者 は増 収 を え る こ とが 出来 た 。 通 勤 定 期 で あ っ た と推 定 さ れ る 。 も し6=-0.05で. げ て も短 期 的 に は 収 入 は9.5%増 一152(642)一. え る こ と に な る(事. ある 実その.
(11) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) よ う な 状 況 で あ っ た1)。. 2-3-2運. 輸 事 業 と 価 格 弾 力 性[推. 定 値]. 公 共 交 通 事 業 に 関 す る 需 要 の 運 賃 弾 力 性 に つ い て は,斉. 藤[1991]で. 広 くサ ー ベ イ が 行. な わ れ て い る が,Paully他[2004]の. 論 文 が 最 近 の 推 計 を 行 っ て お り,1980年. の 値 との 比. 較 も 行 っ た 。 一 般 的 に 弾 力 性 の 値(絶. 対 値)は,長. フ ピー ク 〉. ピ ー ク;景. 期 〉 短 期;近. 時 〉 以 前;オ. 気 良 〉 景 気 悪 で あ る 。 と く に 通 勤 ト リ ッ プ で の 弾 力 性 値 は 小 さ く,昼. 的 ・業 務 ト リ ッ プ で の 弾 力 性 値 は 高 く推 定 さ れ て い る 。. 図 表2-2需 Paully等[2004]に. 機関 バス. 英 国,そ. の他(海. 同. 英 国 と英 国外 英国 英 国外 英 国 と英 国外 英国 英国 英 国外 英国 と英 国外 英国 英国外 英国 英国. バス. ロ ン ドン. 同 郊外鉄道 同. ロ ン ドン外. 同 同 都市鉄道 同 同 同 郊外鉄道 同 同 バス. バス. 同 都市鉄道 同 郊外鉄道 同. 2004年 調 査 ピ ー ク ・オ フ ピ ー ク. 外). 短期 短期 短期 短期 短期 長期 短期 短期 短期 短期 中期 長期 短期 短期 短期 短期 短期 短期 短期 短期 短期 短期. 南東部 南東部 外 英国 英国 英国 英国 英国 英国. 斉 藤[1991]で. 要の運賃弾力性. よ る. 弾性値. 一 〇.41 一 〇.42. 一 〇.30. 一 〇.38 一 〇.29 一 〇.30. 一 〇.15. 一 〇. .65. 一 〇.29 一 〇.50 一 〇.58. 一 〇.50. 一 〇.37 一 〇.56 一1. .Ol. 一 〇.43 一 〇.44 一 〇.61 一 〇.55. ピー ク. 一 〇.26. オ フ ピー ク. 一 〇.48. ピー ク. 一 〇.26. オ フ ピー ク. 一 〇.42. ピー ク. 一 〇.34. オ フ ピー ク. 一 〇.79. 示 され た弾 力 性. ボ ス トン公 共 輸 送'68(通. 勤). 一 〇. ボ ス トン公 共 輸 送'68(買. 物). 一 〇. 大 ロ ン ドン ・公共 輸 送(平. 日)(鉄 道)'76. 一 〇. .17 .33 .40. 一 〇. .27. ∼. 西 ドイ ツ主 要 都市 公共 輸 送'68. -0 .41. サ ンフ ラ ン シス コ ・乗 合 バ ス輸 送'70. 一 〇. .20. 一 〇ユ1. シ カ ゴ ・乗 合 バ ス輸 送'70. 一 〇. 大 ロ ン ドン ・乗 合 バ ス輸 送'77. .405. 一 〇. .21. イ ギ リス公 営 公共 輸 送(バ. 1980年 調 査. 弾性値. ス)'74. ∼. -0 .61 一 〇ユ2. パ リ ・地 下 鉄'71. 一153(643)一. 一 〇.44. 間時の私.
(12) 第57巻 2-4独. 第3号. 占 的公 益 事 業 の経 営 目標 と運 賃 形 成 一 単 一 の財 ・サ ー ビス. 単 一 の 財 ・サ ー ビ ス に お いて,独. 占的 企 業(費 用 低 減 状 態 で)に. よ る交 通 サ ー ビ スが 供. 給 され て い る と き,そ の 企 業 の 経 営 目標 と利 用 者 を 主 とす る社 会 全 体 の 厚 生 の 関 係 を み る こ と は,公 的 政 策 に と って,最. も大 き い関 心 事 で あ る。 以 下 で は,利 潤 最 大,収 支 均 等,. 厚 生 最 大 と い う経 営 目標 の も とで の 独 占企 業 の 行 動 につ いて 考 え た い。. (a)利. 潤最大化を図 るとき. 需 要 関 数 は 需 要 量 κに 関 し て 支 払 意 思 価 格(WTP)と 利 潤 を17と 』17={P咽. す る と,17(κ)=P(κ)κ. κ+』P・ κ}一』C(κ)=収. 限 界 利 潤=』17〃. (b)収. 限 界 費 用(MC)。 支 均 衡(平. κ)κ}一 いcω/」. 界 利 潤=限. κ)=限. ち 限 界 利 潤 一 〇の と き 企 業 の 利. が 均 衡 点 で,供. な る と き 限界 収 入. 給 量 はXMと. (c)社. 用 一 収 入)で,我. が 国 の 鉄 道 運 賃 で は,「 費 用(総. 図 表2-4のB点,公. 正 報 酬 率rの. と き はC点. 会的厚生最大化を図 るとき. ズ. W=社. 会 的 余 剰=総. 便 益 一 総 費 用=∫P(z)ぬ. 一C(κ). 0. 図 表2-3独. な る。. 図 るとき. 原 価 に 公 正 報 酬 と して の 正 常 利 潤 が 上 積 み さ れ た も の が 用 い られ て き た(費 産 価 格 × 公 正 報 酬 率r)。. わ る と,. 界 収 入 一限 界 費 用 とな る。. 界 収 入 一 限 界 費 用=0と. 図 表2-3の,D点. 均 費 用 価 格 形 成)を. 基 本 的 に 収 支 均 等(費. 用 い る。. 入 一 費 用 と 定 義 さ れ る 。 利 潤 の 変 化=. れ 以 上 利 潤 が 増 え な い と き,即. 潤 は 最 大 に な る 。 し た が っ て,限. 量 ⇒ 価 格P(κ)を. 入 の 変 化 一 費 用 の 変 化 と な る。 両 辺 を 』xで. κ={P+いP/」. 数 量 κ を 増 加 さ せ て も,そ. (MR)一. 一C(κ)=収. し て,数. 占 運 輸 事 業 者 の 企 業 行 動 とサ ー ビ ス供 給 量. 一154(644)一. 。. 括 原 価)」 に は, 用=原. 価+資.
(13) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) Wを. 生 産 量 一 需 要 量 κ に 関 して 最 大 化 す る,す. 』C(κ)〃 κ,す. な わ ち,価. A(κMc,ρMc)で. 格=限. あ り,こ. 界 費 用(限. κ 一 〇 の と き,p(κ)一. 界 費 用 価 格 形 成 原 理)と. れ ら(a)(b)(c)のと き 消 費 者 余 剰 は(a)〈(b)<(c)で. 費 量 に 関 して も,(a)κM〈(b)κAC<(c)κMCと. 3節. 3-1独. な わ ち,」W〃. な る。 均 衡 点 は あ り,生. 産 量 一消. な る。. 複数 サー ビスの供給 と差別運賃形成. 占企 業 と(複 数 市 場 ・複 数 財)差 別 料 金. 独 占企 業 が 同 じ生 産 施設 で生 産 した財 ・サ ー ビス に対 して 異 な る市 場 で販 売 す る場 合 や, 同 じ費 用 構 造 を持 つ サ ー ビスを 異 な る地 域 で 販 売 す る場 合 それ ら各 サ ー ビ スの 価 格 形 成 に つ い て考 え る。 ま た3-4で. は異 な る サ ー ビス を共 通 の 施 設 を用 い て供 給 す る と き,そ の. 費 用 の 割 り振 りにつ いて 考 え た い。 独 占企 業 の1地 域,2地. 域 で の 販 売 量 を それ ぞ れ κ1,κ2,そ して価 格 をPl,P2と. す る。. その と き利 潤 π は,. π=君(κ1)κ1+ろ(κ,)κ. 、-C(κ1+κ. 、). と な る 。 企 業 の 利 潤 が 最 大 と な る よ う な そ れ ぞ れ の 地 域 で の 販 売 量(生 関 す る限 界 収 入 を. 姻(り 盗. κ、ニMR ,. ∂π 一=轍 ∂ κ1. 1-C'(κ1十 κ2)=0. ∂π 一=燃 ∂ κ2. 、-C'(κ1十 κ2)=0. と な る よ う に,販. 売 量X1,-X2を. ,σ=1,2)と. 産 量)は,数. 表す と. 決 め る こ と で あ る 。 こ の と き,利. 潤 最 大 化 の 条 件 は,. MRI=MR2=MC. で あ る。. つぎに霰 の価格弾雄. 孕. 諾 をηと就. -155(645)一. また 柴)一 照)と 示すと・. 量 に.
(14) 第57巻. 燃 一7(・)・+P(・)-P(・){1+需. 一呵1+1/〔. ÷ 釧. 第3号. ・ ・}. 一Pω 〔1-÷〕. つ ま りそれ ぞれ の 地 域 市 場 で の 弾 力 性 を η1,η2と す る と,利 潤 最 大 の条 件 は,. 峨. 一君〔1-÷〕一一. 〔1-÷〕-MC(3-1). こ こ で 両 市 場 で の 需 要 の 弾 力 性 が 等 し け れ ば,す はPl=P2と. P一 `ニ ル℃1 β. な る 。 さ ら に(3-1)式. ー(∫=1 η、. な わ ち,η1=η2な. らば利 潤 最 大 の 条 件. を変形す ると. ,2)(3-2). とな る。. 図 表3-1独. 3-2RamseyPricing一. 占的 差 別 運 賃. 制 約 付 社 会 的 厚 生 最 大(複. つ ぎ に あ る 公 共 交 通 事 業 者 が,い. 数 財). くつ か の サ ー ビ ス を 供 給 して い る 場 合 を 想 定 し,各. サ ー ビ ス ご と の 採 算 性 は さ ま ざ ま で あ る と す る 。 こ の 企 業 は,サ 条 件 を 満 た しつ つ,利. ー ビ ス全 体 で 一 定 の 採 算. 用 者 の 純 便 益 を 最 大 に す る よ う に 義 務 付 け ら れ て い る(あ. の よ う な 目 的 を も っ た 公 企 業)と. す る 。 も し採 算 性 の 条 件 が な け れ ば,こ. の 企 業 は,す. て の サ ー ビ ス に 限 界 費 用 価 格 を 適 用 す れ ば よ い 。 い ま 交 通 サ ー ビ ス の 数 を2つ 一156(646)一. る い はそ. と し,供. べ 給.
(15) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) 量 をX1,X2供. 給 費 用 をCl(Xl),C2(X2),ま. 需 要 はXl=Xl(ρ1)お. た 各 々 の 料 金 を ρ1,ρ2と す る 。 各 サ ー ビ ス へ の. よ びX2=X2(ρ2)と. 表 さ れ,他. の サ ー ビ スの 料 金 に は影 響 され な い も. の とす る。 こ の と き,交. 通 企 業 は,. P1濁+P2乃. 一Cl(.¥1)-C2(あ)≧. (3-3). ん. と い う収 支 制 約 の も とで,消 費 者 余 剰 と生 産 者 余 剰 の 合 計 で あ る総 余 剰. ロ . り . 研 一 ∫珊4'+∫x,(の4'+ρIXI+ρ,X,-Cl(X1)-q(ろ)(3-4) ρ1ρ2. を 最 大 に す る よ う に,料 金 を 決 あ る。 こ こ でa1とa2は,各 と な る 料 金 で あ り,(3-4)の1,2項 者 余 剰 に 相 当 す る 。(3-3)の 剰 を 表 して い る 。 ん=0の. 々 の 需 要 が,Xl(al)-X2(a2)-0. は 価 格 をPl,P2と. 左 辺 は,固. した と きの 各 財 消 費 にお け る消 費. 定 費 を 除 い た 交 通 企 業 の 利 潤,す. と き 企 業 は 少 な く と も 運 営 上 の 赤 字 を 出 して は な ら な い こ と を 要. 求 さ れ て い る 。 んが 正 の と き,企. 業 は少 な くと も固 定 費 の 一 部 を 収 入 で まか な わ な けれ ば. な らな い 。 一 方 んが 負 の と き は,運. 営 上 の 赤 字 を あ る程 度 まで に抑 え な けれ ばな らな い こ. と を 意 味 す る 。 公 企 業 で は ん が 負 で あ る こ と が 多 い 。(3-3)に ど 収 支 制 約 は よ り厳 し くな り,選 で 示 さ れ る 目 的 関 数W(の さ て,(3-3)の. な わ ち生 産 者 余. が 大 き くな る ほ. 択 し う る ρ1,ρ2の 範 囲 も 狭 くな る 。 した が っ て,(3-4). 最 大 値)も. 制 約 の も と,総. お い て,ん. よ り小 さ くな る 。. 余 剰Wを. 企 業 が 設 定 で き る 価 格 ρ1お よ び ρ2に つ い て 最. 大 に す る 条 件 は,. 一革+(1一 λ)卜. 擶. と な る 。 こ こ で λ は,制 で あ る 。(3-5)を. B-4妾. 峨. 一舞. 約 式(3-3)に. 〕一・('-L2)(翫5). 関 わ る ラ グ ラ ン ジ ュ 乗 数 で あ り,λ=4W/倣. ≦0. 書 き 換 え る と,. 一 λ舎1÷('-L2)(3-6). に な る 。 こ こ で8は. 需 要 の 運 賃 弾 力 性 で あ り,6=(一 一157(647)一. ρ/X・dX/(加)>0で. あ る 。(3-6)式.
(16) 第57巻. 第3号. は ラ ムゼ イ ・ル ー ル と いわ れ て い るが,こ の 式 は次 の こ とを 意 味 す る。 まず 弾 力 性 θが 小 さ い ほ ど,運 賃 の 限 界 費 用 か らの 乖 離 を よ り大 き くす べ き と い う こ とで あ る。 つ ぎ に λは 均 衡 に お いて 収 支 制 約 ん を 僅 か に きつ く(増 や す)し た と きの 厚 生Wの λ≦0で あ る。 したが って,(3-6)の. 減 少 分 で あ り,. 右 辺 は非 負 の 値 を と り,運 賃 は常 に限 界 費 用 と等 し. いか それ を上 回 らな けれ ばな らな い。 ま た λ一〇,つ ま り収支 制 約 に と らわ れ ず 厚生Wを 最 大 にで き る場 合(例 え ば費 用 逓 増 状 態 で の 操 業)で. は ρ=dC/dXと. な り,限 界 費 用 価 格. 形 成 に したが う。 (3-2)式. の 独 占的 差 別 運 賃 も(3-6)式. の 運 賃 の 相 対 比 率=限. の ラ ム ゼ イ 価 格 形 成 も,複 数 の サ ー ビ ス 間 で. 界 費 用 か らの 価 格 の乖 離 率 に つ い て は需 要 の 価 格 弾 力 性 につ い て. 同 じ条 件 を要 求 す る。 つ ま り,弾 力 性 の 高 い サ ー ビス(例 え ば オ フ ピー ク時)に 対 して それ が 低 いサ ー ビス(例 え ば ピー ク時)の 運 賃 を 高 め にす る と い う点 で 同 じ方 向 性 を も っ て い る。(3-2)と(3-6)で. 異 な る点 は,運 賃 の 絶対 水 準 で あ る。 つ ま り,資 源 配 分 の 効. 率 性 か らで き る だ け多 くの 利 用 を 図 り,社 会 的 厚 生 を 上 げ よ う とす る ラ ムゼ イ価 格 形 成 に お いて は(3-6)式. で,O〈. λ1(λ1)<1の. 値 が価 格 を よ り低 い方 向 にす る働 き が あ る。. い ま複 数 の 路 線 ・サ ー ビ スを もつ 運 輸 企 業 の 運 賃 形 成 につ いて 考 え る と,次 の よ うな こ とが 言 え る。 同 じ費 用 構 造 を もつ 幹 線 系 の2路 線 が あ る と き は,他 との 競 合 が 弱 く弾 力 性 の 低 い路 線 の 運 賃 を 高 め にす る。 ま た,都 市 と地 方 に2つ の 路 線 を もつ と き は,一 般 に鉄 道 へ の 依 存 性 が 高 い都 市 路 線 で は弾 力 性 が 低 いの で,ピ ー ク時 の 運 賃 を 高 め にす る,等 々 で あ る。 た だ こ う した運 賃 形 成 も,資 源 配 分 の 効 率 性 か ら判 断 した もの で あ り,所 得 分 配 の 公 正 を も考 慮 す る と受 け入 れ られ に くい面 も あ る。. 3-3ラ. ム ゼ ー プ ラ イ シ ング と都 市 鉄 道 運 賃. ラ ムゼ ー プ ラ イ シ ン グの う ちの,弾 力 性 の 低 い部 門 は運 賃 を 高 く設 定 す る こ と にな る。 特 にわ が 国 の よ うな 雇 用 主 に よ る通 勤 費 負 担 制 度 の も とで は,通 勤 時 にお け る郊 外 線 ター ミナル か ら地 下 鉄 へ の 乗 り換 え 需 要 は多 く,弾 力 性 も低 い し,資 本 設 備 コ ス トに も大 き く 関 係 して い るの で,高. めの 運 賃 で 合 理 的 で あ る。 しか し地 下 鉄 事 業 者 が,単. に短 距 離 利 用. 者 と い う範 疇 だ けで 区 別 を お こな う と通 勤 時 ・昼 間 時 の 区 別 が つ か ず,昼 間 時 の 短 距 離 利 用 者 に も通 勤 時 同 様,高. め の運 賃 を 適 用 す る こ と に な る。 しか し昼 間 時 の 私 的 ・業 務 ト. リ ップで の 運 賃 弾力 性 は非 常 に高 く,昼 間 時 の 高運 賃 は タ ー ミナル か ら都 心 部 へ,或 い は, 都 心 部 内で の 短 距 離 の 利 用 を 著 し く抑 制 す る こ と にな る。 この 点 は運 賃 政 策 上 益 々重 要 に な りつ つ あ る(松 澤[2001-a],[2005])。 -158(648)一.
(17) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤). 4節. サ ー ビ ス水 準 ・運 賃 形 成 と厚 生 分 析. 前 節 まで の 議 論 は運 賃(価 格)に つ いて で あ っ たが, 本 節 で は運 賃 とサ ー ビ ス水 準 を 同 時 に入 れ た モ デル で 考 え た い。. 4-1交. 通 企 業 と運 営 目標. 公 共 交 通 サ ー ビスの 料 金 は資 源 配 分 の 効 率 性 の 見 地 か らfirst-bestに お け る限 界 費 用 価 格 原 理 が 広 く主 張 され て き た。 しか し,経 済 的 な 諸 条 件(次 善 的 条 件,所 得 分 配,収 支 制 約 等 の 問 題)を 考 慮 す れ ば限 界 費 用 価 格 原 理 は必 ず しも適 当 と は いえ ず,そ れ か らの 乖 離 が 主 張 され る(BaumolandBradford[1970]参. 照)。 と りわ け利 潤 最 大 化 を 追 求 す る私. 企 業 に お いて は限 界 費 用 価 格 が 自 ら設 定 され る こ と はな い。 ま た行 動 目標 と して 公 企 業 は社 会 的 厚 生 の 最 大 化(部 分 均 衡 分 析 にお いて は社 会 的 余 剰 の 最 大 化)を か か げ るべ き と い う こ と にな るが,多. くの 公 企 業 は独 立 会 計 で,原 則 収 支 均. 等 の 運 営 を行 な って お り,財 政 上 の 均 衡 に重 きが 置 か れ て い る と い って よ い。 交 通 公 企 業 で,利 用 者 面 か らよ り戦 略 的 な 経 営 方 針 を 打 ち 出 したの は,1975年LondonTransport の 人 ・マ イル 最 大 化 で あ る。 公 企 業 と して の 交 通 企 業 に と って よ り把 握 し易 く,ま た 市 場 性 を も っ た他 の い くつ か の 目標 も考 え られ るだ ろ う。 以 後 この 人 ・キ ロ最 大 化 と い う よ り具 体 性 を も っ た企 業 目標 に関 連 して,他 の 目標 との 比 較,評 価 が い くつ か の 文 献 で な され て き た。 人 ・キ ロ最 大 化 と社 会 的 余 剰 最 大 化 な ど他 の 目標 の 成 果 との 比 較,異 な る 目標 に よ る解 の 一 致 性 な ど につ いて,人. ・キ ロ最 大 化 の 所. 得 分 配 面 で の 評 価 が 行 わ れ て き た。 ま た公 企 業 と して の 交 通 企 業 が と る諸 目標 に応 じて 価 格(運 賃)や サ ー ビス水 準(車 走 行 キ ロ)が いか な る水 準 に決 め られ るか に と くに焦 点 を 合 わ せ た検 討 も行 な わ れ て き た。 交 通 企 業 は公 企 業 の み な らず 私 企 業 で あ って も強 い社 会 性 を も って お り,運 賃 等 にお け る規 制 を受 け る と と も に,補 助 金 な い しは それ に類 す る措 置 を 受 けて い るが,将 来 と も交 通 企 業 の 置 か れ た状 況 か らその 収 支 につ いて は社 会 的 に も重 要 な 課 題 とな る こ と は間 違 い な い だ ろ う。 この よ うな 問 題 が 体 系 的 に取 扱 わ れ るべ き こ と は も と よ り重 要 で あ るが,本 稿 で は これ まで の 研 究 も踏 まえ な が ら,つ ぎの よ うな 課 題 に焦 点 を 合 わ せ て 論 究 して み た い。 第 一 は交 通 企 業(私 企 業 と公 企 業)が 収 支 上 の 制 約 を 受 けな が ら人 ・キ ロ最 大 化 な ど の 考 え られ う る代 替 的 諸 目標 を 達 成 しよ う とす る と き,価 格,サ ー ビ ス水 準 は どの よ う に 一159(649)一.
(18) 第57巻. 第3号. 決 め られ るか 。 第 二 に それ ら目標 に も とつ いて 運 営 され た成 果 を 社 会 的 余 剰 で 評 価 す れ ば ど うで あ るか と い う こ とで あ る。 と くに様 々な 目標 が と られ た と き,結 果 と して の 価 格, サ ー ビス水 準 の 大 小 だ けで な く,効 率 的 資 源 配 分 の 見 地 か ら最 大 化 され るべ き指 標 と して 用 い られ て い る社 会 的 余 剰 に よ る それ らの 評 価 は と りわ け重 要 で あ る。 以 下 で は この 分 析 目的 に あわ せ て,需 要(人. ・キ ロ)は 価 格 とサ ー ビス水 準 だ け に よ って 決 ま る と い う,単. 純 な モ デル に よ って 展 開 した い。. 4-2交. 通 企 業 と収 支. 一 般 に あ る公 共 交 通 サ ー ビ ス に対 す る需 要 は社 会 的 嗜 好 ,所 得 水 準 を 所 与 とす れ ば,そ の 交 通 手 段 の 価 格,サ ー ビス水 準 に と ど ま らず,他 の 代 替 的 交 通 手 段 の 価 格,サ ー ビ ス水 準 に も依 存 す る。 ま た その サ ー ビ スを 供 給 す る費 用 もや は り(混 雑 す る道 路 を 走 るバ ス と 乗 用 車 の よ う に)他 の 交 通 手 段 か ら何 らか の 影 響 を 受 け る こ と は い う まで もな い。 しか し 以 下 で は あ る公 共 交 通 サ ー ビ ス事 業 者 を 考 察 の 対 象 と し,そ の サ ー ビ スへ の 需 要 は 自身 の 価 格 とサ ー ビス水 準 の み に依 存 し,他 の 手 段 の それ らか らは独 立 で あ る とす る。 また 費 用 につ いて も 同様 で あ る。 サ ー ビス水 準 は車 両 走 行 キ ロ に よ って 代 表 され,可 変 的 費 用 はサ ー ビ ス水 準 の み に依 存 し,そ れ に比 例 す る と仮 定 す る。 さて 以 上 の 前 提 の も とで この 部 門 で の 需 要(人 をx,総. 費 用 をC,価. 格(1人. ・キ ロ)を ρ,サ ー ビス水 準 をB(車. ・キ ロ). ・キ ロ)と す れ ば. (4-1). κニ ∫(Pβ),CニC(β)ニcB. と表 わ す こ とが で き る。 こ こでcは サ ー ビ ス水 準 で あ る車 両 走 行 キ ロ当 りの 単 位 費 用 で あ る。 な お需 要 関 数 ∫ に 関 して. 諾 一ろ ・砿. (4-2). 器 一ゐ ・砿. と仮 定 す る。 さて 交 通 企 業 に と って の 収 支(生 産 者 余 剰)は,. 収 入 と費 用 の 差 と して, (4-3). が(ρ,.8)-c二8=G. に よ っ て 表 わ す こ と が で き る 。 も しG>0な. ら運 営 黒 字,. -160(650)一. G=0な. ら 運 営 収 支 均 等,そ. して.
(19) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) G<0な. ら赤 字 で あ る 。 こ こ で,資. が(ρ,B)-cB-F=Gと. 本 費 用 の よ う な 固 定 的 費 用Fを. 考 慮 す れ ば(4-3)で. な り単 純 に 収 支 を シ フ トさ せ る こ と に な る 。 以 後 当 面Fに. つ いて は. 考 え な い。 (4-3)式. で 示 さ れ る収 支 の 関 数 に お い てGを. dG-(∫+飢)dlρ+(鵡c)dB-Oか. ゆc一 詔. 関 す る全 微 分. ら. 鵡c一 プ+鵡. 一 定 の 値 に した と き,p,Bに. 鵡. κ. とな る。 こ こで需 要 の価 格 弾 力 性,し に対 して は 図表4-1の. (4-4). η 二 丑 ・ろ. ・(1+η)ラ. た が って(4-2)の. 仮 定 か ら(4-3)はGの. 様 々な 値. よ うな 閉 じた等 収 支 線 と して示 され る だ ろ う。 これ らの 曲線 はサ ー. ビス供 給 の 限 界 費 用cと. その 限 界 収 入pち が等 しい と ころ お よ び η=-1を. が 変 化 す る。 ま た 内側 の 等 収 支 線 ほ ど よ り大 き いGに. 境 と して 傾 き. 対 応 して お り,G3<G2〈G、. とな っ. て い る。Gの 絶 対 的 水 準 は 当該 サ ー ビ スへ の 需 要 と供 給 費 用 の 度 合 に依 存 す る。 つ ま りあ る価 格 ρ とサ ー ビス水 準Bの. 組 み 合 わ せ に対 して収 支 が最 大 で あ った と して もそれ は必 ず. しも正 の 値 で あ る保 証 はな い。例 え ば過 疎 地 域 を走 る路 線 で は どん な に収 支Gを よ う と も黒 字G>0と 4-1の. 大 き くし. す る こ と はで きな い場 合 が 多 い。 ま た いか な る場 合 にお いて も図 表. よ う に等 収 支 線 が 閉 じた 形 を して い る わ け で はな く,サ ー ビス水 準 の増 加 に よ る. 限 界 収 入 ρち が そ の 限界 費 用cよ. り もつ ね に小 さ い(ρ ち くc)と. き は等 収 支 線 は右 半 分 の. 形 状 だ け しか 示 さな いで あ ろ う。 以 後 わ れ わ れ は得 られ う る最 大 の 収 支 が 正 で あ る場 合 に つ いて 考 え た い。 ま た等 収 支 線 の う ち問 題 とな るの は右 下 の4半 分 で あ る。. 一161(651)一.
(20) 第57巻 以 下 こ の 交 通 サ ー ビ ス の 需 要 に 関 して は,つ. 第3号. 弾 力 性 は 価 格 が 高 い ほ ど(絶. 対 値 で)大. ぎ の よ う な 仮 定 を お き た い 。(1)需 要 の 価 格. き くな る 。 つ ま り ∂ η/∂ρ<0. ⑪ 需 要 の サ ー ビ ス 水 準 に 対 す る 変 化 は そ の 水 準 が 高 くな る に した が っ て 下 が る 。 つ ま り ∂ち/∂B=もB<0⑪. サ ー ビ ス に 関 す る 限 界 価 値 生 産 性pち. な る ∂(ρち)/∂ ρ 一 ち(1+ρ/ち 限 界 価 値 生 産 性 は 下 が り,1%の. ・∂ ち/∂ ρ)〈0。. は 価 格 が 高 くな る ほ ど 小 さ く. こ れ は 価 格 が 高 くな っ た と き サ ー ビ ス の. 価 格 上 昇 に 対 して そ れ は1%以. て い る 。 こ れ らの 仮 定 は あ ら ゆ る ρ,β. 上 下 落 す る こ とを 意 味 し. に つ い て 成 立 して い な く と も,当. 該 領 域 につ いて. は 妥 当 して い る も の と す る 。 さ て 以 上 の 条 件 の も と 交 通 企 業 が 以 下 の 目 的(a)∼(9)を 達 成 す る 場 合 の 均 衡 条 件 と そ の 結 果 と して の 価 格 ・サ ー ビ ス 水 準 を 求 め 比 較 して み た い 。(a)∼(c)に つ い て は 私 企 業 と して の 交 通 企 業 の 目 的 と 考 え られ,(d)∼(9),は. 社 会 的 規 制 を 受 け て い て 公 企 業 と して の 交 通 企 業. の 目 的 と 考 え られ る 。. (a)利. 潤最大. maXZ。=max{が(ρ. (4-5). β)-cB}. (b)利 潤 最 大 一 利 潤 率 に制 約. maXZb=max{が. ψ β)-cB}. (4-6) 鼠tが(P,.8房)イB≦. 乙(ろ). (c)利 潤 最 大 一 輪 送 量 に制 約. maXZ、=max{が. ψ β)-C君}. (4-7) S.t.プ(1フ,.8)≧. κ(ノ. 乳c). (d)収 入 最 大 一 収 支 に制 約. maXZd=max酬. ρ β). (4-8) S.t.」 厚(μ.8)-C召. ≧(}(ノ. し4). 一162(652)一.
(21) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) (e)サ. ー ビス水 準 最 大. 収 支 に制 約. maXZ=maxβ e. (4-9) S.t.」 げ(1ア,.8)-C.8≧(7(ノ. (f)輸. 送 量 最 大. し θ). 収 支 に制 約. maXZf=max∫(ρ,.8). (4-10) s・t・が(ρ,.8)一 ・B≧G(λ. (9)社. プ). 会 的 余 剰 最 大 一 収 支 に制 約. m・x・ 、-m・x{償(ち. β)4'+が. 圃. 一・B}. (4-11) S・t・が(19,.8)一 ・召 ≧ θ(λ 。). た だ し プ(ρ(B),B)=0. こ れ ら(a)∼(9)の 最 大 化 問 題 に お い て 解 は 一 意 に 存 在 し,ま (等 号 で 成 立)も. た最 大 解 で は制 約 が 生 きて い る. の と す る。 ま た カ ッ コ 内 の λb∼ λgは 各 最 適 化 問 題 の 制 約 式 に 関 す る ラ グ. ラ ン ジ ュ 乗 数 で あ る 。 均 衡 条 件 を 順 次 み て ゆ く と(a)に つ い て は. κ(1+η)=0( α')(4-12) 鵡 一c=0. と な る 。 ⑫ 式 は 通 常 の 独 占 企 業 の 行 動 と 同 じで あ る 。 図 表4-1に. は η=-1と. ρち=cを. み た す 線 が 引 か れ て い る が(a)の 解 は こ れ ら の 交 点 で. 示 され る。 (b)は. (1一 ノLわ)κ(1+η)ニ0. (わり.醜. (4-13). 一・一 ろ α・/(ろ 一1). 瑞. 篇.〉 ・ α. と な る 。 α は フ ル コ ス ト原 理 を 採 用 し た と き のmarkup率 つ ぎ に(c)に つ い て は 一163(653)一. に相 当す る。.
(22) 第57巻 κ(1+η)=一 賄. 第3号. ノしノり. 一 〇=一 λ論(cう. (4-14). λ ∂z =一 ユ>0 θ ∂ κ一. (d)につ い て は 交 通 企 業 と サ ー ビ ス 水 準. (1+ノ ㌔)x(1+η)=0 -o. 鵡. 一cニ(4')1 +ゐ. ゐ=一. (4-15). 互>o. ∂G∂. とな る。 (e)のサ ー ビ ス 水 準(車. ・キ ロ)最. 大化の条件 は. ノLθ κ(1+η)=O l. (の. 賄. (4-16). 一゜ニーτ. λ ∂z =一 ユ>0 θ ∂G δ. で あ る。 つ ぎ に交 通 企 業 当局 の 目標 と して は比 較 的 把 握 しや す い と考 え られ る輸 送 量 の 最 大 化 で あ る(f)の均 衡 条 件 は. κ(1+η)ニ げう. 鵡. ーノ》/ノし/. 一c=一. ノみ/λ/. ろ 一一舞. 一〉・. (4-17). G. で あ る。 この 式 の 左 辺 は(4)から等 収 支 線 の 傾 き と等 し く,右 辺 は後 出の ⑳ か ら等 輪 送 量 線 の 傾 き を それ ぞれ 表 わ して い る。 つ ま り均 衡 で は等 収 支 線 と等 輸 送 量 線 は接 して いな けれ ばな らな い こ とを 意 味 す る。 最 後 に公 企 業 の 行 動 目的 と して 通 常 と りあ げ られ る社 会 的 余 剰 の 最 大 化(9)につ いて の 均 衡条件 は. 一164(654)一.
(23) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤). κ(1+η)=一.鵡/ノ. し9. 3β+鵡. 一c=一. (8り. 0 >. λ. 一 G. ∂z =一 ユ 9∂ σ. 一〇 λg. 偽. 3β 1+λ9. (4-18). 3一 虐(ち.8)4ち. 鞠 一蕩. で あ る 。 以 上(a)∼(9)の 均 衡 点 をg1=(〆,Bf)(i=a,b,… に して,こ 約 値Gは. れ らを 図 示 す る と 図 表4-2,図 す べ て 同 一 の 値 で あ る が,こ. が 課 せ られ て い る こ と に な る しG=0な. …,g)と. 表4-3の. の 特 定 のGに. い う ベ ク トル で 表 わ す こ と. よ う に な る 。 な お(d)∼(9)に お い て 制 つ い て は,G>0で. ら収 支 均 等 以 上,そ. してG〈0な. あれ ば黒 字 の 収 支 ら,あ. る赤 字 額. G以 上 の 達 成 が 課 さ れ て い る こ と を 意 味 す る。 こ の 図 で は 〆 が 〆 よ り右 上 に 位 置 す る 場 合 を 示 して い る 。. 図 表4-2. 4-3交. 図 表4-3. 通 企 業 の行 動 と厚 生 上 の評 価. 4-3-1社. 会 的 余 剰 と等 値 線. 本 節 の 主 題 は,交 通 企 業 が(a)∼(9)の目的 に したが って 行 動 した場 合 の 結 果 を 社 会 的 余 剰 の 大 き さ に よ って 評 価 す る こ とで あ る。 社 会 的 余 剰zの9. 3。+鵡. 誘. あ る値 に つ い て の等 値 線 は. 一c. (4-19). Zg. と な る 。z,の 等 値 線 の 傾 き は(4-19)か と が わ か る 。 ま た,咋=p弓@+(3B+鴻. ら ら+. .ρ ち 芸6に 一 〇)お. -165(655)一. した が っ て4ρ 〃Bl,,ミ10と. か ら,ρ を 一 定 と す る と3、+ρ. なるこ 窃>c.
(24) 第57巻 の と き は ∂峯/∂B-3、+鴻o>0と な る の で,z線. な り,Bが. 大 き い ほ ど,社. 右 上 が り部 分 で は 右 方 に あ る 等 値 線 ほ ど 高 いzの. 89. 一 方 輸 送 量Z. 会 的 余 剰z、 は 大 き く. 水 準 を 表 し て い る。. fの あ る値 につ いて の等 輪 送 量 線 の傾 き. ニーム. 誘η. (4-20). ろ. を(4-19)と. 比べ ると. 1 =(38-c). 一盃. 謳. 第3号. zズ. (4-21). 。,鵡. が 任 意 の(ρ,β)に. つ い て 成 立 す る 。 こ の(21)から. <ψ琴 盃. ら ≡・な らば 劣. (4-22). z/Zg. の 関 係 が 成 立 して い る。 したが って 以 上 か らz,の 等 輸 送 量 線 とz,の 等 値 線 を 図 示 す れ ば 図4の. よ うな 関 係 にな る。. 4-3-2均. 衡解の効率性評価. (f)(9)の解 〆,q8が5、 (f)の解qfに. 〈cの. 領 域 に あ れ ば4ρ 〃 召lzア 〉吻 〃Blz,と. お い て も 当 然 こ の 関 係 が 成 り た っ て い る 。 等 収 支 線Gの -166(656)一. な っ て い る の で, 性 質 を 考 え れ ばq8.
(25) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) はqfよ. り左 下 の 方 向 に あ り,グ. に 示 さ れ て い る 。3B>cに q8はqfの. 3Bが. な っ て い る こ と が わ か る 。 こ の 場 合 は 図 表4-3. 解 が あ る と き は こ れ と は 全 く逆 の 状 態 と な り,グ>qFで. 右 上 の 方 向 に あ る 。 こ れ を 示 した の が 図 表4-5で. に あ る と き は,収 が,こ. 〈qfと. 支 制 約 の も と で の 輸 送 量 最 大 解qfと. れ は(f)あ る い は(9)の 解 で 投 資 β の 追 加 的1単 等 し く な っ て い る な ら,(f)と(9)解. 社 会 的余 剰 最 大 解 グ 位 当 りの 費 用oと. 一 λプρ. す る と,均. 衡 条 件(4-17)(4-18). 一 λ. η(99). 9. =. (4-23). 1+λ9. プρ. と な る 。 考 察 中 の 領 域 で は 等 収 支 線 上 で 右 上 方 ほ ど(ρ,β)が 値 も 大 き い の で,4姜q9は1η(qア)1美1η(q8)1に グ. 消費者余剰の増分. 目の 式 か ら. η(9り=1+λ. らqfミ. は一 致 す る. は一 致 して い る こ とを意 味 す る。. (f)(9)の解 に お け る 需 要 の 価 格 弾 力 性 を η(〆),η(q8)と の そ れ ぞ れ 第1番. あ る。 ま た解 が ら 一 〇 上. は み ρ ミ2、. 大 き く価 格 弾 力 性 の 絶 対. 対 応 して い る 。 した が っ て(4-23)か. と 対 応 し て い る こ と に な る 。 す な わ ち,収. 』oだ. け ゆ る め てo-』oに. て,均. 衡 で 輸 送 量 増 分 の 価 値 額 が 社 会 的 余 剰 の 増 分 よ り も 大 き い,つ. ら ばqf>q8と. し た と き に 増 大 し う る 輸 送 量 』Zf,社. 支制約 θ を θ か ら 会 的 余 剰 』z、 に つ い ま り ρ』4>ムz、. な. な っ て お り輸 送 力 最 大(f)の 解 は 社 会 的 余 剰 最 大(9)の 解 よ り も 右 上 方 に あ. り,ρ ム ろ くムz、の とき は そ の逆 で あ る 。ρム ろ=ムz、 の とき はそ れ らは 一 致 す る。 そ して み,2, は そ の 値 が 大 き い ほ ど 価 格 弾 力 性 の 絶 対 値 は1に. 近 づ くの で,(f),(9)の. た サ ー ビ ス 水 準 最 大 で も あ る)の. い か え れ ば ρ,Bの. る こ とが わ か る。. 解 に 近 づ く,い. 解 は 収 入 最 大(ま 水 準 が と も に 高 くな.
(26) 第57巻 4-4都. 市 交 通 の サ ー ビス水 準 と運 賃. 公 企 業 と して の 交 通 企 業 が,あ. る収 支 制 約 の も とで の 輸 送 量(人. を達 成 した と きの 結 果qfは,同 グ. 第3号. ・キ ロ)最 大 化 の 目標. じ収 支 制 約 で 社 会 的 余 剰 の 最 大 化 が 図 られ た と きの 結 果. と以 上 の よ うな 関 係 を もつ こ とが わ か った。 一 般 的 に収 支 制 約 下 で は,つ ね にq9≦qf. とな り,乗 車 単 位 の 運 賃 支 払 いで は,輸 送 量 最 大 解 は社 会 的 厚 生 最 大 解 に比 して 高 サ ー ビ ス ・高 運 賃 とな る。 輸 送 量(利 用 者 数)最 大 解 は他 の 目標 に比 して,よ 市 に集 め,都 市 の 活 性 化 に通 じる。 サ ー ビ ス水 準 を3β=Cと ZfとZ,上. り多 くの 人 々を 都. な る よ うに適 切 に決 め れ ば,. で の 吻 〃Bが 一 致 す る か ら,も し輸 送 量 最 大 解 も3B=C上. に あれ ば,利 用 者. の 社 会 的 厚 生 最 大 の も とで,輸 送 量 も 同時 に最 大 にな る可 能 性 が もて る。 そ れ は,公 共 交 通 が 都 市 の 活 性 化 に最 大 限 生 か され た状 態 を 意 味 して い る。. 5節. 5-1大. 都市交通の性質 と需要喚起の運賃形成. 都 市 圏 の公 共 交 通 運 賃 に求 め られ る も の. 都 市 交 通(と. くに大 都 市 交 通)に つ いて は,朝 の ピー ク時 を な す 通 勤 ・通 学 トリ ップ と. 昼 間 時 の 長 き に亘 って お こな わ れ る私 的 ・業 務 トリ ップ に二 分 され,前 者 で は鉄 道 の 利 用 が 圧 倒 的 に多 く需 要 の 運 賃 弾 力 性 も低 いが,後 者 で は乗 用 車 ・二 輪 車 ・徒 歩 な ど他 の 代 替 的 交 通 手 段 が 広 く利 用 可 能 な た め(あ. るい は条 件 が悪 け れ ば トリッ プを しな い),需. 要の. 弾 力 性 も高 くな って い る。 本 節 で は後 者 の 「昼 間 時 トリ ップ」 に焦 点 を 合 わ せ,運 賃 面 に つ いて の 考 察 を行 い た い。 わ が 国 の3大 都 市 圏 で は戦 後,人. 口 ・経 済 機 能 な どが 集 中 し,そ れ に対 応 す べ く今 日 に. 至 る まで,都 市 内 ・郊 外 の 鉄 道 整 備 が 行 わ れ て き た。 そ して 今 日,人 々の モ ビ リテ ィ向 上 一 般 に加 え ,乗 用 車 利 用 → 公 共 交 通 利 用 に よ り,都 市 環 境 改 善 さ らに は都 市(都 心)の 活 性 化 を も 目標 とす べ く,公 共 交 通 ネ ッ トワー ク の整 備 ・運 営 が行 わ れ て い る(は ず で あ る)Q しか しわ が 国 の 大 都 市 圏 交 通 は,ハ ー ド整 備 面 ・運 営 面 と も に様 々な 事 業 者 に よ って 行 わ れ て お り,乗 換 な どハ ー ド面 で の 不 連 続 性 だ けで はな く,運 営 面 と くに運 賃 面 にお いて 利 用 者 が 要 す る支 払 い費 用 は,一 元 的 運 営 が な され て い る欧 米 の 都 市 公 共 交 通 シ ス テ ム と 比 べ る と極 め て大 き い だ けで な く,わ が 国 の 諸 物 価 水 準 か ら見 て も相 対 的 に高 水準 で あ る。 も っ と も,単 一 的 な 拠 点 間 移 動 に限 れ ば,高 頻 度 で 適 当な 料 金 で の トリ ップが 可 能 な 場 合 も多 いが,他 機 関 との 乗 換 を 伴 う場 合 や 面 的 移 動,多 回 次 乗 車 にお いて は,公 共 交 通 シ ス ー168(658)一.
(27) 運賃 ・料金をあ ぐる再考察(松 澤) テ ム(特 に鉄 道)の 利 用 上 の 困 難 さ(駅 間 距 離 の 長 さ に よ る ア クセ ス ・イ グ レス時 間,待 ち時 間,駅. 内移 動,… … 等 々)も さ る こ とな が ら,こ の 運 賃 面 で の 不 連 続 性[併 算 運 賃]. は,大 都 市 圏(中 心 都 市 内,郊 外 → 中心 都 市)で の 人 々移 動 に お け る運 賃 支 払 いを 高 水 準 な もの と し,公 共 交 通 を 用 い た移 動 を大 き く阻 害 して い る(図 表5-1に. は併 算 運 賃 と通. 算 運 賃 を模 式 化 して 示 して あ る)。 大 都 市 圏 の 中心 都 市(さ 率 が 高 い こ と,そ. らに は都 心 部)で. して,単 純 にA→Bへ. は,昼 間 時 トリ ップ にお いて は,短 距 離 の 比. ゆ くと い う トリ ップ よ りも複 数 の 回 遊 的 トリ ップ. が 多 い と い う性 質 が あ る。 したが って,中 心 都 市 お よ び都 心 部 で の 人 々の モ ビ リテ ィ(動 きや す さ)を 高 め,乗 用 車 利 用 → 公 共 交 通 利 用 を促 す た め に は,(駅 ど)ハ ー ド面 と併 せ て,こ. へ の ア クセ ス 向 上 な. う した都 市 交 通 政 策 の 目標 に見 合 っ た方 向 で の 運 賃 制 度 が 存 在. す る こ とが 必 要 で あ る。 それ は(1)併算 制 → 通 算 制[図 表5-1],(2)均. 一的運賃→短距離向. き運 賃,(3)乗 車 毎 の 単 券 運 賃 支 払 い→ 多 回 次(一 定 額 で 無 制 限 な)乗 車 可 能 な 乗 車 券 で あ り,以 下(2)(3)につ いて 検 討 した い。. 図 表5-1通. 5-2一. 律 運 賃 ・料 金 と 距 離 別(区 図 表5-2均. _価. 算 運 賃 と併 算 運 賃. 別 的)運. 賃 ・料 金. 一運賃. 図 表5-3従 雪. 距離運賃.
(28) 第57巻. 5-2-1距. 第3号. 離 別(区 別)運 賃 と資 源 配 分 上 の 改 善. (a)図表5-2,5-3に. お いて,交 通 サ ー ビ ス生 産 の 限 界 費 用 はOaで. あ り,サ ー ビ ス1. 単 位 当 りの 生 産 費 一平 均 費 用 はBで 需 要 曲線 と交 わ って い る。 す な わ ち,運 賃 水 準OP1 でOX1の. トリ ップが 需 要 され,企 業 は収 支 均 等 に な る もの とす る。 単 一 の運 賃OP1の. とで は利 用 者 の 総 便 益 はABX10で 用,R1は. あ り,そ の う ちabXIOは. も. サ ー ビ スの 生 産 の 直 接 的 費. 生 産 者 余 剰 で この 場 合 は固 定 費 に等 し くな って い る。 一 方 利 用 者 に はABP1=S1. の 消 費 者 余 剰 が 帰 す る。 単 一 運 賃 の も とで は トリ ップ に対 す る評 価 の 高 い利 用 者 ほ ど大 き い余 剰 便 益 を得 る こ とが で き る。 つ ぎ に差 別 運 賃PA,PBが ル ー プ(OXAと. 課 せ られ た と きを 図 表5-3で. 考 え る。 い ま利 用 者 が2つ の グ. それ 以 外)に 分 け られ る もの とす る。PAは サ ー ビス へ の評 価 の高 い グル ー. プ に課 され,そ の と きの 利 用 者 数 はXAで へ の 評 価 が 低 い トリ ップのXBXAで. あ り,PBの. 運 賃 が 適 用 され るの は交 通 サ ー ビ ス. あ る もの とす る。 利 用 者 便 益 は 同 図 でBCXBX1だ. け増 加 し,交 通 サ ー ビ スの 価 値 が 増 加 した こ と にな る。 この と きサ ー ビ スへ の 評 価 の 高 い OXAの. 利 用 者 で はR2だ. いXAX1利. け消 費 者 余 剰 が 減 少 し,そ の 分,サ ー ビス に対 す る よ り評 価 の 低. 用 者 の 消費 者 余 剰 がS4だ. 利 用 者 便 益 の 増 加 分BCXBX1の 剰 の 増 加,ま. たbcXBX1は. け増 加 した こ と にな る。. う ち,S5は. 生産者余. 直 接 的 費 用 増 加 で あ る。 この 結 果 運 賃 差 別 を 設 定 した こ と に. よ って,㈲ 新 たな 利 用 者 増 加(XIXB)に と って 生 産 者 余 剰R5が. 新 た な利 用 者 の 消 費者 余 剰,R5は. よ り消 費者 余 剰S5が. 発 生 す る。 ⑬ 交 通 事 業 者 に. 増 加 す る。 ◎ サ ー ビスへ の 評 価 の 高 い グル ー プか ら低 い グル ー プ. へ の 消 費 者 余 剰 の 転 移 が あ る。(D新 たな 利 用 者 に は乗 用 車 か らの 転 移 も見 込 まれ る。 つ ま り㈲ と⑧ か ら利 用 者 ・事 業 者 の 何 れ に も利 益 が 生 じ,資 源 配 分 上 の 改 善 が 見 られ る。 と く に公 共 交 通 サ ー ビ スの 供 給 事 業 者 に お け る採 算 性 の 改 善 は,再 投 資 に よ る公 共 交 通 サ ー ビ ス の質 の 向 上 に通 じ る可 能 性 を もつ 。(C)は新 た な 価 値 の 創 出 で は な い が,所. 得分配上 の. 「公 正 」 さを高 め る と考 え られ る。(Dは 社 会 的 な利 益 とい う側 面 を持 つ(1)。 この よ うな 運 賃 差 が 適 用 可 能 な た め に は,需 要 者 の サ ー ビス に対 す る評 価 を 把 握 し,現 実 に差 別 運 賃 を徴 収 で きな けれ ばな らな いが,距 離 の 長 短 で は一 般 に トリ ップ距 離 が 長 い ほ どサ ー ビスへ の 評 価 は高 い と見 な せ る。 ま た ピー ク ・オ フ ピー クで は,ピ ー クの ほ うが サ ー ビスへ の 評 価 が 高 い と考 え られ る。 したが って 距 離 に関 係 な く均 一 運 賃 を 課 して いた もの を数 段 階 に分 割 して,短 距 離 トリ ップ に は大 き く割 り引 いた 運 賃 設 定 を す る こ とで 資. (1)R1>R2+R3+R4,R1〈R2+R3+R4の と き はR2=S4と だ 利 用 者 ・事 業 者 と も に 状 態 が よ くな る の はPA>P1(変 -170(660)一. は な ら な い が,同 様 に 類 推 で き る。 た 化 前)>PBの 料 金 設 定 した と きで あ る。.
(29) 運賃 ・料金をあ ぐる再考察(松 澤) 源 配 分 上 の 効 率 性 を 高 め る こ とが で き る可 能 性 が 大 き い。 幾 つ か の 地 区 で は タ ク シー の 初 乗 り運 賃 を現 行 か ら引 き下 げ,短 距 離 客 の 利 用 促 進 を 図 ろ う と して い るが,事 業 者 と利 用 者 の 両 方 の 利 益 にな り,当 を 得 た方 策 と いえ る。 バ ス ・鉄 道 の よ うな 公 衆 交 通 機 関 で も, 運 賃 収 受 技 術 の 向 上 に よ り,精 細 な 運 賃 設 定 が 容 易 にな るの で,短 距 離 で の 低 廉 な 運 賃 に よ り公 共 交 通 の 利 用 促 進 が み られ つ つ あ る。. 5-2-2公. 正 ・公 平 ・妥 当な 料 金 とな るか?(都. 市 高 速 道 路 の 従 距 離 料 金). 都 市 高 速 道 路 で は,料 金 設 定 の 際 の原 則 と して,「 公 正 か つ 妥 当」 とい う基 準 が あ る。 都 市 高 速 で は従 来 か ら,同 一 料 金 圏 内で は利 用 距 離 に関 係 な く均 一 の 料 金 が 課 せ られ て き た。 これ は料 金 徴 収 上 の簡 便 さ な どに依 る とこ ろ が大 き い が,ETCが 別 料 金 設 定 が 可 能 で あ り導 入 され つ つ あ る。5-2-1の. 普 及 して くる と距 離. 議 論 か ら,利 用 距 離 を 長 短2区 分. して 料 金 を課 す る こ と に よ り,㈹(B◎ ◎ の 状 況 の 変 化 が 生 じる。 これ は既 存 利 用 者 の 誰 の 利 用 も抑 制 す る こ とな く全 体 の 利 用 者 を 増 加 させ る料 金 設 定 で あ り,道 路 利 用 か らえ られ る利 用 価 値(資 源 配 分 効 率)を 高 めて い る点 で 公 正 か つ 妥 当 と いえ る。 また,均 一 料 金 で 大 きな レ ン ト(消 費 者 余 剰)を 得 て い た距 離 の 長 い グル ー プか ら距 離 の 短 い グル ー プへ の レ ン トの 転 移 ◎ で も あ り,よ り公 平 な 資 源 配 分 に通 じて い る。. 5-2-3都. 市 公 共 交 通 で の 短 トリ ップ ・短 距 離 乗 車. 利 用 制 限 の な い事 業 者 間 共 通 の1日 乗 車 券 が 存 在 しな い場 合,短 距 離 トリ ップや トリ ッ プ過 程 で の 公 共 交 通 機 関 で の 短 距 離 乗 車 は と りわ け重 要 で あ る こ とを 筆 者 は繰 り返 し指 摘. 図 表5-4短 運賃 ↑. 距 離 トリ ップ 運 賃.
(30) 第57巻. 第3号. して き た。 わ が 国 で も今 日 中規 模 都 市 の 中心 部 で の100円 区 間 の設 定 や,100円 出現 と と もに,鉄 道 に お い て も1駅100円 にWTPが. 区 間 も 出現 して い る。5-2-1で. 均 一 バ スの. は利 用 距 離 順. 対 応 す る もの と して,区 別 運 賃 に よ る分 配 上 の変 化 もみ て き た が,図 表5-4. で は,一 般 利 用 と短 距 離 利 用 を 別 サ ー ビ ス と して,運 賃 区 別 設 定 の 効 果 を み た もの で あ る。 短 距 離 トリ ップの 公 共 交 通 利 用 上 の 運 賃 弾 力 性 は極 めて 大 き い と考 え られ るの で,引. き下. げ に よ る人 々の モ ビ リテ ィ向 上 効 果 は大 き く,都 心 部 活 性 化 に通 じる(ア メ リカ ポー トラ ン ド市 で は都 心 部 の 公 共 交 通 は無 料)。. 5-4ト. ラ ベ ル カ ー ドと 多 回 次 乗 車 図 表5-5 斗 雷 ・ 旨.. トラベ ル カ ー ド.
(31) 運 賃 ・料 金 を あ ぐる再 考 察(松 澤) 図 表5-7行. 動範囲の拡大. トラベ ル カ ー ドは,短 距 離 トリ ップの 公 共 交 通 利 用 促 進 に も役 立 つ が,一 般 的 に は都 市 交 通 に お け る移 動 の 連 続 性(モ 5で,都. 市 交 通 トリ ップ に対 す る利 用 が 相 対 的 に高 い人 の 需 要 がABで. リ ップ 当 た りの 運 賃 がOFの はAhFで. ビ リテ ィ)を 金 銭 的 側 面 か ら支 え る機 能 を もつ。 図表5-. と きOTの. 示 され,い. ま,ト. トリ ップが な され,利 用 者 に と って の 消 費 者 余 剰. 事 業 者 の 収 入=利 用 者 の 支 払 い はOFhTと. す る。 この と きOFhTと. 同額 で 乗. 車 制 限 の な い(利 用 者 に と って トリ ップ を す る こ との 追 加 的 支 払 費 用 は ゼ ロ)ト ラ ベ ル カ ー ドが 選 択 可 能 にな っ た とす る と,こ の 人 は それ を 利 用 してOB回 い,総 便 益ABOか. ら支 払額FhTOを. その 結 果 この人 の公 正 はhBTだ たhTよ. 除 い たAhF一 トhBTの 余 剰 便 益 を得 る こ とが で き る。. け高 め られ る。そ れ ま で運 賃OFが. 高 い た め否 定 的 で あ っ. り低 い価 値 を 持 つ トリ ップが な され る よ う にな る。 ま た トラベ ル カー ドの 運 賃 を. Dと す る と,こ の 場 合OFhT<D〈OFhBの た余 剰便 益hTBを. で は,ト. 範 囲 で 設 定 が 可 能 で あ り,新 た に生 み 出 され. 事 業 者 と利 用 者 の間 で 分配 す る こ とで 両 者 と もに利 益 を得 る こ とが で き,. いわ ゆ るwin-winの. OFの. だ けの トリ ップを 行. 関 係 とな る。 しか し,ト リ ップ に対 す る需 要 がabの. ラ ベ ル カ ー ドの 料 金 が 便 益 を 上 回 って い る た め,こ. 運 賃 を支 払 っ てOt量. よ う に小 さ い人. の 利 用 者 は トリ ップ ご と に. の トリ ップ を消 費 す る方 が 有 利 で あ る。. この トラベ ル カ ー ドが バ ス ・鉄 道 と い う異 な る モー ド間 お よ び異 な る事 業 者 用 は大 き く 減 少 し,都 市 内 モ ビ リテ ィの 向 上 だ けで な く,自 動 車 交 通 か ら公 共 交 通 へ の 転 移 が 促 進 さ れ る と考 え られ る。 単 一 乗 車 券 と トラベ ル カー ドが 併 存 す る この 選 択 的 運 賃 制 度 は,利 用 者 の 便 益 を少 な くと も向 上 させ う る と い う意 味 で パ レー ト優 越 的 な 改 善 と いえ る(Willig [1978]参 照)。 この よ うな 運 賃 制 度 は公 共 交 通 を 優 先 させ る欧 米 の 都 市 交 通 で は広 く採 用 され て い る。 しか し,都 市 交 通 の 需 要 構 造 につ いて は必 ず しも明 らか で はな い し,ト ラベ ー173(663)一.
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