文学
テ ク
ス
ト
の
翻 訳
に み る
異
文化
コ
ミ
ュ ニケ
ーシ
ョン
行為
評価分析
の た めの方法
藤
濤
文
子
1
. 翻訳 理論の流れと本稿の課題『フ ァ ウス ト
第一部』「書斎」に, 新 約聖書の 一文 を ドイツ語 に 翻 訳 す る場面 が あ
る。 ファ ウ ス トが
16gos
をド イッ語 に翻訳する に あ たっ て,Wort
,Sinn
, Kraftと訳 語の逡巡 を経て最終 的に
Tat
に落 着 くシーン で あ り,翻訳 を巡る議論で しばしば引 用 さ れ る箇 所である。 言 語文化が異な れ ば,完全に 1 対 1で対応する語が ない こ と, またその ため , .一 語の翻 訳 に さ え翻訳 者の 解釈を打 ち立て る作業が伴 うこ とが読み 取れる。 ヘ ブ ラ イ語 dabar は言 葉とも行為とも区別の つ か ない 語であっ たが , ギ リシャ 語で は哲学的 思弁 的 なi6gos
に変 化 した と言わ れ て い るこ と を勘案す る と, llTat
と 訳し たの は特 殊 な解釈 と は言 えない の か も し れ ない。 む しろ本稿で は, フ ァ ウ ス トの脳裏 を巡っ たWert
→Sinn
−一一一Kraft
− Tat とい う解 釈の流れ が , 見 事にその ま ま 翻 訳 理論の 歴史的変 遷を表 す象 徴 となっ て い る こ とに 注 目 し たい 。まず
WQrt
とSinn
につ い て は,ヒエ ロ ニ ム ス が 「[..】ギ リシ ャ語か らの翻訳に際 し て,語を語で置 き換 えるの で は な く意味を対応 さ せて表現 した (nicht Wort far
Wort
, sondemSinn
応r Sinn)」2〕と公 言 し, その 方法をキ ケロ か ら学ん だ とい う 一 節を思い 起こ させ る。 ゲーテ もこ の 一節を当然 知っ て い たと思われる。 こ の 「語で はなく意味 を」とい う表現 は, 「語」に代表される形式 と, 「意味」に代表 さ れ る 内容の 二極の うち何を優先 する か, とい う翻 訳 理 論 史の中で常 に議 論 さ れて き たテーマ その もの で あ り, 直訳 か意訳 か,異 化翻訳か同化 翻訳か , とい っ た 議論へ の展 開をみ せ て い る。翻訳 をコ ミュ ニ ケーシ ョ ン と して捉え,送 り手の 意図 や受け手に及ぼ す効 果も視野 に 入っ て くる と, 次の
Kraft
に当ては まる。 その 代 表的 な 翻 訳 理論は E .ナ イダの 動 的等 価 理論で あ り, 起 点テ クス ト (Source
Text,以 下ST
)との形式 的対 応 関係よ りも読 者の反応を等 し くする こ と を優先 する。 ある いは,
Wort
−Sinn
−Kraftとい う組み 合わせで考える と,
K
.ビュ ーラーの オ ル ガ ノ ン モ デ ル を 基に K .ラ イス が提唱 し た テ ク ス トタ イ プ別翻 訳等価 理論 (形式重視テ ク ス ト, 内 容 重 視 テ クス ト, 訴え効 果重視テ クス ト)につ な
1) Vemeer (1994), S .47 .
文 学テ ク ス トの翻 訳にみ る異文化コ ミュ ニ ケーシ ョン行 為 31 が る。 こ こ まで の関心は概ね,
ST
との関係 を第 一義にお く等価理論で あ り , 20 世紀 後 半に展開 された応用言 語学的な翻訳理 論研 究の流れに当た る。最後の Tatは,翻訳 も人 間行為の一形態であ り,行為の 目的を果たすとい う視点か ら 翻訳 を捉 えたフ ェ ア メーアな どに よ るス コ ポス理論 を想起させ る。
1980
年頃か ら提 唱 され翻訳研 究を大 きく 転換 させ た こ の理論は, 訳 文テ クス ト (Target Text ,以 下 TT ) 作成 に 至 る 人 間行 為に光を あて る ため ,テ クス ト間の関係その もの は 従来の等価理 論 的 捉え方と は大 きく異な る。 翻訳行 為は,単にST
へ の 正確 な理解の み を目的とする ば か りで は なく, 映 画字幕の翻訳な ど が象徴 的に示 すように,TT
自体が独立 し た作 品と し て機 能する こ とを 目的とする場合 など様々 で あ る。 この機能 主義 的なス コ ポス理論に よ り翻 訳の 周辺的領域や 翻訳 不 可能と して 理論 的対象か ら外 さ れて きた多様 な翻訳 現 象 まで も視野に含めて,現実に 即 した理論 的説 明が可能となっ た♂理論的変遷 をこの よ うに辿っ て み る と,
TT
が 絶 対的 存在と してのST
と密着し た連 関を持たない 現 象に も,理論的 正当性 を与え ようと して き た 歴史であっ た とは言え まい か。 異言 語文化 を超 える過 程で,ST
とTT
間 にずれが 生 じ る のはある程 度必然 的で あ るa ある い は, その ような ず れは異 文 化 コ ミュ ニ ケーシ ョ ン行 為 を成 功さ せるた めに取 ら れ た 選 択行為の 結 果である, と表現す ることもで きよう。 具体 的な翻訳現場で は, 異 文化を超えるた め に どの ような翻訳 行 為が行わ れて い るので あ ろうか。 個々 の翻訳事 例 は, どの ように分析・評価で きるの で あろうか。 本 稿で は ス コ ポス 理論の 立場か ら,そ の分 析 ・評価の具体 的な方法を提案し, 日独 語 間の文 学翻訳を例 に してその方 法の有用 性を検証 し たい 。2
. ス コポス理論 を応用 した翻訳分 析法の提案2
.1
. スコ ポス理論の原則翻訳 を 人間の行為の 一部だ と捉えるス コ ポス理論は,フ ェ ア メーア に よ り
1970
年代 末に提 唱され , その 後ラ イス と 共 に 一般翻訳 理論と して ま と め ら れ た 。 ある状 況の 中で 何 を言語化 する かは個々 の言 語文化によ り異な る ため , こ の理 論で は翻訳を言語の コ ー ド転換 と し ては捉 えない 。 翻訳 と は, 起点言語 文 化の 情 報提 供 (ST
)につ い て 目標 言 語文化 内で情 報提供 するこ とだ と考える。 文化 的な要素を重視 するが, 動的等価 や 同化 翻訳を推奨す るので はなく, 文化の差 異をどの ように超 えて情 報提供する かは, 他の行 為と 同様に 目的や受け手に応 じて変わりうる もの だ と してい る。 つ ま り目的とい う変数 に応 じ て変化 する関数だと して, 「翻 訳行 為 = =f
(目 的)」 とい う公 式で 表して い る。 翻 訳の 目 的 を表 す専 門用 語 と して導入 され た”Skopos “は 受容者 を含む概 念で もある。 ま たTT
に結束性が あ り想定読 者に とっ て理解 可 能であ るこ とがST
へ の忠 実性 よ りも重 視さ れ る。し た が っ て翻訳 行為におい ては, 翻訳の 目的, 結束性, 忠実性が ,以下 の よ3) ス コ ポス理 論 は, 行 為理論 ,テ クス ト言 語 学, コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン理論等か ら刺 激を受けて , Holz−Manttari (1984 )の翻訳 行為 理論 と共に発展 して きたもの である。
32
藤 濤 文 子 うに階層的に重要 なル ール を成すと考える ♂1 (D
ス コ ポス ル ール :翻訳の 目的に合致してい る こと (2
>結 朿性ル ール :TT
に結 束性があ り理 解口1
能で あるこ と(
3
)忠 実性ル ール :ST
と何ら か の関係が あ るこ とこの原則に従え ば, 例 えば異 質な文 化へ の関心の強い 読者を対象とした翻訳 や 学 問 的 に信頼で きる 翻 訳 を 目指せ ば (スコ ポス),
ST
との対応 関係の 保持 を重視する こ とにな ろう (忠 実性)。 その 際, 理解に何ら か の支 障が 出 る と翻訳 者が判 断 した場 合は, そ れ を避けるため に注で解 説 する など何 ら かの手だて を講 じ る であろ う (結 束性 )。 ま た, 自然な表現で読め る 翻 訳 を 目指せ ば (ス コ ポス),異文化を 超 えて理 解で きる訳文を作 る た め に 同 化 的翻 訳方法が選 択され (結束性),ST
との対応関係には様々な段 階が 生 じ うる (忠 実性)。2
.2
. 分析 方法の提 案以 上の ス コ ポス理論の原則を基に して , それぞ れの翻訳 現場で文 化の 差 異 を 超 えるた め にどの ような翻訳 行 為が行われた か を,具体 的に記述 し評 価 す る た めの方法と して以 下の表 1 を提案した い。 5】 表
1
ス コ ポス理論 をベ ース と した翻訳 分析 表 翻訳方法 スコ ポス 結 束性 忠実 性 内容 形 式 効果 全体の 評価 2.3. ± A ± B ± 土 ± 合 計ま ず 翻 訳の 目的を特 定 し, 採用 さ れ た翻訳 方法 (23 .参照)が その ス コ ポス に合致 し てい るか否か , 選 択 決定さ れ た訳 文に結 束性があるか否か を判 断する。 その上で
ST
へ の忠 実性 と して, 表現 形式 ・意味内容 ・効果の3
分野 に 分 け て,そ れ ぞ れ を[+]卜 ]で 評価し, [+]の数を合計 し て数値化 する。 つ まり5
項 日全て を満た せ ば5
点評価 と なる。 ス コ ポ ス 理論で は , 目 的 ・結 束件 ・忠実 性が 階層 的 に 重要であ る と考えるため, 目的に 合致 し た もの を[A
], 結束 性の ある もの を 【B ]と判定する。 し た が っ て満 点 評 価 は[5AB ] と なる が, 3 点評 価で も[AB
]がつ かない もの は翻 訳 と しては不適 切, とい うこ とである。 適 切な翻訳 と は, 目的に合 致 し ([1A]), 結 束性があ り ([IB ]), 何 ら かの忠 実性が ある ([1]), とい う 条件を満た し たもの だ とすると,最低 [3AB ]以 上の評価 を得た もの と言える 。忠 実性につ い ては, ST の どの 要素を再 現 し てい る か を 示 す もの であ り, 等価 理論の 成果は こ の 領域で発揮で きよ う。 表
1
で挙げた内容 ・形式 ・効 果の 3 項 目は,ス コ ポ ス 理 論 が ラ イスの テ クス ト タイ プ別 等価理論の 流れ を 汲 んでい る こ とか ら採 用し た もの で 4) Reiβ/Ve eer (1991}, S.95−119.こ こ での 結 束性 概 念 は,テ クス ト言 語 学で の用 法と 少 し異 な り,想 定受 容者 が その受 容状況の 中で理 解 可能である こ とを 意味す る。5
) 藤 濤 (200D で提 案 し た分析 方法 を修正 した もの であ る。文 学テク ス トの翻 訳にみ る 異 文 化コ ミュ ニ ケーシ ョ ン行 為
33
あ る が, その具体 的内実は,表現形式は シ ニ フ ィア ン と統 語 関係を, 意味 内容はシ ニ フ ィエ , 主に デ ノ テ ーシ ョ ンを想定 する 。 効 果につ い ては読者に 与える文体 的効果や 印象 を考え る。文学翻訳は, シュ ライア ーマ ハ ーが商業 活動の 「通訳 」 と区別 して 「本来の 翻訳 」の 領域 に入れ た分 野で ある。 つ ま り語と思 想 が ・体で あ り,表現形 式面の価値が 重視 さ れ うる とい うこ とに加 え,言語に支配されるば か りで は な く言 語 を形 成する とい う面を持 つ 。6] そうし た特徴がス コ ポス の決定や訳語選択に も反 映する もの と 思 わ れ る。
2
.3
. 翻訳 方法の 一覧ST
の どの 要素 を伝 え, 何を変更し た か,とい う視 点で ドイッ語か ら日本 語へ の翻 訳 方 法を列挙して み る。 まず言 語形式面で ST の綴 りを導入 す る方 法 を 「移植 」, 音声面 をカ タ カ ナ表記 で導入する もの を 「音 訳 」とする。 統語 関係 と意味 内容を共に再現す る もの に は, 語レ ベ ルで は 「借用 翻 訳」, 語句以上で は 「逐 語訳 」が あ る。 形式 的対応 関 係を保 持せ ずに意味内容を再現 する方 法を 「パ ラ フ レーズ」とする。 TT 文化内の 別の もの に 置き換 える 「同化」は形式も意味 も断 念し, 効果のみ を再 現する。 場 合によっ て は , ST の あ る語句を全く 「省 略」 し たり逆にST
に は含まれて い ない 要素 を 「加筆」 し た り, あるい は注を付 けて メ タ言 語的 に 「解 説」する こ と も あるが, それ ら は1
人熔 理 解に支障がある と判 断さ れた場合に結束性を獲得す る ため に 用い ら れ る手段であ ると言 え る。 次の ように リス トア ッ プで き るこれ らの 方法はβ 実際には様々 に組み合 わさ れ て用い ら れる こと も あ る。(1)移植 :
ST
の 綴 り を導入する (形式)(2)音訳 :ST の音声面 を導入する (形 式)
(
3
)借用翻訳 :語の 構成 要素の意 味 を訳す (形式+内容)(4)逐詒訳 :一語一語に即 して主に デ ノテーシ ョ ン を訳す (形 式+内容 )
(5)パ ラ フ レーズ :易 しい 表現に書 き換える (内容)
(
6
)同化 :TT
文 化内の別の もの に置 き換える (効果)(
7
)省略 :ST
の 要素 を全 く削除 する (結 束性)(
8
)加筆 :ST に含ま れてい ない要素を加える (結束 性)(9)解 説 :注な どに よ りメ タ言語 的に説明する (結束性 )
3
. 翻 訳分析方法の応用で は 上 で提 案 した分析 方法を具体 的な文 学翻 訳 に当て は め て,異 文 化の差異を超える
6
)Schleiermacher
(1963
),S
.43
.7
) Tccza (1997 )の 9 方法 (移 植 ・同化 ・模造 ・創 造 ・転位 ・中和 ・省 略 ・指示 ・解 説),Vinay and Darbelnet 〔2000 )の 7 方法 (借 用 語 ・借用 翻訳 ・逐語 訳 ・転 位 ・転
調 ・等価 ・同化)等か らヒン トを得た ものである。 言語の組合せ や分析す る ジャ ン ル等
に よ り様々な分 類がで き る が, 日独の文学翻訳を扱 う本稿で は暫定 的に
この
9
方法 を挙34
藤 濤 文 子 翻訳行 為 をどの よ うに記述 し評価 する か を例 示 したい 。 本分析で は, 一つ の ST に対 し て複 数のTT
を 比較する とい う方法 を取 る。 複 数の TT が ある と, ある訳語選択 を絶対 化 して しま う危険性 を避け るこ とがで きる し, 何よ り差異を抽出 しや すい とい う利 点が ある。具体 的な分 析方法と して は ,まず 複 数の TT を比較 して両者の ス コ ポス を特 定 する。 採用さ れ た翻訳 方法が その ス コ ポスに照 ら して適切か どうか を判断 し,さ らに結 束性と 忠 実性 を評 価 し, そ れ ぞ れ出て きた数値か ら総 合評価 する。 この分析 方法は どの ような 文学翻訓に も当て は まる もの で あ り,訳 例の 選択につ い て は特 別な 配慮は 必要ない と 思 われ るが,比較的 よく読 ま れて い て複数の翻訳 が あ る もの と して, ヘ ルマ ン ・ヘ ッ セ 『車輪の下 』 Unterm Rad と2 つ の 日本 語訳 (実 吉訳と高橋訳 )を 選ん だ♂)ス コ ポス 琿論 で は, ある
ST
に対 して唯i 一正 しい TT など存在し ない と 考える。 受容状 況に 照 ら して ふ さ わ しい か どうか が 問題で ある。 したが っ て TT の比較検討に際 しては両訳 文の差異 を, 想定し た受容状 況 (つ ま りス コ ポス )の違い と見る の であ り, 優劣 をつ け るこ と は 関心外で ある。3
.1
. ス コポス の特定まず 作 品冒 頭部分 の実 吉訳 と高橋訳を挙げる。 便 宜 ヒ,
A
訳,B
訳 と して お く。 (DA
訳 :仲 買人兼代理業者の ヨオ ゼフ ・ギ イベ ラ ア ト氏は,何かの美 点な り特 色 な り で, 同 じ町民た ち を しの い で い る わけで は,決 してな かっ た。 かれ らと百 よ ’ に か っ ぷのい い
.
’ な
熏 有 オ
爪 か らの 、,.・’N−
・とむ
びつ い た
か な
の さ ら に ハ .のつ い たノ・ 三’:と 曲 には ・L の 菓 と い ら かム み ぼ らし なっ た ム 主 齟 と およびe ’に 文・ るL の 酋 ‘’と れて て 自!な
Llifi
とい ’1に
lt
・る
亡
白・i 茉 i とを
っ てい たの で
る
(
5
)B 訳 :仲 買い 人 , 兼代理店主,ヨ ーゼ フ ・ギーベ ン ラー ト氏は,
1
司じ町の 人に くらべ て, 目 だつ ようなす ぐれ た点 も変わ っ た とこ ろ も,べつ に持っ てい な かっ た。 猛 と 百 じ よ ’に tiの る 一A ’か か sだつ で h みだっ た ” ;.±を と’と ぶ こ と は 厚い が まが っ た こ と は し ない れ ・らハ い な が ら の る[+「’ を 、っ て い る+ 」にはde ’ 々 の
t
る
もっ と
お 、に支1
る 量’ ・ は
い
ら かf−Nl が 「 てい る 、 ’ 上 にたい して は滴 か 一’ をll’ わ ない れに ひ かえ の 日 ・ の のS;{ 1に はT ±=ハ る (137)
両 翻 訳 共に文学 作品と して読 ま れる こ と を 目指 し た翻 訳であっ て , ス コ ポス に根 本 的 な 相 違 は ない ものの , そ れ ぞ れの訳文の特徴か ら想定読 者に多少の 違い が あると思 われ る。
ま ず下 線 部の 長い 文 が,A 訳 で は ST と同様に一文で 訳 され てお り , 「もっ て い た
8
) 作 品か らの引 用は Hesse (2002), 実吉訳 (1958
),高橋訳 (1989)に拠る。 以 下,引用 は本文中に頁 数の み を示 す。文学テ クス トの 翻訳に みる異 文 化コ ミュ ニケーショ ン行 為
35
besaB」とい う動詞の7
つ の 目的語が並列で列挙 さ れて い る ば か り か,修飾 語 との関係 に至るまで統語的に見て ST との 緊密 な関連を保 持 してい る。ST
は 単純 な文構 造で¥ 明である が, この訳 文で は凝縮さ れ た難 解な印象を与える。 一方 B 訳で は7
文に 分 け ら れて お り, 統語構造の類似 性は ない 。 短文を つ な ぐ 「そ れ か ら」 「もっ とも」 「それに ひ きか え」 とい っ た接続 語 が追加され て,日本 語 と して の 読み やすさ を獲 得して い る。 ま たA
訳で は 「教 会主義」の ような 日本語と して分か りに くい訳語も用い てい る が ,B
訳で は 「お寺に 対する信仰」 として 日本 文化に 同 化 させ た訳語 選択 をして い る。読者 を作 品 世界に誘 う導入部分で こ の よ うな提 示の仕方を す るこ とに よっ て ,
A
訳の 読者は異 質な 世界へ 足を踏み入れ る覚悟を要 求さ れる し, B 訳で は慣れ親しん だ 理解の 枠 組みの 中にい なが ら読み進めようとする。 こ うし た特徴 を持つ それぞれの訳 文が,ど の よ うな受容 状況で機能しうるか とい う視点で ス コ ポス を細分 化する と,A
訳は異質な 表 現へ の興味 と許容 度を持つ 読者向けに訳 され, ST との形式的 対応関係を重要 視し た 翻訳で あ り, 一方B
訳で は青少 年まで視 野に 入れ た読者 向 けに 日本 語と して 自然に読 め る 翻 訳 を目指して い る と判断で きよう。3
.2
. 訳文 分析例で は, 先ほ ど引用 した冒頭箇所 をは じめ い くつ かの例 を挙げて, 訳文分析を例示 した い o
(2)
ST
:[_ユ, eine etwas aufgeklarte undfadenscheinig
gewordeneKirchlichkeit
,[...1
(9) A 訳 :[_ユい くら か合理化 され て, み すぼ ら し く なっ た教 会主義[_](5) B 訳 :もっ と もお寺に対する信心 は, い く ら か分別 くさ く,地金 が 出てい る。 (
137
)A 訳の この箇所は, ま さに逐語的 に訳 し た典 型 的な例で ある。 一語一語に訳語 を対応 させ たのみ な らず, 各語の 品詞か ら単語 間の 統語 関係や語 順に至 るまで
ST
と類 似 関係 にあ り (忠 実性 :内容+ ,形式+), A 訳の 目的に合致 す る ( ス コ ポス +)。 「教 会主 義」 とい う訳語が 聞きなれ ない 語で ある上,そ れ を修飾する 「合理化」 も日常語 と は異なる 意味で用い られて い る ため抽 象的で難解で あ る が,A
訳の想 定読 者は辛 うじてST
と同 様の理解に至るで あろ う (結 束性+)。 し か し平 易 なST
と は 異 な る印象を与える (効 果一)。一方 B 訳で は まず ,教 会 を 「お寺」に変え,「お寺に対する信心」 とい う身近な概念 に置き換え る 同化 的手 法を 用 い て い る (忠実 性 :内容一, 形 式 一,効 果+) 。 9} さ ら に, 二つ の付 加語を 述 部 に 回 して, 名詞句を短文に書き換え るこ と (パ ラ フ レーズ)に よっ
9
) B 訳は, 「お寺」とい う語にか えっ て 違和 感を覚え る よ うな読 者は 想定 してい な い 。 その よ うな読者も視野 に 入れ る とすれ ば, 「教会に対す る信心 」 と訳す こ と も 可 能 であろ う。36
藤 濤 文 子 て平 明さ を 出 してい る と 共に (忠実性 :内 容+ ,形式一,効果→ , 「もっ と も」とい う 接 続語を加 え るこ とに よっ て (加筆 ),7
項目の列 挙方 法に 白然なつ な が り とメ リハ リ を 出 してそうと試み てい る。B
訳で採 用 されてい る 同化 ・パ ラフ レーズ ・加筆とい っ た 翻訳 方 法は, ST に 密着 し た翻訳 方 法で は ない が , そ れに よっ てST
と同様の 身近 な 効 果を狙い, 分か りや すさ や自然さ を 出 そ うとして選 択 さ れ た翻訳 方法であ り, そ れ はB
訳の 日的に即 し てい る (ス コ ポス +)。 これ を評価 表にま とめ れ ば 下表の ようにな るで あろ う。 例 文 (2) 翻訳 方法 ス コ ポス 結束性 忠実性 内容 形式 効果 全体の 評価 A 訳 逐語訳 十 A 十 B 十 十 一4AB
同化 } 』 十 3AB B 訳 “パ ラ フ レース 十 A 十B
十 一 一3AB
加筆 一 … 一2AB
(3)ST
・W
・r・m ・h
・iBt・si・nj・ht
・P
・pi
・・k
・ ・b
・ ・d・・ >Sklavenkafig
・ ・d
・・ 〉△Pmt
h
〈? (77
)A 訳:なぜ 「紙 くず か ご」 とか 「奴れ い の 檻」 と か, 「シ ル クハ ッ ト」 と かい う名 を つ けない ん だろ う。 (
92
)B
訳:なぜ , 紙 くず か ごと か,どれ い の お り と か,こi お ど しの シル クハ ッ ト とでも,い わ ない の だ ? (II8)
こ の例は, 神学 校の部屋 に ギ リ シ ャ風 の名称がつ けら れ て い る こ とに対 して皮 肉を 込 めて 発言 する場 面である が, 問 題 と なるのは 下線部で ある。 デ ノテーショ ンの み を訳 し てい る A 訳で は, なぜ シル クハ ッ トが負の イメージ を持つ 名称 と共に挙 げら れ てい る の か全 く理解で き ない (結束性一) 。 一語を一語 で訳 す逐語訳 とい う方法は
A
訳の 目的 に即 してい る もの の (ス コ ポス +),こ の よう な場 合 読者は よ く分 か ら ない ま ま読み飛 ば して先に進む しか ない。 Angstr6hre とい う語は,暴 動学生 達 がシル クハ ッ トをか ぶ っ てい た とこ ろ か ら 1848 年に ウ ィーンで造 語さ れ た もの で あ る が,1°}”Angst −”を含む STで はこ の 文脈で理解に支障が ない ばか りか,Papierkorb ・
Sklavenkafig
・Angstrdhreのい ずれもが 「かご」「檻」 「筒」 とい う空間を表 す語 を含むマ イナ ス イメ ージの 合成語で あ り, 大変 調子よ く列挙され てい る。 B 訳は, デノテ ーシ ョ ン の み の再 現 で は不都 合だ と判 断 し, 「こ けお ど しの 」 とい う否 定的 な 意 味の 修 飾語 を加 えて説明 的に訳 出 し た (パ ラ フ レーズ)。 これ で皮 肉な 名称の候補 と して 挙 げ られ る こ とが 了解で き結束 性は獲 得 さ れた が, 部屋 の 名前と しては長 す ぎて不適切であ り,効果 まで伝 わっ た とは評 価で
10)
Deutsches Universalw6rterbuch. Mannheim
(Bibliographisches Institut)1983
文 学テ クス トの翻 訳にみ る 異文 化コ ミュ ニ ケーショ ン行 為 37 き ない だろ う。 m 忠 実性 全体の 評価 例文 (3) 翻 訳方法 ス コ ポス 結束性 内容 形式 効 果 A 訳 逐語訳 十 A 一 十 一 一
2A
B 訳 パ ラフ レーズ 十 A 十B
十 一齟‘ 3AB(
4
)ST
:Ich m6chtc ein wenig mltI
en reden . Aber darf ich血 sagen ? (10DA 訳 :すこ しあム たと話 したい こ と が あっ てね。 しか し趣 と言っ てい い か し ら。 (124 ) B 訳 :少し話 し たい こ とがある の だが。 お ま え といっ て もい い かい ? (130)
これ は 「父親めい た友人」らし く振 舞 うこ と を得意とする校 長が , 成績が下がっ て き た 生 徒ハ ン ス に対 し , 好 ましくない 交友関係を絶た せ ようと して話を 切 り 出す場面で あ る。 A 訳は,
ST
の 。lhnen
“ と ”du
“ に異なる 二人称を対 応させ ようとし て 「あん た」と 「きみ」を用い てい るが,ど ち ら も父親 ら しい 言葉使い で はない 上,「きみ」は先生が生 徒に対 して少 し距離 を置いて呼び かける普通の表現で あ る ため, わざわざそ う断る とい う行 為その ものが ド イッ語知 識の ない 読 者には理 解で きない で あ ろ う (結束 性 一〉。 た だ,この作品 で は 二人称の用法の違い が何箇 所か 出 て く る ため, 読者は作 品全 体を通 し て何か 「違い 」を予 感する か も しれ ない。 一方 B 訳で は , 「お ま え」を 用い てお り, 親 疎を分け る ド イツ語 とは異なり上 下 を意識 させ る 関係になっ てはい る もの の (同 化), 親身に考えて くれ る 「父 親ら し さ」を感 じさせ (効 果+),ま た わざわざ断る とい う行 為 も納得で きるた め, テ クス ト内で結束性が あ る と 判 断で きよう。 こ の例は,語学 教育 の場で はお そ らく小 さな差で し かない が , 翻訳で は大 き な 差 と な る 例であろ う。 lz〕しか し同化訳 がい つ も功を奏 する と は限ら ない。 ハ ンス は父を 「お父さん
Vater
」と 呼ぶ が, 一箇所 ”Papa “(34
>と なっ て い る。 これ をB 訳で は 「お とっ つ あん」 (98)と 訳 してお り, もはや滑 稽 な印象を与え る。1
司化訳は訳 した時代を如実に表して しま う評11
) A 訳で結 束性を持た せ るに は, 借用翻訳 (例え ば 「恐怖の筒」)に注で解 説する とい う方 法が 可 能であろ う。 同化 的 手法の B 訳で 効 果 を伝える に は ,デ ノ テ ーシ ョ ン の シ ル クハ ッ トか ら離れてt 否定的名称に合 う別の語 (例えば 「恐怖の 洞 窟」)で代用 す るこ ともで きよ う。 これ はST
の意 味 内 容 か効果の うち,ど ち らの再 現を優先 するか に よ る。12
)A
訳の逐 語訳で結束性を持たせ る に は, 「すこ しあ虻 と話 したい の です。 で も 圏 _と言っ てい いか し ら」と して ,日 本 語の 日常 的な 「きみ」 と は 異なる用法であ る こ と を 示すこ と が可 能であ ろ う。 また B 訳の翻 訳方法を同化と し たの は , まさに A 訳 との 比較に お ける相対 的判 断であ る。13) A 訳で は 「パ パ」 (38 )とし てい る。
38
藤 濤 文 子 例 文 (4
) 翻 訳 方法 ス コ ポス 結 束性 忠 実性 内容 形式 効 果 全体の 評価 A 訳 逐語訳 十A
一 十 十 一3A
B
訳 同化 十 A 十B
十 一 十4AB
(5)ST :GewiB , mein Lieber,
gewiB
, Aberifferendum
est inter et inter,(102
)A 訳 1そ うとも, きみ,そうだ とも。 しか し,
dlfferendum
est lnter et lnter どこ まで Il てい ・な
1
ればな ら ない だ か 。 (125 > B 訳 た しかに, その とお りだ。 だが, 百 一 の ttか ら } だ 。 (130
)こ の箇所は (4)と同 じ場面で ある。 成績の 下が っ た理由 を話 題 に し た校 長に, ハ ン スがヘ ブライ語の課題 はい つ もやっ てい る と言い よど む。 そ れに対 し て言 う校長のせ り
ふ である。 ST 下線 部の ラテ ン語につ い て は, 注釈本に よ る と。(lat.)Der Unterschied
liegt
genau
dazwischen
,“と ある (102 )。 つ ま り課題は同じよ うに や っ て はい て も勉学の 姿勢に 違い が ある, 問題は 質だ, とい う意味での 発言で あろ う。 A 訳で は, ラ テ ン語をその ま ま提示し (移植 :形 式+〉,括 弧 内に その 意味 を添 えてい る (逐 語訳 :内容+)。 これは 異文化に対する学習意欲の あ る読者に とっ て歓迎で きる翻 訳方 法であり,ス コ ポスル ー ルに 合 致 して い る。 読 者は, ラ テン語の素養が独日 で異な る とい うメ タ情 報 を得ると共 に,ラ テ ン語に よ る知的 な 会話とい う印象を受 ける (効果 +)。 し か し その 後に 「だ か らね」 を加筆して,この発言がハ ン ス に対する反論の 根 拠 だ と位置づ けてい る が, 読者 は せっ か く添え ら れ たラテン語の意味 をこの文脈の 中で どう解釈 すべ きか分 か ら ず 当惑 する (結束 性一)。 一 方 ,日本語と して 自然に読め るこ とを目 指 し たB 訳で は, ラテ ン 語で あ るこ とには触れず ,意味 内容 を漢文 調の 文体で訳出 して い る (同化)。 ド イツ に お ける ラ テン語は 日本で は漢文に相 当する, との判 断か ら 「古典語 ら しさ」とい う効果 を出してい る。 14〕 例 文 (5) 翻 訳方法 ス コ ポス 結 束性 忠実性 内容 形式 効 果 全体の 評価 A 訳 移植+逐語 訳 +加筆 十 A 一 十 十 十 4A B 訳 同 化 十A
十 B 十 一 十 4AB14 ) A 訳に結束性 を 持 た せ る に は,括 弧内の訳 を (まさ に そこに 違い が ある)とす るだけで も十 分で あろ う。
文学テ クス トの翻 訳に み る異 文 化コ ミュ ニ ケーシ ョ ン行 為
39
上の4
例 で出てこなかっ た翻訳 方法に は, 音訳 ・借用 翻訳 ・省略 ・解説がある。 そ れ につ い て, 簡単に例を挙 げる。 まず 。Kronengasse
“ (17
)とい う通 りの 名前は,A
訳 で はST
の音を な ぞ る とい う方 法 (音訳)を取 り 入 れ 「クロ オネン小 路」(15 )と して外 国の 雰囲気を表してい る が, B 訳で は各構 成要 素の意味をそれ ぞ れ訳 すとい う方 法 (借 用 翻訳 )を採 用 して 「花 輪小 路」(89
) と して い る。 どち らの 翻訳 もそれぞれの 翻訳の 目的に合い , また結束性もある。また, A 訳で 「ゴ ル トフ ァ レ ル とか ブレ ッ ケ とか い う ,ご く小 さなの が」 (13 ) (dje
winzigen
Goldforellen
・und Blecken ) (15)と訳してい る箇所を, B 訳で は な じみの ない 魚の名前を削 除して 「小さい 魚 」(
88
)と して い る。 ど ち らの翻 訳 もス コ ポス ・結 束性 共 に[+]で あろ う。 この 手法は 「省 略」 とい う方 法に 入 れ た が ,「詳細化 ・一般 化」や 「縮 小 ・拡 大」 とい う分類で捉え るこ と も可能で あ ろう。さ ら に, 。
Gymnasium
“ (26)を A 訳で は 「ギム ナ ジウム (訳 者註。 七年制文 科高等学 校)」(26 )と し (音訳+解 説), 自文化と は異な る 教育 制度である こ と を はっ き りと示 して い る。・方B 訳で は , か つ ての 旧制 高校の 前 身で ある 「高 等中学」 とい う,機 能 的に
Gymnasium
に相 当する概 念を対応させ てい る (同化)。 A 訳の よ うに, あま り知ら れてい ない概 念を導入 し て 注 を付け るの は, 異 文化 を提 示 する手 段とし て よく用い ら れ る方法で あ り, 注を付 けた箇所 その ものが異文 化の差, ない しは背景知識の 差である。 理解に負担が か か り興 味を半 減させ ない 程 度で あれ ば, こ の方法は有 効であろ う。3
.3
. 訳 文分析の ま と め 以 上,翻 訳 分析 方 法 を日独の 文 学翻訳に含 まれる各事 例に当ては めて分 析例を示 し た。A
訳 の ような形 式 的側面を重視 し た翻訳で問題 と な るの は結束性で あ り, B 訳の よ うな 自然な 理解を 目指 し た翻訳で は, 忠実性 とのバ ラ ン ス であろ う。 そ れ ぞ れの項目 につ い て は, 全 く問題の ない ケ ースか ら辛う じてプラス の 判定をした もの まで 実際には様々な 段 階が ある の に,その差を[+]か[一】の二段階で表すとい うのは確かに乱暴で は あ る が, 複雑な 分 析方法に な ら ない ほ うが よい と判 断 した。 また, そ れ ぞ れの判 断には相対 的な い しは 主観 的な要素が 入 り込 む余地 が あ るの も否め ない 。 しか し, 異文 化コ ミュ ニ ケー シ ョ ンと しての翻訳 行 為を分 析 的に捉える方法と して は, その有用性が確か め られ た と 言える の で は ないか。 と りわ け 同 じST
か らで も,状 況の違い によ り異な る翻訳行為に な ること が示せ た。4
. 結 語翻訳行 為は, 異 な る 言 語 文化の テ クズトを解釈 し て別の言語 文化の 文 脈 で 再 構築する とい う一連の プロ セ ス であ り , ま さ に 文 化 と文化が 出会 う接触の現 場であ る。 翻 訳 行為 の結 果が翻訳テ ク ス トとし て具 体化さ れ るわ けで あ り, その 中に は文 化の仲 介者であ る 翻訳 者が異言語文化と格闘 した痕跡が残さ れてい る。 した が っ て訳 文 分析は,異 文 化 コ ミュ ニ ケーシ ョ ン の 現場で何が起こっ てい るか を具体 的に見てい き, 異文 化理解の現状 を 明 らか にするための 有効な手段 だ と言えるだろ う。 つ ま り言 語文化の差 異に直面 し た
40
藤 濤 文 子 と き, 具体的に ど うコ ミュ ニ ケーシ ョ ン を図れ ば よい かの 見本が,優れ た 翻 訳テ クス ト には多 く含ま れてい る。 こ の視 点で比 較分析 する こ とに よ り, 異文 化コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン の具体 的事 例の収 集が 可能である と思わ れ る。 文 献 藤濤 文子 : こ と ば 遊 び翻訳の機 能主義 的考察 [神戸.大学 ドイツ文学 論集刊 行 会 『ド イッ 文学 論集』 第30
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〜84
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1
車 輪の 下1
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S
.84
−93 .サの
Interkulture
且且eKommunikation
in
der
Ubersetzung
− Methode zur Bewertungsanalyse
Fumiko
FuJlNAMI
Nach
der
Skopostheorie
(ReiB
!Vemeer
I991
)handelt
es sichbei
einerUbcrsetzung
um ein
Informatlonsangebot
einerZielkultur
und −sprache, welches ein
Infbrmationsangebot
einerAusgangskuhur
und −sprache zumInhalt
hat
.Der
in
Fachkreisen
verwendeteBegriff
。Skopos
“bedeutet
”
Zweck
“ .Das
,Wozu
’bestimmt
,ob , was und wie
gehandelt
wird .Tra
皿slatorischesHandeln
ist
zuerst vomZweck
(
Skopos
)abh 註ngig .Als
obersteRegehn
der
Translationstheorie
gilt
die
,,
Skoposregel
“:Eine
Handlung
wird vonihrem
Zweck
bestimmt
,Die
zweitwichtigsteRegel
ist
die
”Kohtirenzregel
‘‘:Die
Ubersetzung
muss mitder
Zielrezipientensituationsc7f7x
FoewK:c
ig6RITlt= ;-z=tr- taMih
41
strebt nach
koharentem
Transfer
einesAusgangstextes.
Um
eineinterkulturelle
Kommunikation
erfolgreich zu machen, wendet manbeim
Ubersetzen
.verschiedeneMethoden
an.Wie
kann
man aberdiese
Obersetzungsverfahren
ausder
Sicht
der
Skopostheorie
analysieren?Ich
m6chte einekonkrete
analytischeMethede
mit einemMaBstab
vorschlagen, um zu zeigen undbewerten
zuk6nnen,
wie sprachliche undkulturelle
Unterschiede
beim
Ubersetzen
tiberwunden
werden,bzw.
inwieweit
einederartige
Uberwindung
m6glichist.
Aufgrund
der
obengenanntendrei
Regein
(Skopos,
Koharenz
undFidelittit)
schlageich
folgende
Tab.
1
vor, umklar
zu machen, welchekonkreten
Ubersetzungsmethoden
bei
interkultureller
Kommunikation
angewandt werden und wiediese
bewertet
werdenk6nnen.
UbersetzungsmethodeSkoposKoharenz
Fidelittit
InhaltFormWirkungGesamtwertung
± A ± B ± ± ±
Gesamtwertvon+
Tab.
1
Zuerst
mussder
Skopos
der
betreffenden
Ubersetzung
erkannt werden.Dann
wird analysiert, obdie
angewandteUbersetzungsmethode
dem
Skopos
entspricht, obder
Zieltext
koharent
ist
und obFidelittit
zumAusgangstext
im
Bereich
vonInhalt,
Form
und
Wirkung
gegeben
ist.
Das
Ergebnis
wirdjeweils
entweder mit[+]
oder mit[-]
beurteilt.
Aus
der
Gesamtzahl
von[+]
entstehtdie
Gesarntwertung.
Die
Skala
reichtvon
O
bis
5.
Da
zwischendem
Skopos,
der
Kohtirenz
undder
Fidelittit
einehierarchische
Ordnung
angebrachtist,
m6chteich
hinzufugen,
dass
einZieltext,
der
dem
Skopos
gut
entspricht,die
Wertung
[+A],
und einZieltext,
der
kohdrent
ist,
die
Wertung
von[+B]
bekommt.
Nach
diesem
MaBstab
betrtigt
die
h6chstm6gliche
Gesamtwertung
[5ABJ,
Ein
Zieltext
mit3
Punkten
ohne[AIB]
ist
nicht angemessen.Eine
adtiquateUbersetzung
solltedem
Skopos
entsprechen([+Al),
kohtirent
sein([+B])
undFidelitat
dem
Ausgangstext
gegen"ber
aufWeisenk6nnen
([+]),
also mindestens[3AB].
Was
die
Methoden
im
konkreten
Fall
einerUbersetzung
vomDeutschen
ins
Japanische
betrifft,
m6chteich
die
fblgende
Liste
geben:
(1)
Transplantation
(AS-Textteile
unvertindert Ubernehmen:Form)
(2)
Transkription
(den
Wortlaut
ilbernehmen:
Form)
(3)
LehnUbersetzung
(einzelne
Bestandteile
einesWortes
Ubersetzen:
Form
+
Inhalt)
(4)
Wort-fur-Wort-Ubersetzung
(Denotative
Bedeutung
w6rtlichUbersetzen:
Forrn
+Inhalt)
(5)
Paraphrase
(in
die
einfachereAusdrucksweise
andern:
Inhalt)
42
ra
ee
s
+
(7)
Elimination
(AS-Textteile
auslassen:Koharenz)
(8)
Addieren
(neue
Infbrmation
hinzufugen:
Kohtirenz)
(9)
Explanation
(metasprachliche
Erkllirung
hinzufUgen:
Koh5renz)
Um
diese
Methode
zurBewertungsanalyse
ankonkreten
Beispielen
der
literarischen
Ubersetzung
anzuwenden, wirdhier
einAusgangstext
(,,Unterm
Rad"
vonHermann
Hesse),
der
in
mehrerenjapanischenUbersetzungen
vorliegt,gewtihlt.
Der
Grund
fur
die
Auswahl
des
Textes
liegt
darin,
dass
esdamit
einerseitsleichter
verhindert werdenkann,
eine zufalliggetroffene
Entscheidung
beim
Ubersetzen
als absolut zubetrachten,
unddass
andererseitskulturelle
und sprachlicheUnterschiede
zumAusgangstext
leichter
zu entdecken sind.
Die
Analyse
verlaufi wiefblgt;
zuerst werden zweiZieltexte
verglichen, urnderen'
Skopos
zu erkennen.Dann
beurteilt
man anjeweiliger
Textstelle,
bb
die
Obersetzungsmethode
dem
jeweiligen
Skopos
entspricht, obdie
Textstelle
koharent
ist
und was vomAusgangstext
(Inhalt,
Form
bzw,
Wirkung)
im
Zieltext
beibehalten
wird.
Zum
Schluss
wirddurch
Zusammenrechnen
der
[+]
und[A!B]
eineGesamtwertung
vorgenommen.Ubersetzen
ist
einerder
eigentlichenOrte
des
Kontakts
zwischenfremden
Kulturen
und
Sprachen,
'Das
Ergebnis
des
translatorischenHandelns
ist
alsZieltext
konkretisiert,
Adtiquate
Ubersetzungen
bieten
m6glicheVorbilder
dafUr,
wie trotzkultureller
Unterschiede
kommuniziert
werdenkann.
Die
Methode
einerAnalyse,
wiesie