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メソスケール解析による時間依存荷重を受けるモルタルの損傷・破壊メカニズムと変形予測

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Academic year: 2021

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(1)土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. メソスケール解析による時間依存荷重を受ける モルタルの損傷・破壊メカニズムと変形予測 浩嗣1・佐藤. 松本 1正会員. 2正会員. 東京工業大学助教 北海道大学准教授. 3フェロー会員. 靖彦2・上田. 多門3. 理工学研究科土木工学専攻(〒152-8552 目黒区大岡山2-12-1-M1-17) E-mail: [email protected] 工学研究科環境創生工学専攻(〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目) E-mail: [email protected]. 北海道大学教授. 工学研究科環境創生工学専攻(〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目) E-mail: [email protected]. ミクロからメソスケールまでの材料の微細構造とそれらに対する現象論的仮定に基づき,モルタルの変 形を,弾性,粘弾性,粘塑性特性を有する非ひび割れ成分とひび割れ成分とに分離した.さらに,各変形 成分に対して実験的事実に基づいた力学モデルを導入し,剛体ばねモデルの時間依存型構成モデルを構築 した.また,荷重増分法による構造解析に対する新しい破壊判定法により,疲労,クリープ荷重下で材料 が破壊に至るまでのプロセスを追跡可能とした.本論文では,ひずみ速度を変数とした単調載荷解析,作 用応力比を変数とした疲労およびクリープ解析を行った.その結果,時間依存荷重を受けるモルタルの 種々の力学的挙動の再現,残存強度変化の評価に成功した.また,メソスケールにおける力学的挙動から, モルタルの時間依存破壊メカニズムを検証した.. Key Words : meso level, time-dependency, fatigue, creep, strain rate, RBSM, S-N curve. 1. はじめに. い換えれば,現在の疲労に対する設計基準は,性能照査 型設計に対応できていない. 疲労,クリープ等に代表される,時間依存荷重による 疲労寿命以外の材料特性に着目したコンクリートの疲 材料の力学的劣化は,社会基盤構造物を管理する上での 労に関する研究として,応力-ひずみ挙動に関する実験 1) 主たる課題のひとつである.Bennett & Raju は,コンク 的研究が過去に多く行われてきた2), 3), 4).これらの研究に リートの疲労破壊は,金属材料と同様,載荷初期の微細 より,コンクリートの変形と疲労載荷回数との関係,除 ひび割れが時間の経過に伴い拡大,進展し,材料強度が 荷・再載荷曲線の形状変化,内部剛性の変化等が明確と 低下することで起こることを実験的に立証した.このこ なった.加えて,小阪・谷川5)のコモンポイント曲線, とは,コンクリートの疲労破壊は内部損傷が蓄積した結 藤本ら6)の蓄積エネルギーの概念等が,疲労荷重下にお 果起こる現象であり,疲労が材料劣化の一種であること けるコンクリートの変形特性を再現するモデルとして提 を示唆している.従って,たとえ構造物が受けた載荷回 唱された.また,近年では,疲労に対する解析的研究も 数が疲労寿命に至らずとも,損傷の蓄積による構造性能 行われつつある.田邉ら7)はレオロジーモデルを用いて, の低下が顕著ならば,補修・補強等の対策が必要である. コンクリートの応力-ひずみ挙動に及ぼすひずみ速度, 一方,現在の疲労に対する設計基準は,S-N曲線と線 除荷・再載荷の影響を表現した.また,El-Kashif & Maekawa8)は,時間項を導入したコンクリートの構成モ 形累積損傷則に基いて定められている.これらの手法を 用いて,設計者は,構造物が破壊するまでの期間を照査 デルを構築している.さらに,前川ら9)はEl-kashifらのモ することができる(安全性の照査).しかし,疲労の影 デルを疲労問題に拡張した上で,疲労荷重を受けるコン 響による変形,ひび割れの状況が不明であるので,使用 クリート部材の有限要素解析を行っている. 性,耐久性の照査はできない.また,供用期間中の任意 コンクリートが長期的な力学作用を受ける場合,その の時点での疲労影響下の残存耐力も不明であるので,補 力学的挙動は,環境条件の影響を強く受ける.しかしな 修・補強後の構造性能の正確な照査も不可能である.言 がら,前掲した既往の研究のように,コンクリートを均. 380.

(2) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. 質材料と仮定し,試験体レベルの大きさの領域内で平均 化したモデルでは,微細構造の情報を直接的に反映させ ることができないため,実環境下における材料劣化を厳 密に再現することが困難である.これを解決する方法と して,メソスケール解析が挙げられる.すなわち,コン クリートを不均質材料としてモデル化し,材料の微視的 な情報を直接的に導入することで,材料の破壊メカニズ ムをより厳密に捉える解析手法である.将来的には,こ のような解析手法の確立により,実験が困難である要素 レベル,条件等のコンクリートの挙動を数値的に検証す ることで,有限要素解析等に用いるよりマクロな材料モ デルを構築,高度化することができると考えられる. 本研究では,コンクリートの主たる構成材料であるモ ルタルに対して,時間依存荷重下におけるメソスケール 解析を試みた.モルタルを不均質材料としてモデル化し, 単調載荷解析,クリープ解析,疲労解析を行い,実験結 果との比較を行うとともに,微細ひび割れの進展,応力 集中,解放,再分配などの破壊力学的視点から,破壊メ カニズムに対する検証を行った.. 境界面には,直方向,せん断方向にそれぞればねが連結 される.ひび割れは要素の境界面に沿って発生するため, 要素形状が破壊の進展方向に影響する.これを避けるた め,要素分割にボロノイ分割法を用い,要素形状にラン ダム性を与えた.なお,要素寸法を2~3 mmの大きさに 調整することで,解析結果に対する要素分割依存性をで きるかぎり排除した. 解析においては,仮想仕事の原理より剛性マトリクス を構築し,修正Newton-Raphson法を非線形収束計算に用 いた.各要素に生じる残差力の二乗和と内力の二乗和と の比が10-5になったときを収束判定としているが,100回 を収束計算の最大回数と設定しており,繰り返し数が 100回に達した時点で次のステップへ移行する.また, 収束計算終了後に各要素に生じている残差力を,次のス テップでの節点力に足し合わせている.. 3. 構成モデル. (1) 基本概念 材料の破壊モードは,観測者の視点の大きさによって 異なる.例えば,コンクリートの圧縮載荷試験で得られ 2. 解析手法 る破壊モードは,巨視的には圧縮破壊であるが,より微 視的な領域に着目すれば,ポアソン効果による荷重軸直 剛体ばねモデル(以下,RBSM)は,川井10)によって開発 角方向の引張破壊,斜め方向のせん断破壊が生じている. された離散解析手法である.個別要素法などの既存の解 長井ら13)は,「材料の巨視的な破壊現象は,微視的な引 析手法と比較した場合,RBSMは微小変形問題に適して いる.セメント系材料,コンクリート構造物に対しては, 張破壊,せん断破壊の集合である」という概念に基づき, Bolander & Saito11),上田ら12),長井ら13)がRBSMを適用し 引張破壊,せん断破壊のみを導入したメソスケールモデ 14) ルにより,コンクリートの巨視的な圧縮破壊を再現する た.また,近年では,山本らによる衝撃破壊解析 ,中 15) ことに成功している.本研究モデルも,長井らの概念を 村らによる物質移動解析と融合させた損傷解析 等, RBSMにより,コンクリート材料,コンクリート構造物 基本とした.すなわち,Fig. 2のように,メソスケール でのモルタルの破壊モードを引張破壊とせん断破壊に区 別し,各々に対する力学モデルをFig. 1に示した直方向. の諸問題に対する新たな可能性が示されつつある. RBSMでは,Fig. 1に示すように,解析対象を多角形要. 素に分割し,要素間をばねで連結する.各要素の重心は, ばね,せん断方向ばねにそれぞれ導入した. Fig. 3に,本研究で採用した力学モデルを示す.直方 鉛直,水平,回転に対する3つの自由度を持つ.要素の Normal spring. Tensile and shear fracture in meso scale. Shear spring. CSD. Rigid body. Def./2. Def./2. COD. Def./2. h2 Voronoi diagram. Rigid body. Compression failure in macro scale. h1. Fig. 1 Concept of RBSM.. Tensile fracture. Shear fracture. Fig. 2 Fracture of mortar in meso scale.. 381.

(3) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10 10-6m~ Cracking. Elastic strain. Elastic spring element. Aggregates. Visco-elastic strain. Slider element. 10-8~6m HCP. Visco-plastic strain. Dashpot element Tension softening element. Capillary pores. Cracking strain. Shear transferring element Normal direction. ~10-8m Gel pores. Shear direction. Fig. 3 Time-dependent mechanical model of mortar in meso scale.. 向,せん断方向ともに,全変形量は,非ひび割れ部の変 形とひび割れに伴う変形の和で表される.さらに,非ひ び割れ部の変形を,弾性成分,粘弾性成分,粘塑性成分 に分離した.各変形成分の現象論的記述を,以下に示す. 弾性成分:非ひび割れ部に生じる変形のうち,瞬間的な 回復性を持つ変形成分である.モルタルに含有される細 骨材の変形や,セメント硬化体実質部の弾性変形が相当 する. 粘弾性成分:非ひび割れ部に生じる変形のうち,時間依 存性を伴った(遅れ)回復性を持つ変形成分である.ペ ーストのクリープ変形の多くは,空隙中の水分移動に関 連していると考えられるが,この変形成分はそのうち, 毛細管空隙と毛細管水の移動に相当する.毛細管空隙は 比較的大きな空隙である(10-8~-6m)ので,この変形は相対 的に早いクリープ変形で,かつ,可逆的である. 粘塑性成分:非ひび割れ部に生じる変形のうち,時間依 存性を伴った非回復性の変形成分である.この変形成分 は,ゲル空隙とゲル水の移動に相当する.ゲル空隙は比 較的小さな空隙である(10-9~-8m)ので,この変形は相対的.  e  k e e  e  Ge e. (1). ここに,e:弾性成分ばねの応力(直方向),ke:弾 性成分ばね定数(直方向),e:弾性ひずみ(直方向), e:弾性成分ばねの応力(せん断方向),Ge:弾性成分 ばね定数(せん断方向),e:弾性ひずみ(せん断方 向)である. (3) 粘弾性成分 粘弾性成分は,弾性ばね要素とダッシュポット要素で 構成される.弾性ばね要素の応力-ひずみ関係は,フッ クの法則に従う..  ve  kve ve  ve  Gve ve. (2). ここに,ve:粘弾性成分ばねの応力(直方向),kve: 粘弾性成分ばね定数(直方向),ve:粘弾性ひずみ(直 方向),ve:粘弾性成分ばねの応力(せん断方向), Gve:粘弾性成分ばね定数(せん断方向),ve:粘弾性 に遅いクリープ変形である.また,ゲル粒子が持つ表面 エネルギーが非常に大きいため,不可逆性の変形となる. ひずみ(せん断方向)である. ダッシュポット要素の応力-ひずみ速度関係は,ニュ ひび割れ成分:ひび割れに伴う変形成分で,直方向はひ ートンの粘性法則に従う. び割れ開口変位,せん断方向はひび割れすべり変位に相 当する.力の伝達機構は,前者に関係するひび割れ間の d  ved   ven ve 細骨材による架橋効果,後者に関係するひび割れ間の細 dt (3) d ve 骨材による噛み合い効果である.従って,ひび割れ成分  ved   ves dt の力学的挙動は,より微視的には,細骨材とセメントペ ーストとの間の界面の挙動に支配されていると考えられ, ここに,ved:粘弾性成分ダッシュポットの応力(直 時間依存性を有する. 方向),ven:粘弾性成分粘性係数(直方向),dve/dt: 粘弾性ひずみ速度(直方向),ved:粘弾性成分ダッシ (2) 弾性成分 ュポットの応力(せん断方向),ves:粘弾性成分粘性 弾性成分は,弾性ばね要素単体で構成される.応力- 係数(せん断方向),dve/dt:粘弾性ひずみ速度(せん ひずみ関係は,フックの法則に従う. 断方向)である.. 382.

(4) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. (4) 粘塑性成分 粘塑性成分は,スライダー要素とダッシュポット要素 で構成される.Fig. 4に,直方向,せん断方向それぞれ. 断方向),A, B:非線形性を表す係数(A=10-10, B=10-3)であ る.. のスライダー要素の応力-ひずみ関係を示す.ただし, vpは圧縮側を正の値としている.熊野ら16)は,引張クリ ープ載荷後のコンクリートの細孔径分布を測定しており, 径の大きさが10-7~5×10-6 mmの範囲では細孔容積が増大 するが,10-7mm以下の細孔容積はほとんど変化しないこ. (5) ひび割れ成分 ひび割れ成分は,直方向は引張軟化要素とダッシュポ ット要素,せん断方向はせん断伝達要素とダッシュポッ ト要素との組み合わせで構成される.引張軟化挙動およ びひび割れ面のせん断伝達挙動は,ひび割れ開口変位 (COD)またはひび割れすべり変位(CSD)で記述する.ま. とを示した.そこで本研究では,メソスケールにおける 引張応力下においてゲル空隙およびゲル水の移動は生じ ないと考え,スライダー要素を剛体とした. ダッシュポット要素の応力-ひずみ速度関係は,以下 に示す冪乗関数で定めた. B    vpd  B 1   A   A B   A B  dt    B     d   vp  A   A B   vpd  Bvps 1    A B  dt   . ず,次式に従って,ひずみと変位の関係を定めた..   h1  h2  cra   h1  h2  cra. ここに,:ひび割れ開口変位(COD),h1, h2:Fig. 1で 示した,要素の重心から境界面への垂線の長さ,cra: ひび割れに起因するばねの平均ひずみ(直方向),: ひび割れすべり変位(CSD),cra:ひび割れに起因するば ねの平均ひずみ(せん断方向)である. 引張軟化要素の応力-変位関係を式(5),Fig. 5に示す..  vpn  d vp. (4). ここに,vpd:粘塑性成分ダッシュポットの応力(直 方向),vpn:粘塑性成分粘性係数(直方向),dvp/dt: 粘塑性ひずみ速度(直方向),vpd:粘塑性成分ダッシ ュポットの応力(せん断方向),vps:粘塑性成分粘性 係数(せん断方向),dvp/dt:粘塑性ひずみ速度(せん.  0. n. . . (経路[B]).  cra . (経路[C]).  cra  cra  0. (経路[D]). (6). (経路[E]). ここに,cra:引張軟化要素の応力,ft:引張軟化要素 の引張強度,u:応力伝達限界開口変位,un:引張軟 化要素の除荷時応力,r:残留開口変位指標応力,un: 引張軟化要素の除荷時開口変位,である. 3(1)で述べたように,本研究ではマクロスケールにお ける破壊をメソスケールにおける引張破壊,せん断破壊 で表すため,この要素は圧縮側では破壊しない.図中の. vp vp Normal direction. u.  un   r  r un   un  . s. fyn. (経路[A]).     cra  f t 1   . vps. vps. (5). Shear direction. Fig. 4 Stress-strain model for slider elements. Contraction due to crack opening Contraction due to max [MPa] 30 unloading-reloading. cra. cra. max. ft. [B]. (un,un). 20. [B] [A]. . [C]. [D]. [E]. u r. (re,re) Fig. 5 Model for tension softening element.. . 10. [A]. [E]. . -30. -20. -10. [C] [D]. cra. 0. -10 [MPa] -20. max. Fig. 6 Model for shear transferring element.. 383. Initial yielding surface. -30. Fig. 7 Yielding criteria for shear transferring element..

(5) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. ここに,crad:ひび割れ成分ダッシュポットの応力 (直方向),cran:ひび割れ成分粘性係数(直方向), dcra/dt:ひび割れひずみ速度(直方向),crad:ひび割れ 成分ダッシュポットの応力(せん断方向),cras:ひび 割れ成分粘性係数(せん断方向),dcra/dt:ひび割れひ. は,軟化域における除荷・再載荷過程で発生する応 力減少値である.本研究では,除荷・再載荷に伴う応力 減少は作用応力そのものによって表すことができると考 え,次式で与えた.   c yn un   un   re . (7). ずみ速度(せん断方向)である. ひび割れ面の応力伝達は,細骨材の架橋効果および噛 ここに,cyn:除荷・再載荷が応力解放に及ぼす影響を み合い効果によって起こる.すなわち,ひび割れ成分の 表す係数,:除荷時応力が応力解放に及ぼす影響を表 粘性は,本質的には骨材,セメントマトリックス,およ す係数,である. せん断伝達要素の応力-変位関係を式(8), Fig. 6に示す. びそれらの界面の変形の時間効果に起因している.従っ て,ひび割れ開口に伴い,骨材の架橋効果,噛み合い効 (経路[A])    max 果が消失したならば,ひび割れ成分の粘性も同時に消失 (経路[B])  cra   max すると考えられる.そこで,ひび割れ成分の粘性係数に (8)    min (経路[C]) 対して,以下の低減関数を導入した.  cra   max (経路[D])     cra  0 (経路[E]) cran  cran0 1    u  (13) ここに,max:過去に経験した最大のすべり変位(正    方向),max:せん断伝達要素の降伏強度,min:過去に cras  cras0 1    u  経験した最大のすべり変位(負方向),である. ここに,cran0:ひび割れ成分粘性係数の初期値(直方 本研究では,剛塑性型モデルを採用した.ただし,降 向),cras0:ひび割れ成分粘性係数の初期値(せん断方 伏強度maxは,Fig. 7に示すように,引張軟化要素の応力 向)である. の大きさに応じて変化させた.ここに,初期降伏曲面は 次式で与えた. (6) 各成分の関係 (9)  max i   0.11 f t 3   cra  f t 0.6  f t 力の釣り合い条件,変形の適合条件から,各成分のひ ずみ,応力には以下の関係が成り立つ. さらに,除荷・再載荷,ひび割れ開口がせん断伝達挙 動に及ぼす影響を考慮するため,降伏曲面の縮小係数    e   ve   vp   cra ffを次式で導入した.    e   ve   vp   cra (14)     e   ve   ved   vp   vpd   cra   crad f1  1  u    e   ve   ved   vp   vpd   cra   crad (10) f 2  1  c ys un   un   re  ここに,:全ひずみ,:全応力である. ただし,f1 , f 2  0. . . ここに,f:ひび割れ開口に伴う降伏曲面の縮小係数, f:除荷・再載荷に伴う降伏曲面の縮小係数,cys:定数, 4. 材料定数 un:除荷時のせん断伝達応力,:非線形性を表す係数, re:再載荷時のせん断伝達応力である. (1) マクロスケールにおける材料特性 以上から,降伏強度maxは次式で定められる. 小阪らは,モルタルの静的圧縮強度,静弾性係数,静 的純引張強度,水セメント比の関係に対し,以下の式を (11)  max  f1  f 2   max i 提唱している17),18),19). ダッシュポット要素の応力-ひずみ速度関係は,以下 (15) f cm  21 .3 C W  10 .6 に示す対数関数で定めた. (16) E m  1000 7 .7 ln  f cm   5 .5  d cra   1  crad   cran ln  (17) f tp  1.4 ln  f cm   1.5  dt  (12)  d  ここに,fcm:モルタルの静的一軸圧縮強度 [MPa],  crad   cras ln  cra  1  dt  C:セメントの単位体積重量 [kg/m3],W:単位水量 [kg/m3],Em:モルタルの静弾性係数 [MPa],ftp:モルタル. 384.

(6) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. の静的一軸引張強度 [MPa]である. また,綾野らは,比較的低応力の条件下(/fc<0.5)での, 単位応力当たりに生じるコンクリートの基本クリープひ ずみに対し,以下の線形式を提案している20).  1  exp  0.09t 0.6  bc   bc. . .   15C  W  W / C   bc. ln t 0.67 1010. . 2. 2.4. (18). (2) メソスケールにおける材料特性 RBSMは離散解析であるので,要素に与えるメソスケ ールにおける材料特性は,解析対象であるマクロスケー ルにおける材料特性とは異なる.本研究では,マクロス ケールにおける材料特性が設定した値となるように,メ ソスケールにおける材料特性を決定する.長井らは, RBSM弾性解析を行い,メソスケールとマクロスケール の材料特性の関係を以下の式で与えている13).. ここに,bc:コンクリートの単位応力[MPa]当たりの 基本クリープひずみ,t:載荷開始からの経過時間 [日], t’:コンクリートの養生期間 [日],'bc:単位応力当たり に生じる基本クリープひずみの限界値(載荷条件,経過 時間に依存しない=材料特性のひとつ)である. Nevilleは,骨材容積がコンクリートおよびモルタルの クリープひずみに及ぼす影響を表す,以下の係数を提案 している21)..  cr  crp  1  g 1.9.  elem  20 3  13.8 2  3.8. . (24). ここに,:マクロスケールにおける静ポアソン比, elem:メソスケールにおける静ポアソン比,Eelem:メソ. ここに,cr:コンクリートまたはモルタルのクリープ ひずみ,crp:セメントペーストのクリープひずみ,g: 骨材の体積比である.なお,式(19)は,セメントペース トの体積変化の影響だけでなく,骨材の拘束効果,界面 のクリープ変形等の影響も含んでいる. 綾野らの実験で使用したコンクリートの骨材体積比の 平均値は0.69であるので,コンクリート用の式(18)をモ ルタル用に変換する係数が,以下のように得られる.. スケールにおける静弾性係数である. 本研究では,クリープポアソン比および粘塑性成分の 硬化率にも,同様の式を用いて,メソスケール特性を与 えた..  crelem  20 cr 3  13.8 cr 2  3.8 cr. . .  elem   8crelem 3  1.2 crelem 2  0.2 crelem  1  cr. (25). ここに,cr:マクロスケールにおけるクリープポアソ ン比,crelem:メソスケールにおけるクリープポアソン比, φelem:メソスケールにおける粘塑性成分の硬化率である. 長井らは,モルタルの不均質性を考慮するため,次式 で示す確率密度関数(Fig. 9)を用いて,メソスケールにお ける材料特性値にばらつきを導入している13).. (20). ここに,'bcm:単位応力当たりに生じるモルタルの基 本クリープひずみの限界値,S:モルタルに含まれる細 骨材の単位体積重量 [kg/m3],:細骨材の密度 [kg/m3]で ある. よって,単位応力当たりに生じるモルタルの基本クリ ープひずみの限界値として,以下の式を得る.    bcm. . Eelem   8 elem3  1.2 elem 2  0.2 elem  1 Em. (19).   bcm 1  S  1.9  1  S  1.9    bc 0.108 1  0.69 1.9. ロレベルでの材料特性をモルタルの配合条件と養生条件 から決定する.なお,前述の材料特性の他に,静ポアソ ン比とクリープポアソン比があるが,本研究では双方と も0.18とした.. 1  S  1.9   . (21) bc 0.108 式(18)の’bcを’bcmで置き換え,以下に示すモルタルの. W. Mix proportion C. Curing period t’. S. クリープひずみ予測式を得る..  bcm. . .  1  exp  0 .09 t 0.6   bcm. . Limit of basic creep 'bcm. Compressive strength fcm. ここに,bcm:モルタルのクリープひずみである. 単位基本クリープひずみ当たりの応力である’bcmの逆 数は,粘塑性成分のマクロスケールでの硬化率vpに相 当する.すなわち,次式が成り立つ.   vp  1  bcm. Eq. (21). Eq. (15). (22). Eq. (16) Elastic modulus Em. (23). Eq. (17) Tensile strength ftp. Eq. (23) Hardening modulus. vp. Fig. 8 Flowchart for determining macroscopic material properties.. 本研究の解析モデルでは,Fig. 8に示すように,マク. 385.

(7) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. Macroscopic elastic modulus of visco-elastic component [GPa]. Existing probability. 0.8 ftp=4.5 [MPa]. 0.6 0.4. ftp=3.5 [MPa] ftp=2.5 [MPa]. 0.2 0. 1 2 3 4 5 6 Tensile strength in meso scale [MPa]. Eq. (28). 50. 0 10 20 30 40 50 Compressive strength in macro scale [MPa]. 縮強度と粘弾性成分のマクロスケールでの弾性係数との 関係(Fig. 10)として,次式を得た..  x   2  exp elem 2  2s 2s   1.   xelem _ average. 100. Fig. 10 Relationship between elastic modulus of visco-elastic component and compressive strength from Neville’s data.. Fig. 9 Probability density function.. f xelem  . 150. E ve  11 .39 f cm 0.639. (26). (28). s  0.2 f tp  1.5. ここに,Eve:粘弾性成分のマクロスケール弾性係数 である. ここに,xelem:ばらつきを含んだ材料特性値(xelem≧0), xelem_average:メソスケールにおける材料特性の平均値であ マクロスケールでの弾性係数Eveは粘塑性成分と同様 る. に,式(24)に基づいてメソスケールに変換できる. Fig. 9に示すように,材料特性の確率分布は引張強度 E veelem   8 crelem 3  1.2 crelem 2  0.2 crelem  1 E ve (29) によって異なる.この関係は,モルタル強度が高いほど, 材料が均質であることを表している.本研究でも,式 ここに,Eveelem:メソスケールにおける粘弾性成分の (26)を引張強度,弾性係数,粘性係数(後述),硬化率 弾性係数である. に対して適用し,ばらつきを導入した. 弾性ばね要素のばね定数は,弾性成分と同様に, RBSM基礎理論10)に基づき,以下のように与えられる. (3) メソスケール材料特性とモデル定数との関係 Eveelem k ve  RBSMの基礎理論ならびにモルタルの載荷試験データ 1  crelem2 (30) を用いることで,材料特性とモデル定数とを関係付ける Eveelem Gve  ことができる. 1   crelem a) 弾性成分 弾性成分は,載荷速度が無限大のときのモルタルの初 ダッシュポット要素の粘性係数は,パラメトリック解 期弾性係数を支配する.平面応力条件の下でのRBSM基 析による試行錯誤により決定した.すなわち,種々の係 数の組み合わせの中で,解析結果として得られるマクロ 礎理論10)から,ばね定数と弾性係数との関係は以下のよ スケールでのクリープ回復曲線が,Nevilleの実験結果に うに与えられる. 整合する以下の値を採用した. Eelem ke   ven  1.0  1011 [MPa  sec] 1  elem 2 (27) (31) 10 Eelem 4 . 3 10 [ MPa sec]     ves Ge  1  elem c) 粘塑性成分 b) 粘弾性成分 粘塑性成分は,モルタルに生じる非回復性のクリープ 変形である.平面応力条件の下でのRBSM基礎理論10)か 粘弾性成分は,モルタルに生じる回復性のクリープ変 形である.本研究では,Nevilleの行ったモルタルのクリ ら,スライダー要素の硬化率φn, φsは,マクロスケールで 22) ープ回復測定結果 に基づき,モデル定数を決定した. の硬化率vpを用いて,以下の式で与えられる. ここで,クリープ回復ひずみの収束値を作用クリープ応 力で除した値は,粘弾性成分のマクロスケールでの弾性 係数に相当する.Nevilleの実験結果から,モルタルの圧. . 386. .

(8) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. n  s . c yn  2.0  10 6.  vp 1  crelem 2  vp. c ys  3.0  10 10. (32). (35).   9.0   7 .0. 1   crelem. ダッシュポット要素の粘性係数は,粘弾性成分と同様 に,パラメトリック解析による試行錯誤により決定した. すなわち,種々の係数の組み合わせの中で,解析結果と して得られるマクロスケールでのクリープひずみが,式 (22)のクリープひずみ曲線と合致し,かつ,マクロスケ ールでのクリープポアソン比が一定(=0.18)となる以下の 値を採用した.. ひび割れ成分の初期粘性係数は,一軸単調荷重下にお ける載荷速度がマクロスケールにおけるモルタルの強度 に及ぼす影響を支配する.本研究では,高ひずみ速度域 におけるマクロスケールでの圧縮強度の増加率が, Jingyao & Chung26),Li & Huang27),Shraddhakarら28)の実験結 果と合致する以下の値を定めた.. 10.  cras 0  3.0  10 1 [ MPa  sec].  vpn  4.0  10 [MPa  sec]  vps  1.8  1010 [MPa  sec]. (33). なお,式(27), (30), (32)に示すように,ポアソン比は直 方向とせん断方向のばねの剛性比に大きな影響を及ぼす. ポアソン比が大きいほど,せん断方向のばね定数および 硬化率が低下するため,面内すべり(モードII)型のひ び割れ進展が卓越するようになる. d) ひび割れ成分 ひび割れ成分は,ひび割れ開口,ひび割れ面すべりに よる変形である.引張軟化要素の引張強度ft,応力伝達 限界開口変位uは,マクロスケールにおけるモルタルの 静的圧縮強度,終局ひずみを支配する.本研究では,解 析結果として得られるマクロスケールでの静的圧縮強度 が式(15)で得られる目標圧縮強度と一致し,かつ,ピー ク応力時のひずみが谷川らの実験結果23)と整合する以下 の値を採用した. f t  f tp. u  0.03 [mm]. (34). 残留開口変位指標応力rは,モルタルが除荷を受ける 時の残留開口変位を支配する.本研究では簡易的に,r =0.2 ft とした.より合理的な値の定め方は,今後の検討 課題となっている. 係数cyn, cys, , は,除荷・再載荷に伴う応力解放量を支 配する.筆者らは,材料の疲労破壊が,時間の経過に伴 うメソスケールでの応力解放,再分配が新たなひび割れ を発生,伝播させ,マクロスケールでの耐荷力が消失す ることで起こることを解析的に示した24).そこで本研究 では,係数cyn, cys, , に対して,解析結果として得られる マクロスケールでの疲労寿命がMorris & Garrettの実験結 果25)と整合する以下の値を採用した..  cran 0  3.0  10 1 [ MPa  sec]. (36). 5. モルタルのメソスケール時間依存解析 (1) 解析概要 Fig. 11 に,解析に用いたモルタルモデルを示す.対象 としたモルタルの大きさは 75×150 [mm],要素数は 1800(40×80)である.平面応力状態とし,奥行を 75 mm とした.ただし,本研究では解析ケースごとにボロノイ 分割によるランダム形状要素の生成を行っているため, 要素分割図は逐次異なる. 荷重は,変位増分法または荷重増分法により作用させ た.荷重増分法による解析では,Fig. 12 に示すように, 厚さゼロの載荷板要素二層を供試体上面に用いている. 一層目は供試体の幅と同じ長さの要素で,二層目は上端 のボロノイ要素の境界面と同じ長さの要素で構成されて いる.入力した荷重は,一層目の載荷板要素の重心に作 用し,ばね定数 k=1010 [MPa](≫ke)の弾性ばねにより二 層目に力が伝達される.一層目の載荷板要素の境界条件 Input load or displacement. 150 mm. 75 mm Fig. 11 Mortar model (meshing pattern is different for each case).. 387.

(9) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. は,鉛直方向は荷重制御,水平方向は自由,回転方向は 固定,とした.載荷板の回転を許容しないため,二層目 の各要素の変位は均一となる.すなわち,球座を用いな い荷重制御の載荷試験を想定している.また,その他の 境界条件として,供試体下面を鉛直方向のみ固定した. Table 1に,モルタル作製条件として入力した配合と養 生期間を示す.配合はA, Bの二種類であり,それぞれ Nevilleの実験22),Morris & Garrettの実験25)での配合条件に 対応している.また,表中には式(15), (16), (17), (18), (21)で 計算されるモルタルのマクロスケール材料特性も付記し ている. Table 2に,本研究で行った解析ケースを示す.解析は 3つのSeriesで構成されており,Series Iは単調載荷解析, Series IIはクリープ解析,Series IIIは疲労解析である.本 Input load. 研究では,解析結果のばらつき特性を検証するため,す べての解析ケースに対して,要素分割と材料特性分布が 異なる3体の解析供試体,すなわち,要素の形状ととも に,ばらつきの程度は同じであるが各バネの材料特性分 布が異なる3つの解析を実施した. (2) 載荷速度の異なる条件での単調載荷解析(Series I) Series Iは,ひずみ速度を変数とした単調載荷解析であ る.Table 2に示すように,配合Aを入力値とした解析は, 圧縮側はひずみ速度4.0×10-4~4.0×104 [/sec]の9ケース, 引張側は4.0×100 [/sec]の1ケースを行い,配合Bを入力 値とした解析は,圧縮側は4.0×101 [/sec]の1ケース,引 張側は4.0×100 [/sec]の1ケースを行った.なお,Series I. はすべて変位増分法による解析である. 本研究では,供試体の上端変位を高さで除したものを 平均ひずみ,上端の作用荷重を断面積で除したものを平 均応力と定義する.また,圧縮側は40 [/sec],引張側は 4 [/sec]のひずみ速度による単調載荷を静的載荷と定義 し,それよりも大きいひずみ速度を高ひずみ速度域,小 さいひずみ速度を低ひずみ速度域と呼ぶ.. Loading plate (First layer) Loading plate (Second layer). Mortar elements. Fig. 12 Loading plate elements at the top surface of the specimen. Table 1 Input mix proportion and curing period and corresponding macroscopic properties.. No.. Mix proportion. Curing period. Macroscopic material properties. W [kg/m ]. C [kg/m ]. S [kg/m ]. t' [days]. fcm [MPa]. Em [MPa]. ftp [MPa]. 'bcm []. vp [MPa]. 310 209. 620 523. 1240 1569. 28 28. 31.9 42.6. 21166 23390. 3.35 3.75. 306 67. 80725 122610. A B. 3. 3. 3. Table 2 List of the analytical cases.. Case CM40000 CM4000 CM400 CM40A CM4 CM0.4 CM0.04 CM0.004 CM0.0004 TM4A CM40B TM4B. Series. Loading direction. Comp. I. Ten. Comp. Ten.. Applied strain rate [/sec] 40000 4000 400 40 4 0.4 0.04 0.004 0.0004 4 40 4. Input No.. A. B. Case CC80 CC14.8MPa CC10.2MPa TC90 CF90-0 CF80-0 CF70-0 CF90-45 TF80-0 TF75-0 TF70-0 TF80-40. 388. Series. II. Loading direction Comp. Ten.. Comp. III Ten.. Maximum stress level. Minimum stress level. 80 % 14.8 MPa 10.2 MPa 90 % 90 % 80 % 70 % 80 % 80 % 75 % 70 % 80 %. 80 % 14.8 MPa 10.2 MPa 90 % 0% 0% 0% 40 % 0% 0% 0% 40 %. Input No.. B. A.

(10) 50. Global tensile stress [MPa]. Global compressive stress [MPa]. 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. CM40A CM40B. 40 30 20 10 0. 0.001 0.002 0.003 Global compressive strain. 4 3 2 1 0. 0.004. TM4A TM4B. 0.0002 0.0004 0.0006 0.0008 0.001 Global tensile strain. 50 40 30. Strength enhancement ratio. Global compressive stress [MPa]. Fig. 13 Global stress-global strain relationships in static analyses (Left: in compression, Right: in tension).. CM40A CM400 CM4000 CM40000. 20 10 0. 0.001 0.002 0.003 Global compressive strain. Global compressive stress [MPa]. 20 CM40A CM4 CM0.4 CM0.04 CM0.004 CM0.0004. 0.002 0.004 0.006 0.008 Global compressive strain. 1.2 1.1 1 0.9 1 10. Analysis Li et al. Jingyao et al. Shraddhakar et al. App. curve (Ana) App. curve (Exp). 102 103 104 Applied strain rate [μ/sec]. 105. ずみ速度が大きいほど,ピーク時の応力が大きくなって おり,この傾向は Jingyao & Chung26) , Li & Huang27) , Shraddhakarら28)の実験結果と一致する.Fig. 15に,強度増 加率と作用ひずみ速度との関係を示す.ただし,縦軸の 強度増加率は,ピーク時の応力を,静的強度の平均値で 除したものである.本解析モデルにより,高ひずみ速度 域におけるモルタルの強度増加量を概ね再現することが できた.解析結果のばらつきは,実験で観測されたもの よりも若干小さい.これは,実験では強度のばらつき以 外にも,各研究者間の配合,載荷精度,環境条件等の要 因が含まれていることが原因と考えられる. 配合Aを入力した解析結果のうち,低ひずみ速度域で 得られた平均応力-平均ひずみ関係をFig. 16に示す. Rüschは,低ひずみ速度域で載荷速度の異なるコンクリ ートの単調載荷を行い,作用ひずみ速度が小さいほど, 弾性係数,ピーク時の応力が減少し,終局ひずみが増大 することを示した29).本解析モデルも,コンクリートと モルタルとの相違はあるものの,セメント系材料として 同様の傾向を示した.. 30. 0. 1.3. Fig. 15 Strength enhancement ratio-applied strain rate relationships (High strain rate range).. Fig. 14 Global stress-global strain relationships (High strain rate range).. 10. 1.4. 0.01. Fig. 16 Global stress-global strain relationships (Low strain rate range).. 配合A, Bを入力した圧縮強度と引張強度の静的解析の 結果をFig. 13に示す.要素分割と材料特性分布が異なる 3つの解析供試体の圧縮強度,引張強度の平均値は, fcm=32.97 [MPa], ftp=3.41 [MPa]( 配 合 A) , fcm=47.20 [MPa], ftp=3.54 [MPa] (配合B)であり,これら平均値はTable 1に示 したマクロスケール特性値と概ね一致している.また, それらの変動係数は,配合Aの圧縮強度,引張強度がそ れぞれ2.36%, 1.43%,配合Bの圧縮強度,引張強度がそれ ぞれ1.38%, 2.64%であった. 配合Aを入力した解析結果のうち,高ひずみ速度域で 得られた平均応力-平均ひずみ関係をFig. 14に示す.ひ. (3) クリープ解析(Series II) Series IIは,作用持続応力の大きさを変数としたクリー プ解析である.ケースCC80, TC90については,作用持続. 応力の大きさを静的強度に対する比で決定した.ケース. 389.

(11) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. C55.5MPa, CC40.5MPaについては,Nevilleの実験22)での作 用持続応力そのものを直接与えた.Series IIはすべて荷重. を開始すると,応力-ひずみ関係は,時間の経過ととも に点Aから点Bへ移動する.点Bで,解析中のすべての状 増分法による解析である.荷重は,まず所定の持続応力 態を一時保存し,制御方法を荷重増分法から変位増分法 に達するまで0.8 [MPa/sec]の応力速度で初期載荷を行い, へ切り替え,擬似単調載荷(青線)を開始する.このと き,応力がまだ増加傾向にあるならば,作用持続応力に その後応力を保持した.ただし,ケース C55.5MPa, CC40.5MPaについては,クリープ回復挙動を検証するた 対する耐荷力を保持しているとみなし,未破壊と判定す る.ここで,擬似単調載荷で得られたピーク応力は,点 め,持続応力を作用させた後で除荷を行い,無荷重状態 Bにおける残存強度に相当する.未破壊と判定した場合, を保持した. 点Bで保存した解析データを呼び戻し,制御方法を荷重 a) 破壊の判定および残存強度の追跡方法 増分法に切り替え,クリープ解析を再開する.さらにク 荷重増分法では,境界条件として設定した荷重が強制 リープ解析を進めると,応力-ひずみ関係は点Cに至る. 的に与えられるため,荷重-変位の応答にピーク点が現 れず,破壊の判定を行うことができない. 点C以降の擬似単調載荷において,応力が減少傾向にあ るならば,破壊と判定し,解析を終了する.本研究では, 実際の荷重制御下における載荷試験では,材料の損傷 擬似単調載荷を,圧縮解析の場合は10 []平均ひずみご がある蓄積量に達した瞬間,それまで釣り合いを保って いた試験体と載荷ジグとの力の均衡が破れ,急激な破壊 と,引張解析の場合は1 []平均ひずみごとに行った.な が生じる.ここで,作用荷重は一定であるので,力の均 お,擬似単調載荷の載荷速度は,静的載荷と同じ(圧 衡が破れた原因は,材料の耐荷力の消失に他ならない. 縮:40 [sec], 引張:4 [/sec])とした. すなわち,荷重制御下の破壊とは,材料の耐荷力が作用 b) 解析結果 荷重を下回った瞬間であると解釈できる.これに基づき, ケースCC80, TC90で得られた平均ひずみ-時間関係を Fig. 18に示す.図には,擬似単調載荷によって求められ 本研究では,Fig. 17に示す擬似単調載荷による残存強度 追跡手法を用いて,破壊の判定を行う.まず,初期載荷 た残存強度曲線(赤線)も併せて示している.持続応力 に伴って,応力とひずみの関係は原点Oから,作用持続 下におけるモルタルのクリープ曲線は,はじめに上に凸 の傾向を示した後,ほぼ直線的に増加し,破壊点付近で 応力に達する点Aまで変化する.点Aからクリープ解析 加速度的に増加した.すなわち,遷移クリープ,定常ク リープ,加速クリープの三段階を解析的に再現すること Global stress d Strength  0 → Non failure ができた.また,経過時間に対する残存強度の変化は線 d reduction Applied 形とはならず,平均ひずみの増加速度と対応して,はじ creep めに急速な減少を示した後,安定した状態でほぼ線形に A B C stress d 減少し,破壊点付近で再び急激に減少した.  0 → Failure d ケースCC14.8MPa, CC10.2MPaで得られた平均ひずみ- 時間関係を,Nevilleの実験結果22)とともにFig. 19に示す. 実験結果と同様,両ケースとも除荷後のクリープ回復挙 Creep analysis Pseudo monotonic loading 動が再現されており,これは,回復性のクリープ変形で Global ある粘弾性成分によるものである.ケースCC10.2MPaに O strain ついては,解析結果は実験結果と概ね一致しているが, Fig. 17 Method for trucking residual strength and determining failure (Creep analysis).. 0.001 0. 10 Time [hours]. Global tensile strain. 40. 0.002. Residual strength [MPa]. Global compressive strain. 0.003. 30 20. 0.0005 0.0004. 4.5 TC90. t=480days. t=140days. t=464days. 0.0003 0.0002. 3.5. t=44sec. 0.0001 0. 100. 200 300 400 Time [days]. Fig. 18 Global strain-time and residual strength-time relationships (Left: CC80, Right: TC90).. 390. 4. Residual strength [MPa]. 0.0006. 50 0.004 CC80. 500. 3.

(12) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. Global comprressive strain. ケースCC14.8MPaについては解析値はクリープひずみを 過大評価している.Nevilleの実験では外気湿度を変数と しており,ケースCC10.2MPa, CC14.8MPaではそれぞれ, R.H.=32%, 95%である.モルタルのクリープは温湿度の 影響を強く受け,相対湿度が高いほどクリープひずみは 小さくなるのに対して,本解析モデルは環境条件の影響 を考慮していないことが過大評価の原因と考えられる. c) クリープに対する破壊メカニズムの検証 粘塑性ひずみがクリープ破壊性状に及ぼす影響を検証 するため,TC90と同様の解析モデルを用い,かつ,粘 塑性成分のマクロスケール硬化率vpを0.5倍とした引張 クリープ解析を行った.その結果をFig. 20に示す.Fig. 18に示した結果と比較すると,初期載荷後のクリープ変. 0. 100 Time [days]. 0.0005 0.0004. 4. 0.0003 0.0002. 3.5. 0.0001 0. 100. 200 300 400 Time [days]. 500. 3. Fig. 20 Global strain-time of TC90 when hardening ratio of visco-plastic component vp is multiplied by 0.5. 3@5mm. Horizontal crack I. II. III. Enlarged. 27mm. II’. III’. Fig. 21 Failure state and location of the cutting face for TC90 (Deformation x 50).. . I. Distribution of vertical stress, VG=V+V in the section I-I’. V. H H  : Stress of normal spring  : Horizontal component of  V : Vertical component of   : Stress of shear spring  : Horizontal component of  V : Horizontal component of . I’ (ii) Extract springs which go across the cutting face. Residual strength [MPa]. Global tensile strain. 4.5 TC90 with Φx0.5. I’. V . 0.001. 0.0006. 水平ひび割れ上部には,ひび割れがほとんど発生してい ないにも関わらず,断面II-II’およびIII-III’では鉛直方向抵 抗力が時間の経過に伴って減少している.これは,粘弾 性成分,粘塑性成分に起因するリラクセーションによる ものと思われる.一方,断面I-I’の鉛直方向抵抗力は,. Extracted springs. CC10.2MPa Ana CC14.8MPa Ana CC10.2MPa Exp CC14.8MPa Exp. Fig. 19 Creep strain curve and creep recovery curve (CC10.2MPa and CC14.8MPa).. 形,損傷の進展が早まり,破壊に至るまでの時間が短く なった.この結果は,粘塑性成分がモルタルのクリープ 破壊性状に大きな役割を持っていることを示唆している. TC90では,Fig. 21に示すように,供試体上部の水平ひ び割れが時間の経過とともに進展することにより破壊が 生じた.より微視的な領域における力学的挙動を検証す るため,Fig. 21に示す縦方向の切断面I-I’, II-II’, III-III’を横 切るばねを抽出し,Fig. 22に示す手順に従って,断面の 鉛直方向抵抗力Sを算出した.Fig. 23に,各切断面の直 方向抵抗力の時間変化を示す.なお,図中の経過時間 t=44sec, 140days, 464days, 480daysは,Fig. 18右側の白抜き点 の時点に対応しており,t=0~44secが初期載荷,t=44sec ~140daysが遷移クリープ,t=140days~464daysが定常ク リープ,t=464days~480daysが加速クリープに相当する.. I Cutting face. 0.002. (iii) Calculate vertical components of the stresses in global coordinate system. S. I’ (iv) Draw vertical stress distribution and calculate the resistance force, S. Fig. 22 Procedure to calculate vertical resistance force in the cutting face.. 391. Area of the hatched portion becomes vertical resistance force in the section, S..

(13) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. 引張強度に達したならば,ひび割れは奥行き方向に進展 する.進展した後も,以上のプロセスを繰り返すことで, ひび割れが時間の経過とともに進展し,破壊に至る. なお,上記の破壊プロセスを再現するためには,クリ ープ載荷開始前の初期載荷において発生するひび割れを 捉える必要がある.本解析モデルは,離散解析手法を用 い,かつ,材料の不均質性(材料特性の分布)を導入す ることにより,これを可能としている.すなわち,ある 大きさの荷重が作用したとき,巨視的には破壊していな くても,より微視的な領域,特に脆弱な箇所にマイクロ クラックが発生することを再現している.これは,メソ スケール解析の大きな特徴のひとつである.また,本論 文では,引張クリープを例として破壊メカニズムを検証 したが,圧縮クリープに関しても,同様の破壊プロセス が考えられる.3(1)で述べたように,本解析モデルでは, 増加できないため,作用引張力との釣り合いを保持する 圧縮荷重下における巨視的な破壊はすべてメソスケール ためのSの再分配は,ひび割れ端部D-D’のみに生じる. での引張およびせん断破壊で表される.従って,圧縮ク リープ破壊も微視的には引張クリープ,せん断クリープ その結果,(c)に示すように,ひび割れ端部の応力が増加 の集まりであるため,引張クリープと同様に,非ひび割 する(tip→tip+tip).このとき,ひび割れ端部の応力が れ部のリラクセーションに伴う応力解放・再分配によっ て損傷が進展すると考えられる. クリープひずみ-時間曲線の形状が段階的に出現する メカニズムについては,構成モデルの特徴から,次のよ うに推察できる.Fig. 4に示した,粘弾性,粘塑性成分 45 に導入されているひずみ硬化型のVoigtモデルは,持続 40 35 応力下においてひずみが時間とともに収束し,また,硬 30 化率が大きいほどその速度が増す,という特徴がある. 25 そのため,粘弾性成分に起因するクリープひずみは上に 20 t=44sec 凸のクリープ曲線の形状を示し,一方,粘塑性成分に起 15 t=140days 因するクリープひずみは,硬化率vpが粘弾性成分の弾 10 t=464days 5 性係数Eveよりも比較的小さいため,直線に近い形状を 0 Fig. 5およびFig. 6に示した,ひび割れ成分 示す.また, t=480days I-I’ II-II’ に導入されているひずみ軟化型のモデルは,持続応力下 III-III’ Resistance force [N]. 時間の経過に伴って若干の増加を示した. 本研究では,モルタルのクリープ破壊メカニズムとし て,Fig. 24に示すプロセスを提唱する.まず,初期載荷 において,微細な水平ひび割れが発生する.この微細ひ び割れを,(a)に示すようにくさび形にモデル化し,ひび 割れ上部の領域ABCDD’を考える.ここに,点Dはひび 割れ端部(Crack Tip),点D’はDから奥行き方向に微小長さ だけ離れた点である.次に,(b)に示すように,領域 ABCDD’に作用する力を考える.クリープ載荷開始時は, 面A-Bに作用引張応力t,面C-Dにひび割れ開口に伴う引 張軟化応力ts,面D-D’にひび割れ端部応力tip,面A-D’に 鉛直および水平方向の抵抗力S, Cがそれぞれ作用してい る.このうち,面A-D’の鉛直方向抵抗力Sは,前述した リラクセーションにより,時間の経過に伴い減少する(S →S-S).ここで,すでに軟化状態にある面C-Dの応力は. Fig. 23 Change of resistance force in the cutting face in TC90.. t. t. A A. B. D’ D. C Enlarged C. B. A. Time passing. C SS. S D’. C. D. tip (a) Schematic illustration of horizontal crack. B. D’. ts. tip. tip. (b) Forces on ABCDD’ (When creep loading starts). C. D. ts. (c) Forces on ABCDD’ (After time passed). Fig. 24 Process of crack propagation under sustained loadings.. 392. Where, t: Applied tensile stress ts: Tensile stress in crack (Tension softening) tip: Tensile stress at crack tip C: Lateral force in section A-D’ S: Vertical force in section A-D’ S: Decrement of S due to relaxation tip: Decrement of tip due to stress redistribution.

(14) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. クリープ,定常クリープ,加速クリープはそれぞれ,粘 弾性,粘塑性,ひび割れ成分が支配的となって変形,損 傷が進行する段階であると考えられる.. においてひずみが時間とともに加速度的に増加する,と いう特徴がある.そのため,ひび割れ成分に起因するク リープひずみは,下に凸の形状を示す.以上から,遷移 Global stress.  peak   max→ Non failure. Applied maximum stress. (4) 疲労解析(Series III) Series IIIは,作用上限応力,下限応力を変数とした疲. Strength reduction. 労解析である.すべての上限応力,下限応力は,静的強 度に対する比で決定した.荷重は,まずSeries Iと同様に 0.8 [MPa/sec]の応力速度で初期載荷を行い,一旦除荷, 上限応力と下限応力の平均値(Mean stress)まで再載荷した 後,1 [Hz]のサイン波として与えた. a) 破壊の判定および残存強度の追跡方法 Series IIと同様,Series IIIは荷重増分法による解析であ るので,擬似単調載荷による残存強度の追跡,破壊の判 定が必要である.Fig. 25に,疲労解析の場合の擬似単調 載荷の手順を示す.まず,初期載荷に伴って所定の上限.  peak   max → Failure. O. E A B. Creep analysis Pseudo monotonic loading. C. Fig. 25 Method for trucking residual strength and determining failure (Fatigue analysis).. Fig. 26 Global stress-global strain relationships obtained in fatigue analyses (Series III).. 393.

(15) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. 応力まで載荷を行い,その後,下限応力に至る点Aまで 除荷する.点Aで,解析中のすべての状態を一時保存し, 制御方法を荷重増分法から変位増分法へ切り替え,擬似 単調載荷(青線)を開始する.擬似単調載荷で得られた ピーク応力は点Aでの残存強度に相当し,これの値が上 限応力を上回るならば未破壊,下回るならば破壊とそれ ぞれ判定する.未破壊の場合,点Aで保存した状態を呼 び戻し,疲労解析を再開し,破壊の場合は解析を終了す る.擬似単調載荷はSeries IIと同様に,圧縮解析の場合は 10 []平均ひずみごと,引張解析の場合は1 []平均ひずみ ごとに行う.擬似単調載荷の載荷速度は,疲労解析にお ける載荷速度に準じて決定した.すなわち,除荷・再載 荷で得られる内部剛性Eと,疲労荷重の応力速度から 相当するひずみ速度を算出し,擬似単調載荷の載荷速度 として与えた. b) 解析結果 Series IIIで得られた平均応力-平均ひずみ関係,平均 ひずみ-時間関係をFig. 26およびFig. 27にそれぞれ示す.. ただし,各ケース3体の解析のうち,1体のみを示してい る.Fig. 18と同様に,Fig. 27中には残存強度曲線(赤 線)も併せて示している.載荷回数に伴う剛性の減少, 残留ひずみの増加,非線形性の増加など,コンクリート の疲労荷重下における挙動2), 3), 4)と同様の傾向を示した. ひずみの増加は,載荷初期から直線的であり,遷移クリ ープの領域は明瞭に現れなかった.また,クリープ解析 と同様に,経過時間に対する残存強度の変化は線形とは ならず,はじめに急速な減少を示した後,安定した状態 でほぼ線形に減少し,破壊点付近で再び急激に減少した. 本解析結果は,損傷パラメータを載荷回数に比例すると 仮定した線形累積損傷則が,載荷途中段階の損傷度を過 大評価していることを示している. Fig. 28に,CF90-0, CF80-0, CF70-0, TF80-0, TF75-0, TF70-0 から得た疲労寿命を用いて作成したS-N線図を示す.図 中には,Morris & Garrettの実験結果25)も併せて示している. 引張側の応力比80%において若干の差は見られるものの, 本解析モデルによる疲労寿命の計算結果は実験結果を概. Fig. 27 Global strain-time and residual strength-time relationships obtained in fatigue analyses (Series III).. 394.

(16) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. 90. 90 80 70 60 50 0 10. Analysis Experiment App. curve (ana) App. curve (exp). Stress level percent. Stress level percent. 100. 80. 70. 60 0 10. 101 102 103 104 105 106 Number of cycles to failure, ln(N). Analysis Experiment App. curve (ana) App. curve (exp). 101 102 103 104 105 Number of cycles to failure, ln(N). 106. Fig. 28 S-N diagrams obtained in fatigue analyses (Series III) with Morris et al.’s data (Left: in compression, Right: in tension). 1600 CM40A CF90-0 CF80-0 CF70-0. 1400. CM40A. Number of springs. 1200 1000 800 600 400 200. A. 0. w  01.000 w  02.002 w  30.005 w  40.010 w 50.030 w 6 0.100. [mm]. B. Fig. 30 Number of springs whose crack width reaches to certain values.. C CF90-0. 実験にも同程度のばらつきが認められるが,実験結果は 材料のばらつきの影響以外にも環境条件,載荷精度等の 影響を含んでいるため,単純には比較できない. Fig. 29に,静的圧縮解析(CM40A),圧縮疲労解析(CF900, CF80-0, CF70-0)で得た破壊時の変形,ひび割れ図を示. す.破壊時のひび割れは,静的解析よりも疲労解析の方 が多く,また,上限応力が小さいケースほど顕著である. これは,前節a)に示した破壊の定義に由来する.すなわ CF80-0 ち,荷重制御下における破壊とは,残存強度が作用荷重 を下回った瞬間であって,作用荷重が小さいほど破壊時 の残存強度は相対的に低下しており,損傷量が大きくな るためである.Fig. 30に,破壊時において一定のひび割 れ幅(w=0.000, 0.002, 0.005, 0.010, 0.030, 0.100 [mm])に達した 連結ばねの数を示す.なお,前述したように,各解析ケ ースに対して計算を3回行っているため,ひとつのひび CF70-0 割れ幅に対して同色のグラフが3本ある.破壊時のひび Fig. 29 Failure state in static and fatigue analyses 割れの発生数,ひび割れ幅は,静的解析よりも疲労解析 (Deformation x 10). の方が大きく,また,作用上限応力が小さいほど多い傾 向にある.このように,材料の疲労破壊時の損傷量は作 ね再現することができた.また,解析での圧縮強度の変 用応力レベルによって変化すると考えられるが,これに 動係数が2.36%(CM40A)であるのに対し,疲労寿命には 対し線形累積損傷則では作用応力レベルに関わらず,損 10倍程度のばらつきが生じた.これは,材料のばらつき が疲労寿命に大きく影響することを示唆している.なお, 傷パラメータが1に達した時点で破壊が生じるとされて. 395.

(17) 1st. 5th. 23rd Point A. 1. 0. 0.005 0.01 Normal spring strain. 0.015. 5th 3. 23rd. Point B. 2 1. 0. 1st. 0.005 0.01 Normal spring strain. 0.015. Normal spring stress [MPa]. 2. Normal spring stress [MPa]. Normal spring stress [MPa]. 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. 3. 23rd Point C. 2. 1. 0. 5th 1st. 0.002 0.004 0.006 0.008 Normal spring strain. 0.01. Fig. 31 Local stress-strain behavior of the connected springs.. いる.これと,前述した載荷途中段階での損傷の過大評 価の2点が,線形累積損傷則の問題点といえる. c) 疲労に対する破壊メカニズムの検証 ケースCF90-0を例に,疲労荷重下におけるモルタルの 破壊メカニズムを検証する.破壊に至るまでの挙動を目 視により観察した結果,Fig. 29で示した点A, B, Cの順に マクロひび割れが発生していた.Fig. 31に,点A, B, Cに おける直方向連結ばねの応力-ひずみ挙動を示す.初期 載荷の時点で,点Aの連結ばねはすでに軟化を示してい る.その後,除荷・再載荷を受けると,式(7)で算定さ れるの量の応力解放が点Aで生じる.作用荷重との釣 り合いを保つため,解放された応力は他領域の連結ばね に再分配される.応力の再分配により,載荷5サイクル 目において,点Bの連結ばねの応力が引張強度に達し, 軟化を開始した.点Bからの応力解放,再分配は,他領 域の連結ばねの軟化をさらに促し,載荷23サイクル目で 点Cの連結ばねが軟化を開始した.このような応力の解 放,再分配がばねの軟化を促進することによって,最終 的には試験体全体の耐荷力が減少し,破壊に至る.また, せん断方向連結ばねに関しても,式(10)により除荷・再 載荷に伴う降伏局面の縮小が生じるため,直方向と同様 の破壊プロセス(応力の解放,他領域への再分配)が生 じる.以上の現象を,実際のモルタルの疲労破壊に置き 換えると,以下に示すプロセスに相当する. [1] 初期載荷により,材料内部の脆弱部で微細ひび割れ が発生する. [2] 繰り返し載荷の影響により,微細ひび割れからの応 力解放が生じる. [3] 解放された応力は他領域に再分配され,新たなひび 割れを誘発する. [4] [2], [3]のプロセスを繰り返すことにより,時間の経過 に伴いひび割れが拡大,伝播する. [5] ひび割れが大きく成長し,材料全体としての強度が 載荷応力を下回った時点で耐荷力を消失し,破壊が 生じる. なお,本論文では,圧縮疲労を例として破壊メカニズ ムを検証したが,クリープに対する破壊メカニズムと同. 396. 様,引張疲労も圧縮疲労と類似の破壊プロセスが考えら れる.また,(3)で述べたクリープ破壊のメカニズムと 比較すると,疲労破壊のメカニズムは,材料内部の応力 解放・再分配が新たなひび割れを誘発するという点では 類似している.しかしながら,応力解放が生じる要因は, 各荷重種類により異なる.疲労破壊では,除荷・再載荷 に伴い,ひび割れ自身から応力解放が生じるのに対し, クリープ破壊は非ひび割れ部のリラクセーション,また, 静的破壊はひび割れが単調に拡幅し応力が軟化すること にその要因がある. (5) 今後の課題 Fig. 5およびFig. 6に示した応力-変位関係においては, 応力が引張強度または降伏強度に達するまで変位が生じ ることはない.しかし,モルタル内部に発生する初期の 微細ひび割れは,メソスケール(2~3 mm)よりさらに微 視的であるため,プレピーク域の剛性が低下することも 考えられる.本研究では,その影響を取り扱ってはいな いが,将来的な課題として,これらの微視的な情報にも 着目し,構成モデルに反映させることが挙げられる. 初期載荷においては,供試体の脆弱部にひび割れが生 じるため,Fig. 9および式(26)で与える材料のばらつき度 合いは,解析結果に大きな影響を及ぼす.モルタルの強 度が高く,材料のばらつきが小さい場合,初期載荷で生 じるひび割れが少なくなるため,本解析モデルによる疲 労,クリープによる損傷は小さくなる.逆に,強度が低 く,材料のばらつきが大きい場合,初期載荷で生じるひ び割れが多くなるため,疲労,クリープによる損傷は早 期に進行する.ただし,長井らの定めた式(26)は,実験 的な裏付けが明確ではない.そのため,ばらつきの与え 方に関して,より厳密な手法を提案することが今後の検 討課題として挙げられる. また,本研究では,マクロスケールで観察される実験 結果と解析結果とを比較することで,モデルの妥当性を 論じてきたが,ひび割れ等の微視的な現象に対して直接 的な整合性が得られたわけではない.今後,解析モデル をより確実なものとするためには,マイクロスコープに.

(18) 土木学会論文集E Vol.66 No.4,380-398,2010.10. よるひび割れ観察や画像解析による局所ひずみの測定等, 実験結果との比較,検討を行うことが重要である.. 6. 結論 本研究で得た結論を以下に示す. 1) ミクロからメソスケールまでの材料の微細構造とそ れらに対する現象論的仮定に基づき,モルタルの変 形を,弾性,粘弾性,粘塑性特性を有する非ひび割 れ成分とひび割れ成分とに分離した.さらに,実験 的事実に基づき,各変形成分に対する力学モデルを 与えることで,剛体ばねモデルの時間依存型構成モ デルを構築した.低~高ひずみ速度の単調載荷,低 ~高応力レベルのクリープ載荷,疲労載荷等,様々 な時間依存荷重を受けるモルタルの変形,破壊プロ セスを統一的に再現できることが,本解析モデルの 特徴である. 2) 本解析モデルにより,高ひずみ速度域におけるモル タルの圧縮強度増加率を概ね再現できることを示し た.また,確率密度関数を用いて,メソスケールの 材料特性に分布を与えることで,解析結果にばらつ きを与えることに成功した.解析結果の強度のばら つきは実験結果よりも若干小さくなったが,これは, 材料の純粋なばらつき以外の要因(載荷精度,環境 条件等)を考慮していないことが原因である. 3) 一方,低ひずみ速度域に対しては,作用ひずみ速度 が小さいほど,弾性係数,ピーク時の応力が減少し, 終局ひずみが増大する解析結果が得られた.これは, コンクリートに対する既往の実験結果と同様の傾向 を示している. 4) 本解析モデルにより,持続応力を受けるモルタルの 基本特性を再現することができた.破壊が生じるよ うな高応力下に対しては,荷重増分法による数値解 析に対する新しい破壊の判定方法を導入することに より,遷移クリープ,定常クリープ,加速クリープ を経た破壊までのプロセスを再現することができた. また,破壊の生じない低応力下に対しては,クリー プひずみ-時間曲線のみならず,クリープ回復挙動 に対しても,実験結果を概ね再現することができた. 5) モルタルのクリープ破壊にはひび割れ成分だけでな く,非回復性のクリープ成分である粘塑性ひずみが 寄与している.ひび割れ近傍の断面抵抗力の時間変 化に対する検証に基づき,粘塑性成分に起因するリ ラクセーションがひび割れ端部への応力再分配を促 すことで,ひび割れが時間依存的に進展するという 破壊メカニズムを提唱した. また,各変形成分に対. 397. する力学モデルの特性を踏まえ,遷移クリープ,定 常クリープ,加速クリープはそれぞれ,粘弾性成分, 粘塑性成分,ひび割れ成分が卓越して生じる段階で あることを示した. 6) 本解析モデルにより,剛性変化,残留ひずみ変化, 応力-ひずみ形状等,疲労荷重を受けるモルタルの 基本特性を再現することができた.また,解析で得 られたS-N関係は実験結果と概ね一致した.さらに, 擬似単調載荷で得られた残存強度変化が載荷回数に 対して線形とはならず,また,破壊時の損傷量が作 用応力に応じて異なることから,線形累積損傷則の 問題点を示した. 7) 連結ばねの応力-ひずみ挙動から,モルタルの疲労 破壊メカニズムを検証した.すなわち,初期載荷で 発生した内部の微細ひび割れからの応力解放が他領 域に新たなひび割れを誘発させ,それらが時間の経 過に伴って蓄積し,最終的には材料全体としての耐 荷力を消失することにより破壊が起こることを解析 的に示した. 謝辞:本研究の一部は,延世大学を通して,Center for Concrete Corea(韓国)の助成を受けるとともに,文部科 学省科学研究費基盤研究(A)「寒冷地のコンクリート構. 造物の複合劣化に対する耐久設計と維持管理システム」 (課題番号:19206048,研究代表者:上田多門北海道大 学教授)および21世紀COEプログラム「流域圏の持続可 能な水・廃棄物代謝システム」の中で行ったものである. ここに記して謝意を記します. 参考文献 1) Bennett, E. W. and Raju, N. K. : Cumulative fatigue damage of plain concrete in compression, Proceedings of International Conference on Structure, Solid Mechanics and Engineering Design, Vol. 2, pp. 1089-1102, 1969. 2) 畑野 正:周期的圧縮荷重によるコンクリートの挙動, 土木学会論文集,No. 84, pp. 19-28, 1962. 3) 六車 煕,富永 恵:Repeated Over-Load をうけるコ ンクリートの力学的性質の遷移現象について,材料, Vol. 19, No. 200, pp. 413-422, 1970. 4) 松下博通,牧角龍憲:繰返し圧縮応力を受けるコンク リートの変形性状,コンクリート工学年次論文集, Vol. 1, pp. 77-80, 1979. 5) 小阪義夫,谷川恭雄:高圧縮ひずみ領域におけるコン クリートの履歴特性,日本建築学会大会学術講演梗概 集,構造系分冊,Vol. 53, pp. 449-450, 1978. 6) 藤本将行,佐藤靖彦,角田與史雄:水中におけるコン クリートの圧縮疲労性状に関する一考察,コンクリー ト工学年次論文集,Vol. 22, No. 3, pp. 205-210, 2000. 7) Tanabe, T., Ishikawa, Y. and Ando, N. : Visco-elastic and visco-plastic modeling of transient concrete, Computational Modeling of Concrete Structures, Vol. 1, pp. 441-453, 1998. 8) El-Kashif, K. F. and Maekawa, K. : Time-dependent.

Fig. 1 Concept of RBSM.  Fig. 2 Fracture of mortar in meso scale.
Fig. 3 Time-dependent mechanical model of mortar in meso scale.
Fig. 4 Stress-strain model for slider elements.
Fig. 8 Flowchart for determining macroscopic material  properties.
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参照

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