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京都市国語教育研究会『国語カリキュラム』(昭和28年)と関連資料

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京都市国語教育研究会『国語カリキュラム』(昭和2細と関連資料

河野 智文

はじめに 昭和二十年代の国語科教育は、学習者の興味や関心に応じた多様な資料を駆使しつつ、学習指導を 展開することが理想とされた。しかし、終戦直後という当時の状況では、資料の入手は極めて困難で あり、多くの場合、教科書が唯一の資料として使用されることとなった。 ただし、学習指導における教科書の使用法については、様々に工夫された。「教師用指導書」をそ のまま受容するのではなく、独自な取り扱いをする試みもなされている。 本稿では、そのような試みのひとつとして、京都市国語教育研究会による『国語カリキュラム』を とりあげ、あわせて、比較対照のための資料として、教科書出版社による「教師用指導書」と教科書 本文とを示すこととする。 まず、『国語カリキュラム』の性格について説明されている「学園(東京)本 国語カリキュラム 編集について」を引用し、次いで、国語科の学習指導の特徴が良く現れていると思われる事例として、 行事をめざして言語活動が組織されている単元「たんじょう日」と、ことばとその運用能力そのもの を対象とする単元「ことば」を取り上げた。 1「学図(東京)本 国語カリキュラム編集について」  ̄、市カリキュラム国語編は編集の都合で一一四年生までは大書本、五一六年は自書本(太郎花子) が採用されているので、学園本採用校には都合悪く、殊に本年度はその採用校が増加したことも考 慮して国語研究会で編集しました。 一、市カリキュラムーヶ年使用の反省にもとずいて形式内容に改善を加え、簡明で実用的で、その上 国語教育の本質的な目標達成に役立つものをねらいました。 ○ 単元毎にその総括的目標と小単元の教材種類、時間配当のはっきりわかる別表をつけたこと。 ○ 小単元毎に目標には、学習内容の要約と、言語活動修練の具体的目標を明示し、◎○印でその 重点度を明確にしたこと。 ○ 学習活動は内容を重点的におさえて項目的に記載し指導計画立案の便を考えたこと。 ○ 学園本社発行の指導書との重複をさけながら、その編集意図にも沿い、地域的特色も考慮して 両書併用により更に効果をあげ得るよう考えたこと。 ○ その他横書を縦書とし、指導面、評価面にも出来るだけ多面的にくわしい取扱の例示を考慮し たこと。 2 単元rたんじょう日」(京都市国語教育研究会) 単元 二、たんじょう日(4月 9時間) 目標 1、学校に於けるたんじょう祝いの行事を書いた文を読み味わわせることにより、成長の喜びを認 識させる。 2、学級活動の方式や、教壇に出ての発表力やすじみちをとらえる力をねらせる。 3、日分の学級もたんじょういわいをしようという意欲を起させ、教科書の必要部分を参考として 取り入れる態度を育てる −49−

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車適 し 小単元(教材種類・時間配当) たんじょう目しらべ(生活文・2) おいわいしましょう(生活文、詩・3) ひよこのにいちやん(生活文・2) おいわいのえ本(生活文・2) 小単元 たんじょう目しらべ(4月 2時間) 目標 たんじょう目しらべの楽しさを読み味わわせるのみでなく、文を読む事により、たんじょう日を月 別に書いて統計的に物事を見る態度を育てる。 01、読むこと(文のすじみちをとらえさせる、文の心持をあらわすように読ませる。) 2、話すこと(気楽に話しあいさせる。) ◎3、書くこと(句読点、かぎなど表記記号を正しく書かせる 対話を文中にとり入れる手法を会得させる 学級たんじょう日をしらべ、まとめる。) 学習活動 読むこと ○通し読みになれさせる。 ○対話の呼吸の調子を読み味わわせる。 「一月」 「七月」 「四月でしょう」 「そうです。四月です。四月二十一日ですよ。」 「あ、うれしい。わたしと同じ日。」 話すこと ○えのそれぞれの場面について話さす。 ○各自のたんじょう日をはっきり言わせる。 ○たんじょう目の家の行事について話させる。 書くこと ○ノートにたんじょう日のひょうを作らせる。 ○一人一人の言葉をつらねる事によって、その情景のわかる事を知らしめ、対話を文中に取り入 れて作文さす。 例えば 「○○さん おはよう」 「おはよう」 「早く運動場へ出てあそばない」 「えゝ あそびましょう」 …‥等々その時の会話をつらねることにより説明はわずかでもその情景が、あらわせること を知らせて作らせる。 ○漢字の筆順を練習させる。 ○句読点、かぎなど表記記号を正しく書かせる。 注意すべき文字、言葉 生まれる(送りがな) 先生 同じ 指導上の注意 ○算数等の学習とむすぶことが望ましい。 ○対話をたくみにとり入れてあることを味わわせる。 参考資料 たんじょう日の表をつくって教室に掲げておき、その日にみんなで誕生を祝うことばをのべるよう にする。 或期間の分をまとめてお祝いの会をする。 −50− l l

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評価 ○文の心持をあらわすように朗読できたか ○話しあいが気持よく出来たか ○みんなのたんじょう日がわかったか ○ノートに美しく書けたか ○漢字が正しく書けるか 小単元 おいわいしましょう(4月 3時間) 目標 子供達の「たんじょういわい」の行事についての生活文、うたを楽しく読ませて、心持の自由な豊 かな表現活動を育てる。 ◎1、読むこと(すじみちをとらえさせる、うたのよさを読みとらせる。) 2、話すこと(たのしんで話させる、すじの通った話をさせる。) 3、書くこと(文字を正しく書かせる。) 学習活動 読むこと ○すじみちをとらえさせる。 ○短いことばでもきびきびと書きあらわされているところを読みとらせる。 ○したくの場面を読ませてどんなしたくをしたか読まさせる。 ○うたの場面を調子よく読ませる。 O「うれしい、うれしいたんじょう日」が各連とも第一句にあって、このくりかえしが調子をと とのえている事を知らせる。 O「すずめもまどからのぞきます」でおもしろさをましている事を味わわせる。 話すこと ○たんじょういわいのしたくについて話させる。 ○えをみてそのようすをはなさす。 書くこと ○花は「くさかんむり」字は「うかんむり」であることを知らせる。 ○たんじょういわいのしたくをノートに書かせる。 指導上の注意 ○たんじょう会の実施にあたっては教科書の内容を参考にする態度を養うようにしたい。 評価 ○教科書が正しく読めるか ○内容をよくとらえたか ○ゆっくりおちついて注意して話すことが出来るか ○うたが上手に読めるか ○テスト例 一、つぎのロの中へかんじを入れなさい。 (イ)□□(せん せい) (ロ)□(はな)をかざる 二、つぎの上のことばと下のことばを下の文の○○の中へちょうどいいようにかき入れなさい。 パチパチ 手を〇〇〇〇とたたきました したく みんなでおいわいの〇〇〇をしました 小単元 ひよこのにいちやん(先生のはなし)(4月 2時間) 目標 先生の幼い頃の思い出を読み味わわせて、自分達の幼少のころの思い出ばなしをさせ、豊かな言語 活動を育てる。 −51−

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1、読むこと(流ちょうに、やさしく他人を楽しませるように読ませる、文のあらすじをとらえさ せる。) ◎2、話すこと(文のあらすじをはっきりと話させる、自分の幼少の頃の思い出はなしをさせる。) 3、聞くこと(他人の話のあらすじをつかませる。) 学習活動 読むこと ○出来るだけ声を出さずに通し読みさせる。 ○正確に読みあらすじをとらえさせる。 O「母はことし六十三才」で先生にもおかあさんのあること、先生の親思いであることを読みと らせる。 ○末っ子のものさびしい心持を読みとらせる。 O「ひよこのにいちゃん」とよばれるようになったわけを読みとらせる。 話すこと ○文のあらすじを話させる。 ○文を見て、そのようすを話さす。 〇日分の幼少の頃の思い出をさせる(マ弔。 ○動物をかった経験を話させる。 聞くこと ○互に幼少の頃の思い出を話しあう。 ○他人の話のあらすじをつかませる。 注意すべき文字、言葉 「末っ子」、母、末、名、妹、ピヨ 指導上の注意 ○これを動機づけとして子供達の幼少の頃の思い出ばなしをさせ「読むこと」「話すこと」「聞く こと」の言語活動の場をつくること。 参考資料 母の日の記念作文集「おかあさん」 評価 ○静かに黙読出来たか ○教科書が正しく読めたか ○文のあらすじをとらえて発表出来るか 〇日分の経験をすじを立てて話したか ○互に幼少の頃の思い出が話しあえたか テスト例 一、つぎの上のことばと下の文の○○の中へちょうどいいようにかき入れなさい。 どんなに 母にはなしたら〇〇〇〇よろこぶでしょう さあ ○○、あそぽう 二、つぎの口のなかへかんじを入れなさい。 □(はな)、口(すえ)っ□(こ)、口(な)、□(いもうと)など 小単元 おいわいのえ本(みちこさんのはなし)(4月 2時間) 目標 人情の美しさを読み味わわせると共に・自分の生活の中からこういう話題を思い出させて、豊かな 言語活動を育てる。 ◎1、読むこと(人情の美しきを読みとらせる、正確に読ませる) 2、話すこと(気楽に生活経験を話させる、人にわかるようにはっきりと発言させる) 3、聞くこと(他人の話を楽しんで聞くようにさせる) 04、書くこと(かんたんなしょうたいじょうを書かせる) ー52−

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学習活動 読むこと ○自由読、指名読、によって読みかたを正確にさせる。 ○あらすじを読みとらせる。 ○東京のにいさんの心持を読みとらせる。 話すこと ○あらすじを発表させる。 ○東京のにいさんの心持について話させる。 ○みちこさんの心持について話させる。 ○このような経験が話題があれば、自分に話し合いさせる。(ママ) ○日本のことばとして使っている外国語をあげさせる。 聞くこと ○他人の話を楽しんで聞くようにさせる。 書くこと ○ノートにとなりのにいさんの手紙の文を書かせる。 ○かんたんなしょうたいじょう(たんじょうかいの)を書かせる。 O「バイオリン」など外国語の表記は「かたかな」ですることを指導する。 ○日本の言葉として使っている外国語を書く。 注意すべき文字・言葉 バ、ィ、オ、リ 指導上の注意 ○外国語の表記は「かたかな」ですることを指導する。 評価 ○正しく読めるか ○あらすじをとらえて発表出来るか ○生活経験をすじを立てて詰することができるか ○日本で日常使っている外国語と純粋の日本語との区別がある程度できるか ○かたかなの書きかたが出来るか (4_9貢) 3 「たんじょう日」(教師用指導書) 二 たんじょう日 一 趣旨 二年生になったよろこびの上に、たんじょう日をむかえたよろこびを味わわせようとしたものであ る。 たんじょう日の行事を、学級行事の中にとり入れることは何か特殊な感じをもつものもあろうが、 だからこそ、みんなにいきわたらせ、みんなに味わわせるようにしたいのである。 たんじょう日は、いくつになってもうれしいものである。 これあるがために、成長のよろこびも味わうことができるし、これあるがために、人々に対する感 謝の念も、あらためてわくわけである。 二 構成 「たんじょう目しらべ」、「おいわいしましょう」、「ひよこのにいちやんj、「おいわいの え本」 という四つの小題目から構成されているが、いずれも「たんじょう目」という大題目によってつなが ったものである。 「たんじょう目しらべ」は、学級でたんじょう目いわいをするための準備であるが、これだけでも、 子どもの生活に楽しみをもたらし、また、国語学習の上にも、算数学習の上にもよい機会を与えるの である。 一53−

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「おいわいしましょう」は、「たんじょういわい」をする当日の生括を書いたもので、「おいわい」を するまでの順序である。これによって、学校や学級で「たんじょういわい」をする場合の一般の示唆 ともなるであろう。 うたは、ごく月なみなものであるが、たんじょう日の気持をそっちょくにうたったものとして、か えって、みんなの心持にうったえるものがあろう。国語教材として、「うた」の教材群の一つと考え てとり扱いたい。 「ひよこのにいちやん」は、先生からのおはなしである。みんなといっしょに、たんじょういわいを してくれたのをよろこんでいる先生の、お礼にかえてのお話である。先生には、こんなかわいい無邪 気なことをいっていた子ども時代があったというので、みんなの子どもから親しまれるであろう。「お いわいの え本」は、東京の学校へ行っているとなりのにいさんからおいわいに送ってくれた本のこ とである。こういうことは、その子どもにとってうれしいことであるが、こういう話を聞くだけでも 社会性に富んだどこかあかぬけのした感じをもたらすものである。遠くから、おいわいのバイオリン をひいてお祝いの心を送るというに至っては、全く気持がいい。 三 予想される学習活動 (1)「たんじょう目しらべ」の時には、相当にぎやかな話しあいがおこなわれるであろう。その上、 黒板に書くことによって一覧表もできて、算数等の学習と結ぶことがあると思う。 (2)教科書の教材を、一応読んだり、話したりするが、自分自身の生活を話しあい、また、この教 材にまねて、自分の学級の「たんじょういわい」の会がおこなわれるであろう。そうしてこそ、 意味のある教材である。 (3)その場合には、学級小学芸会といっていいようないろいろなもよおしものがあってよい。 (4)この機会に、学年はじめの「学級親子会」をすることもおもしろい。 たんじょう目しらぺ (一)目標 たんじょういわいの準備として、「たんじょう目しらべ」をしたのであるが、おたがいの、たんじ ょう目しらべをするだけでも子どもには楽しいものである。 また、これは、教材として、教科書の文章を読解するだけでなく、みんなのたんじょう日を月別に 書いて、統計的に物事を見る態度と、それを書きあらわす方法をねることができる。 (二)解説 (1)文章は、学級でいとなまれているたんじょう目しらべという子どもの生活をそのまま叙写した 形をとっている。 「田中きみこさんが四月五日生まれで、いちばんのねえさん」 「石川しんいちくんが三月二十八日生まれで、いちばんおとうと」 というところや、先生のたんじょう日のあてっこをしたりするところがあるので、文におもしろ みと、したしさをましている。 (2)叙述の中に、対話をたくみにとり入れてあるところを味わわせ、表現の手法を会得させる。 「一月。」 「七月。」 「四月でしょう。」 「そうです、四月です。四月二十一日ですよ。」 「あ、うれしい、わたしと同じ日。」 といった対話の呼吸も、読む調子によって味わわせるようにしたい。 (三)学習指導の展開 (1)みんなはたんじょう日には、どんなことをするかについて話しあいをさせる。 (2)この学級でもたんじょういわいをするから、みんなのたんじょう日をしらべようということに 導入する。 (3)教科書を読む。 ー54−

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(4)教科書にならって、この学級のみんなのたんじょう目しらべをする。 四月一田村、中西、西川、川田 五月一三木、三谷、谷川 六月一日‥‥ というように黒板に書きならべる。 子どもたちも、いっしょに、学習ノートに書きうつす。 (5)この仕事は、簡単なことであるが、興味があるらしく、子どもたちはかなりさわざたってくる であろう。適当な整理が必要である。 (6)教科書の読み方練習。 (7)漢字の筆順説明と練習。 生まれる。(送りがな「ま」に注意)多く。先生。同じ。 (四)評価 (1)話しあいが気持よくできたか。 みんなの子どもが話しあいに参加したか。 (2)みんなのたんじょう日がわかったか。 (3)文の心持をあらわすように朗読ができたか。 (4)先生、多い、同じなどの漢字を書く力。 おいわいしましょう (一)目標 (1)「たんじょう目しらべ」について、いよいよ、たんじょういわいをしたのであるが、その、お いわいのしかたを書いたのである。これを読みあじわうことによって、この文を楽しむとともに、 子ども各自のたんじょういわいをするときの参考にさせたい。 (2)言語活動の面から考えると、この文章を読むことによって、読む力をねり、とくに、「うた」 を読み味わう力をねる。 また、この教材の示唆によって、自分たちの「たんじょういわい」のようすを話したり、それを 聞いたりする機会が得られる。 書くことの修練は、この教材の文字を書くことはもちろん自分たちの生活経験を作文に書くこと によって、まことによい機会が得られるであろう。 (二)解説 (1)「たんじょういわい」をするために、みんなの子どもたちがそれぞれまごころをこめて、教室 のかざりつけをしたり、おいわいのことばを書いたり、おいわいのことばをおくったりしたこと を書いたものである。 (2)「うた」は、各連とも第一句は「うれしい うれしい たんじょう日」であるが、このくりか えしで調子をととのえている。「すずめもまどからのぞきます」でおもしろさをましている。 (3)表現の上では、おいわいのしたくが、短いことばできびきびと書きあらわされているところを、 よく味わわせたい。 (4)注意すべき漢字としては、「先生」、「花」、「字」がある。「花」は「くさかんむり」、「字」は 「うかんむり」であることも説明しておくといい。 (三)学習指導の展開 (1)まず教科書を読む。 (したくの場面を二三回) (2)たんじょういわいのしたくを、どのようにしてやっているかを話し合う。 (3)「うた」の場面のよみかた。 (4)「うた」についての話しあい。 (四)評価 ー55−

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(1)教科書が正しく読めるか。 (2)教科書の内容をよくとらえているか。 (3)話しあいがうまくできたか。 (4)文のおもしろみをよく味わえたか。 (5)うたがじょうずに読めるか。 ひよこの にいちやん一先生の はなし− (一)目標 (1)「たんじょういわい」の日に、先生もいっしょにいわってくれたので、先生も、子どもたちと 同じように、プログラムの一つにはいって、おはなしをした。その話は「ひよこのにいちやん」 とよばれたという先生の幼いころの思い出である。 (2)こういう話を読み、これを味わうことはもちろん、これに示唆を受けて、子どもたちにも幼少 のころの思い出ばなしをさせるようにしたい。そうして、「読むこと」、「話すこと」、「聞くこと」 の言語活動の場をつくるようにする。 (二)解説 (1)「思い出ばなし」である。 (2)「母はことし六十三才です。」で、先生にもおかあさんがあること、先生は親思いであることな どが、おのずからわいてくる。 (3)末っ子であったので、だれにも「にいさん」と呼ばれないのがものさびしいという気持と、そ のために、ひよこを妹のようにかわいがって、ついに、「ひよこのにいちゃん」とよばれるよう になったことなど、末っ子の心持をよくとらえている。 おいわいの え本−みちこさんの はなし− (一)目標 (1)東京の学校へ行っている、となりのにいさんから、たんじょういわいとして本を送ってくれた こと、おいわいの手紙をいただいたこと、こちらからは写真を送ることなどを話したことを読み とらせて、みちこさんのたんじょういわいの一端を知らせる。 (2)この話の中にある人情の美しさ一東京にいるとなりのにいさんがみちこさんのたんじょう日を おぼえていて、絵本を送ってくれたり、バイオリンの音を送るという−その美しい心を味わわせ る。 (3)こういう話題を、自分の生活の中から思い出して、話したり、聞いたり、書いたり、読んだり して、言語括動のゆたかな場を作る。 (二)解説 (1)東京へ行っている、となりのにいさんの美しい心情と、みちこさんのそれにこたえる心情の美 しさが、この文の中を流れている文意である。 (2)バイオリンをひいてその昔を送るということは、実際には聞こえない話であるが、こうしたこ とは、よく、「かげながらいのる」とか、「写真を相手に祝杯をあげる」とか、「かげぜんをそな える」などということと一連の心である。 (3)「バイオリン」というかたかなと、表記法に注意する。 (三)学習活動の展開 (1)教科書を読む。 自由読、指名読によって、読みかたを正確にする。 (2)教科書の文意をとらえたところを発表させてみる。 (3)東京にいるとなりのにいさんの心持を想像させる。 (4)みちこさんの心持を想像させる。 (5)みんな自分自分のこうした話題があれば、自由に話しあいさせる。−話しかた−聞きかた。 (6)「バイオリン」……など、外国語の表記は「かたかな」ですることを指導する。 −56一

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一〆. 日本のことばとして使っている外国語をあげさせる0 ナイフ、ペン、ラジオ、スピーカー‥‥‥など。 (四)評価 (1)教科書が正しく読めるか。 (2)読んだ文のあらすじをとらえて発表できるか0 (3)日本で日常使っている外国語と、純粋の日本語との区別がある程度できるか0 (4)かたかなの書きかたができるか。 (5)自分の生活の中に話題を見出して、すじを立てて話すことができるか0 (23_28貢) 4 「たんじょう日」(教科書教材文) 二 たんじょう日 たんじょう目しらべ(「/」記号は改行を示す) がっこうで、みんなの たんじょう目しらべを しました。 六月と 十一月に 生まれた 人が、いちばん 多く、八月と 九月は、ひとりずつでした0 四月五日生まれの 田中きみこさんが、この くみの いちばん ねえさんです。 石川しんいちくんは、三月二十八日生まれで、いちばん/おとうとです0 しらぺおわった とき、まことくんが、 「先生の たんじょう日は いつですか。」 と ききました。 「先生の たんじょう日はね。」 「先生、あてて みましょうか。六月。」 「いいえ、ちがいます。」 「十一月。」 「いいえ。」 みんなが つぎつぎに いいました。 「一月。」 「七月。」 「四月でしょう。」 rそうです、四月です。四月二十一日ですよ0」 「あ、うれしい。わたしと 同じ H。」 と、みちこさんが いいました。みんな・わっと いって、手を たたきました。 おいわいしましょう 四月二十一日に なりました。 きょうは 先生と みちこさんの たんじょう目です0 みんなで おいわいの/したくを しました。 ふみこさんは 花を もって きて、かざりました0 はるよさんと きぬえさんは、いろがみを おって きて、かざりました。 たかしくんが、こくはんに、「おめでとう」と、大きな 字で かきました0 まことくんが、まえへ 出て、 「これから、先生と みちこさんの たんじょういわいを します0」 と いいました。みんなが//けパチと 手を たたきました。 先生と みちこさんが、にこにこして・みんなの まえに ならびました0 みんな、こえを そろえて、 「おめでとう。」 と いいました。 ー57−

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うたが はじまりました。 うれしい、うれしい たんじょう目。 みんなで おいわい、 おめでとう。 うれしい、うれしい たんじょう日。 おはなししましょう、 うたいましょう。 うれしい、うれしい たんじょう日。 すずめも まどから のぞきます。 ひよこの にいちやん(先生の はなし) みなさん、ありがとう。 こんなに いわって くださった ことを、母に はなしたら、どんなに よろこぶ ことでしょ う。母は、今 六十三才です。 先生は、いちばん 末っ子でしたので、だれも、にいちゃんと よんで くれません。それで、小 さい ころ、ひよこに ぴよちゃんと/いう 名を つけて、妹に しました。 「ぴよちゃん、にいちゃんが、おいしい ものを やるよ。」 と いって、ひよこの/口に、たぺられも しない/あめだまを もって いったり、あそびから かえると、 「ぴよちゃん、ただいま。にいちゃんを まって/いて くれたのだね。さあ、あそぼう。」 と いって、ひよこを かたに のせたり、ピヨピヨと ないて いるのを ふところに 入れて、 子もりうたを うたって やったり したそうです。 しまいには、うちの ものからも、「ひよこの/にいちゃん」「ひよこの にいちゃん」と いわれ るように なりました。 おかしな ことを した ものですね。 おいわいの え本(みちこさんの はなし) みなさん、この え本を ごらんください。 これは、とうきょうの がっこうに いっている、となりの にいさんから、きのう、おくって きたのです。 となりの にいさんは、わたしの たんじょう日を、ちゃんと おぼえていて くれたのです。 おいわいの てがみも、いっしょに とどきました。 「みちこさん、おめでとう。八つに なりましたね。あなたの たんじょう日を いわって、ぼくは、 こちらで バイオリンを ひきます。そちらまで きこえると いいがなあ。」 と、てがみに かいて ありました。 きょう、がっこうから かえって、Lやしんを うつしたら、にいさんに おくる つもりです。 てぴき ○あたらしい かんじ(略一河野) ○ことばの わけ 末っ子(きょうだいの 中で、いちばん としの 下の もの) ○もんだい ー58−

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1 みなさんの くみでも、たんじょう目しらべを して みましょう。 2 この 本の こどもたちは、先生と みちこさんの たんじょう日には、どんな おいわいを しましたか。 3 あなたは、いま、いぬか ねこか ことりか おにんぎょうか、なにか かわいがって いま すか。かわいがって いる 人は、みんなに おはなししましょう。 4 となりの にいさんの てがみを まねて、ともだちの たんじょう日に、てがみを かきま しょう。 (16_33頁) 5 単元「ことば」(京都市国語教育研究会) 単元 五 ことば(12月 18時間) 目標 1、ことばを直接の対象として、ことばそのものに対する知識を与える。 2、文字や絵によってことばあそびをする間にことばに対するおもしろさを味わわせる。 3、将来の言語教材へ発展する基礎として、ことばを考える態度の芽を養う。 小単元(教材種類・時間配当) 総括的指導 はんたいのことば(生活文・3) 思いだすことば(生活文・3) だれがいったか どんなときにいったか(生活文・3) かるたつくり(生括文・5) 下からよんでみましょう(生活文・2) 総括的指導 2時間 学習活動 読むこと 1、間に答えることを目的に黙読する態度を養う 2、「」の文の読みかたを工夫させる。その他文字以外の諸記号がわかり、それに注意して読 めるようにする 3、質問をしたり、又人に説明をしたりするための読み方を工夫させる。 話すこと 1、この文からいろいろ思いついたことを話し合う 2、話題をえらぶ力を養う 3、絵を見て思ったことや連想したことを話す力をねる 4、各自工夫したことばあそぴについてどしどし発表する態度を養う 聞くこと 日常の生活経験をおたがいに話し合う態度を養う 書くこと ひらかなで五十音を書くけいこをする 参考資料 いろはかるた数種用意する 言語教材の系統はこの教科書では非常に重視して各学年に配置されているから、その連絡をとる必 要がある 評価 1、予想したことばの知識が得られたか 2、ことばに対して興味を感じたか 3、日分でことばあそびを工夫したり作ったりできたか 一59−

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小単元 はんたいのことば(12月 3時間) 目標 はんたいのことばをひろいあつめることによって、ことばの意味を正確にし、ことばを正しくつか う力を養う。 1、◎話すこと(絵の中から反対のことばを見つけて話させる) 2、 聞くこと(人のいうことばを考えながらよく聞かせる) 3、〇読むこと(ことばがよくわかるようにきって読ませる) 4、書くこと(夏、冬、左手、右手などの漢字の書きかた) 学習活動 話すこと 1、絵を見て反対のことばを言わせる 大きいふね一生互とふね あつい本−うすい本 門の垣星人がいます一門の外に自動車が かがみの前に人がいます−かがみの後にねこがいます。 2、日分で反対のことばを見つけて話させる 聞くこと 人の発表したはんたいのことばが違っていないか考えさせる 読むこと 1、よく考えながらだまって読ませる 2、人にわからせるようにくぎって読ませる 書くこと 1、はんたいのことばを書きぬかせる 2、お話したことばや聞いたことばを書かせる 3、「夏」「冬」「左」「右」の漢字の筆順とその練習 指導上の注意 1、反対と矛盾とを間違えぬ様にする (長い−短い)は反対で(長い一長くない)は論理学では矛盾という 2、教科書を手がかりとして多く発表させ、教科書の例にとらわれる要はない 参考資料 反対のことばを思いつきやすい品物や絵を多く用意する 評価 1、教科書が正しく読めたか 2、反対のことばの意味がよくわかったか 3、反対語をたくさん集め得たか 4、文字が正しく書けたか 小単元 思いだす ことば(12月 3時間) 目標 「えんそく」「きょうしつ」ということばから思いだしたり、思いついたりしたことば、それをま ねたあそびをさせ、ことばをあつめたり、並べたりして、ことばに関する興味をもたせつつ、請いに 対する知識を養う。 1、◎話すこと(気楽な話し合い) 2、〇聞くこと(連想によく注意して聞かせる) 3、 読むこと(よくわかるように説明的に読ませる) 4、 書くこと(思いついたことをさっさと書かせる) 学習活動 話すこと −60−

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1、「思い出すことば」を教科書以外に、数多く話させる 2、「思いつくことば」を同様いろいろ話させる 読むこと 1、教科書「→」の所をきってゆっくり連想の進む通りに読ませる 2、お話のように読ませる 書くこと 1、思いだしたことばをつぎつぎに早く書かせる 2、思いついたことばをつぎつぎに早く書かせる 3、漢字を筆順正しく書かせる 指導上の注意 1、「思いだすことば(五六貢)」は最初のことばからつぎつぎ連想して行くことばであって、「思 いつくことば(五七貢)」は最初のことばに直接結びついていることばを意味する。 発表も別々にさせる 2、この場合も出来るだけ多く児童からのことばを発表させる 評価 1、教科書が正しく読めたか 2、「思いつくことば」が正しくたくさんできたか 3、「思いだすことば」が正しくたくさんできたか 4、ことばあそびに興味を持ったか 5、文字が正しく書けたか 小単元 だれがいったか。どんなときにいったか(12月 3時間) 目標 ことばの場をあてるあそびをさせて、ことばへの興味を持たせつつ、ことばを使用する場合の適切 さを理解させ、ことばに対する自覚を高める。 1、◎話すこと(適切な答を気楽に話し合う) 2、 聞くこと(他人の答を耳を傾けてよくきく) 3、〇読むこと(その人になったつもりで、気分を出すように読む) 4、〇書くこと(教科書を見ないで、聞いた通りに書く) 学習活動 話すこと 1、それぞれの答について話させる O「あら、……」おかあさん O「なんだ……」男の子(又はにいさん) O「ああ……」 おとうさん O「てるてるぼうず……」女の子(又はいもうと) ∼∼∼∼ O「早く……」 男の子が友達を待っているとき、など O「うちました……」 野球放送、選手がヒットを打ったときのアナウンサーのことば、など O「まるで……」 両側桜の満開の道を女の子が歩いているとき、など O「あ、……」 男の子がせみとりをしているとき、など O「おいしそうね……」 ぉばあさんから送ってもらったみかんの包みを開いたときのおかあさんのことば、など O「つもると……」 冬雪がふり始めたとき、男の子、など ー61−

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2、絵の情景について話し合わせる 3、答の適否について話させる 4、絵によらず、この外の場合も考えて、思いついたことを話させる 読むこと 1、その人物、その場合になったつもりで教科書を読ませる 2、正しく読ませる 書くこと 1、一つのことばから想像して短文を作らせる 2、教科書の文字を書かせる 指導上の注意 1、先づおもしろくあそばせ、その上で言葉の適確さ、手短な表現等、ことばへの関心を深める ようにする 2、作文や詩の根底をつちかう 3、正しく応答する態度を養うことにも留意する 評価 1、教科書が正しく読めたか 2、教科書の問いに対してよく考えたか 3、適切な正しい答ができたか 4、気楽に話合いができたか 5、興味をもってやれたか 小単元 かるたつくり(12月 5時間) 目標 かるたつくりへの興味を持たせて作文力をねると共に、語いの系列によってことばを考へ(ママ)、 語感のおもしろさを味わわせる 1、 話すこと(かるた作りの順序や仕方について話し合う) 2、 聞くこと(他の人の発表をよく聞く) 3、〇読むこと(教科書の文を正しく読む) 4、◎書くこと(かるたの文句を考えて、かるたをつくる) 学習括動 話すこと 1、話しあいによってまことくんたちのしていることを理解させる 2、かるたつくりの方法について話させる 3、教科書の例にならって、読み札の文句を考えて発表させる 4、同様絵札についても発表させる 聞くこと 1、人の考えをよく聞いて、自分の考えたのとくらべさせる 2、共同でする時は特に人のことばをよく聞いて、みんなの考えをまとめるようにさせる 読むこと 1、教科書を正しく読ませる 2、かるたつくりの方法が十分わかるよう順序立てて読ませる 3、先生のことばの意味をよく理解させる 4、はっきりしたことばで、自分の作ったものを読み上げるようにする 書くこと 1、教科書の例を書きつける 2、かるたつくりをさせる 3、漢字を正しく書かせる 参考資料 犬棒かるたや例になるかるたを用意する −62−

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五十音図表 評価 1、教科書が正しく読めたか 2、かるたの文句がうまくできたか 小単元 下からよんでみましょう(12月 2時間) 目標 いわゆる回文をおもしろく読ませて楽しませ、ことばに対する関心を深める。 1、〇話すこと 聞くこと(おもしろく楽しく話合わせる) 2、◎読むこと(教科書の文を上から、下から正しく読ませる) 3、 書くこと(教科書の外、自分で知っているものも書かせる) 学習活動 話すこと 1、このことばあそびの意味を理解させる 2、日分たちで知っているものを発表させる (人名、地名、駅名、などでもよい) いしい、たばた、たかた…‥・など 読むこと 1、教科書を正しく読ませる 2、日分で書いたものを読ませる 書くこと 1、知っているものを書かせる 指導上の注意 この辺で五十音が正しく書けるかテストしてみる 評価 1、教科書が正しく読めたか 2、楽しんでやったか 3、気楽に話合いができたか 4、五十音が書ける (50−56頁) 6 「ことば」(教師用指導書) 五 ことば 一 趣旨 いわゆる言語教材の群である。この教科書全十三巻を通じてこの教材を出している。四年生以上で は「ことばの研究室」という標題で通していることでもわかるように、ことばを直接の研究対象とし てことばに対する知識を与え、ことばに対する興味を深めようとしたものである。 二 構成 (1)「はんたいのことば」、「思いだすことば」、「だれがいったか」、「どんなときにいったか」、「か るたつくり」、「下からよんでみましょう」の六つの材料によって、「ことば」に対する考えかた と実習をしようとしているのである。 (2)文字表現ばかりでなく、絵でも示しているから、絵を読んでことばあそびをすることも、教材 であることを考えなければならない。 三 予想される学習活動 (1)教科書を読む。 ー63−

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こういう材料は、教科書を読んで中味をとったり、解釈したりすることは主昌的ではない。だ いいち、読む内容もないくらいである。それよりも、ねらうところは、教科書の文があらわして いるようなことを、読む子どもたちにもさせてみたいというところにある。あるいは、読む子ど もたちの連想を教材にするといってよいのである。 その、まねをしたり、連想を話しあったりして、言語活動を盛んにすることが国語教育である と考えてよいのである。 そういう意味から、こういう教材は、教科書そのものを読むことはそう大した意味はないけれ ども、全然、教科書を読まないでよいことはないので、一一応を読んで、話しあいのいとぐちを作 るようにしたいのである。 (2)教科書の材料にまねて、子ども各自の「ことばあそび」の発表をする。 (3)かるたつくりをする。 かるたのことばをつくるとともに、「よみふだ」と「えふだ」をもつくる。−グループ作業。 (4)かるたの発表 はんたいの ことば (・一)目標 (1)「夏はあつい、冬はさむい」 「左手を上に右手を下に」 「大きいふね、虫旦吏ふね」 「あつい本、うすい本」 「もんの内がわに男の子がいます。 もんの外にはじどうしやがとまっています。」 「かがみの前に人がいます。かがみの旦立旦にねこがいます。」 というように、ちょうど反対のことばをひろいあつめることをして、ことばの意味を明きらか にし、ことばを正確につかうことを養う。 (2)「夏」、「冬」、「左手」、「右手」、などの漢字の書きかたを正確にする。 (二)解説 (1)「反対」と「矛盾」(むじゅん)とを混同しがちである。反対は、字の示す通りちょうど両端で 相反しているものである。すなわち、「長い」に相対して「短い」、「暑い」に対して「寒い」と いうようなものである。 ところが、子どもによっては、「長い」の反対に「長くない」、「暑い」の反対に「暑くない」、 「黒い」の反対に「黒くない」……というようにあげていくものがある。これは、論理学では「矛 盾」(むじゆん)というものである。反対ではないのである。反対は反対としてあげさせるよう にしたい。 (2)五十四ページの「さしえ」は、「背の高い子」と「背の低い子」という反対語が出てくるもの であるが、「かげが長い」、「かげが短い」という反対語も見出される。 (三)学習指導の展開 (1)教科書を一二回読ませる。 (2)夏−−冬 あつい−さむい 左手−右手 上に−下に というようなのが反対のことばであることをさとらせる。 (3)「えを見てはんたいのことばをいってごらんなさい。」のところを読ませる。 (4)そのこたえを、いわせる。 大きいふね−−全量吏ふね あつい本 うすい本 門の凸に人がいます。−門の生に自動車がいます。 −64−

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かがみの前に人がいます。−かがみの後にねこがいます。 (5)自分自分で見つけさせる。 きれいな花−きたないどろ おいしいおかし−まずいおかず 昼吏運動場−堂墨色にわ せいとがたくさんいます−先生がすこしいます。 太郎くんはえがじょうずです−二郎君はえが土星です。 うさぎははやい−かめはのろい。 (6)「夏」、「冬」、「左」、「右」、の漢字の書きかたを説明して練習する。 (四)評価 (1)教科書が正しく読めたか。 (2)反対語という意味がわかったか。 (3)反対語を自分であつめることができたか。 (4)ことばを意識的にあつめたり、考えたりする態度ができたか。 (5)この教材中にあった字が正しく書けたか。 思いだす ことば (一)目標 (1)「えんそく」ということばから思いだすことば、 「きょうしつ」ということばから思いつくことば、 それにまねたことばあそび、 こういうことから、ことばをあつめたり、ことばをくみあわせたりして、ことばに関する興味と 自覚を高める。 (2)気楽に話しあいをする。 (3)思いだしたり、思いついたことばを、さっさと書いて、書字力と作文力をねる。 (4)漢字を筆順正しく書く力をねる。 (二)解説 (1)「思いだすことば」と「思いつくことば」とをつかいわけてあることに注意しなければならな い。 「思いだすことば」は、最初に思いだしたことばから、つぎつぎに思いだすことばを意味して いるので、連想から連想へと及んでいくことがある。 「思いつくことば」というのは、「きょうしつ」なら「教室」ということばに、直接に思いつく ことばを意味しているのである。 また他の例をあげるならば、「おかあさん」から思いだすことばならば、 匿かあさん「−おちち−ぎゅうにゆう−牛−馬−馬車−荷車−自転車、…… というように、連想から連想へと走って、「おかあさん」に「自転車」がつながっているのであ る。ところが、「思いつくことば」という場合にのぞんでいることは、 おかあさん−おちち おかあさん−やさしい おかあさん−女 おかあさん−せんたく おかあさん−おべんとうをこしらえてくれる おかあさん−おとうさん というように、「おかあさん」に直結して連想することばをのぞんでいるのである。 (2)教科書のは一例であるから、これにまねて、子ども自身で、たくさんの場合を考えるようにさ せることをのぞんでいる。 (三)学習指導の展開 −65−

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(1)教科書を読む。 (2)教科書によって「思いだすことば」でやっていることを、はっきりと理解させる。 (3)同様に、「思いつくことば」でやっていることを、はっきりさせる。 (4)「思いだすことば」を、教科書の「えんそく」以外の「ことば」で、共同でやってみる。 (例)「おとうさん」−男−おすもう−くま−金時−おに− (5)「思いつくことば」について、共同でやってみる。 (例)  お正月−たこ お正月−はごいた お正月−おもち お正月−かどまつ お正月−おとそ お正月−おとしだま お正月−ねんがじょう お正月−かるた (四)評価 (1)教科書が正しく読めたか。 (2)「思いだすことば」の実演がよくできたか。 (3)「思いつくことば」の実演がよくできたか。 (4)ことばあそびに興味があったか。 (5)文字を正しく書くことができたか。 だれが いったか どんな ときに いったか (一)目標 (1)直接の目標としては「だれがいったか」、「どんなときにいったか」をあてっこすることば遊び であるから、おもしろく、そのことばあそびをすればよい。 (2)しかし、その間に、この場合、この人が、このことばを発してこそ、最も有効、適切であると いう言語観を養うことを、深くねらっていることも忘れてはならない。 (3)そうして、作文や、詩の根底をつちかう。 (4)楽しく、話しあいをする。 (5)楽しく、作文を書く心を養う。 (6)教科書の文を正しく読む力をねる。 (7)「間」に対して、正しく応答する態度を養う。 (二)解説 (1)「だれがいったか」、「どんなときにいったか」の二つにわかれているが、大きく考えると、こ とばの場を推定させることである。 (2)58_61ページのさしえによれば、 「あらあら、たいへん。ほしものを早く早く。」 −おかあさん、 「なんだ、雨か。つまらないなあ。」 −男の子。または、にいさん。 「ああ、ありがたい。ふってきた、ふってきた。」 −おとうさん 「てるてるぼうず、てるぼうず。あした天気にしておくれ。」 −女の子。または妹。 「早くこないかなあ」 −ともだちをまっている男の人。……など。 「うちました、うちました。」 −66−

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−野球放送のアナウンサーが、だれかが、ヒットをうったとき。など 「まるで 花の トンネルね。」 −春、道の両がわのさくらの花がまんかいのとき。 「あ、あの木で ないているよ。」 −夏、せみとりをしているとき、……など。 「おいしそうね。おばさんに、ありがとうとおてがみをかきました。」 −秋、おばさんからみかんをおくっていただいたとき。 おかあさんと子どもがはなしている。 「つもると、いいね。」 −冬、雪がふりはじめたとき。 このほかにも、いろいろの場合があろう。 (三)学習指導の展開 (1)教科書を読む。 (2)教科書の「間」に対して考えさせる。 (3)一つ一つ、気楽に発表させる。 (4)それについて、適否について話しあいをする。 (5)余裕があれば、一つ一つを、短文に書かせる。 あるいは、二三について書かせてもよい。 (四)評価 (1)教科書が正しく読めたか。 (2)教科書の「間」に対して、よく考えたか。 (3)適切な「答」ができたか。 (4)気楽に、楽しく話しあいをすることができたか。 (5)興味をもってこのしごとにのぞんだか。 かるたつくり (一)目標 (1)ことばあそびの一つである「かるたつくり」をしているようすを知らせ、自分たちでもつくっ てみようとする心をふるい起こして、実際につくらせるようにする。 (2)そうすることによって、 ○作文力をねる。 ○ことばを五十音によって考える態度を養う。⊥請いの系列整理 ○語感のおもしろさを味わう。 (3)共同学習のおもしろさを味わわせる。 (4)工夫、創作の力をねる。 (5)気楽に話しあいをする。 (6)自分の考えを、絵とことばで表現する力をねる。 (二)解説 (1)教科書で示しているのは、主として「字札」である。国語の教科書であるから、当然そうなっ たのであるが、実際にかるたあそびをするためには、「字札」と「絵札」と両方がいるわけであ る。だから、「さしえ」を参照して、両方をつくるようにし向けたい。それには、図工と連絡し て、総合的にやった方がよいと思う。あるいは、「生活学習」として、大きく「お正月のあそび」 という、大単元のもとにやったらよいであろう。 (2)一人で全部の札を作ることも、決してわるくはないが、学級教授としては、グループにわけて、 一グループで作る競争をさせるのも一方法であろう。そうなれば、各グループでさらに手分けを してA君は「あ行」、B君は「か行」C君は「さ行」というように分担するという方法もとれる であろう。 ー67−

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あるいは、一学級の全員に、P一名で一字(字札と絵札で二枚)ずつ分担させるのも一方法であ る。 ︶︶71︶︶︶︶︶︶01 三 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 ︵   ′ l く   ︵   ︵   ′ 1 、 ︵   ︵   ′ − 、 ︵   7 1 、 ︵   ︵ 学習指導の展開 まず教科書を読む。 まことくんたちが、どんなことをLでいるかを読みとって、話しあいをする。 かるたつくりをしようというように導入してくる。 ヽ ノ ︶ かるたの字札と絵札を示して、これからどんなにして作っていくかを話しあいする。 教科書の例にならって、一応みんなに「あ」の文句を考えさせてみる。 その発表。 各文句について、絵札の図案もさせて話しあいをする。 グループでやるか、全体でやるか、みんなが一枚ずつ作るか、それらの方法と分担をきめる。 製作 発表と批評 かるたあそび (四)評価 (1)教科書が正しく読めたか。 (2)かるたつくりに興味をもったか。 (3)かるたの文句がうまくできたか。 (4)文句と絵のむすびつきがうまくできたか。 下かち ょんで みましょう (−)目標 (1)ことばあそびの一つで、むかしからよくやっている回文をおもしろく読ませて楽しませる。 (2)ことばに対する関心を深める。 (3)気楽に話しあいをする。 (4)書字力をねる。 (5)聞いて、ことがらのすじをとらえる力をねる。 (二)解説 (1)子どもたちの間でも、ことばあそびとしてやっていることであるから、それをいわせたり、ま た新たに考えさせたりするとよい。 (2)人の名前、地名、駅名などにも、「たかた」、「たばた」、「いしい」、などがあるから、そんな 方面をしらべさせることもおもしろい。 (三)学習指導の展開 (1)教科書を読む。 (2)教科書のことばを、下から読んでみる。 (3)この、ことばあそびの意味を理解させる。 (4)自分たちで、知っているものを発表させる。 (5)それを、文字で書かせる。(黒板とノート) (6)書いたものを読ませる。 (7)たくさん集めさせ発表させる。 (四)評価 (1)教科書が正しく読めたか。 (2)回文を楽しんでやったか。 (3)自分たちでも見つけられたか。 ー68−

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(4)書字力の練習ができたか。 (5)気楽に、話しあいができたか。 (6)五十音が書けるか。 これは、テストとして一度この辺でやるのが適当であろう。 (66−72貢) 7 「ことば」(教科書教材文) 五 ことば はんたいの ことば 夏は あつい。 冬は さむい。 左手を 上に。 右手を 下に。 えを 見て はんたいの ことばを いってごらんなさい。(挿絵は略一河野) 「大きい」ふね 「あつい」本 門の「内」に 人が います かがみの「前」に 人が います 思いだす ことば 「えんそく」と いう ことばから 思いだすことばを、みんなで、つぎつぎに いって みまし ょう。 区んそく上山→木→ことり→すずめ→かかし→たんば→水→すいとう→えんそく おやおや、また 元に もどりましたね。 「きょうしつ」と いう ことばから 思いつくことばを、みんな かいて みましょう。 だれが いったか 「あら、あら、たいへん。はしものを 早く、早く。」 「なんだ、雨か。つまらないなあ。」 「ああ、ありがたい。ふって きた、ふって きた。」 「てるてるぼうず、てるぼうず。あした 天気に して おくれ。」 どんな ときに いったか 「早く こないかなあ。」 「うちました、うちました。」 「まるで 花の トンネルね。」 「あ、あの 木で ないているよ。」 「おいしそうね。おばさんに、ありがとうと おてがみを かきましょうね。」 「つもると いいな。」 かるたつくり お正月が 近づきました。 まことくんの くみでは、みんなで、かるたを 作りました。 ㊨まこと「あさ日が 赤い。」 みちこ「あかちゃんは かわいい。」 ー69−

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◎きぬえ「いねかり ざくざく。」 しんいち「いつも 早おき。」 ◎を作る ときに、よういちくんが、 「うしは もう一つ。」 と、大きな 声で いったので、みんな、どっと わらいだしました。 ◎まで すむと、まことくんが、 「先生、やいゆえよの ◎ と ◎は、あいうえおの ときと 同じ 字ですね。」 と ききました。すると、先生は、 「そうそう、よく 気が つきましたね。それから、わゐうゑをの◎㊤㊨は、㊥⑳㊨ と 同じ よみかたですが、字が ちがって います0この◎と喝は、今では もう つか わない 字です。◎ と の は、ことばの はじめには つかいません。だから、この四つの 字 は かるたの 中には 入れないで おきましょうね。」 と おしえて くださいました。 かるたの ことばが できあがってから、てわけを して、えふだも 作りました。 下から よんで みましょう みみ トマト こねこ きつつき しんぶんし たけやが やけた もう ありませんか。 てびき ○あたらしい かんじ(略一河野) ○ことばの わけ 思いだす ことば(一つの ことばから、はかの ことばを 思いだし、その ことばから ま た つぎの ことばを 思いだすのです) 思いつく ことば(一つの ことばから、はかの ことばを いくつも 思いだすのです) ○もんだい 1 ことばに ついて、いろいろな おもしろい あそびを して いますね。 みなさんも、「はんたいの ことば」や、「思いだす ことば」や、「思いつく ことば」や、 「かるたつくり」など、やって ごらんなさい。 2 「だれが いったか」「どんな ときに いったか」は、みなさんで よく かんがえて ご らんなさい。 (54_67頁) おわUに 既製の教科書を、独自に活用しようとする試みのひとつとして、京都市国語教育研究会の実践的研 究を取り上げ、さらにその関連資料を示した。それぞれに共通点、相違点があり、そのようになった 要因もいくつか想定される。 そのことについては、拙稿「昭和二十年代における国語教科書使用の実態一京都市国語教育研究会 『国語カリキュラム』(昭和二十八年)を資料として−」(兵庫教育大学言語表現学会『言語表現研究』 第17号、印刷中)において考察を試みた。あわせてご参照いただければ幸いである。 以下に掲げる資料の閲覧については、関係各位の多大なご協力をいただいた。記して深く感謝申し 上げる。 −70−

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〆イト 資料 京都市国語教育研究会『国語カリキュラム』(1953年3月) 京都市学校歴史博物館所蔵。 閲覧にあたっては、木村稔氏(学校歴史調査員)、竹村佳子氏(研究員)にご協力いただいた0 教育図書研究会・日本新教育研究会共編 『二年生のこくご上・下指導書』(学校図書株式会社) 教科書研究センター附属教科書図書館所蔵。 志賀直哉、久松潜一、池田亀鑑監修 『二年生の こくご 上』(1952年12月5日) 『二年生の こくご 下』(1953年5月5日) 学校図書株式会社発行。兵庫教育大学附属図書館所蔵。 ※ 原資料はすべて縦書き。明らかな誤植は、修正した。 一71−

参照

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