学習者の誤った認識の組み換えに及ぼす「範囲画定
型ルール」提示の効果∼「個体の弾性」に関する科
学的文章の読解場面において∼
著者
植松 公威
雑誌名
東北教育心理学研究
巻
7
ページ
13-26
発行年
2000-03-25
URL
http://hdl.handle.net/10097/00121882
学習者の誤った知識の組み替えに及ぼす
「範囲画定型ルール」提示の効果
, . ._,r
固体の弾性」に関する科学的文章の読解場面において
植 松 公 威
(東北大学大学院教育学研究科)
【問題と目的】 学校で自然科学の分野の正式な教授を受ける前から、 学習者が誤った、あるいは不完全な知識体系を自発的に 作り上げていることが様々な論文から明らかになってい る (Minstrell1982;Osborne etal.1983;ステノミン ス 1993;細谷 1996)。そして、その誤った知識は実際 の教授活動の後でも科学的に正しい知識に組み替わるこ となく保持されることが多いと言われている (Hashweh 1986 ;グリンら 1993)。 実際、教授者が誤った知識に反する事例と科学的に正 しいルールを示しても、学習者は誤った知識を修正せず に保持する場合がある。その際に学習者が示す具体的な 反応は以下の3つに分類される (Hashweh1986 ; Johsua & Dupin 1987参照)。 ①提示された事例自体を疑い、 否定する。②提示された事例を誤った知識に一致するよ うに歪めて解釈する。③提示された事例自体は受け入れ るものの、その事例を特別な事例、あるいは誤った知識 の例外例と考える。 このような反応の生起には学習者の内的条件が関係し ていると考えられる。その1つは、誤った知識は学習者 がもっ他の知識や過去の経験に裏付けられているという 点である。一般に、誤った知識は完全な誤りではなく、 ある限られた場面や経験の範囲内では十分に高い妥当性 をもっていると考えられている(細谷 1976; Hashweh 1986)。そして、知識や経験による裏付けが多い知識ほ ど保持されやすく、組み替えは難しいと言われている (Chinn & Brewer 1993)。さらに学習者の内的条件と して考えられることは、学習者が誤った知識と提示され た知識(ルール)との間の関係を矛盾と捉え、その矛盾 を解決するための適切な方法を見つけられないという点 である。上述の① ③の反応は特にこの点に起因してい ると考えられる。したがって、もし教授者が両者の知識 を統一的に説明するルールを提示することができれば、 そのような反応は生じにくくなるはずである。 では、具体的にどのようなルールを考えたらいいだろ うか。この問題に対してHashweh (1986)は「範囲画 定 (demarcation)Jという教授方略を提案している。 これは、誤った知識と科学的に正しい知識(ノレール)の それぞれがあてはまる場面や条件を学習者に示すことで ある。 Hashwehは次のような例を挙げている。 2つの 容器に入った液体の量の多少は液体の高さによって決ま るという知識 (C1と略記)をもっている子どもがし、る。 この子どもにその反証事例と、液体の量は液体の高さと 容器の底面積の積に等しいという知識 (C2と略記)を 伝えても、子どもは納得しないであろう。なぜなら、子 どもは家庭の中で、同ーの容器に入った液体の量を比べる 際に、 C1が正しいことを経験しているからである。こ の場合、 C1とC2の聞に生じた矛盾は、それぞれがあて はまる条件を説明することによって解決する。すなわち、 それは、 2つの容器の底面積が等しい場合にはC1が成 り立つが、 2つの容器が異なる場合(高きで量の多少を 規定できない場合)にはC2が成り立つという説明であ る(ただしこの例では、 C2はどの条件でも成り立つこ と、 C1はC2の特殊なケースであることも伝える)。 ここでHashwehは、ある条件では誤った知識が成り 立つものの、別の条件では誤った知識に反する知識が成 り立つことを示す「範囲画定」が概念変容に有効である ということを述べた。したがって、学習者の誤った知識 を組み替えようとする場合、この「範囲画定」を行った ルール(以下、「範囲画定型ルール」と表現)の提示が 1つの有効な手段になると考えられる。I
範囲画定型ルー ル」は条件に応じて異なる知識が成り立つことを示した ルールで、あることから、IA
ならば、 の条件ではBであ り、 の条件ではCである」という表現形式によって記 述される。ここで、前提項Aの部分には特定の概念名が、 帰結項B、Cには誤った知識と誤った知識に反する知識 がそれぞれ記されることになる。この 「範囲画定型ルー -13-ノレ」の提示によって、次のような学習者側の反応が期待 できる。 1)過去に自分の知識が実際に正しかったのは、 条件による制約があったからであることを知ることがで きる。2)そして、条件によっては自分の知識に反する 知識が成り立つことを納得することができる。 これに対して、 一般にルールは最低二項間の関係の概 括的表現であることから、ルールでは IAならばBであ る」という表現形式によって事物の説明や属性値聞の関 係などが記述される。つまり、通常、ルールは科学的に 正しいとされる知識を IAならばBである」という表現 形式によって記述したものである。その点で、従来のルー ルは「範囲非画定型ノレール」と表現することができる。 実際、ルール学習の促進を目指した研究では、「範囲非 画定型ルール」を学習者に提示するのが一般的である。 例えば、科学的読み物を用いてルール表現のあり方を実 験的に検討した伏見 (1990) は、学習者にとって利用可 能性の高いルールの作成方針として「できる限り短く、 かつ口調のよいルール表現」など 3つの点を挙げた。し かし、これらはいずれも「範囲画定」というルールの枠 組みに言及した指摘ではなかった。 「範囲非画定型ルール」を提示した場合、次のような 結果が生じる可能性がある。それは、学習者がルールと 自らが所有する知識との間の関係を矛盾と捉え、その矛 盾をうまく解決できずに、誤った知識の方を優先させて しまうという可能性である。つまり、先に述べた① ① の反応が起こることが考えられる。 具体例に即して考えてみたい。学習者が既に何らかの 方法で誤った、あるいは不完全な知識をつくりあげてし まっていると考えられる学習内容として「固体の弾性」 がある。どんな固体も力をかけると変形し、力をかける のをやめると、変形がなくなって元に戻るという性質、 すなわち弾性をもっているが、一般にコンクリート、石、 レンガ、ガラスは弾性がないと判断されやすい(中村 1978 ;植松 1997)。これには、コンクリー卜、石、レン ガ、ガラスは力を加えても変形せず、ただ破壊が起きる だけであるという経験から導かれた知識が関係している と考えられる。実際、ガラスではこのような誤った知識 の存在が指摘されている(中村 1985)。先に述べたよう に、 一般に誤った知識は完全な誤りではなく、ある限ら れた場面や経験の範囲内では正しいものである。ここで の誤った知識も、過度に大きな力が加わった場合に限っ ていえば、決して誤りとはいえないものである。したがっ て、この誤った知識を組み替えるためには、誤った知識 そのものを否定するというよりも、破壊が起きる事態と 弾性を示す事態を場合分けして説明することが重要であ ると考える。 そのようなルールとして、「固体であれば力の大きさ に応じて弾性(ボイン)、塑性(メロメロ)、破壊(パキッ、 プツッ)と状態を変えるJ (中村 1985) というルール がある。このルールはHashwehが述べた「範囲画定」 を行っている。すなわち、ある条件(力が過度に大きい) では学習者の知識とは矛盾しない事態(破壊)が生じる ものの、別の条件(力が比較的小さい)ではその知識に 反する事態(弾性)が見られることを示している。した がって、このルールは「範囲画定型ルール」に相当する。 この「範囲画定型ルール」を提示した場合、次のような 学習者側の反応が期待できる。 1)過去にコンクリー卜、 レンガ、石、ガラスにおいて破壊の現象が顕著に見られ たのは、それらの物質に弾性がないからではなく、過度 に大きな力が加わったからであることを知ることができ る。 2)そして、条件によってはそれらの物質も弾性を 示すということを納得することができる。 これに対して、蝉性の事態だけをとりあげて記した 「固体であれば弾性がある」というルールを提示した場 合、学習者はどのような反応を示すだろうか。このルー ルは「破壊が起きるだけで弾性はない」という学習者が 所有する誤った知識に反する事態(弾性)だけをとりあ げて記述しており、「範囲固定」がなされていない。し たがって、このルールは「範囲非画定型ルール」に相当 するといえる。このタイプのルール学習に関しては麻柄 (1990) の研究が参考になる。麻柄は読み物教材を通し て大学生、中学生にこの「範囲非画定型ノレール」を教示 した。その結果、読み物でとりあげられた焦点事例(木 やガラス)に対しては、ほとんどの者が「弾性がある」 と答えたが、読み物で扱われなかった事例(石)に対し ては多くの者が誤答した。 この結果について筆者は次のように考える。すなわち、 木とガラスについては、読み物に弾性があると記されて いたため、学習者はその記述を想起するだけで容易に正 答できたと考えられる。しかし、石では、多くの学習者 が力を加えても変形せず、破壊が起きるだけであるとい う知識とルールにある「弾性がある」という知識とを矛 盾と捉え、両者を統一的に説明できずに誤った知識の方 を優先させてしまったのではないだろうか。つまり、石 に関する誤った知識自体は修正されなかった可能性があ る。先に、学習者が誤った知識を保持する場合の反応と して 3つのパターンを示した。ここでの学習者の反応は 「③提示された事例自体は受け入れるものの、その事例 を特別な事例、あるいは誤った知識の例外例と考える」 に相当すると考えられる。 A 吐 1 E A
以上の議論を踏まえ、本研究では科学的読み物の読解 において「範囲非画定型ルール」よりも「範囲画定型ルー ル」を提示する方が誤った知識の組み替えに有効である ことを確かめることにする。今回、仮説が検証されれば、 誤った知識の組み替えを促進するためにはどのような内 容・表現を伴ったルールを提示すればいいのかという問 題の解決にとって1つの手掛かりが得られることになる であろう。 実 験 I 【目的】 「範囲非画定型ルール」を提示した場合、学習者は自 らがもっ知識との聞に矛盾を感じ、誤った知識の方を選 択してしまう可能性があるが、「範囲画定型ルール」を 提示した場合には知識間の矛盾による誤った反応は生じ にくいと考えられる。本実験では、 「範囲非画定型ルー ル」よりも「範囲画定型ルール」を提示する方が誤った 知識の組み替えに有効であることを確かめる。 【方法】 ( 1 ) 学習者:福島県内の工業高等専門学校 4年生35 名。全員文系である。 ( 2 ) 実験の概要 本研究では学習内容として「国体の弾性」をとりあげ る。まず、誤った知識をもっている学習者を特定するた めに事前テストを行う。その後、提示したルールが異な る2種類の読み物をランダムに配る。その 1つは「固体 であれば力の大きさに応じて弾性(ボイン)、塑性(メ ロメロ)、破壊(パキッ、プツッ)と状態を変える」と いうルール(以下、「範囲画定型ルール」と表現)を記 した読み物 (E教材)である。もう 1つは「固体で・あれ ば弾性がある」というルール(以下、「範囲非画定型ルー ル」と表現)を記した読み物 (C教材)である。最後に 事後テストを行う。事前テスト、読み物、事後テストは それぞれ別々に冊子の形にして、各セッションの開始時 に該当する冊子を配り、終了時に回収した。なお、どの セッションも時間制限を設けなかった。事前、事後テス トでは、 1ページ目から順に進める、いったん先のペー ジに進んでから前のページに戻つてはいけない、の2点 を指示した。これら一連の手続は1998年 2月に実験者の 指示によって通常の授業時間内に行われた。所要時間は およそ50分であった。 ( 3 ) 読み物の構成 E教材、 C教材とも「ゴム→コンクリー卜」の配列順 序でそれぞれの事例を説明した。
I
ゴム→コンクリート」 の配列順序にしたのは、植松 (1997) の実験で、「コン クリー卜→ゴム」の配列順序よりも「読みやすかった」 という反応が多かったためである。なお、ゴムは弾性の あることが既に知られている事例の代表として、コンク リー卜は弾性がないと誤って認識されている事例の代表 としてそれぞれ選んだ。 E教材とC教材は提示したルールとそれに対応する事 例の説明だけが異なっている。すなわち、 E教材では 「範囲画定型ルール」が提示され、ゴムとコンクリート が力の大きさに応じて弾性、塑性、破壊と状態を変える ことが説明されている。一方、 C教材では「範囲非画定 型ルール」が提示され、ゴムとコンクリー卜が弾性を示 すことだけが説明されている。なお、両教材の全文を資 料1, 2に示す。 E教材は約3200字、 C教材は約2800字 であるl。 (4 ) 課題の構成 事前テストと事後テストはともに2つの課題、すなわ ち「事例分類課題」と「重みによる変形課題」からなる。 「事例分類課題」では、ゴム、木、ガラス、鉄、クモの 巣の糸、アルミニウム、レンガ、コンクリート、プラス チック、石のそれぞれについて弾性があると思うならば0
、ないと思うならば×、わからなければムの記入を求 めた。その際、それぞれの物質がどのようなものかをイ メージしやすいように、物質ごとに簡単な用途を示した (資料 3参照)。ここではO
をつけた場合に限り正答と した。なお、回答後、事前ではゴムとコンクリートの判 断理由を、事後ではガラスと鉄とレンガの判断理由をそ れぞれ自由記述で求めた。 「重みによる変形課題」では、新素材の物質が弾性変 形をするかどうかを尋ねた(資料4参照)。この課題は 変形を問う問題と回復を問う問題で構成されている。変 形 を 問 う (1 )の問題はI
(
イ)どの程度かわからない が 、 曲 が る 」 が 、 回 復 を 問 う (3 )の問題はI
(
ウ)ほ ぼ完全に元の形にもどる」がそれぞれ正答にあたる。な お事後に限って、回答する上で参考にした読み物の部分 を想起して書くように求めた。 l読み物の文章は、藤原忠司他 (1993) コンクリートの はなし1, II (技報堂出版)、土質工学会 (1979) 土の はなしIII(技報堂出版)、マリオ・サルパドリ一望月重 訳 (1980) 建物はどうして建っているか(鹿島出版会)、 ].E.ゴードン石川贋造訳(1991) 構造の世界(丸善) に基づいて作成した。 p h u T ム出題した課題はすべて、塑性や破壊についての知識が なくても、固体には弾性があるということを理解してい れば正答できるものである。なお、この他に、読み物の 内容を読み取っていたかどうかを判断するために、簡単 な「再生テス卜」を行った。「再生テスト」は事後テス トの冊子の最初に記した。 【結果の予想】 ①事前の「事例分類課題」では、かたくてもろいイメー ジのある石、レンガ、ガラスで特に正答者が少ないだろ う。そして、その判断理由として、力を加えても変形し にくいことや、力を加えると破壊が起きることが指摘さ れるであろう。 ②「範囲画定型ルール」の方が、学習者がもっ知識との 聞に矛盾が生じにくいため、利用可能性が高いであろう。 ノ レールとしての利用可能性の高きは事例群に対する一貫 した適用を生み出すと考えられる。したがって、「範囲 画定型ルール」を提示した場合の方が、あらかじめ誤っ て認識されている事例群(コンクリー卜、レンガ、石、 ガラス)に対する一貫正答が多く見られるであろう。 ③「範囲非画定型ルール」を提示した場合、焦点事例の コンクリー卜には「弾性がある」と答え、それ以外の石、 レンガ、ガラスには誤った知識(力を加えても変形せず、 壊れるだけである)を示す者が比較的多いであろう。 【結果と考察】 ( 1 ) 群分けと事前の課題成績 事前の「事例分類課題」でゴムに弾性があることを認 め、コンクリ一卜に弾性があることを認めなかった 33名 のうち「再生テスト」の結果から読み物の読み取りが不 十分と判断された 2名を分析の対象外とした。その結果、 E教材を読んだ E群14名、 C教材を読んだ C群17名となっ た。以下、この31名を分析の対象とする。 E群とC群の聞には、物理に対する興味度、「事例分類 課題」の事例ごとの正答率と平均正答数、「重みによる 変形課題」の正答率のいずれでも有意差は認められなかっ た。このことから、 E群とC群はほぼ等質だといえる (TABLE 1
、
2参照)。 ( 2 ) 誤った知識 事前の「事例分類課題」の結果を見ると、コンクリー 卜以外では石とレンガの正答者がどちらの群でも見られ ず、ガラスの正答率もかなり低い状態にあった。これは 大学生を対象に同様の調査を行った中村 (1978)の結果 とほぼ一致している。 事前でコンクリー卜、レンガ、石に対して一貫して 「弾性がなし、」と答えた者は29名 (94%) と多かった。 またコンクリー卜、レンガ、石、ガラスに対して一貫し て「弾性がなし、」と答えた者も 25名 (81%) と多かった。 そこでその判断理由を調べてみた。コンクリー卜に対し ては、 13名が「力を加えると割れてしまう」など壊れや すきに言及し、 10名が「力を加えても変形しなし、」など かたさに言及した。少なくともこれら23名は、コンクリー トは力を加えても変形せず、破壊が起きるだけであると いう知識をもっていたと考えられる。また、石、レンガ、 ガラスでも同様の誤った知識を想定することができる。 以上のことから、予想の①はほぼ支持されたといえる。 以下では、これら 31名を分析の対象にしても差し支えな いであろう。 TABLE 1 事前・事後での「事例分類課題」の正答者数 木 ガラス 鉄 プラスチック 月JI 後 "IJ 後 目JI 後 月JI 後 E群 7(印)14(100) 2 (14)12(86) 6 (43)13(93) 5 (36)13(93) C群 6(35)15( 88) 2 (12)10(59) 4 (24)14(82) 5 (29)11(65) クモの巣の糸 アルミニウム レンガ 石 前 後 "IJ 後 前 後 "IJ 後 E群 11(79)14(100) 5 (36)13(93) 0 (0 )14(100) 0 (0 )13(93) C群 10(59)14(82) 4 (24)12(7l) 0 (0 )13( 76) 0 (0 )10(59) ゴ ム コンクリート 10事例一貫正答 3事例一貫正答 月JI 後 前 後 "IJ 後 前 後 E群 14(100)14(100) - 14(100) - 12(86) - 13(93) C群 17(100)17(100)- 17(100) - 7 (41) - 9 (53) 注1) ( )内は%を表す。 2 )最下段のゴムとコンクリー卜が焦点事例である。 3) 13事例一貫正答」の 3事例はコンクリート、レ ンガ、石である。 TABLE2 1重みによる変形課題」の正答者数 変 形 回 復 目リ 後 円JI 後 E群 4(29) 12 (86) 4 (29) 11(79) C群 9 (53) 9 (53) 8 (47) 9 (53) 注) ( )内は%を表す。 「変形」は資料4の (1 )の 間い、「回復」は(3 )の問いをそれぞれ表す。 ( 3 ) 事後の課題成績について ①「事例分類課題」 結果を TABLE1に示す。まず焦点事例であるコンク リー卜の正答率を見ると、 E群、 C群いずれも 100%で あった。全員が読み物の叙述を受け入れたといえる。 事前テストで特に正答率が低かったコンクリート、レ-16-ンガ、石、ガラスの4事例一貫正答者数はE群で 12名 (86%) と多かったが、 C群の9名 (53%) との聞に有 意差は認められなかった。しかし、事前で正答者が一人 もいなかったコンクリート、レンガ、石の 3事例一貫正 答者数では、 E群13名 (93%) とC群 9名 (53%) の聞 に有意差が認められた (χ2二 4.16,df二 1,
p<
.05)。ま た、全10事例一貫正答者数でも、 E群は 12名 (86%) と 多く、 C群の 7名 (41%) よりも有意に多かった (χ2 =6.42 ,df=l ,p<
.05)。以上の結果から、「範囲非画定 型ルール」よりも「範囲画定型ノレール」を提示する方が 焦点事例とそれ以外の事例の一貫正答を促進するといえ る。予想、②もほぼ支持されたといえる。なお、事例ごと に見ると、石とレンガでE群の正答者数の方がC群より も多い傾向にあった(それぞれド=3.04,df=1,p
<
.10; p = .076く直接確率法>)。 次に判断理由について記す。 C群ではガラスの誤答者 7名のうち 4名が「力が強ければ壊れるから」など壊れ やすい性質を指摘したのに対して、 E群ではどの物質で もそのような判断理由は見られなかった。この結果は、 「範囲非画定型ルール」を提示すると、たとえ焦点事例 には正答しても、それ以外の事例には誤った知識をあて はめてしまいやすいことを示している。予想①もおおむ ね支持されたと考えられる。 ただし、 E群が記した正答の判断理由の中に「範囲画 定型ノレール」の内容を記したものが 1つも見られなかっ た。判断理由の半数は「範囲画定型ルール」を翻訳して 形成されたと考えられる「すべての固体、ものには弾性 がある」というものであった。残りの半数は「コンクリー 卜に弾性があるから」という理由やそれぞれの物質に関 する個別的な理由(例:I
押すと曲がると思う。そして 戻る J)であった。このように「範囲画定型ルール」に 基づく判断理由は全体の半数にすぎなかった。この点に ついて、実際は「範囲画定型ルール」を使って正答を導 いたものの、物質が固体であることと、物質に弾性があ ることとは必ずしも因果的に結びつかないため、ルール に沿って「固体だから」とは書きにくかった可能性があ る。つまり、判断理由には現われなかったものの、学習 者は「範囲画定型ルール」を知識として獲得していたと 考えられる。次の実験ではこの点を確かめることにする。 ②「重みによる変形課題J
結果を TABLE2に示す。「変形J
と「回復」のどち らの問いでも正答者は E群の方が多かったが、有意差は 認められなかった。ただし、「変形」の問いで、 E群 で は事前から事後へ正答者数が大幅に増えたのに対して、 C群では正答者数に変化がなかった点が注目される。 この課題については以下の点を検討する必要があるだ ろう。「変形」の問いで「曲がらない」と答えて誤答し たC群8名のうち4名がコンクリートの円柱の実験場面 を参考箇所に挙げた。この 4名は、円柱の変形量 (0.1 "-'0.25ミリ)があまりにも小さい値であったため、円柱 は変形していないと考えた可能性がある。そして「重み による変形課題」でも同様に変形量が小さいことを理由 に誤答したのかもしれない。一方、 E群では、読み物で 扱った円柱の変形量が比較的大きかった (0.1"-'0.6ミリ) ため、そのような誤った認識が起こりにくかったともい える。この点についても次の実験で検討する。 実 験 11 【目的】 実験11の目的は次の2点である。第ーに、 E群が「範 囲画定型ルール」について理解していることを確かめる。 第二に、 C群の誤答の多さはわずかな変形量に対する誤っ た認識に基づいている可能性があるが、この可能性は低 く、あくまでも提示ルールの違いが結果に影響したと考 えられる。この点を確かめるために、わずかな変形量で も変形していると見なすように促した叙述を読み物の中 に加えることにする。たとえその叙述を加えても、誤っ た知識の組み替えはE群においてより促進されるであろ う。 【方法】 ( 1 ) 学習者:福島県内の公立高校3年生男子38名。 全員理科系で物理は履修済みである。 ( 2 ) 実験の概要:実験Iと同じである。 ( 3 ) 読み物の構成 実験 Iで用いた読み物に以下の叙述を書き加えた。そ れ以外は同一である。 「ところで、さきほどコンクリートの円柱の縮みは1mm もなく、計測器で精密に測ってやっとわかる程度のもの だったので、『この程度の変形は、変形のうちにはいら ない』と考える人がひょっとするといるかもしれません。 しかし、これからは、このようなわずかな数値でも変形 していると考えるようにしてください」。この叙述は両 教材に挿入した(挿入場所については資料 1、 2参照)。 (4 ) 課題の構成 事後で新たに以下の課題を追加した。それ以外は実験 Iと同じ手続である。 ①物理の先生が、ある固体の物質に弾性があることを実 験で生徒たちに示そうとしましたが、その物質はある力 で圧縮したとたん、折れて壊れてしまい、実験は失敗し ました。実験はなぜ失敗したと思いますか。どうすれば-17-実験は成功すると思いますか(以後「新課題
AJ
と略記)。 この課題を加えたのは、力の大きさに応じて固体が異 なる状態を示すことを理解しているかどうかを調べるた めである。「範囲画定型ノレール」を理解しているかどう かの指標となる課題である。 ②固体とも液体ともいえない物質が人工的につくられ、 その物質に引っ張りの力を徐々に加えていったところ、 ある大きさの力のときに、ちぎれてしまいました。この 結果から、その物質には弾性があると予想しますか。そ れともないと予想しますか(以後「新課題BJ
と略記)。 この課題を加えたのは、固体でなくても「弾性がある」 と判断するかどうか、また破壊が起きることを手掛かり にして「弾性がある」と答えるかどうかを調べるためで ある。 実験は 1998年7月、通常の授業時間内にクラス担任の 先生の指示によって行われた。 【結果と考察】 ( 1 ) 群分けと事前の課題成績 事前でゴムに弾性があることを認め、コンクリートに 弾性があることを認めなかった34名のうち、焦点事例を 除いた8事例中 7事例に「弾性がある」と答えた 1名を 分析の対象外とした。その結果、 E群18名、 C群15名と なった。 E群とC群の物理に対する興味度に違いは見られなかっ た。「事例分類課題」では、 TABLE3に示したよろに、 クモの巣の糸でC群全員が正答し、 E群よりも正答者数 が有意に多かった (p=.036 く直接確率法>)。以後、 この点を考慮、しつつ分析を行うことにする。なお、それ 以外の点では両群の聞に差は見られなかった。 ( 2 ) 誤った知識 事前では、実験Iと同様、両群ともレンガと石では正 答者が見られず、ガラスの正答率も低い状態であった。 コンクリー卜、レンガ、石に対して一貫して「弾性がな い」と答えた者は30名 (91%) と多かった。コンクリー ト、レンガ、石、ガラスに一貫して「弾性がなし、」と答 えた者も 24名 (73%) と多かった。そこで、その判断理 由を調べてみた。コンクリ一卜に対しては、 9名が「変 形するほどの力を加えたら壊れるから」など壊れやすき に言及し、別の 9名が「ヲ│っ張っても押しても形が変わ らなし、から」などかたさに言及した。少なくともこれら 18名は、コンクリートは力を加えても変形せず、壊れる だけであるという知識をもっていたと考えられる。また、 石やレンガでも同様の誤った知識が想定できる。以下で はこれら 33名を分析の対象にしても差し支えないであろ う。 TABLE3 事前・事後での「事例分類課題」の正答者数 木 ガラス 鉄 プラスチック 目IJ 後 日JI 後 日IJ 後 日JI 後 E群 9(50)17(94) 3 (17)16(89) 6 (33)18(100) 11(61)17(94) C群 6(40)14(93) 3 (20)13(87) 3 (20)13( 87) 9 (60)13(87) クモの巣の糸 アルミニウム レンガ 石 前 後 月IJ 後 月JI 後 月JI 後 E群 13(72)16(89) 4 (22)16(89) 0 (0 )17(94) 0 (0 )13(72) C群 15(100)14(93) 4 (27)13(87) 0 (0) 9 (60) 0 (0 )14(93) ゴ ム コンクリー卜 10事例一貫正答 3事例一貫正答~IJ 後 目IJ 後 日JI 後 目IJ 後 E群 18(100)18(100)- 18(100) - 12(67) - 16(89) C群 15(100)14(93) - 14( 93) 8 (53) - 8 (53) 注1) ( )内は%を表す。 2 )最下段のゴムとコンクリートが焦点事例である。 3) 13事例一貫正答」の 3事例はコンクリー卜、 レンガ、ガラスである。 ( 3 )事後の課題成績について ①「事例分類課題」 結果を TABLE3に示す。ゴムとコンクリー卜につい て見ると、 C群の 1名を除いて全員が両事例に正答した。 このことから、ほとんどの学習者は読み物の叙述を受け 入れたとみなすことができる。 事前テストで特に正答率が低かったコンクリー卜、レ ンガ、石、ガラスの 4事例一貫正答者数は E群で 13名 (72%)と多かったが、 C群の 8名 (53%) との聞に有 意差は認められなかった。また全10事例一貫正答者数で、 も、両群の聞に差は見られなかった。しかし、コンクリー ト、レンガ、ガラスの3事例一貫正答者数では、 E群16 名 (89%) とC群 8名 (53%) との聞に差のある傾向が 見られた (χ2=3.58,df=1,p< .10)0 1範囲非固定型ルー ノレ」よりも「範囲画定型ルール」を提示する方が焦点事 例とそれ以外の事例の一貫正答を促進する傾向にあると いえるが、その結果はあまり明確でなかった。なお、事 例ごとに見ると、レンガでE群の正答者数の方がC群よ りも有意に多かった(ド =3.93,df=1 ,p< .05)。 次に判断理由について記す。レンガで誤答した者が C 群で6名いたが、そのうち5名が判断理由を記していた。 その5名の判断理由は以下の通りである。「割れて終わ りだから」、「もろそうだから」、「弾性があるということ がわかるような例を見たことがないから」、「コンクリー 卜も弾性があったから(わからない)J 、「固体だか液体 だか気体だかわからないから」。少なくとも最初の 2名 はレンガの壊れやすさに着目して誤答したことがわかる。 o o
-この結果は、事後に誤った知識を示した者がC群に何人 かいたことを示している。しかし、 E群でもガラスの誤 答者1名が誤った知識を示していた(
I
割れてしまうか らj)。
②「重みによる変形課題」 「変形」の問いでは正答者がE群、 C群それぞれ8名 から16名、 6名から 14名へと増えた。I
回復」の問いで もE群、 C群それぞれ7名から15名、 3名から13名へと 増えた。いずれの問いでも正答率に有意差はなかった。 ③ そ の 他 の 課 題 「新課題Ajで「力を小さく(弱く)する」と正しく 答えたのはE群では 16名 (89%) と多かった。残り2名 のうち 1名は無反応であったが、もう 1名は「加える力 が大きすぎたためJ
とほぼ正答に近い回答を示した。こ の結果から、 E群ではほとんどの者が「範囲画定型ルー ル」を理解していたと考えられる。 「新課題Bj
では、E
群18名のうち 14名 (78%) が 「弾性がある」と答えた。この結果について、 「固体に 限らずすべての物質には弾性がある」という判断基準に 基づいて答えた可能性や、破壊が起きることから単純に 「弾性がある」と判断した可能性が示唆される。しかし その一方で、 「加えた力が大きすぎたために破壊が起き たが、力が比較的小さいときには弾性を示すだろう」と、 「範囲画定型/レール」に沿って判断した可能性も考えら れる。このうちどれが妥当であるかは判断が難しし、。今 後、検討を要する。 全体的考察と今後の課題 本研究では、学習者の誤った知識を組み替えるのに有 効なルールとして「範囲画定型ノレール」をとりあげ、そ の提示効果を検討した。 2つの実験ではともに「範囲画 定型ルール」を提示した読み物と「範囲非画定型ルール」 を提示した読み物の間で結果を比較した。実験 Iでは、 「範囲非画定型ルール」を提示すると焦点事例以外の事 例に関する誤った知識が十分に修正されないこと、一方 「範囲画定型ルール」を提示すると誤った知識が修正さ れて事例群に対する一貫正答が可能になることが示され fこ。 以下では、実験11の結果から、実験Iで出された2つ の問題点について検討するとともに、それぞれの問題点 に関して今後の課題を述べる。問題点の1つ目は、「範 囲画定型ルール」を提示されたE群が「範囲画定型ルー ル」を理解していたかどうかである。 E群における「新 課題Aj の正答率が9割 (16名)であったことから、 「結果と考察」ではほとんど.の者がルールを理解してい たと考えられると記した。しかしその一方で、同じ課題 に対して「範囲非画定型ルール」を提示されたC群も 7 割 (11名)という高い正答率を示した。これは「新課題 Ajがもっ尺度としての妥当性に疑問を抱かせる結果で あることから、検討が必要である。 「新課題Aj は、ある大きさの圧縮力を加えたときに 破壊が起きてしまう固体の物質に弾性があることを実験 で確かめるためには、どのようにしたらよいかを尋ねる 課題であった。この課題では、ルールという一般的なき まりの理解を調べるために、固体の物質名を特定しなかっ た。しかし、それでも「力を加えたら破壊が起きた」、 「実験」などの文脈がE教材文中のコンクリートの圧縮 調査場面と類似していたことは否めなし、。このことは、 「新課題Aj が「範囲画定型ルール」の獲得や理解とは 独立に、E
教材の読解の尺度としての性格をもっていた ことを示唆している。また「新課題Ajでは、破壊が起 きた固体の物質には弾性があるとし、う情報があらかじめ 問いの前提として与えられていた。つまり、学習者から 見れば、誤った知識の影響を受けずに回答ができる状況 が設定されていたといえる。この点も「新課題Aj が 「範囲画定型ルール」の獲得や理解とは独立した尺度と して機能した可能性があることを示唆している。 以上のように、「範囲画定型ノレール」の理解に関して は再検討が必要である。現時点では、「事例分類課題」 の石での誤答者が5名と多かったことを考えると、 一部 の学習者は「範囲画定型ノレール」を必ずしも十分に理解 していなかったと考えるのが妥当であるように思われる。 今後は「範囲画定型ルール」に対する学習者自身の見 解、知識が十分に反映されるような課題の作成が求めら れる。このような課題の構成要素(状況設定)として、 次の2点が重要であると考えられる(この 2点は工藤 (1997) が作成した「実用論的レベルを測定するテスト」 の特徴に基づく)。①学習者が自分自身の見解を言語化 して他者に述べ伝える状況を設定する。③誤った知識に 基づいた言語行動を誘発するような状況を設定する。 「新課題Ajではこれらの状況設定が行われていなかっ た。これらの状況設定を行った課題では、学習者自身の 考えが「範囲画定型ノレール」と誤った知識のどちらに基 づいているのかを明瞭に判断することができるであろう。 実験Iで出された問題点の2つ目は、実験Iの結果が 「わずかな変形量に対する誤った認識」によって説明で きるかどうかである。この点を調べるために、実験11で は「わずかな数値でも変形していると考えるようにして くださいJ
という叙述を加えても、その影響は見られず、 群聞に有意な差が見られるであろうという予想が立てら-19-れた。しかし、「範囲画定型ルール」の提示効果は明確 でなく、予想は十分に支持されなかった。この結果から、 実験Iで示された群聞の差は多少とも「わずかな変形量 に対する誤った認識」に基づいていることが示唆される。 しかしその一方で、実験11ではコンクリ一卜、レンガ、 ガラスの 3事例一貫正答が「範囲画定型ルール」の提示 によって促進される傾向にあったのも事実である。した がって、「範囲画定型ルール」を提示することの有効性 を否定することはできず、この問題については今後も議 論することが必要であろう。 今後、「範囲画定型ルール」の提示効果を検討する上 で改善すべき点を挙げておく。既に述べたように、実験 11では「事例分類課題」の石での誤答者が 5名と多かっ た。しかも、 10事例のうち石にだけ誤答した者が 5名中 3名もいた。このことから、学習者にとっては石に対す る「範囲画定型ノレール」の適用が最も難しかったものと 思われる。恐らく、それは10事例のうち石が最もかたく て壊れやすいというイメージにあてはまる物質であった からだと思われる。このように、一部の学習者は石の属 性を破壊だけでなく、弾性にまで拡大して理解していな かった。石が固体であることは学習者にとって既知であ ることから、この問題は「範囲画定型ルール」の内包の 拡大的理解が不十分であったことを反映していると考え られる。 この問題に対して現時点では次のように考える。既に、 ノレールの外延を広げようとする場合、事例の提示順序を 学習者の知識と一致する事例から一致しない事例へと配 置する教授ストラテジーが考え出され、その効果が示さ れている(伏見・麻柄 1993、荒井 1995)。ルールの内 包を広げようとする場合にも、これと同じ考え方をあて はめてみることができる。すなわち、今回「範囲画定型 ルール」の内包は弾性から塑性、そして破壊へと弾性を 起点にして記述されたが、それを学習者の知識と一致す る破壊を起点とした表現に改めることが可能である。そ れは例えば、「固体ならば、過度に大きな力が加わった 場合には破壊が起き、それよりも弱い力が働いた場合に は弾性を示す」という表現の「範囲画定型ルール」であ る。この改善のねらいは、破壊が一定条件下でのみ起き ることを、弾性があることを理解する上での手掛かりと してより明確に位置づける点にある。このようなルール 表現によって実際に内包の拡大が促進されるかどうかは 今後の課題であるが、この改善によって「範囲画定」が より明確化されることは確かである。今後、このような 改善を念頭に置いた上で、「範囲画定型/レール」の提示 効果に関する仮説を検討することが求められるであろう。 【引用文献】 荒井龍弥 1995学習援助のストラテジ一宇野忍(編) 授業に学び授業を創る教育心理学 中央法規 Pp.161-206.
Chinn,C.A. & Brewer, W .F. 1993 The role of anomalous data in knowledge aCQuisition : A theoretical framework and implications for science instruction. Review of Educational Research, 63(1), 1 -49. グリン,S.M.,イェーニィ,R.H.&ブリ ットン,B.K. 武村重和(監訳) 1993第1章 理 科 学 習 に お け る構成主義的見解,理科学習の心理学 子どもの見方と考え方をどう変容させるか 東洋館出版社 Pp.13-30.
(Glynn, S.l¥
ι
, Yeany,R.H. & Britton,B.K. 1991 The psychology of learning science. Hillsdale, NJ:Lawrence Erl baum Associates.) Hashweh,M.Z. 1986 Toward an explanation of conceptual change. European ]ournal of Science Education, 8 (3) ,229--249. 細 谷 純 1976課題解決のストラテジー藤永保(編) 思 考 心 理 学 大 日 本 図 書Pp.136-156. 細 谷 純 1996教 科 学 習 の 心 理 学 中 央 法 規 伏見陽児・渡辺美砂・岩崎哲郎 1990 ルール表現の違いが学習に及ぼす効果一「慣性の 法則」をとりあげてー茨城キリス卜教大学紀要, 24, 53-65. 伏見陽児・麻柄啓一 1993授業づくりの心理学 国土社 ]ohsua,S.&
Dupin,].].1987 Taking into accountstudent conceptions in instructional strategy : An example in physics. Cognition and Instruction, 4 (2) , 117-135. 工藤与志文 1997文章読解における「信念依存型誤読」 の生起に及ぼすルール教示の効果一科学領域に関 する説明文を用いて一教育心理学研究, 45(1), 41-50. 麻柄 啓一 1990法則学習における日常的事例の効果 千葉大学教育学部研究紀要, 38 (1), 65-75. Minstrell,].1982 Explaining the“at rest" condition of an object. The Physics Teacher, 20,10-14. 中村 敏弘 1978青年の自然、認識について 宮城教育大学紀要, 13,44-53. 中村 敏弘 1985ガラス棒で弾性を高橋・鈴木・若生 (共編)やさしくて本質的な理科実験3評論社32-35.
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I
固体の弾性」学習を援助するテキス 卜構成, 日本教育心理学会第39回総会発表論文集, 512. 謝辞 本稿を作成するにあたり、東北大学教育学部の宇野忍 先生、工藤与志文先生から多くの助言を頂きました。深 くお礼申し上げます。また実験の実施を快く引き受けて くださった小沼仁一先生に心から感謝申し上げます。 資料 1: E教材全文 ヲ│っ張ったり押したりすれば変形し、引っ張ったり押 したりするのをやめると、すぐにほぼ完全に元の形、長 さにもどる性質のことを弾性といいます。弾性のある物 質としてはゴムが有名で、輪ゴムやゴムのスポンジは日 常よく使う代表的なゴム製品です。輪ゴムを手で引っ張 ると、輪ゴムは引っ張りの状態にあって、より長くなり ます。ゴムのスポンジを手で押すと、スポンジは押した 方向により短くなり、圧縮の状態にあります(図省略)。 パンジージャンプという遊びを知っていますか。地上 50mほどの高さの橋やジャンプ台から地面や水面近くま で一気に飛び降りる冒険ジャンプのことです。パンジー ジャンプでは、体を安全に支えるロープやひもが必要で すが、どのような材料の「命綱」が使われているでしょ うか。実はゴムひもを「命綱」に使っています。伸び縮 みの大きなゴムひもを両足に固定して飛び降りるので、 体に大きな衝撃がかかることなく、安全に空中遊泳を楽 しむことができます。では、パンジージャンプのゴムひ もは、ジャンプをするとどのくらい長さが伸びるでしょ うか。 長さ1m、太さ(断面積) 1 cm2のゴムひもにぶらさ がったときの伸びを調べてみましょう。また、体の重み がなくなればゴムひもは元の長さにもどるかどうかを調 べてみましょう。調査に参加してくれたのは次の 4人で す(図省略)。 調査結果は次のようになりました。 ①きとる ①おさむ ①まさし @先生 体重 20kg 40kg 50kg 70kg 伸び 40cm 80cm 250cm 切れた 元にもどる もどった もどった もどらなかった かどうか 比較的体重の軽いさとる君とおさむ君のときは、ゴム ひもは体が重くなればなるほど大きく伸び、体の重みを 取り除くと元の長さにもどりました。しかし、 50kgのま さし君がぶら下がると、ゴムひもは一気に250cmも伸び、 体の重みを取り除いてもゴムひもは元の長さにもどりま せんでした。ゴムひもは伸びきってしまい、約100cmの 伸びが残りました。そして、次に体重70kgの先生が新 しいゴムひもにぶら下がると、さらに伸びが大きくなり、 ゴムひもは耐えきれずにとうとう切れてしまいました。 このようにゴムは力の大きさによって状態が変わりまし た。力が比較的小さいときは弾性を示しますが、過度な 力が加わると弾性を示さず、力がなくても変形が残って しまいます。そしてさらに大きな力が加わると、今度は 耐えきれずに切れてしまいます。 ゴムは力の大きさに応じて、 「ボイン」→「メロメロ」→ 「プツッ」と状態を変える。 (弾性) (変形が元にもどらない) (破壊) ゴムは比較的小さな力でも大きく伸びるやわらかい物 質です。ゴムがもっ 「小さな力で大きく伸びる」という 性質は、日常どのような場面で生かされているでしょうヵ
、
。
最近、高い建物を建てるとき、地盤と建物の聞にゴム などでできた装置がとりつけられています(図省略)。 このゴム製の装置は免震(めんしん)装置といいます。 このように建物と地盤を切り離しておけば、たとえ地震 で地盤が激しく小刻みに揺れても、建物には揺れが伝わ りにくくなります。実際、地盤が激しく揺れても、ゴム 製の装置が建物を左右にゆっくりと大きく揺らすので、 建物が地盤と同じ速さで揺れることがありません。また、 ゴム製なので、地震の後で建物を元の位置にもどしてく れます。ゴムは大きく変形することで地震の衝撃を「に がし」、建物全体の安全を守ります。 次に、コンクリートについて考えてみましょう。コン クリー卜はセメントというドロドロした糊(のり)で砂 や小石をくっつけてかためたものです(図省略)。主に 建物の柱やはり、橋のけたや脚、ダム、堤防、線路の枕 ワ ω木(まくらぎ)などの材料として使われています。果た してコンクリ一卜には弾性があるでしょうか。そのこと を考えるために、まず新築住宅の工事現場を見てみましょ う。工事の最初にできるのが、コンクリー卜の壁で固ま れた図のような基礎です(図省略)。この基礎であるコ ンクリー卜の壁は右図のように直接地面に埋め込まれ、 その上に家の柱や土台や壁がとりつけられることになり ます(図省略。) この図からわかるように、建物全体の 重み、建物の中に収容される物や人の重み、屋根に積も る雪の重みなどは、土台をはさんでコ ンクリー卜の基礎 に伝わります。コンクリー卜の基礎は、それらの重みを 受けると、縮むでしょうか。縮んだ場合、重みが取り除 かれると、 元の長さにもどるでしょうか。 話を簡単にするために、図のような直径lOcm,高さ20 cmのコンクリー卜製の円柱(図省略)を試験機にセット し、圧縮しようとする力をかけて、徐々に力を大きくし ながら、円柱の縮みを計測器で測って調べましょう。そ の結果は次のようになりました。 ① ① ① @ 圧縮力(11l11'あたり)200kg 400kg 800kg 800kg以上 縮んだ長さ 0.1ミリ 0.2ミリ 0.6ミリ 割れた 元にもどるか もどった もどった もどらなかった
一
一
どうか ①と②の比較的小さな圧縮力のときは、圧縮力が大き くなればなるほど、縮み方も大きくなり、力を取り除く と元の長さにもどりました。しかし、 ③で過度の力を加 えると、コンクリー卜はさらに変形が進み、力を加える のをやめても、もう完全には元の長さにはもどりません でした。そして、④でより大きな力を加えると、 突然ひ びが入り、壊れてしまいました。 コンクリ一卜は力の大きさに応じて、 「ボイン」→ 「メロメロ」 → 「パキッ」と状態を変える。 (蝉性) (変形侃にもどらない) (破壊) コンクリー卜が建築材料として使われると様々な力や 衝撃を受けて壊れてしまうのではないかと心配ですが、 ちゃんと弾性の範囲内で変形するように設計がされてい るので安心です。 ところで、さきほどコンクリートの円柱の縮みは1mm もなく、計測器で精密に測ってやっとわかる程度のもの忍
之
主会主斗三
ゑ意思会支援ぬ窓懸念三三回数点
ないlと考える人がひょっとするといるかもしれません。 しかし、これからは、このようなわずかな数値でも変形 していると考えるようにしてください。 コンクリー卜製の柱や床は、力や衝撃を受けても伸び 縮みが小さいので、住んでいる人には快適で安全ですが、 ゴム製の柱や床はコンクリー卜とは逆に伸び縮みが大き いので、使いにくく危険です。ですから、 コンクリー卜 は建築材料にふさわしいといえます。 コンクリートの伸びや縮みはわずかですが、力や衝撃 に対してとても重要な役割を果たしています。まず、伸 びゃ縮みは物体の破壊を防いでいます。例えば、 高層ビ ルに強風が吹きつけると、最上階にいる人は大きな揺れ を感じます。新宿の高層ビルは、風速54mの風を受けた とき、片側に20cmほど揺れたそろです。このようにコン クリー卜製の壁がかたむくと(図省略)、コンクリー卜 はその変形を元にもどそうとして抵抗するようになりま す。そのため、変形が大きくなってピルが壊れるという ことがありません。そして、風がなくなれば元の形にも どります。こうして衝撃を「にがし」て破壊を防ぎます。 もう 1つの役割は、物の重みをしっかりと支えるとい うことです。例えば、空港滑走路では、 400トンもある ジャンボジェット機の重みでコンクリー卜製の滑走路が 多少押し曲げられます。コンクリートの上に力が加わる と、下に折れ曲がろうとする力が働く(図省略)のと同 じ状況です。このとき、コンクリー卜はその変形を元に もどそうとして抵抗するため、 ジャンボジェッ 卜機の重 みをしっかりと支えることができます。もし滑走路がほ とんど弾性のない油粘土でできていたら、どんなに油粘 土が厚くても重みをしっかりと支えることができません。 油粘土は重みに抵抗できず、回復不可能な形になってし まうからです。 ゴムやコンクリー卜を例に説明してきましたが、これ まで述べたことは固体すべてにある程度あてはまります。 固体は力の大きさに応じて状態が変わります。すなわち、 力が比較的小さいうちは力の増大とともに変形も大きく なり、力がなくなると元の形、長さにもどります (1ボ イン」状態)。しかし、弾性の限界を超える力がかかる と、力を取り除いても変形は完全に元にもどりません (「メロメロ」状態)。そしてさらに力が大きくなると、 最終的には破壊が起きます(
1
プッツン・パキッ」状態)。 また、弾性の範囲内で示す固体の変形には、衝撃を「に がしjて破壊を防ぐということと、物の重みをしっかり と支えるという役割があります。 注1)2つの表と下線部のみが C教材と異なっている。 つ 臼 つ 山2 )波線をヲ│いた段落は実験 IIで挿入した。 資料 2 : C教材全文 ヲ│っ張ったり押したりすれば変形し、引っ張ったり押 したりするのをやめると、すぐにほぼ完全に元の形、長 さにもどる性質のことを弾性といいます。弾性のある物 質としてはゴムが有名で、輪ゴムやゴムのスポンジは日 常よく使う代表的なゴム製品です。輪ゴムを手で引っ張 ると、輪ゴムは引っ張りの状態にあって、より長くなり ます。ゴムのスポンジを手で押すと、スポンジは押した 方向により短くなり、圧縮の状態にあります(図省略)。 パンジージャンプという遊びを知っていますか。地上 50mほどの高さの橋やジャンプ台から地面や水面近くま で一気に飛び降りる冒険ジャンプのことです。パンジー ジャンプでは、体を安全に支えるロープやひもが必要で すが、どのような材料の「命綱」が使われているでしょ うか。実はゴムひもを「命綱」に使っています。伸び縮 みの大きなゴムひもを両足に固定して飛び降りるので、 体に大きな衝撃がかかることなく、安全に空中遊泳を楽 しむことができます。では、パンジージャンプのゴムひ もは、ジャンプをするとどのくらい長さが伸びるでしょ うか。 長さ1m、太さ(断面積)1 cm2のゴムひもにぶらさ がったときの伸びを調べてみましょう。また、体の重み がなくなればゴムひもは元の長さにもどるかどうかを調 べてみましょう。調査に参加してくれたのは次の4人で す(図省略)。 調査結果は次のようになりました。 ①たけし ①まちこ ①ひろき @きとし 体重 25kε 30kg 35kg 40kg 伸び 5~m 6~m ro~ W~ 元にもどる もどった もどった もどった もどった かどうか ゴムひもは体が重くなればなるほど大きく伸び、体の 重みが取り除かれると元の長さにもどりました。さとし 君がぶら下がったときは、 80cmも伸びて元の長さの倍 近くになりましたが、それでもゴムひもはちゃんと元の 長さにもどりました。このことから、ゴムには弾性があ るということがわかりました。 ゴムには弾性がある(
I
ボイン」状態)。 ゴムは比較的小さな力でも大きく伸びるやわらかい物 質です。ゴムがもっ「小きな力で大きく伸びる」という 性質は、日常どのような場面で生かされているでしょう か。 最近、高い建物を建てるとき、地盤と建物の聞にゴム などでできた装置がとりつけられています(図省略)。 このゴム製の装置は免震(めんしん)装置といいます。 このように建物と地盤を切り離しておけば、たとえ地震 で地盤が激しく小刻みに揺れても、建物には揺れが伝わ りにくくなります。実際、地盤が激しく揺れても、ゴム 製の装置が建物を左右にゆっくりと大きく揺らすので、 建物が地盤と同じ速さで揺れることがありません。また、 ゴム製なので、地震の後で建物を元の位置にもどしてく れます。ゴムは大きく変形することで地震の衝撃を「に がし」、建物全体の安全を守ります。 次に、コンクリ一卜について考えてみましょう。コン クリートはセメン卜というドロドロした糊(のり)で砂 や小石をくっつけてかためたものです(図省略)。主に 建物の柱やはり、橋のけたや脚、ダム、堤防、線路の枕 木(まくらぎ)などの材料として使われています。果た してコンクリー卜には弾性があるでしょうか。そのこと を考えるために、まず新築住宅の工事現場を見てみましょ う。工事の最初にできるのが、コンクリートの壁で固ま れた図のような基礎です(図省略)。この基礎であるコ ンクリー卜の壁は右図のように直接地面に埋め込まれ、 その上に家の柱や土台や壁がとりつけられることになり ます(図省略)。この図からわかるように、建物全体の 重み、建物の中に収容される物や人の重み、屋根に積も る雪の重みなどは、土台をはさんでコンクリートの基礎 に伝わります。コンクリートの基礎は、それらの重みを 受けると、縮むでしょうか。縮んだ場合、重みが取り除 かれると、元の長さにもどるでしょうか。 話を簡単にするために、図のような直径10cm,高さ 20 cmのコンクリート製の円柱(図省略)を試験機にセット し、圧縮しようとする力をかけて、徐々に力を大きくし ながら、円柱の縮みを計測器で測って調べましょう。そ の結果は次のようになりました。 ① ① ① @ 圧縮力(lcm!あたり) 200kg 300kg 400kg 500kg 縮んだ長さ 0.1ミリ 0.15ミリ 0.2ミリ 0.25ミリ 元│ともどるか もどった もどった もどった もどった どうか コンクリートは圧縮力が大きくなればなるほど、縮み 方も大きくなり、力を取り除くと元の長さにもどりまし た。縮んだ長さはわずかでしたが、力をかければ確実に 変形し、力がなくなればまた元にもどることがわかりま-23-した。コンクリートにも弾性があるのです。 コンクリー卜には弾性がある(
i
ボイン」状態)。 ところで、さきほどコンクリートの円柱の縮みは1mm もなく、計測器で精密に測ってやっとわかる程度のもの怠之主会主ふよ三笠恵庭
2
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していると考えるようにしてください。 コンクリー卜製の柱や床は、力や衝撃を受けても伸び 縮みが小さいので、住んでいる人には快適で安全ですが、 ゴム製の柱や床はコンクリートとは逆に伸び縮みが大き いので、使いにくく危険です。ですから、コンクリート は建築材料にふさわしいといえます。 コンクリートの伸びや縮みはわずかですが、力や衝撃 に対してとても重要な役割を果たしています。まず、伸 びや縮みは物体の破壊を防いでいます。例えば、高層ビ ルに強風が吹きつけると、最上階にいる人は大きな揺れ を感じます。新宿の高層ビルは、風速54mの風を受けた とき、片側に20cmほど揺れたそうです。このようにコン クリー卜製の壁がかたむくと(図省略)、コンクリー卜 はその変形を元にもどそうとして抵抗するようになりま す。そのため、変形が大きくなってピルが壊れるという ことがありません。そして、風がなくなれば元の形にも どります。こうして衝撃を í~こがし」て破壊を防ぎます。 もう 1つの役割は、物の重みをしっかりと支えるとい うことです。例えば、空港滑走路では、 400トンもある ジャンボジェッ卜機の重みでコンクリ一卜製の滑走路が 多少押し曲げられます。コンクリートの上に力が加わる と、下に折れ曲がろうとする力が働く(図省略)のと同 じ状況です。このとき、コンクリ一卜はその変形を元に もどそうとして抵抗するため、ジャンボジェッ卜機の重 みをしっかりと支えることができます。もし滑走路がほ とんど弾性のない油粘土でできていたら、どんなに油粘 土が厚くても重みをしっかりと支えることができません。 油粘土は重みに抵抗できず、回復不可能な形になってし まうからです。 ゴムやコンクリートを例に説明してきましたが、これ まで述べたことは固体すべてにある程度あてはまります。 固体には弾性があります。すなわち、固体は加えられる 力が大きくなれば、それに応じて変形も大きくなり、力 がなくなれば、また元の形、長さにもどります (iボイ ソ」状態)。また、固体の変形には、衝撃を「にがし」 て破壊を防ぐということと、物の重みをしっかりと支え るという役割があります。 注1) 2つの表と下線部のみが E教材と異なっている。 2 )波線をヲ│し、た段落は実験IIで挿入した。 資料 3 各物質の用途 ・ゴム:輪ゴム、タイヤ、ゴムひも、ゴム栓 ・木:建物の柱、はり、天井、床、階段、たな、家具 ・ガラス:窓ガラス、びん、皿、工芸品、理科の実験用 器具 ・鉄:高層ビルの柱、はり、橋のけた、鉄塔の骨組み、 針 金 ・クモの巣の糸:飛び込んでくる虫をとらえる ・アルミニウム:窓わく、 ドア、手すり、ベランダ、缶 ・レンガ:建物の壁、床、柱、アーチ橋 ・コンクリー卜:建物の柱、はり、壁、床、橋のけた、 橋を支える脚、ダム ・プラスチック:雨どい、パイプ、防水シート、照明器 具 ・石:石垣、墓、階段、建物の柱、壁、アーチ橋 資料4i
重みによる変形課題」 ある新素材が開発されました。実験により、その素材 は鉄と同じくらいかたいこと、鉄よりもじようぶで壊れ にくいこと、そして弾性のあることがわかっています。 下の絵(省略)はその実験場面を表していて、新素材 でつくったテーブルの上に辞書一冊(約 1kg) がのせて あります(テーブルは辞書をのせても壊れないと考えて ください)。 (1)テーブルの表面は辞書一冊の重さで下に曲がると 思いますか。 ア)曲がらない イ)どの程度かわからないが、曲がる ウ)よくわからない エ)その他(自由に書いて) (2) (1)でア)にO
をつけた人だけ答えてください。 イ)やウ)にO
をつけた人は答えないでください。どう して「曲がらない」と思いましたか。 ア)素材が鉄と同じくらいかたいから。 イ)辞書一冊では軽すぎるから ウ)なんとなく エ)その他(自由に書いて) (3) (1) でイ)にO
をつけた人だけ答えてくださし、。 ア)やウ)にO
をつけた人は答えないでください。辞書 a u z n ノ 臼をテーブルからとりのぞくと、テーフ'ルの表面の形はど うなると思いますか。 ア)まったく変化せず、曲がったまま イ)完全に元の形にもどるわけではなく、少しだけ元 の形にもどる ウ)ほぼ完全に元の形にもどる エ)その他(自由に書いて) に d ワ u
EFFECTS OF PRESENTING THE RULE INVOL VING THE PROCESS OF DEMARCA TION ON CHANGING LEARNERS' MISCONCEPTIONS
INTO SCIENTIFIC CONCEPTIONS
,...__LEARNING FROM SCIENCE TEXTS ON
‘
ELASTICITY IN SOLIDS',...__Kimitake Uematsu
(Graduate School of Education, Tohoku University)
The purpose of this study was to attempt changing learners' misconceptions into scientific conceptions by usingscience texts. The textsused in this study were written on the subject of ‘elasticity in solids' . Many of the learners in this study (senior high school students and technical college students) incorrectly believed that solid substances such as concrete, brick, stone and glass have no elasticity because they are stiff and easy to break. The learners were randomly assigned to one of two groups formed from two levels of the rule of
‘
elasticity in solids' so that the learners could change their misconceptions. One of the two groups read the text describing the rule that was characterized by the process of demarcation : showing the ‘domain of explanation' of each conception (the misconception and the new conception). The rule was the following:‘If it is solid, it shows elasticity, plasticity and destruction according to increase in force on it' . This rule was adopted to promote the understanding of the relationship民tweensolid substances and elasticity by the process of demarcation. The other group read the text describing the rule that simply referred to the relationship between solid substances and elasticity without the process of demarcation :‘If it is solid, it has elasticity' .Results suggested that 1) the rule that was characterized by the process of demarcation was likely to be more effective at fostering the stable solution to the problems related to concrete, brick, and glass,
2) the rule that simply referred to the relationship between solid substances and elasticity was less useful for correcting learners' misconceptions. However, it was discussed that the rule involving the process of demarcation wasn' t useful enough for some learners, and thus it might be necessary to improve the expression of the rule.
Key words: instructional strategies, learners' misconceptions, conceptual change