• 検索結果がありません。

筆者の工夫のよさを生かして、自分の意見を伝えよう

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "筆者の工夫のよさを生かして、自分の意見を伝えよう"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

第6学年○組 国語科学習指導案

指導者 ○○ ○○ 1 単元名 筆者の工夫のよさを生かして、自分の意見を伝えよう (教材文:『平和のとりでを築く』大牟田 稔/光村図書) 2 指導観 ○ 本学級の子どもたちは、1学期の「生き物はつながりの中に」の学習で、筆者の論理的な文章構成の工夫(以 下:筆者の工夫)をとらえ、学習した筆者の工夫「比較(類比・対比)」を生かして意見文を書く学習を経験し ている。その結果、83%の児童が教材文の内容と構成を読み取ることができるようになっている。しかし、筆 者が自らの意見を読み手に納得させるためにどのように事実を構成しているか筆者の工夫をとらえることがで きる児童は 67%、筆者の工夫の効果について判断することができる児童は 55%しかいない。その原因としては、 教材文の内容について考えをもちながら読むことはできていても、教材文の論理的な文章構成の工夫について 考えをもちながら読む能力が十分ではないことが考えられる。よって、自らも読み手に分かりやすいように論 理的な文章構成を工夫して考えを書くことができない。これらのことから、教材文の内容理解だけではなく、 筆者の工夫をとらえその効果を判断し、自らの表現に生かす能力を育成することは、児童の実態にふさわしい と考える。 ○ 本単元では、「筆者の工夫の効果を判断し、自らの表現に生かす」能力を育てることをねらいとする。本単元 の教材文「平和のとりでを築く」は、「原爆ドームの説明(事実1)」「原爆ドーム永久保存へ(事実2)」「原爆 ドームを世界遺産に(事実3)」の3つを事実として挙げ、事実2と3を結論を支える事実として、核兵器の保 持・使用禁止、さらには戦争を許さず、平和を守る強い意志を築く大切さをうったえている。本単元で児童に とらえさせたい筆者の工夫は3つである。1つ目は、結論を支える事実として事実2と3を述べている「理由 づけ(事実と結論)」の工夫である。2つ目は、11 段落後半の筆者の考えを支える事実として、11 段落前半で 筆者の不安が無用であったことを述べている「理由づけ(事実と思い)」の工夫である。3つ目は、結論に向か って原爆ドームに関心をもつ人々が広島から世界へと広がっているように感じさせる効果をねらって、事実2 と3を順序づけて並べている「順序」の工夫である。このような教材文に含まれる特徴的な筆者の工夫をとら え、その効果を判断し、単元の終末において筆者の工夫の効果を判断したことをもとに適切な内容と構成で意 見文を書くことは、筆者の工夫の効果を判断し、自らの表現に生かす能力を育てることにつながると考える。 ○ 本単元の指導は PISA の読解プロセスである「情報の取り出し」「解釈」「熟考・評価」「論述(表現)」の4つ の段階で単元を構成して行う。そして、児童が、「熟考・評価」までの段階で、「平和のとりでを築く」の中で 筆者が読み手に結論を納得させるために工夫した「理由づけ」と「順序」の工夫をとらえ、その効果を判断す ることができるようにする。最後の「論述(表現)」の段階では、「理由づけ」と「順序」の工夫を使うことで 自らが述べたい結論が相手に効果的に伝わるかどうかを考えて、5年生に○小の上級生の心を伝える意見文を 書くことができるようにする。そのために、教材文の内容と構成を分かりやすく整理する「意味関係図」を活 用した学習指導を展開し、その効果を上げるために単元の各段階で以下のように手だてをうつ。 まず、「情報の取り出し」の段階では、モデル文を手だてとして用いる。児童にモデル文の結論と結論を支え る事実、付加、感想等を区別させ、情報を分類する視点をつかませることで、教材文の結論(12・13 段落)と 結論を支える事実(事実1・2・3)を意味関係図のカードに書き出すことができるようにする。 次の「解釈」の段階では、比べ読み資料を手だてとして用いる。児童に教材文と比べ読み資料を類比して読 ませ、共通する筆者の工夫を見いださせることで、教材文に含まれる「理由づけ」と「順序」の工夫とその意 図をとらえ、意味関係図に書き込むことができるようにする。 さらに、「熟考・評価」の段階では、置き換え例を手だてとして用いる。児童に、教材文と同じ「理由づけ」 と「順序」の工夫を使った置き換え例に対する疑問や矛盾を感じさせることで、意味関係図の記述を根拠にし て教材文の筆者の工夫の効果を判断し、より結論に納得できる改善案を考えることができるようにする。 最後の「論述(表現)」の段階では、意見文の題材を手だてとする。児童に、自らの意見文に「理由づけ」や 「順序」が使えるかどうかを判断する必然性が生じる題材を設定することで、適切な内容と構成で自らの意見 文の構成と意図を意味関係図に書き込むことができるようにする。

(2)

2 3 目標 ○ 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」の筆者の工夫のよさを生かして、読み手に納得してもらえ る意見文を書くという目的をもち、計画的に学習を進めようとすることができるようになる。【関心・意欲・態度】 ◎ 結論と結論を支える事実をつかみ、「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」の筆者の工夫をとらえ、 筆者の意図を見抜くことができるようになる。【読むこと イ】 ◎ 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」の筆者の工夫の効果を判断することができるようになる。 【読むこと オ】 ○ 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」の工夫の効果を判断しながら、適切な内容と構成で意見文 を書くことができるようになる。【書くこと イ】 ○ 文章を特徴付ける語句どうしの関連を理解することができるようになる。【言語についての知識・理解・技能】 4 単元計画(総時数16時間) *段階の(数字)、学習活動と内容の丸数字は時数 段階 学習活動と内容 指導上の留意点 評価規準 単 元 設 定 ( 1 ) 1 単元の「ゴールの活動」を設定し、「読みの課題」 をつくり、学習の見通しを立てる。① ○ 卒業までに最上級生として学校のためにしたい ことについて話し合い、「ゴールの活動」を設定す る。 【ゴールの活動】 卒業しても大切にしてもらいたい○小の上級生の 心を意見文に書いて5年生に伝えよう。 ○ 「平和のとりでを築く」読み、教材文で学んだこ とを生かして意見文を書くことを確認して読みの 課題をつくり、学習の見通しをもつ。 【読みの課題】 筆者は、結論を読み手に納得させるために、どのよ うな工夫をしているのだろうか。「平和のとりでを築 く」の中の筆者の工夫を読み取り、そのよさや改善点 を考え、自分の意見文に生かそう。 <学習計画> ○ 目的をもって読むことがで きるように、「ゴールの活動」 を設定する。 ○ 読むことを通して得た力を 自らの表現に生かすことがで きるように、教材文で学んだ筆 者の工夫(「理由づけ(事実と 結論)・(事実と思い)」「順序」) が効果的に生かされ、相手を説 得する切実感が伴う生活上の 課題を書く題材に設定する。 ○ 読みの課題を作ることがで きるように、自分たちが書く意 見文の特徴と「平和のとりでを 築く」の述べ方の特徴の共通性 に気づかせる発問を行う。 【関】「ゴールの 活動」に意欲を もつことがで きる。 【関】教材文で学 んだことを生 かして意見文 を書くために、 筆者の工夫を 読み取り、その 効果を判断す る読みの課題 をもつことが できる。 【関】学習の見通 しをもつこと ができる。 情 報 の 取 り 出 し ( 3 ) 2 教材文の内容と大まかな構成をつかむ。 ○ モデル文をもとに、結論と結論を支える事実の取 り出し方をつかむ。① ○ 教材文の結論と結論を支える事実を意味関係図 のカードに書き出す。① ○ 書き出したカードを整理・分類し、段落の構成を つかみ、「事実」のまとまりに小見出しをつける。 ① ・序論部:1段落 ・本論部: 事実1 2~5段落「原爆ドームの説明」 事実2 6~8段落「原爆ドーム永久保存へ」 事実3 9~11 段落「原爆ドームを世界遺産に」 ・結論部:12・13 段落 ○ モデル文の結論と結論を支 える事実、付加、感想等を区別 させ、情報を分類する視点をつ かませることにより、一人学び で教材文の結論と結論を支え る事実を意味関係図のカード に書き出すことができるよう にする。 ○ 教材文の内容に沿った小見 出しをつけることができるよ うに、教材文の中にある言葉を 使って 10 字程度の小見出しを つけるように指示をする。 【読】教材文の結 論と結論を支 える事実をカ ードに書き出 し、教材文の内 容を理解する ことができる。 【読】3つの事実 のまとまりに、 小見出しをつ け、教材文の大 まかな構成を 理解すること ができる。 (1) 「平和のとりでを築く」の内容と大まかな構成を読み取ろう。<情報の取り出し> (2) 読み手を結論に納得させるための筆者の工夫を見つけよう。<解釈> (3) 結論にどのくらい納得できるかを考え、筆者の工夫のよさや改善点を見つけよう。 <熟考・評価> (4) 筆者の工夫のよさを生かして、5年生に○小の上級生の心を伝える意見文を書こう。 <論述(表現)>

(3)

3 段階 学習活動と内容 指導上の留意点 評価規準 解 釈 ( 5 ) 3 筆者が読み手を結論に納得させるためにどのよ うな工夫をして文章を構成しているかをとらえる。 ○ 一人学びで、比べ読み資料と教材文に共通する筆 者の工夫(「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」 「順序」)を見いだし、教材文の筆者の工夫とその 意図を意味関係図に書き込む。② 結論を支える事実を2つ述べている …「理由づけ(事実と結論)」 (筆者の意図) 原爆ドームの説明を事実1で述べ、結論を支える 事実として事実2・3を挙げている。 心配が無用だったことを自分の考えを支える事実 としている…「理由づけ(事実と思い)」 (筆者の意図) 原爆ドームが世界遺産に決定するかどうか不安 を覚えていたが、世界の国々に認められて決定した ことから、世界の人々が平和を求める気持ちが強い と述べている。 広島から世界へと話が広がっている…「順序」 (筆者の意図) 原爆ドームに関心をもつ人々が広島から世界へ と広がっていることが分かるように事実2・3を並 べている。 ○ 一人学びで意味関係図に書き込んだことについ て全体で交流し、教材文に含まれる筆者の工夫とそ の意図を確かめる。① ○ 12 段落と 13 段落の言葉の意味を考え、書かれて いる内容を読み取る。① ○ 事実から言える結論は 12・13 段落内のどこまで かを話し合う。① ・ 私は、事実3で原爆ドームが世界遺産に認められ たことから、13 段落の「原爆ドームはそれを見る 人の心に平和のとりでを築くための世界の遺産な のだ」が言えると思うので、13 段落までが事実か ら言える結論だと思う。 ・ ぼくは、12 段落の1文目は事実2の一少女の日 記のことを言っていて、2文目は事実3の世界の 人々の平和を求める気持ちのことを言っていると 思う。しかし、13 段落に当てはまる事実がなかっ たので、事実から言える結論は 12 段落までだと思 う。 ・ ぼくは、12 段落までが事実から言える結論だと 思う。13 段落の「平和のとりでを築く」とは、「心 の中に絶対に平和を守る強い意志をもつこと」だと 思う。しかし、事実2も3も平和を守ることについ て具体的に述べられていないので 13 段落は事実か ら言える結論ではないと思う。 ○ 教材文と同じ筆者の工夫で 内容を身近で分かりやすいも のに書き換えた比べ読み資料 を提示することにより、教材文 に含まれる「理由づけ(事実と 結論)・(事実と思い)」「順序」 の工夫を見つけることができ るようにする。 ○ 筆者の意図をすぐにはつか めない児童には、比べ読み資料 をより簡単にした文章を示す ことにより、筆者の意図を見抜 き意味関係図に書き込むこと ができるようにする。 ○ 事実2と3を入れ替えて述 べてよいかどうかを問うこと により、時間的な順序だけでは なく、原爆ドームに関心をもつ 人々の広がりがわかるように 事実2・3を並べた筆者の意図 を見抜くことができるように する。 ○ なぜ、世界の人々の平和を求 める気持ちの強さを改めて感 じたのかを問うことにより、11 段落前半で「筆者の不安」を述 べて 11 段落末文の筆者の考え を強調した筆者の意図を見抜 くことができるようにする。 ○ 事実2・3と結論の整合性を 吟味する話し合いにおいて、 12・13 段落の文と対応する意 味関係図の事実のカードを示 しながら自分の考えを述べる ようにすることで、事実から言 える結論が 12 段落であること をとらえることができるよう にする。 【読】比べ読み資 料と共通する 筆者の工夫を 見つけ、意味関 係図に筆者の 工夫とその意 図を書き込む ことができる。 【読】筆者が「理 由づけ」や「順 序」の工夫を使 って文章を構 成しているこ とをとらえ、工 夫した筆者の 意図を見抜く ことができる。 【読】事実2・3 の内容と 12・ 13 段落の内容 の整合性を吟 味しながら読 み、事実から言 える結論が 12 段落であるこ とをとらえる ことができる。

(4)

4 段階 学習活動と内容 指導上の留意点 評価規準 熟 考 ・ 評 価 ( 4 )《 本 時 3 / 4 》 4 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」 の工夫の効果を判断し、改善案を考える。 ○ 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」 の工夫を使った置き換え例を読んで感じた疑問や 矛盾について話し合う。① ○ 教材文の「順序」の工夫の効果について話し合い、 自分の考えをワークシートにまとめる。① ○ 教材文の「理由づけ(事実と結論)(事実と思い)」 の工夫の効果について話し合い、自分の考えをワー クシートにまとめる。①《本時》 ○ 結論を述べるための改善案について話し合い、自 分が意見文を書くときのポイントをまとめる。① ○ 教材文と同じ筆者の工夫を 使っているが、結論を受け入れ にくい内容に変えた置き換え 例を提示することにより、教材 文の筆者の工夫の効果を判断 する必要性を感じることがで きるようにする。 ○ 自分の考えの立場を決める 欄をワークシートに設けるこ とにより、自分の立場を裏付け る根拠を意味関係図から探し、 そこから考えたことを理由と してワークシートにまとめる ことができるようにする。 ○ 教材文の内容と構成の改善 案及び意見文を書くときのポ イントを考えさせることによ り、筆者の工夫の効果を判断し て自分の意見文の意味関係図 を作成することにつながるよ うにする。 【読】意味関係図 の記述をもと に筆者の工夫 の効果につい て話し合うこ とができる。 【読】自分の考え の立場、根拠と なる意味関係 図の記述、理由 を明確に示し ながら自分の 考えをワーク シートに書く ことができる。 【読】読み手が結 論により納得 できるように、 教材文の内容 と構成につい ての改善案を つくり、自分が 意見文を書く ときのポイン トを書くこと ができる。 論 述 ( 表 現 ) ( 3 ) 5 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」「順序」 の工夫が使えるかどうかを判断し、適切な内容と構 成で意見文を書く。 ○ 自分の意見文の結論と結論を支える事実をカー ドに書き出し、文章構成と意図を意見文用の意味関 係図に書き込む。② ○ 意味関係図をもとに意見文を書く。① ◆(学活) ○ 集会で、5年生に○小の上級生の心を伝える意見 文を発表する。 ○ 児童にとって切実で「理由づ け」と「順序」の工夫を生かす ことができる題材「○小の上級 生の心を5年生に伝えよう」を 設定することにより、自分の意 見文用の意味関係図に結論と 結論を支える事実、文章構成と その意図を書き込むことがで きるようにする。 【書】自らが書く 意見文に筆者 の工夫が使え るかどうかを 判断すること ができる。 【書】適切な内容 と構成で 800 字程度の意見 文を書くこと ができる。 ・ 「理由づけ(事実と思い)」は結論の納得にあ まり効果がないと思う。筆者は、自分の考えを述 べるために不安を挙げて「心配は無用だった」と 自分の考えが強調されるように工夫をしている が、これだけでは「世界の人々が平和を強く求め ている」とは言えない。世界の人々が平和を強く 求めていると言うためには、世界の人々が具体的 にどんなことを言っているかを書かないと、多く の読み手は納得できないと思う。 (意見文を書くときのポイント) ・事実を選ぶときは、選んだ事実が結論を支える事 実になっているかどうかをよく考える。 (改善案) ・ 「理由づけ(事実と結論)」の効果が上がるよ うに、事実2の一少女の日記の後で広島の人々が なぜ永久保存運動に立ち上がったのかが分かる 事実を書くとよい。 ・ 世界の人々へのインタビューなど、世界の人々 が原爆ドームを見て強く平和を願っていること が分かる事実を入れると「理由づけ(事実と思 い)」の効果が上がると思う。 ・ 「順序」の工夫は結論の納得に効果があると思 う。事実2から3の順で述べたことから、広島か ら世界へ話が広がり、12 段落の「世界の人々に 警告する記念碑なのである」まで続いている感じ がして文章全体にまとまりがでると思う。

(5)

5 5 主眼 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」の工夫の効果について話し合うことを通して、これらの工夫は、読み 手を結論(12 段落)に納得させるためにどのくらいの効果があるかを判断することができるようにする。 6 本時の授業仮説 ・ 前々時に置き換え例を読んで指摘した疑問や矛盾が、教材文にも言えるかどうかを考えながら話し合うように すれば、教材文の筆者の工夫の効果についても疑問や矛盾を指摘することができるであろう。 ・ 意味関係図の記述(事実と結論の内容・筆者の工夫・工夫した筆者の意図)をもとに話し合うようにすれば、 教材文の「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」の工夫の効果を判断することができるであろう。 7 準備 ワークシート・意味関係図・前時に提示した置き換え例 8 展開 学習活動と内容 指導上の留意点 評価基準 1 本時のめあてをつかみ、話合いの仕方を確認する。 ○ 本時のめあてをつかむ。 ○ 話合いの仕方を確認する。 2 「理由づけ」の工夫の効果について話し合う。 ○ 前時につくった考えをもとに「理由づけ(事実と結論)」の 効果について話し合う。 ・ ぼくは、事実2が結論の理由になっていると思うので「理由 づけ(事実と結論)」の効果はあると思います。それは一少女 の日記の言葉で、「あの痛々しい産業奨励館だけがいつまでも おそるべき原爆のことを後世にうったえかけてくれるだろ う。」と書いてあるので、結論で「あの痛々しい原爆ドームは ~無言で告げている」が言えるからです。 ・ 反論があります。私は、事実2は結論の理由になっていない と思うので「理由づけ(事実と結論)」の効果はないと思いま す。それは一少女の日記の最後に「だろう」と書かれていると いうことは、原爆ドームはどんな惨害をもたらすかを無言で告 げているとは限らないからです。それに、一少女の日記の言葉 で市民も役所も「原爆ドームは原爆の恐ろしさをうったえかけ てくれる」ことに気づいて永久保存をされたので、結論の「無 言で告げている」とまでは言えないからです。 ○ 前時につくった考えをもとに「理由づけ(事実と思い)」の 効果について話し合う。 ・ 私は、「理由づけ(事実と思い)」の効果はあると思います。 それは、世界遺産に認められたことに対する筆者のうれしさの 度合いがわかり、筆者の考えである「世界の人々の平和を求め る気持ちの強さを改めて感じたのだった。」により納得できる からです。 ・ 私は、「理由づけ(事実と思い)」の効果はないと思います。 置き換え例を読んで、世界の審査に通ったら世界中の人々が賛 成しているように述べている所に疑問を感じました。だから、 教材文でも、世界の国々の審査によって世界遺産に認められた 事実から、世界の人々の平和を求める気持ちが強いと述べてい ることに疑問を感じます。 ・ 論点をずらさずに話し 合うことができるよう に、考えの根拠を必ず意 味関係図カードの番号を 示しながら発言すること を確認する。 ・ 自分の生活経験から意 見を述べる児童がいた場 合は、意味関係図のどの 部分からそう考えたのか を問い、意味関係図の記 述をもとに発言すること ができるようにする。 ・ 前時に提示した置き換 え例で感じた疑問や矛盾 を想起しやすいように、 教室の壁面に学びのあし あとを掲示しておく。 ○ 教材文の筆者の工夫に ついて「効果がない」と いう立場で発言した児童 に、そう判断した理由を 置き換え例で説明するよ うに促すことで、異なる 立場の児童も教材文の筆 者の工夫に疑問や矛盾を 見いだすことができるよ うにする。 【読】話合いで考 えを述べると きに、意味関係 図をもとに、説 得力がある(整 合 性 が 高 い ) (論理性があ る)理由を挙げ ながら、事実 2・3が結論を 支える効果に ついて判断す ることができ る。 【読】話合いで考 えを述べると きに、意味関係 図をもとに、説 得力がある(整 合 性 が 高 い ) (論理性があ る)理由を挙げ ながら、心配は 無用だったこ とを述べるこ とが筆者の考 えを支える効 果について判 「理由づけ(事実と結論)・(事実と思い)」を使って文章を 構成したことは結論に納得するためにどのくらい効果があっ たと言えるかを考えよう。 ・「似ています」「付け加えます」「わかりやすく説明します」 「まとめます」などの応援する言葉をつないで発言しよう。 ・質問や反論をどんどん出そう。 ・意味関係図を使って自分の考えを話そう。

(6)

6 ・ ぼくも、あまり効果がないと思います。置き換え例を読んだ とき、不安なことを言われても筆者の考えや結論に納得できま せんでした。それと同じで、事実3の前半で世界遺産に決定し にくい不安なことを言うよりも、原爆ドームの価値をもっとア ピールした方が筆者の考えにも結論にも納得できると思うか らです。 ・ でも、筆者が原爆ドームの価値をアピールしても、不安を述 べることと変わらないと思います。事実3では、筆者が原爆ド ームをどう思っているかではなく、世界の人々がどう思ってい るのかを書かないと筆者の考えにも結論にも納得できないと 思います。 3 納得度を判定し、「理由づけ」の工夫の効果についてワーク シートに自分の考えをまとめる。 4 本時の学習のまとめをする。 ○ まとめた考えを交流し、「理由づけ」の効果についてまとめ る。 ○ 本時のふりかえりを書き、次時の学習を確認する。 ・ 「まとめ方のポイント」 をキーワードで黒板に示 すことにより、事実と結 論を関係づけながら自分 の考えを書くことができ るようにする。 ○ 「効果がある」「効果が ない」のいずれかで筆者 の工夫の効果を判断させ るのではなく、0~100% の間で納得度を判定して 自分の立場を決めるよう にすることで、筆者の工 夫の効果がある点と不十 分な点の両方を考えるこ とができるようにする。 ○ 児童の考えを効果があ る点と不十分な点に分け て板書することにより、 改善が必要な点を明確に とらえることができるよ うにする。 ・ 次時は、納得できない 原因となった不十分な点 の改善案を考えることを 確認する。 断することが できる。 【読】「理由づけ」 の工夫の効果 について納得 度を判定し、筆 者の意図や事 実と結論の整 合性などにふ れながら判断 した理由を述 べることがで きる。 【読】「理由づけ」 の工夫の効果 について、効果 がある点と不 十分な点を整 理してとらえ ることができ る。 ~まとめ~ 「理由づけ(事実と結論)」 「理由づけ(事実と思い)」 効果がある点・・・・ 効果がある点・・・・ 不十分な点・・・・・ 不十分な点・・・・・ 結論への納得度を高めるために、「理由づけ」の使い方を改 善するとよい。 ・ 「理由づけ(事実と結論)」は結論の納得にあまり効果が ないと思う。一少女の日記は、原爆ドームはいつまでも原爆 の恐ろしさをうったえると述べているので結論の「核兵器は 不必要だと世界の人々に警告する記念碑なのである」が言え なくもないが、一少女の日記は原爆ドームが永久保存される ようになったきっかけとして書かれているので、これだけで 結論に結びつけるには弱いと思う。結論で「警告する」とい う言葉を使うならば、事実2も3ももっと切実に世界の人々 が「核兵器はいらない」と思っている事実を挙げた方が理由 づけの効果が上がると思う。 ・ 「理由づけ(事実と思い)」は結論の納得にあまり効果が ないと思う。筆者は、自分の考えを述べるために不安を挙げ て「心配は無用だった」と自分の考えが強調されるように工 夫しているが、これだけでは「世界の人々が平和を強く求め ている」とは言えない。世界の人々が平和を強く求めている と言うためには、世界の人々が原爆ドームを見て具体的にど んなことを言っているかを追加して述べればよいと思う。

参照

関連したドキュメント

記述内容は,日付,練習時間,練習内容,来 訪者,紅白戦結果,部員の状況,話し合いの内

物語などを読む際には、「構造と内容の把握」、「精査・解釈」に関する指導事項の系統を

○本時のねらい これまでの学習を基に、ユニットテーマについて話し合い、自分の考えをまとめる 学習活動 時間 主な発問、予想される生徒の姿

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

しかし私の理解と違うのは、寿岳章子が京都の「よろこび」を残さず読者に見せてくれる

状態を指しているが、本来の意味を知り、それを重ね合わせる事に依って痛さの質が具体的に実感として理解できるのである。また、他動詞との使い方の区別を一応明確にした上で、その意味「悪事や欠点などを

状態を指しているが、本来の意味を知り、それを重ね合わせる事に依って痛さの質が具体的に実感として理解できるのである。また、他動詞との使い方の区別を一応明確にした上で、その意味「悪事や欠点などを

では,フランクファートを支持する論者は,以上の反論に対してどのように応答するこ