丹羽 祐詞 ・紙井 泰典 ・木村 晴保 ・近森 邦英 ( 協和建設(株)・ 農学部農学科流域環境工学コース・ 高知大学名誉教授) ) 緒 論 これまでダム湖水温に関する研究は,年変動や垂直・水平分布に関するものなど,長期的かつ静 的にとらえたものが多い.しかし,循環期の対流現象については,発生時期・規模・周期など,知 られていない部分が多い.本研究では二級河川鏡川の上流,高知市鏡町,土佐山町に位置する鏡ダ ム湖を対象として,赤外線熱画像による秋冬期の対流セルの出現頻度と規模に関する調査を行い, 木村の鉛直一次元対流モデル )によって解析したので結果を報告する.調査は 年 月 日から 月 日にかけて行った. 研 究 方 法 .調査地点と調査方法 鏡ダムは高知市土佐山町細藪山に源を発する鏡川沿いの同市鏡町今井に建設された,洪水防御, 上水道,工業用水,発電を目的とする多目的ダムである.鏡ダムの諸元)を図 に示す.
観測はダム堤頂に設置された濁水管理棟 に,(株) 三栄社製サーモグラフィ(商 品名サーモトレーサ)と温度計を持ち込んで 行った.観測日は,先行数日間が無降雨で雲, 風,月がなく,昼間晴れていた日の夕方から 夜間にかけてということで, 年 月 日, 月 日, 月 日, 月 日, 月 日, 月 日, 月 日, 月 日の 日間,夕 方から深夜まで,または夕方から翌朝にかけ て行った. 鏡ダム上流側の様子を写真 に,使用機材 を写真 写真 に,機材名・用途を以下に 示す. 写真 三栄株式会社製サーモトレーサ 本体(撮影条件設定とモニター,画像データ記録, 分毎にサーモトレーサの画面表示温度を記録). 写真 同上カメラ部(対象物から温度と関係した強さで放射される赤外線(波長帯域 まで)を電気信号に変換して多段階色調に映像化). 写真 オリオンリサーチ社製 ポータブル伝導度計( 時間毎に深さ 毎の鉛直水温・ (電気伝導度)分布の測定),アルファ光学(株)製ロープ式水位計 (水面からのカメ ラ機高測定). 写真 東亜電波工業社製 水質計( 分毎に水面水温の測定),(株)堀場製作所製水質チェッ カー ( 分毎に水面上 における気温の測定). 図 鏡ダム標準断面図 写真 サーモトレーサのカメラ 写真 鏡ダムを上流から望む(中央に張り出したのが濁度観測棟) 写 真 ポー タ ブ ル 伝 導度計(隣はロープ式水位計) 写 真 水 質 計 と 水 質チェッカー (向かって右) 写真 サーモトレーサ
対流セル画像の撮影は 秒間隔(ただし, 月 日から 日にかけては, 秒間隔)で,倍率 倍で行った.サーモトレーサ中心温度は実際の温度よりもかなり低い温度として表示されたので, 温度計により 分間隔で水面水温を計測し,キャリブレーションを行った(図 ,表 参照).画像は 熱映像処理プログラムによりパソコン転送し, に収録した. .画像の撮影範囲 サーモトレーサによる撮影範囲は,対象からの距離とカメラ俯角によって変化する.今回の撮影 では,撮影範囲は表 のようになった(記号については図 参照). 表 キャリブレーションの数値表 データ総数 標準偏差 回帰決定係数 相関係数 回帰定数 回帰定数 の平均値( ) の平均値( ) 図 平均水温( )とサーモ水温( )の相関関係 図 観測範囲 表 撮影範囲の諸元(図 参照) 日 付 水面からの推 定機高 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日 月 日
.サーモトレーサの測定原理 赤外線は,波長 の,可視光線より波長が長く,ラジオやテレビより波長が短 い電磁波で,近赤外から遠赤外までに分けられる.物体が発する赤外線エネルギー量は,物体温度 と関係があり,黒体放射に関するプランクの法則によると次式が成立する.
(
)
( ) 分光放射発散度[ ] 波長[ ] 黒体の絶対温度[ ] 第一放射定数[ ( )] 第二放射定数[ ( )] プランク定数, [ ] ボルツマン定数, [ ] 光速, [ ] 分光放射発散度 を波長 から までで積分したものは,物体の絶対温度と以下の関係が あり,ステファン・ボルツマンの法則という.これを利用してエネルギー量 を計測することに よって温度 を算出する.ここに, ステファン・ボルツマン定数[ ( )]. [ ] ( ) .木村の鉛直一次元対流モデル ダム湖の成層・対流現象は,基本的には熱による流体の浮力効果を考慮した運動方程式と熱輸送 方程式を,境界条件を満足するように解くことにより表すことができる.しかし,運動方程式は移 流項を含むために非線形であり,また一般の湖沼域では境界条件が複雑となるため,方程式を解く ことは難しい.木村・李・伴 )はこの難点を克服するため,比例係数 ・ の導入を試み,鉛直一 次元モデルによる解析を試みた(図 参照). 水面からの深さ ごとに水温 ( )の鉛直分布が与えられているとき,その最大値を ,深さ を ,表層で冷却されて深さ まで沈降してくる流水塊の温度を ( ),表層水の沈降量を ( ), 沈降速度を ( )とする.冷却された沈降水が同じ温度・密度の深度まで下降してきて沈降を停 止する深さを ,ダム湖の深さを とするとすると,図 に示す 層における熱収支は次式に より表される. {( ) } ( ) ここに, 時間, 熱伝導係数, 水の定圧比熱, 表層水の沈降量, 水の密度.ここで,表層水の単位面積当たりの沈降速度流束 ( )が沈降速度 ( )に比例すると仮定し, 比例定数 を用いて次式を仮定できるとする. ( ) 沈降水の流体抵抗係数 が沈降速度 ( )に比例すると仮定すると,沈降水の運動方程式は次 のようになる. ( ) ( ) ここで, 重力加速度, 流体抵抗係数, 水の膨張率. なお,上式では次の関係を考慮している.
(
)
( ) 右辺第一項は沈降力,第二項は流体抵抗で,左辺は加速度を表す. ( )式を から まで積分すると,次の式になる. ( ) ( )( ) ( ) ( ) ここで, ( ), ( ), ( ), ( )温度伝達率である. ( )は から までの平均水温で,次式によって表される. ( ) ( ) ( ) ( ) において ( ) ( ) となる.( )から次の式が得られる. 図 鉛直一次元モデルにおける対流の概念図(木村ら)より){
( ) ( )}
( ) の時 となり,( )式の解は に比例すると仮定すると,( )式から ( )は次式で得られる. ( ) ( ) ここに, 比例定数. ( )式の より,比例定数 は次式により定められる. ( ) また,( )式と( )式により( )は次式により表される.{
( ) ( )}
( ) ( )式を( )式に代入すると, ( )が求められる. 次に と を求める.この つは共に の関数と考えられるが,ここでは とは関係なく一定値 と仮定する. ( ),( )式により を消去すると次式が得られる. ( ) ( ) ( ),( )式で求められた と を用いることによって, と の関係が決まる. と を に関係しない一定値であると仮定すると,( )式を から まで積分して次式 を得る. ( ) ( ) ここに,沈降は抵抗によるエネルギー損失 が最小値をとるものと仮定すると,( )式を で微分して, ( )(
)
( ) 上式の第 項は定数項の微分であるから とおいて次式を得る.( ) ( ) ( ) ( ) ここに は( )式の右辺が となる時の の値である.( ),( )から表層水の沈降速度 は次式により求められる. ( ) 流量の連続性を考えると,対流の湧昇量 ( )は沈降量 ( )に等しいと考えてよい.湧昇速度 ( )は対流規模によって異なるので一概には言えないが,表層において観測される対流セルの大 きさ(面積) が表層における湧昇量の規模を表すとすると, ( ) ( ) 以上が鉛直一次元モデルによる対流の沈降,湧昇速度,沈降湧昇量を求める式である. 結 果 月 日 観測開始, 終了.対流セルは観測されなかった.天候は雲は薄く,快晴で あった.夜間は星が出ており,月は低い位置に観測終了間際に出た.風は一日中穏やかで,平均風 速は を超えることはなかった.観測中の気温は観測開始から終了までに から ま で低下し,水温は一時間に と大きく低下していた. 月 日 観測開始し, ごろいったん終了,深夜観測にそなえ,引き返しデータ転送 した.ゴミがかなり浮いており,観測の妨げになった.気温は観測開始から終了までに から へと低下したが,水温は から へと変化はみられなかった.雲は少なくほぼ快晴 で,月はなかった.画面の最高・最低・平均水温の時系列をとったトレンドデータをみると,ほと んどの時間帯で最低水温が異常に低く,画像にゴミが写っていた. 月 日 日いったん帰って後,深夜 から朝 まで観測. 早朝日の出前が最も気温が 低下する とのダム管理人の言による. から , から にかけて集中して複数のセル が観測された.また, , 前後にもセルがいくつか観測された.セルの直径は約 ,寿 命は 秒から 分くらいであった.観測開始 時間ほどはゴミが多数存在したが,のちに減少,対 流セル計測の大きな妨げとはならなかった.早朝には対流セルは観測されなかった.ダム管理事務 所のデータによると,セルの観測された時間帯の気象データは気圧・気温・水温は一定,風速は平 均 未満,最大で 弱であった.
月 日 観測開始, 秒間隔で まで観測(夜半から自動).小規模対流セルが , , , , , , , , に観測された.特に ,大量の小 規模セルが観測された.ダム管理事務所のデータによるとセルが観測されている間,風速は平均 ,最大で 秒が吹き,月は出ていなかった.セルが観測された 時から 時においては 水温変化はなく,気温は から へと 低下した(この日最大の低下). 月 日 観測開始, 終了.時間帯によって湖面がゴミに覆われ,薄雲が少量かかり, 弱風が吹き,ごく弱い光の上弦の月がかかっていた.小規模対流セルが , , , (特に大量), に観測された.直径は であった. ダム管理事務所の観測データによると, から までの間,気温が から まで この日最大の低下,水温はゆるやかに低下し,風速は平均 未満,最大 未満であった. 月 日 観測開始, 終了.天候は快晴で,風はほとんどなし.月は夕方真上に出, 夜には堤体の西側へと傾いて観測に影響はなかった.ゴミは多かった. 頃に小規模対流セル が連続して複数観測され,ほとんどが 秒ほどで消えた. までは大規模対流セルが多 数観測された.最大時( )には画面の大半を占め,直径 以上あった.サーモトレー サの観測範囲を超えたため,把握できなかった.大規模セル(温度 )は,小規模セル ( )より低温であった.その後対流規模は小さくなり,観測終了時,直径 くら いのセルと,画面左端で画面から切れた のセルが一つずつ存在した. トレンドデータによると, 前後から平均・最高・最低水温が上昇,観測終了までにそれぞ れ 上昇した.ダム管理事務所のデータでは,この表面水温の低下は確認されず,数時間に という緩やかな低下示していた.ダム湖水温は表面下 で計測されるため,サーモトレー サ水温と食い違いが出たものと推定される.湿度は夜間 %,平均風速は 未満,最大風速 で画像に与える影響は少なかった.気温は全体として緩やかに , 時間に 度くらいの低 下を見せた.この日の水温データに対して鉛直一次元対流モデルを用いて解析した. 月 日 観測開始, 終了.初め雲とゴミが出ていたが, 以降雲・ゴミともに なくなった.大規模セルが , に観測された.セルは直径 を超え, カメラの視野より大きくなった.ゆっくりと変化する間,周囲に小規模セルがいくつか発生してい た. トレンドデータでは, ごろまで最高,最低,平均水温が低下し続け, には低 下が止まり,平衡状態が続いたあと,対流セルが画像の大半をしめた 過ぎには,最高水温が ほど上昇し,平均水温もやや上昇した. 過ぎには再び各水温ともに低下し始めた. 鏡ダム管理事務所のデータによると,この時間帯の平均風速は 未満,最大風速は 未満で, 風の影響はなかったと考えられる.蒸発量・気圧は,セルが発生した時間帯には特に変化はなかっ た.水温は, の間は水温の低下が一時的に収まっていた. この日の鉛直水温分布データを鉛直一次元モデルにより計算すると,計算の基準とした 回目よ りも,最後の 回目のが水底付近の水温が高く,水温上昇が起きていることとなり,モデル計算が 成り立たないことが判明した.対流の生じているときには,冷却された水塊とともに,比較的高水 温の水塊も一緒に下降していることを示唆するとも,また単に短時間での対流計算に対してデータ の精度が追いついていないことを示すものとも考えられる.計算結果を表 に示す.
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表 鉛直一次元対流モデルによる計算結果( 月 日)
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図 大規模セルの予兆として現れた小規模セル( 月 日)
考 察 サーモトレーサによる熱映像と気象データによる考察 対流セルには 種類ある.一つは発生から 分足らずで消滅してしまう直径 程度の小規模 対流セル,もう一つは 分以上持続する,直径が をゆうに超える大規模対流セルである. 小規模対流セルは 月から最終観測日( 月 日)まで見られた. 月 日,数多くの小規模セ ルが観測された午前 から の間,気温は特に変化しなかったが,水温は直前の に 低下していた(図 参照). 月 日,対流セルの観測された から まで,気温は から まで低下し,水面の冷却が進んでいたと見られる. 月 日,対流セルの観測された から までの間に,気温は から まで,水温は 低下していた(図 ,図 参照). 月 日にセルが観測された から の間に気温は から へ,水温 は 低下していた(図 ,図 ,図 参照).ここでいう水温というのはダム管理 事務所が測定している表層 程度の平均水温なので, の水温低下でも対流セルを発生さ せるのに十分なものであったと考えられる. 対流セルは,夕方から宵の口にかけて,気温が急低下したときに発生すると考えられる.ただし, 深夜,気温の低下がほぼ止まっても,水温が放射冷却で低下し続けるとき,やはり対流セルが発生 する.例えば対流セルが発生していた 月 日の深夜 ,気温は で一定であったが, 水温は の から の まで 低下している(図 参照). 対流セルの観測された時間帯での鉛直水温分布をみると, 月 日の ,表面水温が で 水深 では であった. 月 日の の鉛直水温分布を見ると,表面水温 であり, 下へ行くとやや低下し,水深 から水深 までは 程度が続き,そこから再び水温が低 下していた(図 参照). 月 日の鉛直水温分布をみると, において,表面水温は ,最大水温は水深 で であった(図 参照).水面から水深 までは,水温が全体で 低下していた が,水深 から水深 にかけては水温が から まで急低下していた. 月 日 ,対流の約 分前に当たるが,鉛直水温分布をみると,表面水温が ,水深 では であった(図 参照).数十秒で消滅する小さい対流セルが発生しているとき には,内部水体の比較的浅いところに,表面水温と同等かそれより高い水温を示す水深が存在して いた.気温が急低下し,水面の冷却が加速された時,比較的水深の浅い部分でその変化に追随でき ずに水面と水中で水温の逆転現象が起き,その結果対流セルが発生したものと考えられる. 大規模な対流セルは, 月 日の 過ぎと, 月 日の に観測された. 年 度の和泉らの論文)では,大きいセルは深夜に発生したとあるが,今年度は夕方から夜にかけても 観測された.しかし 日の ,山の上から満月が昇り,その光がサーモトレーサの画像に影響 したと考えられた.実際, 以降の鏡ダムの管理事務所の水温データでは, に , , に , に であったのに対し,サーモトレーサ画像内の平均水温は,月が昇っ た 前後では , から までは から へと低下し, にかけて 水温が 前後へ,そして水温が安定した 頃では 近くまで水温が上昇していた. から月がどんどん高い位置へ昇っていき,月からの光が強くなってサーモトレーサの表示温度も上 昇していったと考えられる. 昨年度の観測では, , に大規模なセルが発生しており,その時には気温は約 , 水温は約 低下しており,急激な気温変化を伴っていた.しかし今年度の観測では 日はその 条件に当てはまるものの, 日に関してはその限りではなく,気温変化は と小さく,気温低
下だけで大規模対流セルの出現は説明できないと思われる.むしろ気温低下とほぼ同時的,あるい はときにそれとは関係なく起こるように見える水温低下こそが対流セル出現の鍵を握っていると思 われる. 対流の単位面積当たり沈降流量と沈降速度について 鏡ダム湖の水面から水底までの鉛直水温分布に,木村・李・伴 )による鉛直一次元対流モデルを 適用して計算を行った.今回の観測で使用できた水温データは一回分のみであったが,前年度の和 泉ら)の同様の観測・解析結果も参照することとする.計算結果を表 ,図 , に示す. ここで, と に 種類ずつあるのは, (沈降流の水温)の真値が不明なため, として 水面での水温を仮定, 水面から水深 までの平均水温に等しいと仮定, 水面から水深 までの平均水温に等しいと仮定, 水面から水深 までの平均水温に等しいと仮定,の 各ケースについてそれぞれ , , , , , , , として算出しているためであ る(表 参照). 図 , を見ると,水深 までは双方低下しているが,水深 から水深 まで は と ともに増加しており,水深 から再び減少している.その時の鉛直水温分布を見ると, 水深 で一時的に水温が上昇していた.これは,沈降流が降りてきたことにより,水深 前 後の暖かい水が刺激を受けて,沈降流を増加,加速させた結果であると思われる. 木村・李・伴 )の実験では,沈降速度は であり,計算値は であった.今回の 観測データを当てはめた計算では, を表面水温としてとった場合は であり,木村・ 李・ 伴 の 計 算 値・ 実 験 値 よ り も 大 き かっ た. 前 年 度 の 計 算 結 果 )は, に お い て は , においては , においては と,実験・計算 値 よ り も 大 き かっ た. ま た, の 値 は, 木 村・ 李・ 伴 の に 対 し て, 今 回 は と 大 き かっ た. 前 年 度 の 計 算 で は で は , は , は となり,実験・計算値よりも小さかった. の値は木 村・李・伴)の に対し,今年度の鏡ダムの観測結果による計算では と大きかった. 前年度の結果 )は では , は , は と,実験計算値 よりも大きかった.これらのことは, の仮定の仕方の問題,ダム湖と実験室のスケールの違い, 移流の存在などが影響している可能性が考えられるとともに,今回の水温鉛直分布は画像温度を通 常の水面での温度計(水面付近何 かの平均水温であると考えられる)によりキャリブレーショ ンして用いたため,実際よりも水面水温を高めに評価してしまった可能性があること,また厳密に は対流が起こっている,まさにその瞬間と場所においての水面から水底までの鉛直水温分布を測っ たというわけではないため,計算に誤差が含まれている可能性があると考えられる.
表 今年度と前年度の解析結果 今年度の解析データ 年 月 日の解析データ 水面水温 前年度の解析データ 年 月 日の解析データ 年 月 日の解析データ 年 月 日の解析データ 水面水温 水面水温 水面水温 を水面の水温,水面から水深 までの平均水温,水深 までの平均水温, 水深 までの平均水温を つのパターンで計算を行った。 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温 水深 から までの平均水温
お わ り に 本研究ではサーモトレーサにより,鏡ダムで発生する対流セルの 次元的な観測,そして対流セ ルの特性の解明が目的であった.しかし,天候の不順などに加え,観測場所である鏡ダム湖でのゴ ミの発生などでクリアなデータが得られた時間が少なく,さらに機材の不調によって,一部のデー タが破損してしまうなど,さまざまな問題が発生し,得られたデータが一層少なくなったことが悔 やまれる. 今後は風・月光・ゴミなどの外因に対する対策を事前に十分に立て,観測時期及び観測時間の検 討をして観測に望むことが,本研究の精度を高めることに繋がると思われる.今年,及び去年の観 測結果から判断すると,観測時期は 月から 月上旬まで,観測時間は,画像の取り込み間隔を 秒に設定して から 過ぎまでが妥当と思われる.これは,今年の対流セルの観測では,夕 方から夜の間に多くのセルが捉えられたためである. 木村モデル )では,鉛直水温分布が水面以下で最大水温をとる時にしか下降流量の計算ができな いため, と を算出できたデータは一日しかなかったが(図 ,図 参照), と が途中で加速するというおもしろい結果が得られた.画像表示水温の精度を高めて,沈降流水温 を的確に評価できるようにすることが今後の課題である. 図 各水深での沈降流量 ( 月 日) 図 各水深での沈降速度 ( 月 日)
最後に,観測時にお世話になり,また気象データを提供して下さった鏡ダム管理事務所のみなさ んに深く感謝の意を表します. 参 考 文 献 )木村晴保・李 東日・伴 道一 水面冷却によって生じる熱対流量の鉛直一次元モデルによる 推算,農土論集, , ( ). )高知県鏡ダム管理事務所 鏡川河川総合開発事業概要図( ). )和泉辰男・紙井泰典・近森邦英 赤外線放射温度計による鏡ダムの対流現象に関する研究,高 知大学学術研究報告, (自然科学), ( ).