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ナノニードルアレイを用いたメカノポレーションによる生細胞への分子導入

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Academic year: 2021

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64 生物工学 第96巻 第2号(2018) *著者紹介産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門(研究グループ長) E-mail: [email protected] 1 東京農工大学大学院工学府,2産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門, 3 静岡大学大学院総合科学技術研究科,4産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター CRISPR/Casなどの人工ヌクレアーゼを利用したゲノ ム編集技術は近年目覚ましい発展を遂げてきているが, ゲノム上の目的外の遺伝子を切断するオフターゲット効 果が依然として問題となっている.プラスミドDNAな どによって人工ヌクレアーゼを発現させる場合には発現 の量と時間を制御できないことがオフターゲット効果の 原因であると考えられており,その解決法として人工ヌ クレアーゼを直接導入する手法が試みられている.リポ フェクションなどのエンドサイトーシスを経由する手法 ではエンドソームからの脱出効率が問題となり,エレク トロポレーションなどの細胞膜を穿孔する手法はそのダ メージが問題となる.本研究では,独自に開発したナノ ニードルアレイを用いて細胞膜の機械的穿孔を行い,物 質を導入する手法を開発した. 筆者らは直径200 nmにAFM探針を加工したナノニー ドルを用いた細胞操作技術を開発してきたが,ナノニー ドルを挿入した孔から細胞外の物質はまったく侵入しな いことが分かっているので,物質導入には特別な穿孔操 作が必要である.単一のナノニードルでは多数の細胞を 取り扱えないため,ナノニードルアレイを利用した.4 インチウエハを原材料とし,ICPドライエッチングによ り数十ミクロンの深掘りを行い,直径2 ȝm程度のマイ クロピラーアレイを作製する.これに対して10時間程 度の湿式熱酸化によりSiO2層を形成させ,最後にフッ 酸によりSiO2層を除去することによってナノニードル アレイを得る.ナノニードルアレイの作製に着手した当 初は,根本が細くなり野球のバットのような形状のもの ばかりができた.およそ1年をかけ細かな条件を整える ことによって,直径200 nm,長さ40 ȝmを超える高ア スペクト比で美しいナノニードルアレイを作製できるよ うになった1).最後にナノニードルアレイはレーザース テルスダイサーにより5 mm角に裁断して使用する. アレイはフォトマスクのデザインによって任意の位置 に配置できる.本研究では3 mm角内に格子状に30 ȝm 間隔でナノニードルが約1万本配列したものを使用し た.通常の顕微鏡レンズで観察すると,ナノニードルの 根本付近のテーパー状の構造が直径15 ȝmの影として 観察され,ニードルは見えない.培養ディッシュに対し て,ナノニードルアレイを接触するまで接近させ,さら に押し込むとナノニードルは座屈し,前述の円形の影か らニードルの先端が一斉に顔を出す.筆者らはニードル の中心から先端までの長さを座屈半径と定義し,押し込 み深さの指標としている.大きく押し込まない限りナノ ニードルが折れることはなく繰り返し操作することがで きる.筆者らはナノニードルが座屈するとともに横方向 にスライドする現象を利用し,細胞膜を穿孔することを 着想した.ナノニードルアレイを動作する装置は自作で あり,およそ5 kHzの高周波上下振動が可能である.種々 の条件を検討した結果,マウス繊維芽細胞NIH3T3に対 して,ナノニードルを座屈半径7 ȝmで押し付けた状態 で,0.25 ȝmの振幅で60 s加振した時にもっともFITC デキストラン(70 kDa)の導入効率が高く(45%),死 細胞も少ないことが明らかとなった.本論文以降の研究 により,ジンクフィンガーヌクレアーゼを直接導入し, 従来法よりも高いゲノム編集を得ることに成功してお り,高効率で安全なゲノム編集技術に応用できると期待 している.

1) Matsumoto, D. et al.: Sci. Rep., 5, 15325 (2016).

Mechanoporation of living cells for delivery

of macromolecules using nanoneedle array

ナノニードルアレイを用いたメカノポレーションによる生細胞への分子導入

(JBB, Vol. 122, No. 6, 748–752, 2016)

松本 大亮

1

・山岸 彩奈

2

・齋藤 

1

Ramachandra Rao Sathuluri

2

Yaron R. Silberberg

2

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