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景気指標としてのサービス産業動向調査

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Academic year: 2021

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Statistics Research Note

統計リサーチノート No.8

景気指標としてのサービス産業動向調査

上田 聖

† 統計調査部 経済統計課長(執筆者の役職名は執筆当時)

統計リサーチノートは、総務省統計局、統計研究研修所、独立行政法人統計センター等の職員によって行われた研究の 成果、研究試論等をとりまとめたものです。論文の中で示された内容や意見等については、機関の公式見解を示すもの ではありません。統計リサーチノートに対する御意見・御質問やお問合せについては、執筆者までお寄せください。 総務省統計研究研修所

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1 はじめに 新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、サービス産業動向調査の前年同月比も大きく減少し、 6月以降、その縮小幅は小さくなってきているものの、依然として厳しい状況が続いています。 政府の主要な経済指標も軒並み落ち込みを見せています。 サービス産業動向調査は、総務省が毎月実施している統計調査の1つであり、サービス産業に 属する事業所又は企業の売上高と従業者数を毎月把握してその動向を調査産業毎に公表している 調査です。その調査結果は、最も代表的な経済指標の1つである四半期別GDP速報推計の基礎統計 には用いられています。しかしながら、景気動向指数の構成要素とはなっていません。 このため、本稿では、改めて景気指標としてのサービス産業動向調査の特性を確認するために、 データとしては独立している景気動向指数とサービス産業動向調査を比較してみたいと思います。 具体的には、 1)サービス産業動向調査の産業計の動きと景気動向指数における先行指数、一致指数、遅 行指数との比較すること、更に景気動向指数を構成する個々の基礎統計と比較することに より、サービス産業動向調査の動きの特性を確認 2)景気動向調査における先行指数と一致指数とサービス産業動向調査を構成する各産業区 分の動きと比較することにより、サービス産業動向調査の各産業の動きの特性を確認 することについて試みることで、サービス産業動向調査の特性を確認したいと思います。 2 サービス産業動向調査の性格(先行に近いのか、一致に近いのか、遅行に近いのか) サービス産業動向調査は、様々なサービス産業の合計を示す産業合成的な統計です。 その合計された結果は、景気動向指数の先行指数に近い動きなのか、一致指数に近い動きなの か、遅行指数に近い動きなのか、その性格を確認するために、景気動向指数のそれぞれの指数と 比較を行いました。相関係数は異常値の影響が強調されて現れることから、コロナ期である2020 年のデータを含める場合と含めない場合の両方で確認しました。 コロナ期を含めた場合,相関係数が最も高いのは「一致指数」であり、その係数は0.94となっ ています。また、コロナ期を含めない場合の相関係数は先行指数が0.42、一致指数が0.36と微弱 な相関があるように思われ、先行指数との相関の方が少し高くなっています。サービス産業動向 調査は様々な産業を対象としており、双方の指数の中間的な動きを見せることは不思議ではあり ません。

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図1 CI各指数とサービス産業動向調査(サービス業計、前年同月比)との比較 CI先行指数との比較 CI一致指数との比較 CI遅行指数との比較 とはいえ、どちらかと言えば先行指数に近いのか、一致指数に近いのかその性質を細かく見極 めるために、景気動向指数を構成する30の基礎統計とコロナ期を含む期間及びコロナ期を除く期 間でサービス産業動向調査の動きの連動を確認してみます。 図2は、横軸にコロナ期を含む期間の相関係数(逆サイクル系列は-1を乗じた値)※1、縦 軸にコロナ期を除く期間の相関係数の絶対値(横軸と同じ扱い)※1をとり、景気動向指数を構 成する30の基礎統計をプロットしたものとなります。 R=0.80 R=0.42 R=0.94 R=0.36

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図2 CI指数採用統計とサービス産業動向調査(サービス産業計)の相関係数によるマッピング ※1 相関係数の計算は、①サービス産業動向調査(サービス業計)の売上高そのものの推移、②サー ビス産業動向調査(サービス業計)の売上高の前年同月比の推移、③各指標の景気動向指数採用系列 そのものの推移、④各指標の景気動向指数採用系列を更に前年同月比に加工したもの(③で前年同月 比としているものを除く)を計算し、①と③、①と④、②と③、②と④の中で最も相関係数の高いも のを採用。逆サイクル系列は、4つの相関係数の結果にマイナス1を乗じて最大のものを採用。 この図を見ると、青点の先行指数構成統計より橙点の一致指数構成統計の方が総じて、横軸右 側、縦軸上側に位置しているように見られることから、サービス産業動向調査(サービス産業計) は、どちらかと言えば一致指数に近い特性ではないかと言えそうです。 3 サービス産業動向調査の各産業の特性 景気動向指数のCI指数は、先行指数、一致指数、遅行指数の3指数で構成されています。 一方、サービス産業動向調査は多くの産業を調査しています。それぞれの産業は特性も異なっ ており、産業毎に見れば、先行的な動きをする産業、一致的な動きをする産業、遅行的な動きを する産業が存在していると思われます。 前述「2」ではサービス産業動向調査(サービス産業計)の変動は、先行指数及び一致指数と の緩やかな相関観察されるが、あえて言えば一致的な特性がより強そうであるとしましたが、そ れぞれの産業毎に連動性を見ると、産業の特性が見えてくるかもしれません。そこで、サービス 産業動向調査の各産業の変動について、景気動向調査の先行指数及び一致指数との相関係数を計 算して産業区分の特性を、数量的にマッピングしてみました。具体的には、2014年1月から2020年 11月における ・ 横軸:各産業(前年同月比)の3か月中心移動平均の推移とCI先行指数の相関係数 ・ 縦軸:各産業(前年同月比)の3か月中心移動平均の推移とCI一致指数の相関係数 として大分類産業をプロットした図が図3となります。 最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル) 新規求人数(除学卒) 実質機械受注(製造業) 新設住宅着工床面積 消費者態度指数 日経商品指数(42種) マネーストック(M2)(前年同月比) 東証株価指数 投資環境指数(製造業) 総資本営業利益率(製造業) 長期国債(10年)新発債流通利回り 中小企業売上げ見通しDI 生産指数(鉱工業) 鉱工業用生産財出荷指数 耐久消費財出荷指数 所定外労働時間指数(調査産業計) 投資財出荷指数(除輸送機械) 商業販売額(小売業)(前年同月比) 商業販売額(卸売業)(前年同月比) 営業利益(全産業) 有効求人倍率(除学卒) 輸出数量指数 第3次産業活動指数(対事業所サービス業) 常用雇用指数(調査産業計)(前年同月比) 実質法人企業設備投資(全産業) 家計消費支出(勤労者世帯)(前年同月比) 法人税収入 完全失業率(逆サイクル) きまって支給する給与(製造業、名目) 消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)(前年同月比) 最終需要財在庫指数 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

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図3 サービス産業動向調査の各産業(前年同月比の3か月移動平均) とCI先行指数及びCI一致指数との相関係数のプロット図 CI先行指数とCI一致指数の双方と一定の連動性を持っている産業として「G情報通信業」、「H 運輸業,郵便業」があることが分かり、これらの産業はどちらかと言えば、一致指数に近い動き を取っているように見受けられます。 また、「Rサービス業」はCI先行指数との相関係数がCI一致指数との相関係数を上回っており、 どちらかといえば先行指数に近い動きをとっています。 5 まとめ 本稿では、サービス産業動向調査と景気動向指数を比較することで、サービス産業動向調査の 性格について確認してみました。その結果、 ・ サービス産業動向調査は、CI先行指数、一致指数、遅行指数の中で、いずれに近いかとい えば、一致指数に近そうであること ・ 景気動向指数のCI先行指数、一致指数との相関係数で各産業を見ると、他の産業に比べ「G 情報通信業」、「H運輸業,郵便業」が先行指数及び一致指数との相関係数が高く、どちらの 産業も先行指数より一致指数との相関係数が高い。また、「Rサービス業」は一致指数より先 行指数との相関係数が高い ことが見えてきました。このような見方をすると、サービス産業動向調査の見方もさらなる奥行 きがでてくるのではないかと思います。 (令和3年2月19日)

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