A Study ofIntermediary Teaching Materia1 Design for Junior High Schoo1 English C1asses: Focusing on Learning W ord Order 1.はじめに 人間の知的活動は人工物
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:道具・ 記号・言語・制度・規則など)によって媒介 され,人間は人工物を使用して有能さを発揮 する(レフ・S
・ヴィゴツキー)。また,人工物 は,それが存在して,使用されている文化的 なコンテクストの中においてのみ明らかにな り,人工物を使うことで新しい状況が作られ, その人工物と状況の相互作用がそれまでとは 違った新しい文化を生むことになる(ソーヤ ー, 2006)。
学校の学びの場における代表的な人工物(道 具)は「教材」である。新学習指導要領英語科 に お い て も 教 材Jは,英語学習において重 要な役割を果たすものであり,教材の選定につ いては,生徒の発達の段階,興味・関心等につ いて十分に配慮しなければならないと示してい る。しかし、文科省より全国に配布される「教 科書」は,すべての生徒に適していない場合も少 なくない。そこで,多くの教師は,この教科書 と生徒の多様な実態とを紡ぎあわせる道具とし て「補助教材J を作成・使用している。教科書2
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概要 と生徒を適切に媒介する「補助教材」であるな 第1章では,本研究の研究目的,研究の動機・ 教科・領域教育専攻 言語系 (英語) コ』ース 前 神 る な 指 導 教 員 山 森 直 人 を繰り返すパターンプラクティスの授業を中心 としていた時代の教材とローノレプレイやタスク 活動の授業を中心とした時代の教材とでは、同 じ言語材料を扱うにしてもその内容は大きく異 なっている。 さらに,近年においては,英語を意味や表現 のまとまりである「チャンク」の集まりとして みる言語観や日本語とは異なる英語特有の「語 ) 1慎Jに焦点を当てた教授観が中学校の英語教育 に色濃く反映されるようになってきた。この「語 ) 1慎Jについては, 2012年から全面的に実施され る新学習指導要領のなかでも,言語材料の取扱 いにおいて示した新たな事項のひとつに,語順 や修飾関係などにおける日本語との違いに留意 して指導すること(文部科学省, 2008, p.31) とあることからもその重要性をうかがわせる。 そこで本研究では,状況認知の観点から「教 材jの重要性を考察し,中学校英語授業におけ る語順学習を支援するための「補助教材Jのあ り方を追究することを目的とした。 ら,生徒は教科書をより身近なものとして受け 背景,論文構成を述べた。第 2章では,文化と道 入れられるようになるはずである。 具との関係から,現在の英語教育に求められる 英語教育における「教材Jの開発は,その時代 「補助教材」のデザインには,以下 4点の考慮が の言語観や教授観に特徴づけられこの数十年で 重要であることを明らかにした。 も大きく変遷している。何度も何度も同じ表現 (1)r
使いやすさjの概念をふまえた補助教材 F h u q t u q L(2)教室環境に在する「人J