Title
鳥類胚肢芽発生に関与する遺伝子及び過剰指趾発現に関す
る研究( 内容の要旨 )
Author(s)
有澤, 謙二郎
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第415号
Issue Date
2006-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/3112
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 有 渾 謙二郎 (東京都) 博士(農学) 農博甲第415号 平成18年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 鳥類胚肢芽発生に関与する遺伝子及び過剰指址発現 に関する研究 主査 信州大学 教 授 副査 信州大学 助教授 副査 岐阜大学 教 授 副査 静岡大学 教 授 乙 裕一誠 珠 憤 野 味 藤 小 鏡 伊 森 論 文 の 内 容 の 要 旨 四肢動物の肢の形成は、胚発生初期に頸書βと胸部の境界および腰部と尾部の境界にできる左右二対 の膨らみとして肢芽が形成されることにより始まる。肢芽は、側板中胚葉とその直上の外胚葉の細胞 を含む予定肢芽領域の細胞が活発に増殖をすることによって形成される。胚の肢芽間充織は細胞の移 動方向や凝集部位の調節のような形態形成に重要な位置特異的な細胞間親和性を有する。取血Mレセ プター型チロシンキナーゼは,位置特異的な親和性の変化に関連している。取血眼は,正常肢発生に 必須であり,その発現は時空間的にダイナミックパターンを示すムニワトリとウズラ胚肢芽における ダイナミックな形態変化に伴う帥4慮軋lの発現パターンをホー/レアウント血=甘地ハイプリグイ ゼーションにより詳細に観察し、胚のステージ同定判定の材料としての有用性を検討した。さらに、 _極性化活性域(凱)除去後の助朋如劇肌の発現パターンを観察することで、昂血相のシグナリング センターに関する新たな知見を得ることを目的とした。ウズラ助加朋Mブロープを用いてホー/レア ウント血タブ毎ハイプリグイゼーション解析をおこなったところ、肢芽形成前における予定肢芽領 域では盈血相の発現は観察されなかった。予定肢芽都城が肥厚するステージにおいては予定肢茅部域 から弱い発現が観察され、肢芽伸長期では、肢芽の先端部間充織及び基部で強い発現が観察され、ス テージが進行すると肢芽の後方に限局されるようになった。その後、予定軟骨額域に発現が限局し、 骨形成開始と共に発現が弱くなっていった。胚の葉芽かAを含まない頭方半分を除去後24時間培養 した胚では、肢芽のサイズが小さく発現が弱かったが、発現パターンは正常肢と同様であった。凱 を含む尾方半分を除去後24時間培養した胚は、肢芽の伸長が停止し、盈血相の発現も消失していた。 これらのことから、昂血相の発現およびその維持に、刀肌を含む領域からの何らかのシグナルが必要 であることが示唆された。発生の進行に伴い、ダイナミックな発現パターンを示す騨4劇帆の発 現パターンは、発生ステージの同定に非常に有用な分子マーカーになり得ることが示唆された。 一方、烏骨鶏において、過剰指址発現機構を解明するために、胚発生過程において、外部形態、肢 骨格、および肢形態形成に関連する適伝子の慮肌l発現に関して白色レグホンと比較観察をおこなった。 本研究で使用した烏骨鶏では,前肢における軟骨性過剰指はステージ32で初めて観察され,ステージ 37で消失した。胚発生過程において一過性に存在した。後肢においてはステージ30で軟骨性過剰持と して初めて観察され,貯化後も存続した。見場,励町ゼおよび此ばd」βが,白色レグホンでは観察され
ー127-ない烏骨鶏の頭方領域で発現していた。これら肢の前後軸形成に重要な役割を果たす遺伝子の発現が 肢後方で発現したことから,烏骨鶏の過剰指は,鏡像重複によって形成される可能性が示唆された。 今後,S址の上流活性遺伝子の発頭観察や,他のS肋関連遺伝子を解析することで,烏骨鶏の多指発症 のメカニズムを解明できる可能性がある。また,烏骨鶏胚における昂血掴遺伝子の発現′くターンは, 白色レグホンおよびウズラ胚のパターンと類似し,烏骨鶏胚においてもステージ判定に有効であるこ とが示唆された。 これらの結果から、(1)肢芽における助朗如戯肌発現パターンは、ステージ同定の材料として有 用である;(2)盈血相の発現およびその維持に、Zmを含む領域からの何らかのシグナルが必要であ る;(3)烏骨鶏は、胚発生中に軟骨性過剰指を発現し、肢芽頭方領域において、白色レグホンでは 観察されないぷ娘、励町ゼ および舵肌hほ】劇仙の発現が観察される;(4)烏骨鶏の過剰指址は、 鏡像重複によって形成される可能性がある。一般的に、肢形成に関して、ニワトリ胚で得られた知見 は、哺乳類をはじめ他の脊椎動物とも一致する点が多い。本研究で得られた結果は、鳥類の肢発生に おける意義だけでなく、様々なヒトの四肢疾患の原因解明にも貢献すると考えられる。 審 査 結 果 の 要 旨 平成18年1月25日(水)に信州大学農学部において審査委員を含む関連教官、学生の 出席のもと、有滞謙二郎の博士論文公開発表会が行われ、引き続き質疑応答が行われた。 有澤謙二郎の博士論文の概要は以下のように要約される。 馳地4レセプター型チロシンキナーゼは,位置特異的な親和性の変化に関連している。 毎払4は,正常肢発生に必須であり,その発現は時空間的にダイナミックパターンを示す。 ニワトリとウズラ胚肢芽におけるダイナミックな形態変化に伴う帥4戚NAの発現パタ ーンをホー/レマウント血ぶi蝕ハイブリダイゼーションにより詳細に観察し、胚のステー
ジ同定判定の材料としての有用性を検討した。さらに、離化浄性域(zoムeofpolarizing
activity;ZPA)・除去後の帥4戚NAの発現パターンを観察することで、昂血掴のシグナ リングセンターに関する新たな知見を得ることを目的とした。新たに作製したウズラ 劫仙川甑ブロープを用いてホー/レマウント血ぶJ餌ハイプリダイゼーション解析をおこなったとこう、肢芽形成前であるステージ16における予定肢芽領域では昂血相の発現は
観察されなかった。予定肢芽都城が肥厚するステージ18においては予定肢芽部域から弱 い発現が観察され、肢芽伸長期であるステージ20-30では、肢芽の先端部間充織及び基部 で強い発現が観察され、ステナジが進行すると肢芽め後方に限局されるようになった。ステージ32-35で臥予定軟骨額域に発現が限局し、骨形成開始(ステージ36)と共に発現
が弱くなっていった。ステージ21に達した胚の翼芽刀鳩を含まない頭方半分を除去後24 時間培善した。これらのことから、盈血相の発現およびその維持に、mを含む領域から の何らかのシグナルが必要であることが示唆された。発生の進行に伴い、ダイナミックな 発現パターンを示す劫M4劇肌の発現パターン乱発生ステージの同定に非常に有用な 分子マーカーになり得ることが示唆された。 一方、ニワトリの一品種である烏骨鶏は、遺伝的に多址であるが、肢芽に形成に関与す る遺伝子群の発現は観察されていない。烏骨鶏において、過剰指址発現機構を解明するために、胚発生過程において、外部形態、肢骨格、および肢形態形辟に関連する遺伝子のm紺仏
発現に関して白色レグホンと比較観察をおこなったふステージ30の烏骨雛の葉芽にお いて、骨格標本の観察により、肢芽頭方領域に白色レグホン胚で観察されない新たな指(過 剰指)を形成する予定領域が観察された。烏骨雛の翼の過剰指は、ステージ32で軟骨 性過剰持として観察され、ステージ36以降で消失した。脚芽では、ステージ29で、白色 レグホン胚で観察されない新たな址を形成する予定領域が観察された。脚の過剰址は、ス テージ30で観察され、醇化後も存在した。烏骨簸胚における母血相の発現パターンは、 白色レグホンおよびウズラ胚のパターンと類似し、烏骨鶏胚においてもステージ判定にき わめて有効であることが示唆された。さらに、烏骨鶏において、形態学的に多指祉の兆候 が認められるより前のステージ26で、将来、過剰指祉が形成される肢芽頭方領域においー128-て白色レグホンでは観察されないβ00Jcムe申慮呼伽揖の発現が観察された。さらに将 来、過剰指址を形成する領域において、S他の下流に存在するム00e瓜明通聯′】eぶ血 鮮血dm2他町功、ム仰eOムα以β触オ→カの発現も観察された。今後、ぷ娩の発現に関 連する他の遺伝子の発現について解析する必要がある。 これらの結果から、本研究により以下のことが示唆された。(1)肢芽における昂血掴 瓜NA発現パターンは、ステージ同定の材料として有用である;(2)段血掴の発現および その維持に、mを含む領域からの何らかのシグナルが必要である;(3)烏骨鶏は、胚発 生中に軟骨性過剰指を発現し、肢芽頭方領域において、白色レグホンでは観察されない 助力、励町ゼおよび肋(=β劇仏の発現が観察される;(4)烏骨鶏の過剰指址は、鏡 像重複によって形成される可能性がある。一般的に、肢形成に関して、ニワトリ胚で得ら れた知見臥晴乳類をはじめ他の脊椎動物とも一致する点が多い。本研究で得られた結果 は、鳥類の肢発生における意義だけでなく、様々なヒトの四肢疾患の原因解明にも貢献す ると考えられる。 以上について、審査委貞全員一致で本論文が岐鼻大学大学院連合農学研究科の学位論文と して十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文 1.XenjiroArisawa,ShigenobuYazawa,June-ichiEguchi,HiroshiKagan)iandTamao 蝕0(2005) SpatiotemporalpatternofBbhJ4geneexpressionindevelopingquaillimbbuds・ AnimalScienceJouma176(1),65-71. KenjiroArisawa,ShigenobuYazawa,YusukeAtsumi,HiroshiKagamiandTamaoOno (2005) SkeletalAnalysisandCharacterizationofGeneExpressionRelatedtoPattern FormationinDevelopingLirhbsofJapanese SilkieFowl・ TheJournalof Poultry Science,in press・