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“系統負荷変動を考慮したH∞制御による系統連系単相インバータのロバスト電圧制御系設計”

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(1)Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. Gsf-03-3. 系統負荷変動を考慮した H∞ 制御による系統連系単相インバータの ロバスト電圧制御系設計. Robust Voltage Control of a Single-Phase Grid-connected Inverter by H∞ Controller Considering the Load Fluctuation 慶應義塾大学. ○ 藤江 祐哉,滑川 徹. Y. Fujie and T. Namerikawa Keio University Abstract In this paper, we address the new voltage control system of a single-phase gridconnected inverter. In this paper, we apply the standard H∞ control theorem and specifically we formulate the voltage control problem as mixed sensitivity problem. By using this method, we can realize both the fastness and robustness of the voltage control under the condition that the uncertainty exists such as fluctuation of the load and the distribution lines. Finally, we confirm the effectiveness of the proposed method through numerical simulation.. 1. はじめに. とにより, 上記の課題を克服するための電圧制御系設計. 近年, 地球温暖化などの環境問題への関心の高まりを 受け, 低圧配電系統において太陽光発電の普及が進んで いる. 最近の日本の動向を見ても, 10kW 未満の家庭用 太陽光発電の導入件数に関しては, その増加が著しく,. 2009 年から 2019 年までの 10 年間に 4.7 倍以上に拡大 している [1]. しかしながら, 太陽光発電は気象, 天候に よって発電量が大きく左右されてしまうため, 発電した 電力が逆潮流として電力系統に流れ込む可能性がある. このとき, 低圧配電系統の電圧が上昇し, 適正範囲を逸 脱する恐れがある. その対策として, 系統連系単相イン バータを用いた電圧制御が注目を集めている. 系統連系単相インバータを用いた電圧制御に関して, 共同研究先であるエナジーサポート株式会社では, 電流. を提案する. 具体的には, H∞ 制御問題の中の一つであ る混合感度問題を用いることにより, 感度関数と相補感 度関数のゲインをバランスよく抑制し, 感度低減とロバ スト安定化の両立を図った制御系設計を提案する. また, 数値シミュレーションによって, 提案手法の有効性を検 証する. 本稿の構成は以下のとおりである. 2 章において, 問 題設定を説明し, 3章において, 混合感度問題に基づく 制御系設計について述べる. 4 章において, 数値シミュ レーションにより提案手法の有効性を検証し, 5 章にお いてまとめと今後の方針を述べる.. 系統連系単相インバータ制御問題. 2. 制御系における出力電流の制御を通して, 電圧制御系に. まず, 本稿において扱う系統連系単相インバータの回. おいて低圧系統の電圧を制御する手法が考えられてい. 路図を Fig.1 に示す. 想定する回路図は, 系統連系単相. る. このとき, 両制御系においては, PI 制御器と回転座. インバータが, AC フィルタを介して, 商用系統に連系さ. 標変換を組み合わせた手法が用いられており, この手法. れた構成となっている.. は, 文献 [2]∼ [5] などの文献においても用いられている 手法である. しかしながら, 従来の手法においては, 配. 系統連系単相 インバータ. 電線のパラメータ変動や負荷変動などの不確かさを考慮. ACフィルター. 商用系統. 𝑰𝒐. 𝑳𝒇. 𝑳𝒕. 𝑹𝒕. したシステムに対して, 安定性を重視するあまり, 1 サイ クル以内に電圧を制御するという高速性を追求した設計 を行うことが困難であった. 以上より, 本稿の従来研究. 𝑽𝒊. 𝑪𝒇. 𝑽𝒐. 𝑪𝑳. 𝑽𝒈. においては, 想定すべき不確実性を反映させた中で系の 安定性を保証するとともに, 制御における高速性も達成 可能なシステムの設計を行うことができていないという 課題がある. そこで, 本研究においては, H∞ 制御理論を用いるこ. ’21. 第 65 回 システム制御情報学会研究発表講演会 (2021年 5 月 26日〜 28 日, オンライン). 993. Fig. 1: Circuit Model with Inverter.

(2) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. Fig.1 の各パラメータを, Table 1 に示す.. 2.1. インバータ特性. Fig.2 の 2.1 で表されるイ Vα (s) から Vi (s) までの伝達. Table 1: System Parameter. 関数を, IN V (s) として表現することとする. Notation. Definition. Unit  . Vi. Output voltage of the inverter. [V]. Vα. Command voltage of the inverter. [V]. Vo. Voltage at the linkage point with the grid. [V]. 品特性の公開に繋がってしまうため, 本稿では明示を避. Vg. Grid Voltage. [V]. けさせていただく.. Io. Output current of the inverter. [A]. Lf. Inductance of the AC filter. [H]. Cf. Capacitance of the AC filter. [F]. Rt. Reactance of the distribution line. [Ω]. Lt. Inductance of the distribution line. [H]. なお, IN V (s) の具体的な特性に関しては, 共同研究先 であるエナジーサポート株式会社で取り扱われている製. 2.2. プラント特性. Fig.2 の 2.2 で表される電流プラント特性 CU R(s)(Vi (s) から Io (s) までの伝達関数) および電圧プラント特性. V OL(s)(Io (s) から Vo (s) までの伝達関数) について説 明する. まず, Fig.1 より, 負荷を含んだ場合のモデルに. 本稿では, 不確かさとして以下の 2 点を考慮する.. 対して, CU R(s) および V OL(s) はそれぞれ (1) 式, (2). • 負荷変動 有負荷時と無負荷時の 2 パターンを想定する. 有 負荷時においては, モデルの精緻化により, 負荷. 式のような伝達関数で与えられる. CU R(s) =. キャパシタンス CL = 1.0 × 10−5 [F] を想定する. 無負荷時は CL = 0[F] とすることに対応している.. • 配電線パラメータの変動 配電線パラメータの変動として, Lt = 5.0×10−4 [H] ∼1.0×10−5 [H] の範囲の変動を考慮する. 具体的に は, Lt = 1.0 × 10−4 [H] を基準に 5.0, 2.5, 1.0, 0.75,. 0.50, 0.25, 0.10[倍] のように 7 段階に分けて変動を. Lt CL s2 + CL Rt s + 1 Lf Lt (Cf + CL )s3 + Lf Rt (Cf + CL )s2 + (Lf + Lt )s + Rt (1). V OL(s) =. Lt s + Rt Lt CL s2 + CL Rt s + 1. 同様にして, 負荷を含まない場合のモデルに対して,. CU R(s) および V OL(s) はそれぞれ (3) 式, (4) 式のよ うな伝達関数で与えられる. CU R(s) =. 考慮する.. 1 Lf Lt Cf s3 + Lf Rt Cf s2 + (Lf + Lt )s + Rt. V OL(s) = Lt s + Rt. したがって, 合計 14 パターンのパラメータに対応した システムを想定する. ここで, 本稿においては, 出力電流. Io (s) を制御することにより, 連系点電圧 Vo (s) を制御す ることを考える. この考えをブロック線図として表現す ると, Fig.2 のとおりである.. 2.1. (3). (4). (3) 式, (4) 式は, それぞれ (1) 式, (2) 式において, CL = 0 とした場合に対応していることより, CU R(s) および. V OL(s) は, それぞれ (1) 式, (2) 式の形で統一的に表現 することができる.. 2.3. 2.2. (2). 直交信号生成手法. 系統連系単相インバータにおいては, いかにして直交 信号を生成するかが重要であり, 本稿では, その手法と して [5] において用いられている SOGI(Second Order. 2.5. Generalized Integrator) を使用する. 前節で得られた電 流制御系と電圧制御系における Io (s), Vo (s) に対して, 実. 2.3. 信号成分 Io,α (s), Vo,α と直交信号成分 Io,β (s), Vo,β (s) を 生成するための SOGI の伝達関数 SOGI(s) は, (5) 式の. 2.4. ような伝達関数で与えられる. . Fig. 2: Circuit Model with Inverter. SOGI(s) =  Fig.2 の各要素に関して以下において説明する.. kω0 s s2 +kω0 s+ω02 kω02 s2 +kω0 s+ω02.  . (5). ここに, k は SOGI の設計パラメータであり, ω0 は同期 角周波数を表す.. 994.

(3) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. 2.4. 軸目標値電圧 Vd∗ (s) をそれぞれ表している. また, P (s). dq 変換. 前節において得られた実信号成分 Io,α (s), Vo,α (s) と直 交信号成分 Io,β (s), Vo,β (s) はともに交流成分である. し たがって, 定常偏差を 0 とするために, 電流制御系にお いては Id (s), Iq (s) への直流変換を, 電圧制御系におい. はノミナルプラントを, WS (s), WT (s) は周波数重み関 数をそれぞれ表している. このとき, 電圧 H∞ 制御器を設計するために解く問題 は, 以下のように定式化される. . . ては Vd (s), Vq (s) への直流変換をそれぞれ dq 変換によ. 問題 1. Fig.3 において, w(s) から z(s) までの閉. り行う必要がある. このとき, 電流制御系と電圧制御系. ループ系が内部安定となり, かつ与えられた γ > 0. における dq 変換式 DQcur (s), DQvol (s) はそれぞれ (6). に対して (8) 式を満たすような制御器 KH∞ (s) を. 式, (7) 式のような伝達関数で与えられる.. " DQcur (s) =. 2.5. s − s2 +ω 2. s s2 +ω02 0 − s2ω+ω 2 0. s s2 +ω02 0 − s2ω+ω 2 0. ω0 s2 +ω02 s s2 +ω02. 0. " DQvol (s) =. 0 − s2ω+ω 2. 0. 設計せよ.. #. W (s)S(s) S. WT (s)T (s). (6). # (7). <γ. (8). ∞. ただし, S(s), T (s) はそれぞれ (9) 式, (10) 式で表 される感度関数と相補感度関数を表す.. 1 1 + P (s)KH∞ (s) P (s)KH∞ (s) T (s) = 1 + P (s)KH∞ (s). 制御器組合せ. S(s) =. Fig.2 の 2.5 で表される制御器の組合せについて説明 する. 本稿では, Table 2 のように, 電流制御系と電圧制. (9) (10). . 御系における制御器の組合せを考える.. . 以下では, 問題 1 を解くために必要となるノミナルプ. Table 2: Controller Pair. ラント P (s), 周波数重み関数 WS (s), WT (s) の選定およ. Method. Current Controller. Voltage Controller. Conventional. PI. PI. Proposed. PI. H∞. び設計した制御器 KH∞ (s) に関して, P (s) が 3 次系の 場合と 2 次系の場合に分けて説明する.. 3.1 次章において, 提案手法である H∞ 制御に基づいた電 圧制御系設計について説明する.. 3.1.1. ノミナルプラント P (s) が 3 次系の場合 ノミナルプラント P (s) の選定. まず, ノミナルプラント P (s) を選定する. Fig.2 より,. 3. q 軸電流制御系目標値 Iq∗ (s) から d 軸出力電圧 Vd (s) ま. 電圧 H∞ 制御器の設計 本章では, 混合感度問題に基づいた電圧 H∞ 制御器の. での伝達関数 Pvol (s) は, (11) 式のように算出される.. Pvol (s) = Pcl,cur (s) · V OL(s). 設計について説明する. このとき, Fig.3 で表されるシス テムを考える.. (11). ここに, Pcl,cur (s) は, 電流制御系における閉ループ伝達 関数を表している. しかしながら, Pvol (s) は, 高次系であるため, これに 基づいて H∞ 制御器を作成しようとすると, Pvol (s) よ りも高次な伝達関数となってしまい, 実装の観点から望 ましくないと考えられる. そこで, 本節では, 想定すべき. 1.0 × 10−4 [rad/s]∼1.0 × 105 [rad/s] の周波数領域におい て, Pvol (s) のゲイン特性と比較的似た特性になるよう, ノミナルプラント P (s) を 3 次系の伝達関数として, (12). 𝐾𝐻∞ (𝑠). 式のように選定した.. Fig. 3: H∞ Control Problem for Voltage Control Fig.3 において, u(s), y(s), w(s) はそれぞれ Fig.2 にお ける q 軸電流制御系目標値 Iq∗ (s), d 軸出力電圧 Vd (s), d. 995. P (s) =. (s + 2.1 ×. 2.2 × 106 + 1.8 × 102 s + 1.1 × 105 ) (12). 102 )(s2.

(4) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. このとき, (12) 式と 14 パターンのパラメータに対応 した (11) 式の関係をゲイン線図で表すと, Fig.4 のよう になる. ただし, 赤線が (12) 式を, 黒線が (11) 式を表し ている.. Fig. 5: Gain plot of Eq.(16). Fig.5 より, (16) 式によって, 制御対象に生じる不確か さ量を上から覆うことができていることがわかる.. Fig. 4: Gain plot of Eq.(12) and Eq.(13) 3.1.3 3.1.2. 電圧 H∞ 制御器 KH∞ (s) の導出. 以上より, 電圧 H∞ 制御器の伝達関数 KH∞ (s) は (17). 周波数重み関数 WS (s), WT (s) の選定. 式のように設計することができる.. まず, 周波数重み関数 WS (s) を選定する. WS (s) の設 定により, 低周波数領域において, 目標値追従性と外乱抑. KH∞ (s) =. 制性能を追求することができる. このとき, WS (s) を一 次のローパスフィルタとして (13) 式のように選定した.. 2.0 × 10 s + 1.0 × 10−5. このとき, 閉ループ系の H∞ ノルムは, γ = 0.98 となっ た. ここで, (8) 式の関係を Fig.6 に示す.. 2. WS (s) =. 2.1 × 106 (s + 2.1 × 102 )(s2 + 1.8 × 102 s + 1.1 × 105 ) (s + 1.2 × 104 )(s + 1.1 × 10−5 )(s2 + 2.3 × 103 s + 1.6 × 106 ) (17). (13). 次に, 周波数重み関数 WT (s) を選定する. 本稿では, 不確かさを含む制御対象 (11) 式を乗法的な不確かさを もつ制御対象として (14) 式のように表現する.. Pvol (s) = P (s)(1 + ∆(s)WT (s)). (14). ここで, ∆(s) は, 全ての周波数帯域において, そのゲイ ンが 1 未満の安定な伝達関数であることから, (14) 式よ り (15) 式が得られる.. |. Pvol − 1| = |∆WT | ≤ |WT | P. (15). このとき, (15) 式を満たすように, かつ H∞ 問題の可解. Fig. 6: Gain plot of Eq.(9). 条件を満たすように, WT (s) を 3 次式として, (16) 式の ように選定した.. WT (s) = 2.7×10−9 (s+1.2×103 )(s+6.7×102 )(s+2.0×102 ) 3.2 (16) このとき, (15) 式の関係をゲイン線図で表すと, Fig.5 のようになる. ただし, 赤線が (16) 式を, 黒線が (15) 式 の最左辺を表している.. 996. 3.2.1. ノミナルプラント P (s) が 2 次系の場合 ノミナルプラント P (s) の選定. まず, ノミナルプラント P (s) を選定する. 上述したよ うに, (11) 式は高次系であるため, これに基づいて H∞.

(5) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. 制御器を作成することは望ましくない. そこで, 本節で は, 想定すべき 1.0 × 10−4 [rad/s]∼1.0 × 105 [rad/s] の周 波数領域において, (11) 式のゲイン特性と比較的似た特 性になるよう, ノミナルプラント P (s) を 2 次系の伝達 関数として, (18) 式のように選定した.. P (s) =. 6.8 × 103 (s2 + 1.7 × 102 s + 6.8 × 104 ). (18). このとき, (18) 式と 14 パターンのパラメータに対応 した (11) 式の関係をゲイン線図で表すと, Fig.4 のよう になる. ただし, 赤線が (18) 式を, 黒線が (11) 式を表し ている.. Fig. 8: Gain plot of Eq.(21). Fig.8 より, (21) 式によって, 制御対象に生じる不確か さ量を上から覆うことができていることがわかる.. 3.2.3. 電圧 H∞ 制御器 KH∞ (s) の導出. 以上より, 電圧 H∞ 制御器の伝達関数 KH∞ (s) は (22) 式のように設計することができる. KH∞ (s) =. このとき, 閉ループ系の H∞ ノルムは, γ = 0.82 となっ. Fig. 7: Gain plot of Eq.(12) and Eq.(19). 3.2.2. 9.0 × 106 (s2 + 1.7 × 102 s + 6.8 × 104 ) (s + 3.3 × 104 )(s + 4.5 × 103 )(s + 1.0 × 10−5 ) (22). た. ここで, (8) 式の関係を Fig.9 に示す.. 周波数重み関数 WS (s), WT (s) の選定. まず, 周波数重み関数 WS (s) を選定する. 3.1.2 項と同 様にして, WS (s) を一次のローパスフィルタとして (19) 式のように選定した.. WS (s) =. 3.0 × 102 s + 1.0 × 10−5. (19). 次に, 周波数重み関数 WT (s) を選定する. 3.1.2 項と 同様にして, Pvol (s) を乗法的な不確かさをもつ制御対象 として表現するとき, (20) 式が得られる.. |. Pvol − 1| = |∆WT | ≤ |WT | P. (20) Fig. 9: Gain plot of Eq.(9). このとき, (20) 式を満たすように, かつ H∞ 問題の可解 条件を満たすように, WT (s) を 2 次式として, (21) 式の ように選定した.. WT (s) = 4.5 × 10. 4 −7. (s + 4.0 × 10 )(s + 2.0 × 10 ) (21) 3. 数値シミュレーション. 2. 以上を踏まえて, 本章では, 数値シミュレーションに. このとき, (20) 式の関係をゲイン線図で表すと, Fig.8. よる提案手法の有効性を検証する. シミュレーションに. のようになる. ただし, 赤線が (21) 式を, 黒線が (20) 式. 関しては, ステップ入力 Vd∗ (s) を目標値として加えた場. の最左辺を表している.. 合の目標値応答を確認する.. 997.

(6) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. 4.1. シミュレーション条件. 4.2.1. 有負荷の場合. 有負荷時 (CL = 1.0 × 10−5 [F] の場合) の結果を以下. まず, シミュレーションパラメータを Tabel 3 に示す.. に示す.. Table 3: Simulation Parameter Value  . Parameter. Unit. −4. Lf. 8.0 × 10. Cf. 9.4 × 10−6. [F]. Lt. 1.0 × 10−5 ∼5.0 × 10−4. [H]. Rt. 1.0 × 10−1. [Ω]. CL. 0 or 1.0 × 10−5. [F]. ω0. 2π × 60. [rad/s]. k. 1. [-]. Vd∗. 10. [V]. [H]. 次に, 制御器の組合せを Table 4 に示す.. Table 4: Configurations of current and voltage control. Fig. 10: Lt : 5.0 × 10−4 [H]. system Method. Current Controller. Conventional. PI 0.13 +. Proposed 1. PI 16 s. PI 0.13 +. Proposed 2. 1.3 +. 1.0×103 s. H∞ (P (s):3rd order) 16 s. PI 0.13 +. Voltage Controller  . (17) 式 H∞ (P (s):2nd order). 16 s. (22) 式. Table 4 において, 従来手法および提案手法で用いて いる PI 制御器の各ゲインに関しては, 試行錯誤的に決 定した. このとき, 合計 14 パターンのパラメータに対応 したシステムそれぞれに対して, 上記 3 種類の制御器を. Fig. 11: Lt : 1.0 × 10−4 [H]. 用いた場合の目標値応答を比較する. 以下では, 黒線, 青 線, 赤線はそれぞれ従来手法, 提案手法 1(P (s) が 3 次系 の場合), 提案手法 2(P (s) が 2 次系の場合) を用いた場 合の結果を表していることに注意されたい.. 4.2. シミュレーション結果. 以下では, 負荷の有無に対してそれぞれ Lt を 7 段階に 変動させた場合に分けて結果をまとめる. ただし, 分量の 都合上, Lt が 5.0×10−4 [H], 1.0×10−4 [H], 1.0×10−5 [H] の 3 パターンのみ選択して結果を掲載する. なお, 以下で示される目標値応答の各図に関しては, 横 軸が時間 [s] を, 縦軸が d 軸出力電圧 Vd [V] を表してい ることに注意されたい.. Fig. 12: Lt : 1.0 × 10−5 [H]. 998.

(7) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. Fig.10∼Fig.12 より, 提案手法 1 の場合が最も安定し て高速に目標値に追従できていることがわかる. ここ で, Lt が 1.0 × 10−4 [H] の場合, 各制御器を用いたとき の開ループ系のボード線図を比較すると Fig.13 のよう になった.. Fig. 15: Lt : 1.0 × 10−4 [H]. Fig. 13: Bode Plot of the Open Loop System. Fig.13 より, 提案手法 1 においては, 他の場合に比べ, 交差周波数に加え, ゲイン余裕や位相余裕も比較的大き い点で, 過渡特性の速応性および安定性が優れているこ とがわかる. また, 低周波におけるゲインが他に比べて比 較的高いことより, 定常特性も優れていることがわかる.. 4.2.2. Fig. 16: Lt : 1.0 × 10−5 [H]. 無負荷の場合. 無負荷時 (CL = 0[F] の場合) の結果を以下に示す.. Fig.14∼Fig.16 より, 提案手法 1 の場合が最も安定し て目標値に追従できていることがわかる.. Fig. 14: Lt : 5.0 × 10−4 [H] Fig. 17: Bode Plot of the Open Loop System. 999.

(8) Proceedings of the 65th Annual Conference of the Institute of Systems, Control and Information Engineers (ISCIE), Online, May 26-28, 2021. ここで, Lt が 1.0 × 10−4 [H] の場合, 各制御器を用いた. [2] B. Crowhurst, E. F. El-Saadany, L. El Chaar, L.. ときの開ループ系のボード線図を比較すると Fig.17 の. A. Lamont, “Single-phase grid-tie inverter con-. ようになった.. trol using DQ transform for active and reactive. Fig.17 より, 提案手法 1 においては, 他の場合に比べ,. load power compensation”, 2010 IEEE Interna-. 交差周波数に加え, ゲイン余裕や位相余裕も比較的大き. tional Conference on Power and Energy, pp. 489-. い点で, 過渡特性の速応性および安定性が優れているこ. 494 (2010). とがわかる. また, 低周波におけるゲインが他に比べて比 較的高いことより, 定常特性も優れていることがわかる.. 4.2.3. [3] A. M. Minder, D. J. Atkinson, M. Dahidah, M. Armstrong, “A simplified DQ Controller for SinglePhase Grid-Connected PV Inverters”, 2016 7th. 全体の平均結果. 本節では, 合計 14 パターンのパラメータに対応したシ ステムそれぞれに対する目標値応答の平均結果を Table. International Renewable Energy Congress (IREC) (2016) [4] B. Li, S. Huang, X. Chen, Y. Xiang, “A Simpli-. 5 に示す.. fied DQ-Frame Current Controller for Single-Phase. Table 5: Average Result. Grid-Connected Inverters with LCL filters”, 2017 20th International Conference on Electrical Ma-. Method. Overshoot[%]. Setting Time[ms]. Rise Time[ms]. Conventional. 3.8. 43. 9.7. Proposed 1. 0.26. 17. 7.6. Proposed 2. 11. 32. 4.3. chines and Systems (ICEMS) (2017) [5] M. Saitou, T. Shimizu, “A Novel control Method on Single Phase Grid Connectable Inverter With Hilbert Transformer ”, IEICE Technical Report,. Table 5 より, 提案手法 1 においては, 他の場合に比べ, 速応性・減衰特性が総合的に優れていることから, 提案 手法 1 の場合の結果が最も良好であると考えられる. 以 上より, 提案手法の有効性を検証することができた.. 5. Vol.101, No.38, pp. 1089-1090 (2001) [6] M. Ciobotaru, R. Teodorescu, F. Blaabjerg, “A new single-phase PLL structure based on second order generalized integrator”, 2006 37th IEEE Power Electronics Specialists Conference (2006). おわりに 本稿では, 系統負荷変動および配電線パラメータの変. 動を考慮した場合における電圧 H∞ の制御系設計を提 案した. また, 数値シミュレーションによって, 提案手法 の有効性を検証した. 今後の課題としては, 複数台の系 統連系単相インバータを用いた場合において協調的に各 インバータが出力を決定することができるような枠組み を構築することが考えられる.. 謝辞 本研究を進めるにあたり, エナジーサポート株式会社 様には貴重な意見を数多く頂いた. この場をお借りして 深くお礼申し上げます.. 参考文献 [1] https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/062 01 00.pdf, 太陽光発電の状況-METI (2021 年 3 月 1 日閲覧). 1000.

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Fig. 1: Circuit Model with Inverter
Fig. 2: Circuit Model with Inverter
Fig. 3: H ∞ Control Problem for Voltage Control Fig.3 において, u(s), y(s), w(s) はそれぞれ Fig.2 にお ける q 軸電流制御系目標値 I q ∗ (s), d 軸出力電圧 V d (s), d 軸目標値電圧 V d ∗ (s) をそれぞれ表している
Fig. 4: Gain plot of Eq.(12) and Eq.(13)
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