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ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続 利用統計を見る

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ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続

著者

名雪 健二

著者別名

Kenji Nayuki

雑誌名

東洋法学

37

1

ページ

157-186

発行年

1993-09

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003504/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続

一一

九八七六五四三二一

目 次 はじめに 紬象的規範審査手続の性質 提訴権限 審査の対象 提訴権能 審査の基準 意見陳述権 決定とその効果 おわりに 東 洋 法 学 一五七

(3)

ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続 一五八

はじめに

 一九五一年九月七日にカールスルーエで活動を開始した連邦憲法裁判所は、他の裁判機構に比べて際立った裁判所 であり、もっばら憲法の適用および解釈に関する問題について決定する憲法機関でもある。そして、憲法の擁護を保        ハき 障するためのあらゆる裁判上の手続が、連邦憲法裁判所に集中しており、それは歴史的にみても比較法的にみても、 比べることができないほどの広範な権限をもって、憲法上の問題に関して決定している。        ハ レ  この連邦憲法裁判所に配分されている権限は、機関争訟、連邦争訟、規範審査、憲法訴願並びに特別な憲法擁護手        ハ レ 続と選挙審査および議員資格審査手続であるが、本稿ではこれらの権限のうち、規範審査、それも具体的事件とは無 関係に規範を審査することができるとする抽象的規範審査手続についてみていくことにする。 ︵1︶ エルンスト・フリーゼンハーン﹁西ドイツ憲法裁判論﹂、廣田健次訳、∼九七二年、三頁。 ︵2︶規範審査には、袖象的規範審査とは別に具体的規範審査があるが、ω9画9によれば、具体的規範審査というよりは、  裁判官の疑義提示の方がより適切であるとする。遷窪ωω○鑓鉱。ダU器膨弩号望角賦器轟αqωαQ①誌9ける。︾魯■し8ど  閃伍2こる。具体的規範審査について、詳しくは、ω9蛋畠v即α寄,田段る籍一昌き博霧櫛巴9鋸︸くR㌶器彗αQ選3需津8算  ○ 。◆︾鼠﹂る緯︶ψ8陣艶国穫霧けじ dΦ&餌\両畠舞匹Φ一Pい①警ゴ9号ωくΦ誉ωω弩αQω冥ON&80算ωし8ど鱒α2饗8艮甲〆践一  >茜霧けω象Φ毒欝p9Φ犀○鼻炎㊦窯○§Φ鼻○⇒貯δ頴弩αω・霧凝Φ○鼠9欝く9おΦ戸すω毒留ωく①薮器琶αqωαqΦ誉穿暮α  9暮凝霧①g押る蕊︶ω■器○ 。︷︷一≦・凝きαQrα壽びN葛鋒p9αQ箒一樽窪響αくの詩ぼΦp儀①ωω琶留ω<&霧ω琶αqωαQΦユ畠貫旨

(4)

 瞬○ω①¢紹霧ΦΦ\℃黛一屡8浮○暁︵牢ωαQ冒︶︾類撃き信象留のω酔舞欝①畠錺伽Rω弩留ωお饗び葬Uの塞9賦β拝ωα■戸る。 。8ψ  刈o 。一律畑尻 剛﹁憲法裁判研究序説﹂、一九八八年、一五七頁以下。クラウス・シュライヒ﹁ドイツ連邦憲法裁判所論﹂   ︵三︶、名雪健二訳、比較法第三〇号、一九九三年、九二頁以下。 ︵3︶ ドイツにおいては、憲法裁判が極めて純粋な形で実現されており、そして、﹁憲法裁判﹂という言葉がよく使われるが、   ここに挙げたそれぞれの個別的権限を超えて、﹁憲法裁判﹂という統一的な概念がはたしてあるのかどうかは、問題があ   るといわれている。これについては、ωo窪鉱○ダ幻傷2唇璽 二 抽象的規範審査手続の性質  ボン基本法第九三条第一項第二号および連邦憲法裁判所法第一三条第六号は、抽象的規範審査手続ついて規定して いる。この抽象的規範審査手続においては、連邦法または州法がボン基本法と形式的・実質的に一致するか、あるい は州法が連邦法と形式的・実質的に一致するかに関して﹁意見の相違または疑義﹂がある場合に、連邦政府、州政府 もしくは連邦議会議員の三分の一の提訴により、連邦憲法裁判所が決定する。したがって、ここでは、提訴人の利害       ハよレ といったようなことが対象となるわけではない。提訴人は、規範が憲法に適合するかどうかの憲法問題や法律問題を 連邦憲法裁判所に提起することができるが、この手続は政治的な領域からの機関の訴えによって行われるものであり、 それも、政治的に論争のある法律についてよく訴えが提起される。また、それは、対抗的手続ではないから、当事者       レ および当事者適格もなく、規範が有効か無効かを審査し、確認する客観的手続であって、提訴人みずからが被害を蒙

    東洋法学      

一五九

(5)

    ドイツ連邦憲法裁判所の樒象的規範審査手続       一六〇 ったということがなくても、訴えがあれば決定がなされる。ω欝象によると、抽象的規範審査手続は、﹁具体的な法       ハ レ の適用から切り離された包括的審査になるしという。抽象的規範審査は、提訴人の権利に関して争われる手続ではな        でソ いから、権利保護の手続ではなく、他の法に対して憲法の優位を実行する憲法の擁護手続である。このようなことか        ハぢ  らみると、憲法を客観的に擁護するのがこの手続の目的であり、連邦憲法裁判所は、まさに﹁憲法の番人﹂としての        ハ レ 役割を引き受けているといえる。したがって、手続の対象と目的は、客観的な性質を有している。  抽象的規範審査は、規範の有効または無効の問題ではなく、規範が上位の法と︸致するかどうかの問題を手続の対 象としているので、これが一次的問題である。規範の一致または不一致を確認することによりどのような結果がでて くるかは、二次的問題であり、それは手続の対象に直接関係するものではない。  連邦憲法裁判所は、提訴がなされた場合、決定しなければならず、憲法訴願におけるように、憲法裁判の補充性の       パァレ 背後に引きこもることはできない。すでに述べたように、この手続は、政治的な領域からの機関の訴えによって行わ れるが、連邦憲法裁判所における口頭弁論は極めて論争的であり、機関争訟と同様、政治的陣営の勝利および敗北の         パを  図式として現われる。もっとも、機関争訟とは対照的に、﹁被提訴人﹂は存在せず、提訴権限ある機関は、機関の権       ハうレ 限のために争うのではなく、規範審査手続のきっかけを与えるだけである。  また、連邦憲法裁判所は、提訴人が提訴を取り下げた後でも、手続を継続することに﹁公の利益しがあると考えた        ハめロ 場合に、規範の憲法適合性に関して決定することができる。したがって、提訴人がご都合主義によって提訴を取り下 げるようなことがあっても、必要とあれば、連邦憲法裁判所は決定をなすことができる。連邦憲法裁判所は、提訴後、

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提訴人から手続の対象を取り上げることができるという結論を規範審査手続の法的性質から導きだした。しかし、争 訟の対象に関する処理を提訴人から取り上げることが、はたして当該憲法裁判所の裁判所という性質と一致するかど       き うかは問題といえよう。  なお、連邦法がボン基本法と一致するかどうかまたは州法が連邦法と一致するかどうかの問題は、機関争訟や連邦 争訟にもなる。例えば、連邦参議院は、連邦議会が議決し、連邦大統領が公布する法律に対して同意を与える必要が あると主張する場合に、機関争訟を提起することができる。また、連邦は、州法律が連邦の権限領域を侵害すると主 張する場合に、連邦争訟を提起することができる。したがって、異なった手続の対象および目的に鑑み、抽象的規範 審査手続が他の手続に優先するわけではない。機関争訟、連邦争訟、抽象的規範審査といったこれらの手続は、むし        ハぬ  ろそれぞれ相互に独立しているから、異なった手続の方法で、別の目的を遂行することも許される。結局、提訴の目       へお  的が、どの手続を選択するかを決定することになろう。  ところで、連邦憲法裁判所において、抽象的規範審査の手続で行われた争訟は、一九五一年から一九九〇年までに     レ      ヘおレ 六〇件ある。ω畠蛋魯は、重要なものをいくつか挙げている。例えば、e妊娠中絶における期間基準に関する争訟 事件。提訴人は、連邦議会議員一九三名およびキリスト教民主同盟によって率いられたバーデン到ヴュルテンベルク        ハを 州、ザールラント州、バイエルン州並びにシユレースヴィヒHホルシュタイン州のそれぞれの州政府であった。⇔ド        ハガレ イツ民主共和国との基本条約に関する争訟事件。提訴人は、バイエルン州政府であった。日政党への寄付金および献 金に関する税制上の考慮問題。提訴人は、二⋮ダーザクセン州政府であって、所得税法第一〇b条第二項が政党の

    東洋法学      

一六一

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    ドイツ連邦憲法裁判所の袖象的規範審査手続      一六ニ       ハ レ 機能を危うくしていると主張した。四一九八一年の国家賠償法に対する立法権能が連邦に帰属したかどうかに関する       ハ   問題。ここでは、キリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟によって率いられた五つの州政府が訴えを提起した。固 兵役拒否権および兵役代替社会奉仕勤務の権利を再編成するための法律に関する争訟事件。提訴人は、ブレーメン州、 ハンブルク州およびノルトライン腫ヴェストファ⋮レン州並びに連邦議会議員一九六名であった。これについて、連        お      ハのレ 邦憲法裁判所は、憲法に矛盾しない解釈を行った。因二ーダ⋮ザクセン州の放送法がボン基本法と一致するかどうか に関する問題。提訴を行ったのは、連邦議会のドイツ社会民主党二〇︸名の議員であった。この問題について、連邦        ハぼレ 憲法裁判所は、いくつかの部分において、放送法をボン基本法と一致せず無効と宣言した。  以上、抽象的規範審査の手続で行われたいくつかの重要な事件を指摘したが、この手続は普通政府多数党と野党間 で論争があった場合にだけ行われる。しかし、必ずしもそうとは限らない場合がある。例えば、一九七六年の共同決 定法についてはドイツ連邦議会で可決されたが、この法律が憲法に適合するかどうかに関する争訟では、企業家およ びその団体によって憲法訴願の方法で行われ、また、裁判所にょる疑義提示の方法で行われた。したがって、共同決       ハぶレ 定法にかかわる問題は、抽象的規範審査手続の方法で連邦憲法裁判所にもたらされたわけではなかった。 ︵1︶ ︵2︶  膨く&○麟一る霧︵念群ン悶餌厩欝露ω9pu一のぎ終鼻820§象ぎ導巨す5ω毯留雲鼠霧雲茜詔豊魯轡琶α9琶祭 αQ ΦωΦg囲し零9ψ89  霞窪ωωo鑓巴OFU霧膨毒山霧毒臨器象お詔Φユo冥菊α鰭﹂窃■

(8)

︵3︶

54

21 20 19 18 17 16 15 i4 13 12 1:L 10  9  8  7  6  鎖Φ言暮ωぎ○ダ 頃磐αぴ諏9伍①ω  田くΦほの国一口○ 。群  厨くΦ臥○国ザG 。④① じo く&○ρ>旨夷ρ    く・瀞G 。ω猛αQ茜99房富築簿口鋭 く&霧ω§αQ。 ・話。簿ω﹂O・ 。o 。︸ω9憲99 ωα鼠る’鋳9︶ψ ω魯葱oダ菊傷零, ωo窪鉱oダヵ島︾ー 冒きむω①戸 じd <①紘○団ザω霧 なωΦp窓︾■8顛 厨くΦほの国o 。﹂曾 遷墜ωω憲p な器ダ臣寄930 。■ ω島鼠oF じo くΦ鍬○国 ⑪く①H︷○団 ゆく①比○国 田くR︷○罰 サしの問題に 田くR︷○麟 ︵るαご, ︵さ刈︶る譲ω 幻α2けトo’ ωO野 に9 ごα・ ︵ω箋︶ ω欝霧oお睾一ω幾Ob段Φ。貰G 。,     ︵愈戯ご。 。しG 。G 。︵一。 。藤    ︵一一・﹀るρ㎝① 切○暮Φ7内○目ヨの算舞 カα2いに①、 ooPH・ ωρ一隆 器︾8“ ①一しホ9 ①P轡 ついて、詳しくは、 円H霧齢ω窪富 のρω㎝・︵額一︶ω爵p ︾魯9し8押幻α罫, ︶るPω・。 。︵ω8︶ー ︵Φo 。︶レ ○毒&αQΦωΦ貸 OOド ミ①露黛属繊﹃○暁R 斜鋤.ρψω○合 おo 。担︾旨◆8︶殉餌寄﹂o 。刈。 ωo江巴oF菊伍寄ト○綬暁■ 詳霧←・9窪<・αQΦ一︵牢G ・αQ﹃γ ○霞富巳9鶏導2 一貰属き自鋒鉾 東 洋 法 学 山ハ三

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2322

ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続 膨くR︷○国刈O o︾にc oり boくΦ焦○団㎝ρNΦρ 一六四 三 提訴権限  ボン基本法第九三条第一項第二号および連邦憲法裁判所法第七六条は、提訴が権限づけられている者の範囲を定め ている。すなわち、連邦政府、州政府または連邦議会議員の三分の一が、提訴の権限を有する。機関争訟とは違って、       パよ  提訴を権隈づけられた機関を限定するのは、抽象的規範審査の客観的性質を示しているといえる。連邦憲法裁判所に        ハおレ よれば、提訴権限を限定するのは、抽象的規範審査手続の性質から生ずるとしている。  まず、連邦政府であるが、ボン基本法第六二条が定めているように、それは連邦首相と連邦大臣からなる合議体で あるから、閣議決定が提訴の基礎となっていなければならない。つまり、閣議決定に基づいて提訴権を行使すること       ハ レ ができるのであるから、これがなければ、提訴は許されない。        ぞマ  次に、州政府も、提訴の権限がある。州政府の定義は州憲法から明らかになるが、ここでも、州政府のいわば閣議 決定が必要である。そして、州政府のために誰が提訴権を行使するかは州憲法によるが、普通は州の総理大臣が州政      ハぢ  府を代表する。州政府は、連邦主義の制度を守るため、連邦法上の規範を擁護する役割を引き受けると同時に、連邦 の憲法を維持する全国家的責任を負う。

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 最後に、抽象的規範審査の手続をなす権限のある機関は、連邦議会議員の三分の一である。ここに、連邦議会議員        ハらレ の三分の一が提訴を行うとあるが、それは議員だけが提訴なすことを意味し、連邦議会そのものには、提訴の権限は  ハアレ ない。この三分の一というのは、政府およびそれを担う政府多数党と密接な関係をもつ議院内閣制においては、特別 な審査機能が与えられる野党の役割を活性化することになる。つまり、野党には、政治的論争を連邦憲法裁判所へ持 ち込む可能性が与えられ、すべての法律に対して、当該憲法裁判所による規範審査のきっかけをつくることになる。 このようなことから、ボン基本法第九三条第一項第二号は、少数保護のためにあるといえよう。なぜならば、普通野        ハ レ 党が、規範審査の手続を提起するからである。  提訴権限に必要な議員の定足数は、議員の総数から算出される。州法律に関連して、仮に全連邦議会議員が規範審 査を提起しても、それは、決して連邦議会そのものの行為とはいえない。なぜならば、ボン基本法第九三条第一項第 二号は、連邦議会には提訴権限を与えていないからである。いずれにしても、提訴権限は、連邦議会議員の三分の一 が関与する場合にだけ認められる。提訴に必要な定足数を満たした連邦議会議員は、提訴人として統一的に行動する        ハ   ことから、その見解は統一的に表明され、しかも、それは議員の代理人によってのみ主張される。一度提訴がなされ た後で、規範が上位の法と一致するか、それとも一致しないかに関して異なった見解をまた主張することはできない。       ハルレ もっとも、別の議員が三分の一をもって独自の提訴をなすことは考えられよう。  ここで、不思議なことに、憲法機関として重要な地位にある政党には、提訴権限が認められていない。ボン基本法 第九三条第一項第二号は提訴権限を固定していることから、連邦憲法裁判所は、これを完足されたものとして理解し、

    東洋法学       一六五

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    ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続       一六六       ハルレ 政党を提訴権限のある者の領域に含ませなかった。これについて、霞Φ貯は、政党という責任ある国家的機関に規範       ハど 審査のイニシアティブを委ねることには十分理由があるとしている。確かに一定の議員が党派に属するけれども、連        ゑレ 邦議会議員の三分の一が必要な審査機能を果たすことができるので、党派の提訴権は必要ないといえる。さらに、連 邦参議院にも提訴権限がない。それは、州政府に提訴権があることから、連邦参議院による手続の開始を必要としな     ハき いといえる。        パおレ  ところで、連邦大統領に提訴権限が与えられるべきであるかどうかについては、議論のあるところである。ボン基 本法制定会議においては、連邦大統領の政治的中立性という地位に鑑みて、提訴権を拒否した。しかし、政治的中立 性ゆえに提訴権を認めないとするには、疑問があろう。すなわち、連邦大統領には連邦法律に対する審査権があるこ とからみれば、それは、必ずしも納得のいく説明とはいえないのではなかろうか。連邦大統領の法律に対する審査権 は、抽象的規範審査手続における提訴権以上に、大統領をより容易に政治の領域に入り込ませることになるのではあ るまいか。  また、ボン基本法制定会議は、州議会とその議員にも提訴を権限づけられた者の範囲から除外した。もっとも、州        ハ レ 議会には、意見陳述権が認められている。        ドレ  なお、提訴権者は、共通の提訴をなすことも可能である。 ︵1︶冒旨H霧①pω霊無ω○おき坊p鋤8段Φo算幻α簿む8’

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i514王312111098765

玉716

  切く①駄○ω①c o︺ω群O ︵ω藤Φy   O①域げ鎚厩α¢一ω鋤3①お一p一ζ鶏離pNβ’鋤‘ωくΦ吋︷○○︸︾H蛭刈①︸幻α2卜斜①■  例えば、バイエルン州憲法第四三条第二項、ノルトライン鍾ヴェストファーレン州憲法第五︸条およびラインラント月 プファルツ州憲法第九八条参照。  ¢一ω鋤導Φ磨陣p一竃鋤仁⇔箇仁﹃鉾︾¢ ごく①触︷○○”︾Hけ・“①”切α窯憎群①’   ○﹃H一G o樽○℃︷UΦαQΦ潜ゲ勤H“のヨ勉簿けω穫Φoげけ制一Φ〇一︶即α2磐戯Φ①●  目唱の①昌︶即α2H■⑩○㎝.  回℃ωΦび”幻α2饗④○①。  騨<Φ穫︷○図①O o“ω群① ︵ωαOy  国Hpω酔頃①口α餌\麟○犀伽周酔凶囲Φ一添︾ゼΦび樋ぴ信oげα①ωくΦ目︷鋤o oω広”αqo o℃厩ON①ゆ肖の○ゲ酔ωり幻鳥2摂①騨o o齢  じ Oく&○団曽︶器︵器ごる押ω&︵ωおyなお、O ごく&○国o 。G 。︶餐︵蕊ご■も参照。  国oパ⇔講図一Φ純添︸くΦ焦鈴o oω漏鶏鵬ω℃吋○箇Φゆ触①o財賞︾α勾一〇〇 〇 ︵一ΦO oG o︶︶ω●①“①,  ︺[︶ΦαQΦ⇒﹃曽目ダ園α2憎蒔Φ①齢  じ ご①pα伽\国一㊤一郡︶幻鳥2目・①轟O o・   これについては、国象け旨暮ωα﹃ダ∪笛筈ω鉾餌即①2禽響9騨○鯨δ二ρ甘一じ ご薫&霧く費鑓ω讐⇒αQωαQRδ算信口αの毎⇒ααQΦ紹9がψ ⑳⑩9  連邦憲法裁判所法第七七条参照。  例えば、じ ご<Φ目お団2レお︵♂の︶、 四 審査の対象   東 洋 法 学 山ハ七 一

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    ドイツ連邦憲法裁判所の披象的規範審査手続       ︸六八  ボン基本法第九三条第一項第二号および連邦憲法裁判所法第七六条は、提訴権限と同時に審査の対象も定めている。 これらの規定によれば、連邦憲法裁判所は、連邦法または州法について審査するのであって、連邦法律ないし州法律         ハユマ の審査だけではない。いうまでもなく、抽象的規範審査手続の目的は、下位の規範によるあらゆる侵害から、ボン基 本法ないし連邦法を擁護することにあるので、すべての連邦法または州法を審査することができる。したがって、審        ハ   査の対象は、連邦や州の公法上の団体等を含め連邦と州によって公布された法規範である。  法律︵連邦法律または州法律︶であるが、これにはe 憲法規範、口 予算法律、日 国際法上の条約に対する同意 法も入る。        レ  e 憲法規範、つまり、ボン基本法を改正する法律も、当該基本法を基準にして審査することができる。連邦憲法       マレ 裁判所は、憲法違反の憲法も理論的には審査の対象になるとしている。       ハぢレ  ロ 形式的法律としての予算法律も、審査の対象となる。        ハ レ  日 ボン基本法第五九条第二項により、連邦議会が国際法上の条約を同意する法律も審査の対象となる。もっとも、 手続の直接の対象は条約それ自体ではなく同意法であるが、間接的には条約が審査の対象である。その理由は、条約 が条約法の内容になっているからである。ヨーロッパ共同体設立に関する条約法は、ドイツ法であり審査の対象とな ハアレ るが、ヨーロッパ共同体の機関によって定立される二次的の共同体法は、ドイツ国家権力の行為ではなく、それはド        バ レ イツ国家法とは別の独立した法秩序であるから、審査の対象にならない。したがって、ヨーロッパ共同体加盟国やそ の機関にとり、ルクセンブルクにあるヨ⋮ロッパ裁判所が、二次的の共同体法を拘束力をもって解釈することになる。

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       ハ レ この二次的の共同体法は、ドイツ法、加えてボン基本法に優先することから、抽象的規範審査手続の憲法を擁護する という目的から除かれるので、連邦憲法裁判所にはそれを審査する権限はない。ただ、ドイツ連邦共和国が共同体法 の方針を施行するにあたって、その義務に応ずべく制定する法は、ドイツ法であるから、審査の対象となる。しかし ながら、連邦憲法裁判所は、この法が共同体法を契機にして制定されているので、それを直ちにボン基本法を基準に して審査することはできない。それは、適法な共同体法およびそれに相応する国家法は尊重されなければならないか らである。もし、連邦憲法裁判所が共同体法を施行するドイツ法を憲法に違反すると考えるならば、当該憲法裁判所 は、ヨ⋮ロッパ経済共同体設立に関する条約第一七七条にょる疑義提示の手続で、ヨーロッパ裁判所に確認を求める        パれレ ことになる。こうした場合は、いうまでもなく、その規範に影響をおよぽすことはいうまでもなかろう。     ハき      あ   法規命令および連邦や州の公法上の団体、さらには市町村によって定められる規則も、ボン基本法第九三条第一項 第二号にいう﹁法﹂である。  ところで、審査の対象は、ドイツ連邦共和国の法だけであるから、外国法やかつてのドイツ民主共和国の法︵統一 条約により、連邦法または州法として引き続いて効力を有しない限り︶は審査の対象とならない。占領管理法も、ドイツ国 家権力によって制定されたものではないので、連邦憲法裁判所の管轄から除かれる。このようなドイツ国家権力以外 の力にょる法は、いわゆる経過条約でそれを維持する旨の条約上の義務を引き受けなかった限りにおいては、占領統 治終了後、立法者はこの規範を破棄し、みずからの規範にとって代わることができる。しかし、こうした事実にも拘       パおマ わらず、いまだ引き続いて効力をもつ占領管理法上の規範にも、法源としての性格が残っていることから、これにつ

    東洋法学       一六九

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    ドイツ連邦憲法裁判所の櫨象的規範審査手続       一七〇       パ レ いては抽象的規範審査手続において、立法活動を義務づけることはできない。  なお、ボン基本法第九三条第一項第二号にいう﹁法﹂という概念は、当該規範がすでに効力を有していることを前      ハおレ 提にしているので、法的に存在する連邦法や州法だけが審査の対象となる。抽象的規範審査手続の目的は憲法の擁護 であることから、いまだ存在していない法やもはや存在していない法は、上位規範の遵守にとっていかなる危険もな       ハ レ い。したがって、予防的規範審査は、否定されることになろう。そして、法の存在は、公布をもって始まるから、当 該法規が官報に公布された後にそれを初めて審査することができる。  予防的規範審査が許されないとする原則は、国際法上の条約の範囲内では別である。連邦憲法裁判所は、議会が国 際法上の条約に同意を与える条約法に鑑み、予防的規範審査を例外的に認めている。この場合、連邦大統領が条約法       ゼ を認証し、公布する前に、当該法律を審査することができる。いうまであなく、連邦議会および連邦参議院における 立法手続はすでに終了していなければならないから、連邦憲法裁判所の決定は、条約が国際法上発効する前に下され なければならない。さらに、連邦憲法裁判所は、その後の裁判で、当該憲法裁判所に決定の機会が与えられるまで、        まレ 国際法上の条約の施行を先に延ばす義務があると考えた。条約法を事前に審査することは、意味がある。つまり、条 約の実行性は条約法の規範に向けられるから、条約が国内法上の手続から独立し、たとえそれが憲法に違反するとし ても、ドイツ連邦共和国は、国際法上条約の遵守を義務づけられる場合が起こりうる。こうした状況を避けるために        ハの  も、条約法を事前に審査することは許される。  なお、抽象的規範審査手続の範囲においては、法が憲法以前であるか、それとも憲法以後であるかどうかは問題で

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は な い商  o)

21

︵3︶ ︵4︶ ︵5︶

76

︵8︶  冒旨甘ω①pω欝緯ω○おき冨鶴鼠○誘希o貰菊α罫,88  すなわち、連邦レベルおよび州レベルにおいて、どのような法規範が審査の対象となるかについては、目甥象︸幻α写■

80

。﹃なお、袖象的規範審査の対象を詳細にカタログ化したものとしては、OR匿箆9鋸簿2貸竃角q震鐸欝頓<&○ρ >罫刈9因α2磐8︷賛図富¢ωω8露︾頃○口霧7国○旨置Φ簿貸9暮凝霧Φ葺︾答⑩⊆ o︶男α之憎器にいがある。  連邦憲法裁判所は、いわゆる盗聴判決において、ボン基本法を改正する法律を審査の対象としている。閃く①Hδ国ωρ 一じ  ωく&○国どに︵器ご○ぼ聾○箕U罐象ζ芦望舞齢巽①9江︸即α寄﹂霧■憲法違反の憲法について取り扱ったものとし て、98膨8ぎ播くR賦器壼αqω且9蒔①くのほ器讐謎。 Q8触旨象叩︵む鋒︶狐登ミ罐①弩旨%8げ鍍ω鼠辞るお︸ω﹂塗がある。 また、大隈教授は、ドイツにおける憲法違反の憲法の問題をG O獅9無の理論を中心に詳しく論じている。大隈義和﹁憲法 制定権の法理﹂、一九八八年、心八五頁以下。  連邦憲法裁判所は、政党に対する国庫からの補助の適格性を予算法律に関する規範審査の範囲内で、審査することがで きるとしている。切くΦほ○国ωρ誘︵Φc

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 じ oく角δ団G 。ρ野  瞬く魚お勾器口o 。刈︵H8︶ 婆黛ωω・江鉱。拝U霧閃毯号。 。く①薮ωω彰αQωαQ①膏拝臣2H■に9譲&αQ碧αQいα語詳N霧莚&一αQ− パ舞窪奉伍く。忌ぼ窪号ω℃ G導号ω<①誉器霞αQ。 ααQΦユ。募レ登ぢωΦ口ωΦ霧Φ①\評巳逐8夢o︷︵鱒ωαq◆︶︸浮&ぎ畠号ω望婁甲 冨畠a侮霞ω轟留鍵Φ2げ一涛U①募ωo霞き倉罷α,戸¢ミが浮ぎ暮ω冒Opく鼠器ω琶αQ聾農お①○巳讐茜暮α①亭 困・冨ぎ竃鐸ΦαQ民一8”すω①&9鐸ゆ,り︵浮ωαq﹃︶︾田&ぎ魯留ω<&霧ω弩αQωお・驚ω”ψ①①◆  ωo匿鉱oダ勾α2目碁一9ゼα類①お野猶○‘ω・刈ミ・ 東 洋 法 学 一七︸

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︵9V 王4 13 i2 11 玉0

圭615

︵17﹀ ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続 一七二  連邦憲法裁判所は、共岡体法が連邦法に対して優先するとしている。ωく&○勝ω仁齢︵一濾︶◆さらに、連邦憲法裁判 所は、一九八六年の﹁ω○一欝鴨日事件の決定をもって、国家の憲法に対する共同体法の優先を受け入れた。頃くRお剛 団ω︶ωQ oΦ,なお、これについては、BO参鼠pω酔包P¢欝αq①竃ぼ江駝①筥①陣煽勝αq①p弩目ごω○ぴbαQΦ口..1田Φ。 。o濱鄭鞠創窃膨慮β鳥Φ甲 く①忌ωω彰αQωαq窪・浮ω﹂口一男Φω房。導渥︷鋒ミ○凝餌鑛NΦ聾9窪蕊︶る○ 。8ω﹂譲無一筥①嘗ξ箆霞痒ω・国お①山一ミδ 囲きαq①8鼠ω○一碧αq①四団彊○沁Nるo Q8ω﹂象  国簿馨じ ご窪富\国。訂講遷Φ芦9ぼ欝魯階ωく&霧ω暮αQω屈・需守①9鼻幻α寄’頷刈。  b oく&○団一﹂○ 。戯︵一霧︶、  冒導ゼ器戸ω酔器房○茜磐び讐卿8。 。80算菊α率むOc 。wgG 。餌導2蕎ピ㊤琶麟鐸餌こ⑦くRδρ≧ける9園α犀﹄ρω一■  膨く&○副観る零︵o 。餐律︶る①﹂ま︵嵩○律︶,参照。  浮包鋤\鑓色P幻α2轡①鵠,これに対して、9鍔欝象は、連邦憲法裁判所には占領管理法がボン基本法と一致するかど うかの審査を妨げられていないから、櫨象的規範審査は認められるとする。dぴ鋤欝9欝ζ窪醤些欝じ oく段おρ︾拝蕊︶ %傷寄る餅連邦憲法裁判所においては、占領管理法上の法規範から生ずる義務の遂行に対しては、憲法訴願の途が考えら れるとする。田く韓お国属る零識る①払ぷ︷堕  言ωΦp勾伽零,緯ρ  じ Oく亀○圃ザ8脅ω9運o財︶カα宰’慈押ω竃β︾拝⑩も 。一幻α︾蕊密◆ピα類象によると、樒象的規範審査において予防的 規範審査が否定される根拠として、提訴の対象が﹁法﹂でなければならないというボン基本法第九三条第一項第二号の文 書と旧連邦憲法裁判所法第九七条が成立段階にある法に関して、連邦憲法裁判所による鑑定の手続を規定していたという ことを挙げている。ビα壽Hる如’ρψミ8このことは、立法者が予防的規範審査を抽象的規範審査に入れようとしなか ったと理解できる。なお、予防的規範審査を詳しく取り扱ったものとしては、寡03①旨譲○樹9筆響窪江くの20募窪ざ早 貫○=①儀弩畠α霧田仁&窃くR鋤ω霊おお段δ算︶る刈O o’がある。  これは、連邦憲法裁判所判例集第 巻からの考えである。じ Oく鉱○国押ω霧︵念○ー占G 。y

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2019i8

ωくRお国ωρ一︵窃︶、 な。 。oP沁α2い鎗H ωo霞巴o拝幻傷2H脅慈どG o①ロ計\箆包P幻α2い①0ω” 五 提訴権能        ハユレ  ここで取り扱う問題は、提訴権能、つまり、提訴がどのような場合に許されるかである。ボン基本法第九三条第一 項第二号によると、提訴が許されるのは、規範が上位にある法と形式的・実質的に一致するかどうかに関して﹁意見        ハ ロ の相違または疑義しのある場合である。﹁意見の相違または疑義﹂であるが、この文言はヴァイマール憲法第=二条 と同じような規定である。そこで、抽象的規範審査手続では、提訴をするには、法問題において明らかに意見が対立 していることで十分であり、それはまた、規範が上位にある法と一致するかどうかに関する﹁疑義﹂で足りるといえ ハヨレ る。ただ、連邦憲法裁判所に、アカデミックで、それも純粋に理論的な提訴によって審査を行わせるのは、当該憲法 裁判所の機能に適さないであろう。したがって、憲法との一致の問題を連邦憲法裁判所に提訴する具体的なきっかけ        でレ が、要求されなければならない。それでも、学問的に真剣に述べられている疑義は、具体的なきっかけを意味すると       ハるレ いえるが、こうした見解は強調されるべきではないであろう。  ボン基本法第九三条第一項第二号は、提訴の具体的なきっかけとなる意見の相違または疑義があることで十分とし 東 洋 法 学 一七三

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    ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続       一七四 ている。ボン基本法第九三条第一項第二号の文言および手続の目的に相応するこの広範な解釈は、ヴァイマール憲法        ハ   第一三条第二項およびその当時におけるこの規定の解釈によって支持される。それに対して、連邦憲法裁判所法第七 六条は、ボン基本法第九三条第一項第二号よりもより制限的といえる。なぜならば、その規定によると、提訴人みず からが審査されるべき規範を無効と考えなければならないか、それとも有効と考えなければならないかのどちらかで       ハマレ ある場合にだけ提訴を認めているので、意見の相違または疑義を憲法上必要な解明のきっかけにはしないとする。し かし、ボン基本法第九三条第一項第二号をみれば、このことは、提訴条件を実質的に狭めることに鑑みて否定される し、連邦法が憲法と適合するかまたは州法が連邦法と適合するかを包括的な仕方で解明することによって、法的安定       パ   性に役立つ抽象的規範審査手続の目的からみても矛盾するといえよう。このようなことから考えると、連邦憲法裁判 所法第七六条は、﹁意見の相違または疑義﹂で足りるとしているボン基本法第九三条第∼項第二号の規定を超えてし     ハタロ まっている。ボン基本法第九三条第一項第二号と連邦憲法裁判所法第七六条との違いは、いずれにせよはっきりして        ハハレ いるので、当該憲法裁判所法の規定は憲法違反の疑いを免れることはできず、したがって、少なくともそれは部分無       ルレ 効といえよう。  ところで、連邦憲法裁判所法第七六条第二号は、法を適用する機関、例えば、裁判所や行政官庁がボン基本法また はその他の連邦法と一致しないとして規範を適用しなかった場合にのみ提訴が許されるとしている。しかし、これは、 規範を憲法違反として適用しなかった後で、提訴権限のある機関が当該規範を有効と考える状況についての配慮に欠 けている。したがって、連邦憲法裁判所法第七六条第二号は、当該機関や当該官庁の審査権限といったものを前提に

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している。もっとも、この審査権限は、実際的には意義がないといえる。その理由は、官庁は規範を適用することを 命ぜられているし、独自に規範審査をなすことはないからであり、また、裁判所が憲法以後の法律を憲法違反と考え る場合、当該裁判所は、その法律をボン基本法第一〇〇条第一項により、決定のために連邦憲法裁判所に疑義提示す       ハゑ  ることになるからである。       パお   また、提訴権能は、権利保護の必要を必ずしも前提とするわけではない。つまり、提訴人は、みずからの権利や利 益が害されたとはっきり主張しなければならないわけではない。それは、すでに述べたように、憲法を擁護する客観 的手続としての抽象的規範審査の特性や提訴を権限づけられている機関が限定されていることからみて必要なく、規        ハぱレ 範の有効性を解明させることへの客観的関心で足りる。すなわち、審査される規範の有効性を解明させることへの提       ハおレ 訴人の客観的関心が、必要である。連邦憲法裁判所は、その機能性に鑑みて、意見の相違または疑義という憲法上必        ハおレ 要とされた要件を超越して、提訴人の﹁特別な客観的関心﹂を要求した。その際、連邦憲法裁判所は、これまでに議 論のある規範ではなく、問題なく運用されていた規範が将来意見の相違をもたぢすことになりうるであろうことで十    ハゆレ 分とした。こうした規範の有効性を解明させることへの関心という非常に大雑把な解釈は、抽象的規範審査手続の客        ゑレ       あレ 観的性質に一致するといえよう。すなわち、提訴人の権利保護の関心を必要としない。  なお、規範の有効性を解明させることへの関心は、州憲法裁判所の法律上の救済手段とは関係がない。なぜならば、 州憲法裁判所は、規範が州憲法と一致するかどうかだけを審査するのが原則であるからであり、一般的には、州の憲 法裁判は連邦の憲法裁判から独立しており、相互に関係をもつものではない。州憲法裁判所が規範を州憲法と一致し

    東洋法学      

︸七五

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    ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続      一七六 ないという理由で、それを無効と宣言したときは、審査の対象がすでにないから、抽象的規範審査とはならない。        ハ レ の場合、抽象的規範審査手続を起こすための適格性が欠けているので、審査の対象とはならないことになる。 こ ︵1︶ ︵2︶

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︵12︶  国窪鼠\沼Φ汐によれば、提訴権能という概念は、適切ではないとする。そこで、もし、概念づけをするならば、提訴 の根拠とするのが妥当であろうとする。犀霧骨じ OΦ&ゆ\痢鼻舞匹Φ芦厚ぼ訂魯鉢霧く&霧雲品ω筏○器孕Φ9貫菊儀寄﹃ ①①G o◆  ヴァイマール憲法第一三条は、﹁州法の規定がライヒ法と一致するかどうかに関して疑義および意見の相違があるとき、 権限のあるライヒ官庁または州官庁は、ライヒ法律の詳細な規定により、ライヒ最高裁判所の決定を求めることができ る﹂と規定している。  9霧①冨じ oぎ卑汐○乞①旨α費筈弩舞叶魯瓢○欝Φ鼻8ぎ一する9︶ψ5塗参照。  じ oくΦ鍬○国欝る8︵器一︶唄目磐ωω鐸pω○茸の→閑○導響①導舞○目琶詠霧①貫︾旨◆⑩G 。“菊恥︾。bo嵩’  籾窪鼠\箆Φ芦沁鳥窯唇①①野  ω§ダ︾拝⑩ρ菊傷写﹄岳鷺■壽客参照。  じ d筈Φ一もe鉾ρ“ψ①陳堕  田く鼠○国一b霧︵念ωy  これについて、連邦憲法裁判所は、これまで、この問題を決定しなかった。じ ごく&○図ρお斜︵嵩○︶◆参照。  ︸α旨ぞωOPω鼠鶏ω○おΦ巳鋸鋤○霧80導︾幻α翼廿Q一N,  逐黛ωω・匡鉱oFご霧閃琶α8<①鍬霧ω醤αQ。 。αQ①琴算幻α宰﹂⑳㌣頃勲讐q酔ω穿p掌Φきω簿鍵帯20馨①鼻○馨桝亀ρ欝じ G琶− 留ωく①薮霧蒙αQωαqgo算弩傷○寡&αQ①ωΦg押鉾ω8wO①導伽箆9ω鋤導①長鋭窯餌弩斡鮮鎖‘b oく&○ρ≧け刈ρ幻α寄彫竃■  む。 。Φ戸男恥寄ー巴G。、

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1413 ︵蔦︶ 19 18 17 玉6 ︵20︶  ωく段お腕器︶8︵o 。○︶.  ミ9凝窪αqζ墜費﹂P﹂茜○<OPζ黛9︶○鰹鋒凝①紹欝頃@G o・︸ψ︾焦r這O o鋳︾墜Φρ園鉱2困■ωoo,O罐魯籔誹も岡じであ る。∪藷象匿鼻男α2H﹂Oρ  H℃の9によれば、﹁規範の有効性を解明させることへの関心﹂という概念は、問題がないわけではないとする。む器戸 菊α客磐④一群、  田①鼠Ω\錦一色P菊α窯播①“○◎  ω<段お財ω⑩る①︵一8︶●  じ ごの包山\鋭︸①一Pヵα2H・雪ρ  連邦憲法裁判所はこのように述べているが、奇妙なことにも、連邦憲法裁判所判例集第三九巻一〇六頁では﹁法的関 心﹂と琶い間違いをしている。膨くΦ猟○団G oΦる①︵一8y  U①αQ霧訂欝知傷2磐お○■ 六 審査の基準  ボン基本法第九三条第一項第二号にいう﹁意見の相違または疑義﹂は、連邦法がボン基本法と形式的・実質的に一 致するかどうかおよび州法がボン基本法もしくは連邦法と形式的・実質的に一致するかどうかである。それは、上位 にあるすべての法と一致するかどうかではなく、連邦法にとってはボン基本法との一致であり、州法にとってはボン 基本法を含めた全連邦法との一致である。したがって、審査の基準は、ボン基本法第九三条第一項第二号によると、 東 洋 法 学 一七七

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    ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続      一七八 連邦法にとってはボン基本法だけであり、州法にとっては当該基本法並びに﹁その他の連邦法﹂である。州法は、連 邦の下位の法規を含めた全連邦法を基準として審査されるので、州法にとっては問題がない。つまり、全連邦法は、        ハ ロ 州法に優先するという原則があてはまり、ボン基本法第九三条第一項第二号は州法に対して、総じて連邦法の秩序を       ハ   保護するためにあるといえる。  連邦法律がボン基本法を基準にして審査されることも、当然である。規範構造からみて、連邦法律より下位にある       ハ レ 連邦法も、ボン基本法を基準にしてのみ審査されることになるから、連邦法律は、連邦法規の審査の基準とならない。 連邦憲法裁判所法第七八条第一段はこうした解釈を確認しているが、当該憲法裁判所法第七六条第︸号の規定をみる と、例えば、命令等の下位の連邦法も、連邦法律を基準にして審査されるべきであるとしている。当該規定は提訴権 能のところでも問題になったが、ここでも憲法を超えてしまっている。これは、ボン基本法第九三条第一項第二号の       ぺ  規定を正当に判断していないことになろう。したがって、これについては議論の余地があるが、なω窪は連邦憲法裁 判所法第七六条を憲法に矛眉しないと限定的に解釈し、下位の連邦法はボン基本法との一致に対してのみ審査される べきであるとする。そして、この問題は、実際的には意義がないとしている。なぜならば、下位の法規範については、       ハぢレ ボン基本法第八○条第一項による授権が必要であるから、この規定による裏づけのない法規範は憲法違反である。そ の意味において、法規命令が法律上の授権の基礎を欠いたとき、ボン基本法第八○条に違反するというのは確かであ ハもレ る。憲法を除いた上位にある規範の法違反を確認するときは、専門裁判所の付随的審査の範囲内で、その問題が取り 扱われることになる。抽象的規範審査手続は、決して規範の位階性を訴訟法的に維持実行させるためにあるわけでは

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 ハア  ない。  ところで、ボン基本法が審査の基準であることから、ヨーロッパ共同体法の諸規範は、審査の基準とはならない。 これは、憲法上の地位を有する国際法の一般的規定にもあてはまる。ただ、ボン基本法第二五条では、国際法の一般 的規定も連邦法の構成部分としているので、これは﹁その他の連邦法﹂であり、州法との関係においては審査の基準   ハ   となる。  なお、超実定法が審査の基準となるかどうかについては、連邦憲法裁判所がかような法の存在を肯定したとしても、        ハ レ 審査の基準とはなりえない。

321

︵4︶  ボン基本法第三一条は、﹁連邦法は、州法を破る﹂と規定している。  匹ゆまωo匡鉱oFU霧ω芦包Φωく段鐙器qお。 。αQ①臣o拝力似客H﹂器‘  ωo鉱鉱oダカα2二器旧類巽幹簿鯨ωαげP9Φ魯ω霞葵3客○醜欝①”ぎ口窪○一一ρ欝じ o導階ωくの数器ω暮αq。 。αQ①議o簿葵α○盆注頓Φ。 。Φ欝 H︾ωる笥ス︶ぼ酵帥きb8欝囲8揖くR鑓器毯鵯冥○器津8拝ω・縄9これに対して、頃Φωω①は、連邦の法規命令が連邦法律 と 致するかどうかを審査する機能を連邦憲法裁判所の審査機能から除外されるべきではないとしており、連邦法律を審 査の基準の中に含めている。内○畦亀国霧駕9猛留凝①8ω<①瀞器琶αQ曽8沫ω留HO ご鳳&Φも。器謹匡捧O窯房魯寓&﹂P ︾蕊‘るo 。c 。︸閃α罫、①○ 。ゲコンラi卜・ヘッセ﹁西ドイツ憲法綱要﹂、阿部照哉・初宿正典・井口文男・永題秀樹・武永 淳訳、一九八三年、三三六頁。  例えば、ωαぎは、連邦憲法裁判所法第七六条が曖昧に制定されたとする。ω窪P勲勲ρψ田鱒乙方、ω8導は、連 邦憲法裁判所法第七六条が明確に制定されたとする。霞弩ωω醇P膨o鷺Φ→溶o箏欝①鯨舞9彰禽霧Φ貫>罫3︸勾象吋■ 東 洋 法 学 一七九

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  ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続  N①餅 ︵5︶冒導嘗・pωけ婁ω・薦慧ω幾・裟①。算臣罫箪伊 ︵6︶ ωo法鉱9︶胃α準・嵩G 。7 ︵7︶国霧田窪盆\浮蚕け霞の貯︸びΦぼゴ9号ω<鼠婁琶αQの℃§&§欝ωv震罫●①。。 。◆ ︵8︶¢ o窪&\匹蝕p臣罫①$ ︵9︶浮&鋤\疑色芦覆罫①$ 一八○ 七 意見陳述権  抽象的規範審査手続は、すでに述べたように、客観的手続であり、その目的が法や憲法そのものを擁護することで あって、権利保護ではないことから手続への参加の必要はない。したがって、連邦憲法裁判所法第七六条から第七九 条は、手続への参加に関する可能性を規定していない。連邦憲法裁判所は、連邦憲法裁判所法第二四条による 九八       ロ 四年一二月一八日の決定において、抽象的規範審査への参加は許されないとした。つまり、連邦憲法裁判所は、連邦 議会議員の三分の一が提起した規範審査への手続に参加しようとした八名の議員の申し立てを許されないものとした。 そこでは、抽象的規範審査手続の客観的性格が主張されているが、その主たる理由は八名の議員そのものは提訴を権 限づけられてはいないことから、連邦憲法裁判所法において、その他の手続の種類に含まれている手続への参加規定 を類推的に適用する考えはないという点にある。この考えからすれば、﹁抽象的規範審査の手続における参加は、許

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   ハえレ されない﹂という連邦憲法裁判所の指導的文章があっても、提訴を権限づけられた者は、この手続にも参加する資格         をもつべきであると推論できよう。もっとも、これは、抽象的規範審査手続の性格に適しないと指摘されるであろう。 しかしながら、提訴権者は、共通の口頭弁論や決定のために、すでにある提訴と結びつけることができるみずからの 提訴をなすことも妨げられていない。そうすると、既存の提訴にそれを含ませることも考えられる。いずれにせよ、       ハくレ それは、最初の提訴人の同意を条件とする。例えば、連邦政府がすでになした提訴に、州政府がそれに参加すること ができるし、同じょうに、個々の連邦議会議員は、その三分の一の提訴に後から加わることができることになろう。 ただ、ここでは一つの提訴だけがあり、手続に参加することで必然的に伴う訴訟法上の地位は、後に参加した者には      ハ   与えられない。  しかし、連邦憲法裁判所法第七七条は、規範の定立と深いかかわりあいをもった憲法機関の意見陳述権を規定して いる。また、当該規定は、連邦憲法裁判所が手続を迅速に進めるために、憲法機関が一定の期間内で、規範に問題が       ハ レ あるかどうかについて態度を決定し、審査範囲の拡大に関しても刺激を与えるべく機会を認めている。もっとも、こ うしたことが認められているからとはいえ、憲法機関は、手続に参加する地位をうるわけではないから、口頭弁論を       ハァ  放棄︵連邦憲法裁判斯法第二五条︶したり、忌避を申し立て︵連邦憲法裁判所法第一九条︶たりすることはできない。  ところで、抽象的規範審査は客観的手続であって、手続への参加の必要を想定していないとされるが、憲法機関が その意見陳述権を有効に使用することになれば、当該事件における論証や反論を通じて、より一層掘り下げた審査を 行えることができることになるのではあるまいか。それにょって、多くの情報なり刺激を連邦憲法裁判所にもたらす

    東洋法学       一八一

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    ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続       ハ レ ことができ、ひいては当該憲法裁判所が判決を下す際に大いに役立つことになるであろう。 一八二

87654321

ゆくΦほ○国①Oo︸G o恥銀惨 じd く①臨○国①c o︶ω轟9 閃§。。瞥じ oΦ鼠簿\国o訂ほ遷巴Pい①欝薯9留の<Φ猟器讐お憩3需津8窪ω︶幻匙寄﹃O認, これについては、連邦憲法裁判所は、未解決のままである。じ dく鼠○図①○ 。る臨︵o 。蕊︶’ じo ①巳効\内一巴P幻α2唇①鳶’ 切く①駄○国8ω8︵o 。にy ごo <鼠○団ン象︵爵︶るるミ︵ω口ご・参照。 膨窪舞\霞飢P菊α2轡①刈郵 八 決定とその効果  連邦憲法裁判所は、その決定において、審査のために提起された規範がボン基本法と一致するかしないかを確認す る。連邦憲法裁判所が当該規範を審査の基準である法と︸致しないとの見解に至ったときは、当該憲法裁判所は、そ        ハユロ の規範を﹁無効と宣言﹂する︵連邦憲法裁判所法第七八条第一段︶。連邦憲法裁判所は、無効宣言において、その効果を 予測することができず、しかもその効果がかなり広範囲に亘ると考えられる場合には、当該規範を﹁憲法違反﹂とだ

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け確認して宣言することがある。そして、それ以外にも、別のいくつかの決定のヴァリエイションが、連邦憲法裁判       へ   所によって創りだされてきた。この﹁憲法違反﹂の確認の宣言は、必ずしも確かな決定の形態ではないという指摘が       ハヨレ ある。つまり、それは、至る所で規範を適用できなくなってしまうことになり、しかも難しくて複雑な事件において        ゑソ は、この決定の仕方では役に立たないとされる。  連邦憲法裁判所が規範を無効と宣言したとき、当該規範は、遡及的に無効である。つまり、無効宣言は遡及的に効 果をもつから、憲法違反の法律は、最初から無効と考えられる。しかしながら、当該規範は長い間有効とされていた ことから、法関係の継続性の中で、その効果を全く消滅させてしまうことは、かえって法的安定性を損なうことにも なりかねない。そこで、連邦憲法裁判所法は、当該規範によってなされた行為については原則的に効力をもつとして いる︵連邦憲法裁判所法第七九条第二項第︸段︶。もっとも、それも、以後の執行は許されない︵連邦憲法裁判所法第七九条     パぢ  第二項第二段︶。  抽象的規範審査手続において下された連邦憲法裁判所の決定は、法律上の効力を有する︵連邦憲法裁判所法第一一二条 第二項︶ので、規範が憲法またはその他の連邦法と一致するかしないかが、拘束力をもって決定されるゆえに確定力 をもつ︵連邦憲法裁判所法第三一条第一項︶。審査のために提起された規範が無効または憲法違反と宣言された場合、決 定主文は、連邦官報に公布される︵連邦憲法裁判所法第三一条第二項第三段︶。  ところで、連邦憲法裁判所が法律を有効と考えるとき、当該憲法裁判所は、これも決定主文において確認しなけれ ばならない。しかし、連邦憲法裁判所法第七八条は、規範の一致の場合について、はっきりと規定しているわけでは

    東洋法学      

一八三

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     ドイツ連邦憲法裁判所の揺象的規範審査手続      一八四 ない。連邦憲法裁判所が連邦法をボン基本法との一致または州法を当該基本法を含めた全連邦法との一致を審査しな       ハ レ ければならないから、当該憲法裁判所は、法律上効力のある確認をしなければならない。しかも、それは、連邦官報 に公布されるから、十分納得のいく内容をもっていなければならない。そして、連邦憲法裁判所の決定が生活状態や       ハアレ 一般的な法見解を変更したときにのみ、新たな提訴が許される。 ︵1︶ ︵2︶

6543

 例えば、膨くRお両鮒に︵8ンo 。しO群︵榊8︶為伊ぼ○ 。︵にΦyしかし、ω昌或畠によると、﹁法律を無効と富言す る﹂という連邦憲法裁判所法第七八条第一段の文醤は、あまりにも狭すぎるとしている。困黛ωω。鑓鉱9︸U霧国餐留甲 く&霧ω弩αQωαqの詠o拝︾p窮﹃頴鼻︶ω曾o。曽  連邦憲法裁判所の種々の決定のヴァリエイションについては、ω・窪鉱象が詳細にわたって論じている。留匡蝕oダ カα寄る$欺また、野中俊彦﹁西ドイツにおける違憲判決の方法﹂、田中二郎先生古稀記念、公法の理論上所収、昭和五 三年、一〇五頁以下。拙稿﹁西ドイツ連邦憲法裁判所の規範審査における決定のヴァリエイション﹂、比較法第二五号、  九八八年、六三頁以下。なお、連邦憲法裁判所が創りだしてきた違憲確認判決がどのような効力をもつのかについては、 阿部照哉﹁西ドイツにおける違憲確認判決の効力﹂、今村成和教授退官記念、公法と経済法の諸問題上所収、昭和五六年、 一九七頁以下。  膨く&○国ら 。刈る嵩︵まトo︶る魯運oダ幻α罫’ωc 。α蓼華客  冒導な器芦9きaOおき冴餌酔δ霧器。算力α簿る一①,  0ぼ鯨○鳳U①αQΦ募翼窃鼠鶏。 。80節押労傷2穫φお8  例えば、﹁当該法律ないし当該法律第一条第二項および第三項は、ボン基本法または連邦法と一致する﹂というような 確認である。ωく&○両鴇る8︵ω9る雪︶■

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︵7︶浮αq9訂旨︸窓罫■おs

 九 おわりに

 以上、ドイツ連邦憲法裁判所における抽象的規範審査手続についてみてきたが、それは独立した純粋な憲法裁判と して行われる。そこにおいては、連邦憲法裁判所は、とくに憲法の番人としての任務を果たすことになる。いうまで       パよレ もなく、抽象的規範審査は、憲法訴願や具体的規範審査と比べてその争訟は少ないが、それは憲法および法を客観的 に擁護することができるという点からみれば、十分意義のある手続といえよう。  ところで、わが国の最高裁判所による違憲審査権の行使は、極めて消極的であり、憲法保障機能を十分に果たして いないといわれる。こうした最高裁判所の現状の司法消極主義を脱却し、より積極的に憲法の保障を実行せしめるた めにも、抽象的規範審査を行うことができるとするドイツ型の憲法裁判所制度を取り入れる必要があるのではなかろ  ハ レ うか。もちろん、この制度を導入することに伴う諸々の問題はあろうが、これについては別の機会にあらためて取り 扱うことにしたい。ともあれ、今日アメリカ型の司法裁判所制度を見直す時期にきているのではないかと考えられ、 そうした意味でも、ドイツ連邦憲法裁判所の権限としての抽象的規範審査手続をみておくことは無意味ではなかろう。 ︵1︶ 一九五一年から一九九〇年までに連邦憲法裁判所で決定された憲法訴願は、六四、二九三件︵そのうち、三、六五四件  が部会決定、六〇、六三九件が裁判官委員会ないし支部会の決定﹀であり、具体的規範審査は八八八件であるのに対して、 東 洋 法 学 一八五

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   ドイツ連邦憲法裁判所の抽象的規範審査手続      ∼八六   抽象的規範審査は六〇件である。ちなみに、一九九〇年において、憲法訴願は、二、九六四件︵そのうち、二五件が部会   決定、二、九三九件が裁判官委員会ないし支部会の決定︶であり、具体的規範審査は一〇件であるのに対して、抽象的規   範審査は三件である。なお、六四、二九三件の憲法訴願のうち、成功したのは、一、さ二件である。これについては、   冒簿ゼ器pω鼠器○おきδ豊○霧おo鍔即α宰る鵠■参照。 ︵2︶伊藤正己元最高裁判所判事も、憲法裁判の活性化のためには、アメリカ型の司法裁判所制度から大陸型の憲法裁判所制   度にきりかえる必要性があると主張される。伊藤正己﹁裁判官と学者の問﹂、一九九三年、一三三頁以下。

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