データベース 登録 2010.9 シーズ名 コラーゲン産生能向上剤のアンチエイジングへの応用 氏名・所属 等 小島 明子、生活科学研究科・生活科学専攻、准教授 湯浅 勲、生活科学研究科・生活科学専攻、名誉教授 東 秀紀、工学研究科・化学生物系専攻、講師 <概要> 老化によって生じる肌の皺やたるみは、男女を問わず永遠の問題です。これらは、皮膚の線維芽細 胞のコラーゲン産生能の低下に起因するものです。このような現象を解消することは、人々が健康長 寿でなおかつ若さを保ち、活き活きとした生活を送るために非常に重要であり、QOL 改善・向上にも つながることが示唆されます。内面的な若さはもちろん、外面的な若さは人々を快活にかつ活動的に します。そのため、皮膚の線維芽細胞自身のコラ−ゲン産生能を亢進させることができれば、老化防止 の一端を担うことが可能となります。 そこで我々は、皮膚の老化防止または改善等に有用なコラーゲン産生能向上剤を提供すること、な らびに該コラーゲン産生能向上剤を含有し、皮膚の老化防止または改善用として好適な化粧用組成物 を提供することを目的として、化粧品への応用および開発につながる基礎的研究をおこなっています。 ヒト皮膚由来線維芽細胞のI型コラーゲン染色像 <アピールポイント> 人々の健康や若さの維持に有効な部位や器官においては、そこに存在するコラーゲン産生細胞のコ ラ−ゲン合成能を亢進させれば、若さと健康の維持、老化防止や疾病予防の一端を担うことが可能とな り、人々の QOL 改善・向上にもつながることが期待されます。 <利用・用途・応用分野> 肌の老化を防ぐ化粧品やサプリメントの構成成分、老化防止や疾病予防のための製品など。 <関連する知的財産権> 「コラーゲン産生向上剤及び皮膚用化粧料」:湯浅 勲・小島明子、加藤宏幸、 特開 2010-1208 「コラーゲン産生促進剤」:湯浅 勲・小島明子・東 秀紀、 特開 2009-79004 「コラーゲン産生向上剤」:湯浅 勲・小島明子、 特開 2006-151860 キーワード コラーゲン、化粧品、サプリメント、創傷治癒 コントロール ACA (0.1 μM)
データベース 登録 2010.9 シーズ名 微生物の細胞表層構造の解析とその応用 氏名・所属 等 東 雅之、工学研究科・化学生物系専攻、教授 <概要> 微生物の細胞表層は多糖や蛋白質からなる複雑な構造体で覆われ、その構造は細胞の理解に重要であ るとともに応用面でも興味深い。酵母の細胞表層の次の点に注目し研究を進めている。 1. ヒトにない真菌特有の構造体で抗真菌薬の標的となる。 2. 細胞表層構成成分であるβ-グルカンはヒトの免疫力を賦活する。 3. 細胞壁局在蛋白質の一部を利用することで、機能性分子を細胞表層に提示する場となる。 <アピールポイント> 真菌であるカビや酵母の細胞壁はヒトにはない構造で抗真菌薬の標的として注目される。β-1,6-グ ルカンは細胞壁の多糖・蛋白質複合体形成に中心的な役割を果たしているが、その生合成は不明な点が 多く合成酵素も明らかでない。我々はβ-1,6-グルカンに注目し、その合成に関わる蛋白質が抵抗真菌 薬の標的分子となると考え、その合成機構の解明に取組んでいる。 (2)免疫を賦活する酵母β-グルカンに関する研究 酵母Saccharomyces cerevisiaeの細胞表面の最外層はマンナン蛋白質に覆われβ-グルカンが露出す ることはない。我々は GPI アンカーに変異を持ちβ-グルカンを表面に露出した株を見いだし、さらに β-グルカンが露出することで細胞自身が免疫担当細胞であるマクロファージを強く活性化することを 明らかにした。現在、パン酵母の実用化を用い同様の検討を進めている。 また、細胞内に大量のグルカンを蓄積するSchizosaccharomyces pombeの変異株を取得しており、そ の蓄積機構の解明と蓄積したグルカンの利用について検討している。 (3)触媒提示に適した細胞表層構造の構築 細胞表層に目的蛋白質を提示する技術が開発され、物質生産への応用が期待されている。触媒提示方 法としては、細胞表層に局在する GPI アンカー型蛋白質のアンカー部位を利用した提示方法がこれまで に確立されている。今後提示した触媒が高効率に働く事が望まれ、そのためには触媒提示や触媒反応に 適した細胞表層環境を創る技術が必要とされる。我々はS. cerevisiaeの細胞壁変異株から触媒提示や 触媒反応に適した細胞壁環境の構築を検討している。 <利用・用途・応用分野> 抗真菌薬、機能性発酵食品、微生物触媒。 <関連するURL> 学科案内 http://www.eng.osaka-cu.ac.jp/faculty/bioa/bioa.html 細胞工学研究室 http://www.bioa.eng.osaka-cu.ac.jp/bie/index.html キーワード 酵母、細胞表層、グルカン、免疫、抗真菌薬 1μm サイトカ イ ン 他の免疫細胞を活性化 QuickTimeý Dz ÉOÉâÉtÉBÉbÉNÉX êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±Çà ÉsÉNÉ`ÉÉ Ç¾å©ÇÈǞǽDžÇÕ ïKóvÇ-ÇÅB ÉOÉãÉJÉì éÛóeëà β -1,3/1,6- グルカン マクロ ファージ m cd4 Δでは表面が粗く グ ルカ ン を 露出 mcd4 Δ WT SEM
データベース 登録 2010.9 シーズ名 12V 級“非鉛系”蓄電池 氏名・所属 等 有吉 欽吾、工学研究科・化学生物系専攻、講師 <概要> 12V鉛蓄電池は、長い歴史を誇る二次電池で起動用および据置用蓄電池として広く用いられてい る。12V”非鉛系”蓄電池とは、チタン、マンガンを主成分とするリチウムインサーション材料を組 み合わせた蓄電池で、「電極材料の選択により電池性能を自由自在に設計できる」というリチウムイオ ン蓄電池の特徴を利用することで、現行の12V 鉛蓄電池の動作条件にうまく適合するような蓄電池と なっている。 これまでに12V”非鉛系”蓄電池として、 負極材料に Li[Li1/3Ti5/3]O4 (LTO)を、正極 材料に Li[Li0.1Al0.1Mn1.8]O4 (LAMO)を用いた 2.5V 蓄電池、または正極に LAMO のかわ りに Li[Ni1/2Mn3/2]O4(LiNiMO)を用いた3V 蓄電池を提案している。これらはそれぞれ、 5セルもしくは4セル直列に接続すること で、12V 蓄電池とすることができる。これ までの基礎研究からは、これらの電池が1 2V 蓄電池に必要な長寿命特性および高出 力特性に優れているという結果が得られて いる。 <アピールポイント> 12V “非鉛系”蓄電池と鉛蓄電池のエ ネルギー密度との比較から、同容量の電池 を考えた場合、“非鉛系”蓄電池は重量、体 積共に鉛蓄電池の約 1/3 で設計できること から、非鉛系 12V 蓄電池の適用によって軽 量化、省スペース化が可能である。 また、12V蓄電池の負極材料として選 択した LTO は、無歪インサーション材料と いわれる理想的な電池機能材料で、この材 料を用いた12V 蓄電池は長寿命な電池と しての可能性をもっている。 <利用・用途・応用分野> 現在の12V 電源の主な用途である、自動車の起動用、携帯基地局などの無停電システム、従来の公 共施設、ビルに設置される据え置き用に加えて off-grid 地域に設置されている太陽光・風力発電の蓄 電設備など、幅広い用途が期待できる。 キーワード 二次電池、電池機能材料、リチウムインサーション材料 0 100 200 300 400 500 0 500 1000 1500 Wh/kg Wh/dm3 G rav im etric En ergy Densi ty / W h /k g 6 cells 3 cells 3.2 V 5 cells 2.0 V 4.2 V 4 cells 2.5 V Volum e tric Ene rgy D ensity / W h /dm 3 鉛蓄電池 since 1865 第1世代 LTO & LAMO 第2世代 LTO & LiNiMO 第3世代 ??? & LiNiMO 非鉛系蓄電池のエネルギー密度の比較 0 50 100 150 200 0 1 2 3 4 5 6 LiNiMO LAMO LTO E / V v s . Li Q / mAh g-1
3 V
2.5 V4 V
非鉛系12V 蓄電池;2.5V 級 LTO/LAMO 電池, 3V 級 LTO/LiNiMO 電池、4V 級電池データベース 登録 2010.9 シーズ名 医薬など有機化合物の結晶製造を確実にする晶析操作と装置 氏名・所属 等 大嶋 寛 、工学研究科・化学生物系専攻、教授 五十嵐 幸一、工学研究科・化学生物系専攻、助教 <概要> 医薬品・食品・一般化学品 などは私たちには無くては ならないものですが、これら の多くは粉末として流通し ています。しかもその多くが 結晶です。生活の中で最も身 近な結晶は砂糖や塩ですが、 お医者さんで処方される薬 もその有効成分は結晶です。 一口に結晶といってもすべ ての結晶が同じ形や構造を しているのではありません。右上の 2 枚の写真はある医薬の結晶です。これらは同じ医薬物質の結晶 ですが、結晶の様子が違います。左右の結晶は見た目にも違いますが、実は目には見えなくても結晶 の中の構造が違います。結晶構造が異なれば溶解度や溶解速度が異なりますので薬の効き目にも違い が出てくることになります。左の結晶の方が薬としての効き目がよいのでこれが医薬として認可され て販売されています。右の結晶は認可されていませんので販売できません。そこで、工場では、製造 する結晶の中に右の結晶がたとえ微量であっても含まれることがないように、厳密にコントロールし ています。 さて、上の2つの結晶のように同じ物質であっても結晶構造が異なるものを結晶多形といいます。多 形の他にも粒径や粒径分布、純度、結晶化度、嵩密度、結晶の形など、コントロールすべき特性は様々 です。このような結晶特性のコントロールに日々奮闘している分野は、医薬製造に限らず、食品や一 般化学品の製造全般にわたります。私たちは、このような分野の基盤技術を発展させるため、工業的 に結晶を製造するための研究、すなわち晶析研究を行っています。 結晶を製造するための装置の開発も行っています。微結晶を無くして濾過しやすい大きな結晶を製造 できる、また多形の制御も可能なWWDJ 回分晶析装置(製品名 WW 晶析プラスTM:関西化学機械製作(株)) の開発、さらに、大きな装置はコントロールも難しいので、思い切って小さな装置で連続的に製造し てはどうかという試みで、10 mL 程度の容量の連続晶析装置(mL-スケール連続晶析装置)の開発も行 っています。10 mL でも連続すると一週間で数 10 から数 100 kg の結晶生産が可能です。必要なら複 数台使えばさらの多量の結晶生産が可能です。また、この装置を用いると粒径が揃った小さな結晶を 製造することができ、多形も容易にコントロールすることができます。 <アピールポイント> 所望の結晶特性を持った結晶を工業的規模で生産するための理論と操作の提供。結晶製造と装置開発 のための共同研究 <利用・用途・応用分野> 医薬・食品・一般化学品の製造 <関連する知的財産権> 特開 2008-49304 「晶析装置および方法」 <関連するURL> http://www.biochemeng.bioa.eng.osaka-cu.ac.jp/BCE/Welcome.html キーワード 晶析、結晶、結晶特性の制御、晶析装置、結晶核形成のメカニズム
データベース 登録 2010.9 シーズ名 新規食材アマランスの高品質加工法とその利用 氏名・所属 等 小西 洋太郎、生活科学研究科・食・健康科学講座、教授 伊與田 浩志、工学研究科・機械物理系専攻、准教授 <概要> 中南米原産の栽培作物アマランス(ヒユ科植物)の種子は、一般の穀類に比べタンパク質含量が高く (約13%)、しかも必須アミノ酸組成がすぐれた高栄養食材です。カルシウム、鉄、亜鉛などのミネ ラルも豊富であり、最近注目を集めています。種子は非常に小さいサイズ(直径約 1.5mm)ですが、 フライパン上で加熱すると、数秒でポップコーンのように音を立てて爆裂(ポップ)します(左下図)。 本研究では、高温空気あるいは過熱水蒸気を熱源とした流動床ポップ装置(右下図)を開発し、アミ ノ酸の栄養価を損ねない最適ポップ条件を確立しました。 Raw Seed HA HA/SHS SHS popping アマランス種子はポップする アマランス種子はポップする (HA, 高温空気;SHS, 過熱水蒸気)
(説明)Blower②または Boiler①から発生した蒸気は、Super heater③⑤でさらに加熱され、それ ぞれ高温空気または過熱水蒸気となる。それらの気流は Test section⑦内に送られ、あらかじめそ の中にセットしたアマランス種子をポップさせる。 <アピールポイント> 1)ポップ条件(温度、時間)を制御できる装置を開発した。 2)熱媒体を高温空気または過熱水蒸気に選択できる。 3)本法は過熱や炭化を防ぎ、高品質で均一な製品ができる。 4)過熱水蒸気によるポップによって褐変着色度の低い必須アミノ酸の損失が少ない製品が得られる。 5)澱粉は完全糊化するので、酵素による糖化が容易である。 <利用・用途・応用分野> 種々の加工食品(菓子、パンなど)、アルコール発酵飲料および酢酸発酵食品(食酢)の原料 <関連する知的財産権> 特許:熱処理装置 出願人:伊與田浩志、小西洋太郎、有限会社アミスタ、発明者:伊與田浩志、小西洋太郎 特開:2008-017828 キーワード アマランス、ポップ装置、高品質加工食品 Thermocouple ① Boiler ② Blower 1 ⑧ Blower 2
Exhaust gas ⑦ Test section
④ Flow meter ⑥ Strainer section T.C. T.C. ⑤ Super heater 2 ③ Super heater 1 T.C. Temperature controller Stainless mesh
データベース 登録 2010.9 シーズ名 新規な高分子材料の開発と高分子触媒の開発 氏名・所属 等 圓藤 紀代司、工学研究科・化学生物系専攻、教授 <概要> 図に示すように未利用資源の活用と環境負荷低減を考慮した新規な高分子材料の開発と新規重合触 媒によるビニルおよびジエン類の制御重合について研究を行なっています。具体的には下記の図を参 照して頂きたい。内部オレフィンは高分子原料としての利用されておらず、新規触媒系の開発により 高分子材料として提供できる。いくらかの硫黄の環状ジスルフィド化合物は熱重合により高分子を与 える。その生成物には形状記憶としての性質を示します。この形状記憶性質を利用した応用が考えら れます。これらの性質の もとは生成物が空間束縛 されたことによるもの で、空間束縛鎖としての 応用も考えられます。次 に、ポリ塩化ビニル重合 ですが、ラジカル重合以 外の方法による合成法を 開発しています。ポリ塩 化ビニルは熱的に不安定 な構造をラジカル重合で 合成する限り有すること になります。これを含ま ないポリ塩化ビニル合成 を検討しています。ジエ ンの重合では最近植物由 来のモノマーを用いた研 究を展開しています。そ の他、シリカ表面を利用 した高分子の合成やフッ 素含有高分子の合成を行なっています。 <アピールポイント> 新規構造を有する高分子の材料合成、形状記憶などの機能性を有する高分子合成 <利用・用途・応用分野> 新規高分子材料、新規構造ゴム、エラストマー、形状記憶材料 <関連する知的財産権> ゴム組成物, 住友ゴム工業株式会社, 公立大学法人大阪市立大学, 特願2007-209357(P2007-209357) <関連するURL> http://www.a-chem.eng.osaka-cu.ac.jp/endolabo/ キーワード 新規高分子材料、エラストマー、ゴム原料 熱的不安定 可塑 剤 既存重合技術 重金 属 添加 添加 新規重合技 術 添加物減少 製造効率化 低環境負荷PVCの製造 次世代ポリ塩化ビニルの開発 内部オレフィン2-ブテンの重合 環境負荷低減 未利用資源活用 新規構造高分 子合成 硫黄の利用による特殊高分子 trans-2-Butene n N N R R R R N i B r B r /Et2AlCl 未利資源高分子原料から 2-ブテン特有の新規構造体 SBR新規構造体の開発 S S R 重合 解重合 形状記憶高分 子 heating(60ºC) deformation cooling (25ºC) heating (60ºC) cooling (25ºC) 省エネタイヤへの適用 新規構造SBR 転がり抵抗 ウエットグリップ 二律背反性を克 服 メソポラスシリカ細孔内重合 マクロモノマーの合成・重合 含フ ッ 素 高分子 合 成 熱的不安定 可塑 剤 既存重合技術 重金 属 添加 添加 新規重合技 術 添加物減少 製造効率化 低環境負荷PVCの製造 次世代ポリ塩化ビニルの開発 内部オレフィン2-ブテンの重合 環境負荷低減 未利用資源活用 新規構造高分 子合成 硫黄の利用による特殊高分子 trans-2-Butene n N N R R R R N i B r B r /Et2AlCl 未利資源高分子原料から 2-ブテン特有の新規構造体 SBR新規構造体の開発 S S R 重合 解重合 形状記憶高分 子 heating(60ºC) deformation cooling (25ºC) heating (60ºC) cooling (25ºC) 省エネタイヤへの適用 新規構造SBR 転がり抵抗 ウエットグリップ 二律背反性を克 服 メソポラスシリカ細孔内重合 マクロモノマーの合成・重合 含フ ッ 素 高分子 合 成
データベース 登録 2010.9 シーズ名 底層への表層水供給による閉鎖性水域の環境修復技術の開発 氏名・所属 等 遠藤 徹、工学研究科・都市系専攻、特任助教 <概要> 背後に大都市を抱える閉鎖性海域の水質悪化は著しく、特に、夏季の溶存酸素環境は深刻である。静 穏な閉鎖性海域では、夏季になると密度成層の形成に伴って海水の鉛直混合が低下するため、底層へ 酸素が供給されにくくなる。また、沿岸部の海底には有機物が大量に堆積しており、これをバクテリ アが分解する際に底層海水中の溶存酸素が大量に消費される。これらの結果、底層水中の酸素が無く なり、この底層水の貧酸素化が沿岸域の生態系や水質に悪影響を及ぼしている。 このような背景の中、閉鎖性海域の環境修復を目的とした様々な技術が提案されており、底層貧酸素 化に対する直接的な対策技術として、流動を制御して鉛直混合を促進する方法や底層に直接酸素供給 を行う技術が注目されている。本研究においても、波浪エネルギーを利用して鉛直方向の海水混合を 促進することのできる消波構造物の開発を行っている。本技術の実用化を目指し、以下のテーマに関 して、水理模型実験・数値解析・現地観測により検討を行っている。 (1) 鉛直混合消波構造物の流動メカニズムの解明 (2) 実海域を対象とした海水混合特性 (3) 底層への酸素供給能力の評価 (4) 貧酸素化海域に酸素供給した場合の貧酸素化お よび生物棲息環境の改善効果 (5) 閉鎖性海域における酸素動態メカニズムの解明 と動態予測 <アピールポイント> これまでに、水理実験や数値解析によって本技術の物理的な効果(海水混合特性)に関して、多くの 研究実績がある。また、自然エネルギーである波浪エネルギーを利用して海水の流動を制御する技術 であるため、適用時にはランニングコストを必要としないという利点がある。さらに、消波構造物で あるため、海域の静穏性を確保することができるため、港湾海域などこれまでの都市機能を損なうこ となく環境改善を行うことができる。 <利用・用途・応用分野> 閉鎖性海域における自然再生事業・港湾海域のエコポート・養殖場の環境改善による水産資源の確保 <関連するURL> http://sauron.urban.eng.osaka-cu.ac.jp キーワード 閉鎖性海域、自然再生、環境改善、環境修復技術、貧酸素化 海水の鉛直混合を促進する消波構造物 による底層貧酸素化の改善の仕組み
データベース 登録 2010.9 シーズ名 構造物の耐久性と補修・補強技術 氏名・所属 等 角掛 久雄、工学研究科・都市系専攻、助教 大内 一、工学研究科・都市系専攻、教授 <概要> 橋梁やビルなどの既存構造物では完成後何十年と古くなっているものが増えてきた。そのため、その 構造物の耐久性や耐震性を検証する必要があり、場合によってはその構造物に対して、修復作業とし ての補修や耐震性を確保するための補強が必要になってくる。 ■耐久性 耐久性を検討する試験方法として、ある荷重を何百万回も繰 り返し作用させること検証する疲労試験があります。コンクリ ートに関して特に実施しており、一般的な圧縮荷重や曲げ荷重 を作用させたものに関して環境条件などの違いも考慮して 様々な条件で検討いたします。一例として図1に液体に浸漬さ せて行っているものを示します。 ■補修・補強 コンクリートは圧縮力に比べ引張力に弱くひび割れが生じると簡単に壊れてしまいます。そのため、 一般には鉄筋と一体化させることにより壊れにくくしています。しかし、コンクリートに短い繊維(図 2 に 1 例を示す)を混入させたコンクリート(DFRCC)は、引張力に対してすぐに壊れず、鉄筋がなく ても粘りを持った構造とすることが可能です。また、コンクリート構造物においてはひび割れが生じ ることにより、ひび割れ部から水などが浸入しコンクリートの性質変化や鉄筋が腐食などの耐久性や 強度の低下を引き起こしますが、短繊維を混入したコンクリートはひび割れを分散させる(ひび割れ 本数は増えるがひび割れ幅がごく小さくかつ、ひび割れの深さ(長さ)が短くなる)ことにより、コ ンクリート内部への液体などの侵入を防ぎ耐久性の向上を図ることが可能となります。ひび割れ発生 の違いの例として図 3 にそれぞれのコンクリートを用いた鉄筋コンクリートのひび割れ状況を示しま す。 そこで、この短繊維を混入したコンクリートを用いてコンクリー ト構造物の補修・補強方法の開発を研究しております。鉄筋コンク リート柱の補強例を図 4 に示します。 <アピールポイント> DFRCC はコンクリートの耐久性のみならず、補修・補強材としても 有用な材料です。疲労試験機は MTS 社製モデル 810 材料試験システ ムで最大荷重 250kN、最大振幅幅±75mm に対応可能です。 <利用・用途・応用分野> 対象としてはコンクリート構造物が中心ですが、特に、耐久性に 関しては土木・建築に関わらず様々な構造に対して検証可能です。 <関連するURL> 大 阪 市 立 大 学 工 学 研 究 科 構 造 ・ コ ン ク リ ー ト 工 学 グ ル ー プ HP(http://st.civil.eng.osaka-cu.ac.jp/) キーワード 補修・補強、耐久性、DFRCC、疲労試験 図 1 液体に浸漬させた鉄筋コン クリートの曲げ疲労試験 (1) 普通コンクリート (2) DFRCC 図 2 PVA 繊維 図 3 曲げ荷重を作用させた鉄筋コンクリートのひび割れ状況 図 4 短繊維コンクリート を用いた補強例 既存の鉄筋コンクリート 繊維コンクリート
データベース 登録 2010.9 シーズ名 都市基盤施設の環境影響評価 氏名・所属 等 大内 一、工学研究科・都市系専攻、教授 角掛 久雄、工学研究科・都市系専攻、助教 <概要> 都市基盤構造物を対象にライフサイクルに亘る環境影響評価を行 っています。資材製造~施工~供用~解体~廃棄・リサイクル段階に おける環境影響をLCA として代表的な LIME の評価手法を用いて経 済評価を行っています。ここでは、都市内高速道路を対象とした事例 を示します. <対象> 上部工:PC 桁,下部工:RC 橋脚,基礎:場所打ち杭で構成される 都市内高速道路. <着目点> 資材製造,施工,供用,維持管理,解体,廃棄・リサ イクルの各段階が及ぼす影響量の比較分析と建設産業 が深く関わる段階での環境側面、環境影響物質の及ぼす 影響の比較分析. <アピールポイント> 維持管理と環境が重視される今日,特に都市基盤施設 は建設・維持管理から解体までの LCC 評価に加え環境影 響を加えて経済価値評価することが重要です。一貫して 評価する手法の研究に取組んでいます. <利用・用途・応用分野> 自治体などで管理する施設,または施設群のライフサイクルに亘るLCA に利用して頂きたい. <関連するURL> 大阪市立大学工学研究科構造・コンクリート工学グループHP(http://st.civil.eng.osaka-cu.ac.jp/) キーワード 環境影響評価、LCC、LIME、経済価値、都市基盤施設 都市内高速道路 ライフサイクルと段階 ダンプトラック 9km ダンプトラック 5km 施工 輸送 鉄筋・鋼材 輸送 土砂輸送 コンクリート製造 コンクリート(セメント、骨材) 型枠 供用 解体 輸送 リサイクル アジテータートラック 3km 資 資材材製製造造 施 施工工 供 供用用 解 解体体 廃 廃棄棄・・リリササイイククルル 廃棄 トラック 15.3km 現場外処理 鉄筋 コンクリート 建設に関わる環境負荷(50 年経過時) 億円/km -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 資材製造 施工 解体 廃棄・リサイクル 大気汚染 地球温暖化 廃棄物 資源・エネルギー \-0.1 \0.0 \0.1 \0.2 \0.3 \0.4 \0.5 \0.6 \0.7 \0.8 石油 換算 石炭 換算 非金属鉱 物 鉄 鉄筋 残土 CO 2 SOX NOX SPM 廃棄・リサイクル 解体 施工 資材製造 インベントリ別環境負荷(50 年経過時)
データベース 登録 2010.9 シーズ名 湾曲状鋼製ダンパーによる耐震補強技術 氏名・所属 等 角掛 久雄、工学研究科・都市系専攻、助教 大内 一、工学研究科・都市系専攻、教授 <概要> 履歴減衰型の鋼製湾曲状ダンパー のフレーム構造内への効果的配置に より,脆性的な破壊を防止するとと もに損傷を制御する耐震補強方法を 考案しました。 特長 鋼製ダンパーの座屈防止,および曲 げ応力による塑性域の拡がりを確保 できることにあります。 効果 このダンパーをフレーム構造の隅角部に設置することによ り,以下の効果が得られます。 1)構造全体の耐力と剛性を増大させる。 2) 柱材端ではダンパーの水平力負担により,作用せん断力を 低減させる。 3)柱中央部で作用せん断力が大きくなるが,ディープビーム 効果によりせん断耐力増大を導く。 4)履歴減衰により構造物全体の応答を低減する. すなわち,せん断破壊する可能性の大きいものや曲げ靱性の 足りない構造物に対して,脆性的な破壊を防ぎ,かつ地震応答 変位を小さくします。 <アピールポイント> 鋼の塑性変形能力を利用した履歴減衰型のダンパーです。構 造物によっては隅角部に小さなダンパーを取り付けることで建 築空間をさらに確保することも可能です。 <利用・用途・応用分野> 鉄道や道路の高架橋構造物以外にも建築構造物や木造住宅への適用も可能です。 <関連するURL> 大阪市立大学工学研究科構造・コンクリート工学グループHP(http://st.civil.eng.osaka-cu.ac.jp/) キーワード 耐震補強、鋼製湾曲状ダンパー、制震、RC・S・木造フレーム 正負交番載荷実験の試験体 荷重-変位関係 (青:補強前,赤:補強後) 0 100 200 300 400 500 600 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100 6/100 部材角(×1/100rad) エ ネ ルギ ー 吸収量 N15 R15 R05 R25 吸収エネルギー (青:補強前,赤:補強後)
データベース 登録 2010.9 シーズ名 光ファイバによるヘルスモニタリング技術 氏名・所属 等 逢坂 勝彦、工学研究科・機械物理系専攻、准教授 <概要> ここで採り上げているヘルスモニタリングとは、材料や構造物にセンサを貼付あるいは埋め込むこと により、損傷の発生を検出して破壊を未然に防ぐことを目的とした技術である。本研究では、センサ として光ファイバを採用している。光ファイバセンサは、極めて細いため容易に材料に埋め込むこと が容易である点や、光ファイバ自身がセンシングデータを伝えるため、データの劣化が少なく大規模 構造物に適用が可能である点など、多くの利点を有している。以下に、これまで行ってきた検討例を 挙げる。 (1) 先端複合材料成形用スマートオートクレー ブ成形機の開発 最近、航空機の軽量化において有効であること から、その採用が拡大しているカーボン繊維と エポキシ樹脂からなる先端複合材料の成形(製 造)においては、オートクレーブ成形機を使用し 、材料に圧力や温度を加えて樹脂を固めること が必要である。そのために、圧力や温度を加え るパターンを決定する必要がある。もし、パタ ーンが不適当な場合には、材料に割れなどの欠 陥が発生する。欠陥が発生しないパターンの決 定は現状では試行錯誤的に行われるため、時間 とコストがかかっている。そこで、先端複合材 料に光ファイバセンサを埋め込んで、成形状態 を検出し、最適な圧力、温度パターンを自動的に 決定して、成形機をコントロールすることが可能 なスマートオートクレーブ成形機を共同開発し た(図 1)。 (2) 先端複合材料接着継手のヘルスモニタリング 先端複合材料を接合する上では、ボルト・ナット等の部品を使わない接着剤を使用した接着接合法が 最も適している。しかし、接着という化学反応を伴うことなど、接合部の強度を決定する要因が複雑 であり、経済的に信頼性の高い設計を行うことが困難である。そこで、接着部に光ファイバセンサを 埋め込み、剥離等の損傷を検出して、接着構造部の安全性を保障するヘルスモニタリング技術を開発 している。 <アピールポイント> 光ファイバによるヘルスモニタリング技術では、光ファイバを材料に埋め込むことにより、従来では、 知ることができなかった材料内部の状態をリアルタイムで検出することが可能となる。したがって、 先端複合材料用オートクレーブ成形機のように、従来では試行錯誤的にしか行えなかった成形条件の 最適化が定量的に可能となり、コンピュータと組み合わせることによる自動化も実現できる。また、 接着構造部へ適用することにより損傷状態を常に監視し、構造物の安全性を保障することが可能とな る。この結果として、先端複合材料の製造コストの低減や構造物の信頼性向上に大きく寄与すること が可能である。 <利用・用途・応用分野> ・航空機、自動車、車両等に採用される先端複合材料の製造コスト低減および信頼性向上 ・強電界環境において使用され、電気的なセンサが使用できない部材等の信頼性向上 キーワード 光ファイバ、ヘルスモニタリング、先端複合材料 Composite molding machine
Optical fiber sensor
Monitoring Data in preform Simulation Prediction of Optimization of process parameters Controller Parameters 複合材料成形機 成形品データ 光ファイバセンサ シミュレーション 成形状態の予測 preform's state 成形条件の最適化 モニタリング 成形パラメータ 制御装置 図 1 成形状態検出および最適成形が可能な スマートオートクレーブ成形機の概略
データベース 登録 2010.9 シーズ名 地下水制御による都市の地盤防災と環境保全に関する研究 氏名・所属 等 大島 昭彦、工学研究科・都市系専攻、准教授 <概要> 大阪地域では昭和 20 年代から 30 年代にかけて,主として臨海部の工場と市街地ビルからの地下水の 過剰汲上げによって大きな地盤沈下が生じました。その後,地下水汲上げ規制(工業用水法,ビル用 水法)が実施され,地下水位の回復に伴って地盤沈下は収束しました。しかし,現在では地下水位が むしろ過大に回復し,以下の問題が生じています。 1)建設時よりも高い水圧(浮力)が作用し,既存の建築・土木構造物の安定性を損なっている 2)地下の高い水圧によって地下空間利用における掘削工事の施工を著しく困難としている。 3)地震時の砂地盤の液状化発生の可能性が高くなっている。 4)地盤汚染物質が地下水によって拡散して水質が悪化している。 これらの問題を解決するためには,地下水位を制御して適正なレベルまで下げる必要があります。 <アピールポイント> 無計画に地下水位を下げると再び地盤沈下するため,現在の粘土層が過去の水位低下によってどの程 度圧密が進行しているかを明らかにし,沈下量を最小限に留める水位低下量を求める必要があります。 そこで,ここ数年にわたって大阪地域の 16 地点で沖積,洪積粘土層を連続サンプリングして,その物 理,圧密特性を詳細に調べ(基準ボーリング),さらに,「関西圏地盤情報データベース」を用いて点 の結果を核にして面的に拡げ,250m メッシュごとのモデル地盤を作成し,それを基にして沈下計算を 行い,地下水位低下可能量を求めています。その結果,浅層の沖積砂層では 2〜3m,深層の第1洪積 砂礫層では 3〜5m の水位低下が可能である結論を得ています。さらに,具体的な地下水の汲上げ手法 (井戸の規模と揚水量)と汲み上げた地下水の有効利用方策についても提案する予定です。 <利用・用途・応用分野> 来るべき東南海,南海地震の海溝型地震 や上町断層系の直下型地震による浅層の 沖積砂層の液状化による被害が予想され ています。市街地で締固め工による対策 を採ることは事実上無理ですが,地下水 位を下げることは液状化対策として非常 に有効です(右図参照)。また,汲み上げ た地下水はヒートアイランド現象緩和, 冷却,洗浄,環境用水としての中水,災 害時の非常用水などのために有効に利用 することができます。 <関連する知的財産権> 砂地盤の液状化問題に対して,通常の試験法よりも簡便で,かつより実地盤の条件に近い状態で液状 化強度を測定する新しい土質試験方法(繰返し定体積一面・単純せん断試験)を開発しています。 <関連するURL> ・個人HPのURL:http://geo.civil.eng.osaka-cu.ac.jp/stuff/oshima/kenkyu3_suii.html ・大阪市立大学複合先端研究機構,Bグループ:都市圏の環境保全と地盤防災のための地下水資源の 健全な活用法の構築の URL:http://www.ocarina-ocu.jp/about_b.html キーワード 地震時の液状化対策、地下水有効利用、ヒートアイランド対策 (1)現在の地下水位の場合 (2)地下水位を 3m 下げた場合 図 大阪地域の液状化発生の限界加速度値(海溝型地震動)
データベース 登録 2010.9 シーズ名 機能性流体を用いた制振デバイス 氏名・所属 等 大島 信生、工学研究科・機械物理系専攻、助教 <概要> 機能性流体とは電場や磁場により粘性を変化させることの出来る流体です。現在、磁場の強さにより 粘度を変化させる磁気粘性流体(MR 流体)と電場により粘度を変化させる電気粘性流体(ER)流体が主 に使用されています。現在、主に MR 流体を用いた制振デバイスの開発を行っています。 MR 流体は溶媒のオイル中に強磁性体の微粒子を分散させたコロイド流体で、図1のように磁場を与え ることにより鎖状の構造をとり粘度が上昇します。この粘度変化を利用して、磁場の強さにより制御可 能な制振デバイスを作ることが出来ます。制振デバイスは大きく3種類に分類することが出来ます。一 番代表的なのは、円筒とピストンの間に磁場を発生させ減衰力を調整するダンパです。このタイプのダ ンパは通常のダンパと同じ形状が多いため、多様な機器への応用が可能です。次にバイパス部に磁場を 発生させて減衰力を発生させるダンパです。このダンパは、電磁石が円筒部ではなくバイパス部に設置 されているため、設計の自由度が大きく大容量のものも構築可能です。三つ目のものせん断型のダンパ です。このダンパは構造が簡単で比較的コストが安いという特徴があります。 私のところでは、せん断型の制振デバイスの開発およびデバイスの制御手法に関する研究を行ってい ます。このダンパに関しましては簡便な構造をとっており、床免震構造への適用に関して研究を行って います。 また、現在 MR 流体を用いたダンパは初期摩擦抵抗が大きいため比較的大型のものが多いのですが、 図2に示すような構造を大きく変えたクラスタ制御型の小型のダンパを開発しています。この小型のダ ンパは流体粒子により形成されたクラスタそのものをオリフィスとして使用しており、構造的に擦動部 を持たないため、原理的に初期擦動摩擦が発生しません。このため、小型機器の精密制御などへの応用 が可能だと考えられます。 <アピールポイント> 機械・建築構造物の振動制御および減衰特製の改善など振動関連の研究を幅広くおこなっています。新 しく、初期擦動摩擦の発生せず、小型機器の精密制御に適した、クラスタ制御型ダンパの開発もおこな っています。 <利用・用途・応用分野> 機械構造物の振動・騒音低減、機械構造物の精密制御、建築構造物の耐震強化 キーワード 機能性流体、知的構造、ダンパ、精密制御、振動制御、制震 図1 磁界にそって鎖状構造をとる磁気粘性流体 図2 クラスタ制御型ダンパ
データベース 登録 2010.9 シーズ名 医薬など有機化合物の結晶製造を確実にする晶析操作と装置 氏名・所属 等 大嶋 寛 、工学研究科・化学生物系専攻、教授 五十嵐 幸一、工学研究科・化学生物系専攻、助教 <概要> 医薬品・食品・一般化学品 などは私たちには無くては ならないものですが、これら の多くは粉末として流通し ています。しかもその多くが 結晶です。生活の中で最も身 近な結晶は砂糖や塩ですが、 お医者さんで処方される薬 もその有効成分は結晶です。 一口に結晶といってもすべ ての結晶が同じ形や構造を しているのではありません。右上の 2 枚の写真はある医薬の結晶です。これらは同じ医薬物質の結晶 ですが、結晶の様子が違います。左右の結晶は見た目にも違いますが、実は目には見えなくても結晶 の中の構造が違います。結晶構造が異なれば溶解度や溶解速度が異なりますので薬の効き目にも違い が出てくることになります。左の結晶の方が薬としての効き目がよいのでこれが医薬として認可され て販売されています。右の結晶は認可されていませんので販売できません。そこで、工場では、製造 する結晶の中に右の結晶がたとえ微量であっても含まれることがないように、厳密にコントロールし ています。 さて、上の2つの結晶のように同じ物質であっても結晶構造が異なるものを結晶多形といいます。多 形の他にも粒径や粒径分布、純度、結晶化度、嵩密度、結晶の形など、コントロールすべき特性は様々 です。このような結晶特性のコントロールに日々奮闘している分野は、医薬製造に限らず、食品や一 般化学品の製造全般にわたります。私たちは、このような分野の基盤技術を発展させるため、工業的 に結晶を製造するための研究、すなわち晶析研究を行っています。 結晶を製造するための装置の開発も行っています。微結晶を無くして濾過しやすい大きな結晶を製造 できる、また多形の制御も可能なWWDJ 回分晶析装置(製品名 WW 晶析プラスTM:関西化学機械製作(株)) の開発、さらに、大きな装置はコントロールも難しいので、思い切って小さな装置で連続的に製造し てはどうかという試みで、10 mL 程度の容量の連続晶析装置(mL-スケール連続晶析装置)の開発も行 っています。10 mL でも連続すると一週間で数 10 から数 100 kg の結晶生産が可能です。必要なら複 数台使えばさらの多量の結晶生産が可能です。また、この装置を用いると粒径が揃った小さな結晶を 製造することができ、多形も容易にコントロールすることができます。 <アピールポイント> 所望の結晶特性を持った結晶を工業的規模で生産するための理論と操作の提供。結晶製造と装置開発 のための共同研究 <利用・用途・応用分野> 医薬・食品・一般化学品の製造 <関連する知的財産権> 特開 2008-49304 「晶析装置および方法」 <関連するURL> http://www.biochemeng.bioa.eng.osaka-cu.ac.jp/BCE/Welcome.html キーワード 晶析、結晶、結晶特性の制御、晶析装置、結晶核形成のメカニズム
データベース 登録 2010.9 シーズ名 秘匿性と柔軟性のある変調方式の開発 氏名・所属 等 岡 育生、工学研究科・電子情報系専攻、教授 <概要> 一般化直交変調 変調方式は,振幅変調,位相変調,周波数変調などに分類され,異なった変調方式として扱われてき たため,秘匿性の高い新たな変調方式の開発や,変調方式変更による通信路に対する適応化が容易で はなかった.このため,これらの変調方式をパラメータ変更で表現することが可能な一般化直交変調 を開発し,これまでに,以下の結果を得ている. ・ 直交位相変調(QPSK),直交振幅変調(QAM),直交符号分割多元接続(CDMA)方式, 直交周波数多重変調(OFDM)方式の変調パラメータを回転平面と回転角で表現した. ・ OFDMからQPSKへの連続回転による新変調方式に対して,ビット誤り率,ピーク電力の関係 を明らかにした. ・ 多元接続におけるマルチユーザ干渉を受けない変調方式の条件を明らかにし,この条件の下での変 調方式の最適化の例を示した. ・ 変調方式の秘匿性の程度を,識別誤り率を用いて評価した. 変調方式識別技術 変調方式を付加情報として受信機に伝えるのではなく,受信機で変調方式を識別する方法について研 究を行っている.受信信号の位相モーメントによる識別法,振幅モーメントによる識別法,余弦モー メントによる識別法,ならびに,これらを効果的に組み合わせた識別法を開発し,理論解析と計算機 シミュレーションを用いて PSK,QAM などに対する識別能力を明らかにしている. さらに,一般化直交変調モデルを用いた種々のブロック直交変調方式の識別方式,ならびに,標本点 のクラスタリング方式ならびにラベリング方式を開発している. <アピールポイント> 一般化直交変調は,従来の直交変調方式に加え,パラメータを変更することによりすべての直交変調 方式まで定義できる変調方式である.これは,変調信号をブロック化して多次元空間で表現し,多次 元空間の回転により変調方式を表すもので,その回転平面と回転角が変調パラメータとなる.これに より,実用化されている変調方式のほとんどすべてを一般化直交変調方式として再度,命名できると 共に,パラメータを連続的に変更すれば,未知の変調方式を表現できる. 本研究は,一般化直交変調の特徴を生かした高いセキュリティ機能をもつ変調方式の開発や,コグニ ティブ無線,および,ソフト無線への応用に有用である. <利用・用途・応用分野> コグニティブ無線,適応変調 キーワード コグニティブ無線,変調方式識別,一般化直交変調,ソフト無線
データベース 登録 2010.9 シーズ名 微小液滴の運動制御 氏名・所属 等 加藤 健司、工学研究科・機械物理系専攻、教授 <概要> 固体面上の微小液滴を移動制御する新たな手法を提案 する.液滴が運動するとき,図 1 のように前端と後端で 現れる接触角θAとθRの差(接触角履歴)が現れ,表面張 力σの接線方向合力による抵抗が発生する.接触角履歴 は,壁面上の微細なあらさなどの欠陥部に,液滴付着面 周囲の接触線がトラップされることが原因と考えられて いる.欠陥部を通過する際の抵抗を低減するため,壁面 に超音波振動(28kHz)を施す.ついで,外部からレーザー を液滴の一端に照射する.固体表面に分子レベルで秩序 的な SAMs(自己組織化単分子膜)を用いると,レーザーの 局所加熱によるランダムな熱振動が原因となり,その分 子配向が乱れるため,固体表面とのぬれ性が改善される. その結果,レーザー照射端の接触角が他端よりも顕著に 減少し,液滴はレーザー照射端の方向に移動する.図 2 は,本手法の模式図である.図 3 は,液滴が移動する瞬 間での写真例で,照射端(右端)の接触角が顕著に減少し ていることがわかる.なお,レーザー照射を止めて温度 が低下すると,接触角は可逆的に元の値に戻る.図 4 は, レーザー出力に対する,1mm3の液滴(αMSD)の移動速度の 変化を表したものである.本手法を試みた実験結果から, 1mm3の液滴の移動抵抗を約 80%低減でき,レーザーの出力 を 200mW にすることにより,0.6mm/s 程度の速度で液滴を 運動させることができた.超音波振動と外部からのレーザー照射を組み合わせた方法により,液滴を 移動制御することができる. <アピールポイント> 壁面に電極などを埋め込んだ加熱により,液滴を駆動する方法などが提案されているが,構造が複雑 で,液滴の移動方向も制約される.本手法では,簡単な外部からの操作により,自由度の高い移動制 御が可能となる. <利用・用途・応用分野> マイクロ流体素子,マイクロリアクター,バイオ関連分野など. キーワード ぬれ、接触角、液滴、Microfluidics 図1 接触角の履歴現象 図2 液滴移動手法の模式図 図3 移動する液滴の写真例 図4 レーザー出力による液滴移動速度の変化
データベース 登録 2010.9 シーズ名 ナノ多層膜めっきによる表面強化 氏名・所属 等 兼子 佳久、工学研究科・機械物理系専攻、准教授 <概要> 摩耗や金属疲労などの実際の使用において 重要となる現象は材料の表面強度に左右さ れます.つまり,表面さえ強化すればそれら の特性は大きく改善されるはずです.金属材 料の降伏強度は平均結晶粒径の平方根に反 比例して変化するので,結晶粒径をナノメー トルスケールまで小さくできれば,非常に強 度の高い金属が得られることになります. 当研究室では材料表面層のみをナノ構造化 することを目的として,電気めっきを利用し たナノ多層膜コーティングを試みています. 図1は厚さが約 50nm のニッケルと銅を交互 に積んで作製した Ni/Cu ナノ多層膜の断面で す.電気めっき法でも写真のように,平滑な 多層膜を作成することができます. <アピールポイント> 図2は一層あたりの厚さが 20nm,50nm およ び 100nm の Ni/Cu 多層膜の応力-ひずみ線図 です.多層膜の強度は層厚さに依存してお り,最大引張強さは 50nm では 800MPa,20nm では 900MPa に達します.このような N/Cu 多 層膜を材料表面にコーティングした場合,通 常のニッケルめっきに比べ,最大で10倍以 上も疲労寿命が向上します.同様に,ナノ多 層膜コーティングによる硬度や耐磨耗性の 向上なども確認できております. 電気めっき法は従来のスパッタリング法に 比べ,安価でかつ被コーティング材の形状も選ばないので,手軽に実現できるナノテクと言えます. <利用・用途・応用分野> 原理的には、どのような形態の金属表面にもコーティングできますので,今まで表面強化が困難であ った形状の金属部材の表面強化に適しています.具体的には,薄板材の表面強化,大きな表面力を受 けるベアリングなどの機械部品の表面強化への応用を考えております. <関連する知的財産権> ころ軸受用保持器およびころ軸受・㈱ジェイテクト,橋本敏,兼子佳久・特願 2005-322162 玉軸受用保持器および玉軸受・㈱ジェイテクト,橋本敏,兼子佳久・特願 2005-279894 <関連するURL> http://zk.imat.eng.osaka-cu.ac.jp/index.html キーワード ナノ構造材料、めっき、表面改質、強度 図2 Ni/Cu ナノ多層膜の応力-ひずみ線図 図1 層厚さ約50nm の Ni/Cu 多層膜断面の電子 顕微鏡写真
データベース 登録 2010.9 シーズ名 微生物による材料劣化の事例解析 氏名・所属 等 川上 洋司、工学研究科・機械物理系専攻、准教授 <概要> 1960 年代に金属腐食が微生物によって引き起こされることが報告され,種々の腐食現象における微 生物の作用が注目され始めた.金属材料の腐食の 20 %に微生物が関与していること,そして微生物腐 食対策として年間 300~500 億ドルの費用がかかっていることが 1990 年代に報告された.その後,腐 食現象に関与する微生物が注目され,硫酸塩還元菌など金属腐食を引き起こす微生物が同定されると ともに実験室レベルでの研究が行われてきた. 微生物誘起腐食の特徴として ・pH などの要因では腐食が起こるとは考えにくい環境下においても微生物が関与することに より腐食が生じ, ・その腐食速度が非常に速い. ・微生物誘起腐食による腐食形態は表面からの観察では表面に小さなピットが生じているだけ のようであるが,腐食は材料内部に広がっており大きな空洞ができていることが多い. などがあげられる.言い換えると,微生物誘起腐食は予期せぬところで腐食が生じ,その進行が速 く,目視では発見しにくい.このような特徴は微生物誘起腐食が実構造物に生じた場合,大きな事故 につながる恐れがあり,その被害が大きくなる可能性を示唆している. 腐食が生じた実環境下での再現試験や実環境を模写したラボテストなどにより,問題としている腐 食に微生物が関与していたか調べる.そして微生物誘起腐食が疑われた場合,その対策について考え る. <アピールポイント> 微生物誘起腐食に対する関心は広まりつつあるものの,その対象が材料科学と微生物学の両方にま たがるといった特殊性もあり工学的に不明な点が多いのが現状である.そのため,微生物腐食が疑わ れても詳細にわたって調査を行わず,腐食した部材を取り替えるなどの対策がとられることが多い. しかし,部材の交換では腐食の原因を根本から取り除いたことにはならないため腐食が再発する.そ こで,微生物誘起腐食が疑われた場合,その事例を調査し,確かに微生物誘起腐食であることが確か められた場合,その対策を立てることが必要である. <利用・用途・応用分野> 微生物は地球上あらゆるところに生息している.そのなかで微生物誘起腐食が生じるのは水周りで あることが多い.報告例では発電所や化学プラントの配水管や貯蔵タンクが多く,特に地下水が混入 した冷却水が流れているようなところで発生することが多いようである.このような場所で先に述べ たような特徴を有する腐食が生じた場合,微生物誘起腐食が疑われるので,一度検査を行うことが望 ましい. キーワード 材料劣化、微生物誘起腐食、院内感染、汚染、環境
データベース 登録 2010.9 シーズ名 Li3N ベースのイオニクス材料の基本物性予測 氏名・所属 等 岸田 逸平、工学研究科・機械物理系専攻、助教 <概要> 本稿では Li3N(リチウムナイトライド)ベースの材料開発に計算機を援用する手法について解説する。 Li3N は高いイオン伝導性を持つことで古くから注目されてきた物質である。Li3N 単体では大きな応用 はあまり期待できないが、これに添加元素を加えて合金化することで新たな特性をもったイオニクスデ バイスが期待される。特に近年急速に普及が進んでいるリチウムイオン電池の電解質および電極材料の 基材としての可能性が高く、またその水素吸蔵性も注目に値する。 イオン伝導性や水素急増特性といったイオンの挙動に根ざした特性を改善した材料を開発するには、 このような物質のミクロな構造に注目して現象を理解する必要がある。しかしそのような原子1個レベ ルのミクロな現象は、実験的手法からは電子顕微鏡を用いてさえも容易には捉えられない。そこで有効 なのが理論計算に基づいた開発手法である。原理的には原子1個の挙動をつぶさに捉えることができ、 イオン移動の障壁となるエネルギーも定量的に知ることができる。また、実験の操作に由来する誤差が 含まれず、材料そのものの性能を直接測ることができるという利点もある。 ここで紹介するのは計算機を援用した研究・開発手法に重点があり、具体的な材料としての Li3N へ の重点はむしろ軽いと言える。ただし、Li3N について基礎的な知見を筆者は持っており、そのイオン 伝導には複数の Li イオン点欠陥が複合的にキャリアとしての役割を果たすことを突き止めた。この経 験から合金系への研究展開も比較的スムーズに進展すると考えている。 <アピールポイント> 材料開発の基本指針を与えるためには理論計算が有効。 最初にあたりを付けておくことで無駄な実験を省き、開発コストを低減できる。 <利用・用途・応用分野> 電池・燃料電池といったエネルギーデバイス。水素ガスセンサー。水素ガスフィルター。 キーワード イオニクス、計算機的手法、Li3N
データベース 登録 2010.9 シーズ名 酸化還元タンパク質の構築原理とその利用 氏名・所属 等 北村 昌也、工学研究科・化学生物系専攻、教授 <概要>
硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris (Miyazaki F)を研究素材として、その遺伝子を解析し、遺伝子工 学的に組換えタンパク質を作り出し、その性質を決定するとともに、積極的な利用法を提案していま す。 <研究内容の説明> 夏の暑い日、下水の周りは、不快な臭いがしませんか?その臭いの正体は、硫酸還元菌が放出した 硫化水素です(臭いは我慢できますが、実は、毎年数人はこのために亡くなっています)。硫酸還元菌 は、硫酸塩呼吸という特殊な呼吸系で生育しているため、通常の生物が持っていないような特殊なタ ンパク質を持っています。そこで私は、この菌が持っている補欠分子族(金属イオンやフラビン誘導 体など)結合タンパク質に着目して研究を行っています。このようなタンパク質は、酸化還元という 機能は主に補欠分子族に任せ、ペプチド鎖部分は、「枠組み」となっていますが、ペプチド鎖部分は、 生体内で反応を行う相手の選択や補欠分子族との選択性や結合強度、酸化還元電位の決定をしている と考えられます。これらの関係を明らかすると同時に、その性質を使って新たな生物プロセスが提案 できないかと考えています。 遺 伝 子 金属や 補欠分子族 天然にない アミノ酸の導入 どんなタンパク質が できるか? 結合強度 酸化還元電位 タ ン パ ク 質 細菌の生態 ポリペプチド鎖 遺伝子からタンパク質へ FMN 結合タンパク質の リボンモデル 金属イオン回収システムの概念図 <アピールポイント> 天然には、たくさんのタンパク質が存在しますが、これを改変する、さらに天然にないアミノ酸を導 入したタンパク質を作り出せば、とてつもない種類のタンパク質を作り出せる可能性があります。つ まり、タンパク質工学は、目的に合致したタンパク質を「作り出す」無限の可能性を秘めていると言 っても過言ではないかもしれません。酸化還元タンパク質は、状態を制御できる数少ないタンパク質 ですから、タンパク質そのものを利用した素子などへの応用が期待できますし、環境中からレアメタ ルを回収するシステムも作り出せるかもしれません。 <利用・用途・応用分野> 環境改善を意図した菌の駆除といった消極的な利用だけでなく、積極的な応用を考えています。例え ば、金属タンパク質の結合金属イオンの選択性を利用すれば、有用微量金属の効率的回収システムが できると考えています。また、フラビン誘導体と枠組みの関係、つまり酸化還元タンパク質の成り立 ちが理解できれば、新たな分子素子、すなわち 1 分子メモリやスイッチング素子としての用途が考え られます。 <関連するURL> http://www.bioa.eng.osaka-cu.ac.jp/bic/index-ie.html キーワード 酸化還元タンパク質、補欠分子族、金属イオン回収、分子メモリ
データベース 登録 2010.9 シーズ名 低環境負荷構造材料・部材 氏名・所属 等 鬼頭 宏明、工学研究科・都市系専攻、准教授
<概要>
現在、建設用構造部材として広く用いられて
いるもののひとつとして、鉄筋コンクリート構
造部材があります。これは①鉄筋と②コンクリ
ートと云った建設材料から成る一種の合成構造
部材です。また、②コンクリートは、セメント、
水と骨材(砂や砂利、砕石など)を原材料として
いる。
ここで、鉄筋とセメントは、その製作過程に
おいて二酸化炭素排出量が多く、環境負荷が高
いとされています。それらの代替として、ここ
では、主として、鉄筋と骨材の代替材料に着目
します。
すなわち、右の図に示すように、鉄筋に対し
て、自然素材である竹材を活用して、二酸化炭
素排出低減を目指します。さらに、骨材に対し
ては、解体施設から排出される再生骨材を活用
して、資源のリサイクルを図ろうと考えていま
す。
<アピールポイント>
身近な材料を活用することにより、二酸化炭
素排出低減や資源のリサイクルを実現する、低環境負荷構造材料・部材を提案します。
<利用・用途・応用分野>
鉄筋コンクリート部材の代替部材とすべく研究開発を進めています。
<関連するURL>
大阪市立大学工学研究科・構造コンクリート工学グループ HP:
http://st.civil.eng.osaka-cu.ac.jp
キーワード 環境負荷低減、構造材料・構造部材、竹材、再生骨材データベース 登録 2010.9 シーズ名 光応答性有機フォトクロミック材料 氏名・所属 等 小畠 誠也、工学研究科・化学生物系専攻、准教授 <概要> 光により色の変わる物質をフォトクロミック化合物と呼ぶが、光により分子構造変化を伴うため、さ まざまな物性が変化する。その中でも、ジアリールエテンは熱不可逆性と繰り返し耐久性に優れてい るという特徴を有しており、結晶や高分 子媒体中など固体状態においてもフォト クロミズムを示すことから、さまざまな 用途への応用が期待される。 我々は、用途に応じて望みの機能を有す る分子の設計および合成を行い、物性を 評価することにより、目的とする性能を 生み出すことを目的として研究を進めて いる。特に、結晶材料や高分子材料など 固体状態でのフォトクロミック反応系に 着目し、新しい特性を付与した高機能性 材料の開発を行っている。フォトクロミ ック材料は、光によって、色、屈折率、 誘電率、酸化還元電位、固体表面形状、 単結晶形状などが可逆に変化する。 <アピールポイント> わずかに分子構造を変える だけで物性が変化するため、 置換基を変えて分子設計を行 うことにより、目的に合わせ た要求性能を有する材料を設 計・合成できる。 <利用・用途・応用分野> 光プリント材料、記録材料、光 メモリ材料、調光材料、光駆動マ イクロアクチュエーター(図2)、 光スイッチング材料、各種センサ ー、濡れ性の制御(図3)などさ まざまな応用が考えられる。ま た、フォトクロミックポリマーを 被覆した金属ナノ粒子の合成を 行っており、オプトエレクトロニ クス分野での応用も考えられる。 <関連する知的財産権> 温度センサー関連、表示素子関連で特許出願 <関連するURL> http://www.a-chem.eng.osaka-cu.ac.jp/kobatakelab/ キーワード 光スイッチング、分子センサー、温度センサー、撥水性 図1 フォトクロミックジアリールエテン結晶 図2 紫外光を照射により、微小なファイバー状結晶が屈曲し、マイクロビーズ をはじき飛ばした様子。結晶は可視光照射によって元のまっすぐに戻る 図3 結晶成長に基づくフォトパターニング
374.2 22.1 温度(℃) 圧力 (MPa ) 臨界点 三重点 固体 液体 気体 超臨界 亜臨界 水の相図と超臨界および亜臨界状態 データベース 登録 2010.9 シーズ名 亜臨界・超臨界流体を利用した化学プロセスの開発 氏名・所属 等 米谷 紀嗣、工学研究科・化学生物系専攻、准教授 <概要> 超臨界流体とは、物質の気液の臨界点を超え た状態にある流体のことである。また、臨界温 度よりやや低い状態にある液体を亜臨界流体と 呼んでいる。これらは、気体と液体の特性を併 せもっており、特に、臨界点近くの超臨界流体 は、大きな圧縮率と分子レベルでの密度揺らぎ に起因する興味深い現象を示すことが知られて いる。本研究者は、このような超臨界流体を反 応媒体として利用することで、新規な化学プロ セスの開発に取り組んでいる。超臨界流体とし て特に重要なものは、超臨界二酸化炭素と超臨 界水である。超臨界二酸化炭素は臨界点が室温 に近いため、取り扱いも容易である。一方で、 超臨界水は臨界点が高温高圧であるため、取り 扱いは若干困難であるが、常温常圧の水にはな い高い反応性を有している。これらはいずれも 安価、無害であり、環境調和型の化学プロセス 開発に優れている。本研究者の主な研究成果を 以下に示す。(1)亜臨界・超臨界水を反応場とする水熱法(ヒドロサーマルプロセスを用い、銀、白 金などの貴金属ナノ粒子を合成する手法を開発した。また、反応条件などにより、生成するナノ粒子の サイズ、形状の制御が可能であることを明らかにした。(2)超臨界二酸化炭素中にフッ素系界面活性 剤を用いて逆ミセルを生成することにより、これまで困難とされてきた金属イオンを超臨界二酸化炭素 に分散させることに成功した。また、逆ミセルの内水相がナノサイズの反応場として機能することを提 案し、極めて微細な金属粒子の合成に成功した。(3)超臨界水を用いた水熱プロセスにより、高い光 触媒活性を示す酸化チタンの合成法や、金属微粒子の大量合成法などを開発した。(4)超臨界水酸化 法と酸化チタン光触媒作用を併用し、有害物質で汚染された土壌処理の開発を行った。 <アピールポイント> 水や二酸化炭素の亜臨界・超臨界流体は、それ自体が無害、安価、無尽蔵で環境に優しい溶媒である。 これらを用いた新規な化学プロセスの開発は、今後さらに重要性を増していくであろうグリーンケミス トリーの方向性と合致している。また、我々が最近発見した、亜臨界~超臨界水中における酸化チタン の高い光触媒活性は、従来個別に研究・開発されてきた水熱技術と光触媒技術を融合することを可能と し、画期的なプロセスの開発に結実する可能性を秘めている。 <利用・用途・応用分野> ・超臨界水酸化法による難分解性物質処理 ・水熱技術と酸化チタン光触媒作用とを融合した新規プロセス開発(水質・土壌浄化、バイオマスエネ ルギーの製造など) ・超臨界水、超臨界二酸化炭素を利用した物質合成法の開発(金属ナノ粒子合成など) <関連するURL> 研究グループホームページ http://www.a-chem.eng.osaka-cu.ac.jp/kometani_group/index.html 都市エリア産官学連携促進事業(大阪中央エリア)ホームページ http://www.nanomaterial.jp/ キーワード 超臨界流体、光触媒、金属ナノ粒子、有害物質処理、バイオマス
データベース 登録 2010.9 シーズ名 高速度流体運動の画像計測手法 氏名・所属 等 重松 孝昌、工学研究科・都市系専攻、教授 <概要> 流れの構造を理解するための流体運動の計測は,非接触の計測器を用いて,時間的・空間的に高解像 度で計測することが好ましい.このようなニーズに応え るための計測手法として画像計測手法が開発され,コン ピュータの進歩とともにさまざまな手法が提案され,実 用化されているのが現状である.現在の主に用いられて いる手法は,流体中のトレーサー粒子の瞬間画像を撮影 し,連続して撮影された画像間における輝度の相関を取 ることによって流速を求める方法である.撮影画像に基 づく流体運動の計測は,画質に依存するため,高速度の 運動を解析するためには,高出力のパルス光源と高速度 のビデオカメラが必要であり,高価な計測機器が必要不 可欠であるとともに,完全に計測誤差を除去することは 困難である. このような課題を克服する手法として,連続光源を用 いて流し撮影を行うことによって流跡線を撮影し,連続 する画像から流向を求める手法を開発した.この手法で は連続する画像間で一義的に対応する流跡だけを抽出し て流速・流向を求めるので,計測誤差は撮影誤差だけで ある.また,流し撮影であるため,比較的高速度の流体 運動を計測する場合であっても,高価な光源も必要とし ないのが特徴である. <アピールポイント> 比較的安価な装置を用いて,高精度で,流速の速い三 次元運動を計測することができる.混相流場においても, 計測は可能である. <利用・用途・応用分野> 流体計測,モニタリング <関連する知的財産権> なし <関連するURL> http://sauron.urban.eng.osaka-cu.ac.jp キーワード 流体運動、混相流、画像解析 撮影画像の例(人工画像) 解析結果の例 固液混相流計測への適用例