原 著 ( 東 女 医 大 誌 第55巻 第5
号)
頁 442-455 昭和60年5月J病理解剖における合併症・副病変の意義
一びまん性腎病変を中心としてー
今 井
東京女子医科大学第一病理学教室(主任-今井三喜教授〕 ヰ 且 問 ( 受 付 昭 和60年2月8日)The Significance of the Complication Observed in Autopsy Cases
,
with Special Reference to the Diffuse Renal diseaseMiki IMAI
Department of Pathology (Director: Prof. Miki IMAI) Tokyo Women's Medical College
The complication in medical terms defines an abnormality combined with main illness. Some of the complications have causative relationship to main disease
,
some the resu1t.Some have the indirect correlation to main disease, and further inc1ude iatrogenic abnormalities. In the specialized c1inical medicine, the majority of complications exists in the area out of speciality ofc1inicians. On the contrary pathologists who have more opportunities to detect complications in autopsies, are in situation considering disease generally and recognizing the significance of complications. On auther's opinion the knowledge on complication gives useful tool to etiological study of disease and to curative medicine. For such purpose auther chooses the thema“diffuse renal disease as complication". Materials consist of autopsy cases for last 30 years in the first Department of Pathology, Tokyo Women's Medical College. There were the cases of diffuse proliferative, membranous glomerulonephritis and crescent forming glomerulonephritis correlated to infectious disease,
to collagen disease and to generalized angitis. Focal glomerulonephritis in the acute and subacute sepsis, renal changes like malig -nant nephrosc1erosis in hypertensive cardiovascular disease, charactristic glomerular changes in cyanotic congenital heart disease and in disseminated coagulation syndrome, as well as glomerular changes of unknown etiology are mentioned. Vacuolar degeneration of rnusc1e ceI
1
s in renal arteriolar wall in leukernia, probably iatrogenic change, is also discussed. 緒 言 臨床でも病理でも患者の基本的な病気を主疾患 とし,それに加わった種々の異常を合併症という. 病理では主病変と副病変ということもある.この 合併症とか副病変とL、う意味はかなり漠然、として いて,癌に肺炎が合併したとL、う場合の合併症と, 糖尿病性腎症を糖尿病の合併症という場合とは意 味がちがう.一般に使われている「合併症」の内 容は次の5
項にわけられるであろう. 1)主疾患と原因的に関係のある病変 2) 主疾患の結果としておこる病変 3) 主疾患と直接関係はないが,多少の因果関係 が考えられる病変 4) 治療に関係したいわば医原性の病変 5) 上記以外の,主疾患とは全く関係のなし、小病 変 5)は例えば肝硬変の患者に大腸ポリープが発見 されたというような場合で「偶発所見」として, 1)-4)
とは区別すべきである.また主疾患と全く 関係なく,同程度重要な別の疾患が併存している442-ときは両方とも主疾患というべきであろう. これらの合併症の生命に対する重要度はまちま ちであり,合併症が死因となることもしばしばあ る.逆に臨床的な徴候をあらわさない合併症が剖 検で発見されることも多い.それ故,剖検では合 併症をみる機会が臨床より多いわけで、ある.そう してこれらの合併症が個々の例においてはそれほ ど重要でない病変であっても,その病変について の知識の集積から疾患の病因の解明や治療の進歩 にかかわる問題が示されることも少くない.主疾 患のいかんにかかわらず剖検では全身解剖を原則 とする理由の一つもここにある.著者がさきに報 告した「間質性肺炎Jl}も副所見としての間質性肺 炎が主体になっている. 本来,主病変・副病変といってもそれは個体に とっての病変の意味から分けられているのであっ て,一つの臓器については主・副の区別はないわ けである.このようなことを考えると副病変をみ る機会の多い剖検においては主疾患と同様に,副 病変としてあらわれる臓器病変を軽視してはなら ないと思う.このことは臨床においても同様であ る.近来臨床では専門化による病気の診断と治療 の進歩が著るしいが,その際,主疾患のみならず 専門外に属する合併症についても充分考慮する必 要があろう. 本論文は腎のびまん性病変を主題として合併症 の意味を考えてみることを目的とした.もっとも 腎,殊に糸球体の病変は全身病としての意味があ るので,合併症としては特殊な例であるかもしれ ない. 研究方法 この研究は1955年から1984年までの30年間の東 京女子医大第一病理学教室の剖検例について行な われた.長期間の症例であるから,診断・治療の 変遷は当然考慮に入れなければならないので症例 を剖検年を附して表記した.年代の古い症例は概 して疾患の原型に近いが,最近の例は種々の面で 自然経過が修飾されたり,時には医原性の病変と 考えられる変化もある.臨床経過は病理学教室に 保存されている臨床歴から得た概要で、ある. ここでとりあげたのは両側性びまん性腎疾患で -443 あるが,そのうち慢性腎炎の大部分は主疾患であ るので除外しまた血管性腎病変のうち良性腎硬 化症は一般には腎機能障害が少し老人の症例で 数多くみられるのでここではとりあげなかった. 研究結果および考察 合併症としてここにとりあげた腎病変を次のよ うな項に分けて考察する. A)増殖性および膜性糸球体病変 B)半月形成糸球体腎炎 C)巣状糸球体腎炎 D)悪性腎硬化症 むその他(代謝異常,循環障害,血液凝固異常 等に関連する腎病変〉 A) 増殖性および膜性糸球体病変(表1)(写真 1 -5
,
17-23) 30年間の剖検例で主疾患としての急性糸球体腎 炎の症例はなく,膜性糸球体腎炎は1例 (A①〉 である.表にあげた16例 (A1-A16)は他の疾患 に合併した腎病変,腎炎が疑われていたが確定さ れなかった症例で、ある.これらの症例の腎病変は 本来の原発性糸球体腎炎と同等のものとはいえな いが,病変として糸球体の増殖性あるいは膜性病 変をみとめたものである.このうちA12,A15, A16は膜性病変であり,他は増殖性病変である. A1, A3, A10は本来腎炎であったものが確定診 断がつかないうちに死亡したものともいえる.ま たA2,A4, A7は主疾患と関係のない合併疾患の 可能性がある.これら6例を除いた10例について 主疾患と腎病変の関連性について考えてみる.A5 は剖検で結節性汎動脈炎であることがわかった例 である.結節性汎動脈炎の腎病変としては動脈炎 のほか糸球体炎があることがある.その糸球体炎 は半月形成であったり巣状腎炎のようなかたちを とることが多い.A5では動脈炎が輸入動脈に軽度 にあり,糸球状の変化はむしろびまん性増殖性炎 である.A6とA9は感染症と関係があるかもしれ ない.A9は糸球体に増殖性変化のほか基底膜の軽 度の膨化があり,妊娠との関係も考えられる.こ の例は細菌性心内膜炎があるが巣状糸球体腎炎で はない.A13は臨床的には感染を疑わせる所見が あるが剖検では感染巣が証明されなかった.A12,表 l 増 殖 性 お よ び 膜 性 糸 球 体 病 変 No 剖検年 年齢・性 臨床診断 臨床経過概要 腎以外の病変 腎病変〔身長腎重/量体重〕 写真 減 痛 膜約8ヵ月前より発顔熱意面浮腫 尿腹量髄 増左殖性糸球体病変 A1 1957年 5古歳 化膿性髄膜炎 少, 1週後産間李前 38.9'C 化化膿膿性性髄腹膜膜炎炎 220O1E gcm 1 炎そ症状の , 識低下 右19 Cl13cm/15kg) A2 1960年 24♀ 歳 肝硬変 4り発ヵ熱月前より黄肝痘炎増39'C, , 強1週間前よ 肺肝炎炎後肝硬変 右増左殖2性糸球体病変 2(231065g 3cm/58.5kgg 〕 17 4ヵ月 7日前振より下吐痢 李その後発咳熱, 食℃ 増左殖3性糸球体病変 A3 1963年 古 Toxikose 息不 来,H区 後3E主 , ~~40 肺炎 右2O56E Zcm まで, 院 直 死 亡 C 60cm/5. 5kg) A4 1965年 4ヵ月 先代天謝異性房常室ブロッグ 疑発先熱天い性1日白区5ヵ,吐内障月前蛋,産先白李天尿,性(十意仲心識)疾喪患失の, 心内膜線維蝉性症 右増左殖性糸球体病変 18 ♀ 33(205g gcm/6kg〉 1 思'びヵ不蛋月れ前振白そ3尿の8腰(他5+痛℃の〕,の不発そ定熱のの,後神頭腹経痛痛, 増右左殖性糸球体病変 A5 1966年 31♀ 歳 多発性神経炎 食 症 結節性汎動脈炎 22215o6g 0cm g 19 状L,蛋白 C16dcm/46kg) 1年性膝3ヵ節用白炎尿前黄痘,1.過5ヵ中月責前痘化, 増右殖性糸球体病変左 1966年 59古歳 肝高硬血圧変症 肝化硬膿変性膝関節炎 250o6gg 2cm A6 膿腹水, 関蛋 ,その経 24 2 (16Zcm!74kg) 30年来両血圧状, 約時々狭週心症前使間発心前作 増左殖性糸球体病変 742歳 や心不全軍症フ , l¥'J2 問 不 冠陳肺動線旧脈心維硬筋症化梗塞 18
普
A7 1968年 房室ブロック 識全,喪房失後 ベーロスックメ,ーカ1週ー 用意, 右不 3 そ の 発 熱 , 蛋 白 尿 C162cm/50kg) 心 強 蛋15年不,白1前全尿0あ細日C+前什菌り〉よ性り心B1尿内ヵUN量膜月9減6前炎m少,心g
/
不そd浮l全の腫増, 後 増 右 左殖性糸球体病変 A8 1969年 28古歳 心腎弁炎膜症 大鎖動脈弁・僧帽弁閉不全 11970o6gg 7c 20 C167cm/53.5kg) 2週間前発熱帝王切℃開で分娩後腫 6日 増球左殖体病性変および膜性糸 37♀ 歳 肺分娩塞後栓,心不全 減前難より 40'C, その 呼吸量困 A9 1970年 の疑い ,少 チアノーゼ,肺水 ,尿 細菌性4心内膜炎 1604OE gCEIl ,軽度浮腫 右1C1547cm/65kg) A10 1975年 6ヵ月合 先天性ネフローゼの疑 蛋生後白尿1.L 、 著5ヵ明月,か低ら蛋熱白,血浮症腫出没, 増左右殖6性糸球体病変 21 6〔705g g5.5cm/5kg〕 All 1976年 85t歳 悪腎性リンパ腫 不全 2,週,パ蛋節呼間腫前吸白 よりかぜ気味, 頚球部リ ン 脹尿困,難〔岬末+) 柏貧、血リンパ 増浮 腫 多 血加わる, 悪急性性細d心網筋症梗塞 右 増左殖1性糸球体病変 1〔991060g 9cm/68kg g 4 1年抗3りボり咳病蛋aナ月!剤白前尿そにデのよよ後るり状や呼治にぜ吸鼠て匂困跡態91癌ヵ 月ヵ 膜右左性糸球体病変 51古歳 前よ 心発月 A12 1978年 肺癌 タン 肺問癌質性肺炎 160o6g g1cm 5 見 前, よ 1(716.lcm/57kg) 79古歳 悪(て4判心化十ヵ):学月療前日B区U吐法よN
り高意悪20値識性日低前り下ンよ,パり蛋麗高熱白と,尿し 肝悪虫性硬変リン(日パ本腫住 血 吸 増左殖性糸球体病変 A13 1978年 悪肝硬性変リ症ンパ腫 170g 22 による) 右1C7l50耳lcm 1cm/40.5kg) A14 1980年 34合歳 マノレファン脈症癌候 群 急高動脈性校弁の頃閉か不ら高全亡血,2圧週,間32前歳胸で痛大, マノレファン脈症癌候 群 増左殖2性糸球体病変 解離性大動 心不全鎖で死 解離性大動 右2011800立E 5c 085cm/64kg) A15 1982年 46♀ 歳 E要原病の疑い 時尿強15,年々,肺前線4よ年維り症前浮合腎腫炎併, , その後困難蛋増指 尖 し び れ白 ,呼吸 肺間質線維性肺症炎 膜 左 右性糸球体病変 22000臣E ?dm/41kg〉 23 444A16 1983年 842歳 肺腎不炎全 m末32g期ヵヵ/d月月にl前前蛋よよ り自 ,り腹熱尿
c
痛'
-i疾的~,食呼思吸不困振難l,
BUN103 間質菌性肺炎細 性 肺炎 右28016002Eg cm Cl62cm/40 , 5kg) 尿 下 10痢〔ヵ十件,月〕前,腹血痛よ圧り9浮2/腫40:そ頭の重後,腹蛋水白, 膜右左性糸球体病変 A① 1961年 35♀ 歳 ネフローゼ 11890i長
g C143cm/39.5kg)一
表2 半 月 形 成 糸 球 体 腎 炎 No 剖検年 年齢・性 臨床診断 臨床経過概要 腎以外の病変 腎病変(身長体重〉腎重/量 写 真 21歳よ り頚膿尿の,蛋毒・事腰血,白椎尿尿5,とカヵリエス,数ヵ 半左月〔結形核成〕糸球体腎炎 B 1 1955年 33♀ 歳 脊腎椎不全カリエス 腫特所の高流蛋度白注 月前より浮 脊左椎腎 カリエス 6 ,*
8
}jj(, JlI!}jj(, 10日前より 結核(漆喰腎〕 右321400gc に 貧血 Cl40cm/49kg) B2 1961年 562歳 後胃潰,蕩腎障・腹害膜炎の手術 21よそ05の日りヵ前後蛋月吐イ白前血尿レ足,あウ背胃スり膿潰で蕩蕩再,と手全し術身て,発手病疹術初 腹胃潰膜蕩炎手術後 半左右〔32月071形007員zc成m糸/5球1k体g腎〉炎 1牛粘熱に引開腫野つ脹眠づ高きb
顔呼悪選心吸陶丹u困区毒福L錨様凡炎弘1航高官念度。月 右 半 左月形成糸球体腎炎 1963年 292歳 丹腎毒不,全鼻咽頭炎 鼻性咽炎腔症の壊死性化膿 220O6E E1c B3 銭 前 室高 易長自よ膜Mりt 高 21 24 (161cm/51kg) 292歳 控E前BU戚同2N痛高様年16症血前0抗m高圧鼻惚L熱iI/1d血111週関b貧宥間月節前岡Uか入ら3蛍aヵ高旦
白 高変血圧性心・血管病 遷 左糸延球経体過腎炎の半月形成 B4 1966年 悪性高血圧 100o7g gcm 25 血, 悪院心, 右12 Cl75cm/48.5kg) 胸膜前炎,そ胃蛋,のポ白肋後リ尿骨心〔惇+カプ肘充リの,進エBたu
スめN不あ1胃整2りl5脈/,m2g半切~/
肺粟胃粒亜結全核結摘核後 半左月形成糸球体腎炎 B5 1967年 65♀ 歳 胃ポリープ切除術後 除浮月, 腫 240g 右200E8c dl (148cm/45kg) 10年来房室ブロBみッ1ク.U,5N半あヵ高年月り値前前, ベー 右組芹11(611協
07k g2 m議
/43k主g腎〉炎 B6 1977年 772歳 房腎室プロック スメーカー埋込 より 変高血圧性心・血管病 不全 浮高血圧1801白100, より 種,蛋尿, m障1月1g年害前/d前,よ約1,胃り6全7蛋ヵ摘目月白前後前尿肝よ肝(炎+り仲癌間,〕発,質そ見B性のu
肺後N2炎8肝ヵ8 半 左 右月形成糸球体腎炎 B7 1981年 482歳 慢肝癌性肝炎 肝間癌質,性慢肺性炎肝炎 11990O6gE 2c 7 (162cm/49.5kg) B① 1957年 23古歳 腎炎 2,白ヵ悪尿月心,前,そよ日区のり吐後頭,蛋痛高,白血尿網圧膜高2度変化頭, 半左1月2形O露g出成糸5球1k体g腎〉炎 蛋 痛 40/150 右13 cl B② 1965年 29古歳 尿毒症 倦の8年怠後前,頭困高痛難急血性,増圧乏強腎1炎尿し90死,,/1蛋亡320,ヵ白尿月浮前〔腫+什よ~),
そり 慢左糸球9性体腎炎腎炎+半月形成 呼吸 右943(163cm/50kg) B③ 1968年 27古歳 腫1出730
血年,前,息浮蛋切腎腫白炎れ,尿頭,そ3痛BUヵのJ
N
後月更前高高に倦血値枢怠庄加吐2
わ25浮0鼻る/ 慢主性球体腎炎腎炎+半月形成 腎不全 1706g5cm 右20 (162cm/53.5kg) 2ヵ後月山侮怠! 関視節力E
。ゾ荊低 血IJR 悪性半腎硬月化形症を加体味 そ の め ま い 下, 1ヵ した 成糸球 B④ 1969年 372歳 腎炎 浮吐月前腫より高尿血圧蛋25,1出7血0悪,心貧腸,血Z出区, 高変血圧性心・血管病 腎左炎105O7gg 5c ,万頭,痛乏,死,その後白 , 右11 血日わり 亡 Cl75cm/43kg) 445~A15, A16は間質性肺炎と合併して居り,病変も膜 性病変であることは肺と腎の共通の毛細管壁障害 も考えられる.間質性肺炎の最近の増加,薬剤と の関係について著者が報告1)したが,このような 膜性糸球体病変についても今後検討する必要が考 えられる.A8, A11, A13, A14は主疾患と関係の ない腎の合併症の可能性もあるが,主疾患あるい は治療の面で両者の関係を全く否定できないので 保留して検討することにした. B)半月形成糸球体腎炎(表2)(写真6,7,24, 25) 半月形成糸球体腎炎は速かに経過する予後の悪 い 腎 炎 と し て 知 ら れ て 居 り rapid progressive glomerulonephritisともいわれている.教室の剖 検例で腎炎と診断され,剖検上で半月形成糸球体 腎炎であった例は4例, B① ④である. B①は 2カ月の経過をもっ定型的な本症であり, B②と B ③は陳旧病変に新らしい腎炎が加わったと考え られる所見, B④は悪性腎硬化症様の病変を加味 している.この4例のうちB①, B ②, B ④にお いて腎の中・小動脈に内膜の浮腫と細胞増殖のあ る動脈炎の所見がある.此の所見は増殖性および 膜性糸球体病変を示す例や巣状腎炎にはない.糸 球体病変が血管炎と近縁の関係にあることを示す のであろうか. 症例B1-B7は合併症としてみられた半月形成 糸球体腎炎である.腎炎に関係ある症状は
2
カ月 前後の経過をもっている.B5とB7では基礎疾患 との関連はなさそうで,主疾患と併列されるべき 合併疾患と考えられる.B2, B3, B4, B6の臨床的 な感染症状や病理学的な感染所見は腎炎の発生と 関係があるかもしれない.B6の化膿性腎孟腎炎は 半月形成糸球体腎炎とは直接の関係はない. C)巣状糸球体腎炎(表3)(写真8-10, 26, 27) 巣状糸球体腎炎は古くはLδhlein2}が遷延性細 菌 性 心 内 膜 炎 に 合 併 す る こ の 種 の 病 変 を em-bolische nichteitrige Glomerulonephritisと記し たが,現在ではもっとひろく糸球体に巣状に,即 ち糸球体係蹄の一部に炎症性病変をおこす腎炎を いう.本来主として敗血症に附随しておこる腎炎 -446 であるから腎臓病というよりも他疾患の合併症と してこの腎病変がおこる.ここに挙げた11症例は 5例の細菌性心内膜炎のほか,敗血症あるいは不 定の感染症状に合併しておこっている.Allen3}は focal glomerulonephritisの中にfocal suppur -ative glomerulonephritisを含めているが化膿性 となるものは転移性膿療の一部であって本来の巣 状糸球体腎炎とは区別した方がよいと著者は考え ているので, このうな例は11例の中には含まれて いない.組織学的特徴からMeadows4}はprolifer -ation,
fibrinoid change,
sclerosing or scarringの 3型をわけている. 症例C1,C4, C10は亜急性細菌性心内膜炎に合 併 し た 古 典 的 な 巣 状 糸 球 体 腎 炎 でproliferation あるいはscarringの変化を示しており経過もや やながい.症例C2,C5,C9は増殖性病変と半月形 成がある.症例C3,C6, C7, C8, C11は線維素様壊 死があり,一部には半月形成傾向もみられる激し い 変 化 で あ り 壊 死 性 巣 状 糸 球 体 腎 炎focal ne -crotizing glomerulonephritisとL、うべき病変で ある.また症例C5,C6, C7で腎以外の組織に壊死 性血管炎があることは巣状糸球体腎炎がこの種の 血管炎と近縁のものであることを示唆している. 敗血症がなく allergicの巣状糸球体腎炎があると の記載があるが著者の症例ではすべての例で体の どこかに細菌感染があり敗血症をおこして居る. なお症例C2では化膿性腎孟腎炎があり,症例C3, C11には腎に転移性膿療があるがこの化膿性病変 と糸球体炎とは性質の異る病変である. 古典的な遷延性細菌性Jむ内膜炎では細菌はJ心内 膜炎の病巣にのみ存在し,転移性膿蕩をつくらな い.このような場合の腎病変と,転移性膿療をつ くるような激しい細菌性心内膜炎や敗血症に伴う 腎病変ではその炎症の激しさにおいて違いがあ る.細菌性心内膜炎や敗血症でどのような場合に 巣状糸球体腎炎を合併するのかはよくわからない が,教室の30年間の細菌性心内膜炎74例中,巣状 糸球体腎炎を合併しているのはここに挙げた7例 である. D) 悪性腎硬化症(表 4) (写真11) 悪性腎硬化症は本来腎の疾患というより悪性高表3 巣 状 糸 球 体 腎 炎 No 制j検年 年齢・性 臨床診断 臨床経過概要 腎以外の病変 腎病変(身長腎/重体量重〕 写 真 C1 1960年 26♀ 歳 心細菌室性中隔心欠内損膜症炎 生9々ヵ発よ下月時り前足熱よ関,より蛋節り心白熱痛室尿中(倦貧十十隔怠血),欠鼻損浮6出腫症ヵ血月・ 心室菌中隔欠損膜症炎 巣 左9状糸球体腎炎 細 性 心 内 右1O114g0g8cm 前 時 略血で死亡 C148cm/38g) C 2 1962年 43♀ 歳 腰流腎椎不注膿全カ蕩リエス 月7 前前ヵ腰顔蛋月前椎面白よ りカリエス腰痛,頭(と+発札診痛熱,断, ,腹呼2 1ヵヵ 難貧月,血
発尿疹(斗十~)咽~
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/4腎1k炎:g) 26 37古歳 総症腎,胆・敗勝管血のの症微化小〔肺膿膿・性蕩心炎〕・ 巣 左状糸球体腎炎 C 3 1963年 敗血症の疑い (病歴紛失〕 右222不100gg 明 C/f:Jj)j)a
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巣右左状3糸球体腎炎 C4 1965年 27古歳 僧細帽菌弁性逆心流内症膜炎 関?';;'Jri
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僧細菌帽弁性逆心流内症膜炎 8 蛋の熱白 尿, 2(O716O0E Ecm/56kg〉 5日血前より食思不駅振亡, 倦怠救,検急 巣左状糸球体腎炎 C5 1971年 68♀ 歳 肝硬変の疑い 診 で 尿 , 1日 前 で 倒 れ 細壊菌死性性心血管内膜炎炎 130O5E 耳 Ocm 右12 入院,その直後死 (150cm/36kg) 1年前より細学血療網法発肉腫として放射 純 敗膿壊網血症〕肉腫〔心・脳の微小 壊 Y 左M又r 死1性巣状糸球体腎 C6 1973年 61古歳 細網肉腫 少および化貧間線前より , 疹,軽快白血球1週減 9 蕩 死性血管炎 右1O414O0gg 0c (l4Ucm/32kg) 7年前心弁節き膜意蛋痛症, 4 ヵ頭貧月,血血前痛尿より 僧細壊出菌死血帽弁性性性血逆脳心管梗流内症膜炎塞炎 巣左状糸球体腎炎 C 7 1973年 31古歳 細菌出性心内膜炎 膝・腰づ関 4日前 悪白 右222100耳日gcm 27 脳 血 心につ 識白喪尿失C+朴~) 血球増多, (159cm/37kg) 4 ヵ培時月前よ り肢熱蛋連産,白鎖李食尿球思・〔菌寸運十不,動〕振貧,障血血,害倦, 尿, 右 巣 左状糸球体腎炎 C8 1973年 47♀ 歳 細脳菌塞性栓心内膜炎 怠血 々左上 細菌性多d心内性膜陳炎 160g 白液血球養増多で,α 脳 の 発 !日梗塞 1Cl65066cm/41kg) Ec C9 1974年 42♀ 歳 皮胃癌膚筋炎 1り10ヵ 検ヵ,月月前前査でよよ 胃りり皮癌関節膚,痛筋消,炎化関管の節所出腫見血脹あで, 細脳胃癌菌・性腎心・牌内小膜の梗蕩炎塞 巣左(馬状+(蹄1糸右60腎球c〉m4体/05腎00gk炎g) 死亡 脳 ・ 心 の 膿 弁1症2置歳入換以6術来年,心前術弁交後膜連敗切症血開〔僧症, 帽4弁ヵ狭月窄前 僧急性性帽d心弁勝内置膜炎換炎術後細菌 巣 左状糸球体腎炎 C10 1977年 502歳 イ細曽帽菌弁性狭Jら窄内膜症手炎術後 21;0z
g 右20 (l6lcm/50kg) 1年前期J8ヵ月前胃十癌月透季手前,析術全,, お 術後抗週 壊炎左死性巣状糸球体腎 65♀ 歳 腎胃癌不手全術後 癌間使息用苦, 2ヵ よび2 敗勝細血小の症微血管小〔心膿血・疹栓肺〉症・腎・ Cll 1982年 し 動 身浮 170o5g 4cm g 10 BUN75mg/dl,~1'IT,
10日腫前よ 右17 り高熱 C154cm/36.5kg) 血圧症の一部であるので,腎疾患として剖検され るもの以外に高血圧症として循環器疾患に此の病 変がみられることがある.ここでは後者に属する 7例を示す. 5例は60歳未満である.このうち症 例Dl,D3,D4は定型的である.年齢の多い例では 動脈硬化性の変化が加わっている.定型的の例で は腎の中・小動脈の線維素様壊死,動脈内膜炎お よびその陳旧化した変化がみられ,糸球体には壊 死,増殖性病変,硝子化など新旧の変化がある. 尿細管も種々の程度の萎縮を示す.腎は縮小して いるが,その程度は強くない. E)その他の腎病変 a)循環障害 急性動脈性循環障害としてはショック腎があ る.皮質壊死にまでいたる高度のショック腎はま れであるが,それより軽L、し、ろいろの程度の尿細 447ー表4 悪性腎硬化症 No 剖検年 年齢・性 臨床診断 臨床経過概要 腎以外の病変 腎病変(身腎長重/体量重) 写真 26年前快肺前結核℃ 熱5年,解前熱再後発悪、 肺 高 陳(50炎血旧O肺g庄〕結性核心肥大, 右空性腎硬化症 402歳 肺肺結炎核 1ヵ月 38発 心, 120O6E 9gc Dl 1965年 胃部不感 12 10目前38'C発入熱院, 咳蛋,白1週〔十件間〉前 Cl69cm/50.5kg) 呼吸困難で , 尿 悪 左性腎硬化症 D2 1971年 55古歳 胃癌手術後 炎1,ヵそ月前の時胃癌蛋手白術尿'(-ttそ〉の後腹膜 胃癌手術後・腹膜炎 200g 右180lgc (16lcm/37.5kg) 24,腸歳で出高血血,圧,頭ヵl月痛年前,前視高悪力血心低,圧下日,区, 変高血圧性心・血管病 左右悪性腎硬化症 D3 1974年 37古歳 腎性高血圧悪 吐 10 100O6E 8cm g 不全 3ヵ月前より 11 BUN50mg/dl C168cm/39kg) 492歳 悪筋性梗高血圧 324歳年前で高よ血り圧腎機,42能歳低で下心筋梗塞, 変高棟血圧性心・血管病 悪右性左1腎硬化症 D4 1974年 心 塞 旧心筋梗塞 1(321600gE cm/56.5kg) 7,♂にヵや月2E含め前
1
月生r
る命前1腎保0t日険不t
台全の呼Jお健て7吸透診困戸で抗難高血 悪 右左性腎硬化症 D5 1977年 49古歳 悪脳性出血高血庄 圧 勝血 高変血圧性心・血管病 110;長
g 11 疾 手 0/脳出血 1C11 63cm/46kg) 13 D6 1977年 702歳 脳高血梗圧塞 Iり6I片1年6前d麻l痔よ,りB高U血N圧次,第2にヵ上月昇前,9よ0 変高脳血庄性心・血管病 悪左性l腎硬化症 まで 結梗腸塞癌 右9(30l120o63g3ccm/48kg) 数使下そ塞年血胤のそ前後z1かの白もヵ叶後内ら月下腕高障前血血!障入害仕あ2量り2午4吐前1/血!泊時で気降ら子道圧時術倒閉々 肺脳霊層積血旗圧手性術心後血管病 右二性腎硬化症悪占 D7 1978年 69古歳 高胃血潰疹圧手術後 1850og 7gcnl 線の維低症酸素性障害 l(415'1cm/40kg) 4血B り り0歳U倦感N喚十怠頃1帥,二註か指牝食ら耳同腸高/不敗潰血d1,圧鼠第血透。症手析術42, ヵ刀ー開Jよ 変真十高血二指圧腸性潰心疹・血手術管後病 右左性腎硬化症悪 慢髄敗血膜性症炎不全腎 ヵ 月 下 D8 1984年 60古歳 ,その頃 120OE g 13g 8c 20日前よ 菌性敗血症 Cl68cm/55.1kg) L一一一一』一一一一一一 管 上 皮 変 性 は 剖 検 で は し ば し ば み ら れ る . ま た シ ョ ッ ク 腎 の 発 生 か ら 死 亡 ま で の 経 過 時 間 に よ り 尿 細 管 上 皮 の 変 性 ・ 壊 死 ・ 脱 落 か ら 細 胞 の 再 生 ま で の い ろ い ろ の 所 見 が あ る . 静 脈 性 循 環 障 害 と し て 急 性 ・ 慢 性 の う っ 血 が あ る . 慢 性 う っ 血 で は 間 質 の 多 少 の 線 維 化 が お こ る . 特 に 長 期 間 の 強 い う っ 血 の 時 に は 糸 球 体 の 多 少 の 腫 大 が あ る . で あ る が , 病 変 が す す む と 毛 細 管 の 破 壊 を 伴 う 細 胞 や 線 維 ・ 基 質 の 増 殖 が お こ り 糸 球 体 の 直 径 は 正 常 の2倍 以 上 に も 増 大 す る . 高 年 齢 に な れ ば 糸 球 体 の 硝 子 化 に 到 る こ と も あ る が , も と も と 心 疾 患 自 体 が 重 症 で あ り 小 児 期 に 死 亡 す る の で 成 人 例 は 少 い . 病 変 は 赤 血 球 増 多 に ほ ぼ 並 行 し , 多 く は 蛋 白尿を伴う. チ ア ノ ー ゼ を 伴 う 先 天 性 心 疾 患 の 時 の 糸 球 体 の 変 化 は 独 特 で あ る ( 写 真14,32). こ れ に つ い て は 著 者 が 昭 和35
年5)お よ び 昭 和38
年6)に 報 告 し た . フ ア ロ ー 四 徴 症 , 大 血 管 転 位 症 そ の 他 で 赤 血 球 増 多 の 強 い 例 に み ら れ る 変 化 で , 糸 球 体 の 著 る し い 腫 大 が あ る . は じ め は 糸 球 体 毛 細 血 管 の 拡 張 , メ サ ン ギ ウ ム 細 胞 の 増 殖 , メ サ ン ギ ウ ム 基 質 の 増 加 b)代 謝 異 常 代 謝 異 常 に 関 連 す る 腎 病 変 と し て 最 も 多 い の は 糖 尿 病 性 腎 症 で あ る . 糖 尿 病 に 特 異 的 と い わ れ る 結節性糸球体硬化および, こ れ よ り は 特 異 性 の 少 い び ま ん 性 糸 球 体 硬 化 は 当 教 室 の119例 の 糖 尿 病 剖 検 例 中71例 に み と め ら れ た . ア ミ ロ イ ド 腎 , 骨 髄 腫 腎 , 痛 風 腎 に つ い て は 省 略する.-448-今 井 論 文 付 図
I
写真l 症例A1増 殖 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 写真3 症例A7 増 殖 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 x400 写 真5 症 例A12 膜 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 x400 写真7 症例B7半 月 形 成 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 x200 449 写真2 症例UA6 増 殖 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 x400 写真4 症例All 増 殖 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 x400 写真6 症例B1 半 月 形 成 病 変 Masson染 色 変 法 原拡大率 x200 写真8 症例C4 巣状糸球体腎炎 PAS染 色 原 拡 大 率 x 100今 井 論 文 付 図
I
I
写真9 症 例C6巣 状 糸 球 体 腎 炎 Masson染 色 変 法 原 拡 大 率x
100 写真11 症例D5悪性腎硬化症 PAS染 色 原 拡 大 率 x200 写真13症例E5小動脈壁筋細胞の空胞変性 Mas -son染 色 変 法 原 拡 大 率 x200 写真15 DIC 糸球体毛細管の血栓.尿細管上皮の変 性 Masson染 色 変 法 原 拡 大 率 x200 -450ー ~ 写真10症例UC11 巣 状 壊 死 性 糸 球 体 腎 炎 Masson 染 色 変 法 原 拡 大 率 x200 写真12症例E2巣状糸球体硬化 PAS染色 原 拡 大率 x400 写真14 フ ア ロ ー 四 徴 症 (9歳〕チアノーゼ病性糸球 体病変 PAS染 色 原 拡 大 率 x200 写 真16 子 痢 子 痢 腎 (糸 球 体 毛 細 管 壁 の 肥 厚〉 PAS染 色 原 拡 大 率 x400今 井 論 文 付 図
凹
写真17症 例A2増 殖 性 病変 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 写真19症例A5増殖性病変 Masson染色変 法 原 拡 大 率 X400 写真21症例A10増 殖 性 病変 PAS染 色 原 拡 大 率 x200 写真23症 例A15膜 性 病 変 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 -451 写真18症 例A4増 殖 性 病変 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 写真20症例A8増殖性病変 Masson染色変 法 原 拡 大 率 X400 写真22症例A13増 殖 性 病変 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 写真24症例B3半月形成病変 Masson染色変 法 原 拡 大 率 x200今 井 論 文 付 図
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V
写真25症例B4半月形成病変 Masson染色変 法 原 拡 大 率 X100 写真27症例C7巣状糸球体腎炎 Masson染色変 法 原 拡 大 率 X400 写真29症例E3糸球体の変性 PAS染 色 原 拡 大 率 X400 写真31 結節性汎動脈炎 巣状壊死性糸球体腎炎 Masson染 色 変 法 原 拡 大 率 x200 45~ 写真26症例C2巣状糸球体腎炎 PAS染色 原拡大率 x 100 写真28症例E1糸球体の変性 Masson染色変 法 原 拡 大 率 x200 写真30症例E4間質のリンパ球浸潤,膜性病変(?) Masson染 色 変 法 原 拡 大 率 x200 写真32 7アロー四徴症 (9歳〉チアノーゼ病性糸球 体病変 PAS染 色 原 拡 大 率 X100表5 原 因 不 明 の 糸 球 体 病 変 No 剖検年 年齢・性 臨床診断 臨床経過概要 腎以外の病変 腎病変(身欝喜重〕 写真 9 ヵ月前,,14腹蛋6胃m水癌白'i/手尿d浮術l(腫十主, 1 ヵ月前よ 右糸左球体の変性 E 1 1964年 64古歳 腎胃癌不全手術後 り腹悪上痛 ,) 10日前次 よ 胃癌手術後,再発な 120g 28 り 心 , BUN 第 し 100g 4cm に 昇 で CI64cm/36kg) 慢腫悪性蛋肝蛋白炎白尿尿あ(十(り十川件,),B,I U年10N1目01前3ヵ4肝月m前炎g/浮増dl 右巣左状糸球体硬化 E2 1970年 162歳 慢腎性肝炎不全 慢性肝炎の急性増悪 11770o g 12 (l63cm/60kg) まで 法2年,1前5胃ヵ癌月手前蛋術倦白,怠尿,そ(十腰十の痛〕後で化入学院療, 肝転胃癌手術後 糸 左球体の変性 54古歳 120O6E gcm E3 1971年 胃癌手術後 移リンパ節,腰椎 右11 29 その頃から C169cm/40kg) 74古歳 肺炎 Iり6ng悪ヵ/d心月l,,前日区蛋帯吐白状,尿癌呼疹ワ吸,困2週間前よ
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E4 1981年 DIC 難,BUN66 Virus感 染 症 ? 22020;長
g 30 (16Ocm/61kg) 2年治前蛋療よ り急5(ヵ+性〉月→リ前〔ン十よ什パ)性り感白血病症 左球右胞糸の体室輸泡入化動脈壁細 59♀ 歳 の 1 . 染 急治療性後リンパ性白血病 E5 1983年 急性リンパ性白血病 状,白/尿d ,BUN11 2288j0長
g 13 →170mg/dl c)播種性血管内凝固症候群(
D
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C
)
に伴う腎病 変DIC
の病理学的診断はその名の示すように細 小血管における血栓症である.これは身体のどこ の血管にもおこり得るが,腎の細小血管, とくに 糸球体毛細血管の血栓症は頻度が高い.血栓によ る細小血管の閉塞がもたらす結果として心や脳に 微小梗塞が生じることがあるが頻度はそれほど多 くない.それより重要なことは広汎な糸球体毛細 管の血栓性閉塞である(写真15).その場合には後 糸球体循環に依存する尿細管上皮の変性・壊死が おこる.極端な場合にはほとんど全部の糸球体に 血栓が生じ,腎皮質の広汎な壊死がおこる.剖検 ではDIC
~こ伴うこれらの種々の程度の腎病変を みることが少くない. d) 妊娠腎 近頃では妊婦の医学的管理がゆきとどいている ので子痛やひどい妊娠中毒症はない.古い剖検例 でみられた3
例の妊娠性腎病変を検索した.1
例 は子痛であり,脳,肝に子廟特有の出血性壊死巣 がみとめられ,腎糸球体では毛細管基底膜の膨化 が著明である(写真1
6
)
.
他の2
例では同様の軽い 病変がみとめられた. 453 (149cm/52kg) e)腰原病の腎 いわゆる謬原病の症例のうち播種性紅斑性狼癌(
S
L
E
)
および結節性汎動脈炎の例について記す. 教室のSLE
の3
例 の う ち1
例 は 糸 球 体 のw
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,1
例は糸球体の硝子化から半月形成 病変までの種々の時期の糸球体炎を示す一種の遷 延性糸球体腎炎であり,他の1例ではごく軽度の 増殖性病変が糸球体にみとめられた. 結節性汎動脈炎の1
3
例では1
例がびまん性増殖 性糸球体病変を示し(
A
5
)
,他の1
1
7
U
では少数の糸 球体に巣状壊死(写真31)がみとめられ,その他 の11例の糸球体には著変がみとめられなかった. 汎動脈炎としての中・小動脈の病変はどの例にも みとめられた. f)原因不明の糸球体病変(表 5) (写真1
2
,1
3
, 28,
29,
30) 症例E1
,E3
,E4
で糸球体係蹄基底膜の膨化,変 性がある.いわゆるw
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のような一 様な変化ではなく糸球体により程度の差がある.E
4
では間質のリンパ球浸潤が多少ある.この病変 の原因については不明である.症例E2
は慢性肝炎 に合併したf
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(写真1
2
)
で, 臨床症状はこれによるネフローゼ症候群と考えられる.肝炎との関係はなさそうである. g)腎の小動脈壁の細胞の空胞変性 この変化は最近の白血病の症例にみられるので 薬剤性変化ではないかと考えている.症例E5は急 性リンパ性白血病の治療後の例で末期に著明な蛋 白尿があり腎不全症状をおこしている.腎のほと んどすべての糸球体の輸入動脈の壁の筋細胞に空 胞化があり〔写真13),これによる細胞の腫脹の強 いところでは内腔の狭窄・閉塞がある.この変化 を血管の中枢方向にたどってゆくと小葉間動脈に まで達している.この症例ほど強くはないが他に 2例の軽度の同様病変を示す白血病例を経験して いる.この 2例では腎症状はない. このような病 変のおこる原因については将来追求する必要があ ると思うが薬剤性病変の可能性が多いと考えてい る. 以上は当教室の30年間の剖検例で,腎疾愚が主 診断ではない症例の腎病変についての検索結果で ある.この中には診断未確定で死亡した例や,主 疾患とほとんど関係ない腎病変もふくまれている が,その他の,主疾患と関係のある合併症として の腎病変に重点をおいて述べた.一つの臓器と他 の臓器,あるいは全身と臓器との関係には,臓器 による特殊性がある.腎は糸球体をふくむ血管系 が主要な構成分であることから,腎の病変,こと に糸球体病変は血管系の疾患として全身病的意義 が大きいものと思う.そうL、う意味で、主疾患とし ての腎疾患における腎外病変はもちろんのこと, 逆に腎以外の疾患の時の副所見としての腎病変に 目をむけることが必要であると思う. この論文の記載は症例の提示が中心であり,病 因・組織発生についてわからない点が多いことは 著者の自認するところであるが,一般に腎の専門 家の目のとどかないところにも腎疾患の病因の解 明の手がかりになる病変があるのではないかと考 えて症例を提示した.腎の形態学的研究は現在で は電顕的,免疫病理学的研究など多岐にわたって いる.本論文で用いた光顕的研究だけでは十分で ない.将来更に詳細な研究が行なわれることをの ぞんでいる. ひるがえって剖検における合併症・副所見のー 般について考えてみると,剖検では主病変である 特定の臓器の病変にとらわれずに,ひろく臓器・ 組織に目をむけ,その上で、疾患について考えるこ とが必要であると思う.それが剖検の重要な役割 ではないだろうか. 総 括 1)剖検例における副所見の意義を考えるため に教室の30年間の剖検例における副所見としての 腎病変について考察した. 2) 副所見としてのびまん性増殖性および膜性 糸球体病変をみとめたのは16例,半月形成糸球体 腎炎は7例であった.これらの例で主疾患とは関 係のない病変と考えられるものもあるが,感染症, 謬原病,血管炎との関係が示唆されるものがあっ た 3) 巣状糸球体腎炎は細菌性心内膜炎74例中の 7例にみとめられ,心内膜炎のない敗血症で巣状 腎炎を伴っているのは
4
例であった. 4) 主診断としての悪性腎硬化症をのぞき,循環 器疾患その他で悪性腎硬化症の病変をみとめたの は8例であった. 5)循環障害,特にチアノーゼ性先天性心疾患の 腎,播種性血管内凝固症候群,腰原病の腎,その 他原因不明の腎合併症について述べた.また最近, 白血病治療後の症例の腎に観察されることがあ る,薬剤性障害の疑いのある腎細小動脈壁筋細胞 の空胞化について記した. 結 語 合併症・副所見として病理解剖で得られるもの は,主疾患とは無関係の病変もあるが,主疾患と 原因的に関係のある病変,主疾患の結果おこる病 変,主疾患と直接関係はないが多少の因果関係の ある病変,医原性病変をふくんで居り,疾患の原 因の解明,治療にかかわる問題の提示というよう な重要な意味があると考えられる.このことをび まん性腎病変を主題として考察した. 文 献 1)今井三喜・ほか:剖検例における間質性肺炎と肺 線維症.東女医大誌 54 1261 -1272 (1984) 2) Lohlein,
M.: Ueber hamorrhagischeNierena妊ektionen bei chronischer ulceroser Endokariditis. Med Kl 6 375-379 (1910)
-454-3) Allen, Arthur C.: The Kidney. Grune & Stratton, New York (1967)
4) Meadows, Robert: Renal Histopathology. Oxford University Press, Oxford, second edi -tion(1978)
~455
5)今井三喜:morbus caeruleusの病理形態学CD. 東女医大誌 30149-162 (1960)
6) Imai