第1部
計画策定にあたって
1 計画策定の背景・趣旨
和光市では、平成 22 年 3 月に「わこう子どもプラン(和光市次世代育成支援対 策後期行動計画)」を策定し、「子どもと大人の笑顔かがやくまち・和光」を将来 像に、「子どもと親のウェルビーイングの促進」を基本理念に、保育サービスの充 実、子育て世帯の孤立の予防・防止、次世代の育ちへの応援、特別な配慮を要す る世帯への支援の4つを重点的に推進すべき課題として取り組んできました。 国では平成 15 年には「少子化社会対策基本法」とともに「次世代育成支援対策 推進法」が制定され、「少子化社会対策基本法」に基づき平成 16 年 6 月には「少 子化社会対策大綱」、同年 12 月には「子ども・子育て応援プラン」が制定されま した。「次世代育成支援対策推進法」では、「少子化社会対策基本法」の理念を具 体化するために地方公共団体や企業に行動計画の策定を義務付けています。 しかし、このような取り組みにも関わらず、少子化は依然として進行しており、 子ども・子育て支援が質・量ともに不足していること、子育ての孤立感と負担感 が増加していること、待機児童問題等もあることから、一人ひとりの子どもが健 やかに成長することができる社会を目指し、平成 24 年 8 月に「子ども・子育て関 連3法」が制定されました。この「子ども・子育て関連3法」に基づき「子ども・ 子育て支援新制度」が平成 27 年に施行され、新制度では、質の高い幼児期の教育・ 保育の総合的な提供や、待機児童の解消、地域での子ども・子育て支援の充実を 図ることとしています。 このような流れを受け、和光市においても、子どもの健やかな成長のために適 切な環境が等しく確保されるよう、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業 の提供体制の確保、及びそれに関連する業務の円滑な実施に関する計画の策定が 必要となります。「わこう子どもプラン(和光市次世代育成支援対策後期行動計 画)」が平成 26 年度に最終年度を迎えたことから、「わこう子どもプラン」による これまでの取組の成果を引き継ぎ、新たな計画として「和光市子ども・子育て支 援事業計画」を策定します。2 計画の位置づけ
本計画は「子ども・子育て支援法」第 61 条に規定された計画です。 策定にあたっては、子ども・子育て支援法に基づく基本指針をふまえると同時第1章 計画の基本的性格
3 他の計画との整合性
本計画は、子ども・子育て支援法に基づく基本指針をふまえ、「第4次和光市総 合振興計画」が掲げる理念や将来像をもとに、和光市における子ども・子育て支 援についての総合的な計画としての目標、具体的施策などを示したものです。 さらに、総合振興計画の部門別計画(保健福祉分野)としての性格を有する「第 三次和光市地域福祉計画」や「健康わこう21計画」の策定趣旨に沿って、保健・ 福祉・医療分野の各種計画との整合を図り、地域包括ケアの視点により施策を推 進します。 図表 他の計画との関係 第4次和光市総合振興計画基本構想 基本目標Ⅰ 快適で 暮らしやすいまち (都市基盤) 基本目標Ⅱ 自ら学び心豊かに 創造性を育むまち (教育・文化・交流) 基本目標Ⅲ 健やかに暮らし みんなで支え合うまち (保健・福祉・医療) 基本目標Ⅳ 安らぎと賑わいのある 美しいまち (生活・環境・産業) 【保健・福祉・医療分野】 和光市 長寿あん しんプラン (第6期介護 保険事業計 画・高齢者保 健福祉計画) 健康わこう 21計画 和光市 食育推進 計画 和光市 特定健康 診査等 実施計画 第四次 和光市 障害者 計画 わこう 子どもプラン (和光市子ども・ 子育て支援 事業計画) 第4期 和光市 障害福祉 計画 第二次和光市社会福祉協議会地域福祉活動計画 第3次 和光市 地域福祉 計画 (整合性)4 計画の期間
本計画は、平成 27 年度から平成 31 年度の5年間を計画期間とし、平成 29 年度ま での3年間で地域における課題解決のための方策を講じ、平成 29 年度中に事業計画 の中間評価・見直しを行います。また、平成 30 年度からの後半の2年間では、次期 計画の策定に向けた準備を行います。 図表 計画の期間1 計画の基本理念
本計画の基本理念・基本目標は次のとおりです。【基本理念】
子どもが健やかに育つための環境づくり
少子・高齢化、家族の変化、コミュニティの変化、情報化の進展などにより、子ど もや子育てを取り巻く環境が大きく変化しています。 和光市に生まれ育つあらゆる子どもたちが、かけがえのない個性ある存在として認 められ、心身ともに健やかに成長していくために、また子育てを担う保護者が子育て に対する不安や孤立感を減らし、ワーク・ライフ・バランスを実現しつつ、自己肯定 感を持ちながら子どもと向き合えるための支援をしていくことが重要になっていま す。 他方、社会保障費の社会保障改革推進法が制定されるなど、将来にわたり持続可能 な社会保障制度としていくための改革が進められています。この、社会保障制度改革 の視点をもちつつ、本計画は、平成 27 年度からスタートする子ども・子育て支援新 制度において導入される新たな仕組みのもとで、これまでの和光市の取組みを継承し 充実させていきます。 子どもと子育て家庭が地域で孤立することなく、また、子どもがたちが新たな時代 の担い手として活躍していくための環境づくりを支援していきます。第2章 計画の基本的考え方
2 基本目標・基本方針
基本理念を実現するための基本目標及び平成 27 年度からの5年間の基本方針は、 次のとおりです。地域包括ケアシステムの構築による
子ども・子育ての自立支援
和光市では、高齢者施策において、地域包括ケアを念頭に置いた先駆的な取組を 進めてきました。地域包括ケアシステムは、地域の課題を地域の中で解決するため の仕組であり、和光市では、この取組を保健福祉分野の他の制度にも拡げ、市民が 住みなれた地域で自立した生活を送り続けることができる地域づくりを目指します。 そこで、今回の子ども・子育て支援システムを導入するにあたっては、子ども子 育て分野での地域包括ケアシステムの構築を基本目標とし、今後の和光市における 社会保障制度改革のシステムの基盤整備を進めていくこととします。 そのために、今後5年間で、本計画では、次の4つの基本方針のもとで施策・事 業を展開します。【基本方針】
① 待機児童解消に向けた子ども・子育て支援事業の基盤整備の推進
② 自立支援を基本とした子育て支援センター等の総合相談調整機能の充実
③ 妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援(シームレスケア)実現に向けた
医療・保健・予防の効果的連携
④ 日常生活圏域における子育てを支える独自施策の展開
3 地域包括ケアシステム
「子どもが健やかに育つための環境づくり(基本理念)」の実現ためには、住み慣 れた地域で安心した妊娠・出産・子育てができることが必要です。 和光市では、その実現のために、「教育・保育、医療・保健・予防、地域子ども・ 子育て支援事業」が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進します。 【地域包括ケアの5つの視点による取組み】 地域包括ケアを実現するためには、次の5つの視点での取組みが包括的(利用者のニーズに応じ た①~⑤の適切な組み合わせによるサービス提供)、継続的(妊娠・出産・子育ての切れ目ないサ ービス提供)に行われることが必須。 ①教育・保育の基盤整備 ②地域子ども・子育て支援事業の充実強化 ③孤立予防の推進 ④医療・保健・予防の効果的連携強化 ⑤妊娠・出産・子育てに関わる各種情報提供【地域包括ケアシステムにおける個別マネジメントのイメージ】 住み慣れた地域(日常生活圏域)において、地域包括ケアシステムを構成する制度や サービスが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」において、一人ひとりの身体 や生活等の状況にあわせて支援を行うためには、地域におけるサービス資源を適切に組 合せて提供する必要があります。これが「個別マネジメント」です。個別マネジメント では、子育て支援センター等に設置する地域ケア会議でサービス提供等の調整を行いま す。 (個別マネジメントは、保護者と子どもの課題を解決するために必要な場合には、家族 のマネジメントも一体的に行います。) 図表 地域包括ケアシステムの構築による個別マネジメント 【図表中のイメージ】 図表では、地域包括ケアシステムの構築により目指す個別マネジメントのありようを 示しています。 それぞれのサービス等を適切に組み合わせることによって子どもや家族の QOL を高め、 子どもの健やかな成長を実現するというイメージを鉢植えの葉と花で示しています。 また、これらを住み慣れた地域の中で実現するため、地域包括ケアシステムのベース となる日常生活圏域を植木鉢の受け皿として示しています。
皿・・・【地域とのつながり(日常生活圏域)】 住み慣れた地域において、一人ひとりに必要なサービスが一体的に提供される地域包括ケア システムの前提となる、地域とのつながりを含んだ「日常生活圏域」を”皿”として表現して います。 市は、この日常生活圏域を単位としてサービス提供基盤や地域ネットワークの整備を進めま す。 鉢・・・【子どもの育ちと子育ての心構え】 子どもを産み、育てていく中で、保護者は、ワークライフバランスを含むQOLを向上させ ると同時に、子どもの健やかな成長を実現するために、どのように子どもを育てていくかとい ったビジョン(将来への見通しや目標)を持つ必要があります。これを”鉢”として表現して います。 保護者や家庭が描く子どもの育ち・子育てのビジョンを実現ために、市や地域が支援します。 土・・・【地域子ども・子育て支援事業】 家庭の就労状況や経済的な事情、保護者の子育てに対する希望等の各家庭の状況に応じた子 どもの育ちを支える地域の子ども・子育て支援事業です。これを子ども・子育てのビジョンで ある”鉢”の中の”土”として表現しています。 地域子ども・子育て支援事業は、子ども・子育て支援法で定められる 13 事業のと和光市独 自事業で構成されています。 葉・・・【医療・保健・予防、教育・保育サービス(施設型給付・地域型保育給付)】 「医療・保健・予防」、「教育・保育」の公的なサービスです。個別マネジメントに基づき、 複数のサービスを適切に組み合わせて提供します。これらのサービスを”葉”として表現して います。 個々の状態や生活状況等により組み合わせるサービスは異なりますので、重点を置くサービ ス(給付)の”葉”は、他の葉よりも大きくなるといったように、”葉”の形は十人十色に変 化するようなイメージです。 個別マネジメントに基づき、地域子ども・子育て支援事業と切れ目なく一体的に提供するこ とで、子どもの健やかな育ちを支えていきます。
4 地域包括ケアシステムを構成する各主体の取り組みの方向性
地域包括ケアシステムは、子ども、障害者(児)、高齢者等を含む地域住民に対す る個別支援のため、あらゆる地域資源(社会資源)を活用して、地域の特性にあった 課題解決のための仕組です。 和光市では、地域包括ケアシステムの構築により、子どもと子育て家庭を支えてい くため、保護者や関係機関等が地域包括ケアシステムを構成する主体として、それぞ れが連携して子ども・子育て施策を推進していきます。 本計画では、地域包括ケアシステムを構成する各主体の責務を役割を次のように位 置づけ、取り組むべき方向性の共有を図ります。◆保護者
子どもの保護者は、子どもの健やかな成長に責任を持つと同時に、子育てにおける 自立を果たさなければなりません。そのためには、子育てに対する心構えを持ち、自 己の生活スタイル等に合わせた教育・保育サービスを適切に選択することができるよ う、自らが情報を収集するためのネットワークを築き、情報を選択する能力を高める よう努める必要があります。 地域包括ケアシステムでは、保護者が子育てにおいて自立することができるよう、 保護者同士の交流ネットワークづくりを促進し、子育てでつながる豊かな地域社会の 形成を支援します。◆教育・保育施設(事業者)
子ども・子育てにおいてケアマネジメントを推進していくためには、地域の教育・ 保育施設や保健・医療機関、子ども関連の福祉施設に関する多職種が、的確なアセス メントとモニタリングにより、専門性の高いサポート体制を構築することが重要であ り、それぞれのサービス提供者が、主体的に多職種との連携を行わなければなりませ ん。 そのためには、本計画に掲げる方針と目標に沿った事業の推進に努めるとともに、 事業の実施により地域課題について、有するノウハウ等を活用した課題解決に向けた 積極的な政策提案を行うよう努める必要があります。◆民間企業・NPO・地域の諸団体
地域における互助機能を高めるためには、民間企業やNPO団体等の組織力や機動とを自覚し、本計画の趣旨に沿って積極的な事業等への参加に努める必要があります。
◆和光市
地域包括ケアシステムの構築と運営においては、各主体の活動等をコーディネート し、地域における課題の解決と保健福祉財政の効率化を同時に達成するためには、計 画に基づく高い政策実行能力が求められます。 特に、子ども・子育てにおいては、直接サービスを受ける子どもはもちろんのこと、 保護者を含む世帯全体を支援の対象とし、多制度・多職種による支援を総合的に調整 します。 また、地域包括ケアシステムの構築と個別ケアマネジメントの推進に資するため、 市職員、サービス提供者、マネジメント担当者等の人材育成を行うと同時に、新たな 社会資源や人材の獲得により、地域包括ケアシステムの質的な充実を図ることも重要 な役割となっています。◆埼玉県
県には、市が施策を推進する上で必要となる制度上の調整や財源確保等について、 国に対して働きかけ行う際の調整や支援等を期待します。 図表 子どもを取り巻く資源・環境のイメージ5 日常生活圏域(教育・保育の提供区域)
子ども・子育て支援法の規定に基づき、準中学校区を基本に日常生活圏域を設定し ました。 和光市では、すでに高齢者施策の長寿あんしんプラン(介護保険事業計画・高齢者 保健福祉計画)において、平成18年度から3つの圏域を設定し、日常生活圏域ニー ズ調査の実施により、圏域ごとの課題をとらえ、サービスの必要量と供給量を分析し て計画を策定しています。 本計画では、子ども・子育てに関する地域の課題を解決するための実行計画とする ため、長寿あんしんプランと同様に、「北エリア・中央エリア・南エリア」の3圏域 を設定し、圏域毎に地域の特性や課題に応じた多様なサービス提供を行います。 図表 和光市の日常生活圏域6 本計画における主な取り組み
和光市では、本計画の4つの基本方針に即して、以下のような先駆的・独自施策に 取り組み、地域包括システムを構築していきます。(1)グランドデザイン(子ども・子育て支援の基盤整備)
① 待機児童解消加速化プランの活用
② 認定こども園の整備
③ 子育て関係機関ネットワークの構築
(2)子ども・子育て地域ケアマネジメント
① 相談支援機能の強化
② マネジメントの方向
(3)子育てと医療保健と予防の連携
① 医療・保健・予防の連携
② 病児・病後児保育の充実
(4)子育てを支える和光市独自の取り組み
① 一時保育の充実
② 放課後の過ごし方の展開
③ ひとり親や生活困窮者への支援
④ 子どもが意見を発信する場の構築
⑤ 社会福祉協議会の地域福祉活動計画との整合、施策の連携
(5)情報提供・情報連携
① 情報提供・情報連携の充実
7 計画の推進に向けて
(1)子ども・子育て会議(地域子ども・子育て会議)
和光市子ども・子育て支援会議条例(平成 25 年条例第 16 号)の規定に基づき設置 される市長の諮問機関であり、子ども・子育て支援事業計画をはじめとした子ども・ 子育てに関する施策を審議します。(2)事業者連絡会の設置
教育・保育関連事業者の連絡組織として、事業者間の情報交流・意見交換の場とす ると同時に、制度解説や制度改正の周知及びケアマネジメント能力の向上に資する研 修等を実施することにより、市と事業者が本計画に基づく事業運営の方針と目標を共 有し、事業を効果的に推進するために重要な会議として位置付けます。(3)統合ケア会議(地域ケア会議)
和光市が進める子ども・子育てケアマネジメント体制の構築に向けて、3つの日常 生活圏域ごとに、個別の課題を解決するためのマネジメントを行う「地域ケア会議」 を設置します。 地域ケア会議は、個別のケアマネジメントを行う際に把握される地域の課題やニー ズを集約し、これらに対応するための方策を提案するなど、個別のケアマネジメント と地域課題を解決するための施策つなぐ役割を担います。 また、子ども・子育てに関する施策だけでは解決することができない複合的な課題 に対応するため、他制度・他職種による支援をコーディネートを行う「統合ケア会議」 を設置することにより、課題解決・自立支援マネジメント、生活設計支援マネジメン ト、妊娠中~就学までの継続的マネジメント機能を充実させていきます。 さらに将来は、統合ケア会議により高齢者・障害者等とのケアマネジメント統合を 目指します。(4)多様な主体の参入促進のための検討
子ども・子育て支援法第 59 条では、特定教育・保育施設等への民間事業者の参入 の促進に関する調査研究その他多様な事業者の能力を活用した特定教育・保育施設等を期待することができる分野においては、優良な民間事業者の参入を促進するための 方策を積極的に検討していきます。