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基本的な生活習慣と運動部活動に関する目的意識との関連について

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(1)

基本的な生活習慣と運動部活動に関する目的意識との関連について

明 珍 直 樹*・野 田 洋 平**

(1998年10月6日受理)

Relation between the Basic Life−style and the Purpose of Awareness of the Sports Clubs in Schools

Naoki MYocHIN*and Yohei NoDA**

(Received October 6,1998)

緒言

近年における都市化,情報化など社会環境の急激な変化,高学歴化社会の定着とそれに伴う進学 における競争の激化などは,子どもたちの日常生活に大きな影響を与えている。基本的な生活習慣 の確立,すなわち,規則正しい生活を形成する事は,子どもたちの健全な心身の発達の為に欠く事 の出来ない要因であり,したがって,生活環境の多様化に伴う子どもたちの基本的な生活習慣の乱 れは大きな問題といえる。

日本学校保健会の平成8年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書1)によると中学生の睡 眠時間は学年を追って減少し,小学生では9時間前後,中学生では8時間を割っており,その結果睡 眠不足を感じている者が,小学生で30〜40%,中学生では50〜60%に及んでいる。さらに食生活に おいては10時以降に夜食を摂る中学・高校生が多くなってきており,中学男子9.9%,高校男子10.8

%となっている。また,朝食を日常的に摂らない傾向にある者が中学・高校生ともに約10%に達し,

さらには全体の約40%に食物の好き嫌いがみられると報告している1)。

この様な現状の中で,子どもたちの家庭環境をみると核家族化・少子化,といった家族構造の変 化が親子関係の構造にも影響を及ぼしており,親子関係の希薄化・親の家庭教育機能の低下までも が指摘されている2)。さらに社会が高度化・複雑化するにつれて学校や教師への依存は高まってきて いるといえる。

現在,学校が抱えているいじめ・不登校,さらには体罰などといった様々な問題が,子どもたち の基本的な生活習慣に及ぼす影響は非常に大きいと考えられる。子どもたちがより効果的に望まし

*茨城大学大学院教育学研究科保健体育科教育(〒310−8512水戸市文京2丁目1番地1号,Graduate Schoo1

of Health and Physical Education, Ibaraki University, Mito Ibaraki 310−8512, Japan.)

**茨城大学教育学部保健体育講座(〒310−8512水戸市文京2丁目1番1号;Department of Health and Phys一

ical Education, Faculty of Education, Ibaraki University, Mito, Ibalaki 310−8512 Japan)

(2)

い生活習慣を形成する為に時間割や学校行事といったプログラムをはじめ,教師生徒間・学級単位・

学年単位の人間関係といった学校環境を,どのように整えていけるかという事が大いに期待されて いる。とりわけ,中学生における運動部活動について佐々木3)は,運動部活動は集団行動を通して社 会性を身につけるとともに運動不足を解消し,生涯体育につながるスポーツを体験すると同時に,健 康に望ましい生活習慣の形成の基礎を養う貴重な場であるとしている。食事をきちんと摂取したり,

十分な睡眠をとるといった基本的な生活習慣を確i立することは,運動による心身の負担を軽減した り,十分なトレーニング効果を得るといったような意味で,運動部活動をより一層充実させるため の重要な要因であるといえる。そして,それは同時に運動部活動を行う上での必要最低限の条件で あると考える。

しかしながら,運動部活動に参加する生徒たちがどのような目的意識を持ち,何を期待して臨む かという事は多種多様であり,その目的意識が生徒の生活習慣を大きく左右する要因であると考え

る。

本研究では,以上のような視点から,中学生を対象に,運動部活動の目的意識と基本的な生活習 慣との関連を検討することを試みた。

方法

本研究では内容の妥当性を考慮した上で,森ほか4)や日本学校保健会】)(1997)等を参考に,健康,

行動・生活,感情・性格,環境の4領域を基本的な生活習慣の構成要因と仮定し,41項目の質問を作 成した。これらの下位要因については特性要因表(図1)に示した。

測定項目    質問項目 下位領域    測定項目    質問項目 下位領域

疲労

コミュニケーション

身体的健康

全身症状 価値観 運動

精神的健康 集中力 健康克服・達成

健康認識 意欲 気力

健康・体力認識

体力認識 充実

手洗い 信念

保健・衛生          慈憤・雛格歯みがき

満足感 楽しみ

就寝 (不満)

睡眠 睡眠時間 不安・不満感 理解

(起床) 不安

起床 挨拶

運動 実践 道徳心 規律

行動・生活

朝食 責任感

食事 間食 (仲間)

添加物 学校

好き嫌い 家庭 (家族)

学習 (学習) 環境

ゆとり 精神的ゆとり 地域 (地域)

時間的ゆとり

図1:基本的な生活習慣特性要因

(3)

また,運動部活動の目的意識については,細谷5)や茨城県教育庁6)ら(1996)を参考に,資質,健 康感1青・性格・適性,環境の4領域を運動部活動に関する目的意識の構成要因と仮定し,14項目の 質問を作成した。これら下位要因については特性要因表(図2)に示した。なお,この設問は運動部 活動者のみによって回答された。すべての質問は内容的妥当性,表現的妥当性に留意しつつ設定さ れ,5段階の評定尺度によって回答された。その他,質問紙には,日常生活を知り得る為の内容の質 問をフェイスシートとして8項目設定した。調査は平成9年度に茨城県内2つの中学校において,平 成9年11月5日〜9日にかけて各学級担任教師のもとで実施された。在学する1・2・3年生

名)を対象に行い,男子295名,女子303名,計598名の有効回答を得た。回収された調査表は,全て 統計的に処理された。

結果と考察

運動部活動に関する目的意識と基本的な生活習慣との関連を図2に示した。基本的な生活習慣41項 目を,構成要因と仮定した4領域(健康6項目/行動・生活13項目/感情・性格14項目/環境6項目)に 整理し,運動部活動に関する目的意識14項目との間にP<0.05で有意差が認められた項目をカウント

した。その上でそれぞれの生活習慣に関する項目において,より望ましい傾向にあるものをDT群

(Desirable Tendency),望ましくない傾向にあるものを凡D∴r群(Not Desirable Tendency)としてクロ ス表を作成した。

健康(6) 行動・生活(13)

感情・性格(14)

環境(6)

質問項目 D.T N.D.T D.T

N.D.丁

D,T

ND.T

D.T N.D.T

運動能力 運動が得意になりたい

1 0 6 0 7 2 2 0

資 体力・運動能力

質 体力 体力を高めたい

2 1 5 0 7 0 3 0

曹 一 一 一 一 一 一 罰 雪 一 凹 騨 贈 r − 一 一 一 一 _ _ _ _ _ _ _ _ 申一一一一 一一一一一騨 一一一噌一一 一一一一一 騨−■■一 噸o−一一一 一一一『圃 一一一静一

認知・知的能嶺 精縛力 精神力をつけたい

1 0 5 0 12 0 5 0

健 精神的健康 ストレスを発散させたい

0 3 1 0 0 3 0 0

康 禰一瞬『一一一一一一} 曹一一騨噂層冒−一一幽 一 一 一 一 層 一 ■ 一 尊 噌 葡 冒 一 一 一 幽 一 一  一 一 一 一 一 _ _ _  曽

雪雪一一一 一一一}層冒 一一瞭一一一 藺一一 一 層一一一卿 隔−一一一一 },一一冒 −一一一一

身体的健康 健康になりたい

1 0 4 0 7 1 2 0

勝剃思考 強くなって試合に勝ちたい

2 1 5 0 10 0 2 0

感 信念

情 獲椴 流・プロになりたい

2 0 3 0 9 0 1 0

一一一一糟}11−一一一 }一一一 一開−−11一 一 一 一 一 } 冒 冒 ■ ■ 一 一 一 一 一 一 一 一 一 _ _ _ _ 一 _ _ _ _ 陶一一一一  一一一}, 層■一一聯一 一一一一一 一一一一一 一囑一一一一 一一一F層 一一一騨層

性 自信 自分に自信をっけたい

2 0 4 0 12 0 2 0

寧 満足感

楽しさ・喜び 楽しさ・喜び感じたい

2 0 4 0 12 0 3 0

禮 充実 毎日を充実させたい

1 0 6 0 10 0 2 0

    一 一 一 一 一 一 一 一 曹 ● 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 } _ 一 _ ¶  ▼  研 冊 朧 冨 盟  ¶  凧  ¶  ¶

無霞釣 ただなんとなく

o

4   2   2   0   9

o o

友達・親友が欲しい 0   1

3

0   1

2 1 0

遷 学校・家族・地域

異性に注目されたい

2   0

2

1   3

1 0 0

周囲の人に認められたい

1  3 4

1   3

1 1 0

*D∫LDesirable Tendency    (P<〔LO5)

*ND阻Not Desirable Tendency 図2:生活習慣と目的意識との関連

(4)

目的意識の有無と生活習慣との関連

目的意識の有無に関しては,目的意識(感情・性格・適性)領域のrただなんとなく運動部活動 をしている』という設問を用い,5件法によって回答を求め,有目的意識群,無目的意識群とに分類 した。従って,この項目は目的意識の内容ではなく,運動部活動に関する目的意識の有無を問題と しているという点において他の13項目とは異なる。

目的意識の有無と生活習慣との関係を検討した結果,有意差の見られた生活習慣(行動・生活2項 目を除く)のすべてが,N.D.T群であり,内8項目がP〈0.001という高い水準で有意であった。特に 高い相関が認められた生活習慣領域は(健康)及び(感情・性格)であった。具体的には健康では,

無気力感・情緒の不安定感・疲労感,感情・性格においては,無力感・精神的ゆとりの不足感・不 安感などである。いずれも,無目的意識群が顕著により望ましくない傾向を示しており,有目的意 識群の方が日常生活での意欲や充実感・満足感といったものが高い傾向にあった。中でもr学校に 行くのが楽しい』という項目は1%水準で有意差がみられたが,肯定的回答率が無目的意識群は約76%

であるのに対し,有目的意識群の約86%が学校に行くのが楽しいと回答している。総務庁青少年対 策本部の報告のによると,学校生活が楽しいという生徒の方が部活動をしている割合が高いとし,部 活動と学校生活の楽しさとの間に関連がみられるとしている。つまり,部活動は日常生活・学校生 活に豊かさや充実感を生み出し,生徒達の心のバランスを取る為の重要な要因のひとつであると考 えられる。そして,目的意識を持ち部活動に参加するという事はその充実感をより確かなものにし ている要因のひとつであると思われる。

生活習慣(健康)の領域においてはマイナス要因項目4項目全てがN.D.T群であった。 r日中眠くて どうしようもない時がある』r訳もなくイライラしたりむかついたりする』の2項目は0.1%水準で N.D.T群であり, r朝起きた時疲れていると感じる』r物事が手につかなかったり集中できなかったり する』の2項目は1%水準でN.D.T群であった。

生活習慣(行動・生活)の領域においてはr体育,クラブ以外で運動する習慣』がP<0.001の高 い水準で有意差が見られ,無目的意識群の生徒の方が運動する習慣がないと回答している傾向にあ った。しかしながら,行動・生活の他の項目をみると,有目的意識群は無目的意識群に比べ肯定的回 答率(Desirable Tendency)が高い傾向にあるが,その差は極めて僅かであった。さらに,目的意識 を持っている者で,P<0.05の有意水準で且つD.T群であるとされるものは(行動・生活)の領域13 項目中わずかに2項目であった。r意識的な睡眠時間の確保』r食べ物の好き嫌いがない』(P<0.05)

などで有目的意識群を無目的意識群の肯定的回答率が上回っているなど,相関の方向性も分散して おり,生活習慣(行動・生活)の領域に関しては,目的意識の有無との積極的な相関は認められな かったといえる。しかも,このような傾向は目的意識の有無に限らず,目的意識各領域との間にお いても同様の傾向を示した。

各種目的意識と生活習慣の構成領域との関連

全体でみると,各種目的意識の肯定的認知が生活習慣4領域全てにおいて,より望ましい生活習慣 を形成する傾向にあった。

(5)

構成領域別にその特徴を見てみると,特に目的意識(感1青・性格・適性)の領域は生活習慣(感情・

性格)に対し最も顕著な関連を示した。目的意識の信念(勝禾偲考・目標)や満足感(自信・喜び・

楽しさ・充実)と,生活習慣(行動・生活/感情・性格/環境)の3領域との間に5%水準で有意差の 見られた全ての項目がr買群である。有意差の出現率も(感情・性格)領域において約76%と高い。

具体的には勝利思考・目標の追求・自己実現の追求などの目的意識を持っている者ほど,克服・達 成の意欲・気力の充実・自他への満足感・信頼・道穏〔♪などにおいてより望ましい傾向を示してい る。ここでの目的意識は運動活動そのもの,或いは自己そのものの課題に起因する目的意識であり,

運動部活動の指導においては運動活動・運動種目そのものの特性を十分に理解し,活動内容の充実 を図ると共に,個々の部活動に対する要求や「構え」を把握し,それぞれにあった自己実現の支援

をしていく必要があると思われる。

参考に,それぞれの目的意識の肯定的回答率を図3に示した。因みに本研究の単純集計によると目 的意識14項目中,男女において1%水準で有意な差が認められたのは1項目r運動が得意になりたい ので運動部活動をしている』であり,肯定的回答群(ややそう思う・そう思う・かなりそう思う)の 合計が男子約46%,女子約22%となり,男子の方が得意になりたいという目的意識が強い傾向にあ った。無目的意識群も男子約29%,女子約37%とやや女子の方が高い割合を示しているがその他 の目的意識13項目においては男子と大差のない分布を示しており,5%水準でも有意な差は認あられ なかったことからも,この結果が必ずしも,女子の方がより目的意識が希薄であるという事を意味 するのではないといえる。r一流・プロスポーツ選手になりたい』という項目では,肯定的回答群が 男子約46%,女子では約22%であった。『強くなって試合に勝ちたい』は,同じく男子約869臥女子 約82%であった。顧問教師の指導力不足や時間的・精神的ゆとりの問題などの運動部活動を取り巻

く環境を考えると,この数字に現場がそれなりの質を持って生徒達に応えるのは容易な事ではない

と思われる。

男子 n=243(数字は割合%) 女子 n=248(数字は割合%)

全く あまり 鞘や  そっ

カな蓼 有

全く あまり や噌  そつ  泊な蓼

質問項目      そう思

@       わない

そう思

墲ネい 憲琴思う 慈≧ 嚢

そう思

墲ネい

そう思

墲ネい 影無つ 惹3

達動が得意になサ汽    10・1 19.9

22.0 18.4 29.6 ***

7.9

26.2 22.0 24.3 19.6

ストレスを発散したい      28.2 36.1 18.8 7.6 9.4

19.2 42.5

14.0

15.4

8.9

盤纈仙な響たい      8・7 23.5 28.5

17.3

22.0

4.7

26.2 36.0 19.2

14.0

体力を高めたい      2.9

7.6 18.1

31.8 39.7

4.2 16.4

24.3 28.5 26.6 強くなウて試合侭勝ちナし     2.9

10.8 19.9 18.8

47.7

3.7 14.0

20.6

27.1

34.6 自分に自信をつけたい       3.6

15.5

31.0 23.5 26.4

4.2 17.8

31.3 25.2 21.5 運動サる楽し叢  喜ひ豪感じたも   2.2

13.0

20.9 29.6 34.3

2.8 10.3

23.8 29.0

34.1

友達・親友が欲しい       18.1 33.9 27.8

14.4 5.8 13.1

36.0 30.8 12.6

7.5

矯囲の人1』認ぬられたし

18.8

38.3 28.9

6.5 7.6 14.5

47.2 23.4

11.2 3.7

一流・プロスポーツ選手になりたい 23.8 30.0 20.2

123 13.7 383

40.2

日.7 4.7 5.7

7.5

21.5 36.4

20.1

14.5 毎欝を充ii瑳させ鵡

5.8

20.9 33.2

19.5

20.6

精神力をつけたい

5.4 13.0

31.4 24.9 25.3

7.9

24.3 27.6 21.5

18.7

異懐i払庄霧されたら         31.8 44.0

16.6 2.9 4.7

52.8 42.5

2.3 1.4 0.9

ただなんとなく      46.6 24.5

12.3 8.7 7.9

30.8 31.8

18.7

12.6

6.1

有意水準・*P<α05**PくαOl ***P〈0.001 図3:目的意識男女単純集計

(6)

目的意識項目『ストレスを発散しているので運動部活動をしている』においては他の各種目的意 識とは異なる傾向を示した。P〈0.5で有意差が見られた項目は全部で7項目あり,うち, D.T群であ るのは僅かに1項目に過ぎなかった。その他6項目はいずれもN,D.T群であった。

生活習慣(健康)のr日中眠くてどうしようもない時がある』r訳もなくイライラしたりむかつい たりする』2項目において0.1%水準で有意差がみられた。それぞれの項目において肯定的な回答をし た者をそれぞれ[ストレス発散群・非ストレス発散群]とすると,r日中眠くてどうしようもない時が ある』と回答している者は,[ストレス発散群]:約80%であるのに対して[非ストレス発散群]:約65%

であった。さらに,『訳もなくイライラしたりむかついたりする』と回答している者は[ストレス発 散群]:約64%であるのに対して[非ストレス発散群]:約48%であった。すなわちストレスを発散さ せたいので運動部活動をしていると回答している者の方が情緒的な面でより不安定な状態にあると 推測される。

NHK中高生調査2)によると「なんでもないのにイライラする」中学生は10年前の約19%から26%

へと増加する傾向にあるという。本調査でもrわけもなくイライラしたりむかついたりする』の肯 定的回答率(ややそう思う・そう思う・かなりそう思う)は全体の男子約73%,女子約76%と高い 数値を示した。特に女子においては約22%が「かなりそう思う」と回答している。これは心理的な 面でのストレスの蓄積であり,ストレス発散という耳慣れた言葉の裏に,現実にストレスを抱えて しまっている生徒達の現状がうかがえる。この様なストレスの症状を呈している生徒(原文ではス トレスの生徒)は,学校の成績をはじめ,体罰やいじめの被害者など,学校への不適応を示すこと が多く,最近ではこういった生徒の増加が問題となっている。いずれにしても健康のマイナス要因 項目『朝起きたとき疲れていると感じる』『日中眠くてどうしようもない時がある』『物事が手につ かなかったり集中できなくなったりする』『訳もなくイライラしたりむかついたりする』の4項目と の間に,1つでもα1%水準で有意差がみられた目的意識は,rストレスを発散させたいので運動部活 動をやっている』とrただ何となく運動部活動をやっている』の2つだけであり,いずれもN.D.T群 に分類された。これらのことからも「ストレスを発散させたいので運動部活動をやっている」とい う者は健康という面からみて,情緒の不安定感を抱いていたり,生活における充実感を欠いていた りするなど,身体的あるいは精神的に不安定な傾向にあり,日常の中でストレスを抱えているので はないかと推測される。

目的意識を持っていても全ての生活習慣項目がD.T群として出現するという訳ではない(図3参照)。

r体力を高めたい』r強くなって試合に勝ちたい』などの目的意識が生活習慣(健康)のN.D.T群に反 映された生活習慣(健康)の項目はr朝起きた時疲れていると感じる』である。有意差はみられな かったものの,この項目は目的意識14項目中,実に13項目において,目的意識を持っている者の方 が,持っていない者に比べてより高い割合で「朝起きたとき疲れていると感じる」と回答している。

さらに,生活習慣(感情・性格)のマイナス要因項目r心のゆとりがないと感じることがある』に おいても目的意識14項目中,12項目において,目的意識を持っている者の方が,「心のゆとりがない と感じることがある」と回答している割合が高い。

これらのことから,目的意識を持っている者は身体的疲労を感じている傾向にあり,また,精神 的にゆとりがないと感じている傾向にあると推察される。目的意識を持って運動部活動をしている 者のほうが心のゆとりがないと感じるというのは現矛盾しているよう1こも思えるが「頑張ること」

(7)

の先に燃え尽き症候群8)等の様々な問題があることを考えると,このような傾向は気になるところで

ある。

まとめ

1)基本的な生活習慣の男女差

・[健康]についてはすべての項目において男女間に有意差はみられなかったが,健康・体力に関する 自己評価は男子の方が高い傾向にあった。

・[行動・生活]については,すべての項目において男女間に有意差はみられなかった。

・[感情・性格]については,すべての項目において男女間に有意差はみられなかった。しかし,情緒 の不安感,自分や周囲に対する不安感・不満感は女子のほうが高い傾向にあった。

・[環境]については女子よりも男子の方が遊び友だちが多い傾向にあった他は,男女間に有意差はみ とめられなかった。

2)運動部活動に関する目的意識の男女差

・r運動が得意になりたいので運動部活動をしている』の1項目に有意差がみられ,男子の方がその割 合が高かった。

・目的意識のうち,r運動が得意になりたい』r体力を高めたい』r一流選手・プロスポーツ選手にな りたい』r異性に注目されたい』の4項目については男子の方が女子よりもその割合が高い傾向にあ

った。

・rただなんとなく運動部活動をしている』の項目において無目的意識群の割合が男子よりも女子の 方が高い傾向にあった。

・rストレスを発散したい』r異性に注目されたい』rただなんとなく』の3項目については他の目的意 識に比べ,肯定的回答率が低い傾向にあった。

3)基本的な生活習慣と運動部活動に関する目的意識との関係

・目的意識を持っている者と持っていない者では基本的な生活習慣に違いがみられた。

・目的意識と基本的な生活習慣には関連がある。目的意識を持って運動部活動に参加している者はよ り望ましい生活習慣を形成する傾向にあるといえる。

・基本的生活習慣における(感情・性格)の領域が目的意識に対して特に高い関連を示した。

・目的意識における(感情・性格・適性)の領域が基本的な生活習慣に対して特に高い関連を示した。

・目的意識(環境:人的な環:境に働きかけるような)の領域は生活習慣に対して,積極的な相関はみ られなかった。

・目的意識項目rストレスを発散したい』r異性に注目されたい』は基本的な生活習慣に対してそれ ほど高い関連はみられなかった。

・rストレスを発散したい』においてはそのような目的意識を持っている者は,情緒の不安定・充実 感の欠如など,精神的あるいは身体的に不安定な傾向にあり,特に(感情・性格)の領域において

(8)

望ましくない傾向にあった。

・各種目的意識を持っている者は,身体的疲労感を抱いており,精神的にもゆとりがないと感じてい る傾向にあった。

・本研究においては,目的意識を持っている者の方が,より望ましい生活習慣を形成しており,特に 感1青・性格の領域が目的意識に対してより高い関連を示した。しかしながら,目的意識を持てない 生徒に対して,何らかの目的意識を持つ事を求めるだけでなく,目的意識を持てない生徒に対して,

運動活動そのものを通じ顧問と生徒達との精神的な関わりを大切にしていく必要があると思われる。

生活習慣は行動・生活ばかりイメージしがちだが,最も重要なところは,本研究でも示唆されたよ うに(感情・性格)であり,心の状態である。これらの事から,運動部活動の指導においては,生 徒達の心のケアや支援(精神的な関わり)などの十分なコミュニケーションの形成等が重要である と推察される。それらが望ましい生活習慣の形成更には豊かな人間性を育むきっかけとなり,生 きる力につながる可能性を探る上で非常に重要な要因のひとつになると考える。

1)日本学校保健会.1996.児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書.330pp。,日本学校保健会.

2)NHK放送文化研究所世論調査部.1995.現代中学生・高校生の生活と意識[第2版],307pp.,明治図書.

3)佐々木秀幸.1993.子供の追跡調査からトレーニングを考える一小学生陸上競技の追跡調査.体育の科学,

43.

4)森 信二ほか.1997.茨城高専学生の体育に関する基礎的研究 第5報.第32号.32pF,茨城工業高等専門 学校研究彙報.

5)細谷順子.1996.中学生の自己概念と運動認識の違いについて.115pp,,茨城大学大学院教育学研究科 修 士論文.

6)茨城県教育庁保健体育課.1997.学校体育指導資料「望ましい運動部活動の在り方」.第26集.80PF,茨城 県教育庁.

7)総務庁青少年対策本部.1997日本の青少年の生活と意識。394pp、,大蔵省印刷局.

8)日本子どもを守る会.1997子ども白書 97.343pp,草土文化.

資料:基本的な生活習慣項目

朝起きたとき疲れていると感じる      自分の好きなことをする時間がある 日中眠くてどうしようもないときがある       人とのコミュニケーションは大切である 物事が手にっかなくなったり集中できなくなったりする        運動する事は生きていく上で大切である わけもなくイライラしたりむかついたりする      健康は生きていく上で大切である 自分の健康に自信がある      困難につきあたってもすぐにあきらめない 自分は体力があるほうだと思う       何をするにもなかなかやる気が起こらない 食事の前帰宅後は手を洗う      毎日が充実している

食事の後はきちんと歯をみがく       自分には打ち込めるものがある 毎日決まった時間に就寝する       学校に行くのが楽しみである 睡眠時間を多くとるように心がけている      毎日が同じことのくり返しでっまらない 毎日決まった時間に起きる       周りの人は自分のことをわかってくれていないと思う 毎朝家族に起こされずに自分ひとりで起きる      自分がこれからどうなるのかよく不安になる 運動する習慣がある(体育・クラブ以外で)      積極的に自分からあいさつをする 毎日朝食を食べる      時間を守って行動する

間食・夜食は食べない      自分の行動に責任が持てる 食品てんか物(着色料・保存料など)に気をつけている        心を許せる友人がいる 食べ物の好き嫌いはない      遊び友達は多い

計画的に家庭学習をする      家族との団らん(食事・会話など)がある 心のゆとりがないと感じることがある      家族でスポーツをしたり観戦(TVも含む)したりする

自ら積極的に運動しようと思う       家庭内に仕事・役割がある 近所とのコミュニケーションがある

全41項目

参照

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第 1 章で述べたように、わが国ではこれまで様々な生活

 今回調査した高校生男女の運動時間別比率 は図1のとおりである。男子の非運動群は

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を選ぶ年齢的な差がそれほどないが、3 0代と4 0代 はやや高い。しかし、全体的に「そう思う」のは 2 8. 2%しか占めていない。

とを目的に実施した。その結果、本研究対象患者の

運動部に所属している生徒としていない生徒

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