産業合理化と補整理論の崩壊
新川傳介
全 資 本 主 義 世 界 が 恐 慌 に 襲 ほ れ て か ら も う 二 年 経 っ た
︒ そ し て 現 在 で は 軍 事 工 業 を も 含 め た 全 生 産 部 門
︑ 牧 蓄 業 を も 入 れ た 全 農 業 部 門 ま で も 恐 慌 の 渦 巻 の 稗 へ 巻 き こ ま れ て ゐ
る︒生産高・外国貿易︑内園商業・物償︑資本輸出は著しく後退し︑在庫品は極度に檜加し︑株式相
場 の 樽 蕗 は 日 を 追 ふ て 頼 著 で あ る
︒ だ が
︑ そ の 中 で も 苦 言 の 眼 に 最 も は っ き り ど 映 ず る も の は 世 界 歴 史 が 食 っ て 見 た こ と も な い 失 業 者 の 洪 水 で あ る
︒ 最 近 の 統 計 に よ れ ば そ れ は 次ぎの数字を示してゐる︒
ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ
世界四十八ヶ国の完全失業者数︵単位千︶︵註︶
合 衆 囲 一
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〇 産 業 合 理 化 と 補 整 理 論 の 崩 壊 二 七
商 業 L﹂ 経 済
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Q何故なら︑日本の央業統計の最近のものは昭和五年(一九三
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年V十月一日に行はれれ﹁第二回国勢調査﹄一よろものであろが︑それには寸本年の図勢調査日よろ企図失業者の柄数はコ一二二︑五二七﹂ハ内閣統計局︑
昭和五年十二月十七日官報﹀となっ℃おろからであろQ
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侍して巾告書に記入ぜしめ大の村いが︑記入し士とて格別就職の便宜が得られろ諒でなかつれから︑第一に調査の某礎になっ大申告書の文字が世にならない︒而も
本調査は日傭労働者の失業か否か在決定寸あに営って︑調査の前日︑即ち九月三十日六つ士一日にげの欺態に依つ
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それにしても全国失業者が大つ士三十二時とは驚くぺき少い数字であろo社合局の統計ですら七月末に三十八広
島示
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︑前記の如く昭和四年九月以来五年七月まで十一ヶ月間の失業者噌加率口四四戸に上っておろ︒然ろに凶勢調査の結果の大正十四年失業統計との比較は四七%一一一の常加しか示して白ない︒図勢調責常時︑某新聞の没童家は
国勢調査と題して都市には餓死に混ぜろ失業者岳宣告.農業には時作の国為前に続死ずあ農民か霊い士︒図勢調杏一
の失業者三十二誌といふ入品思弄しれ数字よリも︑我々は一片りこの没霊の方がよほ苫正しいと思ふ︒吾々はまれ
この三十二誌の上に真に百の宇た加へて百三十二高と一一一一日つ土方がよほど貨際に近い左思ふ︒それは根按のない推定
ではない﹄
第三斡は昭和五年第四四牛羽の概観であろ︒而もそれ以後日本経済の情勢は一歩も好轄してはねないのである︒
右 の 数 字 に よ れ ば 世 界 の 総 人 口 を 十 六 億 と 仮 定 し て 百 人 に つ き 二 人 の 失 業 者 で あ る が
︑ 一 家 族 を 五 人 卒 均 と 見 て
︑ 一 家 族 の 中 唯 一 人 口 け が 該 家 族 の 生 計 を 維 持 し て ゐ る も の と す れ ば
︑ 百 家 族 の 中 十 五 家 族 は 失 業 し て を り
︑ 従 っ て
︑ 一 億 七 千 二 百 高 人 が 失 業 か ら 生 宇 る 苦 痛 を 嘗 め て ゐ る 誇 で あ る
︒ 而 も こ の 数 字 は 唯 記 完 全 失 業 者 の み で あ る か ら
︑ こ の 外 に ア イ ド
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・ シ ス テ ム
︑ 操 短
︑ 減 俸 等 に よ っ て 勤 持 所 得 の 低 下 巻 余 儀 な く さ れ て ゐ る 者 を 考 慮 に 入 れ る な ら ば
︑ そ の 数 字 は 蓋 し 素 晴 ら し い も の に な る で あ ら う
︒
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る 事 買 に 直 面 し て は 経 瀦 皐
︑ 特 に そ の 失 業 理 論 も 亦 何 時 ま で も 従 来 の 理 論 の み を 墨 守 し て 行 く こ と は で き な い
︒
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﹃ 現 在 の 労 働 市 場 の 世 界 恐 慌 は 科 皐 ハ 経 済 串 岳 指 寸
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筆者﹀在
根 本 的 に 幾 つ に 事 情 の 前 に 泣 い て ゐ る
︒ そ の 範 図 は こ れ ま で の 景 気 愛 動 的 な 失 業 の 程 度 密造かに越えてゐる::::・﹂ハミyトニY
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従 っ て
﹁ 今 日 の 永 続 失 業 は 今 倫 ほ 支 配 し て ゐ る
産業合現化と補整理論の崩壊
二九
商 業 と 経 済
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︒ 三 戸 ) の 面 を 打 ち
︑ そ し て そ れ は 亦 該 理 論 の ( ︑ ︑ ︑
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や う に な っ た の で あ る
︒ 基 礎 を 新 し く 検 討 す る こ と 巻 余 儀 な く さ せ る
﹂ 然 る に こ の 新 し い 検 討 に 就 い て は 既 に グ ル グ
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︑ 一 史 に ミ ッ ト ニ ヅ キ
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忌許可)に於いてもレツサ;批判(説ニ﹀
の 形 式 で 見 ら れ る の で あ る が
︑ 今 吾 々 は こ れ を 一 歩 進 め て
︑ 近 代 理 論 の 方 法 を 以 て 失 業 問 題 に 初 め て 陸 系 的 な 研 究 を 奥 へ ゃ う と す る エ ミ
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の進歩と失業﹂ハ註一二﹀を得たのである︒
吾 々 が 本 論 文 に 於 い て 取 扱 は う と す る も の は そ の 現 段 階 に 於 け る 意 義 で あ る
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・ 本 書 は 第 一 章
︑ 制 整 理 論 の 論 託
︑ 第 二
卒︑技術的過程と経蹄理論に於げろその謎化の問題︑第三章︑静態に於げろ技術的箆化の影響︑第四卒︑劫態に於
げる技術的進歩︑第五章︑補整は行はれろか︑第六卒︑迫加信用の影響︑第七卒︑産業環備軍の意義︑景気設劫過
程 に 於 げ ろ 技 術 的 進 歩 ︑ 第 八 卒 ︑ 資 本 形 成 の 過 程 ︑ か ら 構 成 さ れ て ゐ ろ ︒
右 著 に 於 い て レ
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ア ラ ー が 研 究 し ゃ う と す る こ と は
﹁ 動 態 的 経 済 の 枠 の 中 で 技 術 的 進 歩 と 結 び つ く 作 用 の よ り 充 分 な 分 析 を 示 す こ と
﹄ (二頁)であるが︑彼はこれに封する根本 思 想 と し て 次 ぎ の 五 貼 を 示 し て ゐ る
︒
ハ序
文)
技 術 的 進 歩 に よ る 失 業 は 翠 に 過 渡 的 な も の で あ る か
︑ 或 ひ は 極 め て 長 期 に 瓦 っ て 総 絞 す る も の で あ る か
︒ 加 之
︑ 継 続 的 進 歩 の 場 合 に は そ れ は 永 績 的 で あ り 得 る か
︒ ー ー か く し て 技 術 的 進 歩 は
﹁ 構 成 的 失 業
﹂ を 件 ふ も の で あ る か 否 か は そ の 速 度 に 依 存 す る
︒
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々 は 全 く 資 本 形 成 と 従 業 人 口 の 培 加 の 関 係 か ら 技 術 的 進 歩 の 建 度
︑ 印 ち . そ れ が 速 す ぎ る か 否 か を 推 論 す る こ と が で き る の で あ る
︒
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カ ル テ ル 及 び ト ラ ス ト に 於 り る 大 工 業 の 組 織 は 技 術 的 進 歩 を 促 進 し
︑ そ し て そ れ
ゆぜ﹃認すぎ﹄ならしめる傾向をもっ︒
生 産 の 部 分 的 組 織 に よ っ て 生 じ に 不 均 衡 は 技 術 的 進 歩 の 促 進 に よ っ て 深 化 せ ら れ る の で あ る
︒ 就 中
︑ 高 景 気 の 時 期 の 技 術 的 唯 一 歩 の 速 度 は
︑ 多 少 共 不 景 気 時 の 困 難 に 封 し て
│
│ 特 に 不 景 気 の 時 期 に 支 配 的 な 失 業 に 針 し て 責 任 が あ る
︒
( 四
) 技 術 的 進 歩 が 件 ひ 得 る 破 壊 的 作 用 は
︑ 而 も 該 進 歩 が 生 産 能 力 を 著 し く 増 加 す る に 従って︑それ丈け金t
技 術 的 後 民 の 枇 合 的 抑 制 を 欧 洲 詣 図 民 の 死 活 問 題 と す る の で あ る
︒
産業合理化と補整迎輸の崩箆
商 業 と 経 済
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よ り 小 さ い 貫 穿 力 ( ロc
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の 場 合
│
│ 特 に 生 産 領 域 に 於 い て は
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及 び 資 本 形 成 に 針 す る
︑ そ れ に 相 廃 し た 関 係 の 場 合 に は
﹁ 技 術 的 進 歩 の 祝 福
﹂ は 明 ら か で あ る
︒ 而 し て そ の 犠 牲 は 初 期 資 本 主 義 の 時 代 に は 特 に 甚 し か っ た の で あ る が
︑ そ れ は 後 に な っ て 失 策 に 緩 和 せ ら れ
︑ そ し て 今 日 再 び よ り 蓮 い テ ム ポ の 作 用 と し て 高 く な っ て ゐ る の で ある
︒
﹁ 技 術 的 進 歩 の 誠 一 渦
﹂ は 資 本 主 義 的 企 業 家 の イ デ オ ロ ギ ー で あ る が
︑ 然 し そ れ は 事 賓 の あ る 一 方 面 を 峨 制 す る
︑ た け で あ っ て
︑ 他 の 方 面 は そ れ が た め に 隠 蔽 せ ら れ る の で あ る ︒ 而 し て 所 謂 客 観 的 分 析 な る も の は こ の 見 解 の 一 一 回 性 を 曝 露 す る の で あ る が
︑ そ れ は 今 日
︑ 資 本 主 義 の 自 己 組 織 が そ の 自 動 的 行 程 の 不 完 全 を 曝 露 し
︑ そ し て 技 術 的 進 歩 の 錯 綜 し た 影 響 が 一 般 に 注 目 さ れ 初 め た 場 合 に の み 可 能 と な る の で あ る
︒
然し乍ら︑レ
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ア ラ ー は こ の 考 へ を 以 て 完 成 し た 姿 で あ る と は 考 へ て ゐ な い︒ む し ろ 不 完 全 乍 ら も 今 日 の 急 迫 し た 事 態 に 腕 ら れ た た め で あ る と し て ゐ る の で あ る
︒ 印ち
︑
﹁
︑ に が 私 は そ れ で 以 て 唯
︑ に そ の 分 析 を よ り 以 上 進 め る こ と
︑ 及 び 深 化 す る こ と の 最 初 の 試 み を 初 め た 冗 け
︑ た と い ふ こ と を 知 っ て ゐ る
︒ に が そ れ に も 拘 ら 中
︑ 私 は 該 問 題 が 大 き な 資 践 的 意 義 を も つ が 故 に
︑ そ の 思 想 行 程 岳 会 に し て
︑ 同 時 に 一 般 の 討 議 に 供 す べ き 冗 と 考 へ る
﹂
ハ序
文﹀
何 故 な ら
﹁ 技 術 的 に 念 速 に 竣 化 す る 商 品 生 産 の 内 的 関 聯 を 後 見 す る こ と は
︑ 生 産
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の枇合的組織の問題を更新し︑而もそれを特に緊急に日程とする﹄ハ序文﹀からである︒
(ニ)
思ふ に 世 界 大 戦 後
︑ 世 界 経 済 立 直 し の た め に 採 ら れ た も の は 所 謂 産 業 合 理 化 で あ る が
︑ そ の 手 段 は
﹃ 労 働 の 編 成 替 と 庄 産 行 程 の フ ォ ー ド 化
﹄ ハ プ
ρリシ﹀﹁それは何よりも先づ最近技術 の殺展に依って特徴づけられる﹂ハ小島精一﹀もの克ったのである︒
﹁その目的は・中十産費及ひ債格の低廉化と︑同時的の賃銀値上けでな
而 も そ れ が 必 要 と 考 へ ら れ た 所 以 の も の は 結 局 ければならぬ︒
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かくの如︑き大衆購買力の増加の注によってのみ︑失業せる帥労働者が再 び就業し得ること﹄なる﹄(の8 0
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︑ 事 賀 来 し て 産 業 合 理 化 は 所 期 の 目 的 を 達 し た で あ ら う か
︒
﹃ 若 し 産 業 合 理 化 が 最 初 唱 へ ら れ た や う な 功 徳 を も つ も の な ら ば 今 頃 は 世 界 が 天 闘 に な っ て ゐ な け れ ば な ら な い 筈 で あ つ に
OL︑加田哲一一︑大阪朝日新聞﹀産業合理化が最も盛に行はれた一九二五!パ年︑而してそ の放呆の綴はるべき其後の数年間に於いては︑世界経済恐慌前︑﹁フ│グア
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長宗﹄﹃高年景気﹄を 誇 り つ
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あ っ た 合 衆 図 に 於 い て さ へ
︑ 物 債 が 低 落 し つ
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あ っ た に も 拘 ら ホ
J失 業 以 態 は 少 し も 好 轄 を 見 せ る こ と も な く
︑ 反 っ て 返 培 の 傾 向 さ へ 見 せ て ゐ た の で あ る
︒
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産業合理化と調整理論の崩壊
商 業 と 経 済 確 詮 す る た め に 弐 ぎ の 統 計 を 掲 け る
︒ 勢 働 組 合 に 組 織 さ れ た 持 働 者 の 失 業 率 ハ 詰
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期間キ選むにのは︑この別間が所謂﹁資本主義の相封的安定﹄の時期であろ・冒とと︑一九二九年︑夏から秋にかげて
成ろ程合衆側主(他の諸闘が一段と活況た呈してはお土げれ苫も︑その時期には岐に次年︑に示すやうな﹃強度の恐慌
モメシト﹂が合まれてぬ土からでああρ
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