4.学生相談 ロール プレイングの実施
保健管理セ ンター 高 橋 憲 子
1.はじめに
ロールプ レイ ング とは役割演技の意味で,実際に近い場面を設定 し,その中で特定の役割 を演 じるこ とによって,相手 に対す る共感性や 自己洞察 を深 める手法であるO今 回は,学生相談理解 の一助 として, 保健 管理セ ンターのスタ ッフが学生役 と相談者役 の双方 を演 じるデモ ンス トレー シ ョンで模擬カ ウンセ
リングを実演 し,後 に参加者 同士が 自由に意見 を交換 しあ う場 を設定 した。
2.導 入
ロール プ レイングをは じめるにあた り,まず参加者 の姿勢 を,直前まで行 われていた講義 (勉 強,仕 辛)モー ドか ら学生相談モー ドに切 り替 えるため,参加者全員 で体 ほ ぐしの簡単 なス トレッチ と腹式呼 吸 を行 った。 スタ ッフか らは参加者 に対 し普段,頭 で効率的に物事 を片付 けた り,研究室で仕事 をす る モー ドと,学生相談を行 うモー ドは基本的に異なること,また簡便 にモー ド切 り替 えを行 う方法 のひ と つ として身体面か ら働 きかけるス トレッチや腹式呼吸があることな どの説 明を行 った。
3.事 例
今 回 とりあげたテーマは,事前 ア ンケー ト調査 において,対応 に苦慮 しているとの回答が多かった 「無 気力学生‑の対応」であった。事例 の概要は 「最近,無気力 な様子 が気 になる大学2年生の女子 (20歳)。 授業 中は質問すれ ば答 えるが,積極 的な発言 はみ られ ない。最近 は課題 の提 出 も滞 りがちで,授業 の欠 席 も 目立つ。 このままでは必要な単位修得 も難 しい見通 しであるため,授業 の後,本人 と直接会 って話
を聞いてみ ることにす る」であった。
4.望 ましくな いや りとりの実演 と意見交換
ロールプ レイ ングでは,まず 「望 ま しくない学生相談」の例 を呈示 した。 シナ リオは保健管理セ ンタ ー学生相談室 において しば しば見受 け られ るものであ り,後 に参加者 と行われ る自由討議 の叩き台 とし て提案 された。参加者 には 「まず最初 にあ りがちなパ ター ンにつ いて ご覧いただきます。後でお気づ き の点 な ど伺います ので, よく観察 してみて くだ さい」 と伝 え られた。 呈示 されたシナ リオでは 「学生 に 現状や理 由を問いかけてい くうちに,教職員が説教調で学生 を説 き伏せ る形 とな り,最後 は学生が無言 で部屋 を出て行 く」場面が展 開 され た。
「望ま しくない例」の ロールプ レイ ング実演 の後,参加者か らは 「教員 が学生 を責 めている印象 を受 け た。 『なぜ ,なぜ』が多かった」, 「まず学生 の悩み を聞いた方が よか った」な どの指摘があ り,また座 る位 置について も 「学生 の 目の前だ と話 しづ らい。斜 め前か横 の方が よい」な どの改善策 もあげ られた。
改 めてスタッフか らの振 り返 りとして, 「このデモ ンス トレー シ ョンで は教職員 の発言量が学生 よ りも 圧倒 的に多 く尋問調 で一方的であった こと,言葉 か けは "正 しいか"ではな く,̀̀効果的か"の視点 も 持つ とよく,また問題 の原因は しば しば複合 的であるため思い込みで早 々に決 めつ けない方が望ま しい こ と」な どについて確認 を行 った。
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5.改 善 されたや りと りの実演 と意 見交換
次 に改善点 を織 り込み,改めて ロール プ レイ ングを行 った。改善 されたシナ リオでは,学生の話 を聞 くことを中心に,相手の様子 を観 察 しなが ら,双方 向的 な コ ミュニケー シ ョンを展開 した。参加者 か ら は体験 に照 らした感想 と して 「沈 黙 に耐 えるよ う助言 され た ことを思い出 した」, 「相 手が 『はい,い いえ』 で答 えて終わって しま うよ うな質問はなるべ くしない よ うに してい る。少 な くとも数回の面談が 必要 ではないか」 な どや , また 「初 めての面談で個 人的 な こ とを どこまで聞いた らよいか」, 「学生 と の関係性 を作 ることが大切 とい うこ とは認識 してい るが,その後 は どうした らよいのか」な どの質問が あげ られた。 これ らにつ いて,個人的な内容 に踏み込むのはある程度学生 との間に信頼 関係 が築かれて か らの方が安心である点, さらに同 じ内容 を話す に して も 「どの よ うに」話すかによって相手の受 け取 め方 は随分 と変わって くること,また難 しいケースの場合 は一人で抱 え込まず各機 関 との連携 も必要 と な ることな どについて互 いに意見が交換 され た。
6.「連携 の仕 方 」 お よび 「終 わ り方 」 (次 回へ の つな ぎ方 ) の演 習
引 き続 き,各機 関 との 「連携 の仕方」お よび次回につ な ぐ 「終わ り方」 に関 して,○×クイズ形式の 演習が実施 された。参加者 は,スタ ッフが用意 した例題 に対 して,望ま しい と思 えば○印,望 ま しくな い と思 えば ×印をつ けて回答 し,後 に答 え合 わせ を行 うことで確認 を行 った。
7.お わ りに
今 回の ロールプ レイ ㌢グは,教職員対象 の第1回 目の研修会 とい うことで,保健管理セ ンタースタ ッ フ として もどの よ うなや り方が よいのか,直前まで手探 りの試行錯誤 を続 けていた。そのなかで もテー マ については事前アンケー トか ら教職員 のニーズを探 ることがで き,ある程度参加者 の声 を拾い上げる ことがで きた と思われ る。 しか し当然 なが ら残 された点 もある。初回である今 回の試み は ロール プ レイ ングをスタッフが中心 となって行 ったが,今後は参加者 の方 々にも積極的に参加 して もらう中で,体験 的気づ きゃ一人一人の生 の声 を互いに共有で きる場 になれ ば さらに望ま しい と考 える。
全般 にデモ ンス トレー シ ョンに対す る参加者 の指摘 は極 めて適切 であった印象 を受 ける。 「学生相談 を考 える会」 に出席 した教職員 はそれだけで も学生相談 に対す る見識が高い方 々であろ うと思われ る。
一方 では,我 々専門スタ ッフもそ うであるよ うに,実際場面では一体 どの よ うに した らよいのか とい う 苦労 は現場で関わ る人間共通の悩み であろ う。他方, さらに基礎 的な ところか ら理解 を深 めたい とい う 参加者 の方々 もお られ た ことと思われ る。参加者 の幅広いニーズを即座 に満たす ことはで きないまで も, 教職員が この よ うな場 を通 じ互いの苦労 を共有 し合 い,連携,協力 しあって,学生相談 の質の向上を 目 指す風土を育む地道 な活動が肝要 であろ うと思われ た。
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