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マルチエージェントシステムの合意の高速化について

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Academic year: 2021

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平成28年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群

マルチエージェントシステムの合意の高速化について

1170354

久川 和祥 【 ワイヤレスネットワーク研究室 】

1

はじめに

自律分散的な動作を行う複数のエージェントが相互 に通信を行うことで協調的な動作を可能にし,全体で共 通の目的を達成するシステムのことをマルチエージェン トシステムと呼ぶ.このマルチエージェントシステムの 代表的な問題に合意問題がある.合意とは,全てのエー ジェントが情報交換により状態を一定の値に収束させ ることである[1].本研究では,全てのエージェントが一 箇所に集合することを合意とする合意問題において, 意の高速化を目的とした合意制御方法を提案する.

2

マルチエージェントシステム

N 台のエージェントがそれぞれの受信可能な範囲内 に位置するエージェントから位置情報を取得しそれに 基づいて自身の移動を決定する. 2次元平面上を移動す るエージェントnの位置が以下の状態方程式で表され るマルチエージェントシステムについて考える.

sn[t+ 1] =sn[t] +mn[t], sn[0] =s0n (1)

ここで, sn[0]はエージェントnの初期位置,状態sn[t], 入力mn[t]2次元のベクトルである.

 エージェントnの入力mn[t]を以下の式とする.

mn[t] =−an[t]

K

l=1

pnl[t](sn[t]sl[t]) (2)

ここで, pnl[t]はエージェントnの受信可能な範囲内に エージェントlが位置しており(隣接している),かつ, エージェントnがエージェントlの位置情報の受信に成 功した場合に1,そうでない場合に0となる. an[t]は自 身を含め位置情報が得られた全てのエージェントの重 心にエージェントnを移動させるための係数でan[t] = 1/(1+|An|),|An|はエージェントnに隣接しているエー ジェントの数である.

 エージェントnは時刻t = kTc(Tc: 制御周期, k = 1,2,· · ·)に自身の位置情報を確率Pで送信し,確率1−P で受信を行う.送信の際には,エージェントnは送信チャ ネルC個の中からランダムに1つ選択して用いる. 信の際には,エージェントnは自身を中心とした半径R の円Dn内に位置するエージェントの位置情報の受信を 行う.このときエージェントnは位置情報の受信に成功 すれば式(1)に従い移動する. Dn内の複数のエージェ ントが用いる送信チャネルが重複した場合にはパケッ ト衝突が発生し,エージェントnはそのチャネルを用い た全てのエージェントの位置情報が得られず,受信は失 敗となる.各エージェントは最大速度Vmaxを有する.

 以上のマルチエージェントシステムにおいて,全ての エージェントが合意した位置を合意値と呼ぶ.合意値が

全てのエージェントの初期位置の平均値のとき平均合 意値と呼ぶ.

3

提案方式

従来のマルチエージェントシステムでは,各エージェ ントは他のエージェントの位置情報が得られず移動で きない状況が生じる.この状況を減らすことができれば 合意の高速化ができると考える.そこで本方式ではエー ジェントnが自身の移動後に入力mn[t]を記憶し,移動 できない上記の状況になった場合に入力の記憶を呼び出 し移動することで移動できない状況を減らす.移動でき ない状況が連続して生じた場合には,直近の非零のmn[t]

を係数λ(λ <1.0)により忘却させながら使用する.

4

性能評価

各エージェントの初期配置は100×100[m2]内で一様 分布に従うものとする.各エージェントのパラメータ R = 50m, C = 5, Tc = 0.1s, P = 0.3, λ = 0.9,

Vmax = 36km/hとし,エージェント同士の衝突は考え

ない.この条件において試行時間500 秒以内に全ての エージェントが半径5mの円内に合意することを合意 達成とし,合意達成時間をエージェント数別に評価する.

1に試行回数5000回における提案方式と従来方式の 合意達成時間の比較結果を示す.

0 5 10 15 20

Conventional Proposed

10 9 8 7 6 5 4 3 2

Number of agents

Required time of consensus [s]

1 エージェント数と合意達成時間の関係

 図1より,提案方式は全てのエージェント数において 合意達成時間を短縮できていることが分かる.提案方式 は移動しない状況を減らすことができるため合意を早 く達成できたと考えられる.

5

まとめ

本研究では,全てのエージェントが一箇所に集合する ことを合意とする合意問題において収束時間を短縮で きる合意制御方法を提案し性能を評価した.

参考文献

[1] 野呂俊介,小林健太郎,岡田啓,片山正昭,“通信範囲とパケット 衝突がマルチエージェントシステムの合意制御に与える影響,”

信学技報, RCC2016-62, vol.116, no.337, pp.149-154, Dec.

2016.

図 1 エージェント数と合意達成時間の関係  図 1 より, 提案方式は全てのエージェント数において 合意達成時間を短縮できていることが分かる. 提案方式 は移動しない状況を減らすことができるため合意を早 く達成できたと考えられる

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