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解析 I ・講義ノート

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Academic year: 2021

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(1)

解析

I

・講義ノート

第8回

(202077()配信分)

(2)

第8回本題

 前回の最後にも触れましたように、f(x) C 級のとき、関数

列の極限である無限級数の和

f(x) = X

n=0

1

n!f(n)(a)(x a)n

= limn→∞ Xn

k=0

1

k!f(k)(a)(x a)k

として f(x) を表したものを、f(x) x = a におけるテイラー級

数展開と呼びます(教科書86頁参照)。ただし、この無限級数は任 意の x に対して収束するとは限りません。その収束範囲を調べる ことが、今回のテーマです。

(3)

 一般に、

X n=0

an(x−a)n = a0 +a1(x−a) +a2(x−a)2+· · · +an(x−a)n +· · ·

a を中心とするべき級数(または整級数) と呼びます(教科書83

84頁参照)。この級数が収束してx の関数になる範囲では、そ のグラフは、a = 0 の場合

X n=0

anxn = a0 + a1x + a2x2 + · · · + anxn + · · ·

のグラフを右へ a だけ平行移動したものですから、収束するよう x の範囲も、同じく右へ a だけ平行移動されるので、収束する 範囲については、a = 0 の場合について調べれば(情報として)

分です。

(4)

 係数 a0, a1, a2, . . . , an, . . . が、全て同じとき、この級数は、

X n=0

a0xn = a0 + a0x + a0x2 + · · · + a0xn + · · ·

で、初項( 0 ) a0, 公比 x の等比級数(等比数列の和)ですか

ら、第 n 項までの部分和は

Xn k=0

a0xk = a0 + a0x + a0x2 + · · · + a0xn = a0(1 xn+1) 1 x

より、級数の値は

X n=0

a0xn = lim

n→∞

a0(1 xn+1)

1 x = a0

1 x (|x| < 1)

です(教科書81頁参照)a0 ̸= 0 のとき、x = 1 では a0 と同符号

に発散し、x = 1 では a0 0 を振動しますから、収束す る範囲としては、|x| < 1 がぎりぎりです。

(5)

 一般の場合は、優級数定理を用いて、この等比級数と比較する 判定法が有力です。その主張をべき級数に限定して書くと、

 十分大きい(つまり、ある n0 以上の) 全ての自然数 n に対し、

|anxn| ≤ CRn

を満たすような正の実数C R < 1 が存在するならば、(言い換えれば、絶対 値をとった数列 |anxn| が、公比 1 未満の等比数列で、上から押さえられるな らば、)そのような x において、べき級数

X n=0

anxn

も収束する

となります。

(6)

 上の条件は、次のように書き直せます。

|x| ≤

C

|an|

1/n

R (an ̸= 0)

ここで

r

C

|an|

1/n

(an ̸= 0)

を満たす r が存在すれば( n に依らずに選べれば)、べき級数

X n=0

anxn |x| ≤ rR で収束することがわかりますが、R 1

満の範囲で、いくらでも 1 に近いものに取り換えても条件を満た すので、結局 |x| < r で収束と言うことになります。

 ただ、このままではまだ判定条件としてはやや使い勝手が悪い ので、通常は次のどちらかの判定条件を用いることが多いで

しょう。

(7)

コーシー-アダマールの判定条件(教科書85頁参照。)

nlim→∞ |an|1/n = 1 r

が存在すれば、|x| < r で収束する。

(略証)ϵ > 0 を任意に一つとります。極限値が 1

r なので、十分大きい全ての n ( n n0 とします)に対しては|an|1/n < 1+ϵr が成り立ちます。従って、

r

1 + ϵ <

1

|an|

1/n

より、このべき級数は|x| < 1+ϵr で収束します。ここで ϵ > 0 は自由に選べた ので、|x| < r を満たす任意の x に対し、|x| < 1+ϵr を満たす ϵ > 0 を一つ選ん で、上の論証を行えば、収束が示せます。

 また、極限値が 0 のときは、十分大きい全ての n に対して|an|1/n < ϵ が成 り立つので、このべき級数は|x| < 1ϵ で収束しますが、ϵ > 0 は自由に選べたの で、結局 |x| < + すなわち任意の x に対し、収束が言えます。

(8)

ダランベールの判定条件(教科書85頁参照。)

nlim→∞

|an+1|

|an| = 1 r

が存在すれば、|x| < r で収束する。

(略証)ϵ > 0 を任意に一つとります。極限値が 1

r なので、十分大きい全ての n ( n n0 とします)に対しては |a|n+1a |

n| < 1+ϵr が成り立ちます。従って、

|an0+m|

|an0| < 1+ϵr m も成り立つので、

r

1 + ϵ <

|an0|

|an0+m|

1/m

より、このべき級数(の第 n0 項以降)|x| < 1+ϵr で収束します。ここで ϵ > 0 は自由に選べたので、|x| < r を満たす任意の x に対し、|x| < 1+ϵr を満たす

ϵ > 0 を一つ選んで、上の論証を行えば、収束が示せます。

 また、極限値が 0 のときは、十分大きい全ての n に対して |a|n+1a |

n| < ϵ が成り 立つので、このべき級数は|x| < 1ϵ で収束しますが、ϵ > 0 は自由に選べたの で、結局 |x| < + すなわち任意の x に対し、収束が言えます。

(9)

 この r ( 0 以上の実数または + )を、べき級数 X

n=0

anxn の収

束半径(教科書84頁参照) と呼び、一般に |x| < r で収束、|x| > r

で発散します。ちょうど |x| = r (つまり x = ±r )では、どちら

になるかは、べき級数によります。ただし r = 0 のときは、x = 0

でのみ収束します。

 さらに |x| < r では、関数 f(x) = X

n=0

anxn は、無限回微分可能

で、導関数は項別微分

f(x) = X

n=1

annxn1 f′′(x) = X

n=2

ann(n 1)xn2

... ...

により得られることも知られています(教科書85頁参照)。証明に

はやや難しい議論が必要なので、この講義では省略します。

(10)

 なお、 X

n=0

an(x a)n については、x を全て x a に置き換える

だけで、同様の主張が得られます。

 二つの判定法によって得られる収束半径は、どちらで計算して も同じ値が得られます。比較的計算しやすいのは、ダランベール の判定条件の方ですが、係数 an 0 が繰り返し現れる場合は適 用できないと言う難点があります。

(11)

 ただし、奇数番目のみ全て消える(つまり偶関数になる)場合

には、

f(x) = X

n=0

anxn = X

k=0

a2kx2k

= X

k=0

a2k(x2)k

より、別のべき級数

g(y) = X

k=0

a2kyk

の収束半径 r が求められれば、f(x) = g(x2) より、|x2| < r つま

|x| <

r で元のべき級数も収束するとわかります。

(12)

 偶数番目のみ全て消える(つまり奇関数になる)場合にも、ほぼ

同様ですが、

f(x) = X

n=0

anxn = X

k=0

a2k+1x2k+1

= x X

k=0

a2k+1(x2)k

より、別のべき級数

g(y) = X

k=0

a2k+1yk

の収束半径 r′′ が求められれば、f(x) = xg(x2) より、|x2| < r′′

まり |x| <

r′′ で元のべき級数も収束するとわかります。

(13)

 テイラー級数展開

f(x) = X

n=0

1

n!f(n)(a)(x a)n

の場合、

an = 1

n!f(n)(a)

と言うことになります。

 教科書88頁にも判定法がありますが、ここでは、直接上の判定 条件を用いてみましょう。

(14)

 指数関数 ex x = 0 におけるテイラー級数展開

X n=0

1 n!xn

では、全ての n an = 1

n! ですから、ダランベールの判定条件を 適用すると、

1

r = limn→∞

1 (n+1)!

1

n!

= limn→∞ 1

n + 1 = 0

より、収束半径は +, つまり全ての実数 x において収束するこ

とがわかります。

(15)

 一方、対数関数 log x x = 1 におけるテイラー級数展開

X n=1

(1)n1

n (x 1)n

では、全ての n an = (1)n1

n ですから、ダランベールの判定 条件を適用すると、

1

r = lim

n→∞

(1)n n+1

(1)n1 n

= lim

n→∞

n

n + 1 = 1

より、収束半径は 1, つまり |x 1| < 1 ( 0 < x < 2 )においては

収束しますが、|x 1| > 1 ( x > 2 )においては収束しないことが わかります。

 ちょうど |x 1| = 1 ( x = 2 )ではどうでしょうか?

(16)

 三角関数 sinx, cos x では、既にお話しました、奇関数、偶関数 の場合の計算方法を適用して、収束半径が + であることが示せ

ます。確かめてみましょう。

 実は(解析IVで扱う)複素関数 f(z) でも、同様にテイラー級数展開が定義さ れ、収束半径は対応する実関数の場合と同じ値になります。ちなみに複素関数 としての指数関数はez = ex+iy = ex(cosy + i siny) で、その z = 0 におけるテ イラー級数展開

X n=0

1 n!zn

の収束半径は + です。ここで特に純虚数 z = iy に制限してかんがえると、

eiy = cosy + isin y ですから、

cosy + i siny = X

n=0

1

n!(iy)n = X

k=0

(1)k

(2k)! y2k + i X

k=0

(1)k

(2k + 1)!y2k+1

が全ての y R について成り立つ、つまり cosy sin y y = 0 におけるテ イラー級数展開の収束半径も+ であることが同時にわかります。

(17)

 なお、有理関数などでは、高次の微分係数を求めるまでもなく、

べき級数で表せる場合もあります。

 典型的なのが、|x| < 1 における次の例でしょう。

1

1 x = lim

n→∞

1 xn+1 1 x

= lim

n→∞(1 + x + x2 + · · · + xn)

= limn→∞ Xn

k=0

xk

= X

n=0

xn

(18)

 ここで、log x x = 1 でのテイラー級数展開に1 x を代入す

れば、

log(1 x) = X

n=1

(1)n1

n {(1 x) 1}n

= X

n=1

1 n xn

より、log(1 x) x = 0 でのテイラー級数展開が得られ、

|(1 x) 1| < 1 すなわち|x| < 1 で収束しますが、これを項別微 分すると、

1

1 x = {log(1 x)} = X

n=1

1 n xn

= X

n=1

(1)xn1 = X

n=0

xn

で、上と同じ展開が得られます。

(19)

第7回練習課題の解答

 ロピタルの定理を繰り返し用いる等、計算方法はいろいろある と思いますが、今回は種明かし的な説明をしておきましょう。

 実は sin x のテイラー級数展開

sin x = X

k=0

(1)k

(2k + 1)!x2k+1 (x R)

x で割ると、

g(x) = sin x

x = X

k=0

(1)k

(2k + 1)!x2k (x ̸= 0)

で、一方、

g(0) = 1 = (1)0

(2 · 0 + 1)! = X

k=0

(1)k

(2k + 1)!02k

より、結局 g(x) のテイラー級数展開が

(20)

g(x) = X

k=0

(1)k

(2k + 1)!x2k = X

k=0

1 (2k)!

(1)k

2k + 1x2k (x R)

で与えられることがわかります。

sin x の場合と次数が 1 ずれただけで、係数は同じものが並ん でいるので、収束半径は変わらず + です。従って、

g(n)(0) =

(1)k

2k+1 (n = 2k)

0 (n = 2k + 1)

となりますが、これはもちろん、

g(n)(0) = f(n+1)(0)

n + 1 (この場合 f(x) = sin x)

から来たものです。

参照

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