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ウシ着床前期における胚-子宮間連絡分子の探索 生物資源科学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 10 日

ウシ着床前期における胚-子宮間連絡分子の探索

生物資源科学専攻 家畜生産生物学講座 家畜改良増殖学 秋沢宏紀

1.はじめに

繁殖制御は産業動物であるウシの生産の根幹をなすことから,着床機構の解明は受胎率向 上を含む生産の効率化に重要である。哺乳類の妊娠成立は,胚と子宮が相互依存的な役割を 果たした結果と捉えられる。よって,着床機構の理解には,胚または子宮どちらかに焦点を 合わせた解析に終始せず,両者を相互に分析する必要があると考えた。本研究では,着床前 期に胚と子宮から産生される分泌性因子が妊娠成立に重要であると仮定し,過去研究室で実 施された胚栄養膜細胞に加え,子宮小丘における遺伝子発現プロファイルの作成に取り組ん だ。さらに,このプロファイルから各組織間の連絡を担う可能性がある分子を探索すること で,ウシ着床前期に起こる胚‐子宮間相互作用の理解を深めることを目的とした。

2.方法

1)RNA-seq による胚,子宮のトランスクリプトーム解析 人工授精後 14 日目の伸長期胚 と体外受精後 7-8 日目の胚盤胞期胚の栄養膜細胞については過去のデータを使用した(平成 27 年 定修士論文)。加えて,本研究では受胎産物の有無により妊娠期と非妊娠期それぞれの 子宮小丘を採取し、新たに RNA-seq を実施した。出力されたデータを各種統計解析に供した。

2)データベースを活用したリガンド,受容体の探索 RNA-seq で発現が確認された遺伝 子のうち,リガンドあるいは受容体を発現するものを,ヒトのデータベースを活用して検索 した。これら分子の対応関係を整理し,発現量と合わせて総合的に分析した。

3) PCR を用いた遺伝子発現の詳細な解析 RNA-seq の結果を検証するために定性あるいは 定量 PCR を実施した。

3.結果と考察

1)栄養膜細胞の転写プロファイルに加えて,子宮小丘組織での,受胎産物の有無による 遺伝子発現プロファイルの変化を補足することができた。妊娠期では非妊娠期に比べて 779 個の遺伝子が発現上昇を示し,340 個の遺伝子が発現低下を示した。また,超幾何分布解析 および遺伝子セット濃縮解析という異なる二つの方法で共通して上位に位置付けられた機能 カテゴリーは,‘Extracellular space(細胞外空間)’のみであった。

2)胚,子宮で発現するリガンドあるいは受容体をコードする遺伝子についての,対応関 係を解析した結果,Wnt シグナルなど、新たな分子シグナルが着床前期に胚-子宮間での相互 作用に関与する可能性が示された。

3)定性と定量 PCR により,RNA-seq で検出された遺伝子の発現と量的差異が確認できた。

4.結論

本研究によって,胚栄養膜細胞ならびに子宮小丘では着床前期に遺伝子発現パターンの大 規模な改変が起こることが明らかとなった。さらに,ウシの着床成立に向けて Wnt シグナル など新たな分子経路が関与している可能性が示された。

参照

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