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サービス品質研究における主要3因子

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Academic year: 2021

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アカデミックアワー研究報告

147

サービス品質研究における主要3因子

─スポーツ・イベントにおける情緒的,技術的,機能的品質─

吉田 政幸

1)

Service Quality at Sporting Events: Aesthetic, Technical, and Functional Quality

Masayuki Yoshida

 Key words:サービス品質,情緒的品質,快楽消費,スポーツ

1.はじめに

 歴史的に,サービスの品質は金融,保険,通信,

情報などの「純粋」なサービス業を対象に研究さ れてきた。先行研究はサービスの品質を顧客,従 業員,サービス環境の相互作用によって定義して きたが,その概念的視点は主にサービスの機能 的,技術的側面に向けられている。そのため,ス ポーツ産業や娯楽産業の経験的,情緒的,快楽的 な側面を既存のサービス品質モデルによって測る ことには限界がある。

2.研究の目的

 本研究の目的は,サービスの機能的,技術的品 質に加え,情緒的品質を測定するための尺度を開 発することである。

3.方法

 Churchill注1)の尺度開発の手順に従い,関東の プロ野球チームの観戦者を対象にアンケート調査 を実施した。層化二段無作為抽出法を用いて試合 前に460票を配布し413票を回収した(有効回答数 372票)。SPSS15.0によって探索的因子モデルと 尺度の信頼性を分析した結果,統計的に乏しいと 判 断 さ れ た22項 目 が 除 外 さ れ た。 次 に,

LISREL8.54を用いて確認的因子モデルを検証し

た。後,構造方程式によって,仮定された要因間 の関係性を分析した。

4.結果と考察

 サービス品質の主要3因子を検討する前に,ま ず確認的因子分析によって収束的妥当性を分析し た結果,対戦相手の特徴を測る1項目を除き,す べての尺度においてHair注2)らの基準値(因子負荷 .50以上)を上回り,収束的妥当性が示された。図 1は構造方程式による仮説の検証結果を示してい る。適合度については,χ2/df,RMSEA,AGFI

(本研究のような複雑なモデルに影響を受けやす い指標)が許容範囲を満たさなかったが,本研究 の探索的な性質から総合的に検討した結果,モデ ルが得られたデータに適合したものと考えられ る。

 要因間の関係性については,8因子からなる一 次因子が,仮定された主要因子の情緒的,技術 的,機能的品質に仮説通り割り当てられた。ま た,先行研究で主要因子との関係性が示唆される 基準変数(娯楽性,チームとの一体感,利便性)

との因果関係を検討した結果,主要因子が基準変 数に対して強い規定力があることが明らかとなっ た(β=.73~.79)。更に,主要因子の基準変数に 対する貢献度は決定係数(R2)で分析され,基準 変数の変動の54%から63%が本研究モデルによっ

1)競技スポーツ学科

(2)

びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要 第7号 148

て説明されることが示された(図1)。

 以上の結果から,本研究ではスポーツ・イベン トにおけるサービスの品質が,技術的,機能的品 質に加え,情緒的品質も含む主要3因子によって 構成されることが実証された。経営的視点から,

本研究のモデルはスポーツ・イベントにおけるサ ービスの品質を改善するための要因を絞り込む上 で非常に有用といえよう。例えば,娯楽性の先行 要因である情緒的品質を改善するためには,観衆 の賑わい,スタジアムのデザインなどの視覚的な 演出,更にはゲームの雰囲気の管理が必要になる ものと考えられる。

5.研究の限界と今後の展望

 本研究は,スポーツ・イベントにおけるサービ スの品質を,情緒的な品質も含めて多次元的に検 討した数少ない研究の一つであるが,その分析に はいくつかの課題も残った。理論モデルの適合度 については,全ての指標が許容範囲を満たした訳 ではないことから,今後も様々なスポーツ・イベ ントの観戦者を対象に調査を実施する必要があ

る。特に,本研究の調査尺度は,欧米の文献を参 考に開発されていることから,調査尺度および理 論モデルの妥当性の検討を,日米間で慎重に重ね ていくべきだろう。

6.結論

 結論として,本研究はスポーツ・イベントにお けるサービスの情緒的品質を測定する尺度を開発 し,技術的,機能的品質と併せて総合的に分析し た結果,研究としては探索的な初期段階ではある ものの,主要3因子の妥当性を確認した。

参考文献

注 1)Churchill, G.A.(1979). A paradigm for developing better measures of marketing constructs, Journal of Marketing Research, 16(1), 64-73.

注 2)Hair, J.F., Black, W., Babin, B., Anderson, R.E., Tatham, R.L.(2005). Multivariate data analysis

(5th ed.). Upper Saddle River, NJ : Prentice Hall.

娯楽性

情緒的品質

視覚的 魅力 ゲームの

雰囲気

.50-.85 .70-.85

γ=1.00 γ=.99

β=.73

γ=.87

機能的品質

γ=.88

γ=.93 γ=.66

γ=.68

4 項目

技術的品質

対戦相手 の特徴

.39-.89

γ=.96

4 項目

選手の技能

.68-.86

5 項目

場内従業員

.80-.91

6 項目

場内アクセス

.81-.87

4 項目

座席の スペース

.74-.91

4 項目 観衆の

賑わい

.62-.78

3 項目

.68-.80

4 項目

3 項目 チームとの

一体感

.74-.82

R2=.54 R2=.59 R2=.63

β=.77

3 項目 利便性

.64-.81

β=.79

4 項目

主要因子 基準変数

Φ=.51

Φ=.43 Φ=.71

Φ=.44

Φ=.46 Φ=.63

注 : n=372 ; χ (df)=2838.48(846), χ

2 2

/df=3.35, p<.01; CFI=.96 ; NNFI=.96 ; AGFI=.69 ; RMSEA=.084 点線内は本研究における多次元的,多階層的サービス品質モデルを示す.

図1.仮説検証の結果(スポーツ・イベントにおけるサービスの品質)

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