ま え が き
2001年にアメリカで起きたエンロン事件をはじめとする企業の粉飾事件を 契機として,財務報告における「経営者による説明と分析(Management’s Discussion and Analysis : MD&A)」等の記述情報が重視されることとなった。
例えば,2003年にアメリカ証券取引委員会(SEC)は,MD&Aに関する解 釈指針1)を公表し,同年,証券監督者国際機構(IOSCO)がMD&Aに関す る基本原則を公表している2)。さらに,カナダでは,会計基準設定主体の母
1) Securities and Exchange Commission,Interpretation : Commission Guidance Regard- ing Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Opera- tions, SEC, December 29, 2003.
財務報告における
記述情報開示の意義と課題
渡 辺 剛
まえがき
1 MCステートメントの概要 2 記述情報開示の意義 3 記述情報開示の課題
!
1 MCの範囲の画定
!
2 MCと注記の重複
!
3 MCの肥大化 4 記述情報開示の可能性 あとがき
−353−
( 1 )
体であるであるカナダ勅許会計士協会(CICA)がMD&Aに関する指針3)を 公表し,イギリスにおいても会計基準設定主体である会計基準審議会(ASB)
が,記述情報に関する指針を公表している4)。
わが国においては,2004年3月期より有価証券報告書の「第一部 企業情 報」の「第2事業の状況」における記述情報の開示が拡大され,「事業等の リスク」,「財政状態及び経営成績の分析」および「コーポレート・ガバナン スの状況」の開示が求められることになり,財務会計基準機構が作成してい る『有価証券報告書の作成要領』5)において作成要領が示されている。
このような記述情報重視の傾向の中,国際的な会計基準設定主体である国 際会計基準審議会(International Accounting Standards Board : IASB)は,グ ローバルなビジネス環境および取引の複雑性が増大したことによって記述情 報の重要性が高まっているという認識のもと,MD&Aおよび「営業および 財務の概要(Operating and Financial Review : OFR)」をはじめとする記述情 報に関する指針を提供するプロジェクトを進めてきた6)。これは,「経営者の 説明(Management Commentary : MC)」プロジェクトと呼ばれている。この MCプロジェクトは,2002年10月に始まり,2005年10月には討議資料が公表 され7),それに対するコメントが寄せられていた。かかるコメントの検討を 踏まえて,IASBは,2009年6月に公開草案「経営者の説明」を公表し8),さ
2) Technical Committee of the International Organization of Securities Commissions,Gen- eral Principles Regarding Disclosure of Management’s Discussion and Analysis of Finan- cial Condition and Results of Operations, IOSCO, February 2003.
3) Canadian Institute of Chartered Accountants,Management’s Discussion and Analysis : Guidance on Preparation and Disclosure (Comprehensive Revision-July 2009), CICA, 2009.
4) Accounting Standards Board, Reporting Statement : Operating and Financial Review, ASB, January 2006.
5)財務会計基準機構『有価証券報告書の作成要領』財務会計基準機構,2009年。
6) IASB, Information for Observers,Management Commentary, IASB, 12 December 2007.
7) IASB, Discussion Paper,Management Commentary, IASB, October 2005.
8) IASB,Exposure Draft : Management Commentary, IASB, June 2009.
−354−
( 2 )
らに審議をかさねて2010年12月にプラクティス・ステートメント(Practice Statement)「経営者の説明」(以下,「MCステートメント」という)を公表 した9)。
IASBによる記述情報開示に関する指針の公表は,従来,財務諸表(注記 を含む。以下,同じ)には記載されることが少なかった知的財産情報,環境 情報など企業の収益性を左右する情報の開示可能性を高めるものと期待され る。本稿は,IASBより公表されたMCステートメントを中心に財務報告に おける記述情報開示の意義と課題を検討することを目的としている。
1 MCステートメントの概要
MCステートメントの構成は次のとおりである。
基本目的 1項
範囲 2−4項
MCの識別 5−7項
MCの利用者 8項
MC提供のフレームワーク 9−23項
目的 9−11項
原則 12−21項
表示 22−23項
MCの構成要素 24−40項
事業の性質 26項
9) IASB,Practice Statement : Management Commentary−A Framework for Presentation, IASB, December 2010 (as of January 5, 2010, URL: http://www.ifrs.org/NR/rdonlyres/
9EA9F29A-3F34-4E39-9388-989B07563D4E/0/Managementcommentarypracticestatement
8December.pdf).(翻訳)IFRS財団編,企業会計基準委員会/公益財団法人財務会
計基準機構監訳『国際財務報告基準(IFRS)2011』中央経済社,2011年。
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −355−
( 3 )
目標および戦略 27−28項 資源,リスクおよび諸関係 29−33項
成果および予測 34−36項
業績の尺度および指標 37−40項
適用期日 41項
付録:用語の定義 結論の根拠
このうち,重要と思われるところを以下で概観する。
①MCの定義
MCステートメントにおいて,MCとは次のように定義される。
MCとはIFRSに準拠して作成された財務諸表に関連する記述報告 である。MCは,企業の財政状態,財務成績およびキャッシュ・フ ローに関して財務諸表で示された数値の過去的説明を利用者に提供す る。また,MCは,財務諸表で提供されない企業の予測その他の情報 を提供する。さらに,MCは,経営者の目標およびその達成のための 戦略を理解するための根拠として役立つ。(付録:定義)
この定義をみてもわかるように,MCは,例えば,MD&AやOFRのよう な特定の記載箇所で提供される情報を指すものではない。その本質は,財務 諸表に関連する記述情報であるといえる。ここで注意しなければいけないの は,MC=記述情報であるが,記述情報≠MCという点である。すなわち,
MCステートメントでは,記述情報のうち,財務諸表と関連していない情報 に関しては,MCとは認識していない。本稿は,財務報告における記述情報
−356−
( 4 )
の意義等を検討することを目的としているため,記述情報のなかでもMC を中心に議論を進めていく。
②拘束力
MCステートメントは,IASBより公表されたものであるが,同じくIASB が公表する国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards : IFRS)としてではなく,拘束力を持たないプラクティス・ステートメント として公表された(IN第2項)。すなわち,企業は,MCステートメントに 従ってMCを作成する必要はないし,MCステートメントに従っていなくて も,IFRSに準拠して財務諸表を作成していると表示することができる(BC 第17項)。
③MCの目的
MCステートメントにおいては,MCの目的が次のように述べられている。
第9項 MCは,財務情報利用者に対して,財務諸表の背景事情を明 らかにする統合的な情報(integrated information)を提供しなけ ればならない。かかる情報は,ポジティブな状況もネガティブ な状況も含めて,発生した事象のみならず,なぜそれが発生し,
それが企業の将来にいかなる意味をもつのかについても,経営 者の見解を説明するものである。
第10項 MCは,企業の資源ならびに企業および当該資源に対する請 求権,さらにはそれらに変動をもたらす取引その他の事象に関 する統合的な情報を提供することによって財務諸表を補完およ び補足する。
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −357−
( 5 )
第11項 MCは,企業の将来の業績,状態および進展(progress)に 影響を及ぼす可能性のある主要なトレンドおよび要素も説明し なければならない。したがって,MCは,現在のみならず,過 去および将来にも目を向けなければならない。
要するにMCの目的は,財務諸表の背景事情に関する経営者の見解を明 らかにすること,財務諸表を補足・補完すること,過去および現在のみなら ず将来指向的な情報を提供することにあるといえよう。
④原 則
MCステートメントでは,MCを作成するにあって遵守すべき原則が示さ れている。
第12項 経営者は,次の原則と合致した説明を提供しなければならない。
!
a 企業の業績,状態および進展に関する経営者の見解を提供 すること。
!
b 財務諸表によって提供される情報を補足および補完するこ と。
第13項 かかる諸原則と同様に,MCは,次の情報を記載しなければ ならない。
!
a 将来予測情報(forward-looking information)
!
b 財務報告の概念フレームワークで述べられている質的特徴 を有する情報
これら諸原則は,上述したMCの目的と整合しているが,ここで注目す べきは,MCに関しても財務諸表情報同様に「財務報告の概念フレームワー
−358−
( 6 )
ク」10)における質的特徴を求めていることである。すなわち,「MCにおける 情報は,目的適合性および表現の忠実性という基本的な質的特徴を有してい なければならない。MCにおける情報は,比較可能性,検証可能性,適時性 および理解可能性という質的特徴を最大限高めなければならない」(第20 項)とされる。
同じく会計基準設定主体であるASBおよびCICAから公表されている指 針においても,中立性,理解可能性,比較可能性等,情報の質的特徴に関す る規定はあるが(図表1参照),財務諸表情報と同じ質的特徴を求めてはい ない。その意味では,これはMCステートメントの大きな特徴であるとい える。もっとも,MCステートメントでは,序文において(IN第4項),MC が財務報告の一部であると明確に述べており(そうでなければIASBの権限 外となるおそれがある),MCを財務報告の一部とした以上,財務報告(財 務諸表)と同じ質的特徴が求められるのは,ロジックとして当然といえば当 然である。
!
5 MCの表示
MCステートメントは,MCの表示形式に関して,特定の形式を示さず,
経営者の裁量に委ねている(第22および23項)。ただし,!a 財務諸表でセグ メント情報が開示されている場合には,MCにおいてもそれを反映したセグ メント区分を用いること,!b MCでは可能な限り,財務諸表の注記で開示 されている情報との重複を避けること,!c 企業の実務および状況とは関係 のない情報ならびに重要でない情報の開示を避けること,が求められている
(第23項)。
10) IASB,Conceptual Framework for Financial Reporting 2010, IASB, September 2010.
(翻訳)IFRS財団編,企業会計基準委員会/公益財団法人財務会計基準機構監訳
『国際財務報告基準(IFRS)2011』中央経済社,2011年。
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −359−
( 7 )
図表1 記述情報の目的・原則
IOSCO SEC ASB CICA
*目 的・ 原則
!
1 MD&Aタ イ プ の ディスクロージャー は,投資者に「経営 者の視点から」企業 を見ることを可能に する。(2頁)
!
1 企業の財務諸表に 関して,投資者が経 営者の視点から当該 企業をみることを可 能にする記述的説明 を提供する。
(Ⅰ,B)
!
1 OFRは,取締役会 の視点から事業を分 析したものでなけれ ばならない。(第4 項)
!
1 企業は,MD&Aに おいて,利用者が経 営者の視点に立って 企業を見ることが可 能な情報を提供しな ければならない。
(2.1)
!
2 MD&Aタ イ プ の ディスクロージャー は,財務的ディスク ロージャー全体を改 善し,分析対象とす べき財務諸表の背景 事情を明らかにする。
(2頁)
!
2 財 務 的 デ ィ ス ク ロージャー全体を高 め,分析すべき財務 情報の背景事情を提 供する。(Ⅰ,B)
!
2 OFRは,株主の関 心に合った事項を取 り上げなければなら ない。(第6項)
!
2 MD&Aは,財務諸 表を補足および補完 しなければならない。
(2.2)
!
3 MD&Aタ イ プ の ディスクロージャー は,利 益 お よ び キャッシュ・フロー の異なる構成要素な らびにその要素が繰 り返し発生する範囲 に関する情報を提供 し,それによって投 資者が利 益 お よ び キャッシュ・フロー の将来の持続可能性 を評価することを可 能にする。(2頁)
!
3 企業の利益および キャッシュ・フロー の質および潜在的変 動可能性に関する情 報を提供し,それに よって過去の業績が 将来の業績を示す可 能性を投資者が確認 することを可能にす る。(Ⅰ,B)
!
3 OFRには,将来の 方向性を記載しなけ ればならず,株主が 事業の現在および将 来の業績ならびに事 業の長期的な目的の 達成に向けての発展 を評価するのに適し たトレンドおよび要 因を明らかにしなけ ればならない。
(第8項)
!
3 MD&Aは,漏れな く(complete),公正 かつバランスが取れ ていなければならず,
利用者の 意 思 決 定 ニーズにとって重要 な情報を提供しなけ ればならない。
(2.3)
!
4 MD&Aタ イ プ の ディスクロージャー は,企業の利益およ び キ ャ ッ シ ュ・フ ローのリスクに関す る情報を提供する。
(2頁)
!
4 OFRは,企 業 の ディスクロージャー 全体を高めるために,
財務諸表を補足する と同時に補完しなけ ればならない。
(第13項)
!
4 有 用 なMD&A報 告の基本は,将来指 向的なものである。
(2.4)
−360−
( 8 )
⑥開示項目
MCステートメントでは,MCにおける開示項目に関して次のように述べ られている。
第24項 MCが特にどこに焦点を合わせるかは,企業の実情と状況に よって異なるが,MCは,以下の項目を理解する上で不可欠な 情報を提供しなければならない。
!
a 事業の性質
図表1 つ づ き
IOSCO SEC ASB CICA
!
5 OFRは,包括的か つ理解可能なもので なければならない。
(第16項)
!
5 MD&Aの 焦 点 は,
投資者のための長期 にわたる価値創造の 経営者の戦略に当て なければならない。
(2.5)
!
6 OFRは,公平かつ 中立なものでなけれ ばならず,良い面も 悪い面も平等に扱わ なければならない。
(第22項)
!
6 有用なものとする ために,MD&Aは,
理解可能で,目的に 適合し,かつ比較可 能なものでなければ ならない。(2.6)
!
7 OFRは,長期にわ たって比較可能なも のでなければならな い。(第24項)
*IOSCOおよびSECは目的,ASBおよびCICAは原則を抜粋している。
IOSCO : General Principles Regarding Disclosure of Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations, IOSCO, February 2003.
SEC : Interpretation : Commission Guidance Regarding Management’s Discussion and Analysis of Finan- cial Condition and Results of Operations, SEC, December 29, 2003.
ASB : Reporting Statement : Operating and Financial Review, ASB, January 2006.
CICA : Management’s Discussion and Analysis : Guidance on Preparation and Disclosure (Comprehen- sive Revision-July 2009), CICA, 2009.
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −361−
( 9 )
!
b 経営者の目標および当該目標を達成するための戦略
!c 企業の最も重要な資源,リスクおよび諸関係
!
d 事業の成果および予測
!
e 経営者が掲げた目標に対する企業の業績を評価するために 経営者が用いている重要な業績尺度および指標
事業の性質では,企業が事業活動を行っている業界,企業の主要な市場お よび当該市場におけるポジション,規制環境,マクロ経済環境,主要な製品,
サービスおよび事業プロセスならびに流通方法,企業構造,価値創造の手法 等に関する説明が求められている(第26項)。資源に関しては,「人的および 知的資本・資源に関する分析」(第30項)も求められている。
以上,MCステートメントを概観したが,これを手掛かりにして記述情報 開示の意義と課題について検討する。
2 記述情報開示の意義
上述したように,MCステートメントでは,MCの目的は,①財務諸表の 背景事情に関する経営者の見解を明らかにすること,②財務諸表を補足・補 完すること,③過去および現在のみならず将来指向的な情報を提供すること にあるとされる。ここで,①は広い意味では②に集約でき,③は情報の性質 の問題であることから,結局,MCの目的は,②財務諸表の補足・補完にあ ると考えてよいものと思われる。一方,その他の機関から公表されている指 針では,図表1のようにMD&A等の記述情報の目的(または原則)が定め られている。いずれの指針においても,表現は異なっているが,MCステー トメントと概ね同様の目的が示されているといえよう11)。これは,IASBが,
各国規制当局の記述情報に関する規定および各国基準設定主体が既に公表し ている記述情報に関する指針とMCステートメントとの整合性を考慮した
−362−
( 10 )
ためである12)。
各機関の指針における記述情報の目的をみても,記述情報の主要な目的は,
財務諸表の補足・補完にあるといってよいものと思われる。では,財務諸表 を補足・補完するとはどのような意味であろうか。MCステートメントに先 立つ討議資料において,財務諸表の補足・補完とは次のように定義される。
すなわち,MCによる財務諸表の補足とは,「財務諸表において報告されて いる金額の追加的説明を記載し,財務諸表における情報の原因となった状況 および事象を説明すること」(討議資料,第42項)であるとされる。また,
MCによる財務諸表の補完とは,「事業および財務諸表で報告されていない 事業の業績に関する財務情報および非財務情報を記載する」(討議資料,第 43項)ことであるとされる。
この財務諸表を補足・補完する情報(以下,「MC情報」という)は,様々 な視点により分類可能であると思われるが,この討議資料を参考にして財 務・非財務情報という視点から分類すると,次のように分類できる。まず,
MC情報は,財務情報(貨幣額により表示される情報)13)と非財務情報に分 類でき,さらに財務諸表に記載されている情報との関連性から分類すること ができる。
11) MCステートメントでは,「経営者の視点(through the eyes of management)」と いう表現は用いられていない。しかし,「結論の根拠」で,「MCの目的は,経営者 の視点(management’s perspective)から財務諸表の背景事情を提供することである」
(BC第26項)と述べられていることから,また,討議資料および公開草案の段階 では,MCの目的に「経営者の視点(through the eyes of management)」という表現 が用いられていたことから,「経営者の見解(view)」は「経営者の視点」と同意と 解される。
12)討議資料においては,本稿でも取り上げたIOSCO,SEC,ASB,CICAの指針ま たは規定に加え,EUおよびドイツの規定を加えて,MCの目的を対比させている
(討議資料,付録C)。また,MCステートメントの結論の根拠では,IASBが定め たMCの目的である「経営者の視点から財務諸表の背景事情を提供すること」(BC 第26項)は,「多くの法域(jurisdiction)で述べられている目的と整合している」
(BC第26項)とされている。
13)「財務情報」の定義に関しては様々な議論があるが,ここでは深く検討しない。
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −363−
( 11 )
図表2 財務諸表の補足・補完情報 MC情報 財 務 情 報 財務諸表に記載されている情
報に関連する情報
(例)売上予測,知的財産の 公正価値評価額 財務諸表に記載されていない
情報
(例)人的資源の評価額
非財務情報 財務諸表に記載されている情 報に関連する情報
(例)企業のビジネス・モデ ル,経営戦略
財務諸表に記載されていない 情報
(例)CO2排出量
実際にはMC情報をこのように明確に区分できるとは限らない。例えば,
CO2情報にもCO2を削減するための支出額など財務情報が含まれることも あるし,経営戦略の中に目標販売額などの貨幣額情報が含まれることもある であろう。知的財産情報も人的資源情報も非財務情報としてもありうる。た だし,知的財産情報の場合,例えば,特許権を考えてみると,特許権数をい くら開示されてもあまり投資意思決定情報として有用ではない。重要なのは その評価額であろう。それも,過去にいくらで取得したかという過去的情報 ではほとんど意味がない。特許権の価値は,特許権が企業に対して将来にわ たってもたらすと予想されるキャッシュ・フローの額(期待キャッシュフ ロー)によって決まる14)。それは,当該特許権を使用した製品がどれだけ売 れるのかという予測に基づかなければ,計算することができない。特許権に 限らず,多くの知的財産の価値は,この将来予測に基づいて評価される。MC において開示が期待されるのは,財務情報として,かつ将来指向的情報とし ての知的財産情報である。MCステートメントでは,開示項目として知的財 産情報があげられているが,その内容に関しては全く触れられていない。す
14)広瀬義州『知的財産会計』税務経理協会,2006年,140‐141頁。拙稿「ブラン ドの資産性とその評価の問題点」福岡大学商学論叢,第45巻第3号を参照された い。
−364−
( 12 )
なわち,どのような情報をMCにおいて開示するかは,経営者の裁量に大 きく委ねられており,MCでは,きわめて多様な情報が開示可能であるとい うことである。
この点は,MCステートメントに限らず,他の機関から公表されている指 針においても同様のことがいえる。IOSCOの指針はもとより詳細な指針で はないが,ASBの指針およびCICAの指針はMCステートメントに比べれ ば,はるかに具体的な説明がなされている。それでも,記述情報と他の情報 とを明確に区分してはいない。SECの解釈指針の場合,規則(Regulation S- K, Item303)において具体的開示項目(強制)が列挙されているが,それに 限定せず,その他の情報の開示も禁止していない15)。
3 記述情報開示の課題
!
1 MCの範囲の画定
上述したようにMC情報の意義は,財務諸表を補足・補完することにあ るといえる。しかし,ある情報が財務諸表を補足・補完する情報であるか否 かは,人によって異なる可能性があり,それを客観的に判断することは非常 に困難である。例えば,MC情報を具体的に限定列挙することができればよ いが,記述情報において開示される情報は,基本的に経営者の裁量に委ねら れているため,MC情報の範囲は,非常に曖昧であるといえる16)。
MCステートメントでは,MCを財務報告の一部として規定している。し かし,財務報告を構成する情報の境界は必ずしも明らかではない。MCス テートメントが公表される前の討議資料の段階においては,次のように区分 されていた。
15) Regulation S-K Item303は,「原則主義(principles-based)」であるとされる(SEC, Division of Corporate Finance,Financial Reporting Manual, June 30, 2011, 9110.2)。
16) SECは,Regulation S-KのItem303において,比較的具体的に開示内容を定めて いるが,開示をそれに限定するものではない。なお,Item303に関しては,山崎秀 彦編著『財務諸表外情報の開示と保証−ナラティブ・リポーティングの保証−』
同文舘出版,2010年,第4章が詳しい。
財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −365−
( 13 )
図表3 討議資料におけるMCの範囲 財務報告書
MC
財務諸表 基本財務諸表 注記
(討議資料,第169項,図表5.1)
そもそも何が財務報告書を構成するのかが不明という問題点はあるが,討 議資料では,積極的に財務報告の境界を画定しようとしている。討議資料に おいては,注記とMCとを区別する規準を次のように規定している。
「ある情報が,!a 企業およびその事業環境の背景と財務諸表とを結 びつける情報を提供する場合はMCにおいて開示し,!b 基本財務 諸表およびその構成要素の理解に不可欠な情報は注記において開示 する。」(討議資料,第169項)
この規準は,MCと注記とを区分する際に1つの目安となると思われるが,
注記情報として開示が求められる情報は,ほとんどの場合,会計基準におい て定められるものと思われる。したがって,必要なのはむしろMCと財務 報告書情報以外の情報とを区分する規準であるといえよう。討議資料の規準
!
aは,主観的な判断を伴うため,MCと財務報告書情報以外の情報とを区分 する規準としては機能しないであろう。
討議資料の後に公表された公開草案においては,この財務報告の画定に関 しては,IASBとFASBが共同で策定中の概念フレームワーク・プロジェク トのPhase Eで検討されることから(公開草案,BC第45項),ほとんど触れ られていない。しかし,「IASBは,本指針を用いて作成した情報とIFRSを 用いて作成された情報,さらには本指針およびIFRSの規定の対象外である が財務報告書の利用者にとっては有用であると思われる情報とを利用者が区 別することができなければならないと考えている」(公開草案,BC第13項)
と述べられている。これを図で示せば次のようになる。
−366−
( 14 )
図表4 公開草案におけるMCの範囲 財務報告書
財務諸表および注記情報 MC情報 その他情報
IFRSsに準拠して作成 MC指針に準拠して作成 IFRSsにもMCにも準拠
しないが情報利用者に とって有用な情報
上記公開草案の記述では,討議資料とは異なり,図が示されていないこと から,「その他情報」が財務報告書に含まれるか否かは必ずしも明らかでは ないが,含まれないとしても,MC情報とその他情報との境界が曖昧である ことに変わりはない。
仮にMCステートメントに準拠して作成された情報がMCだとしても,
ステートメントのMC作成原則自体がそれほど明確なものではない。実際 には,財務諸表との関連性の強弱によってMC情報とするか否かを決める ことになると思われるが,それはきわめて主観的なものであり,企業によっ てMCの範囲が異なることになるであろう。しかし,逆にMCで開示すべ き項目を全て列挙してMCの範囲を明確化することは,柔軟性を欠き,か えって有用な情報をMCから除外してしまうおそれがあるので適切ではな い。結局,MCの範囲は,経営者の判断によらざるを得ないであろう。そこ で問題となるのは,MCが財務諸表を補足・補完する情報であるとしても,
経営者が積極的にMCとして情報を開示しようとしない限り,開示が促進 されることはないということである。
!
2 MCと注記との重複
さらには,MCと注記との境界も必ずしも明確ではないことから情報が MCと注記とで重複開示される可能性がある。上述したように,MCステー トメントでは,MCと注記とで情報が重複しないよう求められている。同時 財務報告における記述情報開示の意義と課題(渡辺) −367−
( 15 )
に,注記で開示されるセグメント情報との整合性が求められている。しかし,
MCで事業内容の説明を行う場合,注記のセグメント情報との整合性を取り つつ,情報が重複しないように説明することが可能であろうか。注記と全く 異なるセグメント情報を開示するのであれば可能であると思われるが,多く の場合,重複は不可避であると思われる。
また,情報の性質に関していえば,セグメント情報の場合,注記情報であ るセグメント情報と同じセグメント区分を用いて「経営者の視点」から事業 活動を説明しているMC情報とでは,実質的に違いはないといえよう。
GAAP(一般に認められた会計原則)か非GAAPかという分け方は,セグメ
ント情報に関しては意味がない。なぜならば,セグメント会計基準(IFRS 第8号)17)では,セグメント情報は,たとえそれがGAAPとは異なる情報で あっても,経営者が意思決定に用いている情報を開示するように求められて いるからである(ただしGAAPとの調整表が求められる)18)。それは,経営 者が意思決定に用いている情報は,投資者にとっても有用な情報であると考 えられているためである。そうであるとすれば,経営者の視点に立った情報
(または経営者の見解)を提供するMCと財務諸表の注記によって開示され るセグメント情報とは,形式的には記載箇所が異なるが,本質的に違いがあ るとは思われない。両者の違いは,注記情報としてのセグメント情報が会計 基準で開示が求められるのに対して,MC情報としてのセグメント情報が指 針で開示が求められるというだけであり,別の言い方をすれば,前者が監査 対象となり後者が非監査対象となるという違いだけである。
このように,注記とMCとその他情報との境界は必ずしも明らかではな
17) IASB,International Financial Reporting Standard 8 : Operating Segments, IASB, No- vember 2006.
18)Ibid., pars.25 and 28. 拙稿「IFRS第8号:事業セグメント」(広瀬義州編著『別 冊企業会計IFRS 40基準のポイント解説』中央経済社,2011年,所収),68‐73 頁参照。
−368−
( 16 )
いことから,情報の重複開示という問題が生じる可能性がある。セグメント 情報の場合,注記とMCとを分けるものは,監査対象となるか否かでしか ない。また,MCとその他情報とを分けるものは,質的特徴を有するか否か しかないが,それも客観的な規準があるわけではない。このように情報の境 界が曖昧であることは,一方で,MCにおいて開示すべき有用な情報の選定 を曖昧にし,もう一方で,さほど有用ではない情報がMCで開示されるこ とを防ぐ壁を低くすることになるであろう。
!
3 MCの肥大化
MCにおいて開示すべき情報の境界が曖昧な結果,経営者が財務諸表と関 連していると判断した情報はすべてMCとして開示される可能性がある。
そうなると,MCが肥大化し,情報利用者は,有用な情報の検索に多大な労 力を費やすことかから,MC情報の利用を避け,MCに記載された有用な情 報が埋没するおそれもある19)。この問題は,既にSECの指針においても指 摘されているが20),抜本的な方策は示されていない。世界的な監査法人であ るPrice Waterhouse Coopersの調査によれば,フォーチュン・グローバル500 社の2005年の年次報告書(annual report)およびForm 10-K等の基本届出書 の平均頁数は149頁で,そのうち記述情報が占める割合は60%であったとさ れる21)。これをみると,そもそも総頁数自体が多く,しかも記述情報の占め る割合が高いことがわかる。
19) Financial Reporting Council,Cutting Clutter : Combating Clutter in Annual Reports, FRC, April 2011, pp.2‐3. Tarca, Ann, Donna L. Street and Walter Aerts, “Improving MD
&A : A National Necessity,”Financial Executive, December 2010, p.56参照。
20) Securities and Exchange Commission,Interpretation : Commission Guidance Regard- ing Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Opera- tions, SEC, December 29, 2003, p.24.
21) Price Waterhouse Coopers,Corporate Reporting−A time for Reflection : A survey of the Fortune Global 500 Companies’ Narrative Reporting, PWC, April 2007, p.6.
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イギリスの場合にも同様の傾向が見られる。同じく世界的な監査法人であ るDeloitte & Toucheの調査によれば,FTSE350(ロンドン証券取引所の時価 総額上位350社)の年次報告書を調査したところ,総頁数は,1996年が平均 約60頁であったのが,2007年には平均約140頁にまで増大しており,さらに 記述情報の割合は2007年には54%となっている22)。また,イギリスの会計基 準設定主体であるASBの上部機構である財務報告評議会(Financial Report- ing Council : FRC)は,肥大化し,適切な情報を見つけることが困難になっ た年次報告書を改善するための討議資料を公表している23)。さらに,イギリ スのビジネス・イノベーション・職業技能省(Department for Business, Inno- vation and Skills : BIS)は,記述情報の開示を改善するために,記述情報の 開示を会社法の管轄から切り離すという現行制度の大改革案を提案してい る24)。
このような記述情報の肥大化の問題は,XBRL(eXtensible Business Report- ing Language)25)により財務諸表項目と関連するMC情報を情報利用者が容易 に集めることができれば解決するのかもしれないが,現時点では記述情報の XBRL化はまだ難しいとされる26)。したがって,記述情報のうち,MCとそ の他記述情報とを区分するための規準は,不可欠であると思われる。
22) Deloitte & Touche LLP,Written to Order : Surveying OFRs, EBRs and Narrative Re- portingin Annual Reports, Deloitte & Touche LLP, November 2007, p.5.
23) Financial Reporting Council,Cutting Clutter : Combating Clutter in Annual Reports, FRC, April 2011.
24) Department for Business, Innovation and Skills, The Future of Narrative Reporting : Consulting on a New Reporting Framework, BIS, December 2011.
25) XBRL(eXtensible Business Reporting Language)とは「各種財務報告用の情報を 作成・流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語」(XBRL Japan,
2011年12月10日現在でのURL : http://www.xbrl-jp.org/about/index.html)である。
26)坂上 学「非財務情報開示におけるXBRL導入の現状と課題−GRIとWICIの取 り組みを題材として−」(古賀智敏編著『IFRS時代の最適開示制度−日本の国際的 競争力と持続的成長に資する情報開示制度とは』千倉書房,2011年,所収,200 頁)。
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あ と が き
従来,FASBをはじめとする会計基準設定主体は,財務諸表の作成に関し て基準等を公表してきた。概念フレームワークにおいて27),財務諸表以外の 手段によって提供される情報の有用性を認めていたFASBも,MD&A等の 記述情報に関しては基準も指針も公表していない。その意味で,国際的な会 計基準設定主体であるIASBが財務諸表によって伝達される情報以外の情報 であるMCを含めて財務報告と捉え,その作成・表示の指針を公表したこ とは画期的であるといえよう。
MCステートメントの最大の意義は,記述情報を財務報告の一部であると 明確に宣言したことにある。その結果,記述情報の全てが財務報告に属する わけではないが,少なくとも財務諸表と関連する部分(財務諸表を補足・補 完する情報)に関しては,財務報告の領域にあり,それゆえ会計基準設定主 体であるIASBが規制する権限があることになる。すなわち,IASBは,財 務諸表以外にも財務情報を開示するチャネルを1つ手に入れたことになる。
例えば,財務諸表において情報を開示する場合,最初からそれを補足・補完 する情報をMCで公表することを前提とすることも可能となる。それによっ て,財務諸表と記述情報とがより一体となった情報提供が可能となるのであ ろう。
また,セグメント情報の場合,注記情報としてもMC情報としても本質 27)「本ステートメントにおける基本目的は,財務報告に関する目的であり,財務 諸表によって伝達される情報に限定されていない。財務報告および財務諸表は,
基本的に同一の基本目的をもっており,財務諸表のほうが有用な情報をより一層 提供できる場合もあるが,また財務諸表以外の財務報告の手段のほうが有用な情 報をより一層提供できる場合もあり,さらにかかる財務諸表以外の手段を用いな ければ,有用な情報を提供できない場合もある。」(Financial Accounting Standards Board, Statements of Financial Accounting Concepts No.1 : Objectives of Financial Re- porting by Business Enterprises, FASB, November 1978, par.5(平松一夫・広瀬義州訳
「FASB財務会計の諸概念(増補版)」中央経済社,2002年,12頁).)
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的には同じであると述べたが,そうであるとすれば,逆に注記情報としての セグメント情報の記載箇所を注記からMCに移すことも考えられる。企業 が行う様々な事業活動は,その内容の説明がなければ一般には非常に理解し づらいので,事業内容を説明した記述情報と合わせて利用した方が,セグメ ント情報ははるかにわかりやすくなるし,注記とMCとの重複を避けるこ とも可能になる。その場合,MCにおいて開示するセグメント情報が監査対 象となるか否かが問題となるが,会計基準によって開示が求められるのであ れば,注記で開示されようとMCで開示されようと監査対象となるものと 思われる。
さらに,知的財産に関していえば,認識・測定基準を満たさないまたは満 たしたとしても原価評価しかされない結果,財務諸表に記載されない知的財 産も,MCを用いて開示を促すことも可能となる。これまでは,注記を使っ て開示を求めることしかできなかったが,注記では監査対象となるため,将 来予測情報の開示を求めることは難しい。しかし,MCであれば,財務諸表 情報の補足情報として,将来予測を含んだ知的財産情報の開示を促すことも 可能であると思われる。ただし,MCステートメントにあるように,財務諸 表とは異なる認識・測定基準に基づいた情報であることを明らかにし,財務 諸表と区別しなければならないと思われる。それは,両者は情報の信頼性の 程度が異なる可能性があることに加えて,両者が混同されてしまうと,認識・
測定基準の意味がなくなるおそれがあるためである。
このように,MCを財務報告の一部であるとしたことにより,財務諸表本 体,注記およびMCがより統合された情報開示が可能となるであろう。し かし,MCステートメントは,現段階においては強制力がない。実際,カナ ダの会計基準設定主体であるCICAは,MCステートメントには拘束力がな いので準拠する必要はないという見解を表明している28)。また,アメリカの 場合,従来からMD&Aに関する規制は規制当局であるSEC自身が行い,財
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務諸表の作成に関しては会計基準設定主体である財務会計基準審議会(Fi- nancial Accounting Standards Board : FASB)が基準を公表するという役割分 担がなされていたことから,FASBは,当初からIASBのMCプロジェクト には参加していないし,MCステートメントに関してもほとんどコメントし ていない29)。MCステートメントが今後機能するか否かは,各国規制当局が IASBに少なくともMC情報に関して規制権限を委譲できるか否かまたは各 国の記述情報開示指針がMCステートメントとコンバージェンスするか否 かにかかっていると思われる。
また,記述情報のうち,何をMC情報として開示するかという記述情報 とMC情報とを区分するための規準が必要になるであろう。同時に,財務 報告書の中でも財務諸表情報,MCおよびその他財務報告書情報の境界と各 情報の保証の程度の違いをどのように情報利用者に伝えるかという問題もあ ると思われる。
IASBのMCステートメントは,財務諸表と記述情報とを統合した情報の 提供を可能にし,財務諸表情報の理解を高め,知的財産情報をはじめとして,
従来開示が期待できなかった情報の開示を促進することも可能になるともの と期待される。しかし,この統合的ディスクロージャーは,まだ緒についた ばかりであり,実際にMCステートメントが機能するためにはさらにいく つかの課題があるといえよう。
28) Canadian Institute of Chartered Accountants,Which IFRSs Are Expected to Apply for Canadian Changeover in 2011?, CICA, June 2009 (as of December 20, 2011, URL : http://www.cica.ca/ifrs/news/cdn-development-archive/item27646.pdf), p.3.
29)ただし,FASBも記述情報を含めた財務報告のあり方を検討しており,「ディス クロージャー・フレームワーク(Disclosure Framework)」というプロジェクトで現 在検討が進められている。なお,2012年前半に討議資料が公表される予定である
(as of December 20, 2011, URL : http://www.fasb.org/cs/ContentServer?c=Page&pagename=
FASB%2FPage%2FSectionPage&cid=1218220137074)。
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〔付記〕
本稿は,2009・2010・2011年度科学研究費補助金基盤研究C(課題番号 21530488)「企業の気候変動対策要因を考慮した企業価値評価モデルの株価 説明力に関する実証分析」(代表・阪 智香教授(関西学院大学))を受けた 成果の一部である。
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