我国銀行業態の分析(I) : 特にオーバー・ローンの 問題に関連して
その他のタイトル Japanese Banking in the Transition‑Period (I)
著者 森川 太郎
雑誌名 關西大學經済論集
巻 2
号 3
ページ 1‑23
発行年 1952‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/15857
我国銀行業態の分析︵森川︶
序
説
森
J I I
ーー特にオーバー・ローンの問題に関連して_—ー
我 國 銀 行 業 態
昭和二十七年度の﹁経済白害﹂︵経済安定本部編︶は︑昭和二十六年度中の我国経済の推移を︑朝鮮動乱プーム
( 1 )
の調盤過程として特徴づけている0敗戦直後の混乱から︑欠乏ィンフレーションの発展︑ドッヂ政策に依る安定恐
慌︑朝鮮動乱に基く跛行的ブームと激動を続けて来た我国の経済も︑斯くて漸く正常化の過程に入ったのであろう
か°勿論我国の経済にとつて正常化とは︑単純に戦前の均衡的状態への復怖と云うことではないであろう︒又正常
化の過程にあると去うことは︑戟に正常の状態に達したと去うことでもない︒事実経済の現状に於ては︑尚明かに
過渡的と見られる多くの現象を指摘することが出来るであろう︒
同じような問題は︑我国現在の銀行業態についても問題とせられ得る︒例えば咋年来論議の的とせられ︑現在尚
その状態が続いているオーベー・ローンの現象の如き︑これを単に一時的︑過渡的現象と目し得るであろうか°又
一応過渡的現象と見るとしても︑それは経済の如何なる事情と関連を有つものであるか°或いは経済の正常化と共
に自ら解消することが期待せられ得るものであろうか°更に又銀行の正常な業態とは何であり︑戦後に於ける銀行
の 分 析
( I )
太 郎
(単位百万Ill) 2眸 末 1切 年6月末
185,256 214,977 156,799 193,883 160,161 182,777 叫,198 32,034 437 1,041 114,776 136,445 10,745 13,253 1,246,249 1,374,8加
453,354 519,717 792,895 855,103 2,014,993 J2, 181,076
1,329,120 1,552,227 301,570 309,699 函 ,765 423,766 92,360 107,116 蜘 ,694 577,410 98,731 1糾,236 191,052 132,728 174,903 123,356
63,171 75,758 19,298 20,624
それ等に比し名目的に著 +==年以後に於ける預 業態はそれに対して如何なる推移を示しているであろうか0凡そこのような問題に関心を置きっL以下我国近年の
銀行業態の動きを分析し︑その経済的意義及び相関連する問題を考察しようと思うcこれに依つて我国に於ける銀
行業態の今後の動向を卜し︑叉広く金融制度の在り方に対する何等かの示唆を見出し得るならば幸いである︒
先づ我国の銀行が︑戦後の再建整備を終えて再出発した昭和二十三年以降の全国普通銀行主要勘定の推移を︑第
一表に示す0表には戦前の状態と比較する便宜の為めに︑昭和十一年末の主要勘定の数字を併記した︒しかしそれ
は必ずしも昭和十一年の状態を以て︑戦前の正常的状態とする意味ではない°統計的に観察すれば自ら明かである
如く︑銀行主要勘定の状態は︑戦前の銀行制度が整備せられた明治三十年代以後について見ても︑時に依つて相当
の変化を示している°簡単に正常的な銀行業態を一
k kすることは出来ない︒けれども戦後の経済的諸事情を戦前の 状態と比較する場合︑基準として昭和九年乃至十一年の数字を用うることが近頃の例である0依つて当面の問題に
ついても︑戦前の状態を示す︱つの基準として︑昭和十一年の数字を用うることにしたのである︒そしてこれを戦
前に於ける銀行業態の一標準となすことには︑相当の理由があると思われる︒ 我国銀行業態の分析︵森
J I I )
去うまでもなく昭和二
金︑貸出等諸勘定の金額
は︑戦後のインフレーシ
ョンの結果として戦前の
二
:
郁ち昭和九ー︱一年平均を
1とする東京卸売物価指数︵日銀調︶を用いて︵第一欄︶︑
標と見られる預金高の実質価値を計算し︵第三欄︶︑
以後の預金実質価値の割合を算出したのである︵第四欄︶︒ 第
表 全 国 普 通 銀 行 孟 要 勘 定
我国銀行業態の分析︵森
J I I )
更に昭和十一年末預金高の実質価値を一
00
とする二十三年 銀行活動の量的大いさの指 め に 第 二 表 を 用 意
した。
I
昭和11年末I
23年末I
24年 末I
2眸 末(安産)
現金及預ケ金 1,022 86,166 132,519 158,429
内 , 現 金 688 67,635 109,385 140,940
有 償 証 券 4,814 109,645 98,429 123,690
国 債 2,559 74,940 60,406 33,419
地 方 債 385 1,070 3,057 938
外 国 債 108
社 債 1,257 32,488 31,214 83,030
株 式 503 1,147 3,744 6,297
貸 出 金 6,765 332,007 579,710 852,106
割 引 手 形 1,077 54,420 141,573 255,445
俄 付 金 5,688 277,586 438,137 569,661
そ の 他 共 計 1 18,699
I I
11,502,708(査産負債共涌)
(負債)
預 金 11,007 463,669 711,437 928,592
当 座 預 金 1,346 135,668 183,334 240,030
哨 通 預 金 2,105 195,066 244,539 259,392
溺 知 預 金 662 34,644 47,199 62,672
定 期 預 金 6,337 65,555 168,943 266,455
その他預金 557 32,736 67,422 100,043
借 用 金 461 44,085 74,315 126,827
内, H 銀 71,169 117,569
株 主 勘 定 2,414 13,591 46,587
内 , 査 本 金 1,703 12,724 13,325 13,530
て︑概略の観念を得る為 に対する最的変化につい る銀行活動の戦前のそれ が︑こ4では戦後に於け
的 に 若 干 の 問 題 が あ る
化の測定については理論 るであろう0貨幣価値変 依つて修正する必要があ 金額を貨幣価値の変化に すに当つては︑各年次の 銀行活動の彙的比較をな て
戦 前 と 戦 後 に 於 け る
しく膨脹している
, o 従っ
第 2
表 職後に於ける預金の賓質償値
東
物 京債 卸指売数 預 金 高 昭貨算実和幣質しn債僕た年値末に換の 1昭00和と11す年る末預を
実 預値金の 金割実合質債値の
(昭和9 11年
(単位億田) (単位億円)
平均=1)*
昭和11年末 1.0 110 110 100
I/ 23 f/ 187.4 4,636 25 22.7
I/ 24 // 213.3 7,114 33 30.0 ,
,
25 ,, 284.4 9,285 認 30.0 // 26 // 356.2 13,291 37 認.6 ,, 27年6月末 347.8 15,522 45 40.9
我国銀行業態の分析︵森
J I I )
* 日銀調、物債指数は昭和11年については年平均、他は各年12月の指数、
尚昭和11年の指数がベースと同じ1となっているのは端数を切捨てた為
めであって、正確には1,036となっている。
預金構成と運用資産の構成であろう0先づ預金構成から見る 銀行の業態を視る上に於て何よりも問題となるのは︑その
預 金 構 成
ある
註 ︒
( 1 )
に当つて︑右の事実は一応留意せられるを要することがらで
経 済 安 定 本 部 編
︑ 経 済 白 書
︵ 昭 和 二 十 七 年 度
・ 年 次 経 済
報告︶二︑一九ーニ五頁︒ むであろう︒しかしその点は暫く措き以下の業態分析をなす ぃ°更に遡つて去えば全国普通銀行に於ける預金高の実質価値は︑二十三年末に於ては戦前の僅か二三彦︑以後漸増してはいるけれども︑二十七年六月末に於て尚戦前の四一劣の程度である0銀行預金の現在に於ける回復がこの程度であるこ
とは︑戦後に於ける人口の増加︑国民所得の水準︑生産回復
の程度等との対比に於て︑考え合わさるべき多くの問題を含 しているが︑その実質価値は十一年末の四五億円余に過ぎな 十七年六月末預金高は名目的に一兆五︑五ニニ億円余と著増 表に依ると昭和十一年末預金高︱
10
億円余に対して︑
四
第 5
表 全国普通銀行の預金構成(単位徽国)
我 国 銀 行 業 態の分析(森川)
I 預餃庁 I 要 亨 骨 閉 呵 痴
(B/A)匹 亨 琶 訂 金
%CC/A)匹附茫 I
劣CD/A)昭和11年 末 110 34 30.9 75 69.1
I
63 57.3If 23 If 4,636 3,307 71.3 1,329 28.7 655 14.1 /
/
24 // 7,114 4,278 60.1 2,835 39.9 1,689 23.7
I/ 25 I/ 9,285 4,994 53.7 4,297 46.3 2,664 28.7
り 26 // 13,291 6,823 5;1..3 6,467 48.7 4,556 34.3
!/ 27年6月末 15,522 7,334 47.2 8,187 52.8 5,774 37.2
に︑昭和二十三年以後我国普通銀行に於ける各種預金の額は︑既に第一表に示し
た通りである︒しかしこの点に関して常に問閻とせられるのは︑
と見られる流動的な預金と富の保有の一形態と考えられる貯蓄性預金との区別︑
並びに両者の構成割合である︒第一表の各種預金を︑この標準に照して如何に区
分するかに若干の問題があるが︑こ4では便宜的に当座預金と普通預金の合計を
流動的預金︵要求払預金︶とし︑その他の預金を一括して貯蓄性預金と見ること
にしよう°更に我国では従来特に定期預金が重要視せられたから︑これを別の一
項とし︑各たの預金額とその預金総額に対する比率を示すと第三表の如くであ
さて戦前我国銀行の預金構成に於ては︑流動的預金に比し貯蓄性預金の比率が
圧倒的に大であること︑
五
日常の支払資金
とりわけ各椋預金の中で定期預金の占める割合が甚だ大
であることが︑その特徴であった︒第三表に依ると昭和十一年末に於て貯蓄性預
金は預金総額の六九彩一︑そのうち定期預金は預金総額の五七彩︱︱︱となってい
る︒大体定期預金が預金総額の五0彩以上を占めるのが︑戦前に於ける預金構成
の常態であったと去うことが出来るであろう︒そしてこのような預金構成の状態
が︑アメリカ︑イギリス等の商業銀行に於けるそれと対眺的であるとせられたの
である︒即ちアメリカ︑イギリス等の商業銀行に於ては︑預金は当座預金又は要 る ︒
第 4
表 米・英商業銀行に於ける預金構成
United States (All Member Banks) (In millions of dollar's)
J Dec. 1936 j % j Oct. 1948/ %
I
Oct. 19511 劣Deposits 35,011 100 119,529 100 134,0幻 100 Demand 23,299 66.5 79,756 66.7 90,920 67.8 Time 10,830 30.9 28,748 24.1 30,200 22.5 Interbank 882 11,025 12,829
United Kingdom (11 London Clearing Banks)
(In millions of pounds sterling) Deposits 2,299.8 100 6,040 100 6,204 100
Demand 1,287.9 56.0 3,9町 65.0 4,140 66.7 Time 1,011.9 44.0 2,113 35.0 2,063 33.3
我国銀行業態の分析︵森川︶
これに対し我国普通銀行の預金構成比率は︑戦後著しく変化
られ
る︒
金総額の過半を占める状態は戦後に於ても変らず︑否寧ろその 彦︑ 盟銀行については戦前︵一九三六年︶五六疹︑ 行に於けるこのような預金樽成が︑近年如何なる傾向に向つて
で1)いるかを第四表に依つて見る︒
預金の比李は戦前︵一九三六年︶六六形五︑
一九五一年六七形八となつて居り︑
一九四八年六五
一九五一年六六%七となっている0要求払預金の比率が預
比率は漸次増大する傾向にあり︑最近に於てはその比率が両国
に於て共に七〇疹に近づきっ4あることが︑表に依つて知り得 した0昭和二十三年末に於て要求払預金の比率は七一彩︱︱‑︑貯
七 ︑
一九四八年六六冤
ロンドン手形交換所加 郁ちアメリカ連邦準備制庶加盟銀行について見ると︑要求払 に従うものとせられた︒そこでアメリカ及びィギリスの商業銀 を主軸とし︑その関係から又興信業務の面に於ても一定の制約 於て商業銀行は︑受信業務に於ては短期流動的な預金の受入れ 求払預金の額が︑期限附預金の額よりも大であり︑その意味に
̲,‑
. ,
、
我国銀行業態の分析︵森
J I I )
回避したであろうからである︒
七
蓄性預金のそれは二八疹七︑そのうち定期預金は預金総額の一四形一を占めるに過ぎない0昭和十一年末定期預金
の同じ比率が五七疹︱︱一であったに比して︑驚くべき比率の低下であり︑半面要求払預金の比率は︑アメリカ︑イギ
リスに於ける最近のそれよりも高いことが看取せられる0尤も二十三年末のこのような預金構成は︑明かに異常な
現象であって︑その理由もこれを推澗するに難くない︒即ち同年十月銀行の再出発に当つて︑旧勘定に属した旧円
預金︵その多くは貯蓄性預金であったと思われる︶の相当割合︵六大銀行では五五ー七〇疹︶が切捨てられて居り︑
且つこの時期は戦後ィンフレーションの高潮期であって︑何人も貨幣価値の下落を見越して︑期限附預金の保有を
ところがその後要求払預金の比率は漸次低下し︑貯蓄性預金︑定期預金のそれは次第に上昇して︑本年六月末に
於てそれぞれ四七彩二︑五二形八︑三七%
l
‑となっている︒即ち近年に於ける我国普通銀行の預金構成比率の変化
は︑アメリカ及びィギリスのそれと逆に︑要求払預金の比率漸減︑貯蓄性預金比率の漸増と去う傾向を示している
のである°けれどもこれは勿論ィンフ>ーションの安定︑生産の復興に伴う経済の正常化過程に於ける現象であっ
6 2 )
て︑この傾向が今後いつまでも続くとは考えられ得ない°問題は経済が略正常に近い状態に達したと解せられる時
に︑この預金構成が如何なる比率に落付くかにあるであろう︒現在のところ戦前の比率に近づく傾向は顕著である
が︑尚戦前の比率までには相当の距離があり︑又正常な預金構成の回復が︑単純に戦前の比率への復帰であるとな
し得ないことも勿論である︒近年に於ける証券知識の普及︑投資信託の発展等よりすれば︑貯蓄性預金の比率は︑
戦前よりも若干低い水準に止まることが考えられると同時にへ我国に於ける公衆の投資知識から見て︑アメリカ︑
イギリス等に於けるそれよりは︑相当高い構成比率を保つことになるのではないかと思われる︒
第 5表
全国普逼銀行運用査産の構成(単位億田)
貸出+
閉 懇
(B% /AJ (C% /B)閉
昭和11年 末 115 48 25 41. 7 52.0
/ /
23 // 4,416 1,096 749 ・24.8 68.3
I/ 24 I/ 6,781 984 604 14.5 61.3
I/ 25 I/ 9,757 1,236 怨 12.6 切.0 ,
,
26 ,, 14,065 1,601 341 11.3 21.2
,,'Zl年6月末 15,575 1,8切 320 11.7 17.5
註
( 1 )
一九
︱
ハ年の数字はt H
Le ag ue o f N a t i o n s , o M ne y a nd
.B a 巳
i ng
19
37
/ 器 ︑
V o l .
I
Co mm er ci al a nd e n C t r a l B a nk s, Ge ne va ,
l ,̲ 9
3 8.
に依る︒ィギリスについてのこの年の預金額は︑十二月中の平均であり︑又預金の分類はC日
r e n t Ac
e 0日
i t s
と
D ep o s it Ac co un ts
とになっている
( C o n f . i b i d . ,
p .
1 9 4 ) ︒他の年度の数字は
F ed e r al Re se rv e B u l l e t i n . I L 依る
︒
( 2 )
因みに戦後定期預金増加の障碍と見られていた種々の原因が︑最近多く取除かれたことを注意しよう︒即ちインフレー ションは安定し︑相対的に低くかった預金利子も昨年二回に亘つて引上げられ︑保出利子と略均衝を得るに至った︒今年
に入っては無記名定期預金が復活せられ︑税制上の不利も一応取除かれたと見られている︒ 我国銀行業態の分析︵森川︶
し ︑
(B
)
次に転じて運用資産の構成を見よう0今第一表から
C A )貸出金と有価
証券の合計額︑
( B
)
有価証券保有額︑
( C
)
そのうち国債保有額を抽出
の
( A )
に対する比率及び
( C )
の
( B )
に対する比率を計算
して表示すると︑第五表の如くになる︒
こ4でも戦前の一基準として昭和十一年の数字をとつて見ると︑貸出・
証券合計額に対する証券保有額の比率は四一彦七︑証券保有額のうち国債
の占める割合は五二疹となつている0このような比率は必しも昭和十一年
だけに限らず︑戦前我国に於ては運用資産の四〇乃至五〇彩が有価証券で
保有せられ︑又保有有価証券の凡そ五0%が国債であることが︑銀行業態
の常とせられていた︒これに対し外国に於ける商業銀行の資産運用は如何
なる状態を示しているか0前節に倣いアメリカ及びイギリスの商業銀行に
運 用 資 産 の 構 成
八
第 6
表 米・英商業銀行に於ける運用資産構成
我 国 銀 行 業 態の分析(森川)
United States (All member Banks) {In millions of dollars) I
儡 %
loct.1948 % Oct.1951 劣Loans 13,360 35,310 48,635 Investments・ 19,640 ,59.5 60,142 63.0 61,697 55.9
U.S. Government Obligation 13,545 68.9 52,681 87.6 5o,972 82.5 Other security 6,095 7,462 10,725 Total Loans and
Investment 33,000 95,452 110,332 United Kingdom (11 London Clear(iInng Banks)
millions of pounds sterling) Bills Discounted 322 802 1,330 Treasury Deposit Receipts 1,313 1切 Securities 660 35.2 1,475 29.5 1,555 31.1 Loans to Customers 885 1,365 1,910 Total Loans and Investment 1,867 5,007 4,992
I
九
ィギリス大銀行の証券投資の比李はアメリカ諸銀行の 証券であるかは明示せられていないが︑恐らくその大
( 1 )
部分は政府証券であると考えてよい°叉右の数字では
それに比して相当低いようであるが︑これについては 表に見られる如くである︒そしてこのうち幾何が政府 一九四八年二九疹五︑一九五一年︱︱︱二ごとなること に於ける証券投資の比率は一応︑一九三六年三五彩二︑ ロンドン手形交換所加盟銀行に於ては︑運用資産中 七痴六︑八二疹五と八〇疹以上にも上つている︒ 九と大体六0%の線を上下し︑後者の比率は同じく八 する証券投資額の比率は五九疹五であり︑そのうち政 る
と︑
一九三六年︵戦前︶に於て貸出・証券合計額に対 即ち先づアメリカ連邦準備制度加盟銀行について見 製すると凡そ第六表の如くである︒
一九五一年五五痴 府債券に対する投資額は六八疹九に及んでいる︒戦後
前者
の比
率は
一九
四八
年六
一︱
︱彩
0︑ ついての簡単な統計を︑第四表と同じ資料に基いて作
それ等と︑大差なき状態に達するのではないかと思われる︒ 尚次の如き事情を考慮に加えなければならない︒郎ちィギリスの銀行については証券︑貸出の外に割引手形
( B i l l s D i s c o u n t e d )
と国庫預ケ金
( f r e a s u r y D e p o s i t R e c e i p t s )
とが別の項目として示されている︒
に説明を要しないが︑注意すべきは︑このうちには年度に依つて相当多額の大蔵省証券
0 2 )
まれていることである︒又国庫預ケ金は第一一次大戦中に於けるイギリスの財政政策の結果としてあらわれた項目で
あるが︑実質は政府に対する期限六ヶ月の低利貸付金であり︑これも亦一種の政府債券と見ることが出来る0故に
割引手形中の大蔵省証券及び国庫預ヶ金を︑政府証券として証券投資の額に加えるならば︑イギリス大銀行の証券
投資額並びにその中に於ける政府証券保有額の各比率は︑相当高いものとなるであろう°或いはアメリカ諸銀行の
いづれにしても右に依つて知られることは︑アメリカ及びイギリスに於ても商業銀行の資産運用に於ては証券投
査の比率が相当高く︵概ね五〇疹以上︶︑証券のうちでは政府証券が圧倒的な割合を占めていること︑並びにそれ
等の点に於ては︑戦前に於ける我国普通銀行の運用資産の構成も略同様であったことである︒そして尚アメリカに
於ては︑戦後この傾向の一層強くなつていることが併せて注意せられ得る︒
ところが我国普通銀行に於ける運用資産の構成は︑近年如何なる傾向を辿つているか9
再 び 第 五 表 に つ い て 見 るに︑貸出・証券合計額に対する証券保有額の比率は昭和二十一l一年二四疹八︑二四年一四彦五︑二十五年︱︱一劣六︑
二十六年
l l
彦三︑二十七年六月︱︱疹七と戦前に比して著しく低下し︑而も本年六月末を除いて逐年低下の一途
を辿つている0叉証券保有額のうち国債の占める比率は︑二十三年及び二十四年にはそれぞれ六八疹三︑六一劣︱︱︱
と却つて戦前の比李より大となつているが︑二十五年以後は二七彦0︑ニ︱劣二︑一七疹五とこれ亦急激な低下を 我国銀行業態の分析︵森川︶
( T r e a s u r y B i l l s ) が含
割引手形は特
10
我国銀行業態の分析︵森川︶
四 ォ ー バ T o
口T
ン の 問 題
が考えられる︒ 示している︒即ち仮りに戦前の状態を基準とすれば︑我国普通銀行の運用資産構成は近年著しい異常状態を呈しているわけであり︑これをアメリカ及びィギリスに於ける近年の傾向に比較すれば︑全く反対の方向に進んでいると
銀行の運用資産に於て証券投査額の占める割合が低下することは︑半面から去えば貸出額の比率が増大すること
である0
そして上にも見た如く近年我国に於てはこの傾向が甚だしく︑証券投資の比率は二十四年以降一〇彦台 に下り︑最近には一ー%余の低李にまで落ちているのである︒こ4に所謂オーベー・ローンの問題が生じて来る︒
そして証券投資比率の低下に関連しては︑証券保有額のうちに於ける国債保有額の比率が亦著しく低下している事
実を見逃してはならない0郎ち銀行に於ける国債保有額の比率低下は︑
註
( 1 )
C o n f . League
f o N a t i o n s , o C mm er ci al a nd Ce n t r a l Ba n k s , G en e v a,
1 9 3 8 ,
p ,
1 8 5 .
(2
)
前出
Le ag ue o f N a t i o n s , C om me rc ia l an d C e n t r a l Ba nk s
に依れば︑割引手形中に於て大蔵省証券の占める割合は︑
一 九︱ ︱
‑ 0
年には約五0
%であったが︑その後著しく増加しているであろうと云う
( I b i d . ,
p .
1 8 5 .
) ︒尚我国の銀行に於ける
大蔵省証券その他短期国債の保有額は︑一ぞうまでもなく国債の中に含まれている︒
所謂オーバー・ローン
( o v e
l o r
a n )
の語に対しては︑特に厳密な定義が存するわけではない︒文字通りに解す
れば銀行の貸出額が預金額を超過することを意味するであろうが︑近来履人用いられている意味は相対的であっ
て︑貸出額の預金額に対する比率が過当に高いと考えられる場合を指して︑ 去わなければならない︒
一般にオーペー・ローンと称するよう
ォー
・︿
l.ローンの現象と関係のあること