論文の内容の要旨
氏名:石 井 倫 子
専攻分野の名称:博士(医学)
論文題名:Caffeine呼気試験によるcaffeine代謝関連single nucleotide polymorphismの同定
13C-caffeine breath test (CBT) はcaffeineのメチル基に13Cを標識しており, caffeine代謝関連single nucleotide polymorphism (SNP) が脱メチル化に影響していれば結果に影響する. Caffeine-N-3-methyl-
13C breath test (N3CBT) およびcaffeine-trimethyl-13C breath test (TriCBT) でcaffeine代謝関連SNPs が同定可能であるかを検討した.
N3CBTは若年健康成人130例 (平均年齢21.9歳, 男性97例, 女性33例), TriCBTは若年健康成人132 例 (平均年齢 21.8歳, 男性 101例, 女性 31例) に施行した. 施行前に唾液とコントロール呼気を採取し, caffeine-N-3-methyl-13Cまたはcaffeine-trimethyl-13C 100 mgを蒸留水100 mlに溶解し内服した. 内服 後は10分間隔で呼気を90分まで採取し, 呼気中13CO2の変化 (Δ13CO2 ‰) を測定した. 測定結果は90分 までのΔ13CO2の総和をS90mとし, ROC解析で検討し, Δ13CO2に影響する因子は一般化線形混合モデルで 検討した. Caffeine 代謝・感受性に関わる SNPs (CYP1A2 : rs762551, rs2472297, AHR : rs4410790, ADORA2A : rs5751876) をTaqMan® SNP Genotyping Assayで解析した.
N3CBTのS90mでは, rs4410790のgenotype C/CとT/T間にのみ有意差を認め, C/Cが有意に高値であっ た. Genotype C/C を 陽性と した曲線下 面積 (AUC) は 0.768 で あ った. Δ13CO2 に 影響する 因子は rs4410790のgenotypeとcaffeine消費量であった.
TriCBTのS90mでは, rs4410790のすべてのgenotype間に有意差を認め (Genotype C/C > T/C > T/T), 喫煙者は非喫煙者に比べ有意に高値であった. Genotype C/Cを陽性としたAUCは0.758であった. Δ13CO2
に影響する因子はrs4410790のgenotypeと喫煙の有無であった.
rs2472297のgenotypeは全例がC/Cであり, rs762551とrs5751876のSNPsは両CBTのS90mとΔ13CO2
に影響していなかった.
Caffeineの脱メチル化はCYP1A2の遺伝子発現を調節するAHRのSNPであるrs4410790のgenotype に依存しており, N3CBTではcaffeine消費量, TriCBTでは喫煙に影響されることを示した. 若年健康成人 であれば, CBTでAHR のSNP であるrs4410790 のgenotypeが同定可能であることが示唆された.