第2回レポート問題(黄金週間特集) :
今回は全員にやってほしい問題と,やりたい人がチャレン ジする問題に分けました.問
2:
(全員がやる)三角関数のテイラー展開を用いて,実際に数値計算をしてみよう.(i) sin x
のマクローリン展開の公式を自分で導出せよ.(単にあの公式を,一般の場合のテイラーの公式から導け,というわけ.)
(ii)
この場合の剰余項R n (x) := (−1) n (2n − 1)!
Z x
0
(sin y) (x − y) 2n−1 dy
は,¯ ¯ R n (x) ¯
¯ ≤ |x| 2n
(2n)! (n ≥ 1)
を満たすことを示せ.この場合,sin の値は
−1
と1
の間にあることを使って良い.(iii)
実は,x >0
では,sinx
とS n (x) =
n−1 X
k=0
(−1) k x 2k+1
(2k + 1)!
の間に簡単な上下関係がある.つまり,n
が奇数ならsin x ≤ S n (x), n
が偶数ならsin x ≥ S n (x)
なのだ.これを証明せよ.(高校までの知識でできるから,やったことのある人も多いはずだが.)
(iv)
上の誤差評価を用いて,sin 1 (sinx
のx = 1
での値)を近似的に求めよう.(注意:sin 1の値は関数電卓 やコンピューターでは簡単に求まるが,検算以外にはそれを用いてはいけない.)n= 1, 2, 3, 4
くらいのそれぞれのn
について,• S n (x)
の値を計算せよ(もちろん,ここではx = 1).
• (ii)
の|R n (1)|
の上限の値,または(iii)
で証明した上下関係を使って,sin 1の値がどの範囲にあるはずか,計 算してみよ.n
を大きくしていくと,精度が上がっていく様子が見えるだろうか?(v)
(ある程度プログラミングのできる人向けの発展問題;全員がやらなくても良い)根性のある人は,このマ クローリンの公式でn = 10, 20
位のものをコンピューターで計算させてみよう.x= 1
だけでなく,x= π
では本 当にゼロに近くなっているのか,などをやってみるのも面白い.(注)テイラー(マクローリン)の公式の左辺は
sin x
であるから,右辺のn
を何にとるかにはよらない.しか し,右辺の上限と下限はn
に依存し,一般にはn
を大きくすると精度が上がる.上の問いではこれを体感してもら うことも狙っている.問
3:
(ニュートン法に関するチャレンジ問題)これは面白い題材なのだが,講義でやる暇がないため,「チャレ ンジ問題」にする.(0)
まず,教科書12〜13
ページの「ニュートン法」の解説を読め.証明はともかく,どのような計算をするのか,教科書
13
ページの例で理解せよ.(i)
では,具体例をやってみよう.f(x) = x(x 2 − 4) = x 3 − 4x
を考え,f(x) = 0
を解く.もちろん,この場合は 因数分解できてるからx = 0, ±2
が解とわかって面白くないんだが,敢えてニュートン法を使ってみる.x0 = 3
か ら出発してニュートン法を用いてx 1 , x 2 , ...
をいくつか求めよ.limn→∞ x n
はどこに収束しそうか?更にこのとき,x n
のn
が増えるごとに,xn
と真の解の誤差はどのくらいの速さで減っていくか?(ii)
多項式だと面白くないから,f(x) = cos x − 1/ √
2
として,f(x) = 0
の解を求めよう.つまりx 0 = 1
から出 発して,ニュートン法を用いてx 1 , x 2 , ...
をいくつか求めよ.行き先は当然予想されるπ/4
になっていそうか?(こ の問題の場合,労力を省く為に,cosと1/ √
2
の値は関数電卓やコンピューターで計算しても良い.)(iii)
これは教科書の定理1.3.6
の適用範囲外なのだが(why?)f(x) = cos x
に対して(ii)
と同じことをやってみ よ.行き先は当然予想されるπ/2
になっているか?(iv)
(ちょっと大変;理論的な問題)よく見ると,上の(i)(ii)
と(iii)
では誤差の減り方に違いがあるはずだ.こ の違いは何なのか?どのような関数の時は,どのような誤差の減り方になるのだろう?このようなことは「数値解 析」の本を見ると絶対に載っているはずだが,自分でいろいろとやってみるのも面白いと思うよ.第2回レポートの解説 問2の解答例.
(i)
一般の場合のテイラーの公式(積分型の剰余項)はf(x) = S n (x) + R n (x), S n (x) :=
n−1 X
k=0
f (k) (a)
k! (x − a) k , R n (x) :=
Z x
a
f (n) (y)
(n − 1)! (x − y) n−1 dy (1)
であるので,f(x) = sin x,a = 0
とすれば良い.f(k) (0)
がゼロでないのはk
が奇数の時のみであることに注意し て具体形を書いてみると(ただしn
項までとったものがS
になるように,上の表式ではS 2n−1
に相当するものを かんがえる)sin x = S n (x) + R n (x), S n (x) =
n−1 X
k=0
(−1) k
(2k + 1)! x 2k+1 , R n (x) = (−1) n (2n − 1)!
Z x
0
(x − y) 2n−1 sin y dy (2)
となる.
(ii)
このような評価は高校ではほとんどやらなかっただろうから,面食らった人も多いだろう.高校ではこのよ うな場合,「まず絶対値をはずせ」と習ったかもしれないが,その方向にいくのは却って良くない.ここは以下の簡単な不等式
¯
¯ ¯
¯ Z b
a
f (x)dx
¯ ¯
¯ ¯ ≤ Z b
a
|f (x)| dx (a < b
は任意の実数)(3)
を用いるのが良い(もちろん,この不等式は両辺の積分が存在するときにのみ意味がある).この不等式そのもの は定積分と面積の関係を考えると納得できるはずだし,より基本的な
a < x < b
でf (x) ≤ g(x) = ⇒
Z b
a
f (x)dx ≤ Z b
a
g(x)dx (4)
を用いても出てくる.
ともかく
(3)
をR n (x)
に用いると(x >0)
¯ ¯ R n (x) ¯
¯ =
¯ ¯
¯ ¯ (−1) n (2n − 1)!
Z x
0
(x − y) 2n−1 sin y dy
¯ ¯
¯ ¯ ≤ 1 (2n − 1)!
Z x
0
(x − y) 2n−1 | sin y| dy
≤ 1 (2n − 1)!
Z x
0
(x − y) 2n−1 dy = x 2n
(2n)! (5)
と評価できるのだ.(2段目では
| sin y| ≤ 1
を用いた).x <0
の時は同様にしてもできるが,それよりもR n (x)
がx
の奇関数であることに注目すればx > 0
の結果からすぐに出る.(3)
や(4)
はこれからも何回も出てくるだろうから,できるだけ慣れるようにしよう.(iii)
2通りのやり方がある.(やり方その1)微分して出してみる方法
f n (x) = sin x − S n (x) (6)
を考えて,この関数の増減表を作ろう.(以下,x >
0
をまず考える.x <0
はf (x)
が奇関数なのですぐにわかる.) 2回微分すると,f n
0(x) = cos x −
n−1 X
k=0
(−1) k (2k)! x 2k , f n
00(x) = − sin x −
n−1 X
k=1
(−1) k
(2k − 1)! x 2k−1 = −
· sin x −
n−2 X
l=0
(−1) l (2l + 1)! x 2l
¸
= −f n−1 (x) (7)
となるので,要するに2回微分するごとに
f k
のk
が小さくなったものが出てくる(かつ,符号が変わる)わけだ.従って特に,
f n (2n−2) (x) = (−1) n−1 f 0 (x) = (−1) n−1 (sin x − x), f n (2n−1) (x) = (−1) n−1 (cos x − 1) (8)
が得られる.cos
x ≤ 1
だから,全てのx
で(−1) n f n (2n−1) (x) ≤ 0 (9)
なのだ.また,x
= 0
での値はf n (0) = f n (1) (0) = . . . = f n (2n−2) (0) = 0 (10)
となっている.そこで我々の問題は(9)
と(10)
を満たす関数f n (x)
の正負を調べることに帰着された.以下,考えやすいように
n
を奇数とする.この場合,fn (2n−1) (x) ≤ 0
であるから,関数f n (2n−2) (x)
はx > 0
で非 増加である.しかし,fn (2n−2) (0) = 0
だから,これからすべてのx > 0
でf n (2n−2) (x) ≤ 0
が結論できる.今度はこれをインプットとして
f n (2n−3) (x)
を考えると,こいつも非増加であって,fn (2n−3) (0) = 0
と併せると,x > 0
でf n (2n−3) (x) ≤ 0
が結論できる.以下同様に,fn (k) (x) ≤ 0(x > 0)がすべての 0 ≤ k ≤ 2n − 2
で結論でき る.特に,k= 0
の場合を書き下すと,x > 0
にて0 ≥ f n (x) = sin x − S n (x) (11)
がわかる訳だ(ただし,nは奇数だったことに注意しよう.nが偶数の場合は正負が逆になるだけなので,各自お ぎなうこと).
(やり方その2)積分型の剰余項を直接評価.
R n (x)
の中の積分をI n (x)
と書く.つまり,I n (x) = Z x
0
(x − y) 2n−1 sin y dy. (12)
x > 0
でI n (x) ≥ 0
であることを証明すれば十分だ.(x <0
に対しては,I n (x)
が偶関数であることを用いればよい.) さて,この積分の非積分関数のうち,(x− y) 2n−1
はいつも正である.さらに,0< x < π
ではsin y
も正である.従って,この
0 < x < π
では積分結果のI n (x)
自身も正でメデタイ.問題は
x > π
の場合だ.この場合,sin y
が負になる部分もあるから,今までの議論では足りない.まず,π ≤ x < 2π
の場合に限って考えてみる.この時はx = π + a
(0≤ a < π)と書ける.そこで積分を y = π
で二つにわけ,y > π
ではz = y − π
に変数変換すると,Z x
0
(x − y) 2n−1 sin y dy = Z π
0
(π + a − y) 2n−1 sin y dy + Z π+a
π
(π + a − y) 2n−1 sin y dy
= Z π
0
(π + a − y) 2n−1 sin y dy − Z a
0
(a − z) 2n−1 sin z dz
= Z a
0
{(a + π − y) 2n−1 − (a − y) 2n−1 } sin y dy + Z π
a
(a + π − y) 2n−1 sin y dy (13)
となる.この形にすると,非積分関数はどこも非負だ
——
今はn ≥ 1
ゆえ,(a+ π − y) 2n−1 − (a − y) 2n−1 ≥ 0
だし,siny
も非負.従って,この積分は正であると結論できる.x > 2π
の時も,同じアイディアで証明できる.以下に概略を示すから,興味のある人は自分で細部を埋めてほしい.(概略)区間
[0, π]
と[π, 2π]
の寄与を上の段落と同じアイディアで比べると[0, π]
からの正の寄与が[π, 2π]
から の負の寄与よりも大きいことがわかる.従って[0, 2π]
からの積分は正である.同様に区間[2π, 4π]
からの寄与も正,以下同様に
2π
ごとに切っていった区間の寄与が全て正であることが言える.最後に残った2π
に満たない部分の寄 与はπ < x < 2π
の場合と同様にして非負であることがわかる.(iv)
(やり方その1:(ii)の上限を用いて)まず,考え方を
n = 2
の場合について述べるので,しっかり把握して欲 しい.n= 2
ではS 2 (1) = 1 − 1 6 = 5 6
である.また(ii)
から|R 2 (1)| ≤ 1 4 = 24 1
である.この片側をR 2 (1) ≤ 24 1
と 書くと,sin 1 = S 2 (1) + R 2 (1) = 5
6 + R 2 (1) ≤ 5 6 + 1
24 = 21 24 = 7
8 = 0.875 (14)
が結論できる.同様に,R
2 (1) ≥ − 24 1
を用いるとsin 1 = S 2 (1) + R 2 (1) ≤ 5
6 − 1 24 = 19
24 = 0.7916666... (15)
が得られる.つまり,n
= 2
の場合から,sin(1)の値が上の2つの間にあるとわかった訳だ.他の
n
でもやることは同じである.ただし,その際,Rn (1)
がn
とともに急速に小さくなっていくことは実感と して把握してほしい.n S n |R n |
の上限(ii)
によるsin 1
の下限(ii)
によるsin 1
の上限1 1 1 2 1 2 3 2
2 5 6 24 1 0.791667 0.875
3 101 120 720 1 0.840277 0.843056
4 4241 5040 40320 1 0.841443 0.841494
5 305353 362880 3628800 1 0.84147073 0.84147129
これ以上の
n
では|R n |
の上限が非常に小さいので,sin 1の上限と下限を書くのは得策ではあるまい.結果は以 下のようで,sin 1の値は下の表の(第2列)±
(第3列)の間にある.なお,小数点以下は5桁ごとに空白を入れた.これで第2列のどの桁まで信用できるか,第3列と比べやすくなるはずだ.
n S
n(1) |R
n(1)|
の上限1 1.00000 00000 00000 00000 00000 0.50000 00000 00000 00000 00000 2 0.83333 33333 33333 33333 33333 0.04166 66666 66666 66666 66666 3 0.84166 66666 66666 66666 66666 0.00138 88888 88888 88888 88889 4 0.84146 82539 68253 96825 39682 0.00002 48015 87301 58730 15873 5 0.84147 10097 00176 36684 30335 0.00000 02755 73192 23985 89065 6 0.84147 09846 48067 98140 13147 0.00000 00020 87675 69878 68099 7 0.84147 09848 08658 41976 95309 0.00000 00000 11470 74559 77297 8 0.84147 09848 07893 70339 63489 0.00000 00000 00047 79477 33239 9 0.84147 09848 07896 51485 36032 0.00000 00000 00000 15619 20697 10 0.84147 09848 07896 50663 29680 0.00000 00000 00000 00041 10318 11 0.84147 09848 07896 50665 25409 0.00000 00000 00000 00000 08897 12 0.84147 09848 07896 50665 25023 0.00000 00000 00000 00000 00016
(やり方その2:(iii)の結果を用いて)
(iii)
の結果によると,S2k (1) ≤ sin 1 ≤ S 2k−1 (1)
である(k= 1, 2, 3, ...).
つまり,上の表の
S n (1)
の値は,nの偶奇によって上限と下限になっていた訳だ.この事情をわかりやすいように別 の表にしてみると,以下のようになる(表中のk
はS n
のn
とn = 2k
またはn = 2k − 1
の関係にある).なお,表 では完全な上限と下限を与えるため,上限の方は小数点以下41桁目を切り上げ,下限の方は切り下げにした.こ のため,四捨五入で出した値と最後の桁がわずかにズレている場合がある.k S
2k(1)
,つまり下限S
2k−1(1)
,つまり上限1 0.83333 33333 33333 33333 33333 33333 33333 1.00000 00000 00000 00000 00000 00000 00000 2 0.84146 82539 68253 96825 39682 53968 25396 0.84166 66666 66666 66666 66666 66666 66667 3 0.84147 09846 48067 98140 13147 34648 06798 0.84147 10097 00176 36684 30335 09700 17637 4 0.84147 09848 07893 70339 63488 98994 40163 0.84147 09848 08658 41976 95308 80641 99176 5 0.84147 09848 07896 50663 29679 97890 83512 0.84147 09848 07896 51485 36032 44515 16484 6 0.84147 09848 07896 50665 25022 57252 52007 0.84147 09848 07896 50665 25409 38954 22639 7 0.84147 09848 07896 50665 25023 21630 18602 0.84147 09848 07896 50665 25023 21722 02293 8 0.84147 09848 07896 50665 25023 21630 29899 0.84147 09848 07896 50665 25023 21630 29913
参考までに:sin(1)の値をMaple
に訊くと,最初の50桁はsin 1 = 0.84147 09848 07896 50665 25023 21630 29899 96225 63060 79837 (16)
らしい.もちろん,上のテイラー展開の上限・下限とは矛盾はない.
(v) sin(1)
の方は十分に上でやったから,sinπ
のテイラー展開の方をやってみよう.結果は以下のようになる.k S
2k(π)
,つまり下限S
2k−1(π)
,つまり上限1 -2.02612 01264 60176 79078 34091 3.14159 26535 89793 23846 26434 2 -0.07522 06159 03623 42381 49709 0.52404 39134 17168 65307 27685 3 -0.00044 51602 38209 54579 34277 0.00692 52707 07504 80498 38314 4 -0.00000 07727 85889 76344 48344 0.00002 11425 67558 06677 09930 5 -0.00000 00005 28918 61316 34290 0.00000 00224 19510 38410 64441 6 -0.00000 00000 00170 61861 95483 0.00000 00000 10347 85309 73838 7 -0.00000 00000 00000 02925 61446 0.00000 00000 00002 40330 50354 8 -0.00000 00000 00000 00000 29085 0.00000 00000 00000 00031 08708
問3 要するに数列
x n+1 = x n − f (x n )
f
0(x n )
を計算して,感じるところを述べよ,という問題.(i) f (x) = x(x − 2)(x + 2)
だから,xn+1 = x n −
である.x0 = 3
から出発してこの漸化式を(数値的に)計算し てみると,3, 2.347826, 2.064614, 2.002911, 2.000006, ... (17)
となっていき,確かに
2
に近づいていることがわかる.より詳しい近づき方の解析は,(ii), (iii)と一緒に,後で載 せる.(ii)
今度はf (x) = cos x − 1
√ 2
から,xn+1 = x n + cos x n − 1/ √ 2
sin x n
である.これをx 0 = 1
から計算すると,順に0.8017703779, 0.7855285983, 0.7853981719, 0.7853981633, ... (18)
となって,目標のπ 4 ≈ 0.7853981633974483...
に近づいている.より詳しい結果は(iii)
と合わせて載せる.(iii)
今度はx n+1 = x n + cos x n
sin x n
である.x0 = 1
から出発した最初の数項は1.642092615934, 1.570675277161, 1.570796326795, 1.570796326795 (19)
で,やはり目標の
π 2
に近づく.(iv)
考察.以上の近づき方をもっと良く見るため,(i), (ii), (iii)それぞれのx n −
(目標値)を表にしたのが,下 である.(目標値)とは,(i)では2, (ii)
ではπ 4
,(iii)ではπ 2
のことである.n (i) (ii) (iii)
1 3.48 × 10
−016.55 × 10
−021.43 × 10
−012 6.46 × 10
−025.22 × 10
−04−2.42 × 10
−043 2.91 × 10
−033.40 × 10
−081.18 × 10
−124 6.34 × 10
−061.45 × 10
−16−1.38 × 10
−375 3.01 × 10
−112.62 × 10
−332.18 × 10
−1126 6.81 × 10
−228.55 × 10
−67−8.63 × 10
−3377 3.48 × 10
−439.15 × 10
−1345.36 × 10
−10108 9.06 × 10
−861.05 × 10
−267 計算できず9 6.15 × 10
−1711.37 × 10
−535 計算できず10 2.84 × 10
−3412.33 × 10
−1071 計算できずこの表を見れば,いくつかのことに気づくであろう.まず,
(i), (ii)
と(iii)
ではx n −
(目標値)の正負が異なる.また,これがゼロに行く速さも,違うようだ.(nを増やすごとに誤差はどうなっているか?)
この違いは何に起因してるのだろうか?ここで答えを書くのは簡単だが,割合と良いところまで攻め込んでいた 人もいたので,今回はここまで.興味のある人はこの後,これらの違いがなぜ出てきたのか,考えてみると良いだ ろう.(ヒント:x
n+1 − x n
とx n+2 − x n+1
の間にどんな関係がなりたちそうか,考えてみよ.)第3回レポートの解説 問4:
以下,²
≤ 10 1
くらいのみを考える.² >10 1
ではN
をN ( 10 1 )
ととれば十分だからだ.(a)
問題の数列をa n
と書く.まず,収束先の見当をつけよう.a n = 2n + 1
n + 1 = 2 − 1
n + 1 (20)
であるから,収束先は
2
だと予想できる.また,収束していく時の誤差は上の通り,n+1 1
のはずだ.これをもとに 考えて,以下の解答になる.² ≤ 10 1
を任意に固定する.この²
に対し,N(²) = j 1
² k
(21)
と定義する.すると,n≥ N (²)
では¯ ¯ a n − 2 ¯
¯ = 1
n + 1 ≤ 1
N (²) + 1 = 1
b 1 ² c + 1 (22)
となるが,任意の実数
α
に対してbαc ≥ α − 1 (23)
ではあるから,
b 1
² c + 1 ≥ 1
² − 1 + 1 = 1
²
であり,従 っ て1
b 1 ² c + 1 ≤ 1
1
²
= ² (24)
が成り立っている.よって,結局,(21)のようにとると,
n ≥ N (²) = ⇒ ¯
¯ a n − 2 ¯
¯ ≤ ² (25)
が成り立つことがわかる.これは
²-N
による定義を満たしているからa n
は2
に収束することが証明された.(注)上では一番効率の良い(最小の)N(²)を見つけたが,こうする必要はない.以下のような取り方でも(効 率は悪いけど)十分である.
N(²) = 3 j 1
² k
, j 1
² 2 k
, j 1
² k
+ 10 4 , ... (26)
(注)N(²)の定義として,「N(²)は
1 ²
より大きい整数」としてしまうのも一法だ.これなら,ややこしいガウス 記号などを省略できる.(注)N
(²)
を求めるには,|aN − ²| ≈ ²
を近似的にでも解いてみて,そのあとで(1を足したり,何倍かしたり して)厳密に不等式がなりたつように調整すれば良い.上の例ではn+1 1 = ²
を解いてみて見当をつけた.b)
行き先がゼロであることは容易に見当がつくだろう.log(n+ 1) ≈ 1/²
を解くとn + 1 ≈ exp(1/²)
だから,大 体このようなN (²)
が良いと思われる.実際の証明は以下の通り.² ≤ 10 1
を任意に固定する.この²
に対し,N (²) = j exp ³ 1
²
´k
(27)
と定義する.すると,n
≥ N (²)
ではlog(n + 1) ≥ log ¡
N(²) + 1 ¢
= log nj
exp
³ 1
²
´k + 1
o
≥ log n
exp
³ 1
²
´o
= 1
² (28)
となり,
¯
¯ ¯ 1
log(n + 1) − 0
¯ ¯
¯ ≤ 1
1
²
= ² (29)
がなりたつ.よって,この数列は
0
に収束する.(注)²
= 0.1, 0.01, 0.001
などを場合にN(²)
がどのくらいの大きさになるか,各自やってみること.問5:
これはちょっとした出題ミスで,0.01 +
n 1
くらいの方が良かったかも.ともかくやってみる.収束しないことの定義は,「ある
² > 0
に対しては,すべてのN
に対しても,n > Nかつ|a n − 0| > ²
となるn
が存在する」ということになる.数式では∀² > 0 ∃N ∀n ≥ N |a n − α| ≤ ² (30)
の否定命題が∃² > 0 ∀N ∃n ≥ N |a n − α| > ² (31)
だから.さて,この問題では,例えば
² = 0.1
とでもとってみると(じつは² = 1
でも十分なのだが),|a n − 0| = 1 + 1
n > ² (32)
が全ての
n ≥ 1
でなりたってしまう.ので,「収束しない」の条件を満たす.(注)出題ミスというのは,全ての
n ≥ 1
で(32)
が成り立ってしまうから,教訓的でないと言う意味だ.もしa n = 0.01 + n 1
ならば,(1)² <0.01
ととる必要があり,(2)更に,nも大きくとる必要があったので「良い問題」だったと思われる.ということで,各自で,a
n = 0.01 + n 1
の場合の証明をやってみること.(注)もうこだわらなかったが,(31)での
N
にまで(²)
をつける必要はない.これはあくまで,²-依存性を強調 するためのものである.この否定命題では既に²-依存性は失われている.
問6:
行き先が2つあるとして矛盾を導けば良い.いま,
lim
n→∞ a n = α
かつlim
n→∞ a n = β
だと仮定して,これを²-N
で 書いてみると,任意の² > 0
に対してN α (²)
とN β (²)
があって,³
n ≥ N α (²) = ⇒ |a n − α| ≤ ²
´
かつ
³
n ≥ N β (²) = ⇒ |a n − β| ≤ ²
´
(33)
ということだ.そこで,N
α (²)
とN β (²)
の大きい方をN (²)
と書くことにすると,n≥ N (²)
では|a n − α| ≤ ²
かつ|a n − β| ≤ ² (34)
となっているはずである.ところが,これは² <
|α−β|2
ならばあり得ない!(なぜあり得ないかは各自,数直線上にa n
の存在可能範囲を書いて納得せよ.)これは矛盾であるので,α
= β
が結論される.(注)大丈夫とは思うが一言:上の証明では
N α (²)
とN β (²)
は等しいとは限らない.極端な場合,片方は1/²,
片方は
exp(1/²)
とかかもしれない.だから,両方よりも大きいn
を用いる必要があるわけだ.この辺りがあやふやな人が非常に多く見られた.
(注)教科書にも載っているが,収束の定義を以下のように言い換えておくと,この問題はわかりやすいかもし れない.
任意の
² > 0
に対して,|an − α| > ²
となるa n
の数は有限こしかない!このように書くと,最初の有限項以外では
a n
がα ± ²
のところにいる感じが良く出てくるのではないか?(注)不等式を変に「引き算」してしまう人がたくさんいたぞ.