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Academic year: 2021

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(1)

Abstract

 In the voting situation where some players have right to cast more than one ballot such as general meetings of stock holders and the UN, analyzing the actual voting power of those ballots in some index is a meaningful subject especially in some severe scenes. The subject is also applicable to various political assemblies where the number of seats of each political party represents the right of casting more than one ballot. In general, this kind of index figure is said to be power indices and the research for these indices has been implemented in the field of gaming theory so far. It is meaningful to consider these indices from other field point of view, because it could give some kind of clue for devising a new idea of theory and application from a fairly different aspect. There are few studies, however, from such standpoint.

 The author has studied the Banzhaf index, one of the well known power indices, from a standpoint of logic functions which is an essential field for computer hardware and redefined the index by using logic functions, and extended the index to ternary logic allowing the ballot of 1/2 besides Yes (1) and No (0) based on the logic functions. This paper introduces and explains some parts of these studies. Further, as a new consideration, we discuss another well known index, the Shapley/Shubik index, from the logic function point of view to obtain a method for calculating the index. This method is closely related to the Banzhaf index. Finally we propose an extension of the Shapley/Shubik index to ternary logic.

1.パワー指数に関する著者のこれまでの研究と本稿の対象

議会や株主総会など投票による多数決で物事を決定する場では、議席数や持ち株数が実質的にど

パワー指数と論理関数

−シャープレイ・シュービック指数の拡張−

山   本   喜   則

Power Indices and Logic Functions

Yamamoto Yoshinori

(2)

のような力を持っているかの解析は今後の戦略にも関わる重大な問題である。そのような力を表示 する指数としていくつかのパワー指数が知られており、最も良く研究されてきたものはバンザフ指 数[ 1 ]とシャープレイ・シュービック指数[ 2 ]であると考えられる。これらはゲーム理論の一 つの分野として研究されてきているが、手法は基本的に組み合わせ数学に基づいていて算出の方法 はかなり面倒である。

著者は、前論文[ 3 ][ 4 ][ 5 ]でバンザフ指数の定義の根幹を成すスイングの考えを論理関数 の立場で見直して再定義を行い、コンピュータ向きの指数算出法を提案した。スイングは、投票者 が順次提携を行うことで賛成票が増え、どこかの時点で今まで通らなかった議案なりが可決される 場合(または全く逆に、通るはずのものが順次誰かが反対に回ることである時点で否決になる場合)

を対象にする。賛成は 1 、反対は0を割り当てると典型的な 2 値論理であり、しかも一定の票数を 超えるとパスし、そうでないと通らないという考え方は論理関数の中で大変研究されたしきい値関 数の考え方と同じである。このことから、論文[ 3 - 5 ]では 2 値しきい値関数の定義に沿ってス イング及びそれから算出されるバンザフ指数を簡単な方法で再定義することが可能であった。さら にこれらの研究では、賛成、反対以外の立場も現実にはあり得ることから、パワー指数を 3 値へ拡 張した。 3 値への拡張はすでに幾つかの提案があるが、論理関数に基づいたものではなく内容は異 なる。[ 3 - 5 ]の拡張定義は論理関数の考え方を基本としたスイングと拡張バンザフ指数である点 が、更なる拡張性・応用を引き出す可能性を含んでいる。

論理関数の立場で考察することは、コンピュータハードウェアの根幹部分である論理回路との関 連を議論することにつながる。すなわち、バンザフ指数の基になるスイングとは論理回路では何を 意味するのかが興味の対象になる。

一方、論理回路の故障に関する研究は、現代社会に於いて論理回路がありとあらゆる分野に応用 されていることを考えると大変重要な問題である。特に、論理回路の故障検出問題は単に電気・電 子の分野に於ける技術というより、広く数理科学の手法を駆使すべき対象として広範囲に研究され てきた。ブール微分(Boolean difference)は、この故障検出用の入力の組合せを見出す有力な方 法を与える[ 6 ]。

[ 7 ]は、バンザフ指数を論理関数の立場から考察することを更に発展させ、指数を得るための

状況:スイングが1次ブール微分と密接な関連があることを明らかにした。ブール微分は一般に式

で定義されるが、その表現を援用すれば、スイングを引き起こす投票の組合せが論理式の展開計算

で導出されることを示した。さらに、 2 次ブール微分とスイングの関係を考察した。これらは、社

会科学に関わるパワー指数として定義されているバンザフ指数の考え方が、実はコンピュータの論

理回路の故障検出ベクトル生成の考え方と密接な関係があることを意味しており、極めて興味深い

結果であると言えるであろう。この研究では、前論文で定義した 3 値スイングの概念から 3 値ブー

ル微分の合理的な定義を試みている。まず複数の 3 値排他的論理和を導入して、 3 値スイングを定

式化する。これを用いて 3 値ブール微分を定義した。応用として 2 値と同様、式計算からスイング

(3)

の回数を算出する方法を幾つかの例題と共に提案している。

さて、本論文で論じるシャープレイ・シュービック指数は、シャープレイにより定義された協力 ゲームの解であるシャープレイ値を、シャープレイとシュービックが投票者の影響力の評価に適用 したものである[ 2 ]。シャープレイは本来数学者であるが、その後もこの分野の研究を進め、経 済市場の理論を協力ゲーム理論の枠組みで再定式化することなどでプリンストン大学からPh.Dを 取得する。それから数十年経た2012年ノーベル経済学賞を受賞したことは記憶に新しい。シャープ レイ・シュービック指数の考え方では、例えばある議案に対し、賛成を投じる投票者が順次加わり、

ある投票者が加わることにより通過できなかった議案が可決されることになった(または、逆に可 決される筈が、ある投票者が反対に回ったことで否決される)とき、この投票者が重要な影響力を 持つと考える。この点はバンザフ指数とも同じである。しかし、この後詳細を述べるように、この 場合の数のカウントの仕方がバンザフ指数とは異なる。

本稿では、シャープレイ・シュービック指数を論理関数の立場で見直し、新たな算出法を提案する。

またこの立場で考察した 3 値論理への拡張を提案する。全体の議論のなかで、バンザフ指数とシャー プレイ・シュービック指数との関連を論理関数の立場から改めて考察し、シャープレイ・シュービッ ク指数を、バンザフ指数を介して真理値表から導出する手続きを示す。またシャープレイ・シュー ビック指数の本来の定義に対して、対案というべき新たな考え方を示す。

2.諸定義とそれらの説明

2.1 準備

V

2

={0,1}とするとき、V

2n

からV

2

への写像を 2 値論理関数 f (X)という。以下では、 2 値論理関 数に関する公知の事柄は特に説明抜きで用いる。演算AND、OR、NOTを以下のように定める。こ こに、x i ∈V

2

AND ・: x 1 ・x 2 =min{ x 1 , x 2 }

OR ∨: x 1 ∨x 2 =max{x 1 , x 2 } (1)   

NOT : x i =1−x i (−は算術差)      

排他的OR

: x 1

x 2 = x 1 ・x 2 ∨x 1 ・x 2 (2)   

任意の 2 値論理関数は、変数x i ∈V

2

、AND、OR、NOTの組み合わせによる式、論理式で表現できる。

V

3

={0, 1/2, 1}とするとき、V

3n

からV

3

への写像を 3 値論理関数 f (X)という。一般に、1/2は 0 で も 1 でもない状態を表すが、このあと投票行動においては特別な意味を持つ場合を想定する。 3 値 AND、OR、NOTは式(1)において、V

2

をV

3

に変更した定義を援用する。

次の 1 項演算を定める。

(4)

1  when a≦x i ≦b

 

a

x

ib

=      a, b∈V

3

(3)   

0 otherwise

3 値論理関数は、 2 値の場合とは異なり、変数x

i

∈V

2

、AND、OR、NOTの組み合わせによる式 だけでは全ての関数を表現できない。 3 値論理関数の表し方には幾つかの方法があるが、本稿では 以下特に議論に必要としないので省略する。

論理関数の分野でよく知られている 2 値しきい値関数を、以下の説明の都合上、改めて次のよう に定めておく。

[定義 1 ][ 8 ] 関数sgnを次式のように定める。

       1 when Y≧0 

sgn (Y)= (4)   

       0 otherwise

さらに、重みw 1 , …, w n , しきい値tを持つn変数 2 値しきい値関数 f (X)を次のように定義する。こ こで、WXはベクトルW=(w 1 , …, w n )とXの内積である。

f

(X)=sgn (WX−t) (5)   

特に、[w 1 , …, w n ; t]を f (X)の構造と呼ぶことがある。 ■  投票による物事の決定システムをここでは投票ゲームと呼び、投票行動を行う者をプレイヤーと 呼ぶ。投票によるある決定方式において、賛成票がどのようにあれば対象の議案が採択されるかの ルールが表す投票方式をyes-no-voting systemという[ 8 ]。

一般に、Yesを 1 に、Noを 0 に対応づけた 2 値論理関数の真理値表が全てのYes、Noの組み合せ に対する決定(decision)を表していることは明らかである。言い換えると、yes-no-voting system は 2 値論理関数上で解析可能なものである。yes-no-voting systemにおいて特に、各投票者がそれ ぞれ何票かの票を持ち、その多数決(または、全体の2/3など定められている基準)によって決定 が行われるyes-no-voting systemは、weighted-voting systemという[ 8 ]。

n人のプレイヤーから成る一つの投票ゲームにおいて、プレイヤーを単にiのように表す。提出さ れた議案に対して各プレイヤーは賛成(Yes)、反対(No)どちらかの意思を持っているものとする。

全てのプレイヤーの 1 組のYes、Noの組合せを提携(coalition)と言い、議案が可決に至る提携を 勝利提携(winning-coalition)、否決に至る提携を敗北提携(losing-coalition)と呼ぶ。

2.2 バンザフ指数の定義

バンザブ指数は米国の法律家J.F.Banzhafにより1965年に定義されたもので[ 1 ]、現在は以下の ように記述される。

[定義 2 ][ 1 ]ある提出された議案に対して、投票者全員が賛成か反対かを明らかにしているとき、

自らの投票意思を賛成から反対に変えることにより採決の結果を可決から否決に変える(すなわち、

(5)

勝利提携から敗北提携に変える)ことのできる投票者はスイング(swing)の役割を果たしている という。(まったく逆に、投票意思を反対から賛成に変えることにより採決の結果を否決から可決 に変える投票者がスイングの役割を果たしていると定義しても同じことで、スイングの回数は違わ ないのでこちらを採用することもある。)賛成、反対の組み合わせが全て同じ確率で起こるとした とき、投票者iのスイングの回数(個数)をSwing (i)で表す。このとき、投票者iに対するスイング の回数の期待値をこの投票者のバンザブ指数といいB i で表す。すなわち、

Swing (i)

B i =

2

n-1

(6)   

さらに、各Swing (i)の大きさの全体に対する比の値をLB i と記し、相対(バンザフ)指数という。

すなわち、

Swing (i)

LB i =

Σ Swing

n

(i)

i=1

(7)  

 ■   注:バンザブは本来はスイングの回数Swing (i)を指数として用いたが、現在これはraw Banzhaf 指数とかBanzhaf powerと呼ばれている[ 8 ]。一方、Sharpleyは一時期文献[10]では相対指数 を正規化されたバンザフ指数と呼び、ここでのバンザフ指数をswing probabilityと呼んで少し混乱 が見られる。

(例 1 )[ 3 ][11]ある企業において、全株が 4 人の株主a、b、c、dによって所有されており、a は全株の40%、bは30%、cは20%、dは10%を所有している。株主総会での議案の可決には賛成者 の所有する株の割合が50%超あることが必要である。このときの、各所有者のバンザブ指数を求 める。賛成を 1 、反対を 0 、さらに採択結果が成立するときを 1 、不成立を0で表すとき、全ての 組合わせについてどの投票者がスイングになっているかをまとめると表 1 のようになる。これは、

敗北提携であったものが誰かが賛成に加わることで勝利提携になり議案が可決される場合を考えて いる。表では、投票者名と投票内容を同じ文字

で表記した。前論文で述べたように、この表は 明らかに 2 値真理値表である。(なお、原著論 文では勝利提携が敗北提携になる場合を表にし ているが、カウントされるスイングの回数は同 じである)

たとえば、敗北提携(a、b、c、d)=(0, 1, 0, 0)

において、aの票が 0 から 1 に変わると賛成票 は70%になり過半数を上回り、結果は 0 から 1 に変わる。すなわち議案は可決される。よって aはこのときスイングである。しかし、cが 0 か ら 1 に変わっても賛成票は50%に留まり過半数

表 1 例 1 の各組合せにおけるスイング Table 1 Swings in the combinations in Example 1

各投票者の投票

結 果

×はスイング a b c d a b c d 0 0

0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1

0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 0 0 1 1 1 1

0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1

0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1

0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 1 1 1 1

× ×

× ×

×

×

× ×

×

× ×

×

(6)

を下回るから結果は否決のまま変わらない。つまりbはスイングにならない。これら全てを示した 表 1 より、a、b、c、dがスイングになる回数はそれぞれ 5 、 3 、 3 、 1 回なので、2

4−1

=8で割った 値が各投票者のバンザブ指数になる。すなわち、これらを集合的にBと表すと、次の通り。

B=(B

1

, B

2

, B

3

, B

4

)=(5/8、3/8、3/8、1/8) ■  バンザブ指数の算出式は一般的に次のように書ける[11]。ここで、投票者は 1 、…、nで表し、

その全ての集合をN、全ての勝利提携の集合をW、敗北提携の集合をL、 1 つの提携をSとする。

B i = 1

i∈S, S⊆N Σ(v (S)−v (S−{ i}))

2

n-1

(8)   

ここで、v (S)は提携 Sに対して得られる利得であり、次のように定義される。

       1  when S∈W  v

(S)= (9)   

       0 when S∈L

ただし、式( 8 )は、バンザブ値導出の原理を式で表したにすぎず、n が定まれば自動的に値が求 まるわけではない。

2 値しきい値関数の定義において、w i x i は 1 の個数を意味するから、株主総会で考えると保有す る株数に応じた投票者iの賛成票数を意味している。w i が議会における 1 つの党の議席数と考えれ ば、ある議案に対するその党の総賛成票数を意味している。しかも、可決のためのしきい値は1/2 だけでなく、2/3など様々な設定が可能である。すなわち、 2 値しきい値関数は、過半数を超えた かどうかを問題にする通常の多数決の状態だけでなく、より広い多数決の決定方式を表現している ことが分かる。但し、 2 値しきい値関数では負の重みも認めるが、投票行動を表す場合は、重みは 全て 0 以上の整数であると仮定するのが現実的であろう。しきい値関数の定義 1 および上記の例か ら明らかなように、ゲーム理論で言うweighted-voting systemとは 2 値しきい値関数が表現してい る状況に他ならない。

表 1

で表された株主総会の決定状況を示す関数はしきい値論理の立場で眺めれば、重み 4 , 3 , 2 , 1 でしきい値 6 の 4 変数しきい値関数である。しかも、この関数は既に知られているしきい値論理 の知見により論理式:

f=x

1

・x

2

∨x

1

・x

3

∨x

2

・x

3

・x

4

と簡単に表すことができる。

知られているように、しきい値関数はV

2n

空間上で完全系を成す。これは、投票ゲームの立場で 考えると、

“任意のyes-no-voting systemは、weighted-voting systemの組合せで表現できる”

ことを意味している。このことが、本来ゲーム理論の領域と見なされてきたyes-no-voting system

を論理関数、特にしきい値関数または多数決関数の立場で見直し、新たな結果を得ようとする本研

究の基盤を与えている。

(7)

既論文[ 7 ]では、この論理関数からの考察を更に進め、ブール微分との関連で明確にスイング を定義し直しているので再録しておく。

ブール部分を次の様に定める。

[定義 3 ][ 6 ]n変数 2 値論理関数 (X)の変数xiに関する 1 次ブール微分による導関数は次式で定 f 義される。ここで、

は排他的論理和である。

df

dx i = f (x 1 , …, x i , …, x n

(x f 1 , …, x i , …, x n ) (10)   

[定理 1 ][ 6 ] 変数x i に関するブール微分は、次式と等価である df

dx i = f (x 1 , …, x i-1 , 0, xi +1 , …, x n

(x f 1 , …, x i-1 , 1, xi +1 , …, x n ) (11)   

スイングの回数とブール微分との関係について次の重要な定理が得られている。

[定理 2 ][ 7 ] 投票者 1 、…、nが投じる投票内容を変数 x 1 、…、x n で表し、結果を意味する値を 論理関数 (X)で表すとき、投票者iに関するスイングの回数 f Swing (i)は、変数x i に関するブール微 分がdf / dx i =1を満たすベクトルの個数で表される。

ブール微分の導関数は、定義より排他的論理和の計算を行えば直ちに得られるから、定理 2 は、

スイングの回数 Swing (i)を次の手順のように論理式の計算から求め得ることを示している。

[スイングの回数を論理関数から導出する手順] [ 7 ]

手順 1 )f (x 1 , …, x i-1 , 0, x i+1 、…, x n )とf (x 1 , …, x i-1 , 1, x i+1 、…, x n )を求める。

手順 2 )f (x 1 , …, x i-1 , 0, x i+1 、…, x n

f (x 1 , …, x i-1 , 1, x i+1 、…, x n )を計算し、論理和形に表す。

手順 3 )得られた論理式の各項が対応する入力ベクトルを特定する。すなわち、

α

x i ・(df / dx i )=1

を満たす入力ベクトルを求める。その個数がスイングの回数を示している。 ■ 

2.3 シャープレイ・シャービック指数の定義

[定義 4 ][2,11]議案が提案されたときに、それを支持する度合いの強い順に 1 人ずつ投票者が加 わって提携を形成していく場合を考える。また全員提携は勝利提携であり(つまり議案が可決する ケースは少なくとも 1 つはあり得る)、空集合の提携は敗北提携である(賛成者が誰もいなくても 可決されるような議案はないということ)ことを仮定する。このとき、それまで敗北提携であった 提携を勝利提携に変える(または、逆に勝利提携であったものを敗北提携に変える)投票者がただ 一人存在する。この投票者をピボットと呼ぶ。

いま全ての投票者がどのように投票するかの確率は全員同じであるとする。投票者の総数がn人 であるとき、考え得る勝利提携の総数はn!通りである。このとき、ある投票者 iがピボットになる 回数をPivot (i)とする。Pivot (i)の期待値を、投票者iのシャープレイ・シュービック指数といいP i

で表す。すなわち

(8)

Pivot (i)

P i = n! (12)   

■  この定義から明らかなように、バンザフ指数のスイングになる回数 Swing (i)とシャープレイ・

シュービック指数のピボットになる回数 Pivot (i)は、勝利提携から敗北提携(またはその逆)を 起こすとき、及びその回数を問題にする点では同じ考えに基づく。しかしシャープレイ・シュービッ ク指数では投票の順序が問題になる。

[11]では、前述したバンザフ指数を求める式( 8 )と同様な記法で次のように式(12)を表している。

1 Σ (v (S)−v (S−{ i}))×(s−1)!×(n−s)!

P i =

n! i∈S, S⊆N (13)   

ここで、×は算術乗算である。また、sは提携Sに属するプレイヤーの数である。バンザフ指数と同 様、この式を機械的に適用して値が求まるわけではなく、意味を表している。

(例 2 )[11]シャープレイ・シュービック指数を例 1 の株主総会について求めてみる。

投票者はa、b、c、dの 4 人なので提携形成の順列は4!=24通り、その各々についてのピボットを*で 示すと表 2 のようになる。

表で、例えばbca*dの意味は、順にb、cと賛成票を投じても 5 票(50パーセント)で可決のための しきい値 6 票以上(50パーセント超)に達しないが次にaが賛成すると合計 8 票(80パーセント)

で可決となる。このときaがピボットである。こうして全ての順列を考えて各人がピボットになる 回数をカウントすると、aは10回、bとcはそれぞれ 6 回、dは 2 回である。よって、aのシャープレイ・

シュービック指数は10/24、bは 6 /24、cは 6 /24、dは 2 /24。ここで興味深いのは、bとcは元々持 ち株数が異なるのに、指数は同じになっている。つまり、この指数の立場で考えると株主として議 案を通す力は同じであることを意味している。既に例1で示したように、このことはバンザフ指数

でも同じであった。  ■ 

注:長くしきい値論理、しきい値関数を研究してきた者の立場でこの問題を考えると、次のよ

うに解釈できる。対象の状況は既に述べたように構造[ 4 , 3 , 2 , 1 ; 6 ]を持つ 2 値しきい値関数 f

ab*cd ab*dc ac*bd ac*db adb*c adc*b ba*cd ba*dc bca*d bcd*a bda*c bdc*a ca*bd ca*db cba*d cbd*

cda*b cdb*a dab*c dac*b dba*c dbc*a dca*b dcb*a

表 2  例 2 における全ての勝利提携とピボット(*で示す)

(9)

として表せる。詳細は省略するが、この関数は、f=x 1 ・x 2 ∨x 1 ・x 3 ∨x 2 ・x 3 ・x 4 という主項(prime implicant)表現で表せ、これの冗長のない「最適構造」[ 8 ]は実は[3, 2, 2, 1; 5]であることを 容易に示すことができる。このようにしきい値論理の立場では、x 2 とx 3 は同じ重みを持つことを示 すことができるため、前述の指数が同じであることは実は不思議なことではない。

3.シャープレイ・シュービック指数と論理関数

既に前論文でバンザフ指数と論理関数との関係を明らかにした。式(11)はシャープレイ・シュー ビック指数の意味を示しているだけで算出式ではないが、この式からバンザフ指数との関係が明確 になる。式で Sは一つの勝利提携(または敗北提携)を表している。 (v (S)−v (S−{ i }))はピボット(バ ンザフ指数ではスイングを起こす者)であるプレイヤー iがSに属していれば 1 、属していなけれ ば 0 をとる。バンザフ指数ではこの 1 を合計(Σ)した値がプレイヤー iのスイングの回数である。

Sの人数をsとする。(s−1)!は Sを除いた投票者S−{ i }の全ての順列の数を表している。例えば、a、

b、c、d、 4 人のうち 3 人のプレイヤーによる勝利提携S={a、b、c}がありaがピボットであるとす ると、s=3なので(3−1)!である。

さらに、(n−s)!は投票にiが加わったあとの残りN−Sの投票者の順列の数を表している。上の 3 人の勝利提携では残りのプレイヤーはd一人なのでその順列は1!通りである。最後まで続く全員の 投票行動の総数は、これら二つをかけること、すなわち、(3−1)!×1!で得られる(ただし、この 部分については後ほど異なる提案を行う)。

以上述べたことは、シャープレイ・シュービック指数は、実はバンザフ指数におけるスイング(つ まりピボット)の各場合に対して順列を考えることで得られることを意味している。言い換えると、

シャープレイ・シュービック指数を求める場合も論理関数、真理値表を用いた算出ができることを 示している。

[真理値表を用いてシャープレイ・シュービック指数を算出する方法]

ここでは先の具体例を用いて手順を述べる。

(例 3 )例 1 の問題について、論理関数の立場、真理値表でピボット(スイング)を見出す段階か ら考察してみる。

[aがピボットである場合]

(0010)=>(1010):aとcの敗北提携がaの変化で勝利提携に変わる場合である。s=2、投票順序はca 以外になく(s−1)!=(2−1)!。一方、残りの投票者による順列は(n−s)!=(4−2)!、具体的にはbd とdb。従って、この組み合わせから生じるピボットの回数は、(2−1)!×(4−2)!=2。

(0011)=>(1011):s=3、具体的にはcdaとdca。残りの投票者はbのみなので、この組み合わせか

ら生じるピボットの回数は、(3−1)!×(4−3)!=2。

(10)

(0100)=>(1100):s=2、具体的にはbaのみ。残りの投票者はcとdなので、この組み合わせから生 じるピボットの回数は、(2−1)!×(4−2)!=2。

(0101)=>(1101):s=3、具体的にはbdaとdba。残りの投票者はcのみなので、この組み合わせか ら生じるピボットの回数は、(3−1)!×(4−3)!=2。

(0110)=>(1110):s=3、具体的にはbcaとcba。残りの投票者はdのみなので、この組み合わせか ら生じるピボットの回数は、(3−1)!×(4−3)!=2。

以上を合計すると、2×5=10回。

[bがピボットである場合]

(0011)=>(0111)、(1000)=>(1100)、(1001)=>(1101)の各場合に上と同様に考えて合計2×3

=6回。

[cがピボットである場合]

(0110)=>(0111)、(1000)=>(1010)、(1001)=>(1011)の各場合に上と同様に考えて合計2×3

=6回。

[dがピボットである場合]

(0110)=>(0111)の場合に上と同様に考えて合計2×1=2回。

よって、これらの回数を全ての順列の数24で割った値は、10/24、 6 /24、 6 /24、 2 /24となり、例 2 のようにシャープレイ・シュービック指数本来の定義に従って求めた値と一致する。

4.より一般的な場合、多値論理への拡張

4.1 S型、E型 3 値論理関数と拡張バンザフ指数

現実の投票行動を考えてみると、賛成と反対に加えて、通常白票(neutral)が許される。白票 は賛成 1 でもなく反対 0 でもない値、すなわち中間の値1/2と考え得る。バンザフ指数とシャープ レイ・シュービック指数の本来の定義では、白票は考えられていない。これを集計の際どう扱うか はバンザブ指数の影響力を見る上で意味があると考え、[ 4 ]では、賛成、反対の他に白票を認め た投票方式をyes-no-neutral-voting systemと呼んでいる。さらに、採決結果に「結論が出ない状 態(pending)」を認めるとこれも 3 値になるが、現実には最も多いと考えられる次の状況を考察対 象としている。

“プレイヤーは賛成(1)、反対(0)および白票(1/2)の 3 通りのいずれかの票を投ずることが できるが、結果は可決(1)か否決(0)の 2 通りである”

これは論理関数の立場で言えば、V

3n

からV

2

への 3 値入力 2 値出力論理関数を通じて、投票シス テムの解析を試みることである。

実際に考え得る状態は次の 2 通りの場合である[ 4 ]。

(Ⅰ)白票は賛成ではないので反対と見なす−−賛成がしきい値を超えた場合に成立とする立場(S

(11)

型 3 値多数決と呼ぶ)

(Ⅱ)白票は反対ではないので賛成とみなす−−賛成と白票の合計がしきい値を超えた場合に成立 とする立場、すなわち反対がしきい値未満ならば成立とする立場(E型 3 値多数決と呼ぶ)

上記(Ⅰ)の場合は、プレイヤーの投票値 1 のみが決定に効果を持つから、あるプレイヤー iの 投票値が 1 から 0 に、または 1 から1/2に変化したときに結果が 1 から 0 へ変化し得る。一方、 (Ⅱ)

の場合は、 1 から 0 、または1/2から 0 の投票値変化のみが結果の変化 1 から 0 を起こし得る。こ こで、プレイヤー iの票が 1 から 0 に変わり得る場合の個数は、残りのn-1人の取り得る投票行動の 全ての組合せ3

n-1

個である。他の場合、すなわち 1 から1/2へ、1/2から 0 に変化する場合の個数も 同様に算出できる。これより、次のようなバンザフ指数の 3 値論理への拡張定義がなされている。

[定義 5 ][ 4 ]投票者 1 、…、nが投じる投票内容を変数 x 1 、…、x n で表し、採択結果を意味する 論理関数を f (X )で表す。投票内容は、賛成、反対、白票の 3 通りあるものとする。

1 )ある提出された議案に対して、投票者全員が賛成、反対または白票のどれかであることを明ら かにしているとき、自らの投票内容を賛成から反対、または賛成から白票に変えることにより採 決の結果を可決から否決に変える(すなわち、勝利提携から敗北提携に変える)ことのできる投 票者はS型スイングの役割を果たしているという。

2 )同様な場合、自らの投票内容を賛成から反対、または白票から反対に変えることにより採決の 結果を可決から否決に変えることのできる投票者はE型スイングの役割を果たしているという。

賛成、反対の組み合わせが全て同じ確率で起こるとしたとき、投票者iのS型スイングの回数(個数)

をS-Swing (i)で表す。同様にE型スイングの回数をE-Swing (i)で表す。このとき、投票者iに対して 次式で定める値をこの投票者のS型バンザブ指数およびE型バンザフ指数と言い、それぞれS-B i 、 E-B i で表す。すなわち

S-Swing (i)

2・3

n-1

S-B i = E-Swing (i)

2・3

n-1

E-B i = (14)   

■  拡張バンザフ指数を 3 値論理関数の立場で考察する上で次の定理は必須である。

[定理 3 ][ 4 ]S型バンザフ指数は式(15)で、E型バンザフ指数は式(16)で算出される。

ここで、f xi=α = f(x 1 , …, x i-1 ,α, x i+1 , …, x n

(( f xi=0 ≠f xi=1 )である入力の組の個数+( f xi=1/2 ≠f xi=1 )である入力の組の個数)/2・3

n-1

(15)   

(( f xi=0 ≠f xi=1 )である入力の組の個数+( f xi=0 ≠f xi=1/2 )である入力の組の個数)/2・3

n-1

(16)■ 

4.2 S型、E型3値論理とシャープレイ・シャービック指数

多値論理の立場で多数決を考えることは、 2 値しきい値関数の単純な拡張としての多値しきい値

関数が定義され[12]、多くの研究者によりその後研究がなされたが、入力ベクトルと重みベクト

(12)

ルの内積は多値では多数決を表すことができない。1981年にこれを解決する関数として多値多数決 関数が定義され[13,14]以来多くの研究が行われた。ここでは 3 値の場合を述べる。

[定義 6 ][14] 入力X=(x 1 , …, x n )∈V

3n

に対して次の関数を定め、これを個数関数という。

Na (X)=Σ w i ・ (x

a

i *)

1

    (a=1/2, 1)

i=1

n (17)   

ここで、Σは算術加算である。また、||は絶対値を表し、

x i *=x i when w i ≧0, x i *=x i when w i <0

■  定義 6 の個数関数 Na (X )は、入力ベクトルにおけるa以上の成分値の重み付き個数を表している。

[定義7][14] V

3

n

からV

3

への3値論理関数 (X f )が次式を満たすとき、f (X )は構造((w 1 , …, w nt 1/2 , t 1 )) を持つ 3 値多数決関数であるという。ここに、 w 1 , …, w n は重み、 t 1/2 、 t 1 はしきい値という。

ただし、t 1/2 ≦t 1

f (X )=1  if and only if N (X 1 )≧t 1

f (X )=1/2 if and only if N 1/2 ( X )≧t 1/2 and N (X 1 )<t 1

f (X )=0 if and only if N 1/2 ( X )<t 1/2 (18)   

■  4 値以上の多数決関数も同様に定義されている。W.H.Hansonが定義した 3 値しきい値関数[12]

は、式(17) (18)の 1 項演算子を用いていない場合に相当し、2 値しきい値関数の単純な拡張になっ ている。ところが、 2 値では重要なしきい値関数(素子)であったAND, ORがHansonの定義では しきい値関数にならないという実用上の大きな問題があった。それに対して定義 5 の 3 値多数決関 数はAND、ORを特別な場合として含み、また 3 値多数決原理を自然なかたちで表現し、本節の冒 頭に述べた投票結果にも 3 つの状態を認める多数決状態を表現している。

さて、本節の最初に仮定したS型およびE型 3 値多数決の立場は、 3 値入力 2 値出力であるので、

定義 6 から次の関数を導入する。

[定義 8 ][ 4 ]V

3n

からV

2

への 3 値入力 2 値出力論理関数 (X f )を考える。 (X f )が式(19)を満た すとき、 (X f )は構造 [w

S

1 , …, w n ; t 1 ] を持つS型 3 値多数決関数であるといい、ここではg (X )と記す。

同様に式(20)を満たすとき、 ( f X)は構造 [w

E

1 , …, w n ; t 1/2 ] を持つE型 3 値多数決関数であるといい、

ここではh (X )と記する。ただし、w 1 , …, w n は重み、t 1/2 、t 1 はしきい値といい、t 1/2 ≦t 1

g ( X )=1  if and only if N ( 1 X)≧t 1

g ( X )=0 if and only if N ( 1 X)<t 1 (19)   

h ( X )=1  if and only if N 1/2 (X )≧t 1/2

h ( X )=0 if and only if N 1/2 ( X )<t 1/2 (20)   

さらに、S型 3 値多数決関数で表現できる意思決定の状態をS型weighted-voting systemと言い、

E型 3 値多数決関数で表現できる状態をE 型weighted-voting systemと言う。 ■ 

(13)

[定理 4 ][ 4 ]定義 7 のS型 3 値多数決関数g (X )とE型 3 値多数決関数 h (X )は次のように記述で きる。

g (X )=sgn(N ( 1 X)−t 1 ) (21)   

h ( X )=sgn(N 1/2 (X )−t 1/2 ) (22)   

[定理 5 ][ 4 ] V

3n

→V

2

への任意の 3 値入力 2 値出力論理関数は、 1 項演算子

0

x i

0

1/2

x i

1/2

1

x i

1

と 3 値AND、OR、NOTの組合せで表現できる。

[定理 6 ][ 4 ](完全系に関する定理) V

3n

→V

2

への任意の 3 値入力 2 値出力論理関数は、 3 値多数 決関数とS型 3 値多数決関数の組合せで表現できる。同様に、 V

3n

→V

2

への任意の 3 値入力 2 値出力 論理関数は、 3 値多数決関数とE型 3 値多数決関数の組合せで表現できる。

既にシャープレイ・シャービック指数を論理関数上で考える場合を考察した。これをより一般的 な投票行動を反映する 3 値論理、具体的にはS-型 3 値論理、E型 3 値論理に拡張することを考える。

ここで、ゲーム理論の立場からYes、No以外の意思も認める投票ゲームの拡張は、一般的に multichoice gameとして論じられていて、バンザフ指数の拡張は例えば[15]、シャープレイ・シュー ビック指数の拡張は例えば[16]などで論じられている。より一般的なものでは[17][18]など がある。しかし、これらはいずれも論理関数の考え方は全く触れておらず、当然ながらS型、E型 の定義もなされていないのでここでの論議とは本質的に異なっている。

まず、オリジナルのシャープレイ・シュービック指数の定義 3 で対象として数え上げられている 提携とは、表 2 のような全ての勝利提携かまたはその逆の全ての敗北提携である。簡単のために勝 利提携の場合で考えると、表 2 のように名前が出るということは、そのプレイヤーは 1 (賛成票)

を投票していることに他ならない。

ところが 3 値入力を認めると、一つの順列に出た名前は、 1 を投じたのか1/2を投じたのか名前 だけではわからない。例えば、a、b、c、 3 人が投票した順序bcaがわかっても各自が 1 を投じた とは断定できない。つまり投票の中身が問題になる。(この点はスイングの個数だけから直接指数 を算出するバンザフ指数では問題にならない)そこで、バンザフ指数を 3 値に拡張した際、真理値 表を用いたがその方式を適用してみる。

具体的な例を用いて手順を示す。

(例4)構造 [2, 1, 1; 3]を持つS型 3 値入力 2 値出力しきい値関数

s s

f を考える。すなわち、x 1 が2票、

x 2 とx 3 は各々 1 票の投票権があり、1/2を投票することは許されるが、計算上は不賛成とカウント

される。賛成が 3 票以上あれば可決となる場合である。真理値表は次のようになる。

(14)

表 3  例 3 のS型 3 値入力 2 値出力しきい値関数

x 1     x 2     x 3

s

f x 1   x 2     x 3

s

f x 1     x 2     x 3

s

f 0      0      0

0      0    1/2 0      0      1 0     1/2      0 0     1/2     1/2 0     1/2      1 0      1      0 0      1    1/2 0      1      1

0 0 0 0 0 0 0 0 0

1/2   0   0 1/2   0   1/2 1/2   0   1 1/2 1/2 0 1/2 1/2 1/2 1/2 1/2 1 1/2   1   0 1/2   1 1/2 1/2   1   1

0 0 0 0 0 0 0 0 0

1 0 0 1 0 1/2 1 0 1 1 1/2 0 1 1/2 1/2 1 1/2 1 1 1 0 1 1 1/2 1 1 1

0 0 1 0 0 1 1 1 1

例 3 で 2 値論理関数の真理値表を用いてシャープレイ・シュービック指数を算出する方法を示した が、同様に 3 値入力にも適用する。S型は1/2は 0 と同じと見なされるから、 0 または1/2を投票す る者がいてかつ勝利提携になるのは、以下の場合である。

x 1 =1、x 2 =1、x 3 =1(全員賛成票) ==>これの順列は 3 != 6 通り x 1 =1、x 2 =1、x 3 =0または1/2    ==>これの順列は 3 !× 2 =12通り x 1 =1、x 2 =0または1/2、x 3 =1    ==>これの順列は 3 !× 2 =12通り 計30通り。

ここで、x 1 は 2 票持っているので 0 であると計 2 票以下でしきい値 3 以上ににならず勝利提携に ならない。つまりx 1 =0という場合は除かれている。さらにx 2 とx 3 がどちらも0または1/2であるとき も計 2 票になるので勝利提携にならないため除かれている。

このなかで、x 1 がピボットになる場合を算出する。

(0 0 1)=>(1 0 1):x 3 x 1 の順序は決まっており、x 2 =0がどこに入るかを考えると 1× 3 C 1 =3 通り。

具体的には、x 3 x (x 1 2 =0)、x (x 3 2 =0) x 1 、 (x 2 =0) x 3 x 1

(1/2 0 1)=>(1 0 1):(0 0 1)=>(1 0 1)の場合と全く同じ結果になるので不要

(0 1/2 1)=>(1 1/2 1):x 3 x 1 の順序は決まっており、x 2 =1/2がどこに入るかを考えると 1× 3 C 1 =3 通り。

具体的には、x 3 x (x 1 2 =1/2)、x (x 3 2 =1/2) x 1 、 (x 2 =1/2) x 3 x 1

(1/2 1/2 1)=>(1 1/2 1):(0 1/2 1)=>(1 1/2 1)の場合と全く同じ結果になるので不要

(0 1 0)=>(1 1 0):x 2 x 1 の順序は決まっており、x 3 =0がどこに入るかを考えると 1× 3 C 1 =3 通り。

具体的には、x 2 x (x 1 3 =0)、x (x 2 3 =0) x 1 , (x 3 =0) x 2 x 1

(1/2 1 0)=>(1 1 0):(0 1 0)=>(1 1 0)の場合と全く同じ結果になるので不要

(15)

(0 1 1/2)=>(1 1 1/2):x 2 x 1 の順序は決まっており、x 3 =1/2がどこに入るかを考えると 1× 3 C 1 =3 通り。

具体的には、x 2 x (x 1 3 =1/2)、x (x 2 3 =1/2) x1, (x 3 =1/2) x 2 x 1

(0 1 1/2)=>(1 1 1/2):(0 1 1/2)=>(1 1 1/2)の場合と全く同じ結果になるので不要

(0 1 1)=>(1 1 1):2人目にx 1 が投票する場合は 2 通り。 3 人目に投票する場合もx 2 x 3

の入れ替えを考えて 2 通りで計 4 通り。

具体的には、x 2 x 1 x 3 、x 3 x 1 x 2 、x 2 x 3 x 1 、x 3 x 2 x 1

以上で、合計16通り。よって、このS型多数決モデルでのプレイヤー x 1 のピボットになる割合は

16/30となる。 ■ 

この指数は、 2 値の場合のシャープレイ・シュービック指数の定義の要点:どこでピボットにな るか、をS型 3 値多数決投票の場合に拡張して適用したものである。その意味で、S型 3 値多数決 投票におけるシャープレイ・シュービック指数と言えるであろう。E型 3 値多数決投票も本質的な 違いはなく同様に算出できるがここでは省略する。

これら 2 種類の多数決方式に対して正式な 3 値シャープレイ・シュービック指数を定義すること は、更に幾つかの定義を整理する必要があり、以後の研究に待ちたい。

以上のように考えると、実は 2 値のシャープレイ・シュービック指数の定義も変更が必要になる。

例えば、a、b、c、3人の投票で、aは 2 票、bとcは各々 1 票の権利があり、可決には 3 票必要な場合(つ まり通常の構造[2, 1, 1; 3]を持つ 2 値しきい値関数で表される場合)、ab(c=0)は可決に至るか ら勝利提携であるのだが本来のシャープレイ・シュービック指数の定義では勝利提携とは見ていな い。このことも今後の研究が必要なことであると考えている。

本稿の方法の要点は、 3 値バンザフ指数を定義するに於いてまず多値論理関数の定義に立ち、そ の上で通常行われる 3 値多数決の仕方を表現すべくE型、S型という 2 種類の 3 値多数決意思決定 の仕組みを導入していることである。その延長でシャープレイ・シュービック指数の拡張定義が可 能になったものであり、更に、論理関数の理論を利用することで合理的な解釈が得られ、今後更な る拡張可能性が見られることなどである。

5 . むすび

投票による多数決で物事を決定する場で議席数や持ち株数が実質的にどのような力を持っている

かを示す指数、いわゆるパワー指数の中で良く知られているバンザフ指数とシュープレイ・シャー

ビック指数につき論理関数の立場で考察し、Yes、No以外の第 3 の意思表示も認める 3 値論理への

拡張を示した。本稿の内容で、バンザフ指数とブール微分に関しては既に発表した論文の一部を紹

介したものである。シャープレイ・シュービック指数と論理関数および 3 値への拡張が新しい知見

(16)

でありその方向は解釈の容易性、拡張可能性など幾つかの利点を持つが、考察はまだ不十分で今後 更なる検討が必要と考えている。

(やまもと よしのり・本学経済学部教授)

文献

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[ 5 ] 山本喜則、“投票システムと論理関数の関係に関する一考察”、高崎経済大学論集、第48巻、 4 号、

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表 2  例 2 における全ての勝利提携とピボット(*で示す)
表 3  例 3 のS型 3 値入力 2 値出力しきい値関数 x 1     x 2     x 3 s f  x 1       x 2     x 3 s f x 1     x 2     x 3 s f 0       0       0 0       0       1/2 0       0       1 0      1/2      0 0      1/2      1/2 0      1/2      1 0       1       0 0       1       1/2

参照

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