●欧州における洋上風力発電の現状(その3)
先月号に引き続き、2010 年 1 月 25 日~26 日にドイツ・ハンブルク市内で開催された Offshore-Windpark の講演について報告する。内容としては、欧州における洋上風力発電の現 状を報告するもので、主催は Euroforum 社である。 5.排他的経済水域における洋上風力発電施設:認可と実施 Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁(BSH:Bundesamt für Seeschifffahrt und Hydrographie) 5.1 ドイツの排他的経済水域
ドイツにおける排他的経済水域は、図 5-1 の斜線部に示すエリアとなるが、バルト海では 4,500km2、北海では 28,600km2の面積を有している。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 図 5-1 ドイツの排他的経済水域(上図:バルト海、下図:北海)
また排他的経済水域に洋上風力発電施設の建設を実施する際の、各役所での認証手続担当箇 所の断面イメージを図 5-2 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 図 5-2 洋上風力発電施設建設における各部での認証手続の断面イメージ 手続の現状を以下に示す。 ・建設中プロジェクト :1 件(Alpha Ventus) ・認証済みプロジェクト :25 件(22 件は北海、3 件はバルト海の案件) ・却下済みプロジェクト :2 件(いずれもバルト海の案件) ・手続継続中プロジェクト :69 件(55 件は北海、14 件はバルト海の案件) また以下に示す 5 件のプロジェクトは、送電ケーブルを含む「完全に認可を受けた」状態と なっている。 -Alpha Ventus プロジェクト -BARD Offshore 1 プロジェクト -Nördlicher Grund プロジェクト -Sandbank 24 プロジェクト -Kriegers Flak プロジェクト 5.2 排他的経済水域における洋上風力発電の承認手続 排他的経済水域における法的根拠として、洋上施設令(Seeanlagenverordnung:略して SeeAnlV と記す)が挙げられる。この洋上施設令第 3 条(§3 SeeAnlV)では、ドイツ連邦海事 水路庁(BSH)は「強制決定」を下す権利があるとの記載がある。すなわち、認証拒絶根拠とし て 4 項目が存在しているが、そのうちの 1 項目でも存在した場合には、認可授与に関する法的 請求権が除外されることになる。 排他的経済水域 沿海水域 沿岸 風力発電機の 設置認可 (BSH) ケーブルの 敷設認可 (BSH) ケーブルルートに関する国土整備手続 (州政府の官庁) 水域・海洋警察によるケーブル敷設の認可 (WSA:ドイツ水路・船舶局) 国立公園の規制解除 (州政府の官庁) 堤防・水利権の認可 (州政府の官庁)
5.3 その他の公共の利害関係
洋上施設令第 3 条 1 の 2 の 2(§3 Satz 1 Nr.2 Alt.2 SeeAnlV)によると、場合によっては、 以下に示す公共の事項が優先する場合が存在する。 -採掘権に関わる行動 -漁業 -軍事関連 -エネルギー供給(ケーブルや送電線) 5.4 ドイツ連邦海事水路庁(BSH)基準 ドイツ連邦海事水路庁(BSH)が示す基準として、以下の 4 項目が挙げられる。 ①基準検討コンセプト 2007 年 2 月に第 3 版が発行されているが、基本的受入条件(環境影響評価)と付随するモニ タリングに関する条件が記載されている。 ②土地調査基準 2008 年の状況を反映した形で 1 回目の改訂が行われているが、洋上風力発電施設設置に対す る最低条件として、建築上および立地上の安全性が挙げられる。 ③建設基準 2007 年 6 月から有効となったものであり、洋上風力発電施設の各構造部材の設置と認証に関 する指令が記載されている。 ④安全および保護基準 現在は作成段階であるが、施設の装備品、安全および危機管理システム、製造用原料および 廃棄物コンセプト、労働災害防止と操業安全性に関する条件と勧告を含むものとなる。 5.5 承認取得のための申請書類 次に洋上風力発電の承認取得のための申請書類の範囲を、以下に示す。 ・環境影響評価(設計基準と基本計画からの情報を考慮すること) ・船舶と風力発電施設の衝突確率に関する技術的なリスク分析 ・設計基準(建築基準に応じたもの) ・基本計画(建築基準に応じたもの) ・洋上風力タービンの基礎形状の、船体保全躯体構造に関する予見 (すなわち、タービン基礎の構造は強固ではないことを考慮しなければならない。) 5.6 認可基準の内容 洋上風力発電施設の認可基準に含まれる項目を、以下に示す。 ・建設着工日(延長に関しては、請求次第となる) ・操業は 25 年の有期(延長に関しては、請求次第となる) ・安全な建設の義務 ・施設建設と設備は、最新技術を用いること ・発光体、レーダー、AIS(自動船舶識別装置)を目印とすること ・ヘリコプターデッキの条件(着陸、離陸航路) ・環境に優しい材料および無反射塗料の使用 ・衝突に優しい基礎の使用
・予測される解体コストが正しいことの証明 ・「建設用地調査基準」に応じた建築技術の準備 ・「建築基準」に応じた開発と建築と施工に関する資料の提示 ・建設時期における防音方法の開発と実施 ・生態系に優しい建設および操業のモニタリング(基準検討案に応じたもの) 5.7 認可の執行 認可の執行について最も重要なことは、可能な限り早く開始することである。ただし以下に 示す重要な課題が存在していることも事実である。 ・建築基準、建設用地調査基準に関する資料 ・保護および安全コンセプト(目印、海洋監視、廃棄物・原材料コンセプト、労働安全性) ・防音コンセプト ・基本的受入条件(環境影響評価)に対する、BSH 基準検討コンセプト中の「3 章 調査年」 の内容 ・ヘリコプターデッキとウィンチ用プラットホーム ・解体コストの保証 5.8 認可執行を行う組織 認可を行う執行組織は、「ワン・ステップ・ショップ」またはコーディネーション・プラッ トホームとも呼ばれ、すべての意思決定者が同じ知識状態で、継続実施のための統一基本プラ ットホームとなることが長所と言える。また以下に示す特徴を持つ。 ・プロジェクト計画側が、議事日程およびその必要な参加者について任命する。 ・ドイツ連邦海事水路庁(BSH)は、国家調査機関の代表者の参加を補足および調整を行い、 招待も行う。 ・プロジェクト計画側は、すべての参加者と調整して文書を完成させる必要がある。 (規定と規準の義務的な解釈を文書化する可能性がある。) 5.9 認可執行過程における関与者 (1)国家側の関与者 ①ドイツ連邦海事水路庁(BSH) 担当は付帯条件の遵守、モニタリング、建設上の安全性であるが、建設に関する相談は下記 期間を通じて協議することになる。 -ドイツ連邦水利工事研究所(BAW:Bundesanstalt für Wasserbau)
-ドイツ連邦材料試験研究所(BAM:Bundesanstalt für Materialforschung und-prüfung) ②専門局(BSH に関与する形で) -水域・航路管理局、交通工学専門研究機関、水域・航路局、海難事故司令部(海上交通、 標章、危機管理) -最高航空局(航空輸送、ヘリコプターデッキおよびプラットホーム) -連邦環境庁(廃棄物コンセプト) -労災組合、国家産業監視局(オルデンブルク市)(労働安全性) -国防区域管理局、海軍司令部(水中音波探知機および送受信機、演習地域)
(2)企業側の関与者 ①直接関係者 -認可権所有者 -建設および経営会社(モデルとしてゼネコンもしくはマルチ契約方式) ②間接関係者 -掘削会社 -地盤工学の専門家 -基礎とタワーの建設会社 -風力発電用タービンの製造企業 -認証団体、検査実施団体 -海上物流(建設機材、交通安全) -運送(航空輸送を含む)を含む装備・整備会社 -生態系との両立(モニタリング) -送電網接続:設置企業および操業企業 5.10 建設開始認可のコンセプト 洋上風力発電施設の建設開始認可について、法律側の考え方を示す。 ・洋上施設令第 4 条 4 項(§4 Absatz 4 SeeAnlV) 「認可には、一定の技術基準の遵守を約束させることが可能である。」 ・洋上施設令第 5 条 4 項(§5 Absatz 4 SeeAnlV) 「認可当局は、単一施設または複数施設を断片的に認可していくことも可能である。もし認 可に向けた義務と条件を達成していることを証明できれば、認可当局は建設開始許可とと もに、設置と操業の認可を与えることが可能である。」 5.11 建築基準に応じた検査段階 洋上風力発電施設を建設する際の、建築基準に応じた検査および承認の流れについて、図 5-3 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 図 5-3 洋上風力発電施設建設の計画から操業までの承認手続流れ 設計 建設 施工 操業 製造 輸送 建設 運転開始 基本設計および基本計画 基本設計および基本計画 施工計画 証明書、プロジェクト認証・・・ 定期検査 1 次承認 2 次承認 3 次承認 運転承認 運転許可の維持 もしくは取消
次に承認授与のための検査流れについて、図 5-4 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 図 5-4 洋上風力発電施設建設の承認授与までの検査流れ 実際に承認授与を取得するための具体的行動としては、以下に示す資料の提出が必要である が、場合によっては、履行しなければならない要求事項付きで承認が与えられる。例えば、資 料の再提出、建設に向けた特別な要求などがこれに該当する。 -建築基準における証明義務の要求事項に応じた書類 (場合によっては、建設用地調査基準との関連が必要) -建築基準の図 5-3 に示す書類(第 1 次、2 次、3 次承認) -1 つの承認申請につき、1 式の書類 -認証団体もしくは検査団体が作成した検査様式 5.12 初めての経験から得られた知見 (1)規格 ドイツ連邦海事水路庁(BSH)が示す規格として、ドイツもしくは欧州の規格を利用したが、 相互間に差異が発生する場合には説明が必要となり、最終的には BSH から認可される必要があ る。結果として、DIN(ドイツ工業規格)では不十分であり、他の規格が適用される可能性があ ることが、今後影響する項目として注意が必要である。 計測や施工に関しても、DIN(ドイツ工業規格)には補足が必要な場合があり、あるいは他 の国際規格を優先させなければならない可能性がある。 こうした対策として、他の規格をベースとする場合は、与える影響、計測、施工に対して利 用される規格、方針、規則の優先順位を示し、その順位を拘束力を持つ形で確定させた上で、 基本設計とともに規格コンセプトが提出されるべきである。 (2)ポール長さの計測 ポール長さの計測は、海洋産業の経験値に基づいたものであり、実際よりも短いポール長さ、 または小さいポール直径となる場合がある。洋上風力発電施設に対しては、現状では経験値は 施工主 計画作成者 地盤工学の専門家 認証・検査団体 適性検査 ドイツ連邦海事水路庁(BSH) ドイツ連邦 材料試験研究所(BAM) ドイツ連邦 水利工事研究所(BAW) 承認
存在しない。 API(アメリカ石油協会)勧告による積載量の証明書では、CPT(コーン貫入試験)方法に基 づく手続(圧力検査、新式の計測方法)が必要となる。 こうした対策として、ドイツ連邦海事水路庁(BSH)は、施工における力学的な荷重試験を 規定することとなった。 (3)ポールへの荷重試験 ポールへの荷重試験の進め方は、まずポール荷重試験の実施に向けたコンセプトを作成し、 BSH にそのコンセプトを提出し、BAM や BAW とも内容について調整を行う。ポール設置後の積載 量の評価については、地盤工学の専門家の鑑定書を提出することになる。 ポールの打ち込み状況およびポールへのセンサー設置状況の写真を図 5-5 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 図 5-5 ポール打ち込み状況とセンサー設置状況 (4)規制を受けない建設製品や方法 例えばセメントなどの個別の利用許可については、第三者の鑑定書を提出することになるが、 基本的には以下の手順を踏むことになる。 ①認証団体または検査団体と調整して、要求項目と調査費用を確定 ②認可のために、BSH に草案提出(BAM や BAW とも調整) ③要求の履行を証明するために、第三者鑑定書を提出 ④BSH を通じて(BAM や BAW とも調整)、個別ケースの認可についての決定
(5)洋上風力タービン用重力式基礎 重力式基礎は、洋上風力発電タービンに用いられる 基礎形状としては、最も重い部類のものである。重力 式基礎と環境との調和については、基礎の寸法と形状、 必要な土地整備対策、掘削量などの荷重に関する情報 を基に判断されることになる。したがって、こうした 情報が存在しない限り、この基礎形状が承認されるこ とは不可能である。 対策として、環境鑑定士と設計担当者を 1 つの机で 作業させることが考えられる。 重力式基礎の写真を図 5-6 に示す。 (6)灯火計画 灯火計画については、航空、海洋環境、船舶それぞれの立場での対立が生じているのが実情 である。必要な量の灯火は当然必要であるが、できる限り少なく、というのが灯火計画の目指 すところとなる。対立の最小化に向けたこれまでの取組として、当局とも調整しながら以下の 結論を得た。 ・白系航空障害灯(閃光式)の不使用 ・タービン先端へのライト不設置 ・低光度航空障害灯の下側をカバー ・視野測定に応じて低光度航空障害灯の設置数削減 また対立のさらなる解消に向けて、他に可能と思われる行動を以下に示す。 ・特定の発光色の使用(例えば船舶接近の目印用) ・LED 技術の利用(例えば船舶接近の目印の逆表示) ・障害灯の利用を必要な量だけに限定 -航空分野:ブロック灯火、レーダーの利用 -船舶分野:接近標章、到達距離 5 海里の灯火 -航空と船舶の両部門の相乗効果を活用 (参考資料)
・Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、ドイツ連邦海事水路庁 (Bundesamt für Seeschifffahrt und Hydrographie)
・http://www.umweltaktion.de/pics/medien/1_1245671442/Auszug_AVV.pdf
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Crolina Abromeit 氏、 ドイツ連邦海事水路庁
6.効率的な洋上風力発電の建設およびサービス(規模は 5MW 以上を対象) Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社
6.1 設置状況
欧州での風力発電機の年間設置状況の予測について、図 6-1 に示す。2008 年時点での予測で は、2020 年までに年間約 800 基の風力発電機が設置されていくとされていたが、2009 年には平 均で 1,200 基が設置されると予測の上方修正がされている。市場シェアは、イギリスが 40%、 ドイツが 34%で大半を占めると予測されている。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-1 欧州での風力発電機の年間設置基数の予測 設置される水深は、どんどん深くなる傾向が見られる。その状況を表 6-1 に示すが、全体の プロジェクトの 40%以上が、水深 35m 以上の場所に建設されているが、これは基礎構造が大き く重くなる傾向でもある。 表 6-1 欧州の洋上風力発電施設が設置される場所の水深 平均水深 <12m 12~35m 35~50m >50m ドイツ 34.98m 0.25% 42.74% 56.67% 0.33% イギリス 32.03m 8.05% 44.35% 40.25% 7.35% その他欧州 31.71m 22.02% 63.72% 3.53% 10.73% 欧州全体 32.93m 8.92% 48.64% 36.60% 5.84%
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 水深も深くなり、タービンも大きくなる傾向が顕著になれば、それに連れて基礎構造も当然 大きくならざるを得ない。その例として、将来の洋上風力発電プロジェクトの例を挙げると、 -6MW のタービンで、600 トンのナセル(nacelle)重量 -40m 以上の水深 -ナセル高さは 100m 以上 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 風力発 電機 年間 設置基 数 風力発電機年間製造基数(2008 年予測) プロジェクトリストから 2009 年に再予測
これを格子状基礎構造とすると、 -高さ 60m 以上 -幅 30m 以上 -重量約 1,000 トン 例として、Alpha Ventus プロジェクトの水深約 27m の場所に設置される基礎の写真を図 6-2 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-2 Alpha Ventus プロジェクトで使用される基礎 ベースとなる港から洋上風力発電施設への平均距離を表 6-2 に示すが、前提として最も近い 港からの距離とする。 表 6-2 港から洋上風力発電施設までの距離 港からの平均距離 <35 海里 35~100 海里 >100 海里 ドイツ 50.21 海里 12.16% 86.07% 1.77% イギリス 57.96 海里 23.84% 54.61% 21.55% その他欧州 32.52 海里 62.14% 37.86% 0.00% 欧州全体 53.66 海里 23.65% 62.21% 14.14% (1 海里=1,852m)
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 洋上風力発電が世界で最も盛んな国がイギリスとなるが、イギリスでは 3rd Round UK と呼 ばれる洋上風力発電計画が存在する。本計画において必要とされるものが、港からの長距離、 より深い水深、より大きな直径・重量、より高い設置頻度である。
また洋上風力発電に関する設備は当然ながら港に近い場所で製造されることになるが、港側 にも以下に示す項目が要求されることなる。 -設置用船舶用の喫水 -埠頭の延長 -設置用船舶用の長い梁 -港内ジャッキ用の底部強化 -洋上風力発電機材用の面積と設備 -操業および維持管理に適した港の形状 2012 年から 2020 年の間に、年間平均で 800 もの新しい風力発電タービンとその基礎が設置 されることになる。そのためには 20 隻以上の高度に設計された設置用船舶が必要とされるが、 現状では設置用船舶の数が不足している状況である。 6.2 提携先の紹介
Beluga Shipping 社と Hochtief 社、この世界を代表する 2 企業は、プロジェクト、重量物搬 送、土木工学において、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社としてそれぞれの能力を集結した 形となっている。
以下に Beluga グループ、Hochtief 社、洋上風力発電施設建設に向けて提携して創業された Beluga Hochtief Offshore GmbH 社について、説明する。
(1) Beluga グループ
Beluga グループは 1995 年に設立され、Niels Stolberg 氏が設立者であり現在も CEO を務め ている。事業としては、世界中での大型重量貨物輸送、複合海洋輸送ソリューション、プロジ ェクトの専門家であり、重量物や超大型貨物を得意とする。所有船舶は、66 隻の最新型重量貨 物運搬船と、さらに 2011 年までに 40 隻を納入予定である。従業員数は、ブレーメン市に 400 名、外国に 110 名、1,300 名が洋上で従事している、売上高は 2008 年で 4 億 1,800 万ユーロを 記録している。 BELUGA グループの洋上風力発電に関する重要な能力を、以下に示す。 ・大規模施設新設用船舶 ・船団の経験豊富な操業管理 ・船舶の融資における豊富な経験 ・重量物操作における輸送エンジニアリング ・新しく革新的なコンセプトに対する流行仕掛け人的存在 次に Beluga の洋上訓練協会有限会社(BOTA 社)の紹介を行う。訓練開始は 2011 年 4 月から となるが、洋上産業に対する専門家の質の高い訓練と教育を目標としている。施設内には、訓 練用室内プールを持つ訓練センターを備え、洋上および重量物用クレーン操作シミュレーター も設置される予定である。 この訓練施設内の海洋安全訓練センターの配置図を図 6-3 に、重量物・洋上クレーンシミュ レーターの平面図を図 6-4 に、写真とイラストを図 6-5 にそれぞれ示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-3 訓練施設配置図(ドイツ Elsfleth 町:ヴェーザー川沿い、施設面積 38,000m2)
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-4 訓練施設断面図(海洋安全訓練センター、クレーンシミュレーター) 重量物/洋上クレーンシミュレーター 海洋安全訓練センター スクリーン付 シミュレーション室 セミナー室 60 人用 会議室 積荷担当者 訓練室 更衣室 水泳用プール 20mL×10mW×4mB 4m ジャンプ台 管理室 H.U.E.T. 訓練室 波発生機 送風機
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-5 訓練施設写真とイラスト
2011 年 4 月 1 日からの BOTA の訓練提供の内容について示す。 ・基本的な洋上での安全誘導および緊急時の訓練
(略して BOSIET、Basic Offshore Safety Induction & Emergency Training) ・高速救助ボート、落下式救命ボート、救命ボート内での非常時用訓練
・ダイナミック・ポジショニング
(風や潮流に流されることなく、船の位置を常に一定に保つこと)
・ヘリコプター水中避難訓練(H.U.E.T.:Helicopter Underwater Escape Training) ・ヘリコプター着陸操作 ・クレーン操作訓練:「重量物」+「洋上操作」 ・火災撲滅、基本とさらにプラス ・応急処置、基本と応用 ・英語(洋上、コミュニケーション) ・玉掛け等の接続方法、ウィンチ取扱方法 ・船舶安全士の訓練 (2)Hochtief 社 創立は 1873 年で、世界で第 5 位の建設サービスを提供する会社である。事業内容として、 開発、建設、サービス、免許、操業サービスを統合した当社は、インフラプロジェクトの全体 のライフサイクルを提供することが可能である。従業員数は世界全体で 64,500 名、2008 年の 売上高は 216 億ユーロである。 Hochtief 社は、設計・建設、組立、設置・輸送、操業・維持管理、港湾建設まで、洋上風力 発電施設設置に関するあらゆるものを提供する会社である。同社の持つ重要な能力の中で、土 木エンジニアリングに関して強みを持つ分野を以下に示す。 ・閘門、船舶昇降機 ヘリコプター訓練用キャビン キャビンは水中にあり、 訓練生はできるだけ早く 脱出しなければならない。 訓練用プールの中では、 このキャビンがクレーンに 繋がれている。 クレーンシミュレーター室立体図 洋上クレーン作業者 仮想作業場 実際の洋上クレーン 作業は、高さ 60m 以下
・水門、洪水防止 ・港湾(ターンキー) ・海洋基礎 ・洋上風車 その中でも、Hochtief 社が誇るジャッキアップ技術の概要について図 6-6 に示す。 ODIN 号 船底:46.10m×30.00m×4.6m クレーン長:60m/2.0m×2.0m 設備深さ:35m 積載重量:900 トン クレーン積載量:300 トン 導入:2004 年 11 月より
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-6 Hochtief 社のジャッキアップ技術
(3)Beluga Hochtief Offshore GmbH 社
同社は、Beluga グループと Hochtief 社が 2008 年 3 月提携し、2009 年 5 月に合弁会社を設 立したものである。市場参入は 2012 年の予定である。
6.3 今日の設置プロセス
洋上風力発電施設の今日の設置状況を、Alpha Ventus プロジェクトを例として、図 6-7 以下 に示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-7 トリポッド式基礎の輸送
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-8 タワーの輸送と設置(1)
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-8 タワーの輸送と設置(2)
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-9 トリポッド式基礎の設置
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-10 設置位置確定
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-11 タービンブレード設置
6.4 将来の設置プロセス 我々のソリューションは、容量 5MW 以上の風力発電タービン 80 基およびその基礎を安全に 1 シーズン内に、操業時間のフル活用と操業プロセスの最適化を通じて、可能な限りにコストを 抑制して実現することである。 港での積荷は自給式とし、輸送船積載容量を 8,000 トンとすることである。 今後目指すところの船体の主要寸法を図 6-12 に、洋上作業員収容所のイメージを図 6-13 に、 設置現場との相関図を図 6-14 に、それぞれ示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-12 将来の輸送船の主要寸法
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-13 洋上風力発電プロジェクトの従業員収容設備のイメージ
(収容人員最大 120 名、設備としては 200 人収容可能) ・船体深さ:11m
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-14 洋上風力発電プロジェクトの従業員収容設備と設置現場の相関図 (収容設備は、自推可能、積載重量も最大化、食糧供給は不要) 次に基礎設置用の容量 1,500 トンのクレーンを持つ船舶のイラストを図 6-15 に、ジャケッ ト式基礎の設置状況を図 6-16 に、タービン発電機設置状況を図 6-17 に、いずれも今後のソリ ューションを示すイラストであるが、それぞれを示す。
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-15 1,500 トンクレーンを持つ洋上風力発電設置用船舶(イラスト)
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-16 ジャケット式基礎設置状況
出典:Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH 社 図 6-17 タービン設置状況
(参考資料)
・Offshore-Windpark 講演資料、Carsten Heymann 氏、Beluga Hochtief Offshore GmbH
・クレーン操作の安全装置付 ・水深 50m まで対応可能 ・最新型ダイナミック・ポジショニング・システム 搭載(通称 DP2) クレーン仕様 ・ナセル重量 600 トン ・ナセル高さ 120m