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韓国情報公開法の新旧比較

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韓国情報公開法の新旧比較

著者 山形 勝義

著者別名 YAMAGATA Katsuyoshi

雑誌名 アジア文化研究所研究年報

号 47

ページ 1(232)‑9(224)

発行年 2012

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00004430/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

1.はじめに

韓国における情報公開法である「公共機関の 情報公開に関する法律」は,1996年に制定され たが(1998年施行),その後,2004年に改正が なされた。

本稿においては,改正の特徴を知るための準 備作業として,旧法と新法の比較を試みる。な お,比較にあたって利用した条文は,すでに日 本語に翻訳されているものを利用した。先行研 究の学恩に感謝する。

2.2004年における韓国情報公開システムの 改正

韓国情報公開システム,「公共機関の情報公 開に関する法律」は,第1条目的条項にあるよ うに,国民の知る権利を実現するためのもので ある。その韓国における情報公開システム,「公 共機関の情報公開に関する法律」(1)は,2004年 1月29日(施行は2004年9月)に改正されてい る。ここでは,旧法と改正法を比較しシステム の特色を考察する。

筆 者 は, 拙 稿(2)に お い て, 改 正 さ れ る 前

(1996年制定の旧法)の韓国における情報公開 システムの特色を明らかにしている。また,他 の拙稿(3)した論文で,先進諸国における情報公 開システムのタイプ化も図っている。その論文 では,システムのタイプ化の基準を明確化する ために,情報公開システム形成時におけるシス テムの主な構成要素を基準に考察している。そ こで今回は,その基準とした主要な6つの構成 要素から旧法と改正後の比較を行い情報公開シ

ステムの特色を明らかにしたい。そのシステム の6つの構成要素とは,以下のとおりである。

第1に,請求権者の範囲。第2に,請求方法。

第3に,対象機関の範囲。第4に,手数料。第 5に,開示期間。第6に,救済手段(救済処置)

である。

韓国における情報公開システム「公共機関の 情報公開に関する法律」は2004年1月29日に改 正されているが,改正される前は,5章24条と 付則で構成されていた。以下のとおりである。

第1章総則,第1条目的,第2条定義,第3 条情報公開の原則,第4条適用範囲,第5条公 共機関の義務,第2章情報公開請求者権および 非公開対象情報,第6条情報公開請求者権,第 7条非公開対象情報,第3章情報公開の手続 き,第8条情報公開の請求方法,第9条情報公 開可否の決定,第10条情報公開審議委員会,第 11条情報公開可否の決定通知,第12条部分公 開,第13条即時処理が可能な情報の公開手続 き,第14条請求人の義務,第15条費用の負担,

第4章不服救済手続き,第16条異議申立て,第 17条行政審判,第18条行政訴訟,第19条第三者 の異議申立て,第5章補則,第20条制度の総括,

第21条情報提供,第22条主要文書目録の作成・

措置等,第23条資料の提出要求,第24条委任規 定,付則である。

しかし,2004年に大幅な改正を行い,以下の ように修正された。

第1章総則,第1条目的,第2条定義,第3 条情報公開の原則,第4条適用の範囲,第2章 情報公開請求権者と公共機関の義務,第5条情 報公開請求権者,第6条公共機関の義務,第7

山 形 勝 義

(3)

条行政情報の公表等,第8条情報目録の作成・

備置等,第3章情報公開の手続き,第9条非公 開情報対象,第10条情報公開の請求方法,第11 条情報公開可否の決定,第12条情報公開審議 会,第13条情報公開可否決定の通知,第14条部 分公開,第15条情報の電子的公開,第16条即時 処理が可能な情報の公開,第17条費用の負担,

第4章不服救済手続き,第18条異議申し立て,

第19条行政審判,第20条行政訴訟,第21条第三 者の非公開要請等,第5章情報公開委員会等,

第22条情報公開委員会の設置,第23条委員会の 構成,第24条制度の総括,第25条資料の提出要 求,第26条国会への報告,第27条委任規定,付 則である。この2004年に改正された「公共機関 の情報公開に関する法律」は,5章27条と付則 で構成されることになった。

それでは,6つの構成要素から改正後の情報 公開システムの特色に触れていきたい。

2.1 情報公開請求権者

第1に,請求権者の範囲についてである。情 報公開請求権者の範囲についての基準は,外国 人に請求権を与えるか否かを問うことである。

前者は,非限定的(外国人にも情報開示請求権 を付与している),後者は,限定的(外国人に は請求権を与えない)である。

旧法の情報公開請求権者については,第6条

(情報公開請求権者),(1)すべての国民は,

情報の公開を請求する権利を有する。(2)外 国人の情報公開請求に関しては,別途大統領令 で定めるとし,また,請求人の義務に関する事 項として,第14条(請求人の義務),情報公開 請求人は取得した情報を請求した目的に沿って 適正に使用しなければならないと定めていた。

2004年の改正においては,第5条(情報公開 請求権者),(1)すべての国民は,情報の公開 を請求する権利を有する。(2)外国人の情報 公開請求に関しては,別途大統領令で定めると した。2004年改正法の情報公開請求権者につい ては「すべての国民」としている。ここでいう

国民とは自然人だけでなく,法人も包含され る。一方,外国人に対しては制限的に情報公開 請求権が認められるにとどまる。情報公開法に 基づいて情報開示の請求ができる外国人とは,

国内の一定の住所に居住しているか,学術・研 究のために一時的に滞在する者,または国内に 事務所を置いている法人又は団体に限られる。

上記の基準によれば,韓国における請求権者 の範囲は,前者の非限定的であり外国人にも情 報開示請求権を付与している。しかし,外国人 による海外からの請求は認められないが,国内 居住の外国人は請求可能となっている。また,

韓国国民は海外からも情報開示請求ができるよ うになっている。

そして,請求権者について旧法と改正法の比 較をすると,改正法では,旧法にあった請求権 者に関する事項についての請求人の義務,すな わち第14条「情報公開請求人は取得した情報を 請求した目的に沿って適正に使用しなければな らない」という条項は,情報公開を制限する要 素として作用しうるとの憂慮があるため削除さ れた。このような請求目的条項が過度に厳格に 解釈されることがあってはならないからである。

2.2 請求の仕方

第2に,請求方法についてである。情報公開 請求方法についての基準は,公開請求対象機関 に訪問して書面による請求か。または,書面,

電話,口頭,E メールなどによる請求かに,大 きく二分される。前者は,書面請求による。後 者は,書面請求より多様な請求ができるである。

旧法の請求方法については,第8条(情報公 開の請求方法),(1)情報の公開を請求する者

(以下,請求人とする)は当該情報を保有・管 理している公共機関に対して以下の各号を記載 した情報公開請求書を提出しなければならない。

①請求人の氏名・住民登録番号及び住所。

②公開を請求する情報の内容及び使用目的。

(2)情報公開請求の対象がすでに広く知ら れている事項であったり,請求量が過多で正常

(4)

的な業務遂行に顕著な支障を招くおそれがある 場合には請求された情報の写本または複製物の 交付を制限することができる。

(3)第1項及び第2項に規定した事項以外 に情報公開の請求に関して必要な事項は,国会 規則・大法院規則・憲法裁判所規則・中央選挙 管理委員会規則および大統領令でこれを定める。

旧法においての請求方法は,上記で見られる ように,公開請求対象機関に対して情報公開請 求書を提出するである。つまり,旧法の請求方 法は,対象機関に対して書面による請求であっ た。

2004年に改正された法律では,請求方法につ いて,以下のように修正されている。

改正法では,第10条において,口頭で請求で きると規定している。とりわけ改正された施行 令(第6条2項及び第15条)では郵便,ファク シミリ送信または情報通信網によって提出でき ると規定している。これはインターネット時代 に適応した規定である。とりわけ改正法では公 開請求された情報の受け取りもインターネット を通じてできるように規定している。

第15条(情報の電子的公開)

①公共機関は電子的形態で保有・管理する情 報に対し,請求人が電子的形態で公開するよう 求めた場合には,当該の情報の性質上,顕著に 困難な場合を除いて請求人の要請に従わなけれ ばならない。

②公共機関は,電子的形態で保有・管理して いない情報に対し,請求人が電子的形態で公開 するよう求めた場合には,通常の業務遂行に顕 著な支障をきたしたり,当該情報の性質が既存 されたりするおそれがない限り,その情報を電 子的形態に変換して公開することができる。

③情報の電子的形態の公開等について必要な 事項は国会規則,大法院規則,憲法裁判所規則,

中央選挙管理委員会規則および大統領令で定め る。

上記の基準によれば,韓国における請求方法 は,後者の書面請求より多様な請求である。韓

国では,書面の他,口頭,郵便,ファクシミリ 送信,E メールでの請求が可能となった。これ は,インターネットの普及にあわせた情報化社 会におけるパソコンの普及により,事務・情報 処理の向上で多様な請求ができる事になったの であろう。

そして,請求方法について旧法と改正法の比 較をすると,旧法においては,対象機関に対し て書面による請求であったが,2004年改正おい ては,対象機関に対して書面,口頭,郵便,ファ クシミリ送信,E メールでの情報開示請求が可 能となっている。

2.3 情報公開対象機関

第3に,対象機関の範囲についてである。情 報公開対象機関の範囲についての基準は,広く 対象機関に対して公開請求ができるか,狭く対 象機関を限定しているかである。この場合の公 開対象機関とは,①行政機関(いわゆる省,委 員会及び庁,審議会など),②国会,③裁判所

(いわゆる司法裁判,行政裁判所など),④法人

(いわゆる特殊法人,独立法人,政府の管理下 にある法人など),⑤地方自治体(いわゆる自 治体・州など)である。

旧法の対象機関の範囲について,情報公開の 対象機関となるのは,公共機関であり,「国家,

地方自治団体,政府投資機関管理基本法第2条 の規定による政府投資機関その他大統領令が定 める機関」をいう。国家機関とは,行政機関の みならず立法府,司法府,憲法裁判所,中央選 挙管理委員会等のすべての国家機関である。政 府投資機関管理基本法第2条は,政府が資本金 の5割以上を出資している企業体(ただし韓国 放送公社は除く)を政府投資機関と定めてい て,韓国産業銀行,韓国電力公社など18企業体 がそれに当たる。また,大統領令は,教育法上 のすべての学校,特別法による建設共済組合等 129の特殊法人,国家および地方自治団体の出 資比率が2分の1を超える高速道路管理公団等 93の機関,34の医療機関,国家および地方自治

(5)

団体が直接または間接に出資,補助金等の財政 支援をする1005の機関(開発院,研究院,技術 院,文化院,福祉会館など)を,公開対象機関 と定めていた。

旧法においては,公開対象機関を行政機関に 限定せずに議会や裁判所にも適用していた。さ らに,政府が50% 以上出資する法人を公開対象 とし,施行令案で出資比率にかかわらず特殊法 人や学校法人を対象とすると規定していた。

旧法における情報公開システムの特色のは,

情報公開対象機関が広く,行政機関に限定せず に議会や裁判所にも適用していたことである。

2004年に改正された法律では,情報公開対象 機関について以下のように修正された。

(1)公共機関

情報公開の対象機関としての公共機関とは,

「国家,地方自治体,政府投資機関管理基本法 第2条の規定による政府投資機関,その他大統 領令が定める機関を指す」(第2条第3号)(4)。 対象機関の総数は36,000を超える。

(2)国家機関

国家機関という表現からも分かるように,行 政だけでなく立法,司法,憲法裁判所,中央選 挙管理委員会などあらゆる国家機関は情報公開 義務機関である。

(3)地方自治体

地方自治体も,同法によって情報公開義務を 負う。但し「地方自治体はその所管業務に関し 法令の範囲内で情報公開に関する条例を定める ことができる」(第4条第2項)。これと関連し て地方自治体が政府の機関委任事務に関する情 報について公開の可否を決定した場合に生じう る政府との軋礫についても解決できる方法を模 索しなければならない。

(4)政府投資機関

政府投資機関管理基本法上の投資機関とは,

「政府が納入資本金の5割以上を出資した企業 とする」(法第2条)。ところで2007年1月19日 に制定された「公共機関の運営に関する法律」

(法律第8258号)により,政府投資機関管理基

本法と政府傘下機関管理基本法が廃止された。

(5)大統領令で定める機関

上記の機関以外に,同法上の公共機関は大統 領令で定めることになっている。施行令第2条 で規定している公開対象機関は以下の通りであ る。

①初・中等教育法および高等教育法,その他 別途,法律によって設置された各級学校。

②地方公共企業法による地方公社および地方 工業団地。

③政府傘下機関管理基本法の適用を受ける政 府傘下機関。

④特別法によって設立された特殊法人。

⑤社会福祉事業法第42条第1項の規定により 国家または地方自治体から補助金を受ける社会 福祉法人と社会福祉事業を営む非営利法人。

上記の基準によれば,韓国における情報公開 対象機関は,①行政機関(いわゆる省,委員会 及び庁,審議会など),②国会,③裁判所(い わゆる司法裁判,行政裁判所など),④法人(い わゆる特殊法人,独立法人,政府の管理下にあ る法人など),⑤地方自治体(いわゆる自治体・

州など)の対象となっており,この基準の全部 に該当する。そして,対象機関について旧法と 改正法の比較をすると,旧法においての対象機 関は,行政機関に限定せずに議会や裁判所にも 適用していてたが,2004年改正法は,公共機関 の機関対象の総数が36,000を超えること,また,

国家機関,地方自治体,政府投資機関,大統領 令で定める機関までも対象としていて,公開対 象機関の範囲が広いことが分かる。これだけ韓 国の情報公開対象機関が広いことは,アジア地 域の中でも稀である。これによって,公共機関 は主権者たる国民に対して,いかに行政を行っ ているかを説明する責務を図っているといえる。

2.4 手数料

第4に,手数料についてである。情報公開の 手数料についての基準は,開示請求を行ってか ら閲覧で手数料を取るか否か。閲覧の場合は,

(6)

前者は有料,後者は無料どちらかである。

旧法において手数料については,以下のとお りである。

第15条(費用負担)

①情報公開及び郵送等に要する費用は,実費 の範囲内で請求人の負担とする。

②公開を請求する情報の使用目的が公共の福 利の維持・増進に必要と判断される場含には,

第1項の規定による費用を減免することができ る。

③第1項の規定による費用及び徴収等に関し て必要な事項は,国会規則・大法院規則・憲法 裁判所規則・中央選挙管理委員会規則及び大統 領令で定める。

2004年に改正された法律では,手数料につい て,条文の修正は行われなかった。しかし,旧 法と同じ条文で第17条(費用負担)に規定され ている。

上記の基準によれば,韓国における手数料に ついては,情報開示請求を行ってから閲覧で手 数料を取るか否かであるが,第17条(費用負担)

のとおり,前者の有料である。しかし,公開請 求をする情報の使用目的が公共の福利の維持・

増進に必要と判断される場合には,第1項の規 定による費用を減免することができる(5)。つま り,場合によっては,手数料を少なくしたり,

免除されることもあり得るのである。

2.5 開示決定等の期限

第5に,開示期間についてである。情報開示 期間についての基準は,公開対象機関に請求を した場合,請求者に何日以内に公開するか否か である。この基準は,三段階に分けている。そ れは,開示されるまでの期間として,①最短15 日以内,②30日以内,③30日以上かかる,の3 つ分けている。

旧法の開示期間については,以下のとおりで ある。

第9条(情報公開可否の決定)

(1)公共機関は第8条の規定に従い情報公

開の請求があるときは請求を受けた日より15日 以内に公開可否を決定しなければならない。

(2)公共機関は特段の事由により第1項で 規定した期間内に公開可否を決定できないとき はその期間満了日の次の日から起算し15日の範 囲内で公開可否決定期間を延長することができ る。この場合,公共機関は延長理由を請求人に 対して遅滞なく書面にて通知しなければならな い。

(3)公共機関は公開対象情報の全部または 一部が第三者と関連があると認定される場合に は公開請求された事実を第三者に対して遅滞な く通知しなければならず,必要と認められる場 合にはそれに対する意見を聴取することができ る。

(4)情報公開を請求した日から30日以内に 公共機関が公開可否を決定しないときは非公開 の決定があったものとみなす。

旧法の開示期間については,情報公開請求か ら情報を開示するまでに15日以内を限度に決定 する。そして延長の場合は,30日以内まで可能 となっていた。

2004年に改正された法律では,開示期間につ いて,以下のように短縮改正がされている。

第11条(情報公開可否の決定)

(1)公共機関は第10条の規定によって情報 公開の請求があるときは,請求を受けた日から 10日以内に公開するか否かを決定しなければな らない。

(2)公共機関は,やむをえない事由で,第 1項に規定された期間内に公開の可否を決定す ることができないときには,その期間の満了日 の次の日から起算して10日以内の範囲内で,公 開の適否の決定機関を延長することができる。

この場合,公共機関は延長された事実と延長の 理由を文書をもって,速やかに請求人に通知し なければならない。

つまり,2004年の改正法の開示期間について は,情報公開請求から10日以内を限度に決定す る。そして延長の場合は,20日以内まで可能と

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なっている。延長をして20日を過ぎたら非公開 決定としている。

上記の基準によれば,韓国における開示期間 については,①最短15日以内に該当し,旧法の 開示期間15日であっても,早い期間での情報開 示であるが,さらに,5日間を短縮し10日以内 の開示期間を設けた。

そして,開示期間について旧法と改正法の比 較をすると,旧法では,開示期間が15日以内で あり,延長は30日を過ぎたら非公開の決定とさ れていた。2004年改正法では,開示期間が10日 以内であり,延長は20日を過ぎたら非公開の決 定とされた。これは,法の施行過程に照らして 公開可否決定の通知期間を15日から10日に短縮 しても何らかの問題は生じないため短縮され た。これは,情報化社会になりパソコンの普及 によって事務・情報処理能力の向上が開示期間 短縮に結びついている。そのため韓国における 行政機関の保有する情報の開示が早いのはアジ ア地域の中でも特色となっている。

2.6 不服救済手段(救済処置)

第6に,救済手段(救済処置)についてであ る。救済手段についての基準は,公開請求した にもかかわらず,何らかの理由で開示を拒否さ れたとき,どのような機関に対し不服申立がで きるかである。それは,次の3つのレベルに分 ける事ができる。①司法機関のみの1レベル,

②行政機関または第3者機関から司法機関の2 レベル,③行政機関・第三者機関・司法機関の 3レベルである。

旧法の救済手段については,以下のとおりで ある。

第16条(異議申請)

(1)請求人が情報公開に関連して公共機関 の処分または不作為によって法律上利益の侵害 を受けたときは,公共機関から情報公開可否の 決定通知を受けた日または第9条第4項の規定 によって非公開の決定があったものとみなす日 から30日以内に当該公共機関に対し書面にて異

議申請をすることができる。

(2)公共機関は異議申請を受けた日から7 日以内にその異議申請について決定し,その結 果を請求人に対して遅滞なく書面にて通知しな ければならない。

(3)公共機関が異議申請を却下または棄却 する決定をしたときは,請求人に対して行政審 判または行政訴訟を提起することができる旨を 第2項の規定による結果通知と共に通知しなけ ればならない。

第17条(行政審判)

(1)請求人が情報公開に関連して公共機関 の処分または不作為によって法律上利益の

侵害を受けたときは,行政審判法の定めに 従って行政審判を請求することができる。この 場合,国家および地方自治体以外の公共機関の 処分または不作為に対する裁決庁は関係中央行 政機関の長とする。

(2)請求人は第16条の規定による異議申請 節次を経ずに行政審判を請求することができ る。

(3)行政審判委員会の委員のうち情報公開 可否決定に関する行政審判に関与する委員は在 職中はもちろん,退職後においてもその職務上 知った秘密を漏らしてはならない。

(4)第3項の委員に対しては刑法その他法 律の罰則適用についてはこれを公務員とみな す。

第18条(行政訴訟)

(1)請求人が情報公開に関連して公共機関 の処分または不作為によって法律上利益の侵害 を受けたときは,行政訴訟法の定めに従って行 政訴訟を提起することができる。

(2)裁判長が必要と認めるときは当事者を 参与させずに,提出された公開請求情報を非公 開に閲覧・審査することができる。

(3)裁判長は裁判の対象が第7条第1項第 2号の規定による情報のうち国家安全保障・国 防または外交に関する情報の非公開決定処分で ある場合に,公共機関がその情報に対する秘密

(8)

指定の節次(手順),秘密の等級・種類および 性質とそれを秘密に取り扱うこととなった実質 的理由および公開をしない事由等を立証すると きは,当該情報を提出させないことができる。

第19条(第三者の異議申請等)

(1)第9条第3項の規定により公開請求さ れた事実を通知された第三者は,通知を受けた 日から3日以内に当該公共機関に対して公開し ないことを要請することができる。

(2)第1項の規定による非公開要請を受け た公共機関は当該第三者の意思に反して公開し ようとする場合には,公開事由を明示して書面 にて通知しなければならず,公開通知を受けた 第三者は当該公共機関に対して異議申請をした り行政審判または行政訴訟を提起することがで きる。この場合異議申請は通知を受けた日から 7日以内にしなければならない。

(3)第16条第2項・第3項,第17条第1項 後段・第2項ないし第4項および第18条第2 項・第3項の規定は第2項の規定による異議申 請,行政審判および行政訴訟に関してこれを準 用する。このとき,請求人をそれぞれ第三者と みなす。

旧法の救済手段(救済処置)については,審 議会の専門的な役割に関して問題点があった。

旧法の制定当時から情報公開審議会の設置 は,法律上規定されており,情報公開審議会の 開催回数も持続的に増加していた。しかし,法 律には情報公開審議会に関する厳格な規定がな かったため,多くの公共機関では,審議会委員 の大部分が該当機関に所属している公務員に よって占められるなどにより,救済手段となる 異議申立ては,一般的な行政審判に回すように されていたからである。

2004年に改正された法律では,救済手段(救 済処置),不服救済手続きについては,以下の ように修正されている。

第18条2項(異議申立て)

情報公開請求に対する公共機関の決定を不服 とする場合,請求人の迅速な権利救済のため異

議申立て制度を置いている。公共機関は異議申 立てを受けた日から7日以内にその異議申立て に対し決定し,その結果を請求人に速やかに文 書で通知しなければならない。但し,異議申立 てに対する公開の可否決定は,専門家が参加す る情報公開審議会を経なければならないため,

会議招集等にかかる時間に鑑みて必要な場合に は1回(7日)に限って延長することができる。

第19条(行政審判)

(1)請求人が情報公開と関連して公共機関 の決定に不服がある時は行政審判法の定めると ころにより行政審判を請求することができる。

この場合,国及び地方自治体以外の公共機関の 決定に対する裁決庁は関係中央行政機関の長又 は地方自治団体の長とする。

(2)請求人は第18条の規定による異議申立 て手続きを経ずに行政審判を請求することがで きる。

ここで,救済手段に関する行政審判につい て,旧法と改正法の比較をすると,旧法では,

請求人が情報公開に関して「公共機関の処分ま たは不作為により法律上の利益を侵害された場 合には」行政審判法が定めるところにより行政 審判を請求することができると規定していた が,これは立法上の誤謬だとの指摘があり,こ の部分が改正法では削除された。

第20条(行政訴訟)

(1)請求人が情報公開と関連した公共機関 の決定に対し不服がある場合には,行政訴訟法 が定めるところにより行政訴訟を提起すること ができる。

(2)裁判長は必要と認定する場合には当事 者を出席させずに,提出された公開請求情報を 非公開で閲覧,審査することができる。

(3)裁判長は,行政訴訟の対象が第9条第 1項第2号の規定による情報のうち国家安全保 障,国防または外交に関する情報の非公開決定 処分である場合に,公共機関がその情報に関す る秘密指定の手続き,秘密の等級,種類および 性質とこれを秘密として取り扱うことになった

(9)

実質的な理由および公開しない事由等を立証す る場合には当該の情報を提出しないようにする ことができる。これは,非公開審理ではなく,

裁判所に情報提供自体を拒否する道を開いたと いう意味で問題になっている。

ここで,救済手段に関する行政訴訟につい て,旧法と改正法の比較をすると,旧法におけ る第18条1項の「法律上の利益の侵害」という 表現が改正法では削除されている。請求人が情 報公開に関連して公共機関の処分または不作為 によって,法律上利益の侵害を受けてはならな い。旧法の規定では,情報公開法の本質に反す る解釈で,広く情報公開請求の利益があること を認定しなければならない。

第11条3項(第三者の異議申請等)

公共機関は公開請求された公開対象情報の全 部または一部が第三者と関係があると認められ る場合には,その事実を第三者に速やかに通知 しなければならず,必要な場合にはその意見を 聴取することができる。しかし,法の運用過程 で第三者の範囲および概念が曖昧で判断が難し く,膨大な意見聴取により公開可否決定に長時 間が所要されてきた。とりわけ姓名と住民登録 番号のみが記載されている場合にも第三者に通 知または意見聴取をしているため,行政サービ スの浪費は言うまでもなく,請求人の迅速な情 報公開を受ける権利を侵害する素地がある。そ のため,第三者の概念および範囲を具体化して 第三者とは「公開請求された情報と関係のある 公共機関および請求人以外の者」とし,姓名,

住民登録番号など個人情報および法人等の営業 に関わる情報が含まれていても,当該情報が公 開されて個人の財産や身分上の不利益がないと 判断される場合には第三者の意見聴取や通知手 続きなしで公開するようにするべきである。

次に,権利救済,監督機関の設置の必要性で ある。2004年の改正法では大統領の諮問機関と して情報公開委員会が設置された。2004年に改 正された法律では,情報公開審議会はそのまま にして,行政審判および行政訴訟手続も原則的

にそのまま存置して,新たに大統領諮問機関と して情報公開委員会を設置している。第22条

(情報公開委員会の設置)以下の各号の事項を 審議・調整するために大統領に所属する情報公 開委員会を置く。

①情報公開に関する政策の樹立および制度改 善に関する事項。

②情報公開に関する基準樹立に関する事項。

③第24条第2項および第3項の規定による公 共機関の情報公開運営実態評価およびその結果 処理に関する事項。

④その他,情報公開に関して大統領令が定め る事項。

これは,情報公開法制定当初に設置された監 督および権利救済機構としての情報公開委員会 とは本質的に異なる単なる審議・調整機関にす ぎない。さらに,現実的にこの委員会が設置さ れた後,これといった審議・調整実績もないの が実情である。

情報公開委員会は,2005年度に3回の全体会 議と2回の委嘱民間委員政策懇談会を開催して 2005年7月に各機関で施行された「情報公開制 度運営指針」の審議,2004年度公共機関の情報 公開運営実態評価結果の処理および2005年度情 報公開運営実態評価計画の確定,オンライン情 報公開拡大のための情報化戦略計画を検討する 一方,情報公開制度の改善のための案を模索す るなどの活動をしただけであった。

上記の基準によれば,韓国における救済手段 については,②の2レベル(行政機関または第 三者機関から司法機関)に該当する。特に,救 済手段(救済処置)に関しては,旧法において 問題が生じていた。情報公開請求を行って非開 示など開示されない場合は,異議申立てなどの 救済手段をとるであるが,旧法の法案段階で異 議申立てを情報公開委員会にするとしていたの を削除して,法制定にあたり異議申立てなどに ついては,一般的な行政審判に回されることに なった。その結果,改正法により異議申立てに ついては,各機関に情報公開審議会を置いてい

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る。つまり,旧法の制定過程で情報公開委員会 を削除して,一般的な行政審判に回すようにし たため,その結果,誤謬が発生した(6)。そのた め,2004年の改正では,重要課題でもあった救 済手段(救済処置)に関して,各機関に情報公 開審議会を置くことにより改善を図っている。

以上のように,2004年に改正された主要な6 つの構成要素から情報公開システムの特色を明 らかにした。そこで,改正された情報公開シス テムの特色を整理すると,第1に,請求権者の 範囲は,「すべての国民」として韓国国民に限 定し情報公開請求権者を与えている。しかし,

外国人による海外からの請求は認められない が,国内居住の外国人は請求可能となってい る。そして,韓国国民は海外からも情報開示請 求ができるようになっている。第2に,請求方 法であるが,口頭,書面,郵便,ファクシミリ 送信,E メールでの請求が可能となっている。

第3に,対象機関の範囲については,公共機関 の機関対象の総数が36,000を超えていること,

国家機関,地方自治体,政府投資機関,大統領 令で定める機関までも対象としていて,公開対 象機関の範囲が広い。第4に,手数料について は,有料であるが,公開請求をする情報の使用 目的が公共の福利の維持・増進に必要と判断さ れる場合には,第1項の規定による費用を減免 することができる。第5に,開示期間について は,10日以内を限度に決定する。そして延長の 場合は,20日以内まで可能となっている。延長 をして20日を過ぎたら非公開決定としている。

第6に,救済手段(救済処置)については,各 機関に情報公開審議会を置いている。また,新 たに大統領の諮問機関として情報公開委員会が 設置されている。

<注>

⑴ 成楽寅「韓国における情報公開法の制定,改 正と運用」獨協ロー・ジャーナル第4号,2009年,

32頁〜40頁,三宅弘「日本・韓国・中国の情報 公開法制定過程にみる東アジア共通法基盤形成

の可能性─ヴェーバー法理論をふまえて─」獨 協 ロ ー・ ジ ャ ー ナ ル 第 7 号,2012年,118頁 〜 124頁。金映蘭「韓国の情報公開法の施行状況と 2004年改正」季情報公開13号,2004年,56頁〜

61頁,成楽寅「韓国の情報公開法と情報公開に よ る 国 会 監 視 」 自 由 と 正 義,Vol.59, 7 月 号,

2008年,26頁〜32頁。

⑵ 山形勝義「アジア諸国における権威主義体制 の崩壊と情報公開システムの形成─韓国・台湾・

タイを事例に─」『法政論叢』日本法政学会,第 45巻,第2号,2009年,1頁〜13頁。

⑶ 山形勝義「世界における情報公開システムの タイプ」東洋大学大学院紀要,2007年度・第44集,

21頁〜40頁。

⑷ 行政自治省が毎年刊行する情報公開年次報告 書参照。

⑸ 2004年3月10日行政自治部報道資料参照。

 http://www.mogaha.go.kr/webapp/bbs/notice/

list.action?bid=98&off set=120&maxsize=15&sor t=reg̲date&sc̲param=common&srchcon

⑹ 報道記事参照,世界日報2004年6月2日,6 月3日。

  (客員研究員・東洋大学法学部非常勤講師)

参照

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