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Vol. 60, 4, リードフレームの高機能 高信頼性化を支える後処理剤および後処理技術 相場玲宏 a 日鉱金属 磯原工場開発部 ( 茨城県北茨城市華川町臼場 187-4) Post Surface Treatment Agent and Technology

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(1)

リードフレームの高機能・高信頼性化を支える 後処理剤および後処理技術

相 場 玲 宏a

a日鉱金属㈱ 磯原工場開発部(〒 319-1535 茨城県北茨城市華川町臼場 187-4)

Post Surface Treatment Agent and Technology for IC Leadframe with High Performance and Reliability

Akihiro AIBA

a

a Isohara Works, Nippon Mining & Metals Co., Ltd.(187-4, Usuba, Hanakawa-cho, Kitaibaraki-shi, Ibaraki 319-1535)

Keywords : Leadframe, Silver Stripping, Copper Stripping, Copper Ant-tarnish, Epoxy Bleed Out

1 .はじめに

 半導体パッケージの高機能・高信頼性化には,半導体チッ プ自体の進化が不可欠であるが,パッケージに関わる周辺材 料やその製造技術の進歩や深化も欠かせない。

 リードフレームは半導体チップの保持や,放熱,電力・電 気信号を流すための金属リードで,素材としては主に銅合金 材,42 合金材(42%ニッケル含有鉄合金),鉄材などが使用 されている。

 一部の製品を除いては素材がそのまま使用されるのではな く,表面処理としてめっきが施されている。内装(封止樹脂 の内側に納まる部分)めっきとして,かつては全面金めっき が採用されていたが,コスト削減のため部分金めっき化され,

さらには金めっきが銀めっきに変更されている。また,外装 はんだめっきをなくし,TAT(ターン・アラウンド・タイム)

を短縮することや,外装はんだめっきの鉛フリー化対応とし て,リードフレーム全面にニッケル/パラジウム/金めっき を施すPPF(プリプレーテッドフレーム)が最近増えてきて いる。

 このようにリードフレームが多様化する中,かつては素材 とめっきの組み合わせで,半導体パッケージのリードとして 十分な特性が得られていたが,半導体パッケージの高機能・

高信頼性化の要求に対して,後処理の重要性が増してきてい る。具体的にはめっき後に後処理を行うことにより,めっき 皮膜や素材に積極的に新しい機能を付与するというものであ る。このような状況に鑑み,本稿ではリードフレームの高機 能・高信頼性化を支える後処理剤および後処理技術に関して 解説する。

2 .リードフレームの後処理の種類

 リードフレームへの(内装)めっきおよび後処理工程は主に 下記の通りである(めっき前処理,水洗,酸・アルカリ洗浄,

乾燥工程は省略)。

 2.1 部分銀めっき銅合金材リードフレーム

 銅ストライクめっき→銀置換防止処理→部分銀めっき→不 要部の銀剥離処理→銅変色防止処理→EBO(エポキシブリー ドアウト)防止処理。

 2.2 部分銀めっき 42 材リードフレーム

 銅ストライクめっき→銀置換防止処理→部分銀めっき→

(不要部の銀剥離処理)→銅剥離処理→(洗浄処理)→EBO防 止処理。

 2.3 全面ニッケル/パラジウム/金めっき銅合金材リー ドフレーム(PPF)

 銅ストライクめっき→ニッケルめっき→パラジウムめっき

→金めっき→密着性向上処理→EBO防止処理。

 2.4 全面銀めっきリードフレーム(素材は銅合金材また は鉄合金材または鉄材)

 銅ストライクめっき→銀ストライクめっき→全面銀めっき

→密着性向上処理→EBO防止処理。

 または,銅ストライクめっき→銀ストライクめっき→全面 銀めっき処理→銀変色防止処理。

3 .リードフレームの後処理剤および後処理技術  以下に各種後処理剤および後処理技術の使用目的,特徴,

機構,基本組成などについて示す。

 3.1 銀剥離剤

 部分銀めっきリードフレームの場合,リードフレームの必 要部分(主にダイパッドおよびインナーリード先端部)にマス クを用いて部分銀めっきを行うが,リードフレームの形状や,

銀置換防止剤の能力の問題,銀めっき時のマスクの甘さなど の理由から,リード側面や表面,裏面の不要部に銀の置換析 出および電解析出が起こる。これらの不要部に析出した銀は マイグレーションやシミ・変色,EMC(エポキシ・モールディ ング・コンパウンド)樹脂との密着性低下の原因となり,半 導体パッケージの性能・信頼性低下に繋がるため,剥離・除 去が求められる。

 部分銀めっきは銅合金材,42 合金材のいずれにも適用さ 小特集:リードフレームと表面処理

(2)

れるが,いずれの材料を用いた場合も素材と銀めっきの密着 性を上げるために銅ストライクめっき(通常 0.1μm以下)を 施しているので,銀剥離剤への要求特性として,銀を選択的 に剥離(溶解)して,銅はあまり溶解しないという性質が挙げ られる。また,必要な部分の銀めっきにはあまりダメージを 与えず,外観等を変化させないことや,リードフレームを汚 染しないことも重要である。

 銅は銀よりイオン化傾向が大きい金属なので,一般の酸や シアン溶液に浸漬すると銀より先に銅が溶解してしまうので 銀剥離剤としては不適である。この問題を解決したのが,イ ミド化合物の弱アルカリ溶液中での陽極電解である1)。イミ ドの中でもコハク酸イミドが古くから実用化されている。 1にはコハク酸イミドの弱アルカリ溶液中での銀および銅の 分極特性を示す。これより,一定の電圧以上では,本溶液中 で銅の溶解が抑制され,銀の溶解が優先的に起こっているこ とが分かる。図 2には銀剥離前後のリードフレームインナー リード部を斜め上から見た写真を示す。これより,リード側 面の不要部に析出した銀めっき(漏れ銀)がきれいに剥離され ている様子が分かる。

 銀剥離は電解工程であるため,陽極および陰極の電流密度 制御が重要である。陽極であるリードフレームの電流密度が 高すぎると銀めっき面の光沢度が上昇したり,焼けたりする。

逆に電流密度が低すぎると銀より銅が優先して溶解し,銀剥 離量不足や銅面の変色が発生する。また,陰極(主にSUS板)

の電流密度が高すぎると析出した銀の密着性が低く,浴中に 浮遊し易くなり,リードフレームの汚染の原因となる。

 銀剥離の反応を(1)~(3)に示す。コハク酸イミドの弱アル カリ溶液(pH9 程度)中でリードフレームを陽極電解し,銀表 面に銀水酸化物(または酸化物)を生成させ,これをコハク酸 イミドと反応させて溶解(剥離)する。その後,コハク酸イミ ド-銀化合物は陰極で銀を放し,銀は陰極に析出する。陽極 での電流効率が陰極での電流効率を若干上回るため,銀剥離 剤溶液中に銀イオンが徐々に蓄積して行く。また,銀だけで なく,銅も若干溶解するので,銅イオンも徐々に蓄積して行 き,これらが許容量を越えると,銀剥離に不具合が生じる。

Ag + OH → AgOH + e ………(1)

R-NH + AgOH → R-N-Ag + H2O ………(2)

R-N-Ag + e → Ag + R-N………(3)

 コハク酸イミド溶液を用いた銀剥離剤の欠点として,浴寿 命の短さが挙げられる。この原因はアルカリ溶液中でコハク 酸イミドが加水分解し,アミドやアミン化合物などの分解物

を生成することが一因であると考えられる。この分解生成物 は銀剥離に悪影響を与え,剥離後の銀表面を粗くしたり,黄 色っぽく変色させたり,汚染したりする。この問題のため,

コハク酸イミド溶液を用いた銀剥離剤は不純物の蓄積が許容 量に達しなくても浴寿命となり,数日程度で再建浴が必要と なる。浴寿命が主成分の分解に起因することから,分解反応 を抑制するため,量産ラインでは冷却器を用いて浴温を下げ たり,予めpHを低めに設定したりしている。また,高電流 密度で銀剥離を行うと分解生成物の影響を特に受け易いので,

分解物の生成量の増加に従って銀剥離電流密度を下げるとい う方法でも浴寿命の延長が図られている。なお,主成分のコ ハク酸イミドの定量方法としては,硝酸銀溶液を用いた滴定 が用いられており,分解生成物の定量はFT-IRを用いて行う ことができる。

 コハク酸イミドが加水分解を受け易い理由として,分子の 対称性が低く,電子の偏りが大きいことが挙げられる。この 観点から分子の対称性を上げた新規のイミド化合物が数種類 提案され2)実用化されており,現在では主流となっている。

コハク酸イミドとは構造は異なるが同じイミド系なので硝酸 銀滴定による濃度分析が可能である。新規イミド化合物はい ずれもpH10 ~ 11 程度のアルカリ性領域で使用され,コハ ク酸イミドより高いpHで使用される。それにも関わらず,

浴安定性が非常に高く,数週間以上の浴寿命を達成し,ラン ニングコストダウンに大きく貢献している。

 新規イミド化合物の欠点としては,高電流密度で銀剥離を 行うと銀面の光沢度が上昇し易いことやリード側面の銀剥離 能力が低いという点が挙げられる。この問題を解決するため にアミノカルボン酸その他のさまざまな添加剤が提案され3)

実用化されている。

 その他,マスクを使用せずレジストを使用して部分銀めっ きを行う工法では,アルカリ性溶液によるレジストアタック を回避するために,カルボン酸系化合物を用いた弱酸性の銀 剥離剤も一部実用化されている4)

 3.2 銅剥離剤

 42 材へ部分銀めっきを行う場合,銅合金材の場合と同様 に銀めっきの密着性向上を目的として部分銀めっきを行う前 にリードフレーム全面に銅ストライクめっきを行うが,部分 銀めっきの後,この銅ストライクめっき皮膜は不要となるの で剥離される。

 銅剥離剤の要求特性として,銀より銅が優先的に剥離され ること,銅剥離後の銀めっき面,42 材面にダメージがない こと,リードフレームを汚染しないことなどが挙げられる。

 図 3に銅剥離前後の 42 材リードフレームを示す。これより,

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図 1  コハク酸イミド溶液中での銀,銅の分極挙動

(コハクイミド 50g/L,pH9.0)

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図 2 銀剥離前(左)後(右)のリードフレーム

(3)

Vol. 60, №4, 2009 後処理剤および後処理技術 245 素材である 42 材面,および銀めっき面にほとんどダメージ

を与えず,銅ストライクめっきのみが剥離されていることが 分かる。ただし,銅の選択剥離性があまりに高すぎ,銀がほ とんど剥離しないと,リード側面に漏れた銀めっきの下の銅 ストライクめっきの剥離が優先され,銀めっき皮膜がめくれ 上がるという現象が起こるので,図 4に示すように銅のみで なく銀もほどほどに剥離する性質が求められる。

 銅剥離剤は非シアン系の薬剤も提案されているが5),一般 にはシアン化アルカリ(ナトリウムまたはカリウム塩)と酸化 剤,添加剤からなるシアン系の薬剤が用いられている。酸化 剤としてはニトロ系化合物,スルホン酸系化合物やカルボン 酸系化合物が主に用いられており,添加剤としては,浴安定 性を向上させるための安定剤やpH緩衝剤,銀めっき面の光 沢変化を抑制するような金属化合物系添加剤が挙げられる6)。  浴管理はシアン化合物の滴定,および不純物(銅,銀など)

分析を行い,シアン化合物の滴定分析値を基に酸化剤や添加 剤を適量補給する。浴寿命は主に浴中への銅の蓄積量によっ て決まり,一般に銅の許容濃度は数g/Lであるため,浴寿命 は数日である。

 なお,先に示した銅剥離後のリード側面の銀めっきのめく れを防ぐ方法として,銅剥離工程の前に銀剥離を行う場合が ある。銀剥離工程を入れるとコストアップになるが,リード 側面に漏れた銀を予め剥離することで,銅剥離による銀めっ きのめくれが抑えられ,銅剥離工程の負荷が軽減でき,品質 向上にも繋がる。

 銅剥離剤はシアン化合物を含むアルカリ性溶液のため,洗 浄性が悪くアルカリや有機成分が銅剥離後のリードフレーム に残留し易く,銀めっき面や銅面の変色の原因となる。これ を防止するため,後処理として,アルカリ,酸による洗浄や 洗浄剤を用いた洗浄工程を入れる場合がある。

 3.3 銅変色防止剤

 部分銀めっき銅合金リードフレームでは,銀めっきが施さ

れている以外の部分は銅が剥き出しとなっているので,保管 中に銅面が酸化変色する場合がある。この変色は銀剥離工程 の導入により銅面全体に薄く置換していた銀が剥離され,活 性面が出るようになってからさらに加速されている。なお,

表面処理工程終了直後に発生するシミや斑点状変色は洗浄不 足が主な原因であるため,以下で述べる変色とは区別する。

 銅面の変色を防止するためには,リードフレームの洗浄の 強化や梱包時,保管時の温湿度管理が有効であるが,表面処 理として銅変色防止処理を行うことが最も有効である。

 銅変色防止剤のポイントは銅に対する化学結合力と被覆力 である。化学結合力は,分子中にN,O,Sなどが存在し,

電子の偏りを持つ構造が有効であり,被覆力はベンゼン環の ような膨張した構造が有効である。これらを兼ね備えた構造 を持つ化合物としてBTA(ベンゾトリアゾール)が有名であ る。BTAは(4)に示す反応により,一価の酸化銅と反応して 数十Å程度の 3 次元ポリマー皮膜を形成し7)高い耐湿性,防 錆性を示す。

Cu+1/2O2+2C6H4N2・NH→(C6H4N2・N)2・Cu+H2O …(4)

 ただし,BTAをリードフレームに適用する場合,そのア センブリ特性を損なわないようにする必要があるので,さま ざまな添加剤が考案,実用化されている。特に銀めっき面に 銅変色防止剤が吸着すると,ワイヤーボンディング特性を損 なうので,銅面への選択吸着性が重要になる。

 また,最近の銅変色防止剤への要求として,単に銅の酸化 変色を抑えるだけでなく,EMC樹脂との密着性向上が挙げ られる。樹脂密着性向上にはシランカップリング剤(詳細は 3.5節参照)が有効である。通常,シランカップリング剤は 銅変色防止効果を有しないが,アルコキシシリル基の反対側 の基を適当に調整することで,銅変色防止効果を発現させる ことが可能であり,このような機能を有したシランカップリ ング剤が実用化されている8)

 また,EMC樹脂密着性を低下させる原因にCPO(銅酸化 膜剥離)がある。アセンブリスピード向上のためにワイヤー ボンディングやその他の工程での加熱温度が高くなり,また,

多ピン化,マトリックス化によりワイヤーボンディング時間 が長くなっており,リードフレームにかかる熱履歴は過酷に なってきている。そのため,銅の酸化が加速され,銅酸化膜 が厚く成長してパッケージ内で剥離(酷い場合は樹脂モール ド前に剥離)するという現象が起こる場合があり,半導体パッ ケージの信頼性を低下させている。

 CPOは単に銅酸化膜が厚いと剥がれ易いという訳ではな く,銅酸化膜の組成(Cu2OとCuOの生成比や有機物含有量)

により大きく異なってくるので,膜厚と組成の両方の制御が 必要である。耐CPO性向上のためにさまざまな銅変色防止 剤が提案されているが,有効な化合物は概して銅変色防止効 果が弱いという欠点がある。この問題の解決策の一つとして,

銀と有機物の混成皮膜が提案され実用化されている9)。具体 的には銅インヒビター溶液中に銀化合物を溶解した溶液に リードフレームを浸漬し,銅面に銀を数nmの厚さで置換さ せるものである(この時,有機インヒビターも若干取り込ま れる)。ただし,置換銀膜厚が厚くなりすぎると,EMC樹脂 密着性の低下,外装はんだめっき時の異常析出や浴汚染,マ 㪚㫌

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図 3 銅剥離前(左)後(右)のリードフレーム

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図 4  銅剥離剤における剥離時間と銅,銀の剥離速度の関係

(4)

イグレーションなどの原因になる可能性があるので,置換銀 皮膜の膜厚制御に注意しなければならない。

 3.4 EBO(エポキシブリードアウト)防止剤

 半導体チップをリードフレームに接着するダイボンディン グには,熱伝導性を良くするために銀が添加されたエポキシ 樹脂系接着剤(銀ペースト)が使用されている。(熱伝導性を あまり重視しない場合,銀無添加のエポキシ樹脂が使用され ている。また,エポキシ系以外の接着剤が使用される場合も ある。)

 このダイボンディング用樹脂の低弾性力化・低応力化にと もない,リードフレームにディスペンスした樹脂が滲み出す 現象が起こり易くなってきている。この樹脂の滲み出し現象 をEBO(エポキシブリードアウト),またはRBO(レジンブ リードアウト)という。

 EBOが発生すると,その部分の樹脂密着性が低下するので,

モールディングの際,EMC樹脂との密着性が低下し,半導 体パッケージの信頼性低下の原因となる。また,通常,ワイ ヤーボンディングはリードフレームのインナーリード部と半 導体チップの電極を結ぶが,製品によってはアースをダイ パッドから取るものがあり,ダイパッド部でEBOが発生し ていると,このグランドボンディングの接合不良になるので,

この観点からもEBOの防止が望まれている。

 図 5にEBOを起こしたダイボンディング樹脂の一例を示 す。一般にEBOはダイボンディング樹脂全体がブリードす るのではなく,反応性希釈剤などの低分子樹脂が滲み出す現 象である。よって,EBOはダイボンディング樹脂の組成に より大きく異なるため,樹脂側からの改善も検討されている が十分ではない。また,EBOは毛細管現象により促進され るので,ダイボンディング面の表面粗さにも影響を受ける。

図 6に示すように,ダイボンディング面(この場合銀めっき 面)の表面粗さを小さくするとEBO発生量は小さくなる。た だし,銀めっき面の表面粗さを小さくすると光沢度が上昇し,

外観がスペックから外れる可能性があるので,大幅な変更は 難しい。そこで,EBO防止剤が必要となる。

 EBO防止剤として用いられる化合物は,金属と化学結合 する官能基と樹脂のブリードを抑える基を有する構造を持つ。

この化合物をダイボンディング面に単分子結合させEBOを 防止する。樹脂ブリードを抑える基を適当に調整することで EBO防止能力を調整することができる。ただし,EBO防止 能力を強くしすぎると樹脂密着性が低下し,ダイボンディン グ強度やモールディング強度が低下し,さらにはワイヤーボ ンディング性まで低下させ,半導体パッケージの性能・信頼 性を損なう危険性があるので,十分な注意が必要である。こ のような観点から,EBO防止剤の設計,使用には細心の注 意を払う必要がある。また,量産で使用する場合,ランニン グにより浴は汚染を受けるが,汚染を受けた浴からでも安定 して単分子層が成膜できるような分子・浴設計,浴管理が重 要である。

 最近,特にEBOを起こし易いダイボンディング樹脂が増 えてきており,この対応としてフッ素化合物を主成分とした EBO防止剤も実用化されている10)。ただし,フッ素化合物 は樹脂弾きが非常に強いため,慎重な選定が必要である。

 EBOは従来ダイボンディングが行われる銀めっき面特有 の問題であったが,銀めっきのリング化,ドット化が進み,

またPPFも多くなってきているので,対象は銀面だけでなく,

銅面,42 材面,PPF面(Ni/Pd/Au面)に及んでいる。これら さまざまな金属に対応するため,金属に結合する側の官能基 の開発が進められており,一種類の液ですべての金属に対応 できるEBO防止剤も実用化されている。ただし,この場合,

EBO防止剤がダイボンディング面だけでなく全面に吸着す るので,モールディング樹脂やリード固定テープの密着性の 低下などにも注意しなくてはならない。

 3.5 密着性向上剤

 半導体パッケージの信頼性向上のために,リードフレーム とEMC樹脂の密着性を上げる試みが成されている11)。一般 にEMC樹脂は金属の表面酸化膜と反応し易いので,銅合金 材や 42 材リードフレームとの密着性は比較的良好である。

ただし,銅合金材リードフレームの場合,3.3節で示した CPO(銅酸化膜剥離)もEMC樹脂密着性に影響を与えるので 注意が必要である。一方,PPFでは表面が金やパラジウムな どの貴金属めっきであるため,酸化膜が形成され難く,これ がEMC樹脂密着性低下の一因となっている。

 PPFとEMC樹脂の密着性向上方法として,アンカー効果 向上のために表面を粗化する方法が採られている。表面粗化 の方法として,エッチングや研磨によりリードフレームの素 材(銅合金材)自体を粗化する方法と,ニッケル/パラジウム /金めっきのニッケルめっきの組成や条件を調整することで,

表面粗さの大きなめっき皮膜を形成する方法がある。

 最近ではさらなるEMC樹脂密着性の改善を目的して,粗 化と併用してシランカップリング剤を用いるケースも出てき ている。図 7には各種金属(無粗化)とEMC樹脂の密着性の 関係を示す。(50 × 25mmの平板 2 枚の間にEMC樹脂を挟 み込み硬化させた後(硬化後の樹脂のサイズは 12.5 × 25 × 0.5mmt),引っ張り試験機でせん断強度を測定)これより,シ 㪜㪙㪦 ㇱ

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図 5 EBO防止処理前(左)後(右)のダイボンディング樹脂

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図 6  ダイボンディング面の表面粗さとEBO量の関係

(5)

Vol. 60, №4, 2009 後処理剤および後処理技術 247 ランカップリング剤は樹脂密着性の低い金,銀などの貴金属

に特に有効であることが分かる。

 PPFは全面めっきなので,表面は単一金属に覆われている。

そのためシランカップリング剤はダイボンディング面やワイ ヤーボンディング面にも吸着することになるので,ダイボン ディング性やワイヤーボンディング性を損なわないような配 慮が必要であり,安定して単分子層が成膜できるような分 子・浴設計,浴管理が重要である。

 3.6 銀変色防止剤

 一般的に半導体用のリードフレームには銀変色防止剤は使 用されていないが,LED用の全面銀めっきリードフレーム では使用される場合がある。特に最近の高輝度LEDではモー ルド材料の変更や,熱環境の苛酷化により,銀めっきの変色 が発生し易く,その結果,光の反射率の低下を招いている。

 図 8に銀変色防止剤処理前後の全面銀めっきリードフレー ムの熱処理前後の可視光の反射率を示す。これより,銀変色 防止処理を施した銀めっき面は加熱後でも反射率の低下がほ とんど見られない。

 銀変色防止剤は接点やコネクタ等では一般的に使用されて いるが,LED用のリードフレームは半導体用のリードフレー ムと同様にダイボンディング→ワイヤーボンディング→モー ルディングなどの工程を経るので,これらのアセンブリ工程 に悪影響を与えないよう十分配慮した専用のものを使用しな ければならない。

4 .ま と め

 以上,リードフレームの後処理剤,および後処理技術に関 して解説を行ったが,後処理の最大の目的は半導体パッケー ジの機能や信頼性を上げることである。僅か単分子から数分 子層の後処理皮膜にはリードフレーム全体,引いては半導体 パッケージの性能を左右するほどの大きな可能性が秘められ ている。この可能性を十分に引き出すためには,半導体パッ ケージおよびリードフレームの使用用途や製造工程,材料な どを良く理解した上で,プロセストータルとしての最適化が できるような後処理の選定が重要である。

(Received February 3, 2009)

文  献

₁ )仲村太一,下村友二;特開平2-104699 (1990).

₂ )和知 弘,岸本圭介;特開平7-243100 (1995).

₃ )相場玲宏,三村智晴;WO2004/085716 (2004).

₄ )相場玲宏;特開2000-345400 (2000).

₅ )鎗田聡明;特開平11-158659 (1999).

₆ )千葉国雄,黒川 裕,岩沢裕之,江村繁則;特開平10-265972

(1998).

₇ )T. Notoya and G. W. Poling; Corrosion, 32, 216 (1976).

₈ )相場玲宏;特開平10-88104 (1998).

₉ )相場玲宏, 稲部里美;特開平9-287082 (1997). 10)相場玲宏, 中村 久;WO2007/083538 (2007). 11)三村真也;特開平2-229440 (1990).

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図 7  シランカップリング剤処理したリードフレームの EMC樹脂密着性

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図 8 銀変色防止処理前後の銀面の可視光反射率

参照

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パターン No.1:平穏な海域で AP オートモードで、舵角 2 度、1 分間に 2 回発生 パターン No.2:やや外乱の多い時、オートモードで、舵角 5 度、1 分間に

活動のテーマ  年度  表彰区分  都道府県  国  氏       名  性別 .

例えば、CH 4 について活動ごとの排出量が、工場廃水の処理:10.2 tCH 4 、廃棄物の 焼却:205 tCH 4 である場合、CH 4 の排出量は合算して 215.2 tCH