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テニスの競技力向上に及ぼす要因を探る
−学生選手のゲーム分析データを基に−
高橋仁大 鹿屋体育大学
キーワード: テニス、競技力向上、ゲーム分析、トレーニング、コーチング
【要 旨】
本研究の目的はテニスの競技力向上の要因について、トレーニング内容と選手の意識の変化か ら明らかにしようとするものである。被験者は男子学生テニス選手一名であった。
被験者の試合内容は 2000 年の秋から変化を見せた。攻撃と守備のポイント割合が増え、また ベースラインでのラリー回数も長くなった。被験者はコート全体を使ったプレースタイルを得ることが できたといえよう。
また以下に挙げた4点は選手の意識に関する点で、選手の競技力向上の手助けをすると考えら れるものである。選手はこれらの過程を経ることによって自信を獲得することができる。(1)課題を自 覚すること、(2)指導者による課題の見極めがなされていること、(3)課題に対して継続的なトレーニ ングがなされていること、(4)課題の成功体験を得ること(試合の勝利だけではなくプレーに対する成 功も含めて)。
スポーツパフォーマンス研究、1、211-222、2009 年、受付日:2009 年 7 月 6 日、受理日:2009 年 9 月 16 日 責任著者:高橋仁大 〒891-2393 鹿児島県鹿屋市白水町 1 鹿屋体育大学 [email protected]
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Seeking the game factors in tennis Based on data from a student player
Hiroo Takahashi
National Institute of Fitness and Sports in Kanoya
Key Words: tennis, increase in game power, match analysis, training, coaching
[Abstract]
The purpose of the present study was to reveal the game factor in tennis from an analysis of the content of training and changes in a player's attitudes. The
participant was a university male tennis player whose game contents had changed from Fall, 2000. The point ratio of offense and defense had increased, and rallies at the baseline had become longer. That meant that he had established an all-court play style. If players become aware of the following 4 points, and, going through these processes, gain confidence, their game power may increase: (a) recognizing the issues, (b) identifying issues that have been clarified by their coach, (c) training consistently, and (d) having successful matches, that is, not only winning games, but also being successful in the play throughout games.
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Ⅰ.問題提起
体育方法学の分野では、競技力の向上を目指すために指導の現場を対象とした実践的な研究 を行うことが不可欠である。近年の体育・スポーツに関する学会大会においては「研究と現場の融 合」を目指したシンポジウムが多く開かれ、また学会誌の投稿内容に「事例報告」を加えるという動 きがみられるようになり、さらに特にスポーツ心理学の分野では臨床的立場を重視した事例研究に 注目が集まっている(中込、2001;鈴木、2000)。これは質的・縦断的研究を行うことで、実践の現 場 へ研 究 成 果 を還 元 することを目 指 すものと考 えられる。このような事 例 研 究 の重 要 性 は村 木
(1991)、金高(2000)などによっても報告されている。
しかしその重要性が語られる一方、体育方法学を専門としている研究者の中には、そういった実 践場面での指導や練習(トレーニング)等を発表(公開)することについて、「ライバルに本音を話す であろうか?」、「各チームにとっては公表できない重要な事項なので、実施するのは難しいので は?」 といった意見も根強い。しかし「競技力の向上」というテーマには、科学的指導方法を確立し 教育する、という面も含まれているものであり、実践的研究に基づく知見の汎化が求められていると いえよう。
このような背景に基づき、筆者らは自らの指導するテニス部へのコーチングの実践を詳細に報告 した(高橋・児玉、2000)。それによってテニス部の抱える課題を明らかにすることができ、チームに 対するコーチングを行う上での有益な資料を得ることができた。しかし本来テニスは個人競技である ことから、個人を対象とした研究を行うことが、より実践の現場に近づくものであると考えられる。
そこで本研究は競技力の向上を示した一選手の事例から、選手の成長に寄与する要因を明ら かにすることを目的とした。またそれらの結果から、実際の指導場面における考え方についても言及 したい。なお本研究における事例のまとめ方は、金高(2000)の述べる事後的(懐古的)方法を用い て行った。
Ⅱ.研究対象
本研究で対象としたA選手のプロフィールについて表1に示した。A選手には本研究の趣旨・目 的等を十分に理解してもらった上で、事例の対象としてプロフィールや試合のデータを公開すること の同意を得ている。
表1 A選手のプロフィール 身長 173cm (2001 年 4 月時点)
体重 71kg (〃)
高校時の戦績 県大会優勝、インターハイ出場 大学入学後 1999 年入学
1999 年 11 月から 12 月は怪我のためトレーニングできず 2000 年 1 月より復帰
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高校時代は県大会に優勝し、インターハイにも出場した選手で、1999 年4月に大学に入学した。
1999 年 11 月から 12 月にかけては腰のけがのため練習を中断し、試合にも出場しなかった。2000 年1月より練習に復帰し、その後は 2001 年の4月まで大きなけがもなく練習を消化した。
図1にA選手の競技成績の変遷を示した。対象とした大会はこの選手が所属する学生連盟主催 の大会であり、春・夏・秋にそれぞれ開かれている。秋の大会はややレベルが落ちるため単純に比 較はできないが、およそ右上がりの成績を残していることがわかる。またA選手が所属していた地方 学生大会では、ベスト8以上で全日本学生大会の出場権を得ることができる。そのため本研究では、
A選手の競技レベルを 2000 年夏までは地方学生レベル、2000 年秋以降は全日本学生レベルの 選手であったとする。
図1 A選手の競技成績の変遷
Ⅲ.実践記録と結果および考察 1.試合内容の分析
A選手が図1のような成績の向上を示した原因を探るために、1999 年の秋から 2001 年の春まで を4期に分けて、各期の試合内容について分析を行った。試合内容の分析は①各ポイントの結果
(どのような形でポイントが終わったか)と②1ポイントあたりのラリー回数の2つの観点から行った。① の各ポイントの結果の分類は高橋(1998)の研究に基づいて行った。ポイントの結果は各ポイントの 最終ショットを基に、表2の分類に基づいて行った。分析の対象とした試合の詳細は表3の通りであ る。各期に行われた公式試合と練習試合からそれぞれ1〜2試合を対象とした。
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表2 ポイント結果の分類
ポイント結果の分類 含まれる最終ショット
サービス サービス
リターン サービス・リターン
ストローク グラウンドストローク
攻撃 アプローチ・ショット、ボレー、ドロップ・ショット、スマッシュ
守備 パッシング・ショット、ロブ
3 分析対象試合一覧
区分 年月 勝敗 スコア サーフェス 対戦相手レベル
99 秋 1999.10 X 26,36 ハード 地方学生 1999.10 ○ 61,63 ハード 地方学生 00 春 2000.4 X 06,46 砂入り人工芝 全日本学生 00 秋 2000.9 ○ 63,63 砂入り人工芝 地方学生
2000.10 ○ 62,62 砂入り人工芝 全日本学生 01 春 2001.3 ○ 63,36,62 ハード 全日本学生 2001.4 ○ 67,62,63 砂入り人工芝 全日本学生
まず各ポイントの結果について、全ポイントを対象とした結果を図2に示した。またA選手のサー ビスゲームとリターンゲームそれぞれを分析した結果を図3、4に示した。時期とポイント結果の分布 について x2 検定を行った結果、全ポイント(x2(9)=53.79, P<0.01)、サービスゲーム(x2(9)=46.09, P<0.01)、リターンゲーム(x2(9)=31.95, P<0.01)のすべてで有意差が認められた。残差分析の結果、
各時期のポイントの結果の分布について、全体のポイントの結果の分布(図2から4の最上段の行)
との間で有意な差があった項目を、各図内に示した。
各時期でのポイント結果によるA選手のポイント取得率を図5に示した。
これらの結果から、2000 年の春まで(以下、前期とする)と秋以降(以下、後期とする)の試合内 容に違いを認めることができた。また試合内容に違いが表れた時期は、A選手の競技レベルが向 上した時期と一致した。
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図2 各時期のポイント結果の比較
図3 サービスゲームのポイント結果の比較
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図4 リターンゲームのポイント結果の比較
図5 ポイント結果によるA選手のポイント取得率の推移
前期と後期を比べると、全体的にはベースラインのポイントが減少し、攻撃と守備のポイントが増 えている。特に顕著な変化はサービスゲームにおけるベースラインの減少と攻撃の増加、リターンゲ ームにおける攻撃と守備の増加である。
これを実際の試合場面に置き換えて考えると、前期から後期にかけてベースラインでのストローク の打ち合いで終わるポイントが減少し、サービスダッシュやアプローチからのネットダッシュなどコート
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を縦に使う、より攻撃的なプレーを行うようになったといえる。
ベースラインのプレーに関して、各時期でのポイント取得率を算出したところ、1999 年秋以外の 全ての時期でポイント取得率が 50%を下回っていた。指導者でもある筆者のA選手に対する印象と しては、身体能力が高く、いわゆるセンスのあるプレーヤーといえる。そのためベースラインでのグラ ウンドストロークを中心とするベースラインプレーヤーというタイプではなく、パワープレーヤーもしくは 両手打ちプレーヤーというタイプ(Bollettieri、2001)であるといえる。そのためベースラインでのポイ ント取得率も低く、攻撃的なプレーを指向するように指導をした。
守備の増加に関して 2001 年春の試合のリターンゲームで認められているが、これは対象とした試 合における相手選手のプレースタイルによるものであったと考えられる。さらにその試合のサービス ゲームと併せて考えれば、有意差はないもののベースラインに減少の傾向が見られること、ならびに 守備のポイントで得点する割合が 1999 年秋と比べて後期では高くなっていることから、攻撃的なプ レーを含めた幅広いプレーをすることができるようになったといえるだろう。
これはどういうことかというと、「始まり」つまりサービスやリターンで終わるポイント、またストロークで の打ち合いで終わるポイントが少なくなり、「攻撃」つまり自身がネットプレーを試みる形や、相手の 攻撃にパスやロブで対処する「守備」によるポイントが増えたことを意味している。つまり全体的なプ レースタイルとして、サービスやリターンでのポイントという簡単に終わるポイントから、攻撃と守備の 攻防というより発展した形でのプレー(児玉・高橋、2002;小屋ら、2000)が行われるようになった、と いえるだろう。
次に1ポイントあたりのラリー回数について図6、7に示した。ラリー回数とはサービスを1本目、リタ ーンを2本目と数え、ポイントが終わるまでに何本のラリーを行ったかを示したものである。図6にはA 選手のサービスゲームにおけるラリー回数を、図7にはリターンゲームにおけるラリー回数を示した。
時期を要因とする分散分析を行った結果、サービスゲームのラリー回 数に有意差が認められた
(F(3,421)=5.19, p<0.01)。試合内容に関する分析と同様に、サービスゲームにおいては前期と後 期のラリー回数に変化が見られた。
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図6 サービスゲームのラリー回数の比較
図7 リターンゲームのラリー回数の比較
ベースラインでのラリーはその後の攻撃やポイントを決めるための準備段階であるため、不用意な ミスや無理な攻撃によるミスを避けるようにしなければならない(Bollettieri、2001)。サービスゲーム においては 2001 年春の試合においてラリー回数が長くなる傾向が認められ、1999 年秋のラリー回 数と比較すると、およそラリー1本分長くなっていた。これを実際のプレーで考えると、それまで返球 できなかった(ミスをしていた)ボールを返球できるようになったということであり、より安定したプレーを 行えるようになったものと考えられる。しかし 1999 年秋の試合はハードコートの試合であり、2001 年 秋の試合は砂入り人工芝を含んでいるため、ラリー回数が長くなったということも考えられ、今後さら
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に検討する必要がある。また後期の期間内でも差が認められているが、これは特に 2000 年秋の試 合でサービスダッシュを多く取り入れていたことによるものであると考えられる。
試合内容とラリー回数の分析結果を総合して検討すると、後期のサービスゲームにおいてはネッ トダッシュを中心とした攻撃的なプレーを用いるようになるとともに、長いラリー回数も増えたことから、
ベースラインでのラリーでの安定性を身につけたといえるだろう。
以上のように、A選手の競技力向上に関与したと思われる試合内容の変化は、攻撃と守備を含 めた幅広いプレーができるようになったことと、ベースラインでのラリーを長く続けることができるように なったという2点が挙げられた。またA選手はポイント結果、ラリー回数ともにサービスゲームとリター ンゲームで異なる様相を示すようになったことから、選手の競技力については、サービスゲームとリタ ーンゲームで異なったプレー(戦術)を選択できるようになる、ということで評価することができるので はないかと考えられる。
2.試合内容の変化と選手の意識との関連
では前期から後期にかけてそのように試合内容が変わっていったのはなぜだろうか?その原因を 探るために、特に試合内容の変化した前期と後期の間(2000 年の春から秋)にA選手が行ってきた トレーニング(練習)内容とそのときどきの意識について整理した。選手の意識については大会前後 に選手自身が記述した目標設定用紙と目標反省用紙(徳永、1996)に記されたキーワードと選手 へのインタビューから得られたキーワードを基に整理した。
図8はトレーニング内容と選手の意識の変化の関連を示した模式図である。前期のうち 1999 年 の秋から冬は怪我のため、約3ヶ月間トレーニングを行うことができない時期があった。その時期に 自分のプレーを冷静に見つめ直すことできたのではないかと考えられる。
図8 トレーニング内容と選手の意識の変化の関連
2000 年の春から夏にかけてのA選手が所属するチームの練習方針は「ストローク場面を安定さ せる」であった。特にシングルスを意識した半面でのクロスストロークといったメニューを中心に行っ
220 ていた。
2000 年の 5 月に行われた大会を振り返ってA選手は「ストロークはできあがったので、あとはボレ ーで試合を組み立てたい」という反省を示していた。この時期に行われたトレーニングをうまく試合の 中で生かすことができたものと考えられる。
また同大会以降、チームの練習の中にフリー練習(各自が自由に課題を設定して行う練習)が 組み込まれた。その中でA選手は、ベースラインでのラリー場面やサービス・リターンから、ネットプレ ーに展開する練習を繰り返し行っていた。5月の大会の反省を受けての練習であったと考えられる。
そして 2000 年の夏に行われた大会では、図1に示したように成績の向上がみられた。同大会を振り 返って、「ネットプレーでポイントを多く取ったので、自信がついた」と述べている。
A選手にとってこの期間は、課題克服のための練習→大会での成果→自信の獲得→次の課題 の練習→大会での成果→自信の獲得、というサイクルの中で競技力を向上させていったものと考え られる。
このようにA選手の意識の変化に注目すると、競技力を向上させる過程においては以下の4点が 必要であると考えられる。
(1) 課題の自覚
自分に必要な課題は何か、選手自身に十分に意識させる必要がある。それも指導者からの押し つけによるものではなく、選手が自発的に考えられるような働きかけ方が必要である。
本事例においてはまずチームの課題として設定された「ストローク場面を安定させる」という課題 が、その時期のA選手にとっても必要な課題であったことを自身が十分理解し自覚していたものと 考えられる。またその後、自発的にネットプレーへの展開を自身の課題として意識することもできて いた。
(2) 課題の見極め
(1)のような考えで設定した課題も、その選手にあっていないのであれば無駄な試みとなってしま う。本事例では、A選手は以前にチームで行ったある測定において、素速い反応を必要とする課題 で高い数値を示していた。指導者側はその結果から、ボールへの素速い反応を必要とするネットプ レーを用いることがA選手には効果的であると指摘しており、A選手の持つ身体能力と自身が設定 した課題が合致していたといえる。
逆に選手が設定した課題が時期尚早であると思われたり、総合的に判断して課題とは異なる方 向を目指す方が効果的であると思われる場合は、指導者による「介入」が必要なときもあるだろう。
指導者と選手が話し合って課題の設定をすることが求められるが(徳永、1996)、「課題の見極め」
は指導者によって行われる必要がある。
221 (3) 継続したトレーニング
(1)に関連してくることでもあるが、自覚した課題を「継続して」意識させるような働きかけも指導者 には必要である。本事例のA選手は自身が設定した「ネットプレーへの展開」という課題を「フリー練 習」の中で繰り返し練習していた。その中で指導者による働きかけは特に見受けられず、A選手が 自発的に継続してトレーニングを行うことができた。
選手の意識はこのように継続していく中で当初の課題とは異なる方向に向かってしまったり、当 初の課題とは違った点に注意が集中してしまうことがたびたび見受けられる。自分自身が設定した 課題の克服に向けて、そのときどきの状況に応じて方向を修正していくことが指導者の役割だとい えるだろう。
(4) 成功体験
トレーニングしてきたことも、実際に使えなければ意味がない。そのために必要なのは「試合」であ り、その中で成功することがもっとも劇的に選手が伸びる「薬」だといえる。A選手の場合はまず「スト ローク場面を安定させる」トレーニングの成果が、2000 年5月の大会での自身のストロークに対する 自己評価(図8)につながり、一つの成功を得ることができた。その後「ネットプレーへの展開」を課題 としてトレーニングを行い、2000 年8月の大会で成績を向上させるという形で成功を得ることができ た。付け加えれば、同大会でA選手は当初予選の決勝で負けている(図1でいえば1回戦の下)。し かし他の選手の棄権により、幸運にも本戦に出場することができたうえで収めた成績であった。
ただし注意すべきはここでいう「成功」についてである。『試合での勝利=成功』なのか?というこ とである。A選手の場合は、2000 年5月の大会は課題の克服を成功と捉えることができ、2000 年8 月の大会では幸運にも試合を勝ちあがることが成功体験となった。テニスという競技ではいくら自分 自身が良いパフォーマンスを示すことができても、試合には勝てない場合もある。そんなときにいか にして選手に「成功した」と思わせるのか、ここにも指導者の役割があるといえるだろう。
IV. まとめ
本研究は競技力の向上を示した大学テニス選手を事例として、その要因をトレーニング内容と選 手の意識の変化との関連から検討した。その結果、本事例における競技力向上の要因は以下の 通りであった。
A選手のプレーの中で特徴的に変化した部分は、攻撃や守備を含めた幅広いプレーを行えるよ うになったことと、ベースラインでのラリーを長く続けることができるようになったことであった。また選 手の競技力は、サービスゲームとリターンゲームで異なったプレーを選択できるかどうか、という点で 評価することの可能性が示唆された。
またA選手の意識の変化に注目すると、①課題を自覚すること、②(指導者により)課題の的確さ が見極められていること、③設定した課題が継続してトレーニングされること、④課題の成功体験を 得ること、の4点によって自信を獲得し、競技力を向上させていくことができると考えられた。
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