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2 稲垣 ( 徳富 2001). フィトクロム研究が分子生物学時代に入ると, カラスムギのフィトクロム遺伝子が単離され (Hershey et al. 1984), 塩基配列が解読されてアミノ酸配列も推定された (Hershey et al. 1985). しかしこれらの研究は, 暗所芽生えに大量に

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総 説

イネフィトクロム変異株の解析によって明らかになった光情報応答機構とその育種

応用の可能性

稲垣言要

農研機構 高度解析センター,つくば市,〒 305-8602

Phytochrome-mediated light signal perception and responses elucidated by researches

using rice phytochrome mutants and application potentiality of the knowledge to breeding

rice plants

Noritoshi Inagaki

Advanced Analysis Center, National Agriculture and Food Research Organization, Tsukuba, Ibaraki 305-8602, Japan

キーワード 育種,イネ(Oryza sativa),光応答,光受容,フィトクロム,変異株

1

.はじめに

フィトクロムは植物に特有の赤・遠赤色光受容体であ り,周囲の光環境を認識して光形態形成,避陰応答,花 芽形成など植物の生存と存続のための数多くの応答の制 御に関わっており,移動性を持たない植物の外環境認識 のための重要なツールの一つであることが認識されてい る(Taiz et al. 2017).まず初めに,イネにこだわらず, フィトクロム研究史を振り返り(長谷 2001),特にター ニングポイントとなった研究を紹介したい. フィトクロムの存在が示唆されたのは,光発芽性のレ タスを用いた Borthwick et al.(1952)の研究による.レ タスは,赤色光照射で発芽が誘導され,遠赤色光照射で 抑制されるが(Flint and McAlister 1935),Borthwick et al. (1952)は,その誘導や抑制が数分間の赤色光や遠赤色光 照射で十分であることを突き止め,赤色光と遠赤色光を 交互に照射する実験を行った.その結果,赤色光が最後 に照射された時に発芽が誘導され,遠赤色光が最後に照 射された時に発芽が抑制されることを明らかにし,赤色 光–遠赤色光可逆反応が存在することを示した(Borthwick

et al. 1952).この研究に影響を受けた Butler et al.(1959) は,トウモロコシの暗所芽生えに赤色光や遠赤色光を照 射した後の吸収スペクトルを測定し,その差スペクトル からフィトクロムが分光学的に検出できる色素物質とし 編集委員:芦苅基行 2017年 8 月 21 日受領 2018 年 2 月 19 日受理 2018年 4 月 6 日 J-STAGE 早期公開 Correspondence: ninagaki@affrc.go.jp て実在していることを証明した.フィトクロムが高度に 精製できるようになると,125 kDa 程度の水溶性タンパ ク質で,フィトクロモビリンと呼ばれる開環テトラピロー ル(図 1)を共有結合させていることが明らかになった フィトクロモビリン生合成経路の概略と構造. フィトクロモビリンは,ヘムから 2 段階の酵素反応で合成 される.プロトポルフィリン IX より上流の生合成経路は クロロフィルと共用している.フィトクロモビリンは開環 テトラピロールで,チオエーテル結合によってフィトクロ ムタンパク質と共有結合している. 図1.

(2)

(徳富 2001).フィトクロム研究が分子生物学時代に入る と,カラスムギのフィトクロム遺伝子が単離され(Hershey et al. 1984),塩基配列が解読されてアミノ酸配列も推定 された(Hershey et al. 1985).しかしこれらの研究は,暗 所芽生えに大量に存在する分子種(後述)であるフィト クロム A に関して行われたもので,この分子種の物性や 挙動と実際に観察されるフィトクロム反応との間に大き な 乖 離 が あ って , 容 易 に 単 離 で きる フィ ト ク ロ ム (Phytochrome I)の他に,隠れたフィトクロム(Phytochrome II)が存在する可能性が議論された(Furuya 1989). その混乱を解決に導いたのは,シロイヌナズナにフィ トクロム遺伝子が複数個存在することを示した Sharrock and Quail(1989)の報告で,これにより,フィトクロム が複数の分子種からなるファミリーを構築していること が示された(篠村 2001).例えばシロイヌナズナには, PHYAから PHYE までの 5 つのフィトクロム遺伝子が存 在する(Franklin and Quail 2010,フィトクロムの略記法 については表 1 参照).

シロイヌナズナのフィトクロム変異株は,Koornneef

et al.(1980)が選抜した明所で「もやし」化する光受容 能力が弱まった変異株群 hy から同定され始め,hy1 と hy2 がフィトクロモビリン合成欠損株(河内 2001),hy3 が

phyB変異株であることが明らかになった(Franklin and Quail 2010).一方,phyA 変異株は遠赤色光低感受性を指 標に選抜され,その他のフィトクロム変異株は逆遺伝学 的な手法で単離された(Franklin and Quail 2010).一揃い の変異株が単離されると,変異株の表現型からそれぞれ の分子種の生理機能も論じられるようになった(篠村 2001). 初期の研究では,フィトクロムは細胞質で機能してい るだろうと解釈されていた.その考え方を大きく変える きっかけになったのは,シロイヌナズナ phyB 配列上に 核移行シグナルが存在することを示した Sakamoto and Nagatani(1996)の研究である.その後,シロイヌナズ ナやタバコにフィトクロムと緑色蛍光タンパク質(GFP) の融合タンパク質を導入して挙動を追跡することにより, フィトクロムが光条件依存的に核内に移動して機能して いることが明らかにされた(Yamaguchi et al. 1999, Kircher

et al. 1999). フィトクロムの情報伝達についての研究は,シロイヌ ナズナにおいてフィトクロム機能を失わせる点突然変異 が配列上どこに分布するかを網羅的に調べるところから 始まったが,その結果,フィトクロムのカルボキシル末 端側ドメインが情報伝達に重要だと認識されていた時期 があった(Quail et al. 1995).しかし,シロイヌナズナの phyB変異株に,phyB のアミノ末端側ドメインだけを発 現させる実験を行ったところ,その結果はその当時の定 説に反して,phyB のアミノ末端側ドメインが光受容と情 報伝達の両方に重要なことを示し,カルボキシル末端側 ドメインは,フィトクロムの二量体化とアミノ末端側ド メインの情報発信が過剰にならないように減衰する機能 を持つことが示された(Matsushita et al. 2003).一方, フィトクロム情報伝達の下流因子を探す試みとしては, 酵母 two-hybrid 解析を中心とするタンパク質相互作用検 出法でフィトクロムと直接結合するタンパク質の単離が 試みられた(Ni et al. 1998, Fankhauser et al. 1999).その 中で最も研究が進み,現在,フィトクロム情報伝達の鍵 を 握 る と 認 識 さ れて い る の は , シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の phytochrome interacting factor(PIF)転写因子群である (Paik et al. 2017).

近年のフィトクロム研究のホットスポットについても 光を当てたい.これまでフィトクロムは光受容体として のみ研究されてきたが,近年,シロイヌナズナで phyB が温度受容にも関わる可能性が示された(Jung et al. 2016, Legris et al. 2016).phyB は暗所では不活性型の Pr (赤色光受容型フィトクロム)で赤色光を受容すると活性 型の Pfr(遠赤色光受容型フィトクロム)に変換される. Pfrは遠赤色光照射で即座に Pr に戻すことができるが, 一方,この Pfr を暗所に保っておいてもゆっくりと Pr に 戻ることが知られており,これを暗反転と呼び,植物体 内では毎夜行われていると考えられている.この暗反転 速度の温度依存性が極めて厳密であることが示され,高 温では活性型の Pfr が比較的早く Pr に戻って夜間の phyB情報伝達の減衰が早いが,低温では Pfr がそれより もゆっくりと Pr に戻ることで夜間の phyB 情報伝達の減 衰が遅くなる.このようなメカニズムで phyB が夜温を モニターしていることが指摘された(Jung et al. 2016, Legris et al. 2016). 九州大の松下らのグループは,ゲノム上の遺伝子がフィ トクロムによりダイナミックに発現制御されていること を示している.シロイヌナズナの野生株と phyA phyB 二 重変異株の暗所芽生えに赤色光照射して得た RNA サン プル群を mRNA-seq 解析して比較することによって,フィ トクロムが選択的スプライシング制御に関与することを 明らかにし(Shikata et al. 2014),Transcription start site-seq (TSS-seq)解析して比較することによって,フィトクロ

フィトクロム遺伝子,分子種の略記法(Quail et al. 1994) 野生型遺伝子 PHYA, PHYB, PHYC etc.

変異遺伝子 phyA, phyB, phyC etc. (アリル) phyA-4, phyB-1, phyC-1 etc.

アポタンパク質 PHYA, PHYB, PHYC etc. フィトクロモビリンを含まないタンパク質

ホロタンパク質 phyA, phyB, phyC etc. フィトクロモビリンを結合したタンパク質

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ム が 選 択 的 プ ロ モ ー タ ー 選 抜 ( alternative promoter selection)の制御に関わることを示した(Ushijima et al. 2017).特に選択的プロモーター選抜は,一つの遺伝子座 で異なったプロモーターから転写開始させることにより アミノ末端が異なったタンパク質を産生させる.核にコー ドされ様々な細胞内小器官に移行するタンパク質のアミ ノ末端には,移行に必要なシグナル配列が存在する.こ のことから考えると,選択的プロモーター選抜によって, 移行シグナルを持つタンパク質と持たずに細胞質に留ま るタンパク質など,局在を異にする同一機能を持つタン パク質を一つの遺伝子座から産生することができる.こ の研究の興味深い点は,その局在制御がフィトクロムの 制 御 下 に あ る こ と を 明 瞭 に 示 して い る こ と で あ る (Ushijima et al. 2017).このように,現在もフィトクロム 研究は視点を変えながら脈々と続いており,日々,驚く ような成果が生み出され続けている. さてここで視点をイネに戻す.イネにおけるフィトク ロム研究は残念ながらトップランナーとは言いきれない. しかし,後述するように,イネからは一通りのフィトク ロム変異株が取られ,それを活用した研究も精力的に続 けられており,シロイヌナズナに次ぐ二番手としての位 置にはあり,テーマによっては追い抜いているものや追 い越すパフォーマンスを持っている.加えて三大穀物の 一角としての重要性もある.そこで本総説の以下の部分 では,イネのフィトクロム変異株の単離の歴史と,それ らの活用によって明らかにされた知見をまとめる.イネ フィトクロム変異株の単離は日本の研究者を中心に行わ れ,種子の配布を通じて国内外の多くの研究者に提供さ れ,機能解析が気軽に行える環境が整えられた.これは, イネにおいても研究の底上げに確実につながっている. そして本総説の最後には,フィトクロム変異株そのもの や,この株の解析で得られた知見を活用したイネ育種の 可能性について論じたいと思っている.

2

.イネフィトクロム変異株の単離

(1)フィトクロム色素合成欠損株 フィトクロムはフィトクロモビリン(図 1)と呼ばれ る開環テトラピロールが共有結合している色素タンパク 質複合体である(徳富 2001).フィトクロモビリンは, ヘムから二つの酵素,ヘムオキシゲナーゼとフィトクロ モビリンシンターゼの触媒反応を経て合成される(図 1, 河内 2001,Tanaka and Tanaka 2007).このため,これら 酵素遺伝子の変異株はフィトクロム変異株として利用で きる.イネゲノム上にはヘムオキシゲナーゼ遺伝子とし て HO1 と HO2 の二つが座乗している.しかし HO2 は, ヘム鉄結合に重要とされるヒスチジン残基がアルギニン に置き換わっていることに加え,試験管内実験ではヘム オキシゲナーゼ活性を示さなかった(Wang et al. 2014). このことから,フィトクロモビリン合成は HO1 のみに依

存していると考えられる.ho1 変異株として日本イネで は農林 8 号背景の photoperiodic sensitivity 5(se5;Izawa

et al. 2000)と Bahia 背景の s73(Andres et al. 2009)が, インディカイネでは Gang 46B 背景の yellow-green leaf2 (ygl2;Chen et al. 2013)が単離されている.フィトクロ モビリンシンターゼ遺伝子はイネゲノム上一つで,変異 株として日本イネの銀坊主背景の se13(X61)が単離さ れている(Saito et al. 2011, Yoshitake et al. 2015).フィト クロモビリン合成が欠損する変異株ではフィトクロムす べての分子種の機能が抑制されることから,フィトクロ ムの必要性について簡単に判別できるが,個々の分子種 の機能にアプローチできない弱点がある.また,これら の内 se5,ygl2 と se13 は,変異があるものの酵素の機能 が完全に失われていない漏出性突然変異の可能性があり, 後述のフィトクロム三重変異株とは一部異なった表現型 を示すところに注意が必要である.se5は X 線照射によ り,ygl2 と s73,se13 は γ 線照射により得られた突然変 異株である(Andres et al. 2009, Chen et al. 2013, Saito et al. 2011, Yokoo and Okuno 1993).

(2)フィトクロム遺伝子変異株

本題に入る前に,フィトクロム独特の表記法(Quail et

al. 1994)についてまとめた(表 1).この総説では,この 表に従って表記する.イネゲノムには 3 種のフィトクロ ム遺伝子(PHYA,PHYB,PHYC)が座乗しており(Basu

et al. 2000, Dehesh et al. 1991, Kay et al. 1989),三つの分子 種が細胞内で機能している.双子葉植物では,phyB 型の 遺伝子が分枝しており,シロイヌナズナでは phyD,phyE の二つの新たな分子種が生じているが,単子葉植物は, phyB型の遺伝子に多様性がないところに特徴がある (Sawers et al. 2005).日本イネからはこれまでに三つの手 法で各フィトクロム分子種の変異株が単離されている. 一つはレトロトランスポゾン Tos17 挿入突然変異系統群 (Hirochika et al. 1996)からの選抜で,phyA(Takano et al. 2001)と phyC(Takano et al. 2005)変異株が得られた.

PHYA遺伝子は Tos17 挿入のホットスポットで,日本晴背 景でたくさんの変異株が取られている.一方,PHYB,

PHYC遺伝子は Tos17 挿入が稀な領域で,phyB 変異株は この系統群からは得られず,phyC 変異株については日本 晴背景で 1 株しか単離されなかった.第二の手法は γ 線 変異ライブラリーから表現型基準で選抜された変異株で ある.赤色光下で発芽させ,鞘葉(後述)の徒長を基準 に選抜するハイスループットな手法で,phyB 変異株につ いて,日本晴から 2 株,農林 8 号から 3 株の単離が報告 されている(Takano et al. 2005).日本晴背景については, phyA,phyB,phyC 変異株のすべてが取られたので,総当 たりの組み合わせの二重変異株(Takano et al. 2005)とす べてのフィトクロムが欠損した三重変異株(Takano et al. 2009)が交配によって得られている.第三の手法は,韓 国の An et al.のグループにより作出された日本イネ

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Dongjin背景の T-DNA の網羅的タギングライン(Jeong et

al. 2002)からの選抜で,T-DNA 挿入位置の配列解析に よってすべてのフィトクロム変異株が単離され(Jeong et

al. 2007),phyA phyB 二重変異株が作出された(Lee et al. 2014).An et al.のグループの変異株は,遺伝子組換えイ ネとしての取り扱いを要する所に制約がある. これまで述べてきた変異株は,γ 線照射による DNA 二 本鎖切断の修復ミスに由来する塩基欠失や挿入,あるい は巨大な DNA 断片が組み込まれることによるフィトク ロム遺伝子の分断で生み出されており,変異系統群の構 築とそこからの選抜には大変な労力が必要であった.近 年では CRISPR/Cas9 などを用いたゲノム編集技術による 遺伝子破壊もイネで確立しており(Jiang et al. 2013),遺 伝子組換えという制約を問題としなければ,この手法も 変異株単離に有効である.また,これまでに得られた変 異は,変異原の関係から loss-of-function 型が多い.近年, イネでも TILLING(Targeting Induced Local Lesions in Genomes)選抜系が整備されつつあり(Suzuki et al. 2008),今後,これらからフィトクロム変異株が単離され てくると思われる.TILLING 選抜系は,N-methyl-N-nitrosourea(MNU)を変異原とする化学物質誘導変異 (Satoh et al. 2010)で作出された目的遺伝子上の 1 塩基置 換を検出するシステム(Suzuki et al. 2008)で,この選抜 により 1 残基置換による gain-of-function 型の変異株が単 離できる.加えて,任意に変異を導入した遺伝子断片を 相同組換えでゲノム上に戻すことも技術的に可能となっ てきた(Dang et al. 2013).これらにより得られた gain-of-function型の変異株の解析は,フィトクロムの配列に埋め 込まれた個々のアミノ酸残基の機能解明に貢献すること が期待される.

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.変異株の解析により明らかになったフィトク

ロムの物性

フィトクロムは約 125 kDa のタンパク質の二量体で機 能する(徳富 2001).三つの分子種の内 phyA はホモ二量 体で機能し,大多数の phyB もホモ二量体で機能してい ると考えられている(図 2).一方 phyC タンパク質は,

phyB変異株中で著しく含量を減らし,さらに phyA phyB 二重変異株では,PHYC 遺伝子が存在するにもかかわら ず phyC の機能が見られないことや(Takano et al. 2005),

phyB変異株中に phyC を過剰発現させたとしても phyC 機能が検出できないこと,さらに抗 PHYC 抗体で phyB タンパク質が共免疫沈殿されることから,phyC は phyB と常にヘテロ二量体を形成して機能していることが示さ れた(図 2,Xie et al. 2014).前述のように phyA phyB 二 重変異株では phyC は機能できない.この変異株に PHYB 遺伝子を形質転換すると,phyC の含量が増加して phyB 機能に加えて phyC 機能が現れる.興味深い点は,フィ トクロモビリン共有結合部位のシステイン残基をアラニ ンに置換して色素を結合できなくさせた phyB 遺伝子 (Cys364Ala:この遺伝子産物は光生物学的に不活性)を

phyA phyB二重変異株に形質転換すると,phyC の含量が 増加するだけでなく phyC 機能が回復した.このことは, 不活性の PHYB のタンパク質部分が phyC とヘテロ二量 体を作って phyC を安定化させ得ることと,このように 安定化された phyC であっても光受容と情報伝達ができ ることを示すものである(Xie et al. 2014). フィトクロムの変異株はフィトクロム遺伝子の発現特 性も明らかにした.PHYA 遺伝子は,暗所では地上部の 組織全体で強く発現するが,光照射下,特に赤色光下で は葉肉細胞での発現は消失し,維管束に限定された発現 パターンを示す.この光による葉肉細胞での発現抑制に は phyB の光受容が関わっていることが示された(Baba-Kasai et al. 2014).

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.幼苗期におけるフィトクロム光受容と応答

発芽直後のイネの地上部は土壌突破時の障害を防護す るための鞘である鞘葉に覆われている.光は,土壌を突 破したシグナルとして働き,この刺激によって鞘葉の伸 長は停止され,先端が開裂して,中から本葉が抽出して くる.この鞘葉の光受容は発芽処理 40 時間後(初期)と 80時間後(後期)で様相を変えることが明らかになっ た.初期の光受容は phyB が行い,後期になるとそれに 加えて phyA も光受容する.後期の phyA の光受容は初期 の phyB の 1000 倍以上高感度であることや,可視光域に 限られる phyB の光受容に比べて phyA は遠赤色光や紫外 光にも応答できることが示された(Xie et al. 2007). ジ ャ ス モ ン 酸 合 成 が 欠 損 し た hebiba や coleoptile photomorphogenesis 2(cpm2)変異株,また,ジャスモン 酸活性化酵素に相当するジャスモン酸イソロイシン付加 酵素の変異株 jasmonate resistant 1(jar1)は光照射下で鞘

フィトクロム二量体の存在状態.

phyAと大部分の phyB はホモ二量体で存在し,phyC は

phyBとヘテロ二量体として存在している.

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葉が伸びるという遠赤色光下の phyA 変異株や赤色光下 の phyB 変異株に極めて類似した表現型を示す(Riemann

et al. 2003, 2008, 2013).一方,暗所芽生えをジャスモン 酸メチルに曝すと光照射下と同様に短い鞘葉で本葉が抽 出した形態を示す(Hakata et al. 2017).加えて,phyA

phyC二重変異株の地上部では,Jar1 やジャスモン酸情報 伝達に関わる転写因子とされる TIFY 遺伝子群の光発現 誘導が失われるなど(Brendel et al. 2014, Kiyota et al. 2012),幼苗期の光形態制御にはジャスモン酸がフィトク ロム下流で重要な働きをしていることが示されている. 幼苗期の根では,光は種子根の伸長に阻害的に働き, 冠根には促進的に働く.種子根の伸長阻害には phyA と phyBが独立に働いており,両者がなくなると伸長阻害は 見られなくなる(Shimizu et al. 2009).また,冠根の屈地 性獲得にもフィトクロムは重要である.暗所では水平方 向に伸長する冠根は,赤色光や遠赤色光下では屈地性を 示して斜め下方向に伸びる.しかし,phyA 変異株では遠 赤色光を与えたとしても冠根は水平に伸長して屈地性が 失われることが示された(Takano et al. 2001). 幼苗期のもう一つの重要なプロセスに緑化がある.光 合成関連遺伝子 Light-harvesting chlorophyll a/b binding

protein(LHCB)や Rubisco small subunit(RBCS)の遠赤 色光による発現誘導は,phyA 変異株で弱まり,phyA phyC 二重変異株で完全に失われる.両遺伝子の赤色光による 発現誘導は,phyB 変異株で弱まり,phyA phyB 二重変異 株で完全に失われる(Takano et al. 2005).遠赤色光の主 要受容体は phyA で phyC が補助的に働いていることを, また,赤色光の主要受容体は phyB で phyA が補助的に働 いていることを示している.光合成主要色素のクロロフィ ル合成に関わる鍵酵素である Mg キラターゼ H サブユ ニット遺伝子 ChlH や Mg キラターゼの活性発現に重要な

Genomes uncoupled 4遺伝子(GUN4),Mg-プロトポルフィ リンメチルトランスフェラーゼ遺伝子 ChlM の赤色光に よる発現誘導は phyB 特異的な情報伝達系下流の支配を 強く受けていることが示されており(Inagaki et al. 2015), クロロフィル合成や光合成系構築の光誘導プロセスに フィトクロムは重要な役割をしている.

5

.栄養生長期形態形成におけるフィトクロムの

機能

栄養生長期を特徴付ける地上部の組織は,上から葉身, 葉鞘,茎部と呼ばれる.phyB 変異株では,葉面積が野生 株より 15%程度小さいことが示された.これは,葉面積 あたりの表皮細胞の個数が野生株より 10%程度少ないこ とに起因する.また,葉面積あたりの気孔数もほぼ同じ 割合で少なくなっている(Liu et al. 2012).葉面積が小さ く,葉面積あたりの気孔数が減少することは蒸散の低下 に寄与するので,渇水耐性の項で再度述べる. イネの葉身は,ブラシノステロイドの外部からの添加 量に応じて傾きを増すことが知られ,lamina inclination testと呼ばれるブラシノステロイドの生物分析に用いられ ている(Wada et al. 1981, 1983, 1984).phyB 変異株は, 野生株や他のフィトクロム変異株(phyA, phyC)に比べ て葉身が傾く傾向があり,この傾きとブラシノステロイ ドとの関係が解析された.その結果,phyB 変異株は外部 から添加されたブラシノステロイドに対して過敏に反応 することが示された(Jeong et al. 2007).phyB 変異株の 細胞内では,ブラシノステロイド添加によってフィード バック阻害がかかるブラシノステロイド合成系の遺伝子 である OsDwarf,OsDwarf4 や D2 の遺伝子発現が抑制さ れる一方,ブラシノステロイドに応答して発現誘導され る OsXTR 遺伝子の転写産物レベルが増加しており,この ことからも,phyB 変異株が内在のブラシノステロイドに 過敏に応答していることが示唆される(Jeong et al. 2007). フィトクロムは光照射下で葉鞘伸長を抑制する能力を 持つ.赤色光下では phyB 変異で葉鞘が伸長し phyA phyB 二重変異でさらに伸びる.遠赤色光下では phyA 変異で 葉鞘が伸長し phyA phyC 二重変異でさらに伸びる(Takano

et al. 2005).赤色光は phyB が主たる光受容体で phyA が 補助していることを,遠赤色光は phyA が主たる光受容 体で phyC が補助していることをここでもよく示してい る.フィトクロムによる葉鞘伸長抑制は,ジベレリン合 成酵素遺伝子である GA20ox や GA3ox 遺伝子群の発現抑 制による活性型ジベレリンの生合成低下によることが示 され,青色光受容体クリプトクロムによる GA2ox 遺伝子 誘導による活性型ジベレリンの消去による葉鞘伸長抑制 とは独立した系になっていることが示された(Hirose et al. 2012). 栽培イネでは,栄養生長期に形成される節間は伸長し ない.このような節間を不伸長茎部と呼び,生殖生長期 に著しく伸長する上位から五つの節間(伸長茎部)とは 明瞭に区別されている(星川 1975).不伸長茎部が伸び てしまう有名な実例は,湛水下の浮きイネが水面上に地 上部を持ち上げるための伸長で,エチレンの蓄積とジベ レリン含量の上昇を伴う(永井ら 2011).一方,フィト クロム三重変異株と phyA phyB 二重変異株(この変異株 は前述のように phyB 欠損によって phyC 機能が失われて いるため,三重変異株と同じ表現型を示す)は,不伸長 茎部に相当する節間が伸びてしまう表現型を示し,この 分子機構について,植物ホルモン制御の面から研究され た(Iwamoto et al. 2011).三重変異株では,活性型ジベレ リン(GA1)やエチレンの含量が著しく下がっており, 本来は節間が伸びる要素がない.しかし,三重変異株に エチレン発生剤エテホンや活性型ジベレリンを加えると 節間が伸長した.同じ条件の野生株にこれら二つの試薬 を添加しても節間伸長が見られないことから,エチレン・ ジベレリンによる節間伸長を栄養生長期に抑制する系が 存在し,その構築か維持にフィトクロムが重要な働きを していることが判明した.三重変異株では節間の伸長抑

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制が外れているため,少ない内在エチレン・ジベレリン 含量にも応答して節間が伸長していると解釈された (Iwamoto et al. 2011).

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.渇水や低温環境におけるフィトクロムの機能

phyB変異株は渇水耐性が強い.給水を中断した時の葉 の萎れの発生が遅く,給水を再開した時の再生率も高く, 切り葉からの水分喪失は有意に遅くなる(Liu et al. 2012).前述したように葉面積と気孔密度の 15%の減少 が phyB 変異株では観察されているが(Liu et al. 2012), それだけでは強い渇水耐性の説明は難しい.最近,給水 中断から再度水を与えた時の根の回復が,野生株より phyB変異株の方で良いことが示された.給水中断から再 度水を与えた期間についてアスコルビン酸ペルオキシダー ゼやカタラーゼの発現や活性が調べられたが,これらは 野生株より phyB 変異株の方が有意に高く,渇水ストレス により生じる活性酸素種を野生株より効率的に消去でき ると推定され,これにより根の健全性が保たれて野生株 より強い渇水耐性を得ている可能性が示された(Yoo et al. 2017).しかしこれでも,phyB 変異株で切り葉からの 水分喪失が遅くなる理由を説明できない.フィトクロム 三重変異株ではアブシジン酸含量が高いことが示されて いる(Iwamoto et al. 2011).phyB 変異株でのアブシジン 酸含量を測定したところ,三重変異株同様に野生株より 高いことが判明した(稲垣 発表準備中).これにより強 制的な気孔閉鎖が引き起こされ,強い渇水耐性が付与さ れている可能性も考えられる.

近年,シロイヌナズナでは phyB が温度感受機能を持 つという報告がなされた(Jung et al. 2016, Legris et al. 2016).それらとの関係は明らかではないが,イネの phyB が環境,特に低温耐性に関与するという報告がなされて いる.phyB 変異株では,膜脂質の不飽和脂肪酸含量が野 生株より高く,それが葉緑体の低温での膜安定性を高め, 光合成活性の低下を緩和していることが示された(Yang et al. 2013).加えて,phyB が,植物の低温耐性遺伝子群 の働きを活性化する転写因子で,乾燥や塩ストレス耐性 の向上にも働く Dehydration-responsive element binding

protein 1( OsDREB1 ) の 転 写 活 性 化 因 子 で あ る Phytochrome interacting factor like 16(OsPIL16)の機能を 抑制していることが示された.OsPIL16 は,名前から予 想されるように phyB と結合できることが,酵母 two-hybrid解析で示されており,OsPIL16 機能の抑制には, この相互作用が重要と予想される.phyB 変異株では OsPIL16の抑制が外れるため,OsDREB1 の転写が活性化 されて低温耐性が付与されるというモデルが提唱された (He et al. 2016).

7

.いもち病抵抗性とフィトクロム

罹病性のいもち菌をイネ葉に噴霧して感染させた後, 赤色光を照射すると病斑の拡大が抑えられることが報告 されている(Shirasawa et al. 2012).感染葉への赤色光照 射は,フェニルプロパノイド合成の初期段階を触媒する L-フェニルアラニン脱アンモニア酵素の活性を増加させ, 桂皮酸が蓄積され,これにより病斑拡大が防がれている 可能性が示された(Shirasawa et al. 2012).この報告では 光受容体まで踏み込まれていないが,シロイヌナズナの 根におけるフェニルプロパノイドの光蓄積の主たる赤色 光受容体は phyB であることが示されており(Hemm et al. 2004),イネでも同様にフィトクロムが鍵を握る可能性は 高い. また,罹病性のいもち菌をイネに噴霧すると,通常, 上位で展開中の若い葉にのみ病斑が現れ,下位葉には病 斑が現れない.つまり,葉は展開後の時間に依存して, いもち菌抵抗性を獲得していく(松山 1987).フィトク ロム三重変異株はこの時間依存のいもち菌抵抗性を獲得 できず,いもち菌噴霧実験を行うと,上位葉から下位葉 まで病斑が出現する(Xie et al. 2011).野生株の下位の葉 には,いもち菌噴霧後 20 時間以内に抵抗性応答の指標と なる Pathogen-related class 1(PR1)タンパク質が大量に 蓄積することが免疫学的に示された.一方,上位葉での PR1タンパク質の蓄積は,いもち菌噴霧後 72 時間を必要 とした.これらの違いが展開後の時間に依存した,いも ち菌抵抗性の差の一因と考えられる.フィトクロム三重 変異株では,上位葉でも下位葉でも PR1 タンパク質の蓄 積が見られず,いもち菌抵抗性が両方の葉で確立されな い状況と一致する.野生株の下位葉での PR1 タンパク質 の蓄積は,ジャスモン酸の噴霧によって,いもち菌噴霧 同様に誘導されることに加え,ジャスモン酸合成を促進 させた形質転換イネでは PR1 を含む PR 遺伝子群が誘導 され,いもち病抵抗性が発現することから(Mei et al. 2006)ジャスモン酸を介した情報伝達が,時間に依存し たいもち菌抵抗性に重要であることが示唆された.フィ トクロム三重変異株では,PR1 タンパク質の蓄積誘導が ジャスモン酸噴霧後にも一切見られなかったことからも, フィトクロムがジャスモン酸を介したいもち菌抵抗性の 確立に重要な役割を果たしていることが示されている (Xie et al. 2011).ただ,Xie et al.(2011)は,野生株の 葉が加齢に伴い機械的に強化されて抵抗性が獲得されて いる可能性については検討していない.このため,フィ トクロム三重変異株の葉は加齢しても機械的に強化され ないために感染が防げない可能性も残る.加えて,ここ で忘れてはならない点は,フィトクロム三重変異株では アブシジン酸含量が高いことである(Iwamoto et al. 2011).アブシジン酸含量が高い場合,サリチル酸誘導の いもち菌抵抗性が拮抗阻害されることが知られており (Jiang et al. 2010),フィトクロム三重変異株のいもち病抵

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抗性低下の一因として,このことにも注意を払う必要が ある.

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.出穂制御におけるフィトクロムの機能

イネは短日植物で,長日環境下では出穂が抑制される. その抑制にフィトクロムが重要な働きをしていることは

se5を使った研究によって初めて証明された(Izawa et al. 2000).イネの発芽から出穂までの生育期間は,日長に反 応しない基本栄養生長相(BVP:basic vegetative growth phase)と,長日に反応して出穂を遅らせる,あるいは短 日に反応して出穂を促進させる感光相(PSP:photoperiod-sensitive phase)に分けられる.se13 変異株は BVP から PSPへの移行を示さなかった(Yoshitake et al. 2015).こ のようにフィトクロモビリン合成変異株である se5 と se13は,光周性反応を一切示さない.フィトクロムは BVPで開花誘導の促進因子である Early heading date 2 (Ehd2)発現を抑制しており,その結果,Ehd1 発現も低 く開花に至らない.一方,PSP での長日条件下では, Heading date 1(Hd1)と Grain number, plant height and heading date 7(Ghd7)の出穂抑制効果が合わさって,フ ロリゲンである Hd3aRice flowering locus T 1(RFT1) の発現を低く抑えて出穂を遅らせている可能性が示され た(Yoshitake et al. 2015).ただ,フィトクロモビリン合 成変異株を用いた研究では,個々のフィトクロム分子種 の出穂抑制における役割については明らかにできない. 近年,フィトクロム各分子種の変異株を使って,どのフィ トクロムがどの因子と相互作用して出穂抑制を行ってい るかが検討されつつある.その概要を図 3 で示す.まず, phyB が Ehd1 発 現 を 抑 制 し て い る こ と が 示 さ れ た (Komiya et al. 2009).phyB と Ehd1 発現抑制をつなぐ因 子は CONSTANS like 4(OsCOL4; Lee et al. 2010)や Ghd7 (Osugi et al. 2011)である可能性が示されている.一方,

phyBあるいは phyC が Hd1 を介する経路にも作用して長 日条件下の出穂抑制効果を生じさせている可能性も示さ れた(Ishikawa et al. 2011).phyA 単独変異株は早稲形質 を示さないが,phyA phyB 変異株や phyA phyC 変異株で極 早稲形質を示し,phyB 変異株や phyC 変異株より出穂が 早まる(Takano et al. 2005).このことは,phyC 非存在下 において phyA が出穂抑制効果を持っていることを示し, この効果は Ghd7 を介して発揮されていることが明らか にされている(Lee et al. 2016). イネは短日植物と言われるが,実際には,短い日中で はなく長い夜を感知して出穂が誘導される.その長い夜 の中ほどに人工光を短時間与えた場合,短日であっても 出穂が遅れる.これは,人工光により暗期が分割されて 長い夜と認識できなくためで,この現象を光中断と呼ん でいる(石川ら 2006).この光受容体は phyB であること が示されている(Ishikawa et al. 2005, 2009).

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.概日時計研究におけるフィトクロム変異株の

貢献

概日時計に従う遺伝子発現変動がフィトクロモビリン 合成欠損株 se5 で乱れるかを検討した結果,短日と長日 の両条件においても概日時計の光同調とリズム形成に異 常がないことが示された(Izawa et al. 2002).このこと は,フィトクロム機能が著しく低下していたとしても, 細胞内には概日時計が正常に構築されて機能しているこ とを示す.一方,このことを活用して概日時計の構成因 子の一つと想定される GIGANTEA(GI)の変異株(osgi) が単離された.極早稲の se5 変異株にさらに変異を与え ることで遅咲きになったサプレッサー変異株の中の一 つが osgi 変異株だったのである(Izawa et al. 2011).これ は,正常な時計を持つ se5 変異株の極早稲形質に出穂の 遅れを付与する変異が生じた場合,それが概日時計関連 遺伝子上にある可能性が高まる傾向があることを利用し たものである.

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.イネフィトクロム変異株や関連因子を用い

た育種の可能性

フィトクロモビリン合成欠損変異株は,フィトクロム すべての機能が弱められていることに加え,テトラピロー ル合成が撹乱されるためにクロロフィル合成が低下して 薄緑葉を示す(Izawa et al. 2000, Andres et al. 2009, Chen et

al. 2013, Yoshitake et al. 2015).このことから,極早稲で 光周性を持たないという高緯度栽培に適した形質を持ち 長日における出穂制御機構の概略とフィトクロムからの情 報入力. フィトクロム群を赤,出穂(花成誘導)に抑制的に働く因 子群を緑,促進的に働く因子群を黄色に色分けして示す. 各因子間が,促進関係にある場合矢印で,抑制関係にある 場合は T 型線で示す. 図3.

(8)

ながら育種母本としての活用は難しい.phyB 変異は,低 温や渇水耐性という優れた形質に加え早稲形質を付与す るが,ブラシノステロイドに過敏に反応して葉が傾く性 質を示して受光体制が悪くなる.加えて,アブシジン酸 含量が高まっているなどの問題もある.また,主たる赤 色光受容体の欠損が植物細胞内に与える負の影響が予見 できないため育種での活用は難しいと想定される.phyA phyB変異株やフィトクロム三重変異株は,矮性形質を示 すことに加えて,不伸長茎部が伸び,さらに稔実率も低 く耐病性も劣ることから,極早稲の形質を持つが育種資 源として使える状況にない.最近,phyA phyB 変異株の 示す低い稔実率について検討され,phyA phyB 変異が重 なった時のみ葯の発達が阻害され,その中での花粉形成 が中途で停止していることにより引き起こされているこ とが示された(Sun et al. 2017). これらの育種上不都合な形質を持つ変異株群に対して,

phyA変異株や phyC 変異株,phyA phyC 二重変異株を圃 場で育成した場合,特段悪い形質は出現しない.これら 二つのフィトクロムは,主に遠赤色光受容に関わること から,屋外の可視光過多の環境下では,残存する phyB がフィトクロム機能を補うことで生育上大きな不具合を 生じさせないのかもしれない.この三者の内,phyC 変異 株,ならびに phyA phyC 二重変異株は,それぞれ早稲, 極早稲形質を付与するので有用な育種資源として使える 可能性がある(Takano et al. 2005)(図 4A,育種ターゲッ ト 1).オオムギの品種「早木曽 2 号」の早生性の原因が フィトクロム C 遺伝子上の変異によることが報告されて いることからも(Nishida et al. 2013),イネでのフィトク ロム変異株の育種への活用も有効と思われる. 出穂期制御に関するその他の因子については,多くの 研究が実際に行われており,フィトクロムとの関係が明 らかになっているだけでなく,実際の育種に既に活用さ れている(Hill and Li 2016, Hori et al. 2016).例えば,フィ トクロムシグナルの下流に位置付けられている Hd1 や Ghd7については,インディカイネの Kasalath の自然変異 を持つ Hd1 をコシヒカリに導入することによって出穂が 早められた関東 IL1 号や,Kasalath Ghd7 のコシヒカリへ の導入で出穂を遅らせた和系 370 と呼ばれる同質遺伝子 系統が作られている(Takeuchi et al. 2006)(図 4A).

上記のような突然変異育種や交雑育種の一方,様々な 作物においてフィトクロム遺伝子を形質転換することに よ って 農 業 形 質 が 改 変 で き な い か 試 み ら れて い る (Gururani et al. 2015).イネでは,RBCS プロモーターに よりシロイヌナズナ PHYA 遺伝子を過剰発現させた報告 が独立に二つ存在し,両報告とも過剰発現により草丈が 減少することを示している(Kong et al. 2004,Garg et al. 2006).しかし Kong et al.(2004)は,PHYA 遺伝子の過 剰発現で穀粒の増大というポジティブな効果と,分げつ 減少,稔実率低下,収量減というネガティブな効果が導 かれると報告し,一方 Garg et al.(2006)は,過剰発現に よる穀粒の増大効果を認めず,穂数は増加して収量増が 導かれるという異なった報告を行っている.加えて,エ ンバク PHYA 遺伝子をカリフラワーモザイクウイルスの 35Sプロモーターにより過剰発現させたイネでは,栄養 生長期の草姿に特段の変化が観察されないという報告 (Clough et al. 1995)もあり,フィトクロム遺伝子を形質 転換することによるイネの農業形質の改変には,さらな る研究の積み重ねと情報の整理が必要と考えられる. 次に,フィトクロム下流で耐病性や環境耐性に関わる 因子について考察するが,研究の進展にもかかわらず育 種への応用は遅延気味である.耐病性に関しては,ジャ スモン酸,サリチル酸が正の効果を,アブシジン酸が負 の効果を与えていると推定されるが,フィトクロム下流 で働いている因子が具体的に明らかになっておらず,育 種の糸口は得られていない.環境耐性について今回紹介 した中では,フィトクロムと直接相互作用することで機 能が抑制されていると想定される OsPIL16 の活用は興味 深い(He et al. 2016).フィトクロムと OsPIL16 の相互作 用を特異的に弱める変異が見いだせれば,フィトクロム の主たる機能を保ったまま OsPIL16 の抑制が外れ,これ により,環境耐性付与において強力な効果を持つ転写因 子 OsDREB1 遺伝子(Dubouzet et al. 2003)を高発現させ ることができる(図 4B,育種ターゲット 2).近年, OsPIL16に進化系統樹上近いトウモロコシの ZmPIF1 や フィトクロムと関連因子の育種応用に関しての模式図. A)出穂期制御における育種のターゲットと実際に活用さ れている遺伝子と作成された品種/育種母本.B)環境耐 性付与のための育種のターゲット. 図4.

(9)

ZmPIF3をイネに過剰発現させる試みが行われており,

ZmPIF3遺伝子の過剰発現により渇水耐性と塩耐性の両 方を付与できることが(Gao et al. 2015),ZmPIF1 遺伝子 の過剰発現により渇水耐性を付与できることが(Gao et al. 2018)報告されている.また,OsPIL16 遺伝子の過剰 発現が OsDREB1 の転写産物量を増やし低温耐性を付与 していることも報告されている(He et al. 2016,図 4B, 育種ターゲット 3).これらのことからも OsPIL16 の活用 に向けた研究が進むことが期待される. 以上,イネのフィトクロム変異株やその解析で明らか になったフィトクロム関連因子の研究史とこれらの間の おおまかな関係,その育種利用に関しての私見を述べさ せていただいた.今後,これらの研究の深化が,より優 良な形質を持つイネの育種へと結びつくことを深く願っ ている.

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