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シイタケ栽培用の菌床基材としてのヤナギの利用(第1報) ヤナギおが粉の物性

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Academic year: 2021

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(1)

シイタケ栽培用の菌床基材としてのヤナギの利用(第1報)

ヤナギおが粉の物性

折橋 健,檜山

*1

,原田 陽

*2

Utilization of willow trees as a base material of sawdust-based medium

for Lentinula edodes cultivation (1)

Physical properties of willow sawdust

Ken ORIHASHI, Ryo HIYAMA, Akira HARADA

Keywords: 物性,菌床栽培,おが粉,シイタケ,ヤナギ 1. はじめに 北海道における生シイタケの生産量は年間7,214t (H27)であり,その97%が菌床栽培である1)。道 内の菌床栽培における培地基材には,一般的にナラ 類やカンバ類のおが粉が用いられているが,供給不 足や価格高騰の懸念があることから,良質で安価な 代替材料が必要となっている2) 一方,道内ではエネルギー分野等でのバイオマス 利用の高まりとともに,資源作物の導入や利用に関 する検討が行われている。その中でヤナギ類は,本 道の環境に適応した植物であり,超短伐期もしくは 短伐期での大量生産が可能なことから注目され,特 にオノエヤナギ(Salix udensis)やエゾノキヌヤナ ギ(Salix pet-susu)を対象とした栽培収穫システム の開発3,4)やバイオマス利用方法の検討5)が進んでい る。 以上の背景から我々は,ヤナギ類の将来性に着目 し,シイタケ菌床栽培における培地基材としての利 用について検討を開始した。初期の検討では,オノ エヤナギやエゾノキヌヤナギのおが粉を用いると, ミズナラ(Quercus mongolica var. grosseserrata)や シラカンバ(Betula platyphylla var. japonica)のおが 粉よりも子実体の収量が増加することや,商品価値 の高いMサイズ以上の大粒子実体の発生個数が増え るといった有望な結果が得られた2) そこで次の展開として,上記の結果に対する要因 の探索や,ヤナギおが粉を用いた菌床よりシイタケ を安定的に生産するための条件検討を行っている。 このうち後者に関しては,樹種だけでなく,生育年 数注)なども考慮して各種おが粉を調製し,栽培試験 を実施している6-8)。また,試験結果の考察,さら には適正な栽培条件設定に役立てる目的で,供試お が粉の物性および成分組成を分析しており,本稿で は供試ヤナギおが粉の物性について報告する。 注)本稿においては,ヤナギの自生年数もしくは台 切り後の生育年数を「樹齢」と称することとし,樹 齢10年生といった形で表記する。 2. 試料と方法 2.1 試料 供試したヤナギおが粉について,伐採から製造ま での履歴を第1表に示す。おが粉はすべて樹皮込み であり,オガ粉製造機(エノ産業製,EWD75)に て製造した。基本的に孔径9mmの目皿を使用した が,一部のおが粉については8mmの目皿を使用し, 細かめのおが粉とした。以下,おが粉の表記につい ては第1表に示す略称を使用し,8mmの目皿による シイタケ菌床栽培試験の培地基材として用いたオノエヤナギ,エゾノキヌヤナギおよび2 樹種混合のおが粉について物性を調査した。粒度分布,かさ密度,容器充填時の空隙量お よび水分保持可能量について,樹種や樹齢,おが粉製造時に用いた目皿孔径の観点から分 析するとともに,市販のミズナラおが粉やシラカンバおが粉との比較を行った。

(2)

細かめのおが粉については,略称の後に「細」を付 記する。 また,ヤナギおが粉13種の他に,林産試験場にて 栽培試験に用いている市販のミズナラおが粉(略称 ナラ)およびシラカンバおが粉(カンバ)を比較対 象として供試した。 2.2 粒度分布およびかさ密度 水分10%程度に風乾したおが粉を用いて,粒度分 布およびかさ密度を測定した。粒度分布の測定には, JIS標準ふるい一式[ふた,ふるい(目開き4.0,2.0, 1.0,0.5,0.25mm),受器]およびロータップ型ふ るい振とう機(テラオカ製,S-1)を使用した。容 積1L分のおが粉をふるい一式に入れて振とう機に セットし,回転数250rpm,打数125rpmの条件で20 分間振とうした後,各ふるいおよび受器上のおが粉 重量を測定した。 かさ密度の測定では,容積1Lの円筒容器(内径 10cm)を用いた。おが粉を300,600,900mL入れ た各段階で容器に衝撃を与え,おが粉を詰めた。こ の時の衝撃は,コンクリート床面に2cm上方から容 器を垂直に3回落下させて与えた。最終的に容器が いっぱいになるまでおが粉を詰め,重量測定を行っ てかさ密度を算出した。 2.3 容器充填おが粉の空隙量,水分保持可能量 Horisawaら9)の方法に沿って,所定量のおが粉を 容器に充填した時の空隙量と水分保持可能量を測定 した。おが粉は水分10%程度に風乾したものを用い た。栓を閉じた状態のクロマトグラフ管(内径30× 長さ300mm)にかさ体積100mL分のおが粉を充填し, その上方から100mL容ビュレット管を用いて水を ゆっくりと滴下した。水がおが粉上面に達した時点 で滴下を終了し,それまでの滴下量をもって空隙量 とした。次に,クロマトグラフ管の下部にある栓を 開き,20分間排水を行って排水量を測定した。水分 保持可能量は,空隙量より排水量を差し引いた値と した。以上により得られたかさ体積100mL時の値は, 2.1で測定したかさ密度の値を用いて,おが粉1kgを 容器充填した時の値に変換した。 3. 結果と考察 第1図におが粉の粒度分布(粒度別割合)を示す。 いずれの分布もロジン・ラムラー式10)に従う分布で 第1表 供試ヤナギおが粉に関する原料伐採からおが粉化までの履歴 樹種 樹齢* 1 植栽年 伐採年月日 伐採地 樹高 胸高直径 おが粉製造 年月日 おが粉略称 2年生 2012 2014/11/13 2.6~2.7m 2cm未満 オノエ2 5年生 2010 2014/12/24-25 オノエ5 6年生 2008 2013/11/11 2013/11/23 オノエ6 10年生 2014/12/24-25 同町井出川河川敷 2015/5/29 オノエ10 10-20年生 2013/11/14 同町・町道敷地 オノエ10-20 6年生 2008 2013/11/11 同町乳呑 5cm オノエ6細*2 10-20年生 自生 2013/11/14 同町・町道敷地 12cm オノエ10-20細 2年生 2012 2014/11/13 2.6~2.7m 2cm未満 キヌ2 5年生 2010 2014/12/24-25 キヌ5 6年生 2008 2013/11/11 2013/11/23 キヌ6 10年生 2014/12/24-25 同町井出川河川敷 2015/5/29 キヌ10 10-20年生 2013/11/14 同町・町道敷地 キヌ10-20 6年生 2008 2013/11/11 同町乳呑 5cm キヌ6細 10-20年生 自生 2013/11/14 同町・町道敷地 12cm キヌ10-20細 ヤナギ5 ヤナギ5細 7年生 ヤナギ7細 10年生 自生 ヤナギ10細 *1 自生年数もしくは台切り後の生育年数 *2 製造時に細かめのおが粉としたものに対し,略称に「細」を付している。 北海道釧路管内 白糠町乳呑 5cm 12cm 2013/11/23 自生 自生 2013/11/23 北海道釧路管内 白糠町乳呑 5cm 12cm 5~7m オノエ ヤナギ 2015/5/29 2015/5/29 同町乳呑 5~7m エゾノキヌ ヤナギ オノエヤナ ギ,エゾノ キヌヤナギ 混合 約7m 7cm 2016/5/20 5~7m 5cm 2013/11/23 2016/1/20 2013/11/11 2009 5年生

(3)

第1図 供試おが粉の粒度分布 2 18 33 28 13 7 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ2 均等数(n): 1.44 平均粒子径(mm): 1.16 4 23 33 28 9 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ5 均等数(n): 1.67 平均粒子径(mm): 1.41 2 14 37 33 11 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ6 均等数(n): 1.78 平均粒子径(mm): 1.27 4 19 34 30 10 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ10 均等数(n): 1.65 平均粒子径(mm): 1.35 3 17 40 30 8 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ10-20 均等数(n): 1.77 平均粒子径(mm): 1.37 4 20 41 25 7 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ10-20 均等数(n): 1.72 平均粒子径(mm): 1.47 2 14 33 35 11 4 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ10 均等数(n): 1.68 平均粒子径(mm): 1.21 4 23 36 26 8 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ5 均等数(n): 1.74 平均粒子径(mm): 1.48 3 16 36 33 9 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ6 均等数(n): 1.80 平均粒子径(mm): 1.33 1 15 31 29 15 9 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ2 均等数(n): 1.38 平均粒子径(mm): 1.03

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2 18 31 32 13 4 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ6細 均等数(n): 1.64 平均粒子径(mm): 1.24 1 11 25 37 19 7 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) オノエ10-20細 均等数(n): 1.48 平均粒子径(mm): 0.98 2 9 32 35 13 9 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) ナラ 均等数(n): 1.42 平均粒子径(mm): 0.99 2 25 35 25 9 3 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) ヤナギ5 均等数(n): 1.72 平均粒子径(mm): 1.40 2 18 32 31 13 4 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) ヤナギ5細 均等数(n): 1.59 平均粒子径(mm): 1.20 1 13 30 36 15 5 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ6細 均等数(n): 1.60 平均粒子径(mm): 1.10 2 13 29 35 16 5 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) キヌ10-20細 均等数(n): 1.51 平均粒子径(mm): 1.09 2 13 31 33 15 6 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) カンバ 均等数(n): 1.48 平均粒子径(mm): 1.08 1 11 30 37 16 5 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) ヤナギ7細 均等数(n): 1.58 平均粒子径(mm): 1.04 1 14 30 36 15 4 0 20 40 60 4.0以上 2.0~4.0 1.0~2.0 0.5~1.0 0.25~0.5 0.25未満 粒度別割合( % ) 粒径(mm) ヤナギ10細 均等数(n): 1.65 平均粒子径(mm): 1.15 第1図 供試おが粉の粒度分布(つづき)

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あった。また,第1図に均等数および平均粒子径を 示す。均等数は,ロジン・ラムラー式において定ま る係数で,粒度のまとまり具合を示す指標であり, 数値が大きいほど粒度が揃っていると解釈される。 また平均粒子径は,積算割合が50%となる径(中位 径)である。 孔径9mmの目皿を用いて製造したヤナギおが粉 (オノエ2,5,6,10,10-20,キヌ2,5,6,10, 10-20およびヤナギ5)は,粒径0.5~2.0mmを中心と する山型分布を示した。オノエ2,キヌ2を除き,均 等数は1.65~1.80,平均粒子径は1.21~1.48mmの範 囲にあり,オノエ2,キヌ2の値はこれよりも低値で あった。 孔径8mmの目皿を用いて製造したヤナギおが粉 (オノエ6細,10-20細,キヌ6細,10-20細,ヤナギ 5細,7細,10細)は,目皿孔径9mmのものと同様 の山型分布を示したが,粒径1.0mm未満の積算割合 が目皿孔径9mmのおが粉よりも高い傾向にあり, 相対的に細かいおが粉であると確認された。均等数 は1.48~1.65,平均粒子径は0.98~1.24mmであった。 ナラ,カンバは,ヤナギおが粉と同様の山型の粒度 分 布 を 示 し , 均 等 数 1.4台 , 平 均 粒子 径 は0.99~ 1.08mmであった。 同一孔径の目皿で製造したヤナギおが粉に関して, 樹齢5年生以上の原料では,樹種や樹齢を問わず粒 度分布は同様であった。また,目皿孔径を変えるこ とで,粒度調整が可能と判断された。一方,2年生 のヤナギおが粉は,同一孔径の目皿で製造した5年 生以上のものと比較して,均等数や平均粒子径の値 に差異があったことから,おが粉製造時には目皿設 定等において注意が必要と考えられた。 ナラ,カンバと比較して,ヤナギおが粉は粒度が 同等か粗め,粒度の揃い具合は同等かより均一で あった。目皿孔径8mmのおが粉の方が,9mmのも のよりもナラ,カンバに近い分布を示した。 第2図におが粉のかさ密度を示す。ヤナギおが粉 のかさ密度は119~204g/Lで,樹種や目皿孔径によ る特段の違いはなかったが,樹齢に関しては,2年 生おが粉(オノエ2,キヌ2)のかさ密度が他よりも 低かった。また,ナラ,カンバとの比較では,ヤナ ギおが粉のかさ密度は総じて低かった。 かさ体積100mL分のおが粉を容器に充填した時の 空隙量と水分保持可能量をそれぞれ第3図,第4図に 示す。ヤナギおが粉の空隙量(第3図)は57~70mL で,樹種や樹齢,目皿孔径による大きな差異は認め られなかった。また,ナラ,カンバとの比較では, ナラよりも多く,カンバとは近似していた(多い場 合も少ない場合もあった)。 ヤナギおが粉の水分保持可能量(第4図)は25~ 41mLで,樹種や目皿孔径による違いははっきりし なかったが,樹齢については,10年生以下のもので 値が小さくなる傾向があった。ナラ,カンバと比べ た場合,ヤナギおが粉の値は同等か小さかった。 空隙量に占める水分保持可能量の割合(第5図) は,ヤナギおが粉で43~66%であった。ナラ69%, カンバ59%に対して,特に10年生以下のヤナギおが 粉が低値となる傾向が認められた。 第3図,第4図に示す結果をおが粉1kgあたりに換 算し,それぞれ第6図,第7図に示す。ヤナギおが粉 の空隙量(第6図)は3.0~4.8Lであった。2年生お 119 169 179 186 204 179 198 128 159 184 189 187 172 190 165 166 174 175 273 232 0 50 100 150 200 250 300 か さ密度 ( g /L ) 第2図 供試おが粉(水分10%時)のかさ密度

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が粉(オノエ2,キヌ2)の値が特に高かったが,こ れを除くと,樹種や樹齢,目皿孔径による特段の違 いはなかった。また,ナラ,カンバとの比較におい て,ヤナギおが粉は総じて大きい値を示した。ヤナ ギおが粉の水分保持可能量(第7図)は1.6~2.3Lで, 樹種や樹齢,目皿孔径による明瞭な違いはなかった。 またナラ,カンバの値と比べ,同等かそれ以上の値 を示した。第2図に示したように,ヤナギおが粉の 57 61 60 65 61 63 61 62 60 61 69 59 62 64 59 61 70 68 54 65 0 10 20 30 40 50 60 70 80 空隙量 ( mL ) 25 27 30 32 38 41 40 28 29 31 37 35 33 41 29 30 31 38 37 38 0 10 20 30 40 50 水分保持可能量 ( mL ) 44 45 50 49 62 65 66 45 48 51 53 59 53 65 50 50 43 55 69 59 0 10 20 30 40 50 60 70 80 水分保持可能量/空隙量 ( % ) 第4図 かさ体積100mL分のおが粉(水分10%時)を容器に充填した時の水分保持可能量 第5図 空隙量に対する水分保持可能量の割合 第3図 かさ体積100mL分のおが粉(水分10%時)を容器に充填した時の空隙量

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かさ密度はナラ,カンバより低いため,1kgあたり のかさ体積はナラ,カンバよりも大きくなる。この 影響により,第6図,第7図のような結果になったと 解釈される。 シイタケ菌床の製造では,所定重量の培地基材を 袋詰めにする。上記の結果から,供試ヤナギおが粉 を用いて菌床を製造し,同一重量のナラ,カンバの 菌床と比較した場合,次のことが予測される。①菌 床1個の形状は大型化し,場合によっては所定重量 が袋に入りきらない可能性がある。②菌床の一部分 (一定体積)を見た場合,空隙量はナラ菌床よりも 多く,カンバ菌床に近い量であるが,保持しうる水 分量はナラやカンバの菌床よりも少ない。③一方, 菌床1個あたりで見た場合,空隙量および保持しう る水分量は,かさ高い影響でいずれもナラ,カンバ 菌床より多い。ここに示された傾向は,限られた試 料によるものであり,常に当てはまるとは限らない が,ナラ類,カンバ類からヤナギ類へと菌床のおが 粉を変更する際には,菌床の製造や水分管理の面で 注意が必要なことを示唆するものと言える。 おが粉の物性は,おが粉粒子の形状や表面積,粒 度分布,おが粉原料の材密度や樹皮率など複数の因 子に基づいて形成されていると考えられる。これら の因子を詳しく調べることにより,諸物性がどのよ うな理由で成り立っているのかが考察でき,おが粉 の製造にも反映できるようになると考えられる。こ のことについては,今後のアプローチが必要である。 4. まとめ ヤナギおが粉を用いた菌床よりシイタケを安定的 に生産するための条件を検討しており,そのための 栽培試験に使用したヤナギおが粉について,ナラや カンバのおが粉とともに物性を調査した。その結果 は,以下のとおりにまとめられる。 第6図 おが粉1kg(水分10%時)を容器に充填した時の空隙量 第7図 おが粉1kg(水分10%時)を容器に充填した時の水分保持可能量 4.8 3.6 3.4 3.5 3.0 3.5 3.1 4.8 3.8 3.3 3.7 3.2 3.6 3.3 3.5 3.7 4.1 3.9 2.0 2.8 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 空隙量 ( L) 2.1 1.6 1.7 1.7 1.9 2.3 2.0 2.2 1.8 1.7 1.9 1.9 1.9 2.2 1.8 1.8 1.8 2.2 1.4 1.7 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 水分保持可能量 ( L)

(8)

・ヤナギおが粉の粒度分布について,同一孔径の 目皿を使用しておが粉を製造した場合,樹齢5年 生以上の原料では,樹種や樹齢を問わず粒度分布 は同様であり,目皿孔径を変えることで粒度を調 整できると考えられた。一方,2年生のヤナギお が粉については,同一孔径の目皿で製造した5年 生以上のものと比較して均等数や平均粒子径の値 に差異があった。また,ナラ,カンバと比較して, ヤナギおが粉は粒度が同等か粗め,粒度の揃い具 合は同等かより均一と評価された。 ・ヤナギおが粉のかさ密度については,樹種や目皿 孔径により大きな違いはなかった。樹齢に関して は,2年生おが粉のかさ密度が他齢よりも低かっ た。またナラ,カンバとの比較では,ヤナギおが 粉のかさ密度は全体的に低かった。 ・一定かさ体積のヤナギおが粉を容器充填した時の 空隙量は,樹種や樹齢,目皿孔径によって大きな 違いはなく,ナラ,カンバとの比較では,ナラよ りも多く,カンバと近似していた。 ・一定かさ体積のヤナギおが粉を容器充填した時の 水分保持可能量については,樹種や目皿孔径によ る明らかな違いはなく,樹齢については10年生以 下のおが粉で値が小さくなる傾向があった。また ナラ,カンバと比べた場合,ヤナギおが粉の水分 保持可能量は同等か小さい傾向にあった。 ・一定重量のヤナギおが粉を容器充填した時の空隙 量については,2年生おが粉の値が特に高かった が,これ以外のおが粉では,樹種や樹齢,目皿孔 径による特段の違いはなかった。また,ナラ,カ ンバとの比較において,ヤナギおが粉の空隙量は 総じて大きい値であった。 ・一定重量のヤナギおが粉を容器充填した時の水分 保持可能量については,樹種や樹齢,目皿孔径に よる明瞭な違いはなく,ナラ,カンバの値と比べ て同等かそれ以上の値を示した。 以上の結果は,限られた試料によるものであり, 直ちに一般化されるものではないが,ヤナギ類のお が粉を使用した菌床が,従来のナラ類,カンバ類の おが粉による菌床とは物性面で異なる特徴を持つこ とを示唆するものと考えられた。 付 記 本稿記載の分析は,道総研重点研究「早生樹「ヤ ナギ」を活用した高品質シイタケの安定生産システ ムの開発」(共同研究機関:白糠町役場経済部経済 課,厚岸町役場産業振興課きのこ菌床センター)の 一環として実施した。 謝 辞 供試ヤナギの伐採,おが粉の製造にあたり,くし ろ西森林組合,森林総合研究所林木育種センター北 海道育種場,白糠木材株式会社にご協力いただいた。 ここに記して厚くお礼申し上げる。 引用文献 1) 北海道水産林務部林務局林業木材課: “北海道特 用林産統計(平成27年)”, 札幌, 2017. 2) 原田陽, 折橋健, 檜山亮, 宜寿次盛生, 棚野孝夫: 日 本きのこ学会誌 22(1), 24-29 (2014). 3) 森林総合研究所北海道支所: “北海道におけるエ ネルギー作物「ヤナギ」の生産の可能性”, 札幌, 2014. 4) 北海道開発局開発調査課: “北海道におけるヤナ ギ栽培マニュアル平成22年度版”, 札幌, 2011. 5) 北海道開発局開発調査課: “北海道開発計画調査 「北海道に適した新たなバイオマス資源の導入促進 事業(平成20~22年度)の概要」”, 札幌, 2011. 6) 原田陽, 折橋健, 檜山亮, 加藤幸浩, 棚野孝夫: 日本 きのこ学会第19回大会講演要旨集, 2015, p46. 7) 原田陽, 折橋健, 檜山亮, 加藤幸浩, 棚野孝夫: 第66 回日本木材学会大会研究発表要旨集, 2016, O27-09-1645. 8) 原田陽, 折橋健, 檜山亮, 棚野孝夫: 第67回日本木 材学会大会研究発表要旨集, 2017, O17-08-1345. 9) Horisawa, S., Sunagawa, M., Tamai, Y., Matsuoka, Y., Miura, T., Terazawa, M.: J. Wood Sci. 45, 492-497 (1997). 10) 金岡千嘉男, 牧野尚夫: “はじめての集じん技術”, 日刊工業新聞社, 東京, 2013. -利用部 バイオマスグループ- -*1:利用部 微生物グループ- -*2:森林研究本部 企画調整部- (原稿受理:17.10.11)

参照

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