保育者の子育て観と保護者に対する支援に関する研究
学校教育専攻 幼年発達支援コース 添 木 佑 香
1 .問題の所在と研究の呂的
現在、保育者は、子どもの保育に加えて、保 護者に対する支援が多様に求められている。
その一方で、保育者と保護者の育児観には差 異があることが明らかになっている口保育者は、
13歳児神話j と「育児、子育ては母親Jに賛 成する比率が、保護者よりも高い1)0 3歳児神 話とは、 3歳までの子育ては家庭・母親の責任 とする考え方である。保育者が「育児、子育て は母親」といった男女役割分業的育児観に立脚 することは、育児を「家庭内jのみならず、「家 庭外」においても共同で、行っていくべきだとす る共同的育児観とは相容れない考え方であり、
現代日本の緊急課題として展開している支援を 支えることはできないといった指摘もある2)
このように、支援をする側とも言うべき保育 者が、保護者と共に子育てをしていこうとする 子育て観をもっていなければ、保護者に対する 支援が消極的なものになるのではないだろうか。
つまり、保育者の子育て観は重要な意味をもっ ており、保育者の子育て観が、保護者に対する 支援に影響しているのではなし1かと考える。
そこで本研究では、保育者の子育て観が、ど のような形で保護者に対する支援に関連してい るのかを探る。
2.調査の方法
調査対象者:保育士6名、幼稚園教諭4名 調査方法:インタピュー調査
指 導 教 員 橋 川 喜 美 代
調査期間:
2 0 0 9
年3
月1 4
日"‑'1 1
月24
日 質問項目:現在行っている保護者に対する支援、保護者との価値観の違い、保育者と保護者の役 割分担、理想、の子育てや子どもへの関わり方、
保育者自身の子育て、今後の保護者に対する支 援
3. 保育士の子育て観と保護者に対する支援
について
保育土の3歳児神話に対する考え方は、 3歳 児神話否定型(保育所で見た方がよし、)、 3歳児 神話肯定型(母親の手で育てた方がよし、)、 3歳 児神話中立型(家庭と保育所のどちらがいいと は断言できなし¥)に分けることができた。これ がもととなって、保護者との役割分担について も3つの考え方がで、てきた。これを図式化した ものが、図3 ‑1、図3 ‑2、図3 ‑3である。
3歳児神話中立型では、保育者と保護者が共 にすべきであるという考え方で、あったが、 3歳 児神話否定型では、スキンシップは家庭で、 3 歳児神話肯定型では、生活習慣は家庭でするべ きであるといった意見で、あった。
保護者に対する支援については、 3歳児神話 否定型では、保護者の子育ての現状が影響し、
保護者のパートナーとして支援していこうとい う支援につながっていた。 3歳児神話肯定型で は、気になる子どもの実態が影響して、他の専 問機関との連携や様々な分野の勉強をする必要 があると認識していた。 3歳児神話中立型では、
‑29‑
認
5
哉していた。保護者に対する支援では、オープンスクーノレ のように幼稚園を地域の人や未就園児にアピー 主に保護者の就労実態が影響して、延長保育と
いった子育てと仕事を両立するための支援が多 く挙げられた。支援の形態としては、保育所は、
乳幼児を対象としており、生活習慣を身につけ ノレするといったことが特徴として見られた。幼 稚園教諭の中に、幼稚園は教育をする場であり、
る時期で、あったり、保護者が働いていたりする
保育者として教育を行うという強い思いも関係 し、専門的な立場から保護者に関わっていくと ため、保護者と並行して子育てしていこうとす
さらに、子育て経験の 自らの子育て経験が関 る支援がなされていた。
ある保育士の場合では、 いう支援がなされていた。 これらを図式化した ものが、図4 ‑1である。
このように、幼稚園教諭は、保護者との役割 分担を明確にもっていたが、子育て観と保護者 に対する支援の間には、幼稚園の制度や現状、
連し、保護者に対する支援に影響していた。
これらから、保育士の子育て観と保護者に対 する支援の間には、保護者の子育ての現状、子 どもの実態、保護者の就労実態、保育士の子育
保護者の子育ての現状、幼稚園教諭自身の子育 て経験が媒介となって、保護者に対する支援に
て経験などが媒介となって、保護者に対する支 援につながっていた。
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つながっていることが明らかになった。
保護者に対する支援
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<図3‑1 3歳児神話否定型の場合>
<図4 ‑1 幼稚園教諭の子育て観と保護者に 対する支援について>
保護者に対する支援 翠玄
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本 研 究 の ま と め
保育者の子育て観として、保護者と共に子育 てしていこうという考えでなければ、保護者に
5.
対する支援が消極的なものになるのではなし、か という仮説のもと、研究を行った。その結果、
仮説通りで、はなかった。保育者が保護者との役 割分担を明確にもっさている場合で、も、保護者に 対する支援は消極的ではなく、むしろ、積極的 に支援を行ったり、今後の支援についても考え
<図 3 ‑2 : 3歳児神話肯定型の場合>
保護者に対する支援 翠室
延長保育、気になる子に対して、保護 者同士の5主流なぎ
金主主
{蓄積関係をつくる、中身の充実なE
/ 保護者の :
( 就労実態
<図3 ‑3 : 3歳児神話中立型の場合>
幼稚園教諭の子育て観と保護者に対する 4.
ていたりすることが明らかになった。
支援について
1 )神田直子・戸田有一・神谷哲司・諏訪きぬ, 2007, 幼稚園教諭の3歳児神話に対する考え方は、
「保育園ではぐくまれる共同的育児観一向じ園の保
3歳児神話について肯定も否定もしてい 全員、
育者と父母の育児観からJ,W保育学研究』
2) 向上書
‑30‑
なかった。また、子育て観についても、全ての 幼稚園教諭が、保育者と保護者の役割は違うと