U t i l i z a t i o n o f V i s u a l O r g a n i z e r s f o r Highe r ‑ L e v e l P r o c e s s e s i n E n g l i s h Reading C l a s s e s i n J apanese High S c h o o l s
教科・領域教育専攻 言語系(英語)コース 糸 永 伸 哉
1.
はじめに
国際化と
IT化の進む現在、英語教育の分野 においても、英語リーディング観の変容が求め られている。それは、高校現場に直猿の影響を 与える大学入試の問題傾向にも影響を与え、従 来型の逐謝句な文法訳読式の読み方では対応で きない問題が増えてきている。つまり、英文の 内容を情報として理解し、運用できるような、
いわば「コミュニカティブ・リーディング」と でも呼ぶべきリーデイングの力が求められてい るのである。しかしながら、そのような変化は、
多くの場合、ますます多忙化する高校現場には あまり反映されず、実際の指導にも生かされて いないのが現状であろう。前述の「コミュニカ ティブ・リーディング」も、語葉・文法をおざ なりにしたトップダウン式のリーディング指導 であるように瑚卒され、生徒の英語能力から言 っても、現実味は薄いように捕らえられている のではないだろうヵ、私自身、「コミュニカティ ブ・リーディング
jにおいても、一語葉・文法の 果たす役害
IJを疑うものではないが、授業がその 指導のみで終わり、情報運用能力の育成を生徒 自身のセンスや自助努力にゆだねてしまうのは、
英語教師としての責任を回避してしまうことに なると考える。本論考を通して、「コミュニカテ ィブ・リーディング」の実態をつかみ、それに もとづいた具体的・実践拘な指導法を提案して いきたし
10指 導 教 員 伊 東 治 己
2.概要
第
1章では、生徒のリーデイングのスタイル を変えるために、読みの「目的」を意識するこ とが効果的ではないかと考え、様々な先行研究 の分析をもとに目的の分類を試みた。その中で、
目的にも階層性があり、最下層の、例えば「情 報を統合するために読む
j、「指平をするために 読む」といった、より具体的な目的は、直族的 に読みのスタイルに影響を与えることを見いだ した。そして、その具体的な目的を意識させる ために、適切なタスクの設定が必要であること を示唆した。
第
2章では、まず、様々な先行研究をもとに
「読んで分かる
jとし、うことがどういうことで あるのかを考察した。そして多くの場合、第一 言語と、第二言語や外国語の場合とで、大きな 違いがあること、現在の英語リーディングに求 められているのは、むしろ第一言語において求 められていたものであることを指摘した。この 二者をつなぐものを考察する中で、Kin
tschら( 1
978,1986,1994)の認知言語勃句な文章理解研 究に鰍もた。それによると、「調卒」とは、ある テキストを読んで読み手がそのテキストに即 し て 首 尾 一 貫 性 の あ る 心 的 表 象
(menぬl rep詑sentatiowを構築した状態で、あり、またそ の心的表象には、言語的な段階「表層的記憶
(surfaa memory) J、概念的な段階「命題的テ キストベース
(textbase)J、全体表象的な段階
円h u
q δ
「状況モデソレ (SituationModeD Jの3つのレ ベルが想定されているO ここにおいて、 lower levelの読解過程(readingprocess)で、ある「表層 的記憶」にとどまる伝統的な高校現場での英語 リーディング指導を越え、「テキストベース」さ らには「状況モデ〉レJといったhigherlevelの 読解過程を促して、「コミュニカティブ・リーデ イングJへと導くものにするのが、「適切なタス クjであると規定した。
一方で、現場の高校耕市へのアンケート調査 によって確認された、高校生の英語能力面に関 する懸念や、主にそれから導かれる、誤った状 況モデ〉レ出現の可能性、さらには、第一言語と は違う、そもそもの外国語教育としての役割を 考慮する必要性も感じた。よって、本論考で、は、
あくまで「状況モデ〉レjを駆使する、コミュニ カティブなコンテントリーディングを念頃に置 いた上で、正確なテキストベースを構築するこ とを目的とした活動を中心に、考察を進めるこ ととした。
第 3章では、第 2章で述べた読解と visual
11llageの関係をふまえ、実際の授業での図表 (visuaDの活用方法lこっし、て、多様な先行研究の 分析をし、形態面、授業での機能面の両面から 図表の分類をして、それぞれ考察を進めた。
形態においては、概念地図(∞nceptmap)に代 表される、単文や節等の命題を中心として成り 立つnodeと、それらをつなぐ矢印などのlink で表される、命題組織図(node‑linkorg自 由er) に着目した。理由として:
任胸語文法や因果ネットワークなどの文章理解 研究で、の様々なモデル提示に利用されていた
という難賓と汎用性
②各情報開の関係性を視覚化することで複雑な 概念の構造を一目で苦境卒させたり、 linkを自
由に張ることで読解を深め、思考を発展させ ていくのにも役立つとしりた利便性
などがあげられる。授業における機能面では、
読解の前・中・後のどのタイミングで使うのか ということを縦軸に、親市・生徒の誰が作るの かということを横軸にした分類を試みた。中で も、読解中、あるいは翻磯における、親市主 導で、生徒が図表を完成させるといった活動に、
「適切なタスク Jとしての可能性を見いだした。
つまり、図表を使ってhigherlevelの読解プロ セスを疑似体験させるのである。
それを受け、第4章では実際の高校の英語I の教科書の樹オをもとに 図表を効果的問l
閉
した、具体的な授業案を提示した。その中では、協同授業への展開の可能性など、図表を使った、
吏に発展的な学習を示唆した。
3.終わりに
2005年12月7日付けの新聞各紙は、経済協 力開発樹薄(OECD)が2003年に実施した、各国 の 15歳(日本では高1)の総合的学力を測る学 習到達度調査において、文章やグラフの読解力 で日本は 14位(498J京)と、前回の8位(522J京) からIJ開立も平均点も下がったことを伝えている。
これは、第一言語である国語教育においても、
情報運用能力としての読解力の低下を示唆する ものであると考えられる。英語教師として、こ の結果を対岸の火事とするのではなく、同じリ ーディング指導に関わるものとして、お互いに 協力をして、問題の解決を目指ずべき時が来て いるのかもしれない。入力文字にとらわれない 図を活用した授業というのは、その架け橋とし ての役割が果たせるようにも思うD そのために も、まずは今後、提案した授業案を中心にした 現場での実践を通して、本研究の有効性を示し ていきたいと考える。
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